2018年09月16日

【今週の風考計】9.16─「鶴彬を二度殺させてはならぬ」に共感!

<手と足をもいだ丸太にしてかへし>(鶴彬)─プロレタリア川柳の代表句である。そう田辺聖子さんは『川柳でんでん太鼓』(講談社文庫)で書いている。
鶴彬は治安維持法に問われて東京・野方署に拘留、そこで罹患した赤痢で1938年9月14日に死去。今年が没後80年となる。

さて1930年代の日本は、軍靴の音けたたましく、1931年9月18日、日本軍は中国の柳条湖で南満鉄線路を爆破。この柳条湖事件は自作自演というのが真相である。そうまでして満州事変の発端を作った。
そして、つい3年前の9月19日、自衛隊の海外での武力行使につながる「戦争法案」を国会で強行可決。この法案は多くの人びとが「違憲」とし、かつ一人ひとりが自分の「意見」を持ち、「異見」を聞くことも大切にするため、<9・19いけんの日>が、平和への思いを忘れない日として誕生した。大切な日である。

20日は自民党総裁選の投票日だ。国民の声には耳を傾けず、コップの中で9条改憲をわめいている。9条3項に自衛隊明記か、2項(戦力を持たない)削除か、どちらにせよ自衛隊を戦争に参加させたい本音は同じ。またまた「安倍一強」政権による改憲策動に拍車がかかる。
明けて21日は国際平和デーだ。世界で起きている戦争や敵対行為を停止する日である。その日はニューヨーク国連本部ビルの平和の鐘が鳴り響く。なんとこの平和の鐘、日本政府が国連に寄贈したものだ。鐘には「世界絶対平和万歳」と鋳込まれている。

おっとっと9条改憲! 真っ向から違反するじゃないか。核兵器完全禁止条約にも背をむけ、「日本を戦争する国」へもっていく。<鶴彬を二度殺させてはならぬ>(高鶴礼子)。(2018/9/16)
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2018年09月15日

《おすすめ本》ジョン・ミッチェル著 阿部小涼訳『追跡 日米地位協定と基地公害 「太平洋のゴミ捨て場」と呼ばれて』─いま現実に沖縄では野放し! 米軍・化学兵器汚染の実態 =島袋夏子(「琉球朝日放送」報道制作部)

 沖縄の返還軍用地が抱える土壌汚染問題を調べていると、「わからないことは惨めだ」と実感する。辺野古や高江を始め、米軍絡みの事件、事故に振り回される沖縄。長く埋もれていた軍用地汚染を表に引きずり出したのは、無名の外国人ジャーナリストだった。本書の著者、ジョン・ミッチェルだ。
 ミッチェルは2012年、沖縄に駐留していた退役米軍人たちが、米国政府を相手に、枯れ葉剤被害を訴えている事実をスクープした。それはフェンス一枚隔てた所で暮らす人々の命と健康も脅かされているという告発だった。

 本書は、米国情報自由法(FOIA)を駆使して入手した1万2千ページもの公文書に基づいている。米軍占領下、演習場近くの中学校で異臭がし、生徒たちが体調不良を訴えた。また本島北部では、牛が突然死した。
 しかし当時は原因が判明せずうやむやに。そんな県民の記憶の片隅に残る奇妙な事件が、実は米軍の化学兵器などに由来していた事実を、本書は指摘する。だが重大なのは、危険が過去のことではない、いま現実にあるということだ。
 日米地位協定4条で、日本は米国に対して、返還軍用地の原状回復義務を免除している。島は今も米軍が汚したい放題の土地なのだ。

 ミッチェルは今、沖縄県民から最も信頼されるジャーナリストの一人となった。彼が突き付けるのは、日米両政府に都合よく使われ、切捨てられる沖縄だ。しかし県民は知っている。本当に惨めで怖いのは、知らないことである。本書を手に取る人たちには、考えてほしい。沖縄に誰が何を押し付けているのかを。
(岩波書店1900円)
「日米地位協定と基地公害」.jpg
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2018年09月09日

【今週の風考計】9.9─今が旬!サンマと鯖≠巡る旨い話

7月8日に解禁された今年のサンマ漁は、8月下旬から9月にかけて漁獲が回復し、水揚げ量は前年同期比140%となった。魚体は脂のノリがよく、去年より10gも重い。
水揚げ回復のおかげで、新サンマ1匹100円の店も現れている。財布を気にせず、秋の味覚が堪能できてうれしい。

有名な「目黒のさんま祭り」は、9日には目黒駅東口で、岩手県宮古漁港のさんまが、16日には西側「田道広場公園」で、宮城県気仙沼漁港のさんまが、それぞれ焼かれ、スダチや大根おろしを添えて、無料で振る舞われる。

青魚のもう一つの代表、鯖にも目を向けたい。サバ缶の人気が急上昇している。国産の大型サバを使う高級ブランド缶詰は、売り上げが前年比150%の伸びを示すという。
サバなどの青魚にはビタミンB12やビタミンD、DHAなどが多く含まれている。健康志向の流れにマッチし、安く購入できて、簡単レシピで美味しく食べられる重宝さが受け、筆者も酒のアテに充てている。

鯖と言えば、神奈川県・三浦観音の先にある地魚店で食べた「松輪サバ」の旨さが忘れられない。今頃から冬にかけて、三浦沖で一本釣りされた鯖は、胴体から尾にかけて黄色い筋が入り、肉づきが良く脂がのっている。炙りと〆のどちらもいける。

つい最近、赤松利市『鯖』(徳間書店)を読み終えたばかり。本書に出てくる「寒鯖のヘシコ」もいい。塩漬けした鯖の半身を、さらに米ヌカや麹・魚汁を入れた木桶で、1年以上も熟成発酵させた、若狭地方や丹後半島の伝統ある保存食である。炙っても切り身でも旨い。さて一気読みした本書、対馬海流に洗われる日本海の孤島を拠点に、鯖の一本釣りに狂奔する荒くれ漁師たちの破天荒な生き様を描いたノアールだ。(2018/9/9)
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2018年09月08日

≪おすすめ本≫ 斎藤貴男『戦争経済大国』─米国の戦争で築いた日本の繁栄 戦後平和の虚妄を鋭く問う=杉本恒如(「しんぶん赤旗」経済部記者)

 日本経済は1955年から73年まで、飛躍的な成長を遂げ、「奇跡」の高度成長と言われた。
 この奇跡は米国の戦争によるものだった。朝鮮戦争特需を足掛かりに、ベトナム戦争特需を跳躍台とし、日本企業は「他国の人々の不幸に乗じて儲けた」のだ。戦争経済の実態を明かし、虚構の戦後論を覆すため、著者は本書を世に問うた。

 歴史の再考を促す熱意は、足を使った取材の分厚さに表れている。ベトナム戦争と日本経済の関係を掘り下げた研究は少ない。著者は企業や官庁の当事者を訪ね歩き、資料を丹念に掘り起こす。
 総合商社の元社員はベトナム戦争に感謝した同僚の発言を回想する。「おかげさまで合成ゴムの全体が儲かる」。米兵の履く熱帯仕様のブーツが日本製だったためだ。貿易政策の中心にいた通商産業省(現経済産業省)の元キャリア官僚も証言する。戦争で「突然マーケットが開いた」と。
 当時「死の商人」を非難した市民団体、労働組合も取材対象にしている。権力による弾圧や謀略もあった。挫折や堕落、過激派の行動にも大きな紙幅を割き、また過ちや後退からも教訓を汲みあげようと努めている。

 著者は「憲法9条を本物にしなければならない」と語る。自身を含む護憲派の思想と行動を、もう一段高める決意が、底流にあるからだ。
「もう戦争する時代じゃない」。米国の戦争で財を成した沖縄企業の元会長が、あっけらかんと発する言葉に、新しい経済への転換に向けたヒントが垣間見える。
(河出書房新社1800円)
「戦争経済大国」.jpg
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2018年09月07日

【日韓学生フォーラム】 原爆と報道を考える場に 広島の式典取材し 中国新聞を訪問=古川英一

 8月6日の広島。地元の人に言わせると、今年は特別暑いとのこと。その暑さの中、私たちは広島で様々な声を聞き、そして発した。「私たち」とは、2回目を迎えた日韓学生フォーラムに参加した学生30人余りと、実行委員で同行したメディアの記者OBら総勢約50人のこと。ジャーナリストを目指す日韓の学生に、様々な現場を見てもらい、相互交流を図る企画だ。

空虚な首相挨拶

8月5日から3泊4日、学生たちは広島市内のゲストハウスで合宿≠オた。戦後73年の原爆の日に、原爆ドームに近い平和記念公園に向かった。

平和記念式典。朝から立っているだけで汗がふき出す。私は会場には入れず、公園の一角でスピーカーから安倍首相の挨拶を聞いた。

昨年の夏、国連で核兵器禁止条約が採択されたこと、さらに秋にICANがノーベル平和賞を受賞したこと、いずれも被爆地・広島の人々にとってはかけがえのない出来事であるはずだ。だが、安倍首相は一言も言及しなかった。

安倍首相が発した言葉は、私が広島で聞いた声の中で最も空虚なものだった。この空虚さに、一瞬途方に暮れた。原爆投下の悲惨さをどう伝え、核廃絶の声をどう国内外に広げていったらよいのか。問いが頭の中をめぐった。

6日午後に、中国新聞本社を訪問し、これらの問題と長年、格闘してきたジャーナリストの話を学生たちと一緒に聞いた。話し手は同紙の江種則貴特別編集委員だ。紙面づくりが一年でも最も忙しい日であるにもかかわらず、快く時間を割いてくれた。編集局の見学もできた。

新しい発見ある

江種氏は、広島には原爆の体験が根づいていること、同時に日常の暮らしと被爆体験が遠くなっていることを指摘した。広島を被害者としてとらえるだけでなく、戦争での日本の加害責任についても報道してきたという。「被爆者に加害責任を語ってもらおうとは思わない。加害責任を踏まえたうえで、広島はまず被爆者の声を伝えるのが役割だ」と語った。

飛び入りで、この場に参加したのは朝日新聞OBで、原爆報道に長年関わってきた岩垂弘さんだ。岩垂さんは「毎年8月6日は広島の地に立つ」ことを決意して実行してきた。「原爆の問題は根が深く、まだほとんど知られていない。広島を49回訪れても新しい発見がある」と話した。

翌7日は、元広島市長の平岡敬さんに講演してもらった=2面参照。中国新聞の記者時代に韓国人被爆者問題に取り組み、埋もれた被害を世にアピールした。この講演会は学生のほか、地元市民も参加できる日韓フォーラム独自の企画として開いた。

平岡さんは90歳を超えても、その内面から発するバイタリティに圧倒される。ソフトな語り口に、思わず引き込まれてしまう。「記者をつき動かしているのは、社会の不正義への怒りだ。そして弱者の立場に立つことが欠かせない。その一つが私にとって韓国人被爆者問題だった」と振り返った。

平岡さんは取材を通して韓国人被爆者の支援運動に関わっていく。迷いながらの行動だった。「ジャーナリストは当事者になってはならない鉄則がある。客観報道をすべきだと。その鉄則を踏み外して救援運動に加わった。当事者となることがいいのかどうか。でもそれは人間として許されるのではないか」。今でも平岡さんの自問は続くという。

学生たちは講演後も、昼食を一緒に取りながら、平岡さんを囲んで質問攻めに。平岡さんは「何のためにジャーナリストになるかが問われる。何でもいいから、自分はこういうことをやるために記者になる、ということを大事にしてほしい」と学生たちに助言した。

教師の像に感動

日韓フォーラムの最後は、参加者が期間中に一番感銘を受けたことを、スマホで撮影した写真を前に語る「マイベストショット」の時間だ。学生たちは夜遅く、未明まで語らい、交流を深めた。それぞれが見たもの、視点、感じ方は千差万別。その声をいくつか紹介したい。

広島県出身の女子学生は、平和記念式典の会場で黙とうの際、そっと亡き父親の遺影を取り出す男性を見た。聞くと被爆2世で、今は語り部の伝承者として活動をしているという。その姿を見て「大切な人を忘れないジャーナリストになりたい」と彼女は語った。

 韓国の女子学生は平和公園にある、教え子を抱きかかえる教師の像の前で、自分より弱い存在を助けようとした教師に感動する。そして被爆者の問題に取り組む日本こそが平和のメッセージを発信してほしいと呼びかけた。

日本、韓国、それに中国からの留学生と何人かで、メッセージを書いた灯ろうを流したという男子学生は「一緒に流した仲間がこれから何になるにせよ、同じ方向を向いて行けたならと淡い希望を感じ、少し幸せな気持ちになった」と話した。

広島で聞いた多くの声、自分たちが発した声はこれからの糧になっていくに違いない。昨年11月にソウルで初めて開催した「ジャーナリストを目指す日韓学生フォーラム」はまた一つ、大きな収穫を得た。      

古川英一

JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2018年8月25日号
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2018年09月06日

《リレー時評》翁長氏 民主主義を守る闘い貫いた=與那原良彦(JCJ沖縄世話人)

 8月8日に亡くなった沖縄県知事の翁長雄志氏への取材で、今も鮮明に浮かんでくるのは2013年の「オスプレイ撤回・東京要請行動」の銀座でのデモの時の唇を真一文字に嚙み締めている顔だ。デモの先頭に立つ翁長氏らに街頭から「売国奴」「琉球人は出て行けない」など口汚い罵声が浴びせられた。デモ後に「お疲れさま」と笑顔で声を掛けられたが、目は笑っていなかった。
 その騒ぎに目を向けずに普通に買い物をし素通りをしていく人々に、翁長氏は驚いたという。過重な米軍基地の負担に苦しめられる沖縄に対する無理解と無関心に直面した瞬間だった。

 翁長氏が膵臓ガンに侵されながらも、名護市辺野古への新基地建設反対を貫き、「あらゆる手段」を用い、建設阻止に命を懸けた。最後の切り札とされた埋め立て承認撤回を表明した7月27日の会見には病でやつれた姿で現れ、声を振り絞って「必ず撤回する」と訴えた。その12日後、生きる気力と体力をすべて使い果たし旅立った。理不尽な基地負担を拒否し、命を削るように、政府と対峙し続けた壮絶な人生だった。

 翁長氏を駆り立てたのは何か。「沖縄戦で軍事占領した土地に普天間飛行場を造り、そこが危険になったからほかの土地をよこせ、というのはおかしい」という怒りだ。そのやり方を「日本の政治の堕落ではないか」と迫った。子や孫の世代まで残る新基地建設を拒み、県民に勇気と誇りと自信を持ってもらいたいという使命感があった。沖縄だけではなく、日本の地方自治と民主主義を守る闘いであった。
 基地を抱える市町村長と意見交換した参院議員の1人は「本土が嫌だと言っているんだから、沖縄が受け入れるべきだろう」と発言した。米軍機の相次ぐ事故などが取り上げられた今年1月の衆院本会議の代表質問では、自民党の松本文明・内閣府副大臣(当時)が「それで何人死んだんだ」とやじを飛ばした。

 翁長氏は基地建設を強行する安倍政権だけではなく、本土側の無理解と無関心と闘った。承認取り消しを巡る法廷の場でこう陳述した。
「政府は民意にかかわらず、強行している。米施政権下と何ら変わりない。日本に地方自治や民主主義はあるのか。沖縄のみに負担を強いる安保体制を正常か」

 承認撤回表明後の3日間を調べると、社説で取り上げた全国紙・地方紙は10数社しか確認できなかった。関心が遠のく中、翁長氏の死によって基地問題がクローズアップされることになった。
 翁長氏が亡くなった日に届いたメールの一つには「政府に殺されたようなものだ」とあった。政府の強硬姿勢を許しているのは国民の無理解と無関心だ。その責任の一端は、ジャーナリズムの現場に関わる我々にもある。沖縄だけに基地を押しつける不条理が続くことは、「ジャーナリズムの堕落」といわれかねない。

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2018年09月02日

【今週の風考計】9.2─沖縄はこの国の<民主主義のカナリア>

■8日ナンの日、安保の日、忘れちゃいけない大事な日─今から67年前、1951年9月8日、敗戦国・日本は連合国とサンフランシスコ講和条約を結び日米安保条約に調印した。
■だがそれは対米従属にひた走るスタートの日であった。多くの米軍基地と施設がそのまま残留・存続し、とりわけ沖縄には、日本に復帰した1972年以降も、日本にある米軍基地・専用施設面積の約70%を集中させたままだ。

■「普天間が危険だから、辺野古へ移設だ、危険除去のためには沖縄が負担しろ」これを言っちゃお終いよ。なぜ米国に米軍基地を撤去せよといわないのか。日米地位協定の見直しを提言しないのか。
■それどころか政権は沖縄復興費の支給額を、時の沖縄県知事の基地に対する姿勢で増やしたり減らしたり、傲慢な政治手法を使い「沖縄県民の民意や自己決定権」を踏みにじって恥じない。

■沖縄県が辺野古埋め立ての承認撤回に踏み切ったのは、安倍一強政権が続ける問答無用の「国策」への、痛烈な叛旗である。
■沖縄県民の自由・平等・人権への願いを、本土の私たちが汲みあげねば、「日本の政治の堕落」に加担するのも同じだ。まさに「沖縄はこの国の<民主主義のカナリア>である」(前泊博盛・沖縄国際大学教授)。

■8日から9日にかけて東京・代々木公園では、日中平和友好条約 40 周年を記念するチャイナフェスティバル2018が開催される。9日は朝鮮民主主義人民共和国が誕生して70周年。17日は<日朝ピョンヤン宣言>から16年を迎える。東北アジアの平和友好を視野に入れれば、もう沖縄に米軍基地はいらない。(2018/9/2)

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【メディアの動き】民放連:CM規制のルールづくりを 公平・公正な国民投票の実現へ 本間龍氏に聞く=河野慎二

 安倍晋三首相は12日、秋の臨時国会に自民党の改憲案を提出する考えを表明した。改憲が発議されると国民投票運動でのテレビCMが大きな問題になる。資金力のある陣営が大量のCMを流し、投票の公平が保てなくなる恐れがある。この問題にどう取り組むべきか。博報堂出身の著述家で、この問題に詳しい本間龍氏に聞いた。

――衆議院の憲法審査会が先月、国民投票運動のテレビCM規制について民放連の意見を聞いた。民放連は慎重な姿勢を示したとされるが。
 民放連内でもの意見は、二分されているようだ。何らかの自主規制策を打ち出すべきだとの意見と、「CM規制はとんでもない。自分たちは注文を受けて流していればいい」との意見に割れている。

民放連と話し合い

――民放連は自主規制ルールを作れるのか。
 民放連が自主規制案をつくり、国会がそれを追認するのが、一番手っ取り早い。民放連への働きかけを強めようと、超党派の議員連盟が今月末に発足する。座長は自民党の船田元(はじめ)衆院議員が就任する予定だ。議連の最初の仕事は民放連との懇談。その際、議連としての案を持って行く。CMの回数などを決めているイギリス方式がいい国民投票法の改正については、議連としても提出する方向で考える。民放連を動かすことと法改正の両輪で動いて行く。

――民放連は、CM規制は「表現の自由」制約につながると懸念するが。
 テレビCMの規制は放映の回数だけで、内容は規制しない。イギリスでは国民投票に使える予算を国が賛成と反対の両派に渡している。その上限は決まっている。テレビCM規制と表現の自由は両立する。
 ただ、国民投票法成立11年後の今日、ネットの力が急増している。ネットは規制の対象外。仮にポータルサイトは規制しても、個人の発信規制は「表現の自由」にリンクしてくる。

護憲勢力は不利に

――米国では、トランプ勝利の一因に、ビッグデータの活用が上げられているが。
 日本では、電通がビッグデータを社内に保有している。「ビッグデータ解析プラットフォーム」という機材、組織を持っているから、当然国民投票に使うだろう。投票の公平性は失われ、護憲派は不利な戦いを強いられる。
 ネットの問題については、早急に研究会などを作って対応する必要がある。

安倍常人ではない

――現状のまま、国民投票を実施すると、大変な事態になる。
 それは目に見えている。世界一の広告代理店、電通がバックについて、準備版万端怠りなくやる。護憲派は何もやっていないから、赤子の手をひねるようなものだ。
 じゃあ、安倍首相が3選されて、年内か年始に国民投票までに持って行けるか、現実的にはかなり難しいと思う。憲法審査会は、与野党合意の上で進めるというのが大前提で、国民投票を実施するまでに、国会の手順としては15回ぐらいの採決が必要とされる。
 否決されたら、各会派が持ち帰り、やり直す。そう見てくると、年内、年初の発議、来年の天皇退位までの国民投票は不可能に近い。
 ただ、安倍首相は常人では計り知れないところがある。国民投票が自己目的化している面がある。普通の考えの持ち主なら、国民投票は出来ませんが、安倍首相は違う。

――国民投票が否決されたら、内閣総辞職ものですね。
 そうです。大差で否決されたら、内閣はブッ飛んで、政権交代が起こるかもしれない。政権を失うかもしれないという覚悟で突っ込んでくるから、そこをしっかり見据えた対応が必要だ。

世論を盛り上げる

――ただ、国民がどう考えるかです。強行突破的なやり方は国民の批判を招くのでは。
 大量の改憲CMをバンバン流しても、強面の態度が国民にどう映るか。強権を発動し、偉そうなことを言うことに、民意は極めて敏感だから、いくら電通がついていても、浮動票が改憲派に大量に流れることはないのではないか。
 超党派議連発足を契機に、議連と民放連との話し合いなどをはじめ、国民投票の問題点の報道をメディアに働きかけ、世論を盛り上げて行きたい。

聞き手 河野慎二

JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2018年8月25日号
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2018年09月01日

【お知らせ】ジャーナリスト講座「新聞とデジタルーー記者の仕事の行方」

9月30日(日)午後1時半〜5時
テーマ:「新聞とデジタルーー記者の仕事の行方」
講師:沖縄タイムス記者・與那覇里子さん

◇新聞のデジタル化で何ができるか
◇與那覇さんは1年休職して大学院で学んだ
◇沖縄戦の歴史をデジタル技術を使い、記録・表現する試みに挑む
◇沖縄県知事選の投票日に、東京で話をする意味とは
◇與那覇記者の思いを語っていただく

会場:日比谷図書文化館・4階小ホール 東京都千代田区日比谷公園1−4
参加費:1000円(予約が必要)
予約:@氏名A学生は大学名、社会人は職業などB連絡先電話番号Cメールアドレス
――を明記して、メールかファクスでお申し込みください。
メール sukabura7@gmail.com
ファクス 03・3291・6478

主催:日本ジャーナリスト会議 電話03・3291・6475
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《編集長EYE》 検察は政治資金規正法にうとい=橋詰雅博

 国会議員などの政治資金収支報告書を閲覧できる公益財団法人「政治資金センター」などが企画した「政治と金をどうチェックするのか」と題した集会が都内で7月初旬に開かれた。

 これに出向いた理由はパネラーとして興味深い人物がいたからだ。その人は前田恒彦さん(50)で、元大阪地検特捜部主任検事だ。名前と肩書で思い出された方もいるだろう。郵便不正に絡む厚生労働省の偽証明書発効で逮捕された厚労省元局長の村木厚子事件(2010年)を担当した検事だ。裁判で検察によるデッチ上げが明らかになり、村木さんは無罪が確定した。村木さんを犯罪者に仕立てあげるため前田さんは証拠物件のフロッピーディスクの中身を改ざんし、証拠隠滅罪で懲役1年6カ月の判決を受けた。また法務大臣から懲戒免職で処分された。12年5月に満期出所した。

 大阪・東京特捜部に合計約9年在籍した前田さんは、政治とカネの問題でこう語った。

 「政治資金規正法違反の虚偽報告は、形式犯(うっかりミスで法に触れる犯罪、悪質の度合いは低いとされる)扱いです。被疑者の記帳ミスと裁判所は甘い判断をし、下される判決は執行猶予付きです。これでは労多くして益少なし、大山鳴動してネズミ一匹だ。軽くみているから政治資金規正法の条文を読んでいる検事は極めて少ない。下地がなく、経験不足です。巨額やウラ金がなければ、政治資金規正法違反では踏み込まない」

 ただし脱税が悪質ならば起訴するケースはある。

 「目安は一般的には5000万円です。大バッチ≠キなわち国会議員ならば1億円という暗黙のルールがある。このルールに達していない事案なのに、内偵を進めたら法務省からストップがかかります」(前田さん)

 検察には政治資金収支報告書のデータベースはないそうで、頼るのはメディアだという。

 前田さんは法曹界に戻る意思はない。ブログで刑事司法に関する解説や主張を発信している。

橋詰雅博(JCJ事務局長兼機関紙編集長)

JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2018年8月25日号
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2018年08月30日

名古屋マンション建設反対で無罪確定 国に賠償求め提訴=加藤剛

 名古屋市瑞穂区白竜町のマンション建設反対運動で現場監督に暴力をふるったとして逮捕・起訴され、裁判で無罪が確定した同町の薬剤師奥田恭正(やすまさ)さんが7月24日、国・検察庁と愛知県(警察本部)に計1100万円の賠償を求めるともに、捜査で得た指紋やDNAなど個人情報の抹消を要求する訴訟を名古屋地方裁判所に起した。
 奥田さんは同時に現場監督や建設会社に対しても「あいまいな証言などで犯人扱いされ迷惑を蒙った」として計1100万円の損害賠償を求めて民事訴訟も提起した。

 奥田さんはマンション建設に反対する住民運動の代表で、一昨年10月「現場監督を両手で突き飛ばした」という暴行の容疑で逮捕・起訴された。
 しかし名古屋地裁は今年2月「防犯カメラの映像など警察側の証拠でも暴力行為は立証されず、現場監督の証言も二転三転あいまいで信用できない」として奥田さんに無罪を言い渡し、検察は控訴せず無罪判決が確定した。

 奥田さんは訴状の中で国家賠償を請求する理由として、警察が防犯カメラの動画を見せずに「映像に暴力場面が写っている」と言って自白を強要したこと、逃亡の恐れがないのに十五日間も勾留したことなどの不当な捜査を指摘し、無罪確定までの一年四か月の間容疑者・被告人の立場に立たされ「物心両面で多大な損害をこうむった」と主張した。

 奥田さんは訴状を提出したあと司法記者クラブで記者会見し次のように語った。
「無罪は確定したがこのままでは納得できない。高層マンションの建設に反対し抗議しに行ったら逮捕され、薬局が家宅捜索された。その後も拘留が続き、一年余の長期にわたり容疑者、被告の立場に立たされ辛い思いをした。無罪が確定したあとも警察は『あれは正当な捜査だった』と言い、謝罪の一言もない。現場監督は『このままでは自分がウソをついたことになるから控訴してほしい』と言って検察庁に控訴の要請まで行った。無実の市民を犯人に仕立てるデッチ上げは許されない」
 奥田さんは提訴の理由をこのように説明し、最後に「裁判をしている間に工事は進み一五階建てのマンションは出来てしまった。しかし環境を守る運動はこれからが本番だ」と強調した。

加藤 剛(東海支部)

JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2018年8月25日号
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2018年08月29日

《お知らせ》 JCJ全国交流集会 10月に 熊本、大分、福岡の被災地まわる=杉山正隆

 今年7月の西日本豪雨で岡山、広島、愛媛、福岡の各県などで大きな被害が出た災害列島・日本。東海・東南海・南海大地震が想定されているが、予想を超えた豪雨や巨大台風などにいつ襲われてもおかしくない時代だ。

 熊本・大分大地震の爪痕が残る熊本県益城町や南阿蘇村、大分県日田市。そして、集中豪雨で山肌が滑り流れ多くの住民が犠牲になった福岡県朝倉市や東峰村などを直接視て住民や医師・歯科医師、地元記者たちと交流する全国交流集会を企画した(変更の可能性あり)。

被災地住民ら交流
 日常生活がもろくも崩れ去った背景には「脆弱な社会保障」という現実があり、とりわけ平成の大合併などで見捨てられた「過疎地」の地域では被害が拡大した。

 安倍政権は「自助・公助・公助」論を強調する。これは、「できるだけ自分で頑張り、どうしてもダメな場合は地域で助けろ。それでも難しい場合は公が助けるが、国の援助は最低限に」とのものだ。せっかく立てたマイホームのローンが残っているのに、さらに金を借りざるを得ない「二重ローン」など、「自助」では立ち直れないケースが多い。災害こそ、「公助」が力を発揮すべきだ。熊本では今も3万人が不自由な仮説住宅での生活を余儀なくされる。

 今年度の交流集会では、激しい揺れで地面に巨大なひびが入った阿蘇周辺や強行されつつある「立野ダム」建設予定地などを地域住民とともに取材するほか、地域医療や生活の大きな柱となってきた阿蘇立野病院や阿蘇医療センターでも震災当時から今までの奮闘ぶりを院長から話してもらう。

 また、日田市では同市から東峰村に至るまで広く地域医療に奮闘する明治45年開業の「井上鶴川堂」の院長から話を聞くほか、東峰村では、村民がディレクター、アナウンサーを務め、豪雨災害の際も被害状況や住民情報をきめ細かく報道し命を守った「東峰テレビ」の岸本晃総合プロデューサーから紹介してもらう。

地元記者の裏話も
 宿舎の南阿蘇村グリーンピア南阿蘇と原鶴温泉ビューホテル平成はどちらも天然温泉と地元の食材が自慢。熊本県民テレビの城戸涼子ディレクター、毎日新聞熊本支局の福岡賢正記者や、松本久医師、山口彩子、月股博通歯科医師らとも交流。阪神大震災に自らも被災し東日本大震災や西日本豪雨などでも活躍した兵庫県の広川恵一医師からも助言してもらう。

10月19日(金)午前11時ころJR熊本駅、正午ころ熊本空港のいずれかで集合。益城町〜被害現場・仮設住宅等〜阿蘇立野病院〜南阿蘇村。グリーンピア南阿蘇で記者や医師らと交流。
20日(土)阿蘇医療センター〜阿蘇神社〜日田市「井上鶴川堂」〜東峰テレビ〜朝倉市。原鶴温泉ビューホテル平成。
21日(日)朝食後、原鶴温泉で解散、の2泊3日。最寄りバス停まで送迎。(博多駅や福岡空港までバスで1時間)
費用:夕朝食込み予価3万7000円。飲み物代等は別。

杉山正隆

JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2018年8月25日号
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2018年08月28日

《リアル北朝鮮》 「拉致中毒」と日本を非難 過去の謝罪や賠償など要求=文聖姫

 日本人男性が北朝鮮で拘束されたとのニュースが伝えられたのは11日未明だ。男性は滋賀県出身の30代で職業は映像クリエーターだとされる。欧州系の旅行会社が組んだツアーで北朝鮮に入国したらしい。西海岸の南浦(ナムポ)を訪れていて拘束された模様だ。スパイ容疑をかけられた可能性もあると複数のマスコミが伝えている。

 菅義偉官房長官は15日、閣議後の記者会見で「事柄の性質上、答えることは控えたい。いずれにせよ日本としては、拉致問題を含む北朝鮮をめぐる諸懸案の包括的解決に向けて主体的に取り組んでいかなければならないとの立場は変わっていない」と述べた。NHKの報道によると、政府は情報の確認を急ぐとともに、早期の解放を求めている模様だ。だが、いまのところ北朝鮮側からの発表は何もない。

 米朝、南北、中朝の各首脳会談が実現し、朝鮮半島を取り巻く情勢が大きく転換するなか、「蚊帳の外」に置かれた感のある日本は、日朝首脳会談を模索するが、進展はない。そんななかで起きた日本人拘束。日朝関係はさらに不透明さを増している。

 そうした中、北朝鮮のマスコミは14日と15日、立て続けに日本を非難する論評を出した。特に労働新聞15日付は、「すでにすべてが解決済みの拉致問題について騒いでいる」と指摘。「拉致中毒」「拉致内閣」などの言葉を使って、拉致問題解決に向けた日朝会談を模索する日本政府をけん制している。論評は、日本がすべきは、過去の謝罪と賠償、そして過ちを二度と繰り返さないことを約束し実践に移すことだとも主張している。

 時期を同じくして14日には、日本軍慰安婦問題や強制連行問題を追及する団体が調査報告書を発表し、戦前日本軍「慰安所」があったとする日本人女性の証言を入手し、北部の羅先(ラソン)市先鋒(ソンボン)地区で調査を実施したと明らかにした。

文聖姫(ジャーナリスト・博士[東大])

JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2018年8月25日号
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2018年08月26日

【今週の風考計】8.26─放射性物質トリチウム水90万トンの放流

福島第2原発の停止中4基も、すべて廃炉とする決定がなされて2カ月半が経つ。事故を起こした福島第1原発の全6基と合わせ、これで10基すべてが廃炉となる。
いよいよ溶け落ちたデブリの取り出しや汚染水の処理、廃棄物の受け入れ先など、緊急で困難な課題に立ち向かわなければならない。

福島第1原発では約106万トンの汚染水がタンクに保管され、もはや限界に近い。そのうち90万トンは放射性物質の濃度を下げる処理が進み、その放射性物質トリチウムを含む水を、さらに希釈して海への放流、水蒸気放出、地下層への注入など、5つの方法で処理したいと検討している。
その公聴会が今月末、福島・郡山・東京で開かれる。国の基準では1リットルあたり6万ベクレルの濃度に薄めれば海に流すことができる。いまも稼働している日本の原発や再処理工場から、現実に排出されている。原子力規制委員会は健康への影響を含め、海洋放出に問題はないという。

だがトリチウムは放射性物質であるのは紛れもない。にもかかわらず人間と生物への影響が過小評価され続けてきたのではないか。福島県漁連は「トリチウム水の海洋放出には断固反対する」と抗議、海洋放出を絶対に行わないよう強く求めている。
未曾有の被害をもたらした福島原発事故、いまだ「原子力緊急事態宣言」は解除されていない。くわえて多くの住民が避難生活を強いられ、放射能汚染による長期的な低線量被曝にさらされている。

政府と東電はトリチウム水を海に放流し、空いたタンクの跡地に、取り出したデブリを保管する場所を確保したいと考えている。10月には福島県知事選がある。様子見が続く。(2018/8/26)

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2018年08月25日

《JCJ沖縄声明》差別と人権侵害許さず 辛淑玉さんと連帯する

 2017年1月、東京MX テレビで放送された「ニュース女子」問題は、放送という公共資財を使った人権侵害発言や事実に基づかない報道、ヘイトスピーチの影響の大きさ、被害の甚大さを浮き彫りにした。

 放送倫理・番組向上機構(BPO)は、この番組による東村高江の米軍ヘリパッド建設抗議活動の報じ方について「重大な放送倫理違反があった」とし、また、人権団体「のりこえねっと」共同代表の辛淑玉さんへの名誉棄損を認めた。にもかかわらず同番組を制作するDHCテレビジョンは、同問題について何ら反省することなく問題発覚後も一部の地方局やインターネット上で放送が続いている。重大な放送上の問題が指摘された放送回も、今この瞬間ネット上で動画再生され続けている。

 BPO の指摘を受け、放送した東京MX は2018年7月20日ようやく、辛淑玉さんへ謝罪したが、制作会社のDHC 側が問題を認めないまま放送を続けているという現状をみれば、「ニュース女子」問題はまだ終わっていない。

 同番組の放送以降、ネット上には辛淑玉さんの誹謗中傷が広がり、「殺せ」などの発言が飛び交っている。辛淑玉さんは放送後、命の危険を感じ、「事実上の亡命」としてドイツに移住を余儀なくされた。差別やヘイト思想は常に連鎖することで、過激さを増していく。その種をまいた同番組の責任は重い。

 それにもかかわらず、DHC 側は、これまで番組の正当性に終始。また、番組内で辛淑玉さん差別的な発言を繰り返したジャーナリストやコメンテーターもこの問題について沈黙したまま、同番組やほかの公共放送に出演を続けている。その結果、「ニュース女子」が社会に投げた差別とヘイトは、拡散され続けているのである。

 辛淑玉さんは7月31日、「ニュース女子」における人権侵害について、制作したDHC テレビジョンと司会の長谷川幸洋元東京新聞論説委員を名誉棄損で提訴した。DHC 側が今も垂れ流し続ける、人権侵害が認定された放送回の差し止め、謝罪広告の掲載を求めた。提訴は、辛淑玉さん自身の名誉回復と生活を取り戻すための闘いであると同時に、同番組によって同じく傷つけられ辱められたヘリパッド建設に抗議する沖縄の住民ら、在日コリアンや中国人の人権を回復する闘いでもある。

 新聞とテレビ報道に携わる者として、私たちももはや、放送の責任を放置し続けるDHC 側の態度を看過できない。辛淑玉さんの勇気ある告発に連なり、共に名誉と人権の回復を取り戻すため闘うことをここに表明する。

 2018年8月1日
日本ジャーナリスト会議沖縄(JCJ 沖縄)
世話人 米倉 外昭
松元 剛
与那原 良彦
黒島 美奈子
金城 正洋
次呂久 勲

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2018年08月19日

【今週の風考計】8.19─「トルコ危機」を通して日銀政策を問う!

23 日にトランプ政権は中国への制裁関税(160 億ドル・1兆7600億円規模)を発動する。第2弾である。中国も対抗して報復関税措置に踏み切る。米中貿易戦争は激化する一方だ。
1週間ほど前に、トランプ政権はトルコに経済制裁を加えた。トルコは米国製品に関税をかける報復措置を取り、泥沼化し始めている。

いま米国の労働市況は好調を続け、インフレ率は上昇、7回実施したドル金利引き上げも、さらに年末に向けて順調なテンポですすめる方針だという。
その余波が新興国を襲い、トルコを始めアルゼンチンや南アランドでのドル売り・資本流出が止まず、自国通貨の急激な値下がりを招いている。原因は新興国に流れ込んだ大量のドルが引き揚げられ、今度は投資マネーとなって米国へ還流しているところにある。
とりわけ「トルコ通貨危機」は深刻である。トルコリラは年初から40%の下落、物価は4カ月足らずで5・6%も上昇した。世界経済への悪い連鎖波及が懸念されている。

その激動のさなか、23日から米国ワイオミング州で「ジャクソンホール会議」が開催される。主要国の中央銀行総裁らが、世界の金融政策について討議する。米国のパウエルFRB議長や日銀の黒田東彦総裁も参加する。はたして黒田総裁は、日本の金融政策について、どのような発言をするのか。
日銀が保有する国債残高は420兆円、全体に占める割合は44%でトップ。さらに市場から上場投資信託(ETF)を年間6兆円の枠で買い入れている。まさに株価を下支えしているのだ。日銀管理そのものだ。これが進めば進むほど、市場経済の健全な発展は見通せなくなり、疲弊していく。

異次元の金融緩和政策の破たんは、もう明白だ。しかし金利引き上げを図れば、保有国債の利息受け取り分が減り、当座預金の利息支払費いが増える “逆ざや”になりかねない。仮に1%の利上げをすれば、数年で日銀の自己資本8兆円を食い潰してしまう。このジレンマ、いかに「出口」を見つけるか、世界が注目している。(2018/8/19)

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2018年08月16日

《支部リポート》 関西 6・18大阪北部地震 女児の死はやりきれない=井上喜雄

6月18日朝7時53分 どんと突き上げるような振動を伴う揺れが起こり直後にあちこちの携帯電話に緊急警報が流れ、緊急放送も地震を告げた。直下型地震のため揺れは事前に観測できず、警報は揺れの後だった。緊急警報も直下型の場合、役に立たない。

京阪神の在住者は1995年の阪神大震災の大きな揺れを経験している。今回はその時と比べれば揺れも小さく時間も短く感じた。(事実マグニチュードの数値は低かった)怖かったという感想もあまり聞かない。

ただ震源地は大阪北部(高槻・茨木市)で、このあたりにはいくつも断層帯が存在するとされており、熊本のようにこの地震の影響で近接する断層が連動したらとの小さな恐怖が1週間ほど続いた。

市民の多くが出勤前という時間帯のため大阪市内での人的被害は極めて少なく、壁に亀裂が入った、食器棚や本棚が倒れるなどの被害はあった。

死者は大阪市と震源に近い高槻市および茨木市で発生しており、ブロック塀の倒壊や家具が倒れたことによる圧死だった。高いブロック塀の危険性が、犠牲になった女子児童の死によって告発されたのがやりきれない。

結局、死者5名、負傷者は近畿2府5県で423名(うち重傷者10名)、住家の全壊3棟、半壊19棟、一部破損10,802棟だった。火災発生件数は大阪府と兵庫県で8件と少なく、阪神大震災のような直後に大出火の二の舞は避けられた。

JR在来線や私鉄各線、大阪地下鉄など鉄道は8時間以上ストップし帰宅時間帯までの復旧がならず、帰宅困難者が多く発生した。新淀川大橋を徒歩で渡り帰宅する人達の途切れない様子がTV中継され、物的損害以外の時間的被害の膨大さが浮き彫りにされた。

鉄道各社は自動改札の普及など以前と比べると大幅に人員が減っており災害が起こると復旧するにはかなりの時間を要する様子だ。

揺れの大きかった地域のスーパーやコンビニから水、パン、インスタント麺などがあっという間になくなっていたのは説明するまでもない。

井上喜雄(のぶお)

JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2018年7月25日号
posted by JCJ at 15:09 | Editorial&Column | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年08月15日

《リアル北朝鮮》 金委員長 経済停滞に激怒 幹部の責任を追及=文聖姫

  最近、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長は機嫌が悪い。

 国営・朝鮮中央通信が17日に伝えたところによると、咸鏡北道の清津カバン工場や漁郎川発電所建設現場を現地指導した際、生産が滞っている状況や建設が進んでいない状況を厳しく叱責している。

 たとえば、漁郎川発電所では、内閣の責任者がここ何年間ダム建設現場に一度も現れていないとの報告を受けて激怒。「発電所建設をする気があるのかないのか」「なぜここに至るまで内閣は何の対策も取らなかったのか」「現場に来なければ実態が分からないし、実態が分からなければ対策を立てようがないだろう」などと内閣の態度を批判した。

 清津カバン工場でも怒りが爆発。「道党委員会は形式的に働いている」「党の方針を受け止め執行する態度がなっていない」「党の政策を貫徹するために懸命に取り組んで闘うという仕事の姿勢がなっていない」などと指摘した。

 金日成、金正日時代にも指導者が現場の状況を厳しく叱責した場面はあっただろう。ただ、このように表に出てくることはあまりなかった。こうした報道は労働新聞などを通じて国内の人々に浸透するだけでなく、朝鮮中央通信などを通じて海外の人々にも広く知れ渡る。金委員長はそのことも想定して、こうした報道を流させているのではないか。党中央委員会宣伝扇動部で第一副部長を務める妹の金与正氏の指示かもしれない。

 金委員長は、内閣や道党委員会の責任を追及していくことも明言した。漁郎川発電所では、「党中央委員会は内閣と省、中央機関の無責任で無能力な活動態度を厳しい目で注視してい

る」と警告。  

清津カバン工場では、カバン工場を建設した当時に道党委員長だった人物と党中央委員会の当該部署の活動を全面検討し、厳しく問責し調査するよう指示した。

文聖姫(ジャーナリスト・博士[東大])

JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2018年7月25日号
posted by JCJ at 14:54 | Editorial&Column | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

《ワールドウォッチ》米覇権の放棄目指すトランプ=伊藤力司

 1年半前の就任以来トランプ米大統領の対外政策展開は世界を驚かせ、反発を呼んできた。同大統領は就任早々、TPP(環太平洋連携協定)や地球温暖化防止のパリ協定から米国を離脱させ、今年5月には安保理常任理事国ら6カ国が苦心の末に結んだイランとの核合意から米国を一方的に離脱させた。
 
 これらの行いの目的は何か?それは第2次大戦後アメリカが担ってきた世界的覇権を放棄することではあるまいか。東西冷戦時代に米覇権の及ぶ範囲は自由世界だけだったが、1991年のソ連崩壊以後その範囲は全世界に及んだ。以来27年、世界一の軍事大国であり世界一の経済大国であるアメリカも、世界的覇権の維持にくたびれてきたようだ。
 
 今世紀初頭の8年間を担ったブッシュ政権がアフガン戦争とイラク戦争を始めたのは、彼らなりに覇権を護るためだったろうが、結果的にはアメリカの覇権を大きく傷つけた。
 
 アメリカの覇権は「自由」と「民主主義」を表看板にしてきたが、アフガン戦争とイラク戦争、それにシリア内戦介入がもたらした膨大な殺戮と破壊は「自由」と「民主主義」の美名を大きく傷つけた。
 
 トランプ大統領としては、化けの皮がはがれてきた「アメリカの覇権」より、彼の篤い支持層である白人労働者たちの「俺たちにまともな職と賃金を」という訴えを重視する。こうしたトランプ流反覇権政策に反対しているのが民主党と共和党の旧主流派である。
 
 NYタイムズ、ワシントン・ポスト、CNNテレビなどリベラル系メディアは総じて大統領に批判的だ。CIA(中央情報局)やFBI(連邦捜査局)、司法省など旧来の権力機関もそうだ。アメリカ権力の中枢と言われる軍産複合体やウォール街の金融資本も反対だ。
 
 だからトランプ流の脱覇権政策もジグザグ・コースをたどらざるを得ない。この間、世界的覇権をひそかに狙っているのが中国だ。毛沢東主席はかつて「中国は覇権を求めない」と宣言、現在の習近平主席も同じセリフを発している。しかし世界第2の経済大国であり、年々2桁の国防予算増額を続けている中国は、遠からずアメリカを追い越す。とすれば、やがては中国が世界の覇権を握る日が来るかもしれないのだ。

posted by JCJ at 14:32 | 政治・国際情勢 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年08月12日

【今週の風考計】8.12─沖縄の民意を一蹴する安倍三選亡者たち

翁長雄志・沖縄県知事のご逝去を悼み、心からご冥福をお祈りします。11日の新基地建設反対に集まった7万人の参加者とともに、その遺志を本土でも受け継ぎたい。
それにしても、先週の1週間、安倍首相の言動や振る舞いには、首をかしげるどころか、思考回路まで疑いたくなることばかりだ。

6日、5万人が参列した広島の平和祈念式典で、「唯一の戦争被曝国」である日本の安倍首相は、世界の願いである核兵器禁止条約には一言もふれず、核保有国と非核保有国の「橋渡し役」を務めると、従来の言葉を繰り返し、被爆者の願いを一蹴した。

8日には、俳優の津川雅彦氏が今月4日、心不全のため亡くなったのを受けて、わざわざ夜に官邸で会見を開き、極めて異例な “お悔やみ”を表明した。彼の業績を天まで持ちあげ、かつ会見の様子を首相官邸のHPに動画で公開するほどだ。
総理大臣として“お悔やみ”のコメントを首相官邸HPで公表するのは、国内外の災害・テロ発生時や、海外の元首・首相などの要人、国内の総理経験者の逝去時に限られる。津川氏は該当しないが、芸能界きっての安倍応援団のひとり。かつ特攻隊礼賛や侵略戦争の美化、徴兵制の復活などを主張してきた。
こうした自分の“お友だち”の死には、特別なかたちで弔意を表する異常さ。そんな総理大臣が、かつていただろうか。

9日、「原爆の日」を迎えた長崎市の平和式典で、田上富久市長は、日本政府に核兵器禁止条約に賛同し、世界を非核化に導く道義的責任を果たすことを求める<長崎平和宣言>を読みあげた。アントニオ・グテレス国連総長も賛同している。しかし安倍首相は、ほとんど広島のスピーチを“コピペ”した、空疎な使い回し原稿を読みあげただけ。

その午後、前日8日に急逝した沖縄の翁長知事に対し「沖縄発展のために尽くされた貢献に対し、敬意を表したい」と述べ、辺野古の新基地建設については触れず、そっけない“お悔やみ”でお茶を濁す。“お友だち”でないと、こうも粗末な扱いか。
安室奈美恵さんがホームページに綴った翁長さんへの弔意は、多くの人の心を打つ。Kiroroの金城綾乃さんや宮本亜門さんもツイッターで、沖縄の人々のために最期まで尽くした翁長知事の仕事に感謝の言葉を書いている。この落差を見るにつけ、意見の異なる人であれ、その人へのリスペクトを持たない安倍首相─その総裁3選に向け雪崩を打つ政治家たちの屈服ぶりには呆れる。

11日、沖縄での市民集会など目もくれず、またも安倍首相は昭恵夫人ともども、全日、地元の山口県を回り三選の票固めに躍起。9月21日投票での圧勝を画策する。翁長知事の急逝で知事選の投票日も23日ごろといわれる。安倍三選などどうでもいい。まず翁長知事の遺志を継ぐ知事を当選させたい。(2018/8/12)
posted by JCJ at 14:48 | 【今週の風考計】 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年08月09日

≪おすすめ本≫ 本間龍・南部義典『広告が憲法を殺す日 国民投票とプロパガンダCM』─自民党と電通の密接な関係が、「改憲」への起爆材となる危険!=坂本陸郎(JCJ広告支部)

 改憲を目指す「国民投票法」の欠陥が、対談によって暴かれる。南部氏は、かつて民主党の議員秘書として国民投票法の作成に深く関わってきた。本間氏はプロパガンダ広告に詳しい。

 「国民投票法」をめぐる二人の対話が興味深い。当時、民主党は「闊達な言論空間」の創成を主張した。できあがったのが「投票日前14日以後のCM」のみを禁止するという国民投票法だった。
 それも「私は賛成(反対)します」などのCMは規制外にする抜け道を残していた。これでは公平どころか政党助成金で潤う自民党の宣伝が、他を圧してテレビ画面を埋め尽くすことにもなりかねない。

 多くのヨーロッパ諸国では、国民投票の際のCMは禁止している。本間氏も国民投票発議後のCM禁止を提案している。
 本著のメインテーマは自民党と電通との密接な関係である。自民党の広告を一手に扱う電通にとって、国民投票はまたとない儲け口であり、その広告宣伝費は膨大な企業収益となる。
 一手受注となれば、あらゆる媒体で「電通専用枠」がものを言う。とりわけ地方局に対する電通の支配力は圧倒的である。自民党がスポンサーとなれば、メデイア各社ではいっそう営業優先となり政権批判の報道は手控えられるだろう。

 今国会では国民投票法の上程が見送られたとはいえ、9条改憲は自民党結党以来の党是である。2000年に向けて、燃やす並々ならぬ執念は軽視できない。本著は数々の事例を挙げて警鐘を鳴らす。広告に依存するメデイアの経営が、ジャーナリズムに与える影響に注目したい。
(集英社新書720円)
「広告が憲法を殺す日」.png
posted by JCJ at 11:34 | 政治・国際情勢 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年08月05日

【今週の風考計】8.5─<命の美ら海>に米軍滑走路はいらない

いま辺野古シュワブの海岸には、これまでにもまして高い怒りの波が、打ち寄せている。4日には抗議船8隻・カヌー約40艇が、海上から<美ら海を殺すな>の声をあげている。

沖縄県・翁長知事が、シュワブ沿岸の軟弱地盤や活断層の存在を指摘し、また環境保全の対策が十分でないことを挙げ「辺野古埋め立て承認を撤回する」と表明した。すみやかに沖縄防衛局に「聴聞」を申し入れ、9日後の日程を示したにもかかわらず、「1カ月程度の準備期間が必要、9月3日以降に変更してほしい」と申し出たからだ。

3年前は聴聞期日に異議を唱えず、かつ承認取り消しへの反論陳述書を、通知の翌日、準備期間1日で提出している。今回の対応は異様だ。魂胆が透けて見える。延期要求は、本格的な埋め立て工事に着手する時間稼ぎに他ならない。
現に埋め立て予定区域の護岸には、被覆ブロックや袋詰めされた砕石が積み上げられ、予定通り17日には土砂投入を行う、その段取りが整っている。これまでも防衛局は協議すらせず工事着手を強行してきた。政府は動かず、防衛局任せにして突っ走る。いい加減にしろ!

11日には、那覇市の奥武山公園内の陸上競技場で、<土砂投入を許さない! ジュゴン・サンゴを守り、辺野古新基地建設断念を求める8・11県民大会>が開かれる。まさに本土から、熱い暑い、連帯のエールを贈りたい!
2日後の13日、今から14年前、米軍ヘリが沖縄国際大学敷地内に墜落し炎上した。墜落事故で焼けた校内のアカギの木は、日本全体の70%に及ぶ広大な面積の米軍施設・基地が、わずか国土面積0.6%の狭い沖縄県にある─その現実を告発している。何度でも言う。沖縄に米軍基地はいらない!(2018/8/5)
posted by JCJ at 12:27 | 【今週の風考計】 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年08月04日

《編集長EYE》 捜査中止 小金井署「疑惑の事件」=橋詰雅博

 安倍改憲に反対する署名活動をしていた東京・小金井の市民3人が「住居侵入罪」の口実で小金井警察署に連行された3月末の事件(本紙5月25日号で既報)が解決した。

 5月30日に小金井署は3人の市民の弁護人に対し、電話で「これ以上の捜査は行わない。捜査を終結し、検察庁への書類送検もやらない。また刑事訴訟法上の微罪処分(軽微な犯罪で公訴提起を必要としない事件を警察段階で終結させる)でもない」と言ってきた。警察は捜査を断念・中止したのだ。市民3人の連行は不当だったことを警察自らが認めたのである。

 7月5日に市内で「不当連行事件 勝利報告」集会が行われた。

 改憲反対の署名活動を委縮させる狙いだった警察は、強引な捜査を行った。集会で弁護人の長尾宜行弁護士は、この事件の特異性をこう説明した。

 「トラブルは何も発生していないのに3人は強制連行された。権限の濫用を戒めた警察法2条2項に違反している。任意同行しか求められない状況下での強制連行は、刑事手続き上、重大な違法行為だ。事情聴取された3人とも、所属団体や署名活動の目的、いつ、どこで誰と相談したかなどを取調官から聞かれている。思想表現の自由、政治活動の自由を侵害するような取調です。

 警察権力の横暴さをむき出しにした戦慄すべき事件でした。その捜査を中止させた。民主主義が警察権力の牙をへし折った画期的な勝利です」

 小金井署を出る際、私服警察官から「もう一回、署に来てもらい調書に署名してもらう」と告げられた81歳の男性は 「精神的につらく、長い2カ月間でした。勝利によって民主主義が守られたと実感しています」と胸をなでおろした。

 3人が署名活動を行った出入り自由な問題のマンション(全18室)は警察が民間から建物を借りている「警察専用官舎」だった。共産党都議団の情報開示請求で分かった。警察によるつくられた「疑惑の事件」だった可能性が残る。

橋詰雅博

JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2018年7月25日号
posted by JCJ at 14:06 | Editorial&Column | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年08月03日

≪リレー時評≫ NHKが12月から4K、8K放送の開始、さらに巨大化の怖れ=隅井孝雄

 今年12月1日から、新しい衛星テレビ放送、スーパーハイビジョン(4K・8K)が始まる。6月1日「新放送開始まであと半年」というセレモニーイベントが開かれた。
 4Kは現在のハイビジョン放送の4倍、8Kは16倍の鮮明度になる。先頭で推進しているのはNHKだ。2年前から全国の放送会館に巨大スクリーンを設置、上映してきた。上田良一会長は「超一流のコンテンツを用意している、2020年の東京オリンピックには世界に先駆けたい」と言っている。

販売中の4K、8K受像機では放送は受信できない?
 大型電機店には、4K、8Kをうたう受像機がずらりと並ぶが、専用チューナーをつなげないと放送は受信できないことが問題となっていた。
ようやく6月に東芝が4K内蔵テレビを発売したが価格は55インチで20万円前後する。各メーカーのチューナーや内蔵型の発売は秋ごろになるという。BSアンテナ受信者は対応アンテナに切り替える必要もある。新テレビを見ようとすればかなりの支出になる。
 一般市民の認知度は低い。12月放送開始を知っている12.2%、専用チューナーが必要だと知っている34.4%、購入したい17.1%に止まる(5/31放送高度化推進協調査)。

受信料の流用は許されるか?
 NHKはスーパーハイビジョンの開発、番組制作に2014年以降4年間で309億円つぎ込んできた。2018(平成30年度)の関連予算は320億円、東京オリンピックの2020年までにさらに317億円をつぎ込む(日経6/1)。開局日には南極から4K、イタリアから8Kで生中継をするほか、ウイーンフィル新春コンサート8Kなど、大型の紀行、文化、音楽番組を計画している。
 NHKは放送法で「あまねく受信できるように努める」義務がある。4K,8Kに多額の受信料をつぎ込んでいいのかどうか問題だ。
民放キー局はあまり熱が入っていない。「画面がきれいだからと言って、スポンサーがお金を出してくれるわけではないし」とはある民放幹部のつぶやきだ。
 なお、WOWOW(有料)、スカパー、映画チャンネル(有料)、QVC(ショッピング)、なども新放送4Kの割り当てを受けて、2020年から4K放送を始めると予定している。

NHKの巨大化に歯止めがかからない
 NHKだけが4Kにプラスして8Kも放送する。インターネット放送も解禁されれば、合計すると7チャンネルにまで巨大化する。
 安倍内閣はインターネットと地上波テレビ、衛星テレビの「融合」という名目でテレビ放送の規制撤廃を計画中。4K, 8Kもその一環だ。
 新しい技術を取り入れ、チャンネルが増えるのはいいが、番組の質の向上がすすむのかどうか、公平な放送ジャーナリズムが保たれるのか。十分な討論なしに新放送がスタートすることに危惧を覚える。

posted by JCJ at 10:08 | 政治・国際情勢 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年08月01日

<月間マスコミ評・新聞>オウム報道「闇」の強調には疑問=六光路弦

 一連のオウム真理教事件で死刑が確定していた教団幹部13人のうち、松本智津夫(教祖名・麻原彰晃)ら7人の刑が7月6日、執行された。教祖の公判は1審で終結し、無差別テロを起こした理由や動機を自ら法廷で語ることはなかった。だからだろう、新聞各紙の報道には多かれ少なかれ「闇」や「謎」を強調するトーンが目についた。7日付朝刊で東京新聞は1面トップに「オウム真相 闇残し」と取り、朝日新聞は社説で「根源の疑問解けぬまま」と掲げる、といった具合だ。
 
 本当にそうだろうか。教祖は口を閉ざしたかもしれないが、教団幹部の中には洗脳が解け、悔悟の念とともに知りうる限りのことを話した者も少なくない。「闇」や「謎」と呼ぶほどのものは残っていないとも思える。
 
 地下鉄サリン事件からでも23年もの時間が経ち、直接事件を知らない世代が増えている。「闇」ばかりが強調されると、いずれは「事件は国家権力による謀略だった」などという陰謀論が広まらないとも限らない。メディアは今後、何が分かっていないかを強調するよりも、分かっていることを語り継ぎ、再発防止につなげるべきだ。
 
 「闇の中」なのは大量処刑の方だ。13人のうちなぜこの7人なのか、なぜこの時期なのか。記者会見した法相は回答を拒否。国民に知らせる必要はないと言わんばかりだ。死刑は究極の国家の強権発動であることを見せつけた。執行の内幕を暴くは報道の課題だ。
 
 各紙とも事件を振りかえる特集記事も掲載したが、捜査のありようを再検証する視点が乏しいように感じた。地下鉄サリン事件の発生で、後手に回った警察当局の捜査は「オウム狩り」とも呼ぶべき苛烈さだった。教団信者なら、マンション駐車場に車を止めれば「住居侵入」、カッターナイフ所持なら「銃刀法違反」で現行犯逮捕。平時なら批判を免れない手法に、新聞も社会も表立って異議を唱えなかった。
 
 今日、「オウム真理教」の代わりに「工作員」でも何でもいい。「社会が攻撃を受ける」と喧伝されれば、同じように人権侵害が起きないだろうか。教祖らの死刑執行は、当時の自らの報道も含めて総括を試みるいい機会だったが、そうした記事が見受けられなかったのは残念だ。次の機会に期待したい。   
posted by JCJ at 21:19 | メディアウォッチ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年07月29日

【今週の風考計】7.29─猛暑お見舞い、おすすめ「緑陰図書」

まだまだ猛暑は続く。本など読む気も起きない。これが本当のところだろう。それでも緑陰を見つけて、いや熱中症が怖いから、クーラーつけて室内で読むとしたら、気楽にページをめくり、ついつい読み終えてしまう本がいい。
BGMには、フィッシャー指揮・ブタペスト祝祭管弦楽団のメンデルスゾーン「夏の夜の夢」(チャンネル・クラシックスCCSSA37418)がいい。

まずは矢部太郎『大家さんと僕』(新潮社)が、おすすめだ。1階には大家のおばあさん、2階にはトホホな芸人の僕。二人が展開する「ほっこり、心和む」ハプニングは、老いも若きもない。誰しも頷く新しい「家族のかたち」である。奇跡の実話漫画だ。

続いて若竹千佐子『おらおらでひとりいぐも』(河出書房新社)。74歳、ひとり暮らしの桃子さん。夫をなくした悲しみを乗り超え、残りの人生は自分なりに生きようと、「おらの今は、こわいものなし」の気持ちで辿りついた、新たな<老いの境地>を描く。
著者の生まれ故郷、遠野地方の口承文芸にも通じる会話文と地の文章が、重なり合う叙述に圧倒された。本書のタイトルは、同郷の作家・宮沢賢治が妹トシの死に際して詠んだ、長編詩「永訣の朝」にある〈Ora Orade Shitori egumo〉からとっている。

最後は、梯 久美子『原民喜』(岩波新書)をおすすめしたい。「原爆被災時のノート」をもとに書いた『夏の花』で知られる原民喜は、39歳のときに広島で被爆した。傷ついてもなお<死と愛と孤独>を抱え、「悲しみのなかにとどまり続け、嘆きを手放さないことを自分に課し続けた」稀有な生涯を、著者は丹念に描く。
原爆ドームを背に広島平和記念公園に立つ原民喜の詩碑には、彼の作品である「碑銘」が<遠き日の石に刻み/砂に影おち/崩れ墜つ/天地のまなか/一輪の花の幻>の詩句とともに刻まれている。 8月6日が近い。(2018/7/29)

posted by JCJ at 10:34 | 【今週の風考計】 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年07月27日

《国際情勢》 核兵器禁止条約 日本は批准を 被爆者が生きているうちに=沢田 正

 核兵器廃絶への扉を開いた核兵器禁止条約が国連で122カ国の賛成で採択されてから今月7日で1年になった。条約は50カ国が批准した90日後に発行する。米英仏が露骨に反対を表明、採択に賛成した国に署名・批准しないよう圧力をかけていると報道されているが、18日までに、59カ国が署名、オーストリア、コスタリカ、キューバ、メキシコ、パラオ、パレスチナ、タイ、ベネズエラ、ベトナムなど11カ国・地域が批准した。

来年末条約発効も

 核禁止条約への貢献でノーベル平和賞を受けた国際NGO・核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)の川崎哲国際運営委員は5月の講演で、署名国への聞き取り調査でさらに約40カ国が来年前半までに批准できると回答しているとして来年末に条約発効の見通しを明らかにしている。
 ストックホルム国際平和研究所が6月発表した今年1月時点の世界の核弾頭総数は9カ国で計1万4465発(昨年比470減)。冷戦ピーク時の約7万発から大幅に減ったものの、人類を何回も滅亡させるに足る数だ。
 この間の減少は世界の核弾頭の9割超を保有する米ソ・米ロ間の戦略核兵器削減条約(START)に基づくものだが、米ロ関係がウクライナ問題などで鋭く対立し、「冷戦終了後最悪の状態」といわれる中で、2021年に期限を迎える現行の新STARTの延長や新条約交渉の動きはなく、核軍縮の見通しは暗い。

 トランプ政権は2月2日、新たな核戦略指針である「核態勢の見直し(NPR)」を公表した。「使える核」をめざし、爆発力を抑えた核兵器の小型化や新たな核巡航ミサイルの開発とともに、核の先制不使用政策を否定、通常兵器による攻撃に対しても核の使用などを打ち出し、核軍拡方針を鮮明にした。
 これに対しプーチン・ロシア大統領は「核兵器使用の敷居を低くする」と新NPRを批判、対抗して新たな巡航ミサイルなどの開発を公表、世界は米ロの核軍拡の危機に直面している。
 「唯一の戦争被爆国」を称する日本政府は、核保有国と一体となって禁止条約に反対、採択に加わらず、この1年、署名も批准もしないと国内外で表明してきた。さらに、NPRに対しては、世界に先駆けて河野太郎外相が「高く評価する」と歓迎を表明、トランプ政権の核軍拡を後押しする姿勢を示している。

 朝日新聞によると、この1年で全国の地方議会の約2割にあたる322議会が政府に禁止条約への署名・批准を求める意見書を採択している。
 被爆地広島では、禁止条約の交渉会議段階から、オールヒロシマで条約の実現を後押ししようと、反核団体、被爆者団体、市民団体などが「核兵器禁止条約のためのヒロシマ緊急共同行動実行委員会」を結成、27団体が参加して、原爆ドーム前集会や今年1月、広島を訪れたベアトリス・フィンICAN事務局長との意見交換会など6回の共同行動を積み上げ、その模様を写真や動画で世界に発信してきた。今月20日にはICANのティム・ライト条約コーディネーターとの意見交換会を開き、条約の発効への道筋を探る。

目標署名140万

 また一昨年4月から始まった核兵器廃絶を求めるヒバクシャ国際署名では今年3月19日、二つの県被団協や生協、広島県、広島市など77団体と個人が参加して広島県推進連絡会を結成、県民の半数の140万筆を目標に取り組んでいる。
 こうした中で、1964年に原水禁系と原水協系に分裂して以来、同じ名称で活動してきた二つの広島県被団協に統合の動きが出ている。原水協系の被団協が6月の定期総会で統合方針を決定、もう一つの被団協も前向 きに検討の方向とされる。
 まもなく8月6日と9日がやってくる。
 安倍晋三首相はオバマ米大統領広島訪問の際、原爆死没者慰霊碑の前で「核兵器のない世界を必ず実現する」と誓い、その後の平和祈念式典でも「核兵器のない世界へ向けて努力を積み重ねる」と誓った。今年も同じだろう。安倍政権の下では禁止条約の署名、批准が望めないことは明らかだ。
 被爆者の平均年齢は今年3月末で82歳を超え、被爆者がいる時代の終わりが近づいている。被爆者が生きているうちに被爆国政府が禁止条約に署名・批准するように被爆地ヒロシマから核兵器廃絶を求める大きなうねりを巻き起こしていきたい。
沢田 正(JCJ広島支部)

JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2018年7月25日号
posted by JCJ at 11:28 | 政治・国際情勢 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年07月26日

《政治情勢》 南スーダンPKO撤退真相 「リスク取り除き、長期政権にらむ」 布施祐仁講演=安住邦男

 JCJ出版部会は7月13日に都内のYMCAアジア青少年センターで講演会を開いた。ジャーナリストで平和新聞編集長の布施祐仁さんによる「自衛隊が戦争に征(ゆ)くとき」と題した講演要旨は次の通り。
   
 2016年7月に南スーダンの首都ジュバで政府軍と反政府勢力の大規模な戦闘が勃発し、内戦が再燃しました。しかし日本政府は、「散発的な『発砲事案』で、武力紛争が発生したとは考えていない」と説明して活動継続の方針を表明しました。
 さらに、「「POKO5原則は維持されている」「ジュバは平穏」として、10月には派遣期間を延長することを閣議決定しました。そして11月には安保法制に基づく新任務(「駆けつけ警護」と「宿営地の共同防衛」)の付与まで閣議決定されました。
 日本政府の説明に疑問を抱いた私は、南スーダン派遣部隊の日報を開示請求しました。しかし新任務付与直後の12月初め、「日報はすでに廃棄しており、存在しない」と不開示を決定しました。ところが約2カ月後の2017年2月になって、防衛省はそれまで「「存在しない」と言っていた日報を突如公表しました。

激しい戦闘の実態

 自衛隊宿営地のすぐ横の「トルコビル」で、激しい戦闘がありました。7月10日には「ウエストゲート付近で激しい戦闘があり」「「戦車砲を射撃してトルコビル西端に命中」しました。大臣報告文書には「10日以降、日本宿営地南西約50b付近で激しい銃撃戦が発生し、流れ弾が宿営地にも飛来した模様」との記述があります。ただし日報ではこの部分は黒塗りされています。「市内での突発的戦闘への巻き込まれに注意が必要」との記述もあります。
 さらにNHKの取材でも明らかになったように、宿営地の上空を銃弾・砲弾が飛び交い、宿営地内にも20発以上が着弾しています。避難民を保護したウガンダ軍宿営地の隊長室が直撃を受けて兵士二人が負傷しました。隣のバングラデシュ軍が反撃して、一時「交戦状態」になっています。日本隊の隊長は隊員に武器携帯と射撃許可を出し、ある隊員は「南スーダン人を殺してしまう可能性も出てくる」と述べ、自分の手帳に「遺言」を書いた隊員もいたとのことです。
 「南スーダン政府の受け入れ同意があるので、自衛隊が武力紛争に巻き込まれることはありえない」という日本政府のロジックは完全に破綻しています。だから日報は隠蔽されたのです。
 「憲法9条の問題になる言葉は使うべきではないので、「衝突」と言う言葉を使っている」という稲田大臣の科白は、この間の事情を最もよく示しているといえましょう。

 保存期間10年に

 現地情勢を隠蔽・改ざんしないと成り立たない海外派遣を25年間続けてきましたが、もうごまかしは限界です。
 この事案を機に、防衛省は海外派遣部隊の日報の保存期間を1年未満から10年に変更し、期間満了後も国立公文書館に移管することを決めました。「存在しない」と説明してきたイラク派遣の日報も435日分見つかりました。公表された日報には、自衛隊が駐留していたサマワでも戦闘が発生したことが記されています。自衛隊も占領軍とみなされ、武装勢力の攻撃対象になっていたのです。迫撃砲・ロケット報による攻撃は計13回に及んでいます。
 南スーダンからの撤収の本当の理由は、「何かあったら政権に大きなダメージになる」「長期政権を見据え、リスクを取り除きたかった」というのが本音でしょう。

 安住邦男

JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2018年7月25日号
posted by JCJ at 12:40 | 政治・国際情勢 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年07月25日

《国内政治》 2度目の幕引き許さない 森友・加計疑惑 徹底解明へ全力=三浦誠

 二つの学校法人をめぐる疑惑が国政の焦点になっている。安倍晋三首相夫妻の関与が問われる森友加計疑惑だ。発端は昨年2月に森友学園への国有地格安売却を「朝日」が報じたことだ。以降、両学園にまつわる疑惑が、1年半以上にわたって次々と発覚するという異例の事態になっている。
 森友加計疑惑で、「しんぶん赤旗」と日本共産党国会議員団は、独自に内部資料を入手するなどし、追及を続けてきた。
 森友疑惑では、昨年3月1日の参院予算委員会で小池晃書記局長が、自民党の鴻池祥肇参院議員事務所の報告書を入手し、追及した。籠池泰典被告=詐欺罪で起訴=からの依頼で鴻池事務所が財務省近畿財務局に口利きしたことを指摘。同じようなことをした議員がほかにもいないか安倍首相に調査を迫った。

官邸が検察に介入 

 共産党国会議員団はその後も、籠池被告と財務省との交渉を録音した音声データを手に入れ、国会で追及した。最近では、あいついで省庁の内部文書を暴露。財務省の佐川宣寿前理財局長らの刑事処分について「官邸も早くということで、法務省に何度も巻きを入れている」と記されていることをあげ、「法務省を通じて検察に官邸が介入しようとしていたのではないか」と正した。
 赤旗は早い段階で籠池被告に取材した。とくに安倍首相夫妻をはじめ学園と政治家の接点≠ニして注目したのが「教育勅語」だ。安倍首相の妻昭恵氏は、幼稚園を訪問し、「教育勅語などに感動」とフェイスブックに何度も記していた。籠池被告から入手した小学校の募集案内に掲載されていた政治家を調べると共通項は「教育勅語」の礼賛だった。根底に戦前回帰の右翼的思想が流れていたのである。
 加計疑惑では、昨年3月13日付で「52年ぶりの獣医学部 国家戦略特区で無理やり」と新聞としてはいち早く疑惑を報じた。

「動かぬ証拠」指摘

「総理のご意向」と記した文部科学省の内部文書が報じられた直後には、愛媛県今治市での獣医学部新設を前提に文科省が作成したスケジュール表など複数の内部文書を、政府関係者から赤旗が入手。小池氏が参院決算委でスケジュール表を取り上げ、「今治市ありき、加計学園ありきで国家戦略特区諮問会議の決定が行われた動かぬ証拠」と指摘した。
 なぜ日本共産党が独自に内部資料を入手できるのか-―。
 強調したいのは、赤旗と国会議員団がそれぞれ独自に情報を得ようと努力していることである。関係者にあたり、説得し、証言や資料を得る。その基本はジャーナリズムにおける調査報道と同様だ。決して「タレこみ」待ちではない。

 そして相手が協力してくれる根底には、日本共産党が金権腐敗と無縁の政党だからでもある。企業・団体献金は癒着の根源であるとして全面禁止を主張してきた。政党助成金にも頼らず、党費、個人献金、赤旗の収益で党を運営している。金権腐敗とたたかってきた清潔な党だからこそ、相手も信頼してくれるといえる。
 安倍政権は通常国会が終わる7月22日をもって、疑惑の幕引きを狙っている。昨年は通常国会を早々にとじ、1度目の幕引きをした。終了直後の記者会見で「何か指摘があれば、政府としてはその都度、真摯に説明責任を果たす」「丁寧に説明」と述べたが、その後、丁寧に説明することも、説明責任を果たすこともしないままだ。いま国会、ジャーナリズムには、2度目の幕引きを許さず、真相の徹底解明に力を尽くすことが求められている。
三浦 誠(しんぶん赤旗社会部部長代理)

JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2018年7月25日号
posted by JCJ at 13:05 | 政治・国際情勢 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年07月22日

【今週の風考計】7.22─昔は、こんなに暑かった? 夏の思い出

猛烈な暑さが日本列島を襲う。京都市では39.8度を記録。熱中症による死亡も相次ぐ。昔は、こんなに暑かったろうか。30度を超える日は珍しかったと記憶する。

気になって、筐底から昔の絵日記を引っ張り出した。1950年7月22日(土)晴・25°とある。埼玉・浦和の小学校に通っていた頃である。繰っていくと、28日〜30日にかけて猛烈な雨が降っている。28日は「あんまり雨がものすごいので、おへやのあちこちに雨がもりはじめた。おかあさんがたらいやせんめんきなどをもってきて、おきました」と、書いてある。
我ながら懐かしく、しばし夏の日々を想い起こす機縁となった。小さな庭にはヒマワリが、背を超える高さで、太陽に向かって咲いている。蕗の葉っぱが生い茂る隣の家の生垣の下から、トカゲが、ちょろりと這いでてくる。それを追いかけ、石で尻尾を切る。くねったり跳ねたり、ビロードのような光が、銀に赤に青に輝く。

また悪ガキ3人組は、裏の畑に実るトマトをむしり、ワラの上で熟れたスイカをくすねて風呂敷に包み、水遊びする加茂川の淵辺に作った生け簀へ放り込む。四手網を使って菱形をしたタナゴを掬いあげる。
しばしの魚とりに飽きると、川の水で冷えたトマトやスイカに齧りつき、火照った体に一息入れる。その甘いこと。夕方になると穂のつき始めた稲田の畦道を縫って家に帰る。

さて、現在に戻ろう。今週末の28日は隅田川の花火大会だ。これにも思い出がある。言問橋近くにある家の、屋根上にある物干し場から、花火を観た記憶だ。もう60年以上も前になる。父が教え子から招かれ、連れて行ってくれたのだ。
でも花火よりも食い気だった。茹でたシャコが大きなザルに盛られて出てきた。その美味しいこと。目は空に行くどころか、指がシャコの身に、しっかり取り付いていた記憶がよみがえる。(2018/7/22)
posted by JCJ at 12:08 | 【今週の風考計】 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする