高市政権は「責任ある積極財政」を掲げ、大型補正予算を成立させ、新年度予算案を編成した。全国紙では財政運営に責任持て(朝日)、市場の信認を得る努力尽くせ(読売)、責任の視点欠く過去最大の予算案(日経)、「責任ある」はどこに行った(毎日)などと、予算案に問題を投げかけた。
わが国の財政は、国債発行を急膨張させ先進国有数の「軍拡国家」、「債務国家」の様相を強めている。高市政権の放漫財政により、長期金利が急上昇し、円安の為替相場で物価高に拍車がかかり、国民は生活難に苦しむ。マーケットからも金融不安の警告が発せられる。
当面する物価高対策、中長期的な財政政策の国会審議が求められるが、高市首相は唐突に、通常国会の早期に衆院解散を独断で決め政局は一気に流動化した。立憲民主と公明の衆院「新党結成」の動きも急浮上した。
今なぜ解散なのか。国民生活より党利党略、大義を欠いた権力の乱用、自己都合解散などと批判の声が上がる。一方、読売社説は衆院解散は首相の「専権事項」で、政策を軽視しているといった批判は当たらないと政権を擁護。高市政権の支持率は依然高いが、首相周辺の政治資金疑惑、自民党と旧統一教会との根深い癒着、さらに「台湾有事」発言以降の日中関係悪化など、課題は山積。国会での厳しい追及逃れのための衆院解散ではないのか。
高市政権は日本維新の会と閣外協力ながら「連立」を組んで成立した。連立合意書には、福祉を削り軍拡国家への政策が満載である。維新は与党となり、大阪でも地方自治を揺るがす動きが急浮上。任期途中で辞職して、解散後の衆院選に合わせて、大阪府市のダブル首長選を実施するという。国政レベルでも「副首都」構想が検討されているが、法案作成に先駆け大阪市廃止・特別区設置の「大阪都構想」への民意を問うという。3度目の住民投票に道を開くものだ。衆院選と同じく、これもやりたい放題の大義なきダブル選である。維新の地方議員の国民健康保険逃れが批判を浴びる中、「批判の矛先をかわそうとの魂胆も透ける」(朝日1月15日社説)。
国内外が揺れ動くなか、地に足をつけた報道を期待したい。
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2026年1月25日号
2026年02月19日
2026年02月18日
【おすすめ本】鈴木 宣弘 『もうコメは食えなくなるのか──国難を乗り切るのにほんとうに大切なものとは』―農と食、暮らしを強化 地域の自給圏づくりを提唱 =栩木 誠(元日経新聞編集委員)
日本の農業と生産者に‟塗炭の苦しみ“を味合 せてきた、安倍農政の継承を標榜する市政権の登場で、「日本のコメ作 り」は今や、その生命線 すら絶たれようとしている。歴代自民党政権が進めてきた「米国への胃袋の従属化」の動きに、警 鐘を鳴らし続けてきた著者の危機感が、本書のタイトルに見事に凝縮されている。
国連機関が「飢餓国の仲間国入りした」とする日本で、いま深刻化する「令和のコメ問題」。生 産コストなどへの所得補償、供給先の出口調整など、生産者が希望を見い出せる農業政策の再構築がない限り、コメの作り手の退場は続く。だが農業軽視の政府の無策は続く。本書は「2030年 までの5年間が正念場」と、指摘する。
こうした日本農業の絶対危機のなかでも、「一 条の曙光」となるのが、「半農半X」など担い手の多様化、全国各地で進む生産者と消費者の連携による取り組みだ。世田谷区などの有機米給食や「14戸の作り手を900人の食べ手が支える」宮城県・鳴子温泉鬼首地区の試み、生協の供給圏づくりなど、創意工夫を凝らした「未来への希望の灯」が、燎原の火のように拡がりつつある。
「胃袋からの独立」を 実現するために、著者はこう呼びかける。
「自分たちが自分たちの地域から自分たちの力で地域の農と食と暮らしを強化して、『みんなで 作ってみんなで食べる』自給圏づくりを進めることが大切だ」と。
「コメが食えなくなる」社会の到来を防ぎ、日本農業を再興していくために何より重要なのは、私たち自身の自覚と具体的行動なのだ。(講談社+α書新書 950円)
国連機関が「飢餓国の仲間国入りした」とする日本で、いま深刻化する「令和のコメ問題」。生 産コストなどへの所得補償、供給先の出口調整など、生産者が希望を見い出せる農業政策の再構築がない限り、コメの作り手の退場は続く。だが農業軽視の政府の無策は続く。本書は「2030年 までの5年間が正念場」と、指摘する。
こうした日本農業の絶対危機のなかでも、「一 条の曙光」となるのが、「半農半X」など担い手の多様化、全国各地で進む生産者と消費者の連携による取り組みだ。世田谷区などの有機米給食や「14戸の作り手を900人の食べ手が支える」宮城県・鳴子温泉鬼首地区の試み、生協の供給圏づくりなど、創意工夫を凝らした「未来への希望の灯」が、燎原の火のように拡がりつつある。
「胃袋からの独立」を 実現するために、著者はこう呼びかける。
「自分たちが自分たちの地域から自分たちの力で地域の農と食と暮らしを強化して、『みんなで 作ってみんなで食べる』自給圏づくりを進めることが大切だ」と。
「コメが食えなくなる」社会の到来を防ぎ、日本農業を再興していくために何より重要なのは、私たち自身の自覚と具体的行動なのだ。(講談社+α書新書 950円)
2026年02月17日
【告知】調査報道ドキュメンタリー映画「日航123便墜落 自衛隊は何を隠蔽したのか〜陰謀論と真実」上映会 3月6日(金)18時30分から武蔵大学シアター教室
独立系ウエブメディアSlowNewsは、初のドキュメンタリー映画を製作した。
「日航123便墜落 自衛隊は何を隠蔽したのか〜陰謀論と真実」。
1985年8月12日、日本航空123便は群馬県の御巣鷹の尾根に墜落。乗客乗員520人が死亡する、史上最悪の単独事故の惨事となりました。それから40年余り。いま、「自衛隊機のミサイルで撃墜された」「護衛艦が訓練で誤射した」という言説が広く拡散しています。果たして真実はどこにあるのでしょうか。これまで国が説明したり、報道機関などが「ファクトチェック」をしたりしてきましたが、一向に埒があきません。
SlowNewsは救助に携わった当時の自衛官たちを徹底取材。 初めてとなる証言や独自入手の自衛隊・旧防衛庁の内部資料から、知られざる真実が次々と浮上してきました。
そして見えてきたのは「自衛隊が本当に隠したかったこと」。それは一体、何なのか? 陰謀論に真実はあるのか? なぜそれが広まってしまったのか? 衝撃の実態が明らかになります。
この映画の会員向け上映会を 3月6日(金)18時半から、武蔵大学のシアター教室にて行います。
ご覧になりたい方は、ぜひこちらからお申し込みください。
https://slownews.com/n/n3f51d7e56a27
200席限定ですが、武蔵大学の関係者の分があるので、実際にはそれより席が少なくなります。お早めに。
また、この映画を上映してくれる映画館を探しています。ぜひご紹介ください。
映画館、配給会社の関係者の方は無料でこの上映会にご招待いたしますので、ご覧になった上での判断でも!
「日航123便墜落 自衛隊は何を隠蔽したのか〜陰謀論と真実」。
1985年8月12日、日本航空123便は群馬県の御巣鷹の尾根に墜落。乗客乗員520人が死亡する、史上最悪の単独事故の惨事となりました。それから40年余り。いま、「自衛隊機のミサイルで撃墜された」「護衛艦が訓練で誤射した」という言説が広く拡散しています。果たして真実はどこにあるのでしょうか。これまで国が説明したり、報道機関などが「ファクトチェック」をしたりしてきましたが、一向に埒があきません。
SlowNewsは救助に携わった当時の自衛官たちを徹底取材。 初めてとなる証言や独自入手の自衛隊・旧防衛庁の内部資料から、知られざる真実が次々と浮上してきました。
そして見えてきたのは「自衛隊が本当に隠したかったこと」。それは一体、何なのか? 陰謀論に真実はあるのか? なぜそれが広まってしまったのか? 衝撃の実態が明らかになります。
この映画の会員向け上映会を 3月6日(金)18時半から、武蔵大学のシアター教室にて行います。
ご覧になりたい方は、ぜひこちらからお申し込みください。
https://slownews.com/n/n3f51d7e56a27
200席限定ですが、武蔵大学の関係者の分があるので、実際にはそれより席が少なくなります。お早めに。
また、この映画を上映してくれる映画館を探しています。ぜひご紹介ください。
映画館、配給会社の関係者の方は無料でこの上映会にご招待いたしますので、ご覧になった上での判断でも!
2026年02月16日
【焦点】日本が見向きもしない質の悪いベネズエラ原油を欲しがるトランプの打算=橋詰雅博
世界一の原油埋蔵量を抱える南米ベネゼエラから原油を日本が恒常的に輸入していると思ったが、そうではなかった。2017年以降ベネズエラ原油を輸入していないことを石油連盟の木藤俊一会長(出光興産会長)が記者会見で明らかにした。
中東の原油とは性質が違い、ベネズエラ原油は重質で硫黄分が多くいわば質が悪い。このため原油から蒸留・分解装置でガソリン、灯油、軽油、重油などの製品をつくる製油所では、新たに脱硫能力を高めた設備が必要で、コストの負担増になる。
木藤会長は「中東でよほどのことがない限り使うことはないだろう」と語り、米国がベネズエラ原油の増産をしようといている点について「米国の管理下で増産しても日本で使うのは難しい」と指摘した。
そのうえ国営ベネズエラ石油産業の生産設備が老朽化し、多大な投資をしなければ稼働しない状態なのだ。英紙ファイナンシャルタイムズ(FT)1月7日付電子版(提携の日経新聞翻訳版29日付)によると、「壊滅的な状況」で原油貯蔵設備の3分の1程度は休止している。
それなのにトランプ米政権は、米軍を投入しマドゥロ大統領夫妻を拘束し米国に移送までしてベネズエラ石油利権を獲得したのはなぜなのか。
1月6日付記事配信「Wedge(ウェッジ)」<ベネズエラ石油にトランプがこだわる大きな理由>の筆者・山本隆三氏はその謎を解いている
2000年後半のシェールガス革命で米国は世界最大の産油国にのし上がったが、品質にむらがあり、国産原油だけではガソリンなどの製品を低コストで精製することは困難。ベネズエラ産原油を入手すれば、真の自給率100%が達成され石油の安全保障を担保できる。
しかも米国の製油所は、シェール革命前に米国で産出された原油の多くは重質油だったので、それ向けに設計されている。実に7割の製油所は重質油でより効率的に稼働でき、軽質油のシェールガスを使うとコスト増になり結局ガソリン価格などが上昇する。
多くの米国の製油所は、ルイジアナ州からテキサス州のメキシコ湾岸に建設されている。輸入原油の受け入れに便利だからだ。海上輸送距離が短いベネズエラ産原油は、コスト減で価格競争力がある。米国産シェールガスオイルの補完も可能だ。
これがベネズエラ産原油にこだわるトランプの主たる理由ではないか。米国の石油大増産を成し遂げる見返りとしてトランプは業界からの多額の献金と11月の中間選挙での集票を見込む。
中東の原油とは性質が違い、ベネズエラ原油は重質で硫黄分が多くいわば質が悪い。このため原油から蒸留・分解装置でガソリン、灯油、軽油、重油などの製品をつくる製油所では、新たに脱硫能力を高めた設備が必要で、コストの負担増になる。
木藤会長は「中東でよほどのことがない限り使うことはないだろう」と語り、米国がベネズエラ原油の増産をしようといている点について「米国の管理下で増産しても日本で使うのは難しい」と指摘した。
そのうえ国営ベネズエラ石油産業の生産設備が老朽化し、多大な投資をしなければ稼働しない状態なのだ。英紙ファイナンシャルタイムズ(FT)1月7日付電子版(提携の日経新聞翻訳版29日付)によると、「壊滅的な状況」で原油貯蔵設備の3分の1程度は休止している。
それなのにトランプ米政権は、米軍を投入しマドゥロ大統領夫妻を拘束し米国に移送までしてベネズエラ石油利権を獲得したのはなぜなのか。
1月6日付記事配信「Wedge(ウェッジ)」<ベネズエラ石油にトランプがこだわる大きな理由>の筆者・山本隆三氏はその謎を解いている
2000年後半のシェールガス革命で米国は世界最大の産油国にのし上がったが、品質にむらがあり、国産原油だけではガソリンなどの製品を低コストで精製することは困難。ベネズエラ産原油を入手すれば、真の自給率100%が達成され石油の安全保障を担保できる。
しかも米国の製油所は、シェール革命前に米国で産出された原油の多くは重質油だったので、それ向けに設計されている。実に7割の製油所は重質油でより効率的に稼働でき、軽質油のシェールガスを使うとコスト増になり結局ガソリン価格などが上昇する。
多くの米国の製油所は、ルイジアナ州からテキサス州のメキシコ湾岸に建設されている。輸入原油の受け入れに便利だからだ。海上輸送距離が短いベネズエラ産原油は、コスト減で価格競争力がある。米国産シェールガスオイルの補完も可能だ。
これがベネズエラ産原油にこだわるトランプの主たる理由ではないか。米国の石油大増産を成し遂げる見返りとしてトランプは業界からの多額の献金と11月の中間選挙での集票を見込む。
2026年02月15日
【映画の鏡】異国で懸命に生きる姿に共感『在日ミャンマー人―わたしたちの自由―』顔見える関係が排外主義打ち破る=鈴木 賀津彦
c土井敏邦
「一瞬の幸せより、一生の幸せ‥‥」。日本に暮らすミャンマーの女性が、土井敏邦監督のインタビューに答えた言葉が心に迫る。2021年2月の国軍によるクーデターから5年。直後から在日ミャンマー人の多くが抗議のデモに立ち上がった。本作はその一人一人の思いに土井監督が迫り克明に描いていく。
排外主義が台頭する今だからこそ、祖国を離れても民主化運動に奔走する彼らの生きる姿から、私たちが学ぶことが沢山あると痛感した。在日ミャンマー人という総体ではなく、一人一人の生き方を捉えることから共感が生まれ、顔の見える関係が醸成される中から排外主義は打ち砕かれてゆくのだと確信できた。
例えば1990年生まれの女性レーレールィン。ミャンマー北部のマンダレー市内の看護大学で学び、看護師として病院で働きながら日本への留学を目指し日本語を猛勉強。2013年に来日して日本の看護大学に再入学し、生活費のためのアルバイトをしながら寝る間もなく猛勉強して国家試験に合格、17年に都内の病院に初の外国人看護師として就職する。ところが患者や同僚からの激しい差別の体験も。軍事クーデター後の抗議活動の中で、ミャンマー支援レストラン「春の革命」を創設、看護師とレストラン経営の仕事に奔走する。
こうした彼女ら3人の本音を映し出す第1部、タイ国境の街に建てた学校への支援活動を追った第2部、軍事政権と日本の関係を掘り下げた第3部。171分の長い作品だが、彼らと共に自由を守る取り組みの大切さを私たちに気付かせてくれる。公開は1月30日から都内で。
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2026年1月25日号
「一瞬の幸せより、一生の幸せ‥‥」。日本に暮らすミャンマーの女性が、土井敏邦監督のインタビューに答えた言葉が心に迫る。2021年2月の国軍によるクーデターから5年。直後から在日ミャンマー人の多くが抗議のデモに立ち上がった。本作はその一人一人の思いに土井監督が迫り克明に描いていく。
排外主義が台頭する今だからこそ、祖国を離れても民主化運動に奔走する彼らの生きる姿から、私たちが学ぶことが沢山あると痛感した。在日ミャンマー人という総体ではなく、一人一人の生き方を捉えることから共感が生まれ、顔の見える関係が醸成される中から排外主義は打ち砕かれてゆくのだと確信できた。
例えば1990年生まれの女性レーレールィン。ミャンマー北部のマンダレー市内の看護大学で学び、看護師として病院で働きながら日本への留学を目指し日本語を猛勉強。2013年に来日して日本の看護大学に再入学し、生活費のためのアルバイトをしながら寝る間もなく猛勉強して国家試験に合格、17年に都内の病院に初の外国人看護師として就職する。ところが患者や同僚からの激しい差別の体験も。軍事クーデター後の抗議活動の中で、ミャンマー支援レストラン「春の革命」を創設、看護師とレストラン経営の仕事に奔走する。
こうした彼女ら3人の本音を映し出す第1部、タイ国境の街に建てた学校への支援活動を追った第2部、軍事政権と日本の関係を掘り下げた第3部。171分の長い作品だが、彼らと共に自由を守る取り組みの大切さを私たちに気付かせてくれる。公開は1月30日から都内で。
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2026年1月25日号
2026年02月14日
【Bookガイド】2月の“推し本”紹介=萩山 拓(ライター)
ノンフィクション・ジャンルからチョイスした本の紹介です(刊行順・販価は税別)
◆武井彩佳『ホロコースト後の機能不全━ドイツ、イスラエル、犠牲と加害の関係』角川新書 2/10刊 980円
なぜドイツはイスラエルを批判できないのか? イスラエルのガザ攻撃はホロコーストの記憶とも結びつけられる。ドイツによるイスラエル支援は、補償にとどまらず武器供与まで及んだ。イスラエルへの安全保障は「国是」となっていた。ナチズムの克服は、より良い世界をつくるためではなかったのか。ドイツとイスラエルの特殊な関係を明確に分析し、ガザ紛争を防げなかった世界構造のねじれを解く。
著者は1971年、愛知県生まれ。早稲田大学比較法研究所助手などを経て学習院女子大学教授。専攻はドイツ現代史、ホロコースト研究。著書に『歴史修正主義』(中公新書)など。
◆高橋信雄『裁かれた<偽りの科学>━原爆訴訟判決文から見えた真実』 花伝社 2/10刊–2700円
この国は、被爆者たちとどのように向き合ってきたのか。国の被爆者対策として成立した被爆者援護法。しかし援護申請は一方的に却下されるようになり、また残留放射線による被爆も認められず、被爆者たちは不合理に沈黙を強いられることになる。司法に正義を求め、国との裁判に挑んだ被爆者たち。〈科学〉の名の下に被爆者の訴えを退けようとした国は、いかにして裁かれたのか。救済を求めて闘った、被爆者たちを追うドキュメンタリー。
著者は1950年生まれ。九州大学経済学部卒。元長崎新聞論説委員長。現在はノンフィクション作家。著書に『鈴木天眼 反戦反骨の大アジア主義』など。
◆松谷満『「右派市民」と日本政治━愛国・排外・反リベラルの論理』朝日新書2/13刊 870円
突然の<自己チュウ解散>そして総選挙の顛末に現れているように、異形の右派勢力が日本を動かす!? 安倍政権を熱狂的に支持した「岩盤保守層」。安倍氏の死後、かれらがよりどころにしたのは高市氏やトランプ氏。さらには参政党、日本保守党といった新たな右派アイコンの台頭だった――。いま日本政治を左右する、新しい「右派」の実像に迫る。
著者は1974年、福島県生まれ。名古屋大学文学部を卒業後、大阪大学大学院人間科学研究科で博士課程修了。中京大学教授。共編著に『外国人へのまなざしと政治意識』など。
◆平田オリザ『寂しさへの処方箋━芸術は社会的孤立を救うか』集英社新書 2/16刊 960円
いま日本は他国とは違う独特の「寂しさ」「いらつき」「不安」に覆われている。終わりの見えない不況、アジア唯一の先進国からの転落と国力の衰退などが、その背景にある。いかにして克服できるか、「日本再生のカギは芸術文化立国をめざすところにある!」と提案し、その試みを現代に合わせてさらに進化させ、モノが飽和しコトの消費が求められる時代に芸術と観光が果たせる役割、社会的孤立を救うための文化による社会包摂の動き、教育や地方が実現可能な少子化対策など、新しい処方箋を再提案する。
著者は1962年、東京都生まれ。劇作家・演出家。芸術文化観光専門職大学学長、青森県立美術館館長。著書に『新しい広場をつくる 市民芸術概論綱要』など。
◆上月豊久『プーチンの歴史認識━隠された意図を読み解く』 新潮選書 2/18刊 1650円
権力者にとって歴史は「政治の道具」そのもの! 決して頭の中を覗かせない男の本音は、彼が発表してきた論文やスピーチの中にある。ロシアの成り立ち、正教の役割、統治の基本概念――難解とされる彼の論文の数々に、何が省かれ、歪曲されているのか。プーチンの「洗礼の十字架」とは何か。なぜ「大動乱の時代」を嫌悪するのか。前ロシア大使が独裁者の「内なる思考」を浮き彫りにする。
著者は1956年、東京都生まれ。外務省欧州局長などを経てロシア連邦駐箚特命全権大使を務める。現在、東海大学平和戦略国際研究所所長・国際学部教授。
◆大塚真祐子ほか『書店員の怒りと悲しみと少しの愛』knott books 2/20刊 1900円
出版不況といわれて久しい。売り上げがピークの半分になっても、いまだ改善する兆しは見えない。書店員のやる気を削ぐような無駄や理不尽がまかり通っている。いまどれほど書店の現場が疲弊しているか、書店員が何を考えて仕事をしているのか、何に怒っていて、何に不満があるのか、知られざる実態を明かす。さまざまな立場の書店員による、書店の苦境や書店員であることへの思い、出版業界の不満や出版社への不信感、本や読者への思いを一人称で綴った怒りと悲しみと愛の記録である。
著者・大塚真祐子のほかに、水越麻由子/篠田宏昭/前田隆紀/笈入建志/モーグ女史/小国貴司/嶋田詔太の7人による現場からレポート。
◆江原由美子『フェミニズム』岩波新書 2/25刊 1060円
いったい「フェミニズム」とは何なのか。どのように生まれ、何を主張してきたのか。「女性である」という「普通」のことに差別や抑圧を見出すという「常識外れ」な主張は、どのように生まれ、いかなる変革を成し遂げてきたのか。共感と反感の嵐にさらされながら、多様な展開を生んでいる思想・運動。そのあゆみを長期的な視点から振り返り、フェミニズムとはいったい何なのか、わかりやすく語りかける。
著者は1952年、神奈川県生まれ。東京都立大学名誉教授。神奈川人権センター理事長。日本のフェミニズム理論に大きな功績をあげる。著書に『持続するフェミニズムのために』など。
◆武井彩佳『ホロコースト後の機能不全━ドイツ、イスラエル、犠牲と加害の関係』角川新書 2/10刊 980円
なぜドイツはイスラエルを批判できないのか? イスラエルのガザ攻撃はホロコーストの記憶とも結びつけられる。ドイツによるイスラエル支援は、補償にとどまらず武器供与まで及んだ。イスラエルへの安全保障は「国是」となっていた。ナチズムの克服は、より良い世界をつくるためではなかったのか。ドイツとイスラエルの特殊な関係を明確に分析し、ガザ紛争を防げなかった世界構造のねじれを解く。
著者は1971年、愛知県生まれ。早稲田大学比較法研究所助手などを経て学習院女子大学教授。専攻はドイツ現代史、ホロコースト研究。著書に『歴史修正主義』(中公新書)など。
◆高橋信雄『裁かれた<偽りの科学>━原爆訴訟判決文から見えた真実』 花伝社 2/10刊–2700円
この国は、被爆者たちとどのように向き合ってきたのか。国の被爆者対策として成立した被爆者援護法。しかし援護申請は一方的に却下されるようになり、また残留放射線による被爆も認められず、被爆者たちは不合理に沈黙を強いられることになる。司法に正義を求め、国との裁判に挑んだ被爆者たち。〈科学〉の名の下に被爆者の訴えを退けようとした国は、いかにして裁かれたのか。救済を求めて闘った、被爆者たちを追うドキュメンタリー。
著者は1950年生まれ。九州大学経済学部卒。元長崎新聞論説委員長。現在はノンフィクション作家。著書に『鈴木天眼 反戦反骨の大アジア主義』など。
◆松谷満『「右派市民」と日本政治━愛国・排外・反リベラルの論理』朝日新書2/13刊 870円
突然の<自己チュウ解散>そして総選挙の顛末に現れているように、異形の右派勢力が日本を動かす!? 安倍政権を熱狂的に支持した「岩盤保守層」。安倍氏の死後、かれらがよりどころにしたのは高市氏やトランプ氏。さらには参政党、日本保守党といった新たな右派アイコンの台頭だった――。いま日本政治を左右する、新しい「右派」の実像に迫る。
著者は1974年、福島県生まれ。名古屋大学文学部を卒業後、大阪大学大学院人間科学研究科で博士課程修了。中京大学教授。共編著に『外国人へのまなざしと政治意識』など。
◆平田オリザ『寂しさへの処方箋━芸術は社会的孤立を救うか』集英社新書 2/16刊 960円
いま日本は他国とは違う独特の「寂しさ」「いらつき」「不安」に覆われている。終わりの見えない不況、アジア唯一の先進国からの転落と国力の衰退などが、その背景にある。いかにして克服できるか、「日本再生のカギは芸術文化立国をめざすところにある!」と提案し、その試みを現代に合わせてさらに進化させ、モノが飽和しコトの消費が求められる時代に芸術と観光が果たせる役割、社会的孤立を救うための文化による社会包摂の動き、教育や地方が実現可能な少子化対策など、新しい処方箋を再提案する。
著者は1962年、東京都生まれ。劇作家・演出家。芸術文化観光専門職大学学長、青森県立美術館館長。著書に『新しい広場をつくる 市民芸術概論綱要』など。
◆上月豊久『プーチンの歴史認識━隠された意図を読み解く』 新潮選書 2/18刊 1650円
権力者にとって歴史は「政治の道具」そのもの! 決して頭の中を覗かせない男の本音は、彼が発表してきた論文やスピーチの中にある。ロシアの成り立ち、正教の役割、統治の基本概念――難解とされる彼の論文の数々に、何が省かれ、歪曲されているのか。プーチンの「洗礼の十字架」とは何か。なぜ「大動乱の時代」を嫌悪するのか。前ロシア大使が独裁者の「内なる思考」を浮き彫りにする。
著者は1956年、東京都生まれ。外務省欧州局長などを経てロシア連邦駐箚特命全権大使を務める。現在、東海大学平和戦略国際研究所所長・国際学部教授。
◆大塚真祐子ほか『書店員の怒りと悲しみと少しの愛』knott books 2/20刊 1900円
出版不況といわれて久しい。売り上げがピークの半分になっても、いまだ改善する兆しは見えない。書店員のやる気を削ぐような無駄や理不尽がまかり通っている。いまどれほど書店の現場が疲弊しているか、書店員が何を考えて仕事をしているのか、何に怒っていて、何に不満があるのか、知られざる実態を明かす。さまざまな立場の書店員による、書店の苦境や書店員であることへの思い、出版業界の不満や出版社への不信感、本や読者への思いを一人称で綴った怒りと悲しみと愛の記録である。
著者・大塚真祐子のほかに、水越麻由子/篠田宏昭/前田隆紀/笈入建志/モーグ女史/小国貴司/嶋田詔太の7人による現場からレポート。
◆江原由美子『フェミニズム』岩波新書 2/25刊 1060円
いったい「フェミニズム」とは何なのか。どのように生まれ、何を主張してきたのか。「女性である」という「普通」のことに差別や抑圧を見出すという「常識外れ」な主張は、どのように生まれ、いかなる変革を成し遂げてきたのか。共感と反感の嵐にさらされながら、多様な展開を生んでいる思想・運動。そのあゆみを長期的な視点から振り返り、フェミニズムとはいったい何なのか、わかりやすく語りかける。
著者は1952年、神奈川県生まれ。東京都立大学名誉教授。神奈川人権センター理事長。日本のフェミニズム理論に大きな功績をあげる。著書に『持続するフェミニズムのために』など。
2026年02月13日
2026年02月12日
【出版ネッツ声明】生成AIにおけるクリエイター保護へ適切な法規制を求める
生成AI開発や利活用が急速に進展しています。生成AIはイラストや動画、文章などを手軽に出力できる一方で、著作権の侵害やディープフェイクの拡大など大きな問題をはらんでいます。2025年5月、AI法(人工知能関連技術の研究開発及び活用の推進に関する法律)が成立し、同年12月、政府はAI基本計画を閣議決定しました。AI法や基本計画には、「イノベーション促進とリスク対応の両立」がうたわれていますが、リスク対応は後回しにされ、バランスが崩れているのが現状です。
このような状況下、多くのクリエイターが無断で自身の創作物を生成AIに利用され傷つき苦しんでいます。作家狙い撃ちの生成AIによる嫌がらせにあっているという声も寄せられています。さらに多くのクリエイターが著作者としての権利と生計(仕事の継続)への脅威と不安を抱いています。他者の権利を侵害して生成される画像や動画、テキストが野放しになってしまってはコンテンツ産業に未来はありません。
私たちはイラスト、マンガなどコンテンツ産業に携わるフリーランスのユニオンとして、生成AIについての法規制を求めます。AI規制法(仮)の基本方針として、基本的人権と著作者としての権利の保護を明示し、透明性、公正性、さらに説明と合意を担保することが求められます。また、実効性確保のために、違反行為を申告できる窓口、申し出があった場合の是正措置や罰則を定めることも必要です。すでにヨーロッパや韓国などではAI規制法が施行されています。
クリエイターの権利保護は、喫緊の課題です。
上記基本方針に基づき、具体的に策定するルールとして、以下の4点を求めます。
1学習データの開示義務化
生成AIは著名なコンテンツを含む多くの表現を無断で取り込んでいます。どの著作物を学習させてつくられたのか、その権利関係情報を含む透明性の確保が必要不可欠です。学習データの開示がされないと、自分の作品が学習されているかどうかを確認することができず、権利侵害の有無の確認やオプトアウト(事後の不同意)したり公正な収益還元のためのアクションを起こすこともできません。
2生成AIの利用有無のラベリング義務化
生成AIを利用した制作物であるにもかかわらず、それを伏せて公表するケースがこれまで多く見られました。たとえば、生成AI利用を伏せた制作物がコンペに応募されれば公正な審査ができなくなります。また写真の場合は、実際にあるものなのか、生成AIでつくられたものなのかが一目でわからないと混乱をきたします。
生成AI事業者や利用者には、 生成AIを利用してつくられた制作物なのかどうかを明示する義務を課す必要があります。同時に、SNSのプラットフォーム企業にもラベリングが適切に行われているか管理・監督を行う責任を課すことを求めます。
3オプトイン、オプトアウトの義務に関するルールの策定
クリエイターにとって著作権は非常に大事な権利です。無断で自分の著作物が短時間に大量に模倣されてしまうことは、数多のクリエイターによって支えられているコンテンツ産業の裾野を確実に衰退させます。生成AI事業者からクリエイターへのオプトイン(事前の同意)の義務化、クリエイターからのオプトアウト(事後の不同意)方法策定の義務化は、今後のコンテンツ産業の健全な発展のために必要不可欠です。
とりわけ著作物の利用にあたって、著作権者に許諾を得ること(=オプトイン)は、著作権法の原則です。現行の著作権法では、著作物を生成AIの学習データとする場合のような情報解析を目的とする利用であって、著作物に表現された思想や感情を享受することを目的としない場合には、原則として許諾不要とされています(第30条の4)。しかし、その後の生成AI技術の急速な進展により、状況が大きく変化しています。今一度この条項の見直しを含め、著作権侵害を容認しないという原則の確認が必要です。
4ディープフェイク画像・動画・テキスト生成への罰則規定の導入
生成AIには著作権以外にも問題点があります。それはディープフェイクの問題です。災害時や選挙期間などにおける政治的ディープフェイクの拡散は、人権侵害を引き起こすだけでなく、民主主義の基盤を危うくし、人々の「知る権利」を阻害します。とりわけ性的ディープフェイクの被害は深刻です。しかし、現在これを規制する法律はありません。早急な対応が求められています。
現状では、生成AI画像の「類似性」が認められたとしても、フリーランスのクリエイターやディープフェイクの被害者が個人で裁判などを起こすことは非常に困難です。権利侵害を予防するためにも、法的な規制と相談・申告できる窓口が必要です。 著作権法上の権利と対価(報酬)は、クリエイターであるフリーランスの創作の源泉であり、ひいては文化的価値を生み出す源泉です。クリエイターの権利保護と創作環境の整備・維持のために、AI規制法の制定を強く求めるものです。
2026年2月1日
ユニオン出版ネットワーク(出版ネッツ)
このような状況下、多くのクリエイターが無断で自身の創作物を生成AIに利用され傷つき苦しんでいます。作家狙い撃ちの生成AIによる嫌がらせにあっているという声も寄せられています。さらに多くのクリエイターが著作者としての権利と生計(仕事の継続)への脅威と不安を抱いています。他者の権利を侵害して生成される画像や動画、テキストが野放しになってしまってはコンテンツ産業に未来はありません。
私たちはイラスト、マンガなどコンテンツ産業に携わるフリーランスのユニオンとして、生成AIについての法規制を求めます。AI規制法(仮)の基本方針として、基本的人権と著作者としての権利の保護を明示し、透明性、公正性、さらに説明と合意を担保することが求められます。また、実効性確保のために、違反行為を申告できる窓口、申し出があった場合の是正措置や罰則を定めることも必要です。すでにヨーロッパや韓国などではAI規制法が施行されています。
クリエイターの権利保護は、喫緊の課題です。
上記基本方針に基づき、具体的に策定するルールとして、以下の4点を求めます。
1学習データの開示義務化
生成AIは著名なコンテンツを含む多くの表現を無断で取り込んでいます。どの著作物を学習させてつくられたのか、その権利関係情報を含む透明性の確保が必要不可欠です。学習データの開示がされないと、自分の作品が学習されているかどうかを確認することができず、権利侵害の有無の確認やオプトアウト(事後の不同意)したり公正な収益還元のためのアクションを起こすこともできません。
2生成AIの利用有無のラベリング義務化
生成AIを利用した制作物であるにもかかわらず、それを伏せて公表するケースがこれまで多く見られました。たとえば、生成AI利用を伏せた制作物がコンペに応募されれば公正な審査ができなくなります。また写真の場合は、実際にあるものなのか、生成AIでつくられたものなのかが一目でわからないと混乱をきたします。
生成AI事業者や利用者には、 生成AIを利用してつくられた制作物なのかどうかを明示する義務を課す必要があります。同時に、SNSのプラットフォーム企業にもラベリングが適切に行われているか管理・監督を行う責任を課すことを求めます。
3オプトイン、オプトアウトの義務に関するルールの策定
クリエイターにとって著作権は非常に大事な権利です。無断で自分の著作物が短時間に大量に模倣されてしまうことは、数多のクリエイターによって支えられているコンテンツ産業の裾野を確実に衰退させます。生成AI事業者からクリエイターへのオプトイン(事前の同意)の義務化、クリエイターからのオプトアウト(事後の不同意)方法策定の義務化は、今後のコンテンツ産業の健全な発展のために必要不可欠です。
とりわけ著作物の利用にあたって、著作権者に許諾を得ること(=オプトイン)は、著作権法の原則です。現行の著作権法では、著作物を生成AIの学習データとする場合のような情報解析を目的とする利用であって、著作物に表現された思想や感情を享受することを目的としない場合には、原則として許諾不要とされています(第30条の4)。しかし、その後の生成AI技術の急速な進展により、状況が大きく変化しています。今一度この条項の見直しを含め、著作権侵害を容認しないという原則の確認が必要です。
4ディープフェイク画像・動画・テキスト生成への罰則規定の導入
生成AIには著作権以外にも問題点があります。それはディープフェイクの問題です。災害時や選挙期間などにおける政治的ディープフェイクの拡散は、人権侵害を引き起こすだけでなく、民主主義の基盤を危うくし、人々の「知る権利」を阻害します。とりわけ性的ディープフェイクの被害は深刻です。しかし、現在これを規制する法律はありません。早急な対応が求められています。
現状では、生成AI画像の「類似性」が認められたとしても、フリーランスのクリエイターやディープフェイクの被害者が個人で裁判などを起こすことは非常に困難です。権利侵害を予防するためにも、法的な規制と相談・申告できる窓口が必要です。 著作権法上の権利と対価(報酬)は、クリエイターであるフリーランスの創作の源泉であり、ひいては文化的価値を生み出す源泉です。クリエイターの権利保護と創作環境の整備・維持のために、AI規制法の制定を強く求めるものです。
2026年2月1日
ユニオン出版ネットワーク(出版ネッツ)
2026年02月11日
【おすすめ本】雨宮処凛 『25年、フリーランスで食べてます──隙間産業で生きていく』―仕事をこなす秘策・鉄則を大公開!=鈴木 耕(編集者)
めっちゃ(ちょっと若者風に)面白い「労働問題解説書」である。どう すれば25年間もフリーランスで食べてこられたのか、その仔細な道筋。 その解説が見事に腑に落ちる。
でもこれは著者の華麗なトリック。第1章「フ リーランスのノウハウ、すべて晒します」。小見 出しを追っていくだけで読者をその気にさせる。
でもよく読むと、かなりヘヴィな内容だ。確かにこれを実践できれば、あなたもフリーランスとして、1本立ちできるかもしれない。その気にさせる筆力は、さすがに25年の蓄積が生きている。 文章中のゴシック活字を拾い読みしていくだけで、内容がきちんと理解できる仕組み。
フリーランスの鉄則の数々、そんじょそこらの人間にできる技じゃないよな、秘策の公開だ。
隙間を狙え、締め切りに遅れるな、好きなことは無償でもやれ、いつでも辞められる態勢を作っておけ、自分しかできないことをしろ、岐路に立ったら危ない方へ、SNSから身を守る方法、絶対にドタキャンしないなどなど。
これは仕事上のアドバイスだが、極めて真っ当な生き抜く術でもある。つまらぬ「自己啓発本」 など足元にも及ばぬ具体的な道筋が懇切丁寧に示されている。
働くことの意味、つまり労働問題解説書としても超一流なのだ。そんな生き方をしている人たちへのインタビューや、弁護士に訊くフリーランスの自衛法も。そして圧巻は雨宮処凛の半生を綴った第4章だ。疾風怒濤の25年がまるで映画のよう…。めっちゃ面白かったよ! (河出新書 1,100円)
でもこれは著者の華麗なトリック。第1章「フ リーランスのノウハウ、すべて晒します」。小見 出しを追っていくだけで読者をその気にさせる。
でもよく読むと、かなりヘヴィな内容だ。確かにこれを実践できれば、あなたもフリーランスとして、1本立ちできるかもしれない。その気にさせる筆力は、さすがに25年の蓄積が生きている。 文章中のゴシック活字を拾い読みしていくだけで、内容がきちんと理解できる仕組み。
フリーランスの鉄則の数々、そんじょそこらの人間にできる技じゃないよな、秘策の公開だ。
隙間を狙え、締め切りに遅れるな、好きなことは無償でもやれ、いつでも辞められる態勢を作っておけ、自分しかできないことをしろ、岐路に立ったら危ない方へ、SNSから身を守る方法、絶対にドタキャンしないなどなど。
これは仕事上のアドバイスだが、極めて真っ当な生き抜く術でもある。つまらぬ「自己啓発本」 など足元にも及ばぬ具体的な道筋が懇切丁寧に示されている。
働くことの意味、つまり労働問題解説書としても超一流なのだ。そんな生き方をしている人たちへのインタビューや、弁護士に訊くフリーランスの自衛法も。そして圧巻は雨宮処凛の半生を綴った第4章だ。疾風怒濤の25年がまるで映画のよう…。めっちゃ面白かったよ! (河出新書 1,100円)
2026年02月10日
【神奈川支部リポート】 知ってますか? 軍転法 横須賀の平和運動家に聞く=藤森 研
クイズです。横須賀、呉、佐世保、舞鶴の4市に共通するのは何?
戦前、海軍の「鎮守府」があった。正解です。
では戦後は?
海上自衛隊の地方総監部がある。正解です。
それから、この4市にだけ旧軍港市転換法(軍転法)が適用されている、というのも正解です。
この法律を、筆者は全く知りませんでした。昨年10月の神奈川支部の例会に、非核市民宣言運動・ヨコスカの中心メンバー、新倉裕史さんを招いて講演してもらい、その後も横須賀市の事務所を訪れて話を聞きました。
「軍転法」は第1条で「この法律は、旧軍港市を平和産業港湾都市に転換することにより、平和日本実現の理想達成に寄与することを目的とする」と謳っています。横須賀、呉、佐世保、舞鶴の4市の旧軍用地を無償や廉価で市に譲ることなどを定めた法律で、国会承認と4市の住民投票での圧倒的賛成を経て、1950年に成立・施行されました。
しかし前後して勃発した朝鮮戦争と日本の再軍備で、各港には米軍基地や海上自衛隊地方総監部が置かれることになり、理想はついえたかに見えます。
確かに軍港回帰の現実は覆うべくもありませんが、戦後平和主義の「種火」は残りました。軍転法は現在も生きており、横須賀では旧軍用地跡に横須賀芸術劇場、追浜工業団地などが生まれています。
けれども最近、この4市に共通の新しい問題が起きています。政府は敵基地攻撃能力(反撃能力)保有のため、陸上では熊本の健軍駐屯地などに12式地対艦誘導弾能力向上型を、海上では佐世保、横須賀など各港のイージス艦8隻に、米国製巡航ミサイル・トマホークを配備する計画を打ち出しました。それぞれ関係支部は情報をお持ちかと思います。
トマホークは射程約1600キロ。北朝鮮や中国が射程に入ります。「戦争の加害国になりたくないし、他国に攻撃されたくもない」という人々の願いに反して、新たな軍拡の動きが進みつつあります。
新倉さんたちはトマホーク配備撤回を求める署名・請願を横須賀市議会に出し、呉、佐世保、舞鶴の平和団体との連携も強めています。「実定法である軍転法という足場を生かせたら、と考えています」と新倉さん。
ちなみに、新倉さんたちが反戦を訴え半世紀にわたり続けてきた横須賀市内の月例デモ=写真=は今月(26年1月)で600回を数えます。基地の街の平和運動の粘り強さに、感嘆します。
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2026年1月25日号
2026年02月09日
【JCJ オンライン講演会】新日程決定 スパイ防止法は国家の情報管理を目指す 講師:足立 昌勝さん(関東学院大学名誉教授)2月21日(土)午後2時から4時
■開催趣旨:
日本の軍事化へのアクセルを加速させている高市政権。スパイ防止法や国家情報局の設置などにも前のめりの姿勢を示していて、今年は法案の国会提出などが予想されます。日本を戦前へ引き戻し、民主主義と平和を脅かすような動きを、私たち市民は阻止していかなければなりません。JCJではこうした危機感から、今後スパイ防止法などの問題に関わっている方々の話を聞き、共に考えていくオンライン講演会を連続して開催します。
第1回は、これまでも秘密保護法や共謀罪などに反対する活動を続けてきた関東学院大学名誉教授の足立昌勝さんにスパイ防止法と、その先にある国家情報局をめぐる動きについてお話をうかがいます。
足立さんはスパイ防止法が市民を萎縮させ、表現の自由が脅かされると指摘します。スパイ防止法・国家情報局へと向かう高市政権の狙いは何なのか、ジャーナリズムや市民はどう対抗していけばよいのかなどについて解説していただきます。
■講演者プロフィール:足立昌勝さん
1943年生まれ、中央大学法学部大学院法学研究科博士課程単位取得退学。静岡大学法経短期大学部教授を経て、1992年関東学院大学法学部教授、2014年同大学名誉教授。現在、救援連絡センター代表、日弁連刑事法制委員会助言者。
■参加費:500円(JCJ会員は無料)
参加希望の方は下記のURL(Peatix)をクリックして、参加費をお支払いください。
https://jcjonline0117.peatix.com/view
■主催:日本ジャーナリスト会議(JCJ)
■オンライン参加に関するお問い合わせは
電話03-6272-9781(月水金の13時から17時まで)またはメールで office@jcj.gr.jp
日本の軍事化へのアクセルを加速させている高市政権。スパイ防止法や国家情報局の設置などにも前のめりの姿勢を示していて、今年は法案の国会提出などが予想されます。日本を戦前へ引き戻し、民主主義と平和を脅かすような動きを、私たち市民は阻止していかなければなりません。JCJではこうした危機感から、今後スパイ防止法などの問題に関わっている方々の話を聞き、共に考えていくオンライン講演会を連続して開催します。
第1回は、これまでも秘密保護法や共謀罪などに反対する活動を続けてきた関東学院大学名誉教授の足立昌勝さんにスパイ防止法と、その先にある国家情報局をめぐる動きについてお話をうかがいます。
足立さんはスパイ防止法が市民を萎縮させ、表現の自由が脅かされると指摘します。スパイ防止法・国家情報局へと向かう高市政権の狙いは何なのか、ジャーナリズムや市民はどう対抗していけばよいのかなどについて解説していただきます。
■講演者プロフィール:足立昌勝さん
1943年生まれ、中央大学法学部大学院法学研究科博士課程単位取得退学。静岡大学法経短期大学部教授を経て、1992年関東学院大学法学部教授、2014年同大学名誉教授。現在、救援連絡センター代表、日弁連刑事法制委員会助言者。
■参加費:500円(JCJ会員は無料)
参加希望の方は下記のURL(Peatix)をクリックして、参加費をお支払いください。
https://jcjonline0117.peatix.com/view
■主催:日本ジャーナリスト会議(JCJ)
■オンライン参加に関するお問い合わせは
電話03-6272-9781(月水金の13時から17時まで)またはメールで office@jcj.gr.jp
2026年02月08日
【フォトアングル】厚木基地のオスプレイに怒りの声あげる=1月4日、神奈川県大和市、伊東良平撮影
「新春厚木基地ウオッチング」が1月4日に米軍厚木基地前で開催された。神奈川県平和委員会が毎年この時期の新春恒例行動で、地元、大和市平和委員会の佐野昭広事務局長が厚木基地を利用した2025年の日米共同訓練の実態やオスプレイの飛行状況、厚木基地への抗議行動などを報告。オスプレイは最近も頻繁に飛来し、先月には大型輸送ヘリからヘルメット1個が落下して住民の安全を脅かした。リレートークを行った24人の参加者は次々と怒りの声をあげた。
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2026年1月25日号
2026年02月07日
【おすすめ本】荻野 富士夫『治安維持法と「国体」』―いま日本で急速に進む 「新しい戦中」前夜の危機=藤田 廣登(治安 維持法犠牲者国家賠償要求同盟顧問)
昨年は治安維持法成立100年を迎え、治安維持法暴圧を告発する人々の運動が盛り上がりをみせた。同時に同法の研究も顕著な進展があった。
その一つが、荻野氏の『検証・治安維持法―なぜ「法の暴力」が蔓延し たのか』(平凡社)であ り、さらに本書である。
前著の末尾で、荻野氏は「戦前を席巻した『国 体』はまだ出現していないが国際緊張の暴発、排外主義の沸騰は『新しい戦中・新しい国体』を発 現」すると警告していた。
治安維持法は第一条で「国体を変革するために結社を組織・加入」を犯 罪とした。その「国体」 とは「大日本帝国憲法」 に規定される天皇絶対の専制支配権力である。
本書の第一部は、どのようにして「国体」が治 安維持法の根幹に据えられ、拡張されて行ったのかを、三つの論考で解明し、社会変革を進める運動を抑え込むだけではなく、思想・学問を統制し 戦争遂行体制構築に結びついた、と結論する。
第二部では、日本共産党が「君主制」・「天皇 制」をどう捉え、闘かっ たか、に焦点を当てる。
荻野氏は、「新しい戦 前」という表現を、タモ リ氏発言(2022年) より4年も早く使って,わが国の軍事大国化とそれに並行する現代版治安維持法体制の構築に警鐘を乱打し、本書では「新しい戦中」前夜と表現している。
いま進む高市極右政権の危険性と参院選で躍進した参政党が、大日本帝国憲法と教育勅語をベースに、「国体」を盛りこ んだ「新日本憲法」(構想案)を掲げているだけに、本書は広く読まれてほしい。(大月書店 2,800円)
その一つが、荻野氏の『検証・治安維持法―なぜ「法の暴力」が蔓延し たのか』(平凡社)であ り、さらに本書である。
前著の末尾で、荻野氏は「戦前を席巻した『国 体』はまだ出現していないが国際緊張の暴発、排外主義の沸騰は『新しい戦中・新しい国体』を発 現」すると警告していた。
治安維持法は第一条で「国体を変革するために結社を組織・加入」を犯 罪とした。その「国体」 とは「大日本帝国憲法」 に規定される天皇絶対の専制支配権力である。
本書の第一部は、どのようにして「国体」が治 安維持法の根幹に据えられ、拡張されて行ったのかを、三つの論考で解明し、社会変革を進める運動を抑え込むだけではなく、思想・学問を統制し 戦争遂行体制構築に結びついた、と結論する。
第二部では、日本共産党が「君主制」・「天皇 制」をどう捉え、闘かっ たか、に焦点を当てる。
荻野氏は、「新しい戦 前」という表現を、タモ リ氏発言(2022年) より4年も早く使って,わが国の軍事大国化とそれに並行する現代版治安維持法体制の構築に警鐘を乱打し、本書では「新しい戦中」前夜と表現している。
いま進む高市極右政権の危険性と参院選で躍進した参政党が、大日本帝国憲法と教育勅語をベースに、「国体」を盛りこ んだ「新日本憲法」(構想案)を掲げているだけに、本書は広く読まれてほしい。(大月書店 2,800円)
2026年02月06日
【リレー時評】「戦後民主主義」を日常に取り戻す=山口昭男(JCJ代表委員)
「戦後80年」が過ぎて、改めて「戦後」について考えている。昨年8月9日のJCJシンポジウム「戦後80年――私たちは今どこにいるのか」で、私は「戦後」はもはや「同時代史」から「歴史」になったとお話した。
「戦争の記憶」は生々しくなくなり、加藤周一の言う「戦争による死者への『負い目』」はなかなか共有されにくくなっている。日々の生活に追われているうちに国が大きく動いている。
日高六郎は1970年代半ばに「かつての日本軍国主義の指導は『無責任の体系』と呼ばれた。いまは平和の時代のなかでの「無責任の体系」が進行している」と記した(『戦後思想を考える』岩波新書)が、いま三たび「無責任の体系」がまん延してきているのではないだろうか。
「戦後」が冷戦終結の1989年で終わり、2020年代に入って世界中が浮足立ち、「戦後」後が、いま終わろうとしている。それでは「戦後後」の次は、どのような時代になるのか。「戦前回帰」なのか。考えるヒントの一つとして、「戦後民主主義」に着目したい。
この言葉は、おさらいをすると「国民主権、基本的人権の尊重、平和主義など、戦争の反省から生まれた新しい社会秩序の在り方を示す」言葉と言ってよい。その象徴が日本国憲法である。代表者として、丸山真男、加藤周一の名前がまず挙がるように、その根底には近代民主主義の思想、価値への信頼がある。
しかし「戦後民主主義」をただ唱えているだけでは、回顧するだけでは意味がない。憲法にしてもそうだ。当たり前のことだが、護憲とは憲法の逐条をただ護るということではなく、その価値観を尊重することにある。80年前、私たちがたどり着いた「戦後民主主義」とはそういうものだったはずである。
赤川次郎は「戦後生まれの私にとって、『戦後民主主義』はスローガンではなく、日常生活の一部として、そこにあった――はずである」と書き、また原一男は「私の生きてきた軌跡全てが、戦後民主主義的なる価値観によって突き動されてきたという感じがある」と書いている(『私の「戦後民主主義」』)。
だがいま、「戦後民主主義」はとても「日常」とは言えなくなっている。10年前「戦後レジームからの脱却」を掲げていた安倍晋三政権によって、集団的自衛権の行使容認を柱とする安全保障関連法案が成立した。そのときにはSEALDs(「自由と民主主義のための学生緊急行動」)など、若い世代が抗議の声を挙げたが、今回そうした声は残念ながら大きくなっていない。
いまでは逆に若者の高市内閣支持率は高く、「スパイ防止法案」を推進しようとする政党が力を強めている。国際法を無視したトランプ大統領の横暴、プーチン大統領の独善が続くなか、日本は大きな役割を果たせるはずなのに、現政権の行き方は歴史に逆行しているとしか思えない。
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2026年1月25日号
「戦争の記憶」は生々しくなくなり、加藤周一の言う「戦争による死者への『負い目』」はなかなか共有されにくくなっている。日々の生活に追われているうちに国が大きく動いている。
日高六郎は1970年代半ばに「かつての日本軍国主義の指導は『無責任の体系』と呼ばれた。いまは平和の時代のなかでの「無責任の体系」が進行している」と記した(『戦後思想を考える』岩波新書)が、いま三たび「無責任の体系」がまん延してきているのではないだろうか。
「戦後」が冷戦終結の1989年で終わり、2020年代に入って世界中が浮足立ち、「戦後」後が、いま終わろうとしている。それでは「戦後後」の次は、どのような時代になるのか。「戦前回帰」なのか。考えるヒントの一つとして、「戦後民主主義」に着目したい。
この言葉は、おさらいをすると「国民主権、基本的人権の尊重、平和主義など、戦争の反省から生まれた新しい社会秩序の在り方を示す」言葉と言ってよい。その象徴が日本国憲法である。代表者として、丸山真男、加藤周一の名前がまず挙がるように、その根底には近代民主主義の思想、価値への信頼がある。
しかし「戦後民主主義」をただ唱えているだけでは、回顧するだけでは意味がない。憲法にしてもそうだ。当たり前のことだが、護憲とは憲法の逐条をただ護るということではなく、その価値観を尊重することにある。80年前、私たちがたどり着いた「戦後民主主義」とはそういうものだったはずである。
赤川次郎は「戦後生まれの私にとって、『戦後民主主義』はスローガンではなく、日常生活の一部として、そこにあった――はずである」と書き、また原一男は「私の生きてきた軌跡全てが、戦後民主主義的なる価値観によって突き動されてきたという感じがある」と書いている(『私の「戦後民主主義」』)。
だがいま、「戦後民主主義」はとても「日常」とは言えなくなっている。10年前「戦後レジームからの脱却」を掲げていた安倍晋三政権によって、集団的自衛権の行使容認を柱とする安全保障関連法案が成立した。そのときにはSEALDs(「自由と民主主義のための学生緊急行動」)など、若い世代が抗議の声を挙げたが、今回そうした声は残念ながら大きくなっていない。
いまでは逆に若者の高市内閣支持率は高く、「スパイ防止法案」を推進しようとする政党が力を強めている。国際法を無視したトランプ大統領の横暴、プーチン大統領の独善が続くなか、日本は大きな役割を果たせるはずなのに、現政権の行き方は歴史に逆行しているとしか思えない。
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2026年1月25日号
2026年02月05日
【敵基地の現場から】戦火の種許さず 声響く=丹原美穂(「沖縄西日本ネットワーク」事務局・JCJ東海)
全国各地の自衛隊基地で進む長射程ミサイル配備や弾薬庫増設。20年8月、第4次安倍政権下の自民政務調査会「敵基地攻撃能力」提言は22年、岸田政権の「安保3文書」明記で現実化した。「戦争準備」に抗い「戦争させない、平和を守れ」と立ち上がった沖縄、九州、西日本の市民の取り組みを11月号に続き報告する。
【大分】ミサイル配備NO
他国を攻撃する長射程ミサイル配備が予定される陸上自衛隊大分分屯地で、9棟の大型弾薬庫新設工事が始まる11月29日を前に大分市では同月22日、市民が「ミサイル搬入反対!大分総決起集会」に立ち上がった。
会場の大分市コンパルホールに集まった市民は「弾薬庫は軍事施設であり、戦争の火種だ。抑止力というが、弾薬・ミサイルを蓄え、訓練をすることは戦争の準備だ。80年前もう二度と戦争をしないと誓ったはず。戦争は嫌だ!ミサイルも弾薬庫もいらない!戦争を止める」と、参加者一同で集会決議を採択した。
集会後は参加者有志50人が大分駅前に向かい、「やめろ!危険なミサイル弾薬庫」などの横断幕やメッセージボードを手に、街頭行動を展開して通行の市民に訴えた。
市民らは1棟目の第1弾薬庫完工日の12月15日に合わせ集会を開催、デモ行進もした。
【熊本】加害も被害も嫌だ
熊本では11月24日、「戦争だけはしちゃならん!熊本行動」が展開された。県平和委員会など市民団体と「沖縄西日本ネット」が共催した「12式地対艦ミサイル配備絶対反対」集会には約400人が結集した。
沖縄から駆けつけた具志堅隆松さんの講演に続いて、地元や各地からの参加団体の現状報告が行われた。参加者らからは「今や全国に敵基地攻撃能力のあるミサイルが配備されようとしているが、かえって狙われて市民に危険が及ぶ」「加害者にも被害者にもなりたくない。戦争は嫌だ」との声が次々とあがった。
熊本では12月1日、1人の僧侶が「命をかけて戦争に反対する」とハンガーストライキ入り、「戦争やめて」と訴え続けている。また、年明け後の2月には、建軍駐屯地を2000人のヒューマンチェーンで囲む準備を進めている。
【宮城島】不法に土砂運ぶな
辺野古基地建設工事の埋め立て土砂確保で、防衛省は沖縄各地で山を崩し土砂採取を続けている。
現場のひとつ沖縄県うるま市の宮城島では「宮城島の土で戦争基地を造るな」と24年11月、島民が立ち上がった。
島民は現場で「自然を壊すな」と訴え、土砂を満載して出てくる大型ダンプに牛歩で抵抗しわずかな時間とはいえ足止め。反対の意思表示を続けている。また大型ダンプの通行台数も毎日チェックしている。12月2日に、その現場に参加した。
宮城島はうるま市東側の金武湾に浮かぶ周囲12・24qの小さな島だ。両側を挟む平安座島、伊計島とも行き来でき、沖縄本島側との行き来も勝連半島から延びる「海中道路」(平安座島経由)で可能という島は、小山がほとんどで島民(2012年813人)もそこに暮らす。
その島で19年1月から突然、土砂採取が始まった。大型ダンプが島を行き来し、「このままでは山がなくなる」と島民は不安を募らせた。
山から採取した土砂を積んだ大型ダンプが行き来するのは農道だ。その舗装基準で想定された大型車の通行台数は1日15台程度、最大40台未満だ。それがいきなり、とんでもない台数が行き来する場と化した。
工事期間は29年1月10日まで(工事表示)。
「今は1日、200台が普通だ」。「道路が傷み2度も修理した」。「違法が当たり前のこととして通っている」。島民の怒りは収まらない。
【沖縄】遺骨突き上がる思い
沖縄戦遺骨収集ボランティアの具志堅隆松さんにご案内頂き、沖縄最南部・ひめゆりの塔のさらに南に位置する糸満市美和村束辺名(つかへな)で、全身が発掘された戦没者のご遺骨と対面させていただいた。
写真とは違い、実物に向かうと言葉にできない思いが胸を突き上げた。わずか5〜6歩離れた場所にも80年間の野ざらしで散らばる別の人のご遺骨があった。この付近は発掘すればまだご遺骨が出るかもしれないとのことだ。
「死者への供養は戦争をしないこと」
手を合わせる。
戦争をさせてはいけないと強く思った。
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2025年12月25日号
【大分】ミサイル配備NO
他国を攻撃する長射程ミサイル配備が予定される陸上自衛隊大分分屯地で、9棟の大型弾薬庫新設工事が始まる11月29日を前に大分市では同月22日、市民が「ミサイル搬入反対!大分総決起集会」に立ち上がった。
会場の大分市コンパルホールに集まった市民は「弾薬庫は軍事施設であり、戦争の火種だ。抑止力というが、弾薬・ミサイルを蓄え、訓練をすることは戦争の準備だ。80年前もう二度と戦争をしないと誓ったはず。戦争は嫌だ!ミサイルも弾薬庫もいらない!戦争を止める」と、参加者一同で集会決議を採択した。
集会後は参加者有志50人が大分駅前に向かい、「やめろ!危険なミサイル弾薬庫」などの横断幕やメッセージボードを手に、街頭行動を展開して通行の市民に訴えた。
市民らは1棟目の第1弾薬庫完工日の12月15日に合わせ集会を開催、デモ行進もした。
【熊本】加害も被害も嫌だ
熊本では11月24日、「戦争だけはしちゃならん!熊本行動」が展開された。県平和委員会など市民団体と「沖縄西日本ネット」が共催した「12式地対艦ミサイル配備絶対反対」集会には約400人が結集した。
沖縄から駆けつけた具志堅隆松さんの講演に続いて、地元や各地からの参加団体の現状報告が行われた。参加者らからは「今や全国に敵基地攻撃能力のあるミサイルが配備されようとしているが、かえって狙われて市民に危険が及ぶ」「加害者にも被害者にもなりたくない。戦争は嫌だ」との声が次々とあがった。
熊本では12月1日、1人の僧侶が「命をかけて戦争に反対する」とハンガーストライキ入り、「戦争やめて」と訴え続けている。また、年明け後の2月には、建軍駐屯地を2000人のヒューマンチェーンで囲む準備を進めている。
【宮城島】不法に土砂運ぶな
辺野古基地建設工事の埋め立て土砂確保で、防衛省は沖縄各地で山を崩し土砂採取を続けている。
現場のひとつ沖縄県うるま市の宮城島では「宮城島の土で戦争基地を造るな」と24年11月、島民が立ち上がった。
島民は現場で「自然を壊すな」と訴え、土砂を満載して出てくる大型ダンプに牛歩で抵抗しわずかな時間とはいえ足止め。反対の意思表示を続けている。また大型ダンプの通行台数も毎日チェックしている。12月2日に、その現場に参加した。
宮城島はうるま市東側の金武湾に浮かぶ周囲12・24qの小さな島だ。両側を挟む平安座島、伊計島とも行き来でき、沖縄本島側との行き来も勝連半島から延びる「海中道路」(平安座島経由)で可能という島は、小山がほとんどで島民(2012年813人)もそこに暮らす。
その島で19年1月から突然、土砂採取が始まった。大型ダンプが島を行き来し、「このままでは山がなくなる」と島民は不安を募らせた。
山から採取した土砂を積んだ大型ダンプが行き来するのは農道だ。その舗装基準で想定された大型車の通行台数は1日15台程度、最大40台未満だ。それがいきなり、とんでもない台数が行き来する場と化した。
工事期間は29年1月10日まで(工事表示)。
「今は1日、200台が普通だ」。「道路が傷み2度も修理した」。「違法が当たり前のこととして通っている」。島民の怒りは収まらない。
【沖縄】遺骨突き上がる思い
沖縄戦遺骨収集ボランティアの具志堅隆松さんにご案内頂き、沖縄最南部・ひめゆりの塔のさらに南に位置する糸満市美和村束辺名(つかへな)で、全身が発掘された戦没者のご遺骨と対面させていただいた。
写真とは違い、実物に向かうと言葉にできない思いが胸を突き上げた。わずか5〜6歩離れた場所にも80年間の野ざらしで散らばる別の人のご遺骨があった。この付近は発掘すればまだご遺骨が出るかもしれないとのことだ。
「死者への供養は戦争をしないこと」
手を合わせる。
戦争をさせてはいけないと強く思った。
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2025年12月25日号

