2020年01月19日

【今週の風考計】1.19─60年前の258万人スト・13万人国会デモ

★19日は「60年安保」から60年となる。若い人たちに伝えたい。60年前、「昭和の妖怪」と言われた岸信介首相、なにあろう今の安倍首相のお爺さんが、米国のアイゼンハワー大統領と会談し、日本に米軍基地を置き米兵の駐留を認める「60年日米安保条約」に調印したのだ。
★「へちまに歯が生えた顔」とも比喩される岸信介さんは、東条内閣の商工大臣として太平洋戦争を始める詔書に署名し、軍備増強に辣腕を振るい、敗戦後、A級戦犯容疑で巣鴨プリズンに3年も拘束された人物だ。その戦争責任は極めて重い。だが1953年には政界に復帰し、わずか4年で首相になった。
 その岸首相が、意気揚々と帰国して「60年安保条約」案を国会に上程し承認を求めた。だが国会審議は「核の持ち込み」や「日米地位協定」の内容など、判然としない答弁が続き、未曾有の混乱をもたらした。

★5月19日には自民党は単独で「60年安保条約」案を強行採決。火に油を注ぐ暴挙に、国会外での安保闘争は、いっそう激しくなり、国会周辺は連日デモ隊に包囲された。昨年から続く「香港200万人デモ」を、思い浮かべてほしい。これとそっくりな熱い闘いが、日本でも繰り広げられたのだ。
★6月4日には560万人を超える組合員がストに入り、2万の商店がシャッターを下ろし閉店ストを行う。15日には580万人のスト、13万人の国会請願デモが展開された。
 その際、警官隊の暴行やヤクザ・右翼団体の襲撃で多数の負傷者を出し、大学生・樺美智子さんが死亡するや、反対運動は頂点に達した。しかし19日、「60年安保」が自然成立。

★「60年安保」の期限は10年、以後は1年前の予告により一方的に破棄できると定めてある。しかし60年間、同時に締結された「日米地位協定」も含め、破棄どころか全く変更も修正もされていない。核兵器を積んだ戦艦や航空機の通過には事前協議すら適用しない旨の密約まで継続されている。
★日本に米軍基地が131か所もある。その施設内での米軍特権、税金の免除、兵士・軍属の犯罪に対する裁判権放棄など、日本の法律が適用されない事態が放置されたままなのだ。そのうえ日本が提供する米軍への「思いやり予算」は、この43年間で10兆円にのぼる。

★安倍政権は19日、外務省の飯倉公館で「60年安保」60周年記念行事を開く。待てよ!まずは米兵犯罪の裁判権を日本に取り戻すのが先ではないか。 EU諸国では実現しているにもかかわらず、米国から兵器の爆買いばかりに血道をあげる、真逆な愚は、もう止めたらいい。(2020/1/19)
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2020年01月17日

【`19読書回顧─私のいちおし】組織に抗う個人の姿が日常の風景になれ=尾崎孝史(写真家)

尾崎孝史.jpg 
 組織と個人のあり方について考えさせられた年だった。鮮明に記憶しているのは、れいわ新選組の街頭演説会で耳にした言葉だ。「世の中の構造と同じことが創価学会の中でも起こってるよ」。
 参院選の3日前、新橋駅SL広場で声をあげたのは創価学会婦人部の女性。公明党の山口代表に「ガチンコ勝負」を挑んだ学会員、野原善正氏に寄せた応援演説だった。この日の野原氏の演説は、山本太郎『#あなたを幸せにしたいんだ』(集英社)に掲載されている。
 「池田先生が作った公明党さえ守っていれば安全だと教えられているみんな。違うよ!」。応援演説の女性は、濃密な人間関係で構築された組織に身を置きながら、内部告発を続けた。
 駅のホームで雑居ビルの前で、思わず振り返る金曜日の夜のサラリーマン。少なからぬ人が、選挙や個別団体の問題にとどまらぬ何かを感じたようだ。こんな化学反応が起きたのは、「空気を読まない、流されない。這いずり回ってでも体を張ってでも抵抗を続ける」という、山本氏の野良犬魂あってのことだろう。

 米誌タイムが選んだ今年の人は、スウェーデンの16歳だった。『グレタ たったひとりのストライキ』(海と月社)の主人公、グレタ・トゥーンベリ。本はオペラ歌手の母、マレーナが家族の物語から書きはじめる。「歌に対する私の愛は無限大で、ひとつのジャンルや組織に縛られたくなかった。常に主流に反していて、いつも独りだった」
 グレタの父、スヴァンテは舞台俳優だったが、妻の妊娠を機に主夫になる。家族はマレーナの公演にあわせて、欧州の都市を点々とする。「ほかの家族とは違う、あまりにも素晴らしい」日常が、若き環境活動家を生んだのだと納得させられる。
 「誰もかれもがグレタ、グレタ、グレタ」という状況に、「どうにかしているよ」と苦笑する妹のベアタ。来年こそ、組織に抗う個人の姿が、どこにでもある日常の風景になればよいのに、と思う。
「グレタたったひとりのストライキ」.jpg
posted by JCJ at 10:29 | おすすめ本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年01月12日

【今週の風考計】1.12─「エレファント・カーブ」と我が老後!

松が取れた途端、妻が新聞を見ながら、「もう年に1回の旅行は止め! 外食も贅沢、貯金はガタ減りよ」とのたまう。12日付の朝日新聞5面<長寿時代 財布のひも固く>への反応である。この紙面には、同社の世論調査の結果がまとめられている。
 年金世代は、貯蓄の目的が「老後の生活費」88%、「病気介護の備え」71%がずば抜けて高く、「旅行・レジャー」は22%だった。
 年金生活の我が身に置き換えて、妻の叱声に耳を傾けざるを得ない。晩酌も週に2回するか3回にするか、ここが思案のしどころ。

この機会に、世界や日本の経済格差や貧富について、おさらいをすることにした。まずは世界的規模で格差が拡大している実態である。2019年の「世界のビリオネア」(10億ドル以上の資産保有者)は2153人、総額8兆7千億ドル、32年間で29倍、アフリカのGDPの4年分に匹敵する。
アマゾンのCEOジェフ・ベゾスが2年連続のトップ。保有資産額を前年から190億ドル(約2兆1300億円)増やし1310億ドル(約14兆6600億円)となった。日本ではユニクロの柳井正会長が41位、資産額222億ドル(約2兆4600億円)。
 世界の1%の富裕層が強欲に遂行する資産増加ぶりは、この20年の世界経済格差を象徴的に示す「エレファント・カーブ」そのものだといえる。

金持ちの話はいい。貧富の貧に目を向けよう。日本の貧困率は、1人当たりの年間可処分所得によって算定する。最新データによる日本の可処分所得は年間245万円、その額の半分しか所得のない世帯を貧困層と呼んでいる。世界第3位の経済大国でありながら、貧困率は15.6%となり7人に1人が貧困にあえぎ、1人親世帯での貧困率は50.6%まで上昇し、半数以上が貧困に苦しんでいる。
高齢者世帯の貧困状態も深刻だ。65歳以上の高齢者のいる世帯の貧困率は27.0%になる。しかも、単身世帯での貧困率はさらに深刻で、男性単身世帯で36.4%、女性の単身世帯では実に56.2%にもなる。65歳以上の女性の一人暮らしは、2人に1人以上が貧困の状態に置かれている。

家計調査年報(2017年)によると、無職の高齢者世帯が得る収入の平均は月額で12万2千円、年換算で147万円となっている。その一方で、勤労している高齢者世帯の平均貯蓄額は70歳以上で2385万円、60代で2382万円と、現役世代に比べて圧倒的に高く、40代の2倍以上となっている。つまり高齢者世帯になればなるほど、貧富の格差が拡大しているという現実がある。
 さてさて我が老後資金は、本当に大丈夫か。正直いって現実に目を向けるのが怖い。(2020.1.12)
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2020年01月10日

【支部リポート】 福岡 「大きな敵と闘っている」 植村隆講演会に100人超=白垣詔男

 昨年秋、福岡支部に加入した西嶋真司さん(支部幹事、RKB毎日放送OB)の仲介で、今年8月4日(日)、元朝日新聞記者、植村隆さんの講演会を主催して開いた。懇意にさせてもらっている「九州民放OB会」に呼び掛けて共催になってもらった。

 支部主催の講演会は、直近がいつだったか思い出せないぐらい久し振りなので、何人入れる会場を確保すればいいのかから始まってチラシ作成、宣伝方法など五里霧中だった。

 一番、頭を悩ませたのが、「参加者が何人になるか」だった。そもそも植村さんを知っていて話を聞いてみようという人がどれぐらいいるのか。宣伝しすぎて参加者があふれてもいけないし、かといって参加者が極端に少ないと植村さんに失礼だし…。とりあえず、日刊紙にチラシを送ったが、反応がなかった。そこで、記者を知っている、そのうちの2紙に直接「告知」してくれるように頼んで書いてもらった。諸集会などでもチラシを配った。

 結果的に、80人弱座れる会場に100人超の参加者が集まり、座れない30人超は約2時間も立ったままだった。主催者としては心苦しい限りで、冒頭に「お詫び」を申し上げた。植村さんも話の初めに、座れない方々に「お詫び」をしてくれた。植村さんのお心遣いに頭が下がった。

 さて、講演会では、初めに西嶋さんが監督として制作中の、植村さんを主人公にした映画「標的」のダイジェスト版を上映、西嶋さんが解説をした。

 その後、登壇した植村さんは、自らの経歴を交えて、裁判についての説明、解説を熱く語った。その中で、植村さんが、安倍首相と裁判の被告・櫻井よしこさんの「親密な仲」を解説して「私は、大きな敵と闘っている」と解説したのが深く印象に残った。

 なお、当日集めた資料代は、「標的」制作に向けてクラウドファンディングで資金を集めていた西嶋監督に全額、カンパした。                   

白垣詔男

JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2019年12月25日号
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2020年01月09日

市民メディア全国交流集会inあだち SNS時代ローカルの「これから」を模索 ケーブルTV、ミニコミ紙、コミュニティFMなど参加=鈴木賀津彦

 多様な市民メディア活動に携わる全国各地の人たちが集まり交流する「あだちメディフェス2019(第17回市民メディア全国交流集会)」が11月23、24両日、東京・足立区の北千住で開催された。情報の発信者に誰もがなれる時代に、市民の発信力をさらに高めて、地域のコミュニティ活動などを活発にしていこうと、開催都市を変えながら毎年開いている。

今年は北千住でインターネット動画の番組を配信する「Cwave」のメンバーらが事務局になり企画・運営した。「動画メディアの進化」「市民が街の魅力を発見する、発信する、発想する」をテーマに、各地のケーブルテレビから、ミニコミ誌やコミュニティFM、インターネットの動画配信で地域情報の発信に取り組む団体や個人、さらにローカルメディアなどを研究課題にしている大学生らが参加し、議論を深めた。

ご当地アイドルも

街歩き企画「北千住リアル謎解きゲーム」なども併催、二日間で600人弱の参加者があった。会場も、銭湯が廃業し、長年使われていないビルの地下空間を劇場のように改装してアートスペースにした「BUoY(ブイ)」をメーンに、東京芸大千住キャンパスや東京芸術センターのスタジオなどで、地域の連携を生み出す効果もあった。

初日は、市民メディアをテーマにネット放送の特番を組んだ「12時間生放送」や、各地のローカルメディアの活動発表のほか、地域の「キーパーソン取材」に行く実践企画など盛りだくさん。懇親会での交流も、ご当地アイドルが出演するなどネット時代のメディア活動の盛り上がりを示すものとなった。

翌日は二つのセッション。まず、シティプロモーションを意識した「足立で生きる≠発想する」のワークショップでは、東海大学の河井孝仁教授の指導で、足立区をもっと生きがいのある町にするために、参加者が企画力や表現・発信力をどう高めるかを考えた。

最先端事例を紹介

「SNS時代のこれからのローカルメディア」のセッションは、著書に『ローカルメディアのつくりかた』などがある影山裕樹さんが、全国で取材した先端事例を紹介。元TBSキャスターで令和メディア研究所主宰の下村健一さんの進行で、各地でメディアづくりに取り組んでいる参加者らの発言を交え「これから」の在り方を議論した。

5Gなど送信速度が高まり、動画の発信などに注目が集まるネット時代だが、一方で地道な雑誌メディアが地域で大きな役割を果たし、活字メディアの未来も語られた。「市民が自主的、主体的に、各自にふさわしいメディアを活用して表現、発信している」取り組みが強調され、情報の単なる受け手ではなく発信者になることで、メディアリテラシーも高められることが示された集会となった。

鈴木賀津彦

JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2019年12月25日号
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2020年01月08日

【月刊マスコミ評・新聞】田中真紀子氏の安倍評に納得=白垣詔男

「桜を見る会」の疑惑にフタをさせまいと野党が、異例とも言える、臨時国会の会期延長を求めたが与党側は安倍晋三首相に最後まで「一問一答」形式の審議をさせないままで強引に閉幕した。

12月10日付毎日新聞夕刊2面の「特集ワイド」に田中真紀子元外相が登場。「通算在職日数が憲政史上最長となった安倍首相をどう見ているか」との質問に田中さんは「はぐらかす、ごまかす、強弁する。たちの悪い人。勉強もしていない。権力の頂点に立つと、その人の特性が出ると言うけど、安倍さんは姑息な人だと思います」とズバリ斬っている。その「正確な安倍評」には納得できる。

さて、臨時国会の閉幕にあたって各紙社説がどう主張しているか―。

朝日(10日付)は「政権の専横を忘れまい」、毎日(10日付)「長期政権のひずみ一段と」、西日本(7日付)「疑惑の幕引きは許されない」との見出しで3紙とも「税金による公私混同」「招待者名簿を廃棄した公文書隠ぺい」を指摘している。

それに対して読売(8日付)は「政策論議の劣化を懸念する」との見出しで「首相側は地元後援会員らを多数招待していた。桜を見る会の趣旨に反しており、節度を欠いたとの批判は免れない」「野党5党は…事細かに問題点をあげつらった」と書き、安倍内閣の「公私混同」「公文書隠ぺい」には触れていない。産経(10日付)は「臨時国会閉幕、役割果たしたとは言えぬ」との見出しで「内閣府による招待者名簿破棄などがあり、首相や政府側の説明は十分ではなかった」と書いているが「税金の公私混同」は不問だった。

既に「ジャーナリズム」ではない読売、産経は、「安倍政権応援団」の色彩が強くなっている。「桜を見る会」を扱った社説は読売が11月14日付「桜を見る会中止 疑念の払拭へ政府は襟を正せ」と1回だけ。産経もこの間、11月24日の「桜を見る会 花見をやっている場合か」と題する1回だけだった。その社説では「(安倍)首相在任中の中止も決めるべきだろう」「選挙目当てに私物化したと批判されても仕方あるまい」と指摘している。しかし、後が続かなかった。

これに対して朝日、毎日、西日本は3〜4回、節目節目で、安倍政権が「疑惑解明」に積極的ではないことを指弾していた。

白垣詔男

JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2019年12月25日号
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2020年01月07日

【月刊マスコミ評・放送】 NHKの独立性 揺れつつ越年=諸川麻衣 

「桜」で霞みがちだが、NHKのあり方がさまざまな点で大きく問われた一年だった。

「NHKから国民を守る党」の国政進出で注目され、支持する世論が多い「スクランブル放送化」=事実上の公共放送解体。NHKも総務省もスクランブル化は否定するが、衛星デジタル放送で導入されたCAS(限定受信システム)も、将来のネット配信に想定されるパスワードも、実態はスクランブル放送では?

 かんぽ不正を取り上げた『クロ―ズアップ現代+』の続編の中止、経営委による会長への厳重注意という放送法違反の番組への介入、さらにNHK幹部の郵政側への情けない「謝罪」。慰安婦番組の改変問題に匹敵する外圧への屈服だが、真相究明も責任追及もなされず…。

 「官邸に近い」とされる板野元理事の復活人事と、明治憲法を礼賛し、安倍応援団を自認する長谷川三千子経営委員の異例の三期目就任。

 要員と予算を食うばかりの「国策」の4K8K放送。自宅で視聴したことのある人はたった一.五%に過ぎない!

 放送法改正で道筋がついたはずの「ネット同時配信」に、二年ぶりに就任した高市総務相が「既存業務全体の見直しと受信料額の検討」を求めて「待った」をかけた問題。NHKの悲願であるネットからの受信料徴収は遠のいた。高市発言を「桜を見る会」報道と結びつけた今井尚哉総理秘書官兼補佐官の暴言も、NHKを政権に無害なメディアにしておきたいとの狙いを示すものだった。

 さらに秋以降、局内の報道・スポーツの部署で複数の急死者が出たとの情報がある(詳細は公表されていない)。仮に過労死なら、鳴り物入りの「働き方改革」の内実が鋭く問われることになる。

前田晃伸・次期会長は「政権との距離で大事なのは公平感、信頼される番組作りが大事」と述べているが、ここに挙げた諸課題はほぼそのまま来年に持ち越されそうである。そして数年後には世帯数が減少に転じ、今は好調な受信料収入にも黄信号が点る。「経営体として存続するためには、放送法の定める自主自立を投げ捨てて政権にすり寄っても構わない」と言わんばかりの幹部の一連の振舞いは、NHKの独立を財政面で保障するための受信料制度の根拠を、自ら掘り崩すことになる。

一方で今年は、予算などを盾に取った権力の放送支配を防ぐため、放送行政を独立行政委員会に移そうとの動きも改めて活性化してきた。来年は、「オリパラ」などよりこうした問題こそ注目の的かも知れない。

諸川麻衣

JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2019年12月25日号
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2020年01月06日

【リレー時評】近現代史を学んで戦争加害の実相を知る=白垣詔男

 昨年、韓国大法院(最高裁)が「徴用工問題」について被害者らに賠償を認めてから、「日韓関係」がおかしくなる一方だ。そうした事態を受けて、「日韓問題」「徴用工裁判」「中国人強制連行・強制労働」などを主題とした講演・学習会が多くなっている。幾つかの講演を聞いて私は、知らなかった日本の近現代史の詳細を知ることができた。
 その中で、「中国人強制連行・強制労働」裁判の弁護団の一員で福岡県春日市の法律事務所所属、稲村晴夫さんの話には学ぶことが多かった。
 私が知らなかった点は@「徴用工」と「強制連行の労工」の違いA強制連行・強制労働での中国人死者数が、「極寒地で劣悪の労働」と言われたシベリア抑留者の2倍近かったB戦後すぐ、中国人を強制連行・強制労働をさせた日本企業が国に損害賠償を求め、国が応じて補償したC中国人強制連行・強制労働についての2報告書(外務省と事業所が作成)を作成側が焼き捨てたが1部が持ち出されて、その内容をNHKがスクープ報道した―などだ。いずれも「周知の事実」とも思われるが私は知らなかった。
 まず、強制連行した韓国人を「徴用工」と呼び中国人をそう呼ばないのは、植民地だった韓国は「内地」で、中国は「外国」だったからだ。また、中国人労工に満足な賃金も食事も与えなかった加害企業が「中国人からモノを壊され、モノを取られた」と国に訴え、「被害金額」として三井は774万円、三菱は286万円(今の貨幣価値では数百億円から1千億円)を手当てしてもらった。国がどちらを向いているか現代にも通じる内容だ。
 そして、「NHKのスクープ報道」。これが明らかになったのは1993年で、政府も強制連行・強制労働を認めざるを得なくなった。当時の柿澤弘治外相はそれでも「反強制的な形でやられたことは遺憾」と、「強制」は認めず、謝罪ではなく「遺憾」でお茶を濁している。
これはNHKの功績だが、「アベチャンネル」化している現在のNHKでは、このスクープは幹部によって握りつぶされるのは確実と思われる。その時代は、まだ「みなさまのNHK」は健在だったことが分かる。この経過はNHK出版が書籍にしている。
 これ以外でも、中国人強制連行・強制労働問題は、一部企業と被害者らが「和解」した際、政府は口を挟まなかったが、今回の「徴用工問題」で安倍政権は、他国の判決にまで口を出し、加害企業にも「徴用工問題」については何の対応もしないよう口出しをした形跡があり、企業側も韓国最高裁判決を「黙殺」している。これもおかしなことだ。
 日本はアジア・太平洋戦争では被害者でもあり、それ以上の加害者でもある。こうした「加害の近現代史」を、私たちはもっと学び、まず「真実」知らなければならない。私は最近、深く反省をしている。
白垣詔男
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2019年12月25日号

posted by JCJ at 15:23 | 政治・国際情勢 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年01月05日

【今週の風考計】1.5─トランプ大統領の無謀なイラン先制攻撃

あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いします。年末年始、子供や孫に囲まれ、年越しそばを啜り、「おせち」に舌鼓を打ちながら、若い世代の息吹を感じとらせてもらった。

年末はNHK紅白歌合戦、小中学生5人組ユニット・Foorinが “パプリカダンス”に合わせて歌いだすと、小学1年の孫も歌いつつノリノリでステップを踏み始める。知らなかったのが恥ずかしい。いま2020年応援歌として、<パプリカ花が咲いたら…種をまこう…ハレルーヤ…この指とまれ>と、ダンスと共に大ブームであるのが分かった。
その後に続く歌唱も初めて聴くものばかり。半ば頃になって、これも初めて耳にする「白日」の歌唱に釘づけになった。ラフな服装だが熱のこもった裏声を響かせる。テレビ画面の下に載る<時には誰かを…傷つけてしまったり…後悔ばかりの人生だ…降りしきる雪よ、全てを包み込んでくれ…>の歌詞を追う。
 何か琴線に触れる情感とシンパシーが交錯しつつ聴き入る。脇で40歳になった息子が、4人組バンド「King Gnu」の大ヒット曲だという。
後で調べてみると、「King Gnu」は東京芸大出身の4人で構成され、1年前にメジャーデビューしたばかりだ。「白日」は配信限定のシングルだが、すでに再生回数は1億回を突破している。この15日に、初CD「ceremony」 (アリオラ・ジャパン)が発売される。待ち遠しい。年始はスポーツ観戦にふけった。孫とのチャンネル争いも忙しかった。

さて、その間、IRカジノ汚職で自民党議員が逮捕され、他にも特捜部から事情聴取されている政治家5人、さらに疑われる政治家は15人ともいわれる。強行採決までして成立させた安倍政権の目玉政策が、ワイロまみれだったとは呆れはてる。
さらに新年3日、トランプ大統領の命令で、米軍はイラクの首都バグダッドを空爆し、隣国のイラン革命防衛隊「コッズ部隊」を率いるガセム・ソレイマニ司令官を殺害した。イラクの主権すら侵害する前代未聞の作戦は、中東地域に深刻で危険な事態を生み出し、戦争への導火線に火を近づける無謀な挑発となった。
イランの最高指導者ハメネイ師は「厳しい復讐」に言及し、国内では3日、各地で総勢10万人が「米国に死を!」と叫んで司令官の殺害を非難し、反米デモが広がっている。
 米国は、昨年12月末に約750人の米部隊を増派したが、それに加え、4日には3500人の部隊を追加増派し、イランの52か所の重要施設を爆撃すると脅す。これに対抗するイランは、すぐにでもホルムズ海峡の封鎖に踏み切ることも視野に入るだろう。
 またイラン近隣諸国も、一斉に「犯罪的な米国の攻撃」を非難し始めている。湾岸諸国の米軍基地やホルムズ海峡を航行する石油タンカーや貨物船への攻撃が始まる可能性すらある。

だが日本の安倍首相は、この間、フィットネスクラブ通いと映画鑑賞と4日で4回のゴルフ三昧に興じていた。あまつさえイランに対する米国の先制攻撃について一言も言及せず、自衛隊の中東派遣がもたらす深刻な事態への対応にも触れない。
 安倍首相はイランのハメネイ師やロウハニ大統領と昨年6月・12月に会談して、「イランの最高指導者とサシで話せる関係を築いた」と、米国・イランの仲を取り持つ日本の外交を誇っていたが、トランプ大統領に今回の暴挙を諫める覚悟はあるのか。1月中旬の中東訪問は、逆に手痛いしっぺ返しを食らう公算は大きい。(2020/1/5)
posted by JCJ at 10:14 | 【今週の風考計】 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年01月04日

【メディアウオッチ】 メディア労組 日韓の交流復活 共同でファクトチェックも=須貝道雄

南・呉握手 .jpg

 日本と韓国のメディア労働者間での交流活動が復活した。新聞、テレビなどの労働組合でつくる日本マスコミ文化情報労組会議(MIC)と韓国の全国言論労働組合(言論労組=呉政勲委員長)は20005年以来、途絶えていた日韓の交流をこの秋に再開した。「共通の基盤作りをしたい」とMIC議長の南彰・新聞労連委員長は抱負を語っている。

事実と向き合う
12月7日、東京で「日韓新聞記者が語るメディアと憲法」(東京法律事務所9条の会主催)と題する催しが開かれた。講師の南委員長は11月24日にソウルを訪問し、言論労組と交流した様子を報告した。そこで確認したのは、2020年に韓国側を呼び日本でシンポジウムを開くこと、さらにニュースや言説の真偽を確かめるファクトチェックを両国でできないか検討することだった。
南氏はファクトチェックについて「歴史の事実とどう向き合うかの問題だ」と前置きし、ねじ曲げられた言説で不当なバッシングを受けた元朝日新聞記者の植村隆さんのことを指摘。日韓で事実の確認に取り組むことの大切さを話した。
MICと韓国言論労組が交流を再開するきっかけになったのは9月6日に新聞労連が発表した声明「『嫌韓』あおり報道はやめよう」だった。TBS系情報番組で大学教授が「韓国女性が入ってきたら暴行しないといかん」と発言し、『週刊ポスト』が「韓国なんて要らない」という見出しの広告を出した時だ。

香港政府に抗議
この声明に対し、韓国言論労組から呼びかけがあり、接点が生まれた。これまでに日韓で二つの共同宣言・声明を出した。「事実に基づいた報道で、国境を越えて平和と人権が尊重される社会を目指そう」(9月28日)と「東アジアの言論・表現の自由を守るため、市民の自由を弾圧する香港政府に抗議する」(11月25日)だ。
南氏は12月7日の集会で、日韓仲良し大特集を組んだ雑誌『東京グラフィティ』を紹介。「政治に流されず、しなやかな感性を生きる若手編集者がいることに勇気づけられた」と語り、こうした可能性を摘むことがないようにするのもメディア労組の役割だと強調した。
南氏と対談したハンギョレ新聞東京支局長のチョ・ギウォンさんは「韓国には『嫌日』はない。でも昔の植民地支配を正当化する政治家の発言に反感はある」と語り、一部政治家が日韓関係を危うくしていると指摘した。
 須貝道雄      
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2019年12月25日号
posted by JCJ at 11:42 | 政治・国際情勢 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年01月03日

【JCJ12月集会】「日韓関係とメディア」岡本・金平氏対談 歴史認識が問題の根底に 安倍政権の主張を垂れ流し報道 日本は「謝罪」韓国は「許す」勇気を=保坂義久

 今年大きく悪化した日韓関係。その本質は何か。JCJは12月8日、専修大学神田キャンパスで12月集会「日韓問題とメディア」を開いた。

 雑誌「世界」の編集長として長年、韓国の反体制運動と関わってきた岩波書店・岡本厚社長と、TBS「報道特集」のキャスター・金平茂紀氏が講演とクロストークした。

 7月に有志で声明「韓国は敵なのか」を発表した岡本氏は、1998年に当時の小渕恵三首相と金大中大統領が発表した日韓パートナーシップ宣言に言及。植民地支配により多大の損害と苦痛への反省とお詫びを表明した小渕首相と安倍現首相とでは、歴史認識で雲泥の差があると評した。

 また安倍政権が「韓国は国際法違反」と意図的に言い続けていること、それをメディアが口移しに繰り返していると批判。これが10年前なら「徴用工問題とは何か」などの特集記事が出ただろうと、近年のメディアの劣化を指摘した。 

<strong>恐怖と警戒抱く</strong>

安倍政権は韓国の反日感情を喚起してしまったが日本の報道はそれを批判せず、文在寅政権の反日政策の批判に終始してきた。岡本氏は、在日を含む朝鮮人について恐怖と警戒をもって見てきた日本人の視線がその根底にあるという。

 1965年の日韓基本条約の問題点も言及された。基本条約には植民地支配への謝罪や補償はなく、経済援助について当時の椎名悦三郎外相は「独立のお祝い金」と発言。第二条の「大日本帝国と大韓帝国との間で締結されたすべての条約及び協定はもはや無効」という文言も、韓国側では1910年当時から無効だったという解釈で、終戦までは有効とする日本の解釈とは異なっている。

<strong>拉致問題の影響</strong>

 金平氏は日韓関係悪化の根底にあるのは日本の歴史認識だという。今年8月に島根県で行われた日韓の大学生の合宿を取材した金平氏は、韓国の学生と比べ日本の学生は現代史について圧倒的に知識がないという。

 韓国が国際条約を守らないとする日本のメディア報道について、外務省で国際人権規約bの批准を担当した浅井基文氏の主張を紹介し批判した。 

日本も批准している人権規約bでは過去に被害を与えた人たちの損なわれた人権を回復する措置をとると定められている。

 金平氏はまた、今の日韓報道を制約しているフレームは拉致問題だと指摘した。1978年頃、日本海連続アベック失踪事件を産経新聞が報道した。当時、金平氏が公安二課に取材したところ「これは事件にならないよ」と言われた。公安は前から知っていたはずだが、事件化しなかった。

拉致という国家犯罪が、政治の思惑で道具に使われた。

<strong>金大中の言葉</strong>

 後半は会場から回収した質問用紙をもとに両氏がクロストークした。

 「日本人はドラスティックな改革を好まないのでは?」という問いに岡本氏は「日本では政権交代しても生活にたいした変化が起きないので、政に対する関心が薄いのでは」と答え、金平氏も「永田町で行われていることだけが政治ではなく、生きていくことは政治的」と強調した。

 また「韓国側がいう心からの謝罪とはなにか」について、岡本氏は「一国内のことだが」と断りながら、中南米などの独裁政権下で拉致・虐殺された被害者の家族は、独裁政権が倒れた後に、国民和解≠ニいうプロセスで「加害者が真実を語れば許す」との枠組みが示されたとしても、加害者のことを簡単には許せないものだと指摘した。

 それでも岡本氏は「日本は真実を認めて謝罪する勇気を、韓国は受け入れて許す勇気を」という金大中元大統領の言葉を引用した。

参加者は150人。

<strong>保坂義久</strong>

 <strong>JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2019年12月25日号</strong>

 


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2020年01月02日

【リアル北朝鮮】米朝 再び緊張関係に突入か=文聖姫

 このコラムをみなさんが読んでいる頃には、北朝鮮で「重大な決定」が下されているかもしれない。今月4日、朝鮮中央通信は、朝鮮労働党中央委員会政治局常務委員会が党中央委員会第7期第5回総会を12月下旬に招集することを決定したと報じた。「朝鮮革命の発展と変化した対内外情勢の要求に即して重大な問題を討議、決定するため」という。「重大な決定」とは何かだが、ここで下手な推測はしないでおこう。ちなみに、北朝鮮は1993年に核不拡散条約(NPT)からの脱退を決める際にも党中央委員会を開催した。

 北朝鮮の国防科学院は12月7日と13日、西海衛星発射場で重大な実験を立て続けに行った。朴正天・朝鮮人民軍総参謀長は14日に談話を発表し、「実験の資料、経験、新たな技術はアメリカの核の脅威を牽制し、制圧するためのまた異なる戦略兵器開発にそのまま適用される」と述べた。「アメリカの核の脅威を牽制し、制圧するための」実験である点が気になる。  
 北朝鮮は10月2日には潜水艦弾道弾の実験を実施し、11月29日発朝鮮中央通信は金正恩・朝鮮労働党委員長の立ち合いのもと、国防科学院が超大型放射砲実験射撃を参観したと報じた。放射砲の戦闘適用性を最終検討するためのものだという。

 北朝鮮はアメリカとの非核化交渉の期限を今年末までとしている。その背景のひとつに、海外に派遣された北朝鮮の労働者の帰国問題があると筆者は考える。2017年12月22日、国連安全保障理事会が採択した決議には、海外に派遣された北朝鮮の労働者を24カ月以内に本国に送還させる内容が含まれている。北朝鮮にとって海外への労働者派遣は貴重な外貨獲得手段のひとつだ。諸外国がどれだけ制裁を履行するかにもよるが、北朝鮮にとっては痛手になることは間違いない。
 「重大な決定」の内容によっては、朝鮮半島情勢は再び緊張局面を迎えることになる。

文聖姫(ジャーナリスト・博士)

JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2019年12月25日号
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2020年01月01日

【メディアウオッチ】市民と野党共闘で放送の独立を実現 新法性で報道の自由徹底 欧米では第三者委員会が権限=JCJ代表委員・隅井孝雄

市民と国会議員、放送関係者が「独立行政委員会で行う新たな放送法制の構築」を目指すキックオフ集会≠ェ3日、参議院議員会館で開かれた。集会では、市民連合呼びかけ人の山口二郎法政大学教授が「自由な報道は民主主義のインフラ」と強調。参加者全員が「独立行政委員会」実現へ全力で取り組むことを確認した。集会で発言した隅井孝雄JCJ代表委員に、新たな運動の意義などについて寄稿してもらった。

<strong>50年ぶりに感動</strong>

 7月の参議院議員選挙に先立ち、市民連合が4立憲野党1会派と取り決めた統一要求の第13項目として、「国民の知る権利を確保する観点から、報道の自由を徹底するため、放送事業者の監督を総務省から切り離し、独立行政委員会で行う新たな放送法制を構築する」

と明記されているのを目にし、私は新たな感動すら覚えました。

 私自身が「放送改革試案」を発表、放送行政を政府から切り離すべきだと提案したのはほぼ50年前のことです。

<strong>田キャスター退任</strong>

当時、私は民放労連の放送対策担当の副委員長などを務めておりました。1960年代後半から70年代にかけて、放送メディアに対して政府から直接的な介入、干渉がさまざまありました。

 一つだけ、TBSの例を申し上げますと、日本最初のニュースキャスターだった田英夫さんが北爆下のハノイを取材「ハノイ、田英夫の証言」(67年10月)を制作しました。

 これに対し、福田赳夫、田中角栄ら政府自民党首脳は今道潤三社長らを呼びつけ「反米番組だ」などと直接叱責。その後、TBSへの圧力が一段と強まる中、田キャスターは68年3月、番組から消えました。

<strong>放送改革試案」</strong>

 民放労連では、日本でどうしたら放送を真に報道機関たらしめるか、真剣に議論を重ね、70年「放送改革試案」を作りました。

 その第1項目が「民主的な行政を確立するために、中央と地方に放送委員会を設け、電波・放送行政を郵政省(現総務省)から切り離す。委員は公選制とする」です。

 切り離すだけでは不十分と考えた私たちは、視聴者、国民の発言権を保障する制度を検討しました。現在のBPO(放送倫理、番組向上機構」がそれにあたります。

 さらに労働者、制作者の権利保障として、個々の放送企業内でも職場、職能組織代表の発言の場を設けるとともに、番組編成制作にかかわる首脳陣のリコール権、良心に反する業務の拒否権が必要などを盛り込みました。放送メディアの立体的運営を図ったといえる

でしょう。

<strong>EU報道憲章」</strong>

政府が放送の監督権限を握っているのは、日本の他、中国、北朝鮮、ロシア、ベトナムラオスなど、限定的です。それ以外の国はメディアの独立性を尊重し、第3者委員会が免許や管理権限を持っています。

 ここで、EU(ヨーロッパ連合)が2009年に制定した「EU報道憲章」を紹介します。その第1項目は「報道の自由は民主主義には欠かせない。報道の自由、政治的文化的多様性を守ることは政府の責務である」。第2項目は「すべてのメディアの独立性は守られる。

メディア、ジャーナリストを一切、刑罰、処罰の対象にしない。独立性を妨げる立法は制定してはならない」としています。

 NHK、民放はいずれもインターネットとの融合を図り、力を蓄えつつ新しい時代に入ろうとしています。今こそ放送を政府の監督下から切り離すべきです。

 私は、市民連合と野党共闘の力で、日本の放送が政府から独立した存在となることに、再度努力したいと思います。

<strong>JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2019年12月25日号</strong>

 

 


posted by JCJ at 09:28 | メディアウォッチ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年12月31日

核兵器使用は犯罪 非武装こそ真の平和 ローマ教皇 被爆地・広島で訴え=沢田正

 ローマ教皇(法王)フランシスコ(82)は11月23日から25日にかけて初来日し、被爆地の長崎と広島で演説。「戦争のため原子力使用は犯罪。核兵器保有自体が倫理に反する」と断罪し、カトリック教会は「核兵器禁止条約を含め核軍縮と不拡散に関する国際的な法的原則に則り行動する」との決意を表明した。
 世界で13億人の信者を擁するカトリック教会の長である教皇の被爆地訪問は38年ぶり2回目。24日午前に訪れた長崎では爆心地公園で演説し、「武器の製造、改良、維持、商いに財が費やされ、日ごと武器はいっそう破壊的になっている。これらはテロ行為」と厳しく批判。世界の政治指導者に「核兵器は国家の安全保障への脅威に関して守ってくれるものではない。人道および環境の観点から核兵器使用の壊滅的な破壊を考え、核の理論による恐れ、不信、敵意の増幅を止めなければならない」と呼びかけた。

切り開く3つの力
 次いで夜に広島入りし、平和記念公園で被爆者やさまざまな宗教の代表者ら2000人が参加する「平和のための集い」に臨み、被爆者二人の証言を聞いたあとにスピーチ。「この場所のすべての犠牲者を記憶にとどめる。また生き延びた方々の強さと誇りに深く敬意を表する」と述べ、「思い出し、ともに歩み、守ること、この三つは、平和となる道を切り開く力があり、現在と将来の世代がここでおきたことを忘れてはならない」と被爆地の記憶の普遍性を指摘。また「紛争の解決策として核戦争の脅威による威嚇をちらつかせながらどうして平和を提案できるだろうか。真の平和とは非武装の平和以外にありえない」と世界に訴えた。
 バチカン(教皇庁)は東西冷戦時代、抑止力として核兵器を容認していたが、2013年就任の教皇は核抑止を否定。バチカン市国は17年7月に国連で採択された核兵器禁止条約を同9月に批准した。条約は50カ国が批准した90日後に発効する。全核保有国が条約に後ろ向きだが、教皇が滞日中にアンティグア・バーブーダが34番目の批准国となり、発効への流れはもはやとどめ難い。
 ストックホルム国際平和研究所によると、今年1月時点で世界の核弾頭数は9カ国計約1万3865個、前年より600個減ったものの世界を何回も破滅させる量だ。米ロが全体の約9割を保有するが、トランプ米政権は中距離核戦力(INF)全廃条約から一方的に離脱し、同条約は今年8月に失効。INFと並び核軍縮の要となってきた新戦略兵器削減条約(新START)も21年の期限切れ後の先行きは不透明だ。その一方で、両国とも新たな核巡航ミサイルの開発に乗り出すなど核軍拡に転じている。
 また米国の「核の傘」に依存、追随する日本政府は禁止条約に反対し、批准しないと公言している。

被爆者をよく理解
 今年3月末時点の被爆者健康手帳保持者の平均年齢は82・65歳。被爆者や被爆地の市民が、核なき世界の実現へ向けて教皇の発信力へ期待するものは大きい。
 教皇と握手した広島県被団協の佐久間邦彦理事長(75)は「広島のメッセージを世界に呼びかけてくださいと伝えた。生きて記憶を語り、核兵器をなくしていこうと言っている、被爆者のことをよく理解されている。原子力を戦争に使うのは犯罪といわれたことはうれしい」と語る。
 生後9カ月で爆心から3`の自宅で被爆、母に背負われて避難場所に向かう途中で黒い雨も浴びた。被爆者の相談活動に携わるが、今でも「被爆者手帳を取得したい」「原爆症の認定を受けたい」という相談を受けるという。「原爆は昔のことではなく今のこと。核兵器をなくすのは、今のわれわれ自身の問題ということを市民社会に訴えるのに教皇のメッセージは大きな意味がある」と、教皇の被爆地訪問を高く評価した。

沢田正(広島支部)

JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2019年12月25日号
posted by JCJ at 10:57 | Editorial&Column | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年12月30日

【出版部会例会】アマゾン「ひとでなし」企業だ 秘密主義、労働者酷使、税金逃れ 潜入ルポ・横田増生さん講演=土居秀夫

 出版部会では、あらゆる分野の支配を狙うアマゾンの実像を知ろうと、流通現場への潜入ルポを執筆・刊行した横田増生さんを講師に招き、「『amazon帝国』の現場を撃つ―いま何が起きているか」と題した講演会を11月22日、都内で開いた。

5人死んでいる
 横田さんがアマゾンの小田原流通センターに作業員として再度の潜入を果たしたのは2017年。02年の潜入時と比べ、東京ドーム4つ分というセンターの巨大化と、かつては本が中心だった商品の多様化に驚かされたが、何よりも労働者管理の徹底が凄まじかった。
 商品を棚から抜き取るピッキング作業にもハンディスキャナーが使われるようになって、各人の作業効率が記録・公表され、労働者を追い立てる。しかしいまだに手作業が中心で、自ら計測した横田さんは、センター内を一日20qも歩いたという。
 小田原センターでは13年以降、5人が死亡している。人が倒れても、現場から119番通報ができない。アルバイト作業員から上の社員まで情報が伝わるのに時間がかかって、手遅れになるのだ。秘密主義のアマゾンは、労働者の死亡について一切語らない。横田さんは自身の潜入経験から、ユニクロは「ろくでなし」だが、アマゾンは「ひとでなし」だと言い切った。

世界3位の市場
 イギリスでは11年、議会でアマゾン問題の公聴会が開かれた。以来、サンデーミラー紙やBBCなどが毎年のように潜入取材を行っているが、日本では自ら取材するマスメディアはない。今やあらゆる商品を扱うアマゾンにとって、日本はアメリカ、ドイツに次ぐ世界3位の市場だが、政治家も含めてものを言う人が少ないのはおかしい、と横田さんは訴えた。
 アマゾンの最大の問題のひとつが租税回避(タックスヘイブン)だ。創業者のジェフ・ベゾス氏は、創業前、アメリカ先住民居住地に本社を置いて税逃れを企てるなど、その手法は一貫している。いくつもの州では売上税をめぐる裁判を起こされ、アマゾンは敗訴した。とはいえ、アマゾンジャパンが日本で払った法人税は14年の10億円のみ。書籍だけでも2000億円近い売り上げがあるので、限りなく違法に近い状態だ。

狙われる出版界
 アマゾンは送料無料のプライム会員制、学生割引などで書籍の再販売価格維持制度を無視している。それだけでなく、中小出版社に対し、好条件の直接取引を持ちかけるが、最終的には本来書店の取り分であった価格の22%を40%にするなど、アマゾンが最も利益を得ることになる。これに反旗を翻すどころか、出版社の多くはアマゾンに対して口をつぐんでいると、横田さんは指摘した。
 講演の終わりに、ドイツのアマゾンで労働組合が結成され、ライプチヒでは1500人中700人まで組織したこと、組合員の増加に伴い時給が上がったことを紹介。労働者軽視を止めさせるには労働組合が必要だと、横田さんは強調した。そして、大手メディアがアマゾンの租税回避や労働の実態をもっと取り上げるべきだし、政官の監視と指導が欠かせないと締めくくった。
 講演後の質疑では、アマゾンの消費税の支払い方への疑問やフェイクレビュー、売り上げの半分以上を占めるマーケットプレイスの問題などが取り上げられ、充実した議論になった。 

土居秀夫

JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2019年12月25日号
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2019年12月29日

【今週の風考計】12.29─見過ごせない中国の人権弾圧と覇権主義

★今年を振り返る各種<10大ニュース>、そこには天皇陛下即位・令和改元、ラクビーW杯・日本ベスト8、消費税10%、などの項目が上位に並ぶ。
 だが「徴用工」問題で日韓関係が悪化した事態こそ、トップにおいてよい重大なニュースだ。いまだに解決しないのも、日本が朝鮮を侵略し、「徴用工」として韓国人労働者を強制的に働かせてきた「加害責任」に、安倍政権が向き合わないことに根源がある。

★また隣の中国で起きている事態も、見過ごしてはならない。今年は中華人民共和国が誕生して70年(10/1)、チベット民衆が中国の支配に抵抗して蜂起した「チベット動乱」から60年(3/10)、中国の学生・市民の民主化要求を武力弾圧した「天安門事件」から30年(6/4)。
 重大な出来事が起きた銘記すべき年なのに、中国政府は、中国辺境地域のチベット族やウイグル人、そして香港の学生や市民への弾圧を、今もなお続けている。
★新疆ウイグル自治区では100万人のウイグル人住民が、中国当局の手で強制収容所に入れられていると、国連は懸念を強めている。「香港問題」への中国の介入も、6月に起きた200万人・平和デモの当初から、「組織的暴動」とレッテルを貼って抑圧のうえ、さらに丸腰の若者に向かって実弾を撃つまでに至った。これを習近平国家主席の督励のもとで実行している。まさに人権弾圧そのもの。
★日本が実効支配している尖閣諸島の周辺海域では、中国公船による領海侵入など延べ1053隻、去年の1・7倍の過去最多。威嚇による現状変更は海洋法違反だ。中国の覇権主義は露骨さを増している。そこへ習近平主席の来春「国賓訪日」が上積みされれば、どうなるか。過去にも中国で天皇陛下の政治利用がなされた歴史を踏まえれば、手放しで喜べるものではない。

★台風や火災による被害・文化財の消失も記憶しておきたい。発生した台風は29個に及ぶが、中でも台風19号は、東日本および東北地方に記録的な豪雨をもたらした。7県71河川の128箇所で堤防が決壊した。
 また10月31日、沖縄・首里城から出火、正殿など計8棟が焼損した。政府は再建に全力を挙げる方針だが、このバーターに辺野古基地埋め立ての加速を強いるのはゴメンこうむる。
★パリのノートルダム大聖堂も、4月15日夕から16日朝にかけて発生した大規模な火災で、高さ約90メートルの尖塔が焼失。幸いにも大聖堂正面の鐘楼は焼け残り、聖遺物「キリストのいばらの冠」は無事だった。現在も修復作業が続き、恒例のクリスマスミサは、216年ぶりに中止。

★その代わり、ギヨーム・ド・マショー作曲「ノートルダム・ミサ曲」に耳を傾ける。9月に発売されたCDは、ベルギーのシュメルツァーが率いる古楽集団グランドラヴォアの歌唱演奏(Glossa/PGCD-P32110)。<聖母マリア>を讃える荘厳な歌声に浸りながら除夜を迎えたい。皆さん、よいお年をお迎えください。(2019/12/29)
posted by JCJ at 10:00 | 【今週の風考計】 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

【ジャーナリスト講座】ワンテーマずっと追求 フリーランスライター・畠山さん=橋詰雅博

 「広報担当者から『あなたは誰ですか』と聞かれて、フリーランスライターと答えてもラチが明かないときは、『日本国民です』と言います。これキラー・フレーズ≠ナすよ」――フリーランスライターの畠山理仁さん(46)は大まじめにこう言った。 
 12月11日の「フリーランスの世界―その利点と難しさ」は、笑いと驚きが混じるちょっと愉快なJ講座だった。

勤め人経験ない
 講師の畠山さんは早稲田大学第一文学部在学中から雑誌などに原稿を書いてきた。勤め人の経験はなく、26年間もフリーでライター活動を続けている。 
 注力するテーマは政治家と選挙だ。とりわけ泡沫候補者≠精力的に取材。大手メディアから無視され、誰も関心を持たないからだ。勝ち目がなくても実現したい政策を訴えたくて出馬する泡沫を畠山さんは無頼系独立候補≠ニ呼ぶ。約20年間のその独自の戦いをまとめた著書「黙殺 報じられない無頼系独立候補≠スちの戦い」(集英社)は、2017年開高健ノンフィクション賞を受賞した。
 畠山さんはフリーランスの利点をこう挙げた。
・個人事業主だから上司も面倒な部下もいない
・毎日満員電車に乗らなくて済む
・嫌な仕事は断れる
・自分の興味や関心で仕事ができる
 畠山さんは「興味あるテーマを追い続けられるのが最大の利点」と言う。畠山さん場合、そのテーマは無頼系独立候補者だ。
「どの候補者もインパクトがあり、政治を真剣に考えている人が多い。よく『選挙に出れば』と言われるが、取材する方がはるかに面白い」(畠山さん)。

アルバイトも
 一方、不利な点は何か。
・会社の看板がない
・相手から信用されない
・潜在的無職
・お金のことが心配
 畠山さんは「やはり経済的に苦しい。ライターの仕事のほかに掃除や引っ越しの手伝い、エキストラなどのアルバイトもやっています。ノンフィクション賞の賞金300万円は借金の返済であっという間に消えてしまった」と話す。
 とはいえ落ち込んではいられない。
「後ろ向きの考えになったら精神的に参ってしまう。好きな仕事をやっていることを忘れないように心掛けています」(畠山さん)
 フリーランスの世界は厳しい。しかし、これと思ったテーマを長く深く取材ができる。

 橋詰雅博

JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2019年12月25日号
posted by JCJ at 07:49 | Editorial&Column | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年12月28日

【編集長EYE】政府推進の5G 人体への悪影響ひそむ=橋詰雅博

 国家安全保障会議(議長・安倍晋三首相)の事務局を担う国家安全保障局(局長・北村滋前内閣情報官)に来年4月に経済政策を立案する「経済班」が新設される。米国家経済会議(NEC)にならったこの日本版NEC≠ヘ、経済的手段を介して国の安全保障を追求する「経済安保」がその役割だという。手がける目玉政策が次世代の高速移動通信方式「5(ファイブ)G」の普及と促進だ。

 5Gは、超高速、大容量、低遅延、多接続が特長とされる。AI(人工知能)や自動走行車、ロボットなどにつなげて実用化すれば、あらゆるモノがネットでつながるIoTが実現されて日常生活が飛躍的に便利になると喧伝されている。経済班が練った計画をベースに安倍晋三政権は来春実用化サービス開始に向けて企業が5G投資を前倒しできるよう税制優遇支援策を打ち出し通信網の拡充を早急に実現しようとしている。ここには5G関連機器で先行する中国ファーウェイの市場への進出を阻む狙いがある。これはトランプ米政権の意向も反映されている。

 しかし5Gには人体への悪影響が懸念される。周波数が現在のスマホに用いられる4G(3、6GHz以下)よりも高く、最高が28GHzだ。携帯電話などの電磁波による頭痛やめまい、睡眠障害など「電磁波過敏症」が増えている。日本では人口の3〜6%が電磁波過敏症と言われる。しかも電磁波は周波数が高くなるほど波長が短いので、建物などに阻まれ、遠くまで届きにくい。このため5G基地局を約100bごとに設置が必要。東京では、都有施設、公園、電柱、地下鉄、バス停などに設けられる。

 そうなると電磁波被曝量が著しく増える。「健康への恐れがある」とベルギーのブリュッセル首都圏地域やスイスの4州などでは5G導入の一時停止を決めた。

 日本でも市民団体が基地局設置の反対運動を始めている。5Gのウラには健康を害する危険リスクが潜む。

 橋詰雅博

JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2019年12月25日号
posted by JCJ at 13:45 | Editorial&Column | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年12月27日

【沖縄リポート】 辺野古埋め立て完了100年かかる?=浦島悦子

 辺野古土砂搬出反対全国連絡協議会(土砂全協=土砂搬出予定地とされる西日本7県の市民団体などで組織)は12月2〜4日、沖縄島の中部、南部、北部の島ぐるみ会議各ブロックと共催で、「沖縄―全国の連帯で辺野古埋め立ては止められる!」連続学習会を開催した。3日間で300人以上の県民が参加し、今後計画されている大浦湾地盤改良工事の問題点や沖縄県土砂条例の改正について学んだ。

 学習会の講師はいずれも土砂全協顧問の3人。湯浅一郎氏(ピースデポ共同代表)は、「現在強行されている埋め立ては民主主義と地方自治の破壊であると同時に、生物多様性条約・国家戦略に真っ向から反し、国家による未来世代に対する犯罪行為」だと述べ、「マヨネーズ状」と言われる軟弱地盤の改良工事に使う砂杭7万7千本及び敷砂として必要な650万㎥(沖縄県の年間海砂採取量の3〜5年分)の砂採取は県内外に深刻な自然破壊をもたらすと強調した。

 北上田毅氏(沖縄平和市民連絡会/土木技師)は、「軟弱地盤問題は想像以上に深刻」「新基地の完成時期も総工費も全く見通しがつかない」と述べた。末田一秀氏(元大阪府環境行政担当)は地盤改良工事に使用される可能性の高い鉄鋼スラグの危険性と、沖縄県土砂条例(埋め立て用材に係る外来生物の侵入防止に関する条例)を、行政指導から法的強制力を持たせるよう改正する必要を説いた。

 連続学習会途中の3日は、沖縄防衛局が民間企業である琉球セメントの安和桟橋から不法に埋め立て土砂搬出を強行開始してから1年目に当たり、桟橋に隣接する護岸を挟んで海・陸連帯抗議集会が行われた。海には66艇のカヌーと抗議船4隻の80人、陸には150人が参加。土砂全協の阿部悦子共同代表、3人の顧問ほか各地からも駆けつけ、連帯を確認した。

 辺野古側埋め立て区域への土砂投入開始から1年目の12月14日には、辺野古で海上抗議行動が行われたが、1年間で投入できた土砂量は全体の約1%余。単純計算でも100年はかかる?ことになり、その間、海は日々破壊されていく。国民の血税の壮大な浪費を許さないためにも来年こそ、この愚行を止めたい。

浦島悦子

JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2019年11月25日号
posted by JCJ at 14:52 | Editorial&Column | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年12月26日

【香川支部】国家との対峙が戦争を妨げる 12・8高松集会=刎田鉱造

「12.8 日米開戦の日に考える」と題して集いを持ちました。主催はJCJ香川支部などが参加している「8・15戦争体験を語りつぐ集い実行委員会」。今年は8月15日が台風に直撃され中止のやむなきに至りました。そこで12月には同じテーマ、同じ講師で集いを持つことにしました。 
 「戦争で解決するしかないの〜社会の分断を超えて」と題して、饗場和彦・徳島大学教授の話を聞きました。「戦争の惨禍いくら語っても戦争は防げない」と話し、「理性で市民をだましにかかる政府・国家と対峙してこそ戦争をなくすことにつながる」と強い言葉で訴えました。

 会場とのやり取りで「先の戦争では日本だけが悪いわけではない」の声があり、これには「そのことだけをとらえて」全体のように話す傾向がある。注意しなくてはいけない」という意見が出されました。また戦争遺跡を調査する問題をめぐっては「韓国人徴用工を働かせた工場や彼らが作った橋など施設を記録していくことも大事だ」と今の課題が論議されました。
 この日午後からは高松駅前で日米共同訓練に伴いオスプレイが香川県の自衛隊演習場に来ていることに対する緊急抗議集会が開かれました。集い参加者も「オスプレイ来るな」とシュプレヒコールを上げました。

はねだ鉱造(香川支部)
posted by JCJ at 17:58 | Editorial&Column | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年12月23日

【メディア気象台】 11月末から12月初旬=編集部

◇樹木希林さん関連本、ベストセラー席巻
俳優の樹木希林さんが昨年9月に亡くなった後、関連本の出版本が相次ぎ、今年の出版界を席巻した。出版取次大手の日販とトーハンは28日、2019年の年間ベストセラーを発表、両社とも1位は「一切なりゆき 樹木希林のことば」(文芸春秋)だった。また日販の3位には「樹木希林 120の遺言」(宝島社)が入り、トーハンでも5位になった。(「朝日」11月29日付)

◇ヘイト名誉毀損認定、罰金刑〜京都地裁
ヘイトスピーチをしたとして名誉棄損罪に問われた「在日特権を許さない市民の会」の元京都支部長の西村斉被告(51)に対し、京都地裁は29日、罰金50万円(求刑懲役1年6月)の判決を言い渡した。懲役刑ではなく罰金刑とした理由を「公益を守る目的で主張を述べる中、名誉毀損の表現行為に及んだもので、相応に考慮すべきだ」と説明した。ヘイトスピーチをめぐり侮辱罪ではなく、より量刑の重い名誉棄損罪が適用されたのは極めて異例。(「朝日」11月30日付ほか)

◇福島氏の名誉「記事が毀損」
社民党の福島瑞穂副党首が、静岡新聞のコラムで名誉を傷つけられたとして、筆者で政治評論家の屋山太郎氏に330万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、東京地裁は29日、請求全額の支払いを命じた。問題となったのは、今年2月6日付で掲載された屋山氏のコラム。福島氏について「実の妹が北朝鮮に生存している」などと批判したが、同紙は3日後に記事を訂正し謝罪した。(「朝日」11月30日付ほか)

◇ネット同時配信、時間短縮を検討
テレビ番組を放送と同時にインターネットに流す「常時同時配信」を巡り、NHKが経費削減のため、配信時間を短くする方向で検討していることが分かった。従来の案では1日24時間の配信だったが、深夜などの時間帯は配信しない変更案が浮上している。(「東京」12月1日付ほか)

◇電通、違法残業で是正勧告
広告大手「電通」で、2018年に社員の違法残業などの労働基準法と労働安全衛生法違反があったとして、三田労働基準監督署が9月に是正勧告していることが、同社への取材で分かった。同社をめぐっては15年12月に新入社員高橋まつりさん=当時(24)=が過労自殺。法人として労基法違反罪で有期判決を受け、確定したにもかかわらず、適正な労務管理をしていなかった実態が指摘された。(「東京」12月6日付ほか)

◇映画の助成不交付、提訴へ
日本芸術文化振興会(河村潤子理事長、芸文振)が映画「宮本から君へ」の助成金を「公益性の観点」から不交付にした問題で、制作会社のスターサンズは7日までに、不交付決定は違憲かつ違法であるとして、芸文振に対して取り消しを求めて東京地裁に提訴する方針を固めた。芸文振は芸術文化活動の援助にかかわる文化庁所管の独立行政法人。「宮本から君へ」は真利子哲也監督の人間ドラマだ。原告となるスターサンズの河村光庸社長によると、3月に芸文振から1千万円の助成内定を得た。ところが、出演者の一人、ピエール瀧さんが麻薬取締法違反で執行猶予付き有罪判決を受けたことから、7月に「公益性の観点から適当ではない」との理由で、「不交付」を通知された。(「朝日」12月8日付)

編集部
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2019年12月22日

【今週の風考計】12.22─伊藤詩織さん勝訴が問いかける重い内容

ジャーナリストの伊藤詩織さんが、性的暴行を受けたとして元TBS記者・山口敬之氏を訴えた裁判で、18日、東京地裁は「酒を飲んで意識を失った伊藤氏に対し、合意のないまま性行為に及んだ」と認め、330万円の賠償を命じる画期的な判決を言い渡した。
地裁は、タクシー運転手やホテルドアマンの証言、そしてホテルの監視カメラの映像などを検証し、山口氏の「性行為には合意があった」とする主張を退け、「重要部分の陳述には不合理な変遷があるとし、合意のないまま本件行為に及んだ事実、意識を回復して性行為を拒絶したあとも体を押さえつけて性行為を継続しようとした事実は認めることができる」と認定した。
さらに「伊藤氏は性犯罪の被害者を取り巻く法的・社会的状況の改善につながると考え、自身の体験を明らかにした」と述べ、その行動には公益を図る目的があったと認め、山口氏が名誉毀損を訴え1億3千万の賠償金を求めるスラップ訴訟も退けた。

だが、こともあろうに判決の翌日、加害者の山口氏は日本外国特派員協会で記者会見を開き、内外からの記者50人近くが出席した場で、即日控訴した理由について、「伊藤さんの発言はすべて嘘、本当の性犯罪被害者は会見で笑ったりしない」などのトンデモない発言を弄した。
会見の司会は花田紀凱・「月刊Hanada」編集長、同席者は弁護士に加え小川榮太郎氏。このメンバーは<安倍応援団>、伊藤さんバッシングを繰り広げてきた面々だ。
そもそも、山口氏はTBS時代から“安倍の太鼓持ち”と呼ばれるほど、安倍首相と個人的に親しく、自分の結婚披露宴に安倍首相を招き、また2016年参院選挙の1か月前には、山口敬之『総理』(幻冬舎)を刊行してヨイショ!

許せないのは伊藤さんが、勇気をふるって告発すると、山口氏に同調するネトウヨたちが「あなたにも落ち度があったとか、ハニートラップとか、枕営業とか」などとバッシングし、セカンドレイプで二重三重に傷つけた行為である。この責任はどうとるのか。
 思いおこしてほしい。今から4年半前、当時TBSのワシントン支局長だった49歳の山口氏が、就職活動のアドバイスを求め訪問してきた26歳の伊藤さんを、酒に酔わせて強姦するなど、社会常識からみても許されることではない。
ネット上には、伊藤さんを擁護し、判決を支持する痛烈な書き込みがあふれている。
「性被害にあったら、暗く俯いて隅っこで暮らしとけ、とでも言いたいのか? じゃあ山口氏は、妻子がいる50代の男性なのに20代女性と性的な関係を持った人らしく、申し訳なさそうな顔していてくださいよ。妻子側から見たら、合意があろうがなかろうが、あなたのやったことは不貞行為で妻子に対する裏切りであることに間違いないでしょ」

さて伊藤さんは、この判決が出る前に、準強姦容疑で刑事告訴したにも関わらず、山口氏の逮捕状が取り消されたり、不起訴処分にされたりしている。その背景には、捜査への圧力があったのではないかという、疑惑は今なお消えない。
実際、「週刊新潮」が山口氏へ送った<伊藤問題>での質問メールに、山口氏が<北村さま、週刊新潮より質問状が来ました。 伊藤の件です。取り急ぎ転送します。 山口敬之>と、誤送信を「週刊新潮」編集部にしている。
この「北村」とは誰か。山口氏は「弁護士だった父親の知人の北村さん」と釈明しているが、内閣情報調査室のトップだった北村滋内閣情報官(現・国家安全保障局長)ではないのか、彼に取材の対応を相談したのではないか、今や確実な筋書きだという。ああ、山口さん!(2019/12/22)

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2019年12月19日

【おすすめ本】安田純平+危険地報道を考えるジャーナリストの会『自己検証・危険地報道』─「危険な取材」が担う役割と教訓=鵜塚健(毎日新聞)

 2014年4月、シリアで拘束されていた4人のフランス人ジャーナリストを空港で出迎えたのは、当時のオランド大統領だった。だが日本では必ず「自己責任論」が出て、政府がジャーナリストに旅券返納を命じるなど介入の動きが目立つ。
「危険を冒さないと得られないような情報はいらない」「外国メディアの情報で十分」との声も少なくないのが現実だ。

フリージャーナリスト・安田純平さんが3年4カ月、シリアで武装勢力に拘束後、解放されて1年が経過。本書で安田さんが自身の取材の歩みを詳細に報告。また中東や北朝鮮、アフリカなどの現場で取材するフリーや元新聞記者で作る「危険地報道を考えるジャーナリストの会」のメンバーが、今回の拘束事案での課題と今後の教訓を徹底的に討議。

 熱量の高い議論の裏には、遠い国の現実を伝える重要性、ジャーナリストの役割が軽視される危機感と苦悩がある。
 2015年にシリアでフリーの後藤健二さんと知人の湯川遙菜さんが殺害された直後、世論調査の内閣支持率は上昇した。2004年にイラクで旅行者の香田証生さんが拘束、殺害された際にも、政府の姿勢を巡っての議論は起きなかった。
 会のメンバー、綿井健陽氏は「彼らを処刑した実行犯は過激派組織だが、それを容認したのは誰だったか」と命題を投げかける。危険地報道というテーマを通じて問うているのは、政府やメディアのあり方だけでなく、社会を構成する私たち一人一人の意識だ。(集英社新書860円)
「自己検証  危険地報道」.jpg

posted by JCJ at 09:51 | おすすめ本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年12月15日

【今週の風考計】12.15─自衛隊の中東派遣etc.トンデモ閣議決定

国会が閉会したとたん、トンデモ閣議決定が頻発している。まずは10日の閣議決定、その中身は噴飯ものだ。「反社会的勢力の定義」について「その時々の社会情勢に応じて変化し得るものであり、限定的・統一的な定義は困難だ」とする答弁書を閣議決定したのだ。
 安倍総理主催の「桜を見る会」の参加者をめぐる疑惑を隠すため、ついに政府指針まで捻じ曲げたのである。

12年前の第1次安倍政権時に、政府の<犯罪対策閣僚会議幹事会>が決めた指針には、「反社会的勢力」とは、「暴力、威力と詐欺的手法を駆使して経済的利益を追求する集団又は個人である」と明確に定義している。
 この定義をもとに金融庁は各金融機関や業界団体に「反社データベース」の充実などを求め、また芸能プロダクションを含め民間企業でも反社会的勢力との関係遮断に、懸命に取り組んできた。
 定義が曖昧になってしまえば、「反社」勢力が復活・伸長するだけでなく、政府に都合の悪い人物や団体が、「反社」勢力に仕立て上げられる危険だって、ありうるのだ。

20日には、2020年度予算案102兆円を閣議決定する。そのうち防衛関係費は、8年連続して増額の5兆3223億円と過去最大。
 日本主導の下で自衛隊F2戦闘機の後継機を開発する費用100億円、地上配備型迎撃ミサイルパトリオット改修費に加え、最新鋭ステルス戦闘機F35の取得費、宇宙やサイバー空間などの新領域の防衛力強化などへの対策費、米国からの装備品の調達費なども盛り込まれている。国会に上程するからいいというものではない。
続いて27日には、海上自衛隊の中東派兵を、国会の審議にもかけず、閣議決定に持ち込む算段である。中東海域へ自衛隊270人、海上自衛隊の護衛艦1隻の派遣に加え、ジブチに駐留しているP3C哨戒機1機を転用する。派遣海域はオマーン湾、アラビア海北部の公海、バベルマンデブ海峡の東側の公海が中心になる。
 来年1月下旬にも活動が本格化する米国主導の有志連合「センチネル作戦」に対応して、情報収集などでトランプ大統領にイイ顔するためだ。もし自衛隊員や民間人の命にかかわる不測の事態が起きた場合には、海上警備行動を発令し、日本関連船舶の保護も想定するという。
 いくら派遣期限1年と区切っても、 憲法9条を無視し集団的自衛権の行使、実戦協力へ踏み込む閣議決定の無謀さは変わらない。

閣議決定とは何ぞや。国政に関する重要事項に関して、内閣の意思決定が必要なものについて、全閣僚の賛成を得て政府の方針を決定する手続きである。
 だが待てよ、国会や両院での委員会の招集は拒否して審議を妨げ、国会が閉会すれば閣議決定で事を進める、こんな手法がまかり通っていいのか。三権分立が踏みにじられ、内閣が国会や司法を抑え込む官邸政治の横暴は極まりない。
首相官邸内にある閣議室は広さ110u、そこにある5.2メートルの円卓を、閣僚が取り囲むように着席するという。決定文書に花押を記す墨汁入り硯と細筆が用意されている。会議は非公開だが、その議事録は5年前から作成が義務づけられている。
 10日に閣議決定した<「反社」勢力の定義変更の文書>に、一人でも「おかしい」と異議を唱える閣僚は、いなかったのか。警察・公安を統べる国務大臣、また下駄の雪と揶揄される公明党の閣僚は、どんな発言をし、どんな顔で署名・花押を認めたのだろうか。議事録の公開が待たれる。(2019/12/15)
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2019年12月11日

【内政】有力議員の地元相次ぎ集会 自民「地方」を改憲の主戦場に 九条の会や法律団体 反対運動も活発化=丸山重威

 自民党は、10月11日憲法改正推進本部を開き古屋圭司本部長代行をトップとする遊説組織「憲法改正推進遊説・組織委員会」を新設、改憲の必要性を訴える全国遊説を始めた。「安倍9条改憲NO!全国市民アクション」や、全国の「九条の会」の地域での改憲反対運動に対抗したもので、改憲の「主戦場」は地域になってきている。
 一方国会では、憲法審査会で、欧州に調査のため派遣した委員の報告を行い、ついでに自民改憲案も議論する自由討議を始めることを計画。実際に委員会を開いた。メディアは「2年ぶりに自由討議」などと報じた。

幹事長の地元から
 自民党の全国遊説は、10月18日、二階俊博幹事長のお膝元・和歌山の「憲法を考える県民集会」でスタート。続いて28日には、埼玉で憲法改正をテーマにした「地方政調会」を開いた。
 和歌山では1600人が参加、安倍首相が「幹事長が改憲議論の先頭に立つ決意で地元で集会を開いた。敬意を表する」とビデオメッセージ。
 埼玉では岸田政調会長が「きょうの日が令和の時代に憲法の在り方を考える契機になるよう願っている」と挨拶し、桜井よしこ氏が講演した。自民党は11月18日には岸田氏の地元・広島で、12月2日には福島でも地方政調会を開くという。

与野党で海外視察
 「20年改憲」を目標とする自民党は、臨時国会で憲法審査会を開き、国民投票法の改正と改憲案の説明に入りたいとしてきている。
 衆院審査会は9月中下旬、自民党・森英介氏を団長に、立憲・山花郁夫、自民・新藤義孝、公明・北側一雄氏ら与野党合同で、ドイツ、ウクライナ、リトアニア、エストニアを訪問した。
 外国視察で与野党委員の「懇親」を図るのは自民党の常套手段だが、11月8日に報告の委員会が開かれた。「2年ぶり自由討議」と報じられたのはこの委員会。社文法律センター、自由法曹団、青法協、日民協などの「改憲問題対策法律家6団体連絡会」は12日、「安倍改憲のための憲法審査会の開催に強く反対する」とする緊急声明を発表した。しかし、委員会は14日にも開かれ、維新の会が立憲民主党内の「不一致」を問題にしたりしている。

報道これでいいか
 11月7日にはもう一つ、注目されるニュースがあった。全国22の裁判所に提訴された、原告約7700人の「安保法制違憲訴訟」のうち、東京地裁が訴えを棄却する判決を言い渡した。
 4月22日の札幌地裁に続くもので、判決では「平和とは抽象的な概念で、個人の思想や信条によって多様な捉え方が可能。国民の権利として具体的な意味を確定はできない」「原告の精神的苦痛は義憤ないし公憤。限度を超えているとはいえず、法的に保護する利益ではない」などとした。
 在京紙では、東京新聞が社会面できちんと報じ社説でも取り上げたが、他は朝日が3社面3段で扱っただけで、後は3社面の横書きの雑報扱い。
 議論があった裁判で、専門家から言えば、珍しくない判決。しかし、憲法がこれだけ問題になる中、ニュースとして、これでいいのだろうか。

丸山重威

JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2019年11月25日号
posted by JCJ at 15:32 | 政治・国際情勢 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年12月10日

【ベネズエラ最新事情】報道の捏造次々明らかに 米の政権打倒作戦は失敗 イシカワ駐日大使ら真相を語る=吉原功

 本年初頭から3カ月近く、全国紙、NHK、民放キー局は連日のように南米ベネズエラの「政治的社会的混乱」を書き立て、言い募った。
 「政権不満が噴出、反乱兵が武器強奪」「野党の国会議長、暫定大統領宣誓、米、米州諸国次々承認」「トランプ氏、全力で圧力と声明」「政情混乱ベネズエラインフレ率1000万%!」「米、ベネズエラ石油に制裁」「国外逃避300万人」「ベネズエラ混乱マドゥロ政権に国際包囲網 欧米の多くグアイド氏支持」などなど延々と続く。4月以降、報道は激減したが姿勢は基本的に変わりない。

米宣伝戦略に乗る
 これらの報道から浮かび上がるのは、マドゥーロ大統領は人権弾圧する独裁者であり、経済政策の失敗によりベネズエラ国民を食糧危機・生命危機に陥れている張本人、暫定大統領を宣言したグアイド国会議長はそのベネズエラを民主化し経済を立て直す救世主といったイメージである。これは事実に基づいた正しいイメージなのであろうか。
 米国の宣伝戦略にみごとに乗ってしまった結果なのではあるまいか。ベネズエラの歴史と社会を多少とも知る人はそう懸念し、事実・真実を詳しく知りたいと思うのではなかろうか。

 10月末、その思いにピッタリの研究会が2回、JCJ事務所で開かれた。一回目はセイコウ・イシカワ駐日ベネズエラ大使の報告と最近ベネズエラを訪れたキューバ友好協会の宮本真樹子さんの見聞を聞き、二回目は哲学者・社会思想家西谷修さんの、米国をどう理解するかという報告、および来日したベネズエラ外務省マウリシオ・ブランコ北米局長のチャベス革命の基本点についての報告があり活発な質疑が交わされた。
 出席は研究者、ジャーナリストを中心にともに15名ほど。イシカワ大使は9月にもブエノス・アミーゴスという市民団体主催の会でベネズエラの近況を報告し、マウリシオ局長は11月初頭、日本記者クラブで講演を行っている。いずれも極めて内容の濃い報告で紹介できないのは残念だが、以下ではイシカワ大使の9月の報告を含めた概要を紹介しよう。

損害・困窮に耐え
 大使は、本年米国務省のHPに掲載され直ちに削除されたベネゼエラに関するファクト・シートから話をはじめた。2015年から19年までに150の措置をとったと誇るものだったが、内容は経済的政治的制裁措置であり、ベネズエラの「体制転換戦略」を示しており、社会変革のベネズエラ・モデルを潰し、石油などの資源を奪取するというチャベス革命後継続的に取られてきた戦略の延長線上にあると指摘した。
 そのクライマックスがグアイド議長の暫定大統領宣言。メディアによる大キャンペーンにより、たった50カ国だったがグアイド氏を暫定大統領として認めさせることに成功した。しかし米国のこのグアイド・プロジェクトは音を立てて崩壊しつつあると大使は強調した。
 2月の「人道支援物資」強行搬入も、3月の軍部へのクーデタ呼びかけも失敗している。コロンビア国境における「支援物資」炎上は政権側の放火、マドゥーロ大統領とコロンビア暴力集団との結託などの報道が捏造であることも次々に明らかになっている。
 そもそも米国とグアイド・サイドはベネズエラの民衆と軍部を見くびっていたのだ。生活が苦しくなればなびいてくるだろうと。米国の制裁により13年以降外貨収入が90%も下落し、政府や石油産業が国際的な融資元にアクセスできなくなり、国際金融機関に保管されているベネズエラの資産数十億ドルの凍結が命じられた。これにより医薬品、食料品、経済活動に必要なさまざまな原材料などがブロックされることになった。
 150以上の制裁措置によって、ベネズエラは2013年〜17年の間に3500億ドルもの損失を被った。この5年間のGDPのうち3年間は何も生産しなかったと同じ数字だ。経済が低迷し民衆生活の困窮が生ずるのは当たり前だろう。だが民衆はそれに耐え、団結をつよくしている。軍部もそのことをよく理解している。

国連人権理事国に
 グアイド・プロジェクトの崩壊をイシカワ大使は概要以上のように説明した。大使自身、大使の家族、駐日ベネズエラ大使館職員も米国の金融制裁の余波をうけて日本の銀行口座が凍結されていることを付け加えておこう。
 国際社会も「50カ国」とは逆の判断をした。米国の激しい反対工作にもかかわらず、9月にベネゼエラが国連人権理事会理事国に選出されたのである。民衆団結の強化については、一例として農村共同体と都市共同体が協力して農産物の生産と配布のシステムを形成、食料不足を補っていることをあげておう。

 吉原功(JCJ代表委員)

JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2019年11月25日号
posted by JCJ at 15:41 | 政治・国際情勢 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年12月09日

【JCJ賞見る会】山形放送「想画と綴り方〜戦争が奪った子どもたちの心〜」 戦時中の教育弾圧に焦点

 大学の教室のスクリーンに映し出されるTVの映像。そこには、昭和の初期に農村で働く人たちの姿を克明に描いた絵が次々に映し出され思わず見入ってしまう。絵を描いたのは山形県の小学生だ。           
 自分の身の回りをありのままに描く「想画」の実践が行われた山形県の小学校、しかし指導にあたった教師は治安維持法で検挙されてしまう。番組は戦時中の教育弾圧を掘り下げ、「今」に警鐘を鳴らす。

 山形放送が制作したドキュメンタリー「想画と綴り方〜戦争が奪った子どもたちの心〜」は2019年度のJCJ賞を受賞した。この作品を見る会が10月末、立教大学メディア社会学科の砂川浩慶教授のゼミなどが主催して開かれた。会場には、番組制作の責任者の伊藤清隆報道制作局長も招かれ、番組視聴後に学生も加わり、意見を交わした。視聴者と制作者が一体となった空間というのは実はとても嬉しいもので、伊藤さんには緊張感だけではなく笑顔もこぼれていた。

 伊藤さんはこの番組を思い立った契機について、おととし安倍政権が強行に成立させた共謀罪が、戦前の治安維持法に似ているのではないかという危機感、さらにその頃、地元山形で「想画」を本にまとめようという当時の小学生たちの活動を知ったことをあげる。
 「想画」をテーマに共謀罪の恐ろしさ、そして忖度や同調圧力が強まり閉塞感に覆われている今の社会に、「釘一本を打ち込む」番組を制作したいと考えたという。そして戦争を再び起こさないということが報道の一丁目一番地であり、だからこそ昭和の戦争の記憶を令和の時代にどう伝えていけるのかを問い続けていると、静かに決意を語った。

 砂川さんに言わせれば、学生たちがいま一番接しているのはツイッターということだが、その砂川ゼミの学生からの「小中高では与えられたテーマに模範的に回答していたので、好きに書いて、と大学で言われた時、戸惑った」の声に伊藤さんはこう答えた。
 「模範的は忖度や空気を読むことにつながる、何を表現するのか、まず自分と向き合い自分の心のうちと、取り巻く世界をどう表現していくのかを考えて欲しい」と励ましのエールを送った。

古川英一

JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2019年11月25日号
posted by JCJ at 13:02 | JCJ賞情報 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年12月08日

【今週の風考計】12.8─いま鋭く問われている日本の加害責任

★78年前の12月8日、日本は太平洋戦争に突入した。それ以前からの中国侵略を含め、アジア諸地域や南洋諸島への戦争拡大は15年に及ぶ。もたらした戦争被害はアジア諸国で2000万人以上、国内でも310万人を超えるといわれる。

★この6日、ドイツのメルケル首相は、ポーランドにあるアウシュビッツ強制収容所を訪問。来年1月27日にソ連軍による解放75年を迎えるにあたり、数多くのユダヤ人を銃殺した「死の壁」といわれる塀の前で献花し、黙とうした。
★さらにメルケル首相は、数多くの犠牲者の写真が掲げられた部屋で演説し、アウシュビッツで「ドイツ人が犯した蛮行を、深く恥じる」と謝罪した。人種差別や不寛容が広がる現代こそ、「反ユダヤ主義と闘うためには、絶滅収容所の歴史が共有され、語られる必要がある」と指摘。アウシュビッツは「この記憶を生かし続けることを要求している」と述べた。
 メルケル首相が訪問する前日の5日、ドイツ政府は同収容所の関連財団へ新たに6000万ユーロ(約72億円)を寄付すると発表した。

★それに引き換え、日本の安倍首相はどうか。南京事件、日本軍「慰安婦」問題、中国からの強制連行・朝鮮半島からの「徴用工」問題などなど、日本軍の加害責任や反省に触れた真摯な言葉もなければ、誠意ある実践もない。いまや贖罪意識すらないといってよい。
★とりわけ韓国の「徴用工」問題について、「被害者個人の請求権は存在している」と公式に認められている以上、「非人道的労働に対する慰謝料」として、日本政府・企業は誠実に向きあい、支払う努力をするのは当たり前ではないか。
★なぜしないのか。そこには安倍首相自らが、A級戦犯合祀の靖国神社へ玉ぐし料・真榊の奉納を続け、過去の侵略戦争と植民地支配に対する責任を放棄するどころか、逆に正当化する立場に固執し、ネトウヨや右派人脈が煽る<反中嫌韓>の露骨なヘイトに同調しているからに他ならない。メルケル首相の態度や覚悟、政策と比べ、天と地の開きだ。

★首相在任2900日を超す、憲政史上最長となった安倍首相、この約8年の間、中国や韓国の戦争被害者を記念する施設に訪問したことがあるだろうか。例えば中国の平頂山殉難記念館や韓国・天安市にある独立記念館はどうだろうか。
★前者は日本軍が中国・撫順炭鉱近くの平頂山の住民3000人を機銃掃射により集団虐殺、村を焼き払った事件を記念する。後者は日本軍が韓国人にした拷問や慰安婦の話など、韓国が自由と独立を勝ち取る闘いの歴史を記録した記念館だ。訪問したという話は聞かない。

★ローマ・カトリック教会のフランシスコ教皇は、先月24日、長崎・広島の両被爆地を訪問し、核の廃絶を求めるメッセージを発した。
 米国のオバマ大統領も、3年前、被爆地・広島を訪れ、原爆資料館を見学した後、原爆死没者慰霊碑に献花した。その場で所感を読みあげ、「核兵器なき世界」への決意を強調した。
★ちなみに原爆資料館や平和記念公園を訪れた世界の大統領や首相は、2009年から2019年の10年間で19人、外国からの賓客や要人は598人にのぼる。安倍首相も、海外に行くのなら、もっともっとアジア諸国の戦争被害者を祀る施設を行脚したら良い。(2019/12/8)
posted by JCJ at 09:28 | 【今週の風考計】 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年12月06日

【メディアウオッチ】NHK違憲の大嘗祭費支出を容認 岩田記者フェイク交えて解説=河野慎二

奉祝報道を競う
 天皇の即位に伴うパレード「祝賀御列の儀」が10日、行われた。NHKと民放キー5社は特番を編成し、このパレードを完全生中継した。
新聞のテレビ欄を見ると「カメラ46台展開歴史に残る30分お届け」(NHK)、「新時代の幕開け祝う歴史的瞬間≠ノ歓喜」(日本テレビ)、「新時代祝う令和の調べノーカット生中継」(テレビ朝日)などと、各局が奉祝報道≠競い合う。
 NHKが銀座のブライダル会社にまでカメラを出し生中継した。皇后の衣裳が関心を呼び「ローブデコルテに問い合わせが殺到」とリポートするが、「そこまでやるの?」と呆れる。

国民主権どこへ
 憲法第4条が定める国事行為としての「即位の礼」は、このパレードで五つの儀式がすべて終わったが、メディアの報道に共通するのは、憲法の国民主権や政教分離原則に根差した報道が欠落していることだ。
 象徴的なケースは10月22日に行われた「即位礼正殿の儀」の報道である。高御座(たかみくら)に立つ天皇を仰ぎ見る形で安倍首相が万歳三唱の音頭を取り、参列者が唱和した。憲法の国民主権はどこへ行ったのか。テレビは映像を垂れ流すだけで、憲法上の疑義には触れない。

 今回の「祝賀御列の儀」特番で、NHKの番組構成に重大な疑問が残った。それは、大嘗祭に関わるコーナーである。
 大嘗祭は、即位した天皇が今年取れた新米を天照大神や神々に供え、自らも食べて国民の安寧を祈る宗教行事で、14日から15日に行われた。
 NHK社会部の岡本記者は、秋篠宮が昨年の会見で経費について「大嘗祭は宗教色が強いことを踏まえて、天皇の生活費にあたる内廷費から支出されるべきだ」との考えを示したと説明、「皇室の公的予算である宮廷費からの支出を決めている政府方針と異なる異例の意見表明になった」と指摘した。
 大嘗宮建設費などが27億円に上ることについて秋篠宮は「身の丈に合った形で行うのが本来の姿ではないかと述べた」と解説した。
 岡本記者の解説は至極真っ当なものだが、ここで安倍政権に極めて近い岩田明子記者が登場する。

公的資金支出当然視
 岩田記者は「大嘗祭は極めて重要な伝統的皇位継承儀式として、政府が手立てをするのは当然としている。このため、宮内庁が管理する宮廷費から支出することにした」と、まるで安倍晋三首相の代弁のような解説。
 大嘗祭への公費支出は政教分離を定めた憲法に反する。岩田記者は「各地で裁判が起こされているが、いずれも国が勝訴し、司法の場でも肯定されている」と解説し秋篠宮の提言を一蹴した。
 岩田記者の解説は事実に反している。大阪高裁は95年3月、賠償請求は退けたものの「政教分離規定に違反するのではないかとの疑義は一概に否定できない」との判決を出している。
 フェイク混じりの岩田解説を容認し、官邸忖度のパレード特番を編成した「公共放送」NHKの責任は重い。

河野慎二

JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2019年11月25日号
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2019年12月05日

【お知らせ】 ジャーナリスト講座 「フリーランスの『オモテとウラ』―醍醐味と難しさ」

 「黙殺 報じられない無頼系独立候補≠スちの戦い」(集英社)で2017年第15回開高健ノンフィクション賞を受賞した
 畠山理仁(みちよし)さんが講演。18時30分から21時。日比谷図書文化会館4階小ホール。参加費1000円。


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