2019年06月19日

【お知らせ】出版部会6・28講演会:清田義昭さん大いに語る! ぜひ参加を!

「出版ニュース」 編集50年
─いま出版界に大切なこと─


75 年の歴史を持つ「出版ニュース」が、休刊の秋を迎えた。
出版界の動きを総合的に捉え、的確な分析や提言など、
出版関係者や愛書家には貴重な雑誌!
編集長・清田義昭さんが、歩んだ軌跡と出版界への思いを語る。

講師 清田義昭 氏 (「出版ニュース」編集長)
日時 6月28日(金) 18時30分開会(18時15分開場)
場所 YMCAアジア青少年センター 3階会議室
〒101-0064 東京都千代田区猿楽町 2 - 5 - 5 Tel : 03-3233-0611
アクセス地図 http://www.ayc0208.org/hotel/jp/access-access.html
参加費 800円(JCJ会員・学生500円)
チラシPDF版出版部会6・28清田義昭氏の講演会チラシ(完全版).pdf

日本ジャーナリスト会議(JCJ)出版部会
〒101-0051千代田区神田神保町1-18-1 千石屋ビル402号
03-3291-6475 fax03-3291-6478
メールアドレス:office@jcj.sakura.ne.jp
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2019年06月16日

6月29日・シンポジウム「安倍政権とメディア 攻防7年」

シンポジウム「安倍政権とメディア 攻防7年」=第3回報道の自由フォーラム・パート2
日時:6月29日土曜 午後2時から6時
会場:法政大学・市ヶ谷キャンパスの外濠校舎S405教室
東京都千代田区富士見2−17−1
最寄りは飯田橋駅 か市ヶ谷駅
参加費:1000円=学生と法政大学教職員は無料
発言者は次の通り
★元朝日新聞記者・植村隆さん=週刊金曜日発行人
★元NHK記者・相澤冬樹さん=大阪日日新聞論説委員
★東京新聞社会部記者・柏崎智子さん=メディアで働く女性ネットワーク会員
★科学ジャーナリスト・林勝彦さん=元NHKプロデューサー
★沖縄タイムス編集委員・阿部岳さん
★コーディネーター:ジャーナリストの竹信三恵子さん=和光大学名誉教授、元朝日新聞記者


安倍政権が発足して7年近くが経過しようとしている。この間に噴出したメディアを巡る問題を総合的にとらえ、何が問題かを明らかにする。
官房長官会見での官邸による質問妨害、沖縄県民の民意無視。政権に忖度するNHKの報道姿勢。歴史をねじ曲げる動きと元朝日記者への個人攻撃、朝日新聞バッシング。福島原発事故からの自主避難者を見捨てる政権と被害の矮小化。官僚によるセクハラ行為。これらの実情を明らかにし、メディアの役割を問い、考える。
主催:日本ジャーナリスト会議と法政大学図書館司書課程
お問い合わせ:JCJ 電話03−3291−6475=月水金の午後
□詳細は下記をクリックしてください□
■■■6月29日シンポジウム・お知らせ【完成版】.jpg□6月29日シンポ裏面.jpg
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【今週の風考計】6.16─争点隠して「年金詐欺」に奔る愚の行方

「年金が毎月5.5万円ほど不足するから、老後に備え2000万円貯蓄せよ」―金融庁の報告書が波紋を呼び、「<100年安心の年金>なんて大ウソ」と、怒りの声が安倍政権を直撃している。

しかも5分で読める報告書を、麻生担当大臣は「冒頭部分に一部、目を通しただけで、全体を読んでいるわけではない」と開き直り、あげくに、この報告書は受け取らないという愚挙に出た。
みずから諮問した市場ワーキング・グループが、昨年9月から12回も議論を重ね、「政府の政策スタンス」に沿って、かつ金融庁内部の了承を得てまとめあげた報告書まで、ついに「消してしまう」のだから呆れる。

ネット上は<年金詐欺(笑)ホント、そうだよな>であふれ、「#年金詐欺」というハッシュタグまで作られるほどだ。なかには「2000万円って、麻生さんの1年に使う“飲み代”だろ」―政治資金の使い途から推し量った意見まで、登場してきた。
現に、麻生氏が代表を務める資金管理団体「素淮会」の17年度・政治資金収支報告書によると、有名寿司店に高級和食店、馴染みの会員制サロンなどに支払った、飲食を伴う「会合」費は、1年間だけで計2019万6547円にも及ぶ。

この政治資金の使いみちからして、庶民とはかけ離れた感覚の持ち主である78歳の麻生さん、自分が年金を受給しているかどうかすら「記憶がない」のだから無理もない。

さらに許せないのは、5年ごとに年金の給付水準の長期的な見通しを示す、財政検証の結果を公表しないことだ。従来では6月初めに公表しているのだが、見通しによると約15兆円もの運用損が出るといわれている。参院選の投票に及ぼす影響が大きいから、「公表を参院選後に回す」争点隠しに躍起だ。
昨年の森友学園への国有地売却を巡る財務省の公文書改ざんといい、厚労省のデータ統計不正が発覚するなど、「都合の悪いことは全て隠滅・改ざん・破棄し、現場に押しつける」安倍政権の退廃ぶりは極まる。(2019/6/16)
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2019年06月10日

【支部リポート】 神奈川 菅官房長官会見の映像流れる 横浜駅パブリックビューイング=保坂義久

神奈川支部では4月13日に首相官邸記者会見での質問制限をテーマに例会を開いた。同じ日の午前10時から午後5時まで横浜駅西口前では、その関連パブリックビューイング(PV)が行われた。これを企画したのは武井由起子弁護士ら5人。

支部例会の講師の南彰新聞労連委員長は、例会の前と後にこの催しに参加し、菅義偉官房長官会見の実態について語った。

横浜駅西口前は各党が選挙で第一声をあげる通行量の多い場所。PVでは52インチのディスプレイを使い、菅官房長官の記者会見の映像を流した。合間にはスピーチタイムが設けられた。

 発言者は南さんのほかに元自衛隊レンジャーの井筒高雄さん、森友・加計疑惑を追及する元NHK記者の相澤冬樹さん、憲法学者の石川裕一郎さんなど多彩なメンバー。武井さんが活動する中で出会った人たちだ。武井さんは相澤さんとは週刊金曜日の主催のイベントで面識を得たという。

 海老名駅前自由通路でのマネキンフラッシュモブ禁止の不当性を訴えて勝訴した朝倉優子さんなど神奈川の市民も発言し、言論・表現の自由を訴えた。神奈川では街頭で訴える市民活動が活発で、沖縄の基地問題でのPVに携わっているメンバーの協力を得た。

 東京新聞の望月衣塑子記者に対する質問封じに対抗し、菅官房長官の選挙区である横浜で開いた今回の企画について、武井さんは「頑張っている記者を応援することが大事だ」と語る。

 これまで事実がどう取材され伝えられるのか受け手には見えにくかったが、望月記者の活動で可視化された。官邸側の望月記者への嫌がらせに対しても、記者たちがこれまで取りがちだった第三者的な立場ではなく、当事者として向き合うようになった。MIC(日本マスコミ文化情報労組会議)主催の3月14日の官邸前行動は、その意味で画期的だったと武井さんは評価する。

神奈川支部例会も140人を超す参加者があった。安倍政権による報道恫喝に市民の関心の高まっている証拠だろう。 

保坂義久

JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2019年5月25日号
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2019年06月09日

【内政】 あらゆる差別 撤廃へ 自民党の後進性暴く 上智大・中野教授に聞く=河野慎二

 メディアの過熱した天皇「代替わり」報道にうんざりした「10連休」が終わり、参議院選挙が約2カ月後に迫って来た。この選挙は、安倍改憲勢力を3分の2以下に追い落とせるか、最大の正念場を迎える。そこで「市民連合」の呼びかけ人である中野晃一上智大教授に話を聞いた。

 中野教授はまず、沖縄と大阪の衆院補選で自公与党が2敗したことについて「自民党にはショックだ。巻き返すために衆参同日選は選択肢としてありうる」と述べた。
 しかし、大義≠ニして企む消費税増税の3回目の延期については「アベノミクス失敗の容認に繋がる」と指摘し「自民党にとってこの選択はギャンブルだ。それでも同日選をやるというなら、そこまで追い込まれた選挙となる」と述べ、安倍一強が盤石ではないとの認識を示した。

 野党共闘について中野教授は「参院選1人区の候補一本化は既定方針だ。野党共闘の効果は各党が理解しており、一本化調整の必要性でも一致している。(合意は)時間の問題だ」と発言。「(11の1人区で勝利した)3年前と同等以上の結果を出すことは不可能ではない」と述べた。
 衆参同日選への野党の対応については「同日選は投票率を上げる。無党派の人たちが野党候補にも投票する。自民党には両刃の刃で、リスクは高い」と指摘。「同日選になれば、候補を衆参の選挙区で振り分け、一本化調整はやり易くなる。同日選を警戒しつつ、いざとなれば受けて立つ」と述べ、市民と野党の共闘に自信を示した。

攻め姿勢で変える
 中野教授は、今回の参院選勝利に向けて「政治を変える!プログレッシブ連合へ」という運動を呼びかけている。「なぜ、憲法を守ろうと言うのか。それは憲法を活かして、政治や経済をより良い方向に変えたいからだ。これまで安倍政治に反対するネガティブな発信になりがちだったが、これを分かり易く言語化、可視化してポジティブに発信したい」
「そのポジティブな声は、私たちの仲間の周りにいる、政治を諦めちゃった人たちにも届けて社会を前に進めたい。現状を維持するだけの守勢ではなく、攻めの姿勢で政治を変えて行きたい」とその狙いを熱く語った。

 参院選の論戦では、人間の尊厳や権利、ジェンダーの問題、あらゆる差別を乗り超える問題に集中することが重要と指摘。特に政治参加への男女均等を目指す「パリテ元年」の今年は、女性への差別撤廃が大きな争点になるとして「選択的夫婦別姓制度」や女性天皇の問題も取り上げて「自民党の復古的な後進性、逆進性を暴き出し、民意と大きく乖離している実態を訴えることが参院選の勝負を分ける」と強調した。

ニュー・ノーマル
 中野教授は、安倍晋三首相が第一次政権当時、メディアに「自由な政権批判を許した」ことを反省し、第2次政権では「NHKや朝日新聞への攻撃を軸にメディア支配の構図を作り上げた」と指摘。その中で「ニュー・ノーマ ル」と呼ばれる、現状を無批判に受け入れる風潮がメディアの現場に広がっていることに警鐘を鳴らした。
 同教授は「6年に及ぶ安倍一強支配がもたらす現実を当たり前のことと常態化し、正常なんだと受け入れる世代がある」と指摘し、様々な弊害を引き起こしている小選挙区制度を不易のものと決め込むメディアの無定見な対応を「ニュー・ノーマル」の一例と批判した。
 中野教授は、菅義偉官房長官に質問を重ねて真実に迫った東京新聞望月衣塑子記者の取材に「こういうことをしてもいいのかと目から鱗(うろこ)≠感じた記者も多い」と述べ、ジャーナリストが世代を超えて「ニュー・ノーマル」克服へのチエを出すことこそが「たくましい知性だ」と強調した。

 特に中野教授は、市民参加の遅れがメディアの危機を進め、政治の危機と連動していると指摘、「市民の側からも、メディアを切り捨てて溜飲を下げるのではなく、メディアの中で歯を食いしばって頑張っている記者やディレクターを叱咤激励することが極めて重要だ」と力を込めた。

河野慎二

JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2019年5月25日号
posted by JCJ at 10:05 | 政治・国際情勢 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

【今週の風考計】6.9─「キムリア」3350万円が投じた複雑な波紋

白血病で闘病している競泳女子の池江璃花子選手が、5日、1カ月ぶりに自分の公式サイトを更新し、「先日、数日間の一時退院をしました」と明かした。
「治療は続いており、体調が優れない日もあります。(中略)一日一日を何とか乗り越えています」と綴っている。白血病やリンパ腫の治療に役立つ画期的な新薬「キムリア」の投与は、検討されているのだろうか。早い復帰を願うだけに、いらぬ心配までしてしまう。

この「キムリア」、スイスの製薬会社ノバルティスファーマが開発した特効薬といわれる。だが価格は投与1回で3349万円もする。「キムリア」を使う患者は年間200人ほどといわれ、販売額は約72億円と見込まれる。
5月22日、日本での公的医療保険の対象となった。保険適用になれば、高額の新薬も一定の自己負担で利用できる。「キムリア」の場合、年収370万〜770万円なら自己負担は40万円程度。残りは公的医療保険から支払われる。
これまたノバルティスが開発した「ソルゲンスマ」も、難病の脊髄性筋萎縮症の遺伝子治療薬として、早ければ年内にも日米で承認される見込み。価格は2億3200万円ともいわれる。

それにしても新薬の価格算定をめぐる不透明さはぬぐえず「まるでブラックボックス」との批判が噴出している。
いま日本の年間医療費は42兆円を超える。そのうち7兆7000億円が薬代。がん治療薬の「オプジーボ」など保険適用される高額な薬が年々増えていることも関係している。飲み忘れなどの残薬は、年間500億円ともいわれ、過剰な処方による投薬を減らす対策も必要だ。
合わせて東京新聞のシリーズ<税を追う>が告発する、製薬会社71社で288億円という大学病院や学会への寄付など、「製薬マネー」にも、メスを入れなければならない。

<団塊の世代>が後期高齢者となる2022年以降、ますます医療費の増加に拍車がかかる。この10年で個人が負担する健康保険料は年間38万円が50万円となり、2022年には55万円となる。医療保険制度の抜本的な改善は待ったなし。(2019/6/9)
posted by JCJ at 10:00 | 【今週の風考計】 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年06月08日

【月刊マスコミ評・新聞】 心に響く高村薫さんの朝日への投稿

 30年前とは雰囲気は大きく異なるが、改元騒ぎが続いた。とりわけテレビは改元一色となり、NHKの放送時間は4月29日から3日間で33時間という。安倍政権による改元の政治利用も目についた。

垂れ流される報道のなかで、朝日4月30日の作家・高村薫さん寄稿が心に響いた。この30年の歴史を振り返り、何よりも変わる意思と力をもった新しい日本人が求められると。

今から30年前、1989年はベルリンの壁崩壊、冷戦終結という、戦後史にとって節目の年であった。日本国内はバブル絶頂期であり、消費税3%がスタート。その後、バブルが崩壊して経済社会の混乱が続いた。日経4月30日社説も「未完の成熟国家だった」とし、人口減社会の到来など、日本が抱える試練への対応を求める。

ことし2019年も、揺れ動く時代の転換点になるのではないか。日本国憲法施行から72年の時を刻む。憲法記念日の読売社説は「もとより、憲法改正論議の中心は、9条である。一部に根強く残る自衛隊違憲論を払拭し、国の安全と国民の命を守る正当性を明確にする狙いは理解できる」。安倍政権の狙いを理解できると言うのだろうか。 

毎日社説は「今、憲法をめぐって手当てが必要なのは、9条の問題よりもむしろ、国会の著しい機能低下だろう。その最たるものは首相権力に対する統制力の乏しさだ」。

読売5月10日「憲法考」での馬場伸幸・日本維新の会幹事長の発言にも注目したい。改憲勢力が「3分の2を維持することは、我が党にとっても参院選のアピールポイントになる」。安倍政権の「別働隊」として、改憲勢力の一翼であると明言。安倍改憲に向けて、維新の援軍ぶりが際立つ。

地域政党の大阪維新の会は、脱法行為といえる大阪府・市「入れ替えダブル首長選」で圧勝し、府議・市議選も大きく議席を伸ばした。ノンフィクションライター松本創さんが本紙4月号に寄稿したように、広がり定着する「穏健」支持層など、大阪での維新政治は、その基盤を広げている。選挙後には、公明・自民が変質して、大阪「都」構想=大阪市潰しの住民投票が現実味を帯びてきた。

維新の動向は大阪だけでなく、安倍改憲など国政にも重大な影響をもたらす。注視したい。

山田明

JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2019年5月25日号
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2019年06月07日

【植村裁判】 東京訴訟 6月29日に判決 札幌控訴審は全面対決=編集部

 歴史修正主義勢力の「捏造」攻撃に対する元朝日新聞記者植村隆さんの名誉回復の闘いは4月25日、札幌訴訟(被告櫻井よしこ、新潮社など)控訴審が高裁で開廷。東京訴訟(被告西岡力、文芸春秋社)は5月10日、結審後の再開、中断など原克也裁判長の訴訟指揮で続いた異例の事態を経て口頭弁論が再開され再結審。6月26日午前11時半と一審判決日が決まった。

強引に再結審

東京訴訟は午後3時開廷。冒頭、植村弁護団は原裁判長が結審後の今年2月、被告側に新証拠を追加提出させた行為について、裁判所の釈明権行使義務の存在を指摘。新証拠「朝日新聞社第三者委員会報告書全文」の「裁判所が重要と考えた部分を明らかにし、植村側に反論、立証の機会を保証するのが適正だ」と求めた。だが、裁判長は応じず「弁論を終結する」と、一方的に再結審を宣言した。

またこの日の傍聴券交付も、裁判長(裁判体)が「席が余っても時間で切り券を配るな」と、指示していたことも職員の証言で明らかになった。

予断許さない

 新証拠「朝日新聞社第三者委員会報告書全文」は、朝日新聞ホームページ上の「慰安婦報道検証第三者委員会」に公開されており現在も確認できるので詳しくは触れない。だが、札幌訴訟一審判決は、植村さんへの櫻井よしこ被告の名誉毀損の事実、櫻井被告の主張の杜撰さ(彼女のほうが「捏造」者にふさわしい)を認定しながらなお、「朝日新聞の慰安婦報道に問題がある」を逃げ道に「真実」相当性を認め、櫻井被告の植村バッシングを免罪した。そして櫻井被告は「勝った私が正しい」とばかりに居直り続けている。東京訴訟の西岡力被告はそのネタ元の「捏造」者で、植村バッシングの「膿の親」だ。原裁判長らが「新証拠」歴史修正主義へのどんな「忖度」論理を組み立てるのか。6月26日の判決は予断を許さない。

 一方、札幌高裁での控訴審(本多知成裁判長)は4月25日に開廷し、植村さんの名誉回復への第二ラウンドがスタートした。開廷に先立ち植村裁判を支える市民の会が呼びかけた「公正な判決を求める署名」1万3090筆も高裁事務局に提出された。

 午後2時半に始まった第一回口頭弁論で植村さんは、櫻井被告が「捏造」とした植村記事の同時期、櫻井被告本人が「(金学順さんが)強制的に旧日本軍に徴用された」と書いていた事実と、2014年の「社会の怒りを掻き立て、暴力的言辞を惹起しているものがあるとすればそれは朝日や植村氏の姿勢ではないでしょうか」との言説を指摘。一審判決の不当を強く主張した。また弁護団も、「一審判決は櫻井被告が植村さんや当事者への取材なしに、資料引用や事実理解の誤りを繰り返したことを看過した。『真実相当性』の判断も、最高裁判例や法理論からかけ離れている」と明解に指摘した。

第二回控訴審は7月2日午後2時半に開かれる。

編集部
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2019年06月06日

【沖縄リポート】 「軍事植民地」現実かわらず=浦島悦子

 一人の人間が年老いて息子に仕事を譲っただけで、なぜ「時代が変わる」のか…? 強烈な違和感の中で、「改元フィーバー」の10連休が過ぎた。「天皇制」によってさんざん痛めつけられてきたはずの沖縄のメディアでさえ「平成天皇賛美」の片棒を担ぎ、わずかに「沖縄タイムス」が文化欄で目取真俊氏らの批判的な論稿を載せたくらいだった。

 もちろん、沖縄の現実は何一つ変わってもいない(日本だって同じだろうけれど)。「令和」とは「ヤマト(大和)の命令に従え、ってことだろ?」という声が聞こえるように、沖縄に対する安倍晋三政権(日本政府)の圧政はますます強まる予感さえする。それをうまく慰撫するのが天皇(制)なのだろう。

10連休2日目の4月28日は、米軍属に惨殺された当時20歳の女性の3周忌であり、67年前に沖縄が米国に売り渡された「屈辱の日」でもあった。私は友人とともに恩納村に向かい、女性の遺体遺棄現場に地域住民が設けた献花台に手を合わせた。「二度と娘のような被害を生まないで」という両親の悲願とは裏腹に、つい2週間前(4月13日)またしても、在沖米海兵隊所属の海軍兵に北谷町の女性が殺害される事件が起こったばかりだ。米兵の勤務時間外行動を制限するリバティー制度を、米軍は「兵隊に快適な時間を過ごしてほしい」という理由で大幅緩和した直後だった。軍事植民地♂ォ縄の現実を変えられないことを、霊前に詫びるしかなかった。

4月21日に行われた(玉城デニー氏の知事選出馬に伴う)衆議院沖縄3区補欠選挙で、安倍政権の全面的バックアップを受けた辺野古新基地容認の元沖縄北方担当大臣・島尻安伊子氏を、デニー知事の後継で新基地反対の新人・屋良朝博氏が見事破って当選。沖縄の民意はさらに明白になったにもかかわらず、翌日から変わらず、海と陸での新基地建設埋め立て工事が、何事もなかったかのように続けられている。

5月15日、沖縄は47年目の「日本復帰」の日を迎えた。「アメリカ世」から「ヤマト世」への「世変わり」は、植民地の宗主国を替えたにすぎなかった。今日も辺野古ゲート前に「沖縄を(沖縄に)返せ!」の歌が響く。

浦島悦子

JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2019年5月25日号
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2019年06月05日

『未和 NHK記者はなぜ過労死したのか』 著者・尾崎孝史氏にインタビュー 選挙報道で月209時間残業=橋詰雅博

NHKはなぜこの事件≠4年間も伏せていたのだろうか―5月8日に岩波書店から出版された「未和 NHK記者はなぜ過労死したのか」の著者・尾崎孝史さん(53)の取材動機だった。尾崎さんは、外部スタッフとしてNHKで27年間、番組制作に携わっている。亡くなった未和さんのご両親と出会い「娘が31年間生きてきた証を残したい」という要望を受けた。彼女の死に至るまでの経過をまとめた尾崎さんに話を聞いた。

    ☆

――佐戸未和さんの過労死を公表したNHK「ニュースウオッチ9」(2017年10月4日)の翌日、各新聞も報道しましたが、どう受けとめましたか。

 朝日新聞の朝刊を見てビックリしました。2013年7月にNHKの女性記者が亡くなり、翌年の5月渋谷労基署が労災認定したと書いてあったからです。私はNHKで長年仕事をしており、職員が亡くなるようなことがあると、あまり時間をおかずに伝わってくるのが普通でした。ご両親の「未和の死が葬り去られる」という新聞のコメントに説得力を感じました。そこで、ご両親あてに「可能なら焼香させていただきたい」と書いた手紙を、代理人の事務所に持参し、ご両親に渡してくれるようお願いしました。焼香を機に本の出版の話が進みました。

109人取材

――どんな資料もとに書いたのですか。

 NHKから遺品として届いた取材ファイルや放送を録画したDVD、未和さんがスケジュールを書き込んでいたNHK手帳、3冊の取材ノート、携帯電話・パソコンでやり取りされたメールなどです。また、遺族、友人、NHK関係者など109人にインタビューをしました。1年半に及ぶ取材で合計約300時間になりました。

――彼女が過労死した背景は?

NHKでは災害と選挙が報道の2本柱とされています。特に国政選挙の報道は、与党・自民党議員に不利にならないようバランスをとることが不文律となっています。国会でNHK予算案をスムーズに承認してもらう必要があるからかもしれません。投開票日は民放よりいち早く当確を出すのがNHKの使命です。当確を出した後、別の候補者が当選したら、ミスした記者は降格人事を受けます。あの13年は6月の都議選に続き7月に参院選がありました。都庁詰め記者の彼女は殺人的なスケジュールでした。発病前1カ月間の時間外労働時間数は209時間にも達していました。

横浜局へ異動となる未和さんは送別会が終わった後、帰宅しました。7月24日午前3時ごろです。遠方から駆けつけた婚約者が遺体を発見したのは25日夜9時すぎです。

真相知りたい

――未和さんは助かる可能性があったと示唆していますが。

 彼女のNHK手帳の7月24日欄に〈14:30〜15局長 15:00〜15:30次長〉と書き込まれています。異動の挨拶のため2人の都庁幹部との面談があったと推測できます。当日、佐戸記者が来ないので都庁職員がNHK都庁クラブに連絡を入れた可能性があります。それを受けた人が不審に思い、彼女のマンションを訪ねたら助かっていたかもしれない。ご両親も私も真相を知りたいと願っています。

――NHKが事件を伏せていたのはなぜですか。

 14年5月に未和さんが労災認定されました。NHKの担当者から「記者会見をしますか」と尋ねられた担当弁護士は「予定はない」と答えました。すると担当者は「会見をしないですね」と深く確認するかのようだったと弁護士は言っています。この情報がNHK上層部に伝わり、ご両親は公表を望んでいないという空気が定着したのかもしれません。日放労も何か事を起こすという姿勢は見られませんでした。NHKは「代理人から公表を望んでいないと聞いていた」と言っていますが、弁護士は否定しています。ご両親は記者会見を開き、事実誤認があるとしたうえで「両親が公表を望んでいないという事実はありません」と抗議しています。

――その後も外部スタッフが倒れ国会で取り上げられましたが、働き方は改善されたのでしょうか。

 深夜や休日の勤務が一部届出制になるなど改善されたところはあります。一方、外部スタッフやプロダクションは視野の外です。勤務管理と称して記者に携帯端末が配布され、上司に居場所が監視されるような不安もあるそうです。忖度のない自由な取材や放送が実現して、はじめて未和さんの死に報いることになるのではないでしょうか。

聞き手 橋詰雅博

JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2019年5月25日号
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2019年06月04日

【リレー時評】「世界一の民主主義国」と孫総領事=白垣詔男

 私が所属している「日本コリア協会・福岡」は20年近く前から月刊紙「日本とコリア」を発行している。同協会はかつて「日朝協会福岡支部」と名乗っていたが、会の趣旨が「朝鮮半島関係者との友好親善」を掲げているので「日朝協会」では北朝鮮だけとの友好親善組織と誤解される恐れがあるために、福岡や他の数支部は「日本コリア協会」と改名した。東京にある「本部」は創設以来「日朝協会」と名乗っている。

 私は、約15年前から月刊紙「日本とコリア」の取材担当として活動している。同紙は原則として毎号、1、2面は「朝鮮半島と関係がある方」のインタビュー記事を載せている。インタビューは理事長(堀田広治さん)と私が、韓国人、在日韓国・朝鮮人、日本人を含むさまざまな「関係者」にお願いしている。
 今年3月号では駐福岡韓国総領事の孫鍾植(ソンジョンシク)さんにインタビューをさせていただいた。孫総領事は、韓国が朴槿恵(パククネ)大統領から文在寅(ムンジェイン)大統領に代わった直後に福岡に赴任されてこられた。政権が変わると、福岡の総領事も交代するのだ。

 孫総領事は、大阪の総領事館領事、東京の大使館公使などを歴任された。大変気さくな方で、インタビューから約1カ月後、「日本コリア協会・福岡」の堀田理事長と私を懇親会に招いてくださり、大いに歓談した。
 その中で私が一番驚いたのは、孫総領事が「韓国は世界で一番民主主義が発達している国です」と言われたことだ。もちろん私は、「沖縄には沖縄の民主主義があり、しかし国には国の民主主義がある」などと発言する閣僚がいる今の安倍政権は日本の民主主義をおろそかにしていると考えている。韓国の民主主義のほうが数段進んでいるとは思っていたが、総領事の口から「世界一の民主主義国家」という発言が飛び出し、一瞬沈黙した後、私は納得したが返事に困った。

 私は、韓国の民主主義の原点は100年前の「三・一民族運動」だと思っていた。その運動で朝鮮半島の方々が取った言動を支えた精神が、その後の韓国の民主主義を推進したと、今年の「三・一民族独立運動」の際、講演会などで学びながら思ったことだった。韓国のさまざまな民主運動にその精神が引き継がれ、記憶に新しいのは朴槿恵大統領退陣要求運動のキャンドル集会・デモにまで引き継がれている。
 「三・一運動」の原点は東京神田のYMCA会館で創案された、朝鮮半島から日本の大学へ来ていた留学生らによる「2・8独立宣言」であることを、恥ずかしながら私は今回初めて知った。
 その後の歴史を通じて韓国国民が民主主義を進展させたことは疑いようがない。
 「世界一の民主主義国家」と言われた孫総領事の顔を、私はまぶしく見つめ続けたことだった。
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2019年06月02日

ジャーナリスト講座「過労社会を取材する」=東京新聞・中澤誠記者

JCJ夏のジャーナリスト講座
過労社会を取材する――社会部記者の視点とは
<体が痛いです。体が辛いです>と手帳に書き残し、過労自殺した26
歳の新入女性社員。居酒屋チェーン大手、ワタミフードサービスの横須賀市の店で起きた労災事件をきっかけに、横浜支局にいた中澤誠記者は、遺族に会い、通勤徒歩ルートをたどり、ワタミの店員に聞き、過労社会の問題を世に問いました。女性の死から11
年。電通やNHKでまた問題は起きた。なぜ繰り返されるのか……。
6月13日午後6時半から9時半
会場:日比谷図書文化館・4階小ホール
東京都千代田区日比谷公園1−4
最寄りは地下鉄内幸町駅か霞ヶ関駅
講師:東京新聞社会部の中澤誠記者

参加費=1000円・予約が必要です。
予約:参加希望日と氏名、大学名
またはご職業、電話番号、メールアドレスを明記し、下記にメールかファクスでお申し込みください。講義内容はメディア志望の学生向けですが、社会人の方の参加も歓迎します。
メール sukabura7@gmail.com ファクス 03・3291・6478
★中澤誠記者の略歴=1975年、香川県生まれ。99年、中日新聞に入社。横浜支局や中日新聞社会部などを経て、2015
年8月から東京新聞(中日新聞東京本社)社会部に所属。キャンペーン報道「過労社会」でワタミや電通の過労自殺などを取材したほか、獣医学部開設を巡る加計学園問題や東京五輪の経費問題を追及。現在は、社会部の調査報道班の一員として、税金の使い道を検証する「税を追う」キャンペーン報道に携わる。著書に「ルポ過労社会」(ちくま新書)、共著に「検証ワタミ過労自殺」(岩波書店)
主催:日本ジャーナリスト会議 電話03・3291・6475=月水金の午後
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【今週の風考計】6.2─<トゥク トゥク トゥク>と働くセミ

★ショーン・タン『セミ』(岸本佐知子訳・河出書房新社)に魅了された。A4変形版32ページの絵本である。表紙を開けると、見返し2頁にわたって、高さがバラバラな墓石を思わせる、蒼い鉛色の積み木が並ぶ。左下に、小さく蝙蝠のような飛形で飛ぶセミが一匹、描かれている。

★続いてページを繰ると、なんと薄みどり色のセミが背広を着て無機質なオフィスで働いている。しかもニンゲンからコケにされ、昇進もせず、17年間ケッキンなし、<トゥク トゥク トゥク>と働いてきた。
★そして定年、送別会もない、セミは高いビルの屋上に行く、そろそろお別れの時間、屋根の縁に立つ。それから一気に10ページにわたって、心を打つドラマが描かれる。
★朱赤で描かれる無数のセミの抜け殻が空を舞う。絵を見ながら、まさにセミの甦り、17年目の新たな出発への飛翔、そんな感動に包まれた。最終ページに、芭蕉の句<閑かさや 岩にしみ入る 蝉の声>を載せている。

★ショーン・タンは、1974年オーストラリア生まれのマルチ・アーチスト、絵本のみならず彫刻、映画、舞台などで活動を続けている。絵本では『アライバル』ほか、アンデルセン賞をはじめ数々の賞を受賞、作品は世界中で翻訳出版されている。

★実は、彼について知ったのは、つい最近だ。先週末、1万歩ウオーキングがてら、「ちひろ美術館・東京」に立ち寄ったところ、<ショーン・タンの世界展>が併催されていたからである。
★展示されている作品を、まず一巡。そして二巡目で、一つ一つじっくり見入る。なんとも不思議な、奇妙で懐かしい、どこでもないどこかへ連れていってくれる余韻に浸った。すぐに『セミ』とショーン・タン展覧会の公式図録を買い求めた。今も座右において、このコラムを書いている。(2019/6/2)
ショーン・タン「セミ」.jpg
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2019年06月01日

【メディア気象台】 4月から5月=編集部

トランプ報道にピュリツアー賞
米報道界で最高の栄誉とされる2019年のピュリツアー賞が15日発表され、トランプ大統領をめぐる疑惑の調査報道を行ったニューヨーク・タイムズとウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)の両紙が受賞した。タイムズ紙は「18か月間にわたる徹底調査」(選考委員会)を通じ、トランプ氏が1990年代に一族による脱税工作に関与した疑惑を明らかにし、解説報道賞に選ばれた。WSJ紙はトランプ氏と不倫関係にあったと主張する女性に、トランプ氏側が口止め料を払っていたことを暴露した報道で国内報道賞を受けた。(「しんぶん赤旗」4月17日付ほか)

旅券返納命令で国を提訴
中東イエメンの取材を予定していたジャーナリストの常岡浩介さん(49)が外務省から旅券の返納を命じられた問題で、常岡さんは24日、国を相手に命令の取り消しを求めて東京地裁に提訴した。同日、外国特派員協会で会見し、報道の自由が制限されたと訴えた。(「朝日」4月25日付ほか)

女性記者が長崎市を提訴、「取材で性暴力」「名誉も傷ついた」
長崎市の男性部長(故人)から性暴力を受けたという報道機関の女性記者が25日、市に約3500万円の損害賠償と謝罪を求めて長崎地裁に提訴した。取材過程で性暴力がふるわれたほか、市の他の幹部が虚偽の話を広めたにもかかわらず、市が対策を怠ったために記者の名誉も傷つけられたなどと主張しており、弁護側は「報道の自由が侵害された」と訴えている。(「朝日」4月26日付ほか)

菅氏「文書管理問題ない」
菅義偉官房長官が25日の記者会見で、NPO法人の情報公開請求により、2017年度から2年間に公文書として作成された11府省の各閣僚の日程表がすべて不存在となっていたことについて、文書管理上の問題はないとの認識を示した。(「毎日」4月26日付ほか)

「NHKから国民を守る党」統一選躍進、参院選擁立へ
今月の統一地方選でNHKへの批判を唯一の政策に掲げた政治団体「NHKから国民を守る党」の公認候補26人が当選した。所属する地方議員は選挙前の13人から39人に大幅に増え、26日には今夏の参院選に候補者を擁立すると発表した。「ネットの時代にNHKのみに強制的に(受信料を)支払わせることに相当の不満があって投票につながった」。会見した同団体の立花孝志代表(51)は、統一地方選についてそう述べた。7月の参院選では比例区への候補者擁立に必要だとして、選挙区も含め10人を擁立すると発表、自らも東京都葛飾区議を辞職して比例区に立候補すると表明した。(「朝日」4月27日付ほか)

サウジ記者殺害に河野外相は触れず
訪問先のサウジアラビアで同国のムハンマド皇太子と会談し、サウジの経済構造改革を支援する考えを改めて強調した。日本外務省によると、河野氏は約1時間の会談で、ムハンマド氏の関与が指摘されるサウジ人記者カショギ氏殺害事件について言及しなかった。殺害事件を巡って国際社会から批判を受けるムハンマド氏に配慮したとみられる。(「東京」4月30日付ほか)

改元報道、テレビは170時間
改元前後の7日間のテレビ番組で、天皇や改元をめぐる特集が170時間を超えたことが、番組・CM調査を手掛けるエム・データ(本社・東京都板橋区)の調べで分かった。同社はNHKと在京民放キー局の4月28日〜5月4日の地上波放送で「改元」「令和」「天皇」「皇后」のいずれかのキーワードが入ったコーナーや特集などの総量を調べた。(「朝日」5月11日付)

編集部

JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2019年5月25日号
posted by JCJ at 11:13 | メディアウォッチ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年05月31日

【若い目が見た沖縄】 米兵との「共存」に苦しむ女性 北海道支部・小村優さん報告

JCJは、30歳以下の若者を沖縄に派遣し、自由なテーマで取材してもらう「沖縄特派員」を今春、始めた。北海道支部の公募で選ばれた札幌の大学4年小村優さん(4月から赤旗記者)と北広島市の通訳、竹内章浩さんの報告を2回に分けてお届けする。
            ☆
新聞で沖縄と言えば基地問題だ。しかし、厚労省や沖縄県によると、沖縄の離婚率は2・59%と14年連続全国1位。全世帯に対する母子世帯出現率は5.46%で全国平均の2倍だ。ジェンダーの視点からは「強くなければ生きていけない」沖縄の女の問題が胸を衝く。

地元紙で驚いたのはお悔やみ欄だ。喪主だけでなく家族全員の氏名や、独立したとみられる子や孫、その配偶者、ひ孫、県外や海外の親類、友人代表まで載る。「長男嫁」「孫婿」などの続柄もつく。新聞社に「プライベートをさらし過ぎでは」と尋ねると「親しいのに名前を出さない方が失礼になる」との答えが返ってきた。故人と面識がなくても知人の親戚ならお参りする。おくやみ欄は、地域コミュニティの強さ、それを構成する「家」を重視する沖縄社会を象徴しているようだ。

その「家」で、位牌の継承には@父系の長男が引き継ぐA女性が引き継いではいけない、などの「決まり」がある(波平エリ子著「トートーメーの民俗学講座」)。家父長制の典型で、女性は、家とコミュニティを守る「土台」として、ひたすら働くことを求められる。火事、育児、仕立て屋の内職をこなしてきた那覇市内の親泊嘉子さん(84)は、家庭で男性のサポートは「期待薄」で「女の人は働いて、子供を産んで育てて。とにかく働き者でないとだめ」と話す。長男秀尚さん(56)も「基本、男は働かないからー」。

喜納育江琉球大学教授は「沖縄の女は強い、強くなければ沖縄の女ではないという前近代的な価値観が沖縄の女性を苦しめている」と見る。過重な家事労働やDX等から「家」を去る女性は少なくない。それが、離婚率などの高さに現れている。

しかし、待ち受けているのは貧困だ。非正規雇用率は全国で最も高い43,1%(2017年)で、その6割が女性。一人当たりの県民所得(15年)も216万6000円で最下位だ。観光中心の産業構造で、より高い収入を求めて水商売、風俗などで働く女性も多い。若年出産の多さはその反映でもある。

家やコミュニティから守られなくなった女性は、米軍基地と向き合うことになる。人を殺傷する訓練と実戦を続けている兵士との「共存」は沖縄の女性を否応なしに苦しめる。

「家の恥じ」をおそれ、表面化しない米兵による性暴力被害は少なくないといわれる。「日本の安全保障」と、二重の重荷を沖縄の女性たちは負わされている。

自分が無知と無関心という名の加害者であることを、思い知らされた特派員取材だった。

小村優

JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2019年5月25日号
posted by JCJ at 13:31 | Editorial&Column | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年05月30日

【「令和」狂騒報道】 放送 恐るべき礼賛横並び 制度批判の言論伝えず=戸崎賢二 

 4月30日、5月1日の退位・即位の日、おびただしい量のテレビ報道があった。
印象を端的に言えば、恐るべき同一性ということだろうか。
 新天皇即位の日のテレビ報道は、前夜のカウントダウン、各地の「令和」奉祝行事、新生児が並ぶ産院の取材、それに、新天皇の過去の事績の歴史資料映像といった内容に終始し、ここに例外なく「おことば」を読み解く解説が加わる。
 日中のワイドショーはもちろん、5月1日のNHK「ニュース7」「ニュースウオッチ9」テレビ朝日「報道ステーション」TBS「NEWS23」などを視聴したが、どの局も判で押したように似た内容だった。
 こうした一連の報道がはらむ問題は何か。二つの点を指摘したい。

憲法違反の疑い
 第一の問題は、代替わりの儀式に憲法上の疑義があるという批判があるのに、その議論の存在が全く伝えられず、放送全体が奉祝の基調に蔽われていたことだ。
 即位の儀式は、天照大神から授かったとされる三種の神器の継承を核としている。これは、天皇が神の子孫であることを主張する宗教的行事であって、このような皇室祭祀を国家的行事とすることは、憲法の政教分離の原則に明らかに反する。
 また続いて行われた「朝見の儀」は、本来は「天皇が群臣を召して勅語を賜う儀式」(広辞苑)である。一段高ところに立った天皇に議員らが臣下のごとく拝謁するという形の儀式は、天皇の地位が国民の総意に基づくという憲法の精神とは相容れない。

 ニュース制作者は、こうした論点を知っていて意図的に避けたのだろうか。そうであればまだしも救いがある。
 筆者の推測にすぎないが、放送現場には、このような憲法の知識がそもそも不在であり、憲法や天皇制の起源に関する無知・無教養が蔓延しているのではないか。このほうがことは深刻である。
 4月18日、明仁天皇が伊勢神宮を参拝したとき、NHK「ニュースウオッチ9」のアナウンスは、伊勢神宮について「皇室の祖先の天照大神がまつられています」と留保抜きで紹介した。天皇の祖先が神であると明言した形である。
 こうした報道もまた無知を露呈するものだった。

天皇制批判排除
 もう一つの問題は、テレビでは、天皇制そのものに対する批判的言論が抹殺されたかのようにほとんど伝えられなかったことだ。
 ある特定の家柄に生まれたことで特別に高い地位に就く、という制度は、どう考えても憲法の原理には反する。しかも日本人は過去、その地位への尊崇と服従を強制され、戦争の惨禍を経験している。こうしたことから、天皇制に疑念を抱く国民が少数とはいえ、確実に存在するはずである。
 しかし、退位・即位関連番組は制度批判の言論をほとんど伝えていない。

 新天皇即位の「おことば」のなかに、注目すべき文言がある。
「…歴代の天皇のなされようを心にとどめ、自己の研鑽に励む」と新天皇は述べた。「歴代天皇」の中には当然昭和天皇が含まれるだろう。ここには昭和天皇の名によって遂行された戦争の時代から現行憲法の時代への転換の認識が見られない。各局ニュースは「おことば」を必ず解説したが、この点を指摘した解説は見当たらなかった。
 5月3日の「NEWS23」は、当日の毎日新聞の天皇制についての世論調査で、「天皇制は廃止すべき」とする意見が7パーセントあったと伝えた。象徴天皇制でよい、とする意見74パーセントに比べれば圧倒的に少数だが、100人の国民がいればそのうち7人が天皇制反対ということになる。決して少ない数ではない。
 代替わりの時期は、国民が天皇制とは何かを考える絶好の機会であるはずだった。少数意見の存在もまた報じられてしかるべきではなかったか。

同調圧力の増大
 憲法は「天皇の地位は国民の総意に基づく」と定めている。しかし、総意など関係なく、天皇を敬愛するのが当然と言わんばかりの報道があふれ天皇制は尊重すべきという空気がテレビ報道全体を覆っていた。
 こうした報道による同調圧力の増大は、日本をどこへ導くだろうか。
 たとえば将来、安保法の下で、自衛隊員が海外で大規模な戦争に参加し、戦死者が出るなどという「国家の非常事態」が生まれた場合、テレビメディアが、愛国心をあおる横並び一斉報道を展開し、国民の判断を誤らせるかもしれない。
 今回の代替わり報道はそうした懸念を身に迫るものとして感じさせた。
 テレビ報道に従事する人びとには、代替わり報道が本当にこれでよかったのか、という自省と批判精神の回復を求めたい。

戸崎賢二(元NHKディレクター)

JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2019年5月25日号
posted by JCJ at 10:06 | メディアウォッチ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年05月29日

6月5日ジャーナリスト講座=少年事件の闇に迫った毎日新聞、山寺香記者

<少年はなぜ? 闇の日々に迫る――見過ごせなかった祖父母刺殺事件>

2014年3月、埼玉県川口市で当時17歳の少年が祖父母を殺害して金を奪う事件が起きた。裁判では、被告の少年が小学5年から学校に通わせてもらえず母親と義父から虐待を受けて育ち、事件に追い込まれていたことが明らかになった。
途中、公的機関や周囲の大人と接点があったにも関わらず、助け出されることはなかった。この事件の背景にあった虐待や貧困について考え、こうした子どもたちを生み出さないために私たち市民に何ができるのか、また、報道に携わる者として何ができるのかを考えたい。

日時=6月5日=午後6時半から9時半
会場=日比谷図書文化館4階小ホール=定員50人
東京都千代田区日比谷公園1−4
最寄りは地下鉄内幸町駅か霞ヶ関駅
講師=毎日新聞・くらし医療部 山寺香記者
参加費:1000円=予約が必要です。
予約=参加希望日と氏名、大学名またはご職業、電話番号、メールアドレスを明記し、下記にメールかファクスでお申し込みください。講義内容はメディア志望の学生向けですが、社会人の方の参加も歓迎します。
メール sukabura7@gmail.com ファクス 03・3291・6478

□学生パスのお知らせ=夏6月の講座を4回以上受ける学生向けに3500円の学生パスを出します。会場で一括払いしていただければ5回すべてを自由に受講できます。
◎山寺香記者の略歴=毎日新聞「くらし医療部」記者。2003年、毎日新聞社入社。仙台支局、東京本社夕刊編集部、同生活報道部、さいたま支局を経て、19年5月から現職。これまでに、犯罪被害者支援や自殺対策、子どもの貧困・虐待、などを取材。著書に「誰もボクを見ていない〜なぜ17歳の少年は、祖父母を殺害したのか〜」=ポプラ社。一児の母。
主催:日本ジャーナリスト会議=略称JCJ 電話03・3291・6475=月水金の午後
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2019年05月28日

【内政】日米地位協定改定で世論盛り上がる 全国知事会・地方議会が動く 国内法適用で「主権確立を」=吉田敏浩

 米軍優位の不平等な日米地位協定の問題が注目されている。地位協定は米軍に、基地の運営などに「必要なすべての措置をとれる」強力な排他的管理権を認めている。米軍機墜落事故でも米軍が現場を封鎖し、日本側は現場検証も事情聴取もできない。米軍は事故原因の究明は二の次で訓練飛行を再開し、日本政府は容認してばかりいる。

 基地周辺の住民による米軍機騒音訴訟で、騒音公害として違法性と損害賠償は認められるが、飛行差し止めは認められない。米軍の活動に日本政府の規制は及ばないため差し止めはできないと裁判所は判断する。米軍の活動に対し日本の行政権も司法権も及ばないのが実態だ。危険な低空飛行訓練も野放しである。

 米軍という外国軍隊により主権が侵害され、そして憲法で保障された人権も侵害されている。こうした現状に対し、昨年7月、各都道府県の知事からなる全国知事会は、初めて地位協定の抜本的見直しを求める提言を、全会一致で採択し、政府にも要請した。その「米軍基地負担に関する提言」では、地位協定は「国内法の適用や自治体の基地立入権がない」など、日本にとって主権の確立が「十分とは言えない現況」だと指摘した上で、こう求めている。

「日米地位協定を抜本的に見直し、航空法や環境法令などの国内法を原則として米軍にも適用させることや、事件・事故時の自治体職員の迅速かつ円滑な立入の保障などを明記すること」

 米軍に対し必要な規制をかけて人権侵害などを防ぐためには、地位協定を抜本的に改定し、米軍への国内法の原則適用を明記する必要がある。しかし、政府は改定に後ろ向きだ。「運用の改善」と称する小手先の対応ばかりで、米軍の特権を見直そうとする姿勢はない。しかも、駐留外国軍隊には特別の取決めがない限り受入れ国の法令は適用されない、との見解を示す。

 しかし、駐留外国軍隊への国内法の原則適用は、実は国際的な常識である。沖縄県がドイツ、イタリア、ベルギー、イギリスに調査団を送り、日米地位協定と比較してまとめた「他国地位協定調査報告書(欧州編)」によると、各国では米軍に対し航空法や環境法令、騒音に関する法令など国内法を原則適用している。低空飛行訓練も高度、飛行時間、訓練区域などに規制をかけている。横田空域のような米軍が航空管制を一手に握る空域もない(8面参照)。基地の排他的管理権も認めず、受入れ国の軍や自治体などの当局者の立入り権も保障される。日本とは異なり、「自国の法律や規則を米軍にも適用させることで自国の主権を確立、米軍の活動をコントロール」しているのだ。

 報告書は沖縄県のホームページに載っており、より広く知られてほしい。それは地位協定の抜本的改定に向けた世論の広がりにもつながるだろう。前述の全国知事会の提言を受けて、地方議会にも地位協定の改定などを求める意見書が出され、今年4月半ばの時点で、北海道・岩手など7つの道県議会と札幌市・長野市など122の市町村議会で決議された(「しんぶん赤旗」4月27日)。こうした取り組みの広がりも重要だ。
 ジャーナリズムが地位協定の問題点をさらに掘り下げ、米軍の特権を認める密約なども暴露し、改定の必要性を訴えることも望まれる。

吉田敏浩(ジャーナリスト・2017年「日米合同委員会の研究」でJCJ賞)

JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2019年5月25日号
posted by JCJ at 18:53 | 政治・国際情勢 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年05月27日

【リアル北朝鮮】米韓軍事演習の反発か「飛翔体」2回発射=文聖姫

 2017年11月29日の大陸間弾道ミサイル「火星15」発射以来、ミサイル発射を控えてきた北朝鮮だが、5月に入り、立て続けに2回、金正恩朝鮮労働党委員長指導のもと、火力攻撃訓練を行った。

 一つは4日に東海海上で前線および東部戦線防御部隊が行ったもので、二つ目は9日に西部戦線防御部隊が行ったものだ。  北朝鮮は8日、北南将領級軍事会談代表団報道官が朝鮮中央通信社の記者に答える形で、4日の訓練は「正常な訓練計画にのっとって我々の領海圏内で行われた」ものだと強調した。だから、米国も日本も「約束違反ではないとの立場を表明した」とも主張した。

 一方、米国防総省は9日、北朝鮮がこの日発射した「飛翔体」を弾道ミサイルと断定した。10日には岩屋毅防衛大臣も「短距離弾道ミサイルを発射」と記者会見で述べた。トランプ大統領は、「極めて深刻に見ている」(9日)と不快感を示している。

 北朝鮮はなぜ、ここへ来て立て続けに「飛翔体」を発射したのか。2月の米朝首脳会談が物別れに終わった後、米朝協議は進展していない。そうしたなかでの動きだけに気になるところだ。

 国営・朝鮮中央通信は、4月の段階で興味深い論評を配信していた。27日発の論評で、米韓が3月に実施した「同盟19―1」訓練と8月に実施予定の「同盟19―2」訓練を、「歴史的な北南、朝米首脳会談で実現した合意に対する違反」「朝鮮半島の平和雰囲気をつぶす挑発」だと非難していた。米韓が軍事訓練を行うなら、我々が通常の訓練をして何が悪いのか、ということなのだろうか。

 西部戦線で火力攻撃訓練が行われた9日、米司法省は石炭を輸送していた北朝鮮船籍の貨物船を差し押さえたことを発表した。北朝鮮外務省報道官は14日、談話を発表し、差し押さえが「新たな朝米関係樹立を公約した6・12朝米共同声明の基本精神を否定するもの」だと非難した。

 文聖姫(ジャーナリスト・博士)

JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2019年5月25日号
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2019年05月26日

【今週の風考計】5.26─15日夜、首相官邸から出た車の駐車場所

新聞に掲載の「首相動静」欄は、しっかり目を通したほうがよい。とりわけ最終行、18時頃からの面会・会食の相手には注意がカンジンだ。
その一例が5月15日の当該欄である。安倍首相は<午後7時30分、公邸、末延吉正東海大教授らと食事。10時6分末延氏ら出る。>と記されている。

末延吉正東海大教授といえば、山口県出身、建設業の御曹司。若い時から安倍晋三と面識があった。1979年に早大卒業後、テレビ朝日に入社。政治部長の時、部下に対する暴力事件で2004年に退職。
 現在はテレビ朝日の<大下容子ワイド!スクランブル>などでコメンテーターを務め、安倍首相を擁護しまくっている、典型的なマスコミ内の政権応援団の一人だ。

だが、ここに名前の載らない人物がいたという。幻冬舎の社長・見城徹氏が同席していた、という告発である。
「本と雑誌の知を再発見する」と謳うニュースサイト<LITERA>の編集部が、2019.05.21 10:55付けでWEBに公開している。
 その追撃取材によると、15日夜10時6分、首相公邸から出てきた車「黒いアルファード」が、渋谷区千駄ヶ谷にある幻冬舎本社の駐車場に停めてあったのを確認し、かつ官邸詰め記者が控えていた車のナンバーと照合したところ、一致したというのである。
首相公邸での15日夜7時30分からの会食に、同席していたもう一人の人物は、見城氏であるのは明らかだという。
 なぜ見城氏の名前だけが「首相動静」から隠されているのか。2014年7月から、彼の名は完全に秘密扱いになっている。その理由の解明が待たれる。

この15日前後は、見城氏にとって<嵐の1週間>となっていた。順に辿ってみたい。
 12日には、映画「空母いぶき」(5月24日公開)に総理大臣役で出演の俳優・佐藤浩市のコメントは、安倍首相を揶揄したものであり、「これは酷い。見過ごせない。」と、見城社長がツイッターで攻撃した。これに百田尚樹氏や阿比留瑠比氏ら安倍応援団と一緒になって、佐藤発言を歪曲して騒ぎが拡大。
4月に幻冬舎から刊行する津原泰水『ヒッキーヒッキーシェイク』の文庫版を、突然、出版中止。その背景には、百田尚樹『日本国紀』(幻冬舎)を、コピペ疑惑や事実誤認などについて指摘した津原泰水氏への対抗処置があるとされ、批判が起きていた。15日当日、対応は<訴訟するしかなくなる>と強気のツイートを投稿。
16日、幻冬舎で刊行した津原氏2作品の実売部数までツイッターで公表し、著名な作家たちから、厳しい批判の声が嵐のように巻き起こり、猛抗議を受けていた。
 高橋源一郎氏は、「出版社の社長が、<こいつは売れない作家だ>とばかりに部数をさらしあげるなんていうのは、出版人の風上にもおけない行為である」と、痛烈な苦言を呈した。
17日、テレビ朝日の600回「番組審議会」に委員長として出席。19日、見城社長は深夜にツイッターを閉鎖。20日には、テレビ朝日と藤田晋氏のサイバーエージェントが共同出資して始めたAbemaTVの「徹の部屋」に出演し、「お詫び申し上げます」と謝罪、同番組の終了を宣言した。
 同番組は、見城社長がホストを務める2時間生放送のトーク番組。これまで安倍晋三首相や百田尚樹氏、有本香氏などのメンバーが出演してきた。
23日、幻冬舎の見城徹社長と社員一同の名前で、改めて津原泰水氏へのお詫びを、自社のホームページに掲載した。

しかし、幻冬舎は作家の“実売部数さらし”は謝罪したが、文庫本の刊行中止については、言及も謝罪もない。「表現や出版の自由」を擁護し出版文化を担うはずの出版社が、中止の理由に口を閉ざすのであれば、自ら「表現や出版の自由」を抑圧・封殺したと、批判されてもいたしかたない。

さて、15日の夜7時30分から10時6分までの2時間36分、見城氏は安倍首相と末延吉正氏を交えた会食で、何を話し合ったのか。<謀は密なるを以って良し>を決めこみ、<藪の中>にしていいのだろうか。(2019/5/26)
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2019年05月25日

【編集長EYE】 欧州では外国軍占有空域はゼロ=橋詰雅博

 日本弁護士連合会(日弁連)が主催した「日米地位協定を検証する〜ドイツ・イタリアと比較して〜」と題するシンポジウムが5月11日に弁護士会館2階講堂で開かれた。当日は定員280人の講堂に約400人が参加。日弁連は「こんなに大勢くるとは予想していなかた」とうれしい悲鳴を上げていた。

 パネリストとして琉球新報の島袋良太記者や日弁連基地問題担当の福田護弁護士、沖縄弁護士会の松崎暁史弁護士らと共に沖縄県の池田竹州知事公室長も出席した。沖縄県は駐留米軍活動を対象としたドイツ、イタリア、ベルギー、イギリス4カ国の地位協定などを調査した報告書を4月に発表した。各国の取材をした池田さんは報告書作成の中心メンバーだ。

 欧州各国への調査動機について池田さんはこう語った。

 「2016年末の名護市でのオスプレイ墜落事故に続き翌年10月には東村高江でヘリ不時着炎上事故が起きた。しかし、日米地位協定により米軍が現場を封鎖し、県の事故調査は阻まれた。当時の翁長雄志知時が『日本の米軍専用施設は沖縄に70%集中しているが、残る30%は本土にある。米軍機事故は日本全体の問題。外国はどう対応しているか調査したい』と言ったのがきっかけでした。2年前から調査を開始した」

 日本では米軍が管制業務を行う空域があり、特に横田基地管制官が担当する横田空域は有名。新潟県から静岡県まで1都9県に及ぶ広大なエリアだ。欧州の事情はどうなっているのか。

 「航空関係機関のヒアリング調査では、横田空域のような外国軍が占有する空域の存在は確認できませんでした」(池田さん)

 池田さんによると、横田空域や沖縄周辺の20カ所に広がる米軍訓練空域の話を航空関係者にしたら「日本は本当に主権を回復しているのか」と驚いていたという。

 しかも4カ国とも、駐留米軍の活動に対して国内法を適用している。国内法が適用されない日本とは雲泥の差だ。

橋詰雅博

JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2019年5月25日号
posted by JCJ at 12:33 | Editorial&Column | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年05月22日

【おすすめ本】臺 宏士『アベノメディアに抗う』─「恫喝」と「懐柔」で操るマスコミ支配に抗する人々の奮闘を克明に追う=丸山重威(ジャーナリズム研究者)

 メディアを使って独裁支配を進めようとしている安倍政権に、メディアはどう対峙しているか、それとも迎合したままなのか。
マスメディアに限らず、情報が溢れている時代において、その流れを「岸辺」でなく、流れの中に入ってでも、観察し記録し分析することは、メディア研究者が避けて通れない道である。また、その困難さを、いかに克服するか、それは共通の課題でもある。
 本書は、毎日新聞社でメディアを取材していた著者がフリーになり、安倍首相のメディア戦略を「アベノメディア」と名付けて、2年前に上梓した前著『検証アベノメディア』に続く労作だ。
前著は、2016年ごろまでのデータから問題を検証し、本書は、その後の動きを中心に「闘い」に焦点を当てている。
官邸記者会見の東京新聞・望月衣塑子さん、慰安婦問題の元朝日新聞の植村隆さん、「女たちの戦争と平和資料館」の池田恵里子さん、「メディアで働く女性ネットワーク」の松元千枝さんなどを紹介している。
 官邸記者会見問題では新聞労連の抗議声明を機に、運動はもう一回り広がった。植村問題も控訴審が始まった。問題はいまも続いている。
 インターネットの発達で、新聞、放送、出版など既成メディアが危機にあるいま、メディアが権力の情報に流されず、ジャーナリズム性を発揮して事実や真実を追究するのは、日本の民主主義にとって不可欠な仕事だ。
これからも著者の「アベノメディア・ウオッチ」を期待してやまない。
(緑風出版2000円)
「アベノメディアに抗う」.jpg
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2019年05月19日

【今週の風考計】5.19─市民感覚からズレる裁判官の「常識」

女性に対する“性暴力”への無罪判決が相次いでいる。父親からの性的虐待や泥酔させての準強姦事件などに、どう裁判官は向き合ったのか。市民感覚からのズレの大きさには呆れる。

21日は裁判員裁判が始まって10年になる。9万人という多くの市民が、重大な刑事事件を扱う裁判員裁判に参加してきた。20歳以上の有権者から抽選で選ばれた裁判員6人が裁判官3人と合議で審理にあたる。
もし強姦致傷罪に当たる事件を、裁判員裁判で担当したら、「防御・抵抗することは可能であった」などの理由で、無罪判決が出せただろうか。職業裁判官ならではの矜持、詭弁を弄した法解釈と訴訟テクニック、さらには上昇志向からくる行政への配慮・忖度などが、審理では働きがちである。

そんなことは気にせず、新鮮な気持ちで裁判に向き合える市民の参加は意義が大きい。これまでの書面中心の審理から法廷での証言が重視され、社会常識とかけ離れた判決を出させないうえで、裁判員制度は刑事裁判に大改革をもたらした。
こうした経過を踏まえるとき、元朝鮮人慰安婦をめぐる「植村裁判」についても、触れざるを得ない。いま捏造記者とバッシングされた元朝日新聞記者・植村隆さんの名誉棄損回復裁判は、札幌地裁での不当判決に抗し、札幌高裁で控訴審が行われている。

先月末の第1回口頭弁論で、植村裁判弁護団は、
<櫻井よしこ氏は、1992年ごろ元慰安婦の強制連行体験や境遇に、心を寄せた記事を書きながら、突然22年後になって、明確な根拠を示さずに「人身売買説」を主張し、植村バッシングを始めた。しかも櫻井氏は植村氏への裏付け取材を怠り、また資料の引用や理解で誤りを繰り返している。なのに「捏造」と思いこむ「真実相当性」があるから、名誉棄損に当たらないとする免責判断は、あまりにも公正さを欠き、歴史に残る不当判決だ>
と訴えている。

少なくとも櫻井氏がジャーナリストを標榜する以上、テーマが重大であればあるほど、論評や記事の裏付け取材は、常識も常識。裁判官がこの社会常識すら無視して判決を下すなら、非常識も極まる。(2019/5/19)
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2019年05月18日

伊藤詩織さんにスラップ訴訟 山口氏側 1億3千万賠償を求める=編集部

レイプ疑惑事件で民事係争中の伊藤詩織さんと山口敬之・元ТBSワシントン支局長の訴訟で、被告山口氏側が1億3千万円の損害賠償と謝罪広告掲載などを求め、伊藤さんを反訴したことが明らかとなった。事件後、伊藤さんは様々なバッシングにさらされてきた。その中身はイギリスのBBCドキュメンタリー「日本の隠された恥」に余すところなく描かれた。反訴は明らかなスラップ訴訟。「恥を知れ」としか言いようがない。

 事件発生は2015年春。伊藤さんは数日後に準強姦容疑で告訴。翌16年6月に逮捕状も出たが山口氏逮捕は中村格警視庁刑事部長(当時)の執行停止命令で見送られた。同年7月、東京地検が嫌疑不十分で不起訴処分。伊藤さんの検察審査会への不服申し立ても17年秋、不起訴相当とされた。

刑事裁判での真相解明の道を閉ざされた伊藤さんは「望まない性行為」への民事訴訟を提起。同年暮れから民事に舞台が移ったが、第1回口頭弁論以降は弁論準備で非公開が続く中、今年2月に山口氏側の反訴が提起された。この反訴を受け、4月、市民らが立ち上がり、伊藤さんを「支援する会」も発足。事件の全容解明に迫る取り組みが再び燃え上がろうとしている。

編集部

JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2019年4月25日号
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2019年05月16日

【植村東京訴訟】 異例 5月10日再び口頭弁論 札幌では控訴審始まる=編集部

 慰安婦記事を「捏造」したとされた元朝日新聞記者植村隆さんの名誉回復を求める東京訴訟の行方が大きく揺れ動いている。昨年11月28日の最終弁論で結審し、3月20日判決の予定が原克也裁判長らの公正を妨げる異例の訴訟指揮で大幅に変更されたためだ。地裁は判決の1カ月半前に突然「弁論を再開する」と言い出し、被告の西岡力氏、文芸春秋社側に新証拠「吉田清治証言」関連証拠(朝日新聞社第三者委員会報告書全文)の提出を指示し、3月20日の期日を延期。新たに5月10日に弁論が再開されることとなった。

「捏造」はどっちだ
 地裁が新証拠とする「吉田清治証言」とそれを報じた朝日新聞記事と植村さんは何の関係もない。全く関わってもいないのだ。だからこそ、この4年間にわたる法廷で「吉田証言」は争点にすらなってこなかった。改めて確認すれば植村東京訴訟は、植村さんが1991年に執筆した記事を巡ってのものだ。それは@元従軍慰安婦の経歴をもつ韓国人女性が初めて名乗りを上げ、自分の体験を証言し始めたことAその証言テープを入手し、内容を報じたものだった。被告西岡氏は、その記事を「意図的な捏造」等と誹謗中傷する言説を文芸春秋社出版物で繰り返してきた。そして、審理の中で争われたのも「(のちに自ら名前も明らかにした金学順さんが)『挺身隊の名で連行された』と証言したかどうか」であり、その過程で明らかにされたのは、植村さんを「捏造記者」と決めつけ、誹謗中傷した被告西岡氏自身が、自ら論拠とした金さんの訴状や証言、それを報じた韓国紙記事を引用する際、実際にはない記述を書き加えたり、その重要部分を無視するなどの「捏造」と言っても過言ではない行為を繰り返していたという事実だった(それらは本紙過去記事で具体的に参照できる)。

なぜ今「吉田証言」
 ではなぜ今、「吉田清治証言」なのか。我々は、植村さんの名誉が毀損された事実を認め、西岡被告の「論」に丸乗りして櫻井よしこ被告が展開した「人身売買」説を「真実と認めることは困難」と判示しながらなお、争点の「捏造」を問わず、「慰安婦問題に関する朝日新聞の報道姿勢や…記事を執筆した原告批判」には「公益性が認められる」とした昨年11月の札幌地裁不当判決を想起せざるを得ない。歴史や事実に基づかず、今の流行におもねったあの「ネトウヨ」判決の論理が浮かびあがる。

沈黙は報道の自死
 植村さんの記事は記者として当たり前の取材をし書かれたものだ。にもかかわらず、のちのご都合主義的判断基準で一方的に誹謗中傷され断罪されるとしたら報道は成立しない。ジャーナリズムは死滅する。沈黙している現役記者のみんなに言おう。札幌地裁判決を「是」としたら、植村さんとその家族が受けた被害は明日、我が身に降りかかってくるのだということを。

 今回の東京地裁原克也裁判長の訴訟指揮について植村弁護団は「当事者の攻撃防御権を著しく侵害するもので、訴訟法の根本理念に反し、裁判の公正を著しく妨げるものだ。そうした手続きが裁判所主導で進行している点もまた異常だ」と言う。2月の再開以来、弁護団による忌避申し立てで中断していた植村東京訴訟の口頭弁論は5月10日午後3時から、地裁706号法廷で開かれるが、再結審、判決日指定も予想され予断を許さない。一方、札幌では4月25日午後2時半、札幌高裁で植村裁判控訴審がいよいよスタートした。植村訴訟への引き続きの支援と裁判への傍聴を呼びかける。

編集部

JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2019年4月25日号
posted by JCJ at 09:20 | 政治・国際情勢 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年05月14日

【メディア気象台】 3月〜4月=編集部

◇「森友」黒塗り開示違法、国に賠償命令〜大阪地裁
学校法人「森友学園」の国有地売却問題で、小学校設置趣意書の情報公開請求に対し、財務省近畿財務局が当初ほぼ黒塗りで開示したのは違法だとして、上脇博之神戸学院大教授が国に損害賠償を求めた訴訟の判決で、大阪地裁は14日「黒塗りには合理的な根拠がなく、誤った判断だ」と違法性を認め、非開示の精神的苦痛による慰謝料など5万5千円の支払いを命じた。(「神奈川」3月15日付ほか)

◇危険にさらされている記者、公表
AP通信やロイター通信、米誌タイムなど世界の大手報道機関11社が、15日、危険にさらされている世界各地の記者リストを公表し、今後1カ月に1度ずつ更新を続けると発表した。記者数は10人程度とし、「真実の追求」をしたことで攻撃されている記者らを守るのが目的としている。第一回のリストに入ったのは、フィリピンのドゥテルテ政権に批判的な報道を続けて逮捕されたレッサ氏や、ミャンマーのイスラム教徒少数民族ロヒンギャ迫害問題の取材を巡り国家機密法違反の罪に問われたロイターの記者2人など。(「東京」3月17日付ほか)

◇「偽ニュース禁止」成立〜露政権批判、規制の恐れ
ロシアのプーチン大統領は18日、議会上下両院が可決したインターネット上の偽ニュースを禁止する法案に署名、法律は成立した。大統領の諮問機関「市民社会発展・人権評議会」が「権力による恣意的な利用」の恐れを指摘、プーチン氏に署名しないよう求めていた。政権批判があふれているネット空間の言論が、今後「偽ニュース」を理由に規制される恐れが指摘されている。マスメディアは対象外。検察が情報の真偽を調べ、偽ニュースと判断すればネット規制を当局に通報、当該のホームページや会員制交流サイト(SNS)への接続ができなくなる。(「毎日」3月20日付ほか)

◇民放連、改憲国民投票CMに指針
日本民間放送連盟は20日、憲法改正の賛否を問う国民投票の際に政党などが流すテレビ・ラジオCMについて、内容などに問題がないか放送前にチェックする「考査」の具体的な留意点がまとめたガイドラインを公表した。特定の広告主のCMが一部の時間帯に集中して流れることがないよう留意することなどが盛り込まれた。(「朝日」3月21日付ほか)

◇フェイスブック、ターゲット広告の差別禁止へ
米交流サイト大手フェイスブック(FB)は19日、広告の配信先を絞り込むターゲット広告で、差別的な慣行を見直すと発表した。住宅や求人、貸し付けの広告を出稿する広告主が、年齢や性別、郵便番号のデータを使って、広告を配信する消費者を絞り込むのを禁じる。(「東京」3月21日付ほか)

◇川端康成文学賞、休止
優れた短編小説に贈られる川端康成文学賞について、主催の川端康成記念会は25日、今年の選考を休止すると発表した。川端が死去した1972年にノーベル文学賞の賞金を中心とした基金を作り、創設された文学賞。新潮社の協力を得て、これまで44回の選考を行ってきた。運営基金が危うい状態にあることなどが、休止の理由という。(「朝日」3月26日付ほか)

◇韓国人教授、送り付け被害〜「言論抑圧」警視庁が捜査
テレビ番組で日韓関係を中心にコメントしている韓国人大学教授の男性宛てに、本人が注文していない健康食品などが通信販売の代引きで大量に送り付けられていることが5日、分かった。警視庁が偽計業務妨害の疑いで捜査しており、教授は「言論を抑圧しようとするテロで、許せない」と話している。(「神奈川」4月6日付ほか)

編集部

JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2019年4月25日号
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2019年05月12日

【今週の風考計】5.12─追加関税25%が世界経済にもたらす弊害

米中での関税制裁をめぐる激しい攻防は、チキンレースの様相を呈してきた。米国は昨年7月以降、中国製品2500億ドル(約27兆円)に対する追加関税を、3回にわたって発動している。10日には、昨年9月、2000億ドル(約22兆円)の中国製品に課した10%の追加関税率を、さらに税率25%へ引き上げる「制裁第3弾」を発動した。

その制裁に加え、トランプ大統領は、立て続けに過酷な中国への関税制裁を拡大し、まだ制裁対象になっていない3000億ドル(約33兆円)規模の製品にも、追加関税を課す準備を始めた。この「制裁第4弾」まで発動されれば、中国からの輸入品には全て追加関税が課されることになる。
米国の市民に身近なハイテク製品、スマホやノートパソコン、デジカメ、玩具などにも25%の関税が上乗せされる。値上がりは必至、生活を直撃する。これらのハイテク製品は、いずれも世界中から部品を調達し、中国で組み立てている。米国アップルが25%の追加関税を小売価格に転嫁した場合、主力モデルのアイホンは160ドル(約1万7600円)の値上げになると試算している。

日本や韓国、台湾などアジアに広がるサプライチェーンへの影響も避けられない。ユニクロも中国の工場から米国市場に衣類などを輸出している。主力の衣類が25%関税の対象となれば、大きな影響を受けるのは避けられない。中国での自動車やスマホ需要、ハイテク製品の輸出が縮小すれば、日本の電子部品や工作機械の受注も、「リーマン・ショック級」の打撃をこうむりかねない。

米中の貿易戦争が激しくなればなるほど、両国が排他的な「ブロック経済圏」を築き、世界経済が混乱する事態に追い込まれる。とりわけトランプ大統領が、国際的な枠組みからの「離脱」、そして「制裁」に走り、この2年ほどの間に<TPP、パリ協定、イランとの核合意、ユネスコ>の全てから離脱した。最悪のWTO離脱までささやかれる始末。自らの覇権のために世界を巻き込むことは許されない。(2019/5/12)
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2019年05月09日

《ワールドウォッチ》イラン 米を「テロ支援国家」と認定=伊藤力司

 トランプ米政権は4月8日、イランの軍事組織「革命防衛隊」をテロ組織に指定した。これを受けてイラン最高安全保障委員会は即日米国を「テロ支援国家」と認定し、中東地域を統括する米中央軍や関連組織を「テロ組織」に指定したと発表した。シリアの戦乱が収まったのに、米・イランの敵対関係激化で中東は新たな危機を迎えようとしている。
 革命防衛隊は1979年のイラン革命を主導した故ホメイニ師らイスラム聖職者による政権を守護するために創設された軍隊で、イラン正規軍とは別に陸海空軍12万5千人の兵力を持つ。シリアのアサド政権やアフガニスタンの反政府勢力タリバン、イエメンのイスラム教シーア派武装組織フーシ派を積極的に支援してきた。
 トランプ政権は昨年5月、米欧など6か国がイランと結んだ核合意から一方的に離脱し、外国にイランとの石油取引を禁止するなどの厳しい対イラン制裁に踏み切った。しかしシリア内戦でイランとロシアが支援したアサド政権が勝ち残り、欧米が支援した反政府側が敗れた結果、イランは中東における勢力圏を大幅に拡大した。その結果、アメリカの友邦イスラエルはこれまで以上にイランの脅威を意識するようになった。トランプ大統領としては、盟友ネタニヤフ・イスラエル首相の危機を放置するわけにはいかない。イランの脅威を世界に呼びかけたわけだ。
 一方、イラン側では革命防衛隊幹部が「米軍に対して(過激派)『イスラム国』(IS)と同列に対処する」と警告。イランは射程2千キロの弾道ミサイルを持っているとして「米軍はイランから2千キロ離れる必要がある」と指摘、軍事力行使を辞さない構えを示した。
 またイラン最高安全保障委員会の声明は、米国の決定に対し「根拠がなく、地域の平和への脅威だ。明白な国際法違反だ」と非難。「テロ掃討を担う革命防衛隊は国民の尊敬を得ている」と強調、また「今回の決定がもたらす『危険な事態』の責任は米国にある」と訴えた。双方の言い分はともかく、緊張の絶えない中東はなまたしても危険の度を強めている。


 JCJ月間機関紙「ジャーナリスト」2019年4月25日号
posted by JCJ at 11:26 | 政治・国際情勢 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年05月08日

【沖縄リポート】 ジュゴンの死 環境省危機感のなさに唖然=浦島悦子

 3月18日、沖縄島北部西海岸の今帰仁村運天港にジュゴンの死体が漂着した。

 世界の分布の北限であり絶滅に瀕した沖縄のジュゴンは現在、辺野古新基地建設に伴って沖縄防衛局が行った環境アセスメントで3頭(A・B・C)が確認されている。基地建設工事の進捗とともに2015年6月以降、大浦湾(東海岸)を主な餌場としていた個体C(雌雄不明)が行方不明となり、また、少なくとも過去20年間、大浦湾に隣接する嘉陽海域に定住していた個体A(雄)も昨年10月以降、食み跡や姿が見えなくなった。

私もメンバーの一人である地元のジュゴン保護市民グループ(北限のジュゴン調査チーム・ザン、ジュゴンネットワーク沖縄)は沖縄ジュゴンの最大の危機と捉え、地元の活動を終始バックアップしてきた日本自然保護協会と連名で3月5日、「沖縄のジュゴン個体群の存続の危機を訴える緊急声明」を発し、基地建設の中止と広域調査の緊急実施を求めたばかりだった。

その時点で唯一確認され、繁殖の希望もあった個体B(雌。個体Cの母親であり、西海岸の古宇利島周辺を主な生息域とする)の死というあまりにもショックな出来事を受けて、私たちは4月16日、ジュゴンの保護に向けた緊急院内集会と環境省及び防衛省交渉を行った。

この20年来、地元でジュゴンの食み跡・食性調査を続けてきたジュゴンネットワーク沖縄の細川太郎さんは、市民調査や防衛局によるアセス調査のデータを解析しながら、個体ごとの経緯や基地建設工事の影響は明らかであることを詳細に説明したが、防衛省は、A・Cの行方不明は「工事による影響とは言えない」、環境省は、基地建設工事による影響について「環境省としては把握していない」と、事前に提出した各8項目の質問に対してほぼゼロ回答。とりわけ、国の天然記念物でもあるジュゴン保護の責務を負うべき環境省のあまりの危機感のなさ、当事者意識の欠如には唖然とさせられた。

これまで3回にわたって、日米両政府に対し沖縄ジュゴンの保全勧告を行ってきたIUCN(国際自然保護連合)がこの状況を見過ごすはずはない。

3頭以外の未確認情報も少なからずある中で、環境省は琉球諸島全域の調査に早急に取り組むべきだ。    

浦島悦子

JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2019年4月25日号
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2019年05月07日

【メディアウォッチ】 弱体すぎる出版団体 アピールも情報提供も少ない 文化通信・星野編集長が講演=土居秀夫

業界の「定点観測」をテーマとした出版部会例会が、「文化通信」編集長の星野渉氏を招いて、4月6日、JCJ事務所で開催された。

 星野氏は冒頭、取次崩壊とか書店減少とかいわれるが、本は残るという点で自分は楽観している。今は情勢が大きく変化した後の次の段階だ、と前置きして、まずコミックと雑誌の動向を解説した。



拡大する電子版

 昨年、コミック市場は回復し、電子版が拡大した。回復の原因は海賊版サイト「漫画村」の閉鎖、中堅作品のヒット、講談社など大手の定価値上げなどで、値上げしても売り上げは減らなかった。

 出版業界で進むデジタル化については、ファッション誌、経済誌などでは電子版と紙媒体の2本立てとなり、「ニューズピックス」のように紙媒体を創刊したところもある。紙媒体にはブランドの維持やプロモーションの役割を持たせ、デジタルで稼ぐという傾向になっているという。

 そして、中国の都市部では、本を読むことがトレンドとなっている。若い時期にある程度長い文章を読む経験が必要で、書店がないと本好きは育たないと語った。

 この数年激しく変貌した取次業界について、トーハン、日本出版販売(日販)とも取次部門は赤字で、出版社に対する正味(仕入れ値)などの条件交渉、書店事業の収益化、両社の協業化が進んでいる。トーハンは344店、日販は271店もの直営書店を抱えた日本屈指の書店チェーンとなり、両社の中期経営計画ではそれらを統合・法人化していくようだ。書店が注文しないものを送らない「事前発注」を増やすことで、仕入れの量と点数は減るだろう。出版社は、刊行情報の早期提供、正味の低減、書店への事前発注に注力などが必要になると分析した。



書店大きく変貌



 経営が厳しさを増す書店の現状では、雑貨部門を造った米子市の今井書店や居酒屋も併設した有隣堂のミッドタウン日比谷での取り組み、日本進出を図る台湾の誠品書店が「動的」な空間を目指していることを紹介。昨年の新規出店数は84店と過去最低で、全国8000店の書店は、このままでは5000店くらいになるだろうとの見通しを示し、書店は今後、仕入れ機能の強化、キャッシュレスへの対応が求められることを指摘した。

 世界的に従来型の書店はなくなりつつあり、アメリカではアマゾンの影響で大型書店が減った一方、独立系の書店が増えた。ドイツでも書店数は減っているが、新しいタイプの書店が出てきていること、従来型の書店がほぼ消えた中国では、新業態の書店が2017年には1000店も出店したことを取り上げた。

 最後に、トーハンがモデルとするドイツの出版流通事情に関連して、ドイツ図書流通連盟には出版社、取次、書店のほとんどが加盟し、40名もいる事務局は活発なロビー活動を行っていることを紹介した。それに比べて書協9名、取協3名、日書連6名など事務局の人数をあげて、外部へのアピールも情報提供もしない日本の出版業界団体が弱体すぎることを指摘して、講演を締めくくった。

 質疑応答の中で星野氏が、書店を守るためには再販制は必要だ、と強調したのが印象的だった。


土居秀夫

JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2019年4月25日号
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