2018年11月16日

【リレー時評】福岡市が市民団体の贈呈本を拒む=白垣詔男(JCJ代表委員)

 福岡市の市民団体「引揚げ港・博多を考える集い」が出版した体験記を、福岡市教育委員会を通じて市内の全中学校に寄贈しようと申し入れたところ拒否された。理由は「旧ソ連兵や中国人の蔑称が使われているから」。
 同団体は今年6月に「あれから七十三年 十五人の戦後引揚体験記」を出版、若い人にも読んでほしいと福岡県内のすべての高校や大学、福岡市立図書館など約400カ所に寄贈したが同市内の全中学校69校への配布は拒否された。

 同団体の事務局長は「現在は使ってはいけない蔑称だが、時代背景を伝えるため引揚者が書いた体験記を原文のまま使用。注釈と解説などを付けている」としたうえで「当時、なぜこのような差別用語が使われていたのかを教えるのも教育ではないか」と主張したが、市教委は「生徒に用語などを説明しながら読む必要があり、そのまま(中学校の)図書室に置くのは好ましくないと判断した」と同団体の主張には耳を貸さなかった。

 博多港には敗戦後、中国大陸や朝鮮半島から約139万人が引き揚げてきた。長崎県の佐世保港に次ぐ日本最大級の引き揚げ港で、1991年、市民が「引揚げ港・博多を考える集い」をつくり、その歴史を語り継ぎ、引き揚げを通して悲惨な戦争を二度としないよう訴えてきた。同団体は記念碑を建てるよう福岡市に働き掛け、同市は96年、彫刻家、豊福知徳さんに依頼して博多港を望む場所に「那の津往還」と名の付く引き揚げ記 念碑を完成させた。
同団体はその後、同市に「引き揚げ記念館」を建設するよう申し入れてきたが市は難色を示し、ようやく2011年、市民福祉プラザの1階に「引き揚げ関連常設展示場」をつくり、市民が寄贈した約2600点のうち引き揚げの際使われた腕章やリュックサックなどを展示するようになったが周知が不十分で、展示場を知る人は少ない。

 また、別の市民団体が主催して毎年開いている「平和のための戦争展」についても市は「戦争法廃止、原発反対など戦争展の趣旨にそぐわない内容の主張が政治的だ」との理由で後援を拒否している。同市は「戦争と平和の問題」には後ろ向きと言わざるを得ない。
 「中国人への蔑称」は、九州大学生体解剖事件を題材に取った遠藤周作の名作「海と毒薬」には、何の注釈もないまま使われているが、中学校の図書室で読むことができるようだ。
 そうしたことから、市民団体が発行した引き揚げ体験記を同市が贈呈受け取りを拒否した根底には「平和と民主主義」の実現に消極的で日本の近現代史を大事にしない安倍政権に通底するものを感じてならない。
 なお、福岡市の現市長は自民党福岡県連の重鎮、麻生太郎副首相・財務相の大きな支援を受けているというか、麻生さんの言いなりの市政運営をしているという指摘が多い。
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2018年11月13日

《月間マスコミ評・新聞》沖縄の問いに社説はどう答えるか=六光路 弦

 沖縄県知事選は9月30日の投開票の結果、急逝した翁長雄志前知事の後を継いで、名護市辺野古への新基地建設阻止を掲げた玉城デニー氏が、安倍晋三政権が支援した佐喜真淳氏に8万票余の差をつけ圧勝した。
 
 仮に日米同盟を是とするなら、米軍基地の恩恵を受けるのは日本全体なのに、なぜ沖縄に過剰な基地負担を押し付けるのか―。沖縄の民意が突き付けた問いを、本土に住む日本人が正面から受け止める番だろう。
 
 沖縄の基地集中を巡っては、従来から地方紙の多くは安倍政権の強圧的な姿勢に批判的だった。知事選後は、さらに踏み込んで、日本本土に住む自分たちの問題として受け止めようとする地方紙の社説がいくつも目に止まった。
 
 一例を挙げれば西日本新聞は「『沖縄が反対している』と遠くから眺めるのではなく『じゃあ私たちはどうする』と踏み込み考えることが、沖縄と本土の溝を埋め、基地問題解決を促す力となるはずだ」と強調。中国新聞は「本土の私たちが傍観者にならず、沖縄とともに声を上げる姿勢が、政府のかたくなな態度を変える潮流になるはずだ」と訴えた。
 
 一方、読売新聞、産経新聞、北國新聞は、辺野古新基地建設は進めるべきだと主張した。驚いたのは産経だ。玉城氏に対し「移設を妨げる県の従来方針を改め、国との関係を正常化し、基地負担の軽減を進めていく現実的な立場をとってもらいたい」と、直截的な表現で事実上の公約撤回を要求した。読売も表現は遠まわしながら同様のトーン。それぞれ選挙翌日の社説だ。
選挙を通じて示された民意を尊重し、その代表として選ばれた首長に敬意を払うのは当然のことだ。産経や読売の主張は民主主義の否定にも等しい。このような主張を続けるのなら「新聞」を名乗ってはいけない。
 
 意外なのは、東日本大震災の被災地の地元紙、河北新報だ。翁長前知事の国との法廷闘争を時間の浪費と結論づけ「辺野古移設に反対なら反対として、実現可能な具体的な対案をある程度は提示するのは知事に求められた責任ではなかったか」と書いた。沖縄の基地問題も被災地の復興も、地域の自己決定権が問われているはず。被災地の読者の支持を得られただろうか。 

JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2018年10月25日号   
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2018年11月11日

【今週の風考計】11.11─51年目を迎えるASEAN への期待

シンガボールに熱い視線が注がれている。11日からASEAN(東南アジア諸国連合)首脳会議が開催されているからだ。発足してちょうど51年目、加盟10カ国の人口を合わせると6億人を超え、EU(28カ国)の5億人を上回る。
「アジアのバルカン」とも言われた東南アジアが、平和を守り人々の生活向上を成し遂げてきた、その成果は大きい。しかし中国が南シナ海に人工島を造成している問題で、隣接諸国は緊張の度合いが増している。とりわけ米中間での争いが激しくなれば、その余波はASEANにも及ぶ。

南シナ海の領有権争いに無関係なカンボジアやラオスは親中国の立場をとるが、ベトナムは中国に対して強硬だ。全会一致を原則とする以上、議長国シンガポールの意向を反映して、中国に一定の配慮をして紛争への懸念と国際法を重視する姿勢を打ち出す。
さらに厄介なのは、中国の経済圏構想「一帯一路」がもたらしている悪影響だ。中国からの巨額の借金で苦しむ国が続出している。今年の総選挙でマハティールが首相に復帰したマレーシアは、ついに兆円単位の債務を抱える鉄道建設の中止を決めた。あまりにも中国本位の借款事業への批判は強い。

15日からは東アジアサミットが、同地で開催される。ASEAN10カ国に加えて、日本、韓国、中国、インド、ロシア、豪州、米国などが参加する。その前日14日には安倍首相とプーチン大統領の首脳会談も組まれ、北方四島の帰属と平和条約締結に関する話し合いが行われる。だが、もっと大事なのは、米ロ中の顔色を伺う対応ではなく、東南アジアで果たすべき日本の主体的な役割の発揮である。

18日からは、ASEANに加盟申請しているパプアニューギニアのポートモレスビーで、APEC(アジア太平洋経済協力会議)が始まる。そこにも安倍首相は出席する。外国人労働者の導入・移民政策などに絡む重要法案はどうするの? 盟友・プーチン大統領は、自国の「移民問題」への対応で欠席だ。(2018/11/11)
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2018年11月08日

【メディア気象台】 9月から10月=編集部

◇改憲問う国民投票CM量、民放連は自主規制せず

民放連は20日、憲法改正の是非を問う国民投票に関するテレビやラジオのCMについて、量を自主規制する統一的な基準は設けず、各放送局の判断に委ねる方針を決定した。民放連は理由として、国民投票法が投票日の14日前からCMの禁止期間を設定している点を挙げ「原則自由である国民投票運動において広告放送にのみ厳しい法規制が課されており、既に量的な配慮が行われていると言える」とした。(「東京」9月21日付ほか)

◇被告手記本「知事推奨と誤解招く」と教授ら抗議文

相模原市緑区の県立障害者施設「津久井やまゆり園」で入所者ら45人が殺害された事件で、黒岩祐治知事が植松聖被告(28)=殺人罪などで起訴=の手記などをまとめた本を推奨していると受け止められかねない発言をしたとして、静岡県立大短期大学部の佐々木隆志教授(61)らが21日、県庁を訪れ、発言の撤回と謝罪を求める抗議文を提出した。(「神奈川」9月22日付)

◇「常識を逸脱、偏見の表現」、LGBT巡り新潮社

新潮社は21日、性的少数者(LGBT)を巡る表現で批判を受けている月刊誌「新潮45」10月号の特集について「あまりに常識を逸脱した偏見と認識不足に満ちた表現が見受けられた」と、内容に問題があったことを認める佐藤隆信社長名の談話を発表した。謝罪の文言はなかった。(「神奈川」9月22日付ほか)

◇子ども向け「六法」出版へ

「いじめは犯罪だと知ってほしい」…。刑法の暴行罪や侮辱罪などを易しい条文で紹介する「子ども六法」の出版に向け、一橋大大学院社会学研究科修士課程の山粼聡一郎さん(24)=川崎市=が、インターネット上で出版費用を募っている。山崎さん自身、小学生時代にいじめられた経験があり、「問題解決の一助になれば」と願っている。(「毎日」9月22日付夕刊ほか)

◇国連、SDGsメディア協定〜創設メンバーに朝日新聞ら

すべての国連加盟国が2030年までの実現を目指す「持続可能な開発目標」(SDGs)について、取り組みを強化しようと国連の呼びかけに応じた世界のメディアによる協力推進の枠組み「SDGメディア・コンパクト(協定)」が23日、発足した。創設メンバーとして、朝日新聞を含む、日米中など10か国以上のメディア企業や国際的な連合組織など、計31社・団体が加わった。参加メディアは、国連とSDGs関連コンテンツに協力したり、実現に向け各国が直面する課題の詳報を進めたりする。(「朝日」9月25日付)

◇是枝監督に生涯功労賞

スペインで開かれた第66回サンセバスチャン国際映画祭で23日、映画監督是枝裕和さん(56)が生涯功労賞に当たる「ドノスティア賞」を受賞した。スペイン語圏で最も注目され、欧州でも有数のこの映画祭でアジア人の同賞受賞は初めて。ドノスティア賞は、同映画祭で最も名誉ある賞で、名監督や名優に授与される。(「神奈川」9月25日付ほか)



◇「新潮45」休刊発表

月刊誌「新潮45」が性的少数者(LGBTなど)を「生産性がない」などと否定する自民党・杉田水脈衆院議員の寄稿を掲載し、最新10月号で擁護する特集も組んで批判が集まっていた問題で、発行元の新潮社は25日、同誌を休刊にすると発表した。「部数低迷に直面し、試行錯誤の過程で編集上の無理が生じた」「このような事態を招いたことについてお詫びいたします」と謝罪。老舗出版社が「顔」ともいえる月刊誌の休刊を決めたことは、言論・出版界に大きな波紋を広げそうだ。「(「毎日」9月26日付ほか)

◇英記者ビザ更新、香港政府が拒否

英紙フィナンシャル・タイムズは5日、香港政府が同紙アジア版編集担当のビクター・マーレット記者のビザ更新を拒否したと明らかにした。同記者は香港外国特派員協会の副会長で、同会が8月に香港独立を主張する政治団体・香港民族党の陳浩天代表を招いた講演会で司会を務めており、民族党はこの後、香港政府により活動禁止を命じられた、このためビザの更新拒否は講演と関連があるとみられる。香港特派員協会は声明を発表し、「言論の自由は法律の保障するところで合理的説明を欠くのであれば当局は関連の決定を取り消すべきだ」と求めている。(「しんぶん赤旗」10月7日付)

◇FB、私的通信流出か〜世界25万人分

米交流サイト大手フェイスブック(FB)の利用者のものとみられる携帯電話番号や、メッセージのやりとりといった個人情報がインターネット上に大量に流出していたことが6日、新たに分かった。情報セキュリティー専門家らの解析によると、世界各国の利用者の個人情報で25万人以上に上るとみられる。(「毎日」10月7日付ほか)

(編集部)

JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2018年10月25日号
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2018年11月07日

【沖縄リポート】 ウチナーの未来はウチナーンチュが決める

 まさに「痛快!」だった。翁長雄志前知事の急逝に伴う沖縄県知事選(9月30日)は、内外の大方の識者の予想を覆し、安倍政権(自公・維新)の全面的支援を受けた佐喜眞淳候補を、翁長知事の遺志を継ぐ玉城デニー候補が8万票以上の大差で破り、当選した。

 徹底した争点隠しと、カネと権力を総動員した物量作戦が功を奏した2月の名護市長選に味を占めた政権側は、その「名護方式」(彼らは「勝利の方程式」と呼んだ)を今回知事選にも適用。前回知事選では自主投票だった公明党、前回は下地幹郎氏が立候補して3万票を獲得した維新の票を合わせれば佐喜眞候補が勝てると踏んでいた。

彼らのやり方は名護市長選にも増してすさまじかった。菅官房長官、小泉進次郎氏を筆頭に自公の大物政治家が次々と沖縄入り。公明党は全国から7千とも8千とも言われる運動員を送り込んだ。期日前投票は日を追うごとにうなぎ上り。企業動員の際、自分の書いた投票用紙を写メで報告させているという話に耳を疑った。ネット上ではデニー候補に対する誹謗中傷・デマが90%以上を占めていた。加えて、投票日前日には超大型台風24号が沖縄を直撃するというオマケまで付いた。正直怖かった。

これらのすべてを見事に打ち破ったウチナーンチュを私は心の底から誇りに思う。動員されても心を売らなかった人々、創価学会の三色旗を掲げて公然とデニーさんを応援した学会員、「デニってる」などの造語や斬新なアイデアで選挙を盛り上げた若者たち、ネットのデマを「ファクトチェック」で精力的に検証した地元紙…。「ウチナーの未来はウチナーンチュが決める!」と立ち上がった県民一人ひとりの総合力がこの勝利を導いたのだ。

翁長前知事がしっかりと築いた礎の上に県民はいま、デニー新知事とともに、自立・共生・多様性の「新時代沖縄」へ向けて出発した。

と、ここまで書いたとき、政府が埋め立て承認撤回の効力停止を求めて国交省に審査請求を行ったというニュースが飛び込んできた。14日の豊見城市長選で、デニー知事が支援した山川仁氏が当選し、この追い風を21日投開票の那覇市長選へ、と意気込んでいた矢先だ。国の言うことを聞かない沖縄への報復としか思えない。民意はまたも踏みにじられた!

浦島悦子

JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2018年10月25日号
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2018年11月06日

【神奈川支部例会】 本土との認識の差を実感 東海大生 沖縄取材体験を報告=保坂義久

神奈川支部では10月6日、神奈川県民センターで例会「若者は沖縄の今をどう見たか」を開いた。

2017年9月、沖縄戦跡のチビチリガマが沖縄在住の少年たちに損壊された事件は、沖縄でさえ戦争体験が若い世代に伝えられていないとして大きな衝撃を与えた。

東海大学文化社会学部広報メディア学科の羽生浩一教授のゼミでは、同年12月に沖縄を訪れ、映像を「歴史記憶を継承する難しさ」というDVDにまとめた。

今回の例会ではこのDVDを視聴し、沖縄取材に行ったゼミのOBと現役学生の話を聞いた。

DVDでは、地元の平和ガイドが、チビチリガマの集団自決と、昨年の損壊事件について解説。平和学習の見学から帰ってきた地元中学生にもインタビューし、沖縄国際大学と琉球大学の学生にも話を聞いた。最近の沖縄ヘイトといえる言説について琉球新報の島洋子経済部長にも取材している。

現場の空気感じる

DVD視聴後、ゼミOBと学生が報告した。今年3月に卒業し、テレビ番組制作の現場で働く阿子島徹さんは、仕事で行う街頭インタビューと沖縄取材体験を比較し、こちらでは10人に質問して1人か2人が答えてくれればいい方だが、沖縄では誰でも答えてくれると本土との違いを語った。

DVDではナレーションを担当し、現在は新聞社系の広告代理店で仕事をしている杉田颯さんは、空襲の被害の大きかった八王子出身、祖母が身内の犠牲に触れたがらないと自分の体験と重ね合わせた。

現在大学4年の寺牛恒輝さんは「友人が左派ヘイトの根も葉もない発言をリツイートしているのを見るとうんざりするが、自分も学ばない前は同じようだった。異なる立場でも互いに耳を傾けるのが大事だと思う」という。

3年生の高橋夏帆さんは、子どもの貧困をテーマにし、子ども食堂を取材した。食堂に入りづらい状況があると報告した。

澤村成美さんは、性的マイノリティーをテーマに決め、パートナーシップ制度について行政などに取材した。実際に辺野古のゲート前では、座り込む人が運び出される状況に驚いたが、作業終了時には互いに「お疲れ様」と声を掛け合うなど、現場でなければわからない雰囲気も感じたという。

中島こなつさんはガマを個人テーマにして調べていた。損壊事件について周囲のほとんどの学生は知らないという。

各自の報告の後、司会の野呂法夫支部運営委員から「様々な集会が開かれるが若者の参加は少ない。どうしたらいいか」と問いかけられた。

若者たちからは、直接話せるよう大学に出向いてほしいとかSNSの活用などの意見が出た。

記者の仕事を語る

後半は沖縄の新聞社でインターンシップ参加した体験を、沖縄タイムスで働いた高橋夏帆さんと、琉球新報で体験した専修大学3年の天野公太さんが報告した。

高橋さんのインターンシップは8月6日から12日間。3日目に翁長知事が亡くなり、あわただしい新聞社内を体験した。

通夜の取材にも同行させてもらったという。どんな緊急事態にも事実確認を疎かにしない新聞の制作現場を体験できてよかったと、高橋さんは語る。

天野さんが身近な人に沖縄に行くと話すと、「プロ市民とかいるんでしょ」という反応が返ってきたという。天野さんはSNSが出現する前の沖縄のイメージはもっと違っていたと指摘した。

天野さんは本土と沖縄との認識の乖離に気づかされたという。東京では米軍は決められたルールを守って訓練していると思われているが、現地へ行って、米軍がルールをも持っていないことを知った。

最後に藤森研支部代表が、JCJ賞資金のカンパを呼びかけた。集会の参加者は51人。

保坂義久

JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2018年10月25日号
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2018年11月05日

【メディアウォッチ】 ネット動画「安倍政権の末路」大反響 FmA配信 アクセス数7万回超=河野慎二

 JCJとマスコミ9条の会共催の集会「安倍政権の末路」のネット配信動画が、過去に例を見ないアクセスを記録、10月についに7万回を超えた。 

この集会はジャーナリストの青木理氏と杉尾秀哉参院議員(元TBSニュースキャスター)、砂川浩慶立教大教授を招き7月に開いたもので、「自由メディア(FmA)」が8月中旬、ユーチューブで全国に発信した。

プロバイダー仰天

集会などの動画は、通常アクセス数はそれほど伸びないが、今回はケタが違った。配信直後に3万件を超えるアクセスが殺到した。瞬時ではあったが、ネット画面に「データに間違いがある恐れがあります」という赤文字の表示が流れた。プロバイダーにもサプライズのアクセス急伸だった。

動画を見た人たちが友人や知人に拡散し、視聴者が増えた。アクセスは10月も衰えることなく続伸、23日には7万703回に達した。

 配信への反応は、ほぼ2対1の比率で「いいね」が大きく上回った。ネトウヨからの罵詈や雑言も飛び交ったが、安倍退陣を求めるアクセスの底堅い伸びは雑音を圧倒した。

決め手はテーマだ

なぜ爆発的にアクセスが増えたのか。

まず、「安倍政権の末路」というテーマ設定が、タイムリーだった。

森友・加計疑惑では首相の信頼は失墜した。

 外交でもトランプ米大統領に従属するばかりで、報道と国会などの現場で安倍政治をウオッチしている青木、杉尾、砂川3氏からは「怒りのマグマが一気に噴き出す可能性がある」(青木氏)、「安倍氏が自民党総裁に3選でもレームダック化は必至」(杉尾氏)などと、核心に迫る発言が相次いだ。

 3氏は、新聞、テレビなどメディアの問題にも言及した。日本ではメディアが分断され、安倍政権に好都合な状況となっている。

 モヤモヤ感を打破

それでも、森友学園を巡る朝日のスクープを例示し「ジャーナリズムはそんなに弱くはなっていない」(青木氏)との指摘があった。

改ざん、隠蔽、虚偽答弁の安倍政治に対する怒りは爆発寸前なのに、退陣に追い込めない、そうしたモヤモヤ感を打ち払うような3氏の分かりやすい議論に動画の再生回数がはね上がった。

 とりわけ女性のアクセスが通常の12%から21%に倍近く増えた。

「この番組を見ることが出来てラッキーです。うんざりする日が続いたので」という声が寄せられている。

 市民は、権力に「忖度」しない報道を切実に求めているのだ。7万回を超えるアクセスは、そのことを強く示している

河野慎二

JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2018年10月25日号
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2018年11月04日

【今週の風考計】11.4─「外国人受け入れ」に対する右派の困惑

★30年後には、日本の人口が15%減少する。安倍政権は、それに伴う国内の労働力不足を解消するため、外国人労働者の受け入れ拡大に舵を切った。
★そのため新たな在留資格を創設する出入国管理法改正案を2日に閣議決定、今国会での成立を目指す。新たに「特定技能1号」は一定の日本語力と技能があれば5年間の在留を認める。さらに熟練した技能がある労働者は「特定技能2号」とし、家族の帯同と長期の在留を認める。定期的な審査を受ければ事実上の永住も可能になる。

★来年4月からの実施を目指す。まずは深刻な人手不足に悩む介護や農業、建設など14業種で受け入れる。「移民ではない」と強調するが、受け入れ人数に上限はない。2025年までに50万人の外国人労働者を受け入れる方針だ。
★とにかく安い賃金で働かせるのが本音なのだから、「外国人就労者の雇用が切れたり、違法残業が続いたりした時、抗議や暴動など治安が悪化しないか」、さらには「日本人労働者の給与が下げられ、待遇悪化につながりかねない」など、深刻な声が広がる。あまりにも“ご都合主義的な政策”ではないか。

★自民党内や安倍政権を支援する右派組織からも「中国やベトナムなど外国人が日本国内の労働力のカギを握り、日本侵略が進む」と、反対の論調に拍車がかかっている。現に極右団体は10・10「反移民デー」を設け、過激なデモ行動を展開している。

★肝心なのは、外国人労働者といえども、国籍などで差別されるのでなく、労働者としての権利、生活者としての人権が守られなければならない、それが保障されるか、この一点にかかっている。(2018/11/4)
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2018年11月03日

【お知らせ】11月11日にテレビ記者講座を開きます。参加学生を募集中

JCJ秋のジャーナリスト講座(学生向け)

*テレビ記者疑似体験! その厳しさ、面白さ11*月12日夜=*テレビ局エントリー動画で学ぶ、映像リポート実習*
―――この職業は、本当に厳しくて、本当に面白い。志すなら、思いきりワクワクして、しっかり覚悟して、臨もう。それにはまず、現場を知ろう。「筑紫哲也NEWS23」「みのもんたのサタデーずばッと」などで、自ら取材・リポートしてきた元TBSの下村健一さんが「テレビ記者」を目指す若い世代と熱く語り、何を準備すべきか、どう向き合うべきか指導します。

〇11月11日 午後1時半〜5時
会場:日比谷図書文化館4階セミナールームA
東京都千代田区日比谷公園1−4
最寄りは地下鉄内幸町駅か霞ヶ関駅
〇11月12日 午後6時半〜9時半
会場:日比谷図書文化館4階セミナールームA
講師:ジャーナリスト・下村健一さん=白鴎大学客員教授・元TBSキャスター
参加費:各回1300円=予約が必要です
予約:参加希望日と氏名、大学名、連絡先電話番号、メールアドレスを明記して、下記にメールでお申し込みください。
メール sukabura7@gmail.com

★11月12日に受講される方々へ:自由提出課題のお知らせ=11月9日までに、30〜90秒の自己紹介映像をつくり、無料の大容量データ転送サービス(ギガファイル便など)で上記アドレスまで提出してください。(義務ではありません。希望者のみです)映像は、スマホの横撮りで結構です。講師が批評・助言します。*主催:日本ジャーナリスト会議(JCJ)

電話03・3291・6475(月水金の午後1時から6時)
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【メディアウォッチ】 非民主的で無責任なITメディアの改革急げ=鈴木賀津彦

 メディア・リテラシー教育の実践的な研究者として世界的に著名な英国のデイビット・バッキンガム氏が来日し、法政大学市ケ谷キャンパスで10月6日、「『デジタル資本主義』時代のメディア・リテラシー教育」をテーマに講演した。同大学図書館司書課程が主催、JCJなどが共催した。教員や図書館司書、研究者やジャーナリスト、学生ら約100人が参加した。

 バッキンガム氏は講演で、フェイスブックやグーグルなどの巨大IT企業の商業主義的な独占支配のもとにあるインターネットの現状から、デジタルの夢は悪夢に変わりつつあると強調。「サイバーユートピア主義は終焉した」と説明した。
 そこで起きているフェイクニュースやネットいじめや「中毒」、そしてクリックベイドなどが横行する現状を、単なる症状ではなく根源にある問題を見る必要があると解説。規制に抵抗する巨大IT企業が代替えとして示す「メディア・リテラシー」やファクトチェッカーなどの技術的解決策など、断片化された「手っ取り早い」解決ではうまくいかないと批判した。
 「私たちが必要としているのは、フェイクニュースか否かをはっきりさせるための単純なチェックリストなどではなく、それらのメッセージを載せるメディアがいかに機能しているのか、経済的な次元だけではないその仕組みを、より深く批判的に理解することなのだ」と述べる。
 では、どうすればいいのか。まず「インターネットを、水や空気のように私たちにとって欠くことのできない公共事業と認めること。それが民間企業によって運営される場合に、厳正な規制と説明責任が求められ、商業的独占が生じないよう防止策や独占企業の解体がなされるべきだ」とバッキンガム氏は主張する。

 次に「グーグルやフェイスブックのような企業は、そのインフラに載るコンテンツを誰が作っていても、メディア企業とみなされるべきだ」とする。現在、インフラを提供するだけの技術的企業であり、中立的な媒介事業者だと振る舞い、流通するコンテンツに対してはいかなる編集責任も持たないと主張しているが、編集責任を持たせ、ヘイトスピーチやハラスメント発言など、既存のメディア規制の対象にしようと訴える。
 第三は個人情報の利用の問題だ。多くの人は利用規約に同意のチェックをすることが何を意味するのか、ほとんど分かっていない。「自らの個人情報がどのように集められ、いかに活用されているかについて、知る権利と管理する権利を持つべきである」とし、「メディア・リテラシーは人々に対して、変革を求めることこそを教えなければならない」と訴えた。
 バッキンガム氏は広島市などでも講演、福島の原発被災地などを視察した。

鈴木賀津彦

JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2018年10月25日号
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2018年11月02日

【JCJ賞資金800万めざす運動】 個人で10万も 9月末で100万超えた=大場幸夫

 8月集会でスタートしたJCJ賞資金強化運動では、まず会員・機関紙読者、JCJ賞への作品応募を要請している出版社・新聞社・放送局とJCJ賞受賞団体にカンパ依頼文及び要請リーフレットを発送しました。さまざまな反応がありました。  

 ある新聞社には発送後電話。社長室長対応。依頼封筒着確認。寄付をするかどうかは別ですとのこと。また、ある出版社と面談し懇談しました。先方は社として協賛、後援は遠慮すると決めているので取り組めないが、個人的カンパならと言っていただきました。
 さらに別の新聞社の窓口担当者からはメールの返事が早々に届き、JCJから3名で訪問しました。JCJ賞の社会的役割について強く訴えました。非常に好意的で、返事が近いうちに来ることになっています。
 別の新聞社にも、普段懇意にしている人を通じて、窓口を紹介していただきました。「新聞社は寄付するのは経験がない。広告を出すというのはどうか」と提案されました。
 いくつかの支部からは、相談してカンパ額を決めると連絡があります。ある新聞支部からは「組織としては難しいが、支部員に呼び掛けて年内にまとめる。支部総会も開く」との情報がありました。総会には事務局長が出向きカンパを訴えます。

 始まって1か月が過ぎました、もっと活動を広げなければなりません。どれだけ多くの人が動くかが成功のカギです。会員の皆さんが自分の目標を持ってください。また、要請する対象者を受け持ってください。読者の方、JCJ賞を受けた団体・個人の方、OB会の方、一緒にいろいろな活動をされている方など対象者は多いのではないでしょうか。
 各支部は具体的運動計画を立てるようにしてください。強化委員会では労組へのカンパ依頼も進めます。リーフレットや振込用紙は事務所にあります。お知らせください。 

 カンパの額は、9月末時点100万円を超えました。支部では5万円が4件ありました。個人で10万円が1件ありました。目標に向かって頑張りましょう。
 目標は800万円、個人1口2000円、団体10000円、複数口のご協力を!

大場幸夫(JCJ賞資金強化委員会事務長)

JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2018年10月25日号
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2018年11月01日

【リアル北朝鮮】 朝中露が接近 制裁緩和へ 非核化の速度と幅に応じて=文聖姫

 北朝鮮と中国、ロシアの接近が注目を浴びている。

 11日、北朝鮮の朝鮮中央通信はモスクワで9日に開かれた朝中露外務次官級協議について伝え、おおむね次のように指摘した。

・3者(朝中露)協議では、朝鮮半島の平和と安定のために傾けている北朝鮮の努力を評価。

・朝鮮半島情勢の肯定的な流れが持続するよう、相応の措置を取ることが重要だという点で見解が一致。

・朝鮮半島に恒久的で強固な平和体制を構築し、相互の関心事となるすべての問題を合理的に解決するための意思疎通と協力を引き続き強化することで合意。

 そして、3者協議では共同報道文が発表されたと報じた。

 朝鮮中央通信では、共同報道文の詳細な内容は伝えられていないが、ロシア外務省によれば、北朝鮮が実施した核実験の廃棄などの動きを踏まえ、「北朝鮮への国連制裁は適時、見直す必要がある」と指摘。「一方的な制裁に反対する共通の立場を確認した」とされる(朝日新聞2018年10月11日付)。

 6月12日に史上初の米朝首脳会談がシンガポールで開かれた後も、国連の対北朝鮮制裁措置は解除されていない。アメリカは、北朝鮮の非核化が実現しない限り、制裁を解除させない方針だ。しかし、中露は北朝鮮の対話路線を支持し制裁の緩和を求めてきた。

 今回の共同報道文でも、「3者は朝鮮民主主義人民共和国が意義ある実践的な非核化措置を取ったことに注目し、適期に対朝鮮制裁措置の調節過程を稼働させるべき必要性があるという見解で一致した」(聯合ニュース18年10月11日)との文言がある。10月11日発の聯合ニュースは「調節過程」という言葉に注目。専門家の言葉を借りて、北朝鮮の非核化の速度と幅に応じて制裁緩和の速度と幅も調節すべきだという3カ国の協力的立場を反映させたものだと分析した。

文聖姫(ジャーナリスト、博士)
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2018年10月25日号
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2018年10月30日

【編集長EYE】 教育充実にも国家主義思想入り込む=橋詰雅博

 自民党は、衆参両院の憲法審査会で党の4項目改憲条文案を説明する。4項目は9条に自衛隊を明記、緊急事態条項の創設、参院選挙区の合区解消に加えて教育の充実だ。この中で教育の充実の中身は一般にあまり知られていない。その条文案では、第26条の第1項(教育を受ける権利)と第2項(教育の義務)は現行のままだが、第3項を加えている。加憲された文章は次の通りだ。

<国は、教育が国民一人ひとりの人格の完成を目指し、その幸福の追求にかくことのできないものであり、かつ、国の未来を切り拓く上で極めて重要な役割を担うものであることに鑑み、各個人の経済的な理由にかかわらず教育を受ける機会を確保することを含め、教育環境の整備に努めなければならない>

 9月初旬に都内で講演した前川喜平・元文部科学省事務次官(63)は、この第3項をこう批判した。

 「『教育は国の未来を切り拓く上で重要だから環境を整備する』としている部分が問題です。逆に言えば、国の未来を切り拓けそうもない人間は対象外と解釈できます。ここに安倍晋三首賞の国家優先思想が混じり込んでいます。今春から小学校で教科として取り入れられた道徳もその一環です。

 戦後は個人重視と国家主義がずっとせめぎ合ってきたが、第2次安倍内閣以降は、国家の力が強くなっている。全体主義と言い換えてもいい考えが台頭し、その勢いを増しています」

  前川さんは79年4月当時の文部省に入省し、2017年1月退官した。40年近く行政官を務めてきた。

 「長年の行政官生活で痛感したのは『こんな程度の政治家をなぜ国民は選ぶのか』でした。そんな有権者が日本におびただしくいます。やはり民主主義を勝ち取っていないことが淵源です」

 そして今の世の中をこれほどまでに悪くしているのは「忖度だ」と指弾した。

 本紙インタビューに応じた1年ほど前よりも、前川さんは舌鋒鋭く安倍首相を攻撃している。

橋詰雅博

JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2018年10月25日号
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2018年10月28日

【今週の風考計】10.28─ 牛丼380円と消費税10%の方程式

消費税10%への進軍ラッパが吹き鳴らされた。2%アップで年間5兆円を、来年10月以降、毎年ずっと国民から奪いとる“徴税作戦”である。
しかし、その作戦の必然性が、ちっとも明らかにされていない。これまで消費税率引上げ分は、「社会保障の充実にあて、財政再建に使う」としていたが、いつの間にか「教育負担の軽減・子育て層支援・介護人材の確保などにも充当させる」と、国民の切実な願いを“人質”にとって、消費税増税の理由付けと使い道の見直しまでする始末だ。

いまだに社会保障はよくなるどころか、負担増・給付減の改悪ばかりが進む。現に、社会保障費の自然増分を5年間で1.5兆円も削り、文教予算も3年連続で削減している。アベノミクスの破たんが現実となり、消費不況が続き、景気回復どころか株の下落から日本経済の失速までが言われだしている。消費税10%の導入は、これに拍車をかける壊滅的打撃となりかねない。

そこへ軽減税率の導入とくる。飲食料品・新聞は8%据え置きの案だ。まずわかりやすい例を挙げよう。スーパーに買い物にいって、総菜売り場に並ぶ牛丼を買って家に持ち帰れば、据え置き8%の消費税だが、レジ脇にあるイートインコーナーで食べれば10%の消費税がとられる。「吉野家」で牛丼を買い持ち帰れば8%の消費税、店内で食べれば10%の消費税がとられる。おかしくない?
蕎麦やピザの出前は8%据え置き、だが弁当の配達は会議室に並べると、配膳・ケータリングとなり10%! こんなバカみたいなマニュアルが国税庁で作られている。さらには中小小売店でクレジットを使った消費者に対しては「ポイント還元」だとか、あの評判の悪い「プレミアム商品券」の配布まで言われだしている。

かつ住宅や自動車などの耐久消費財についても、軽減措置を検討することになっている。もう何のための消費税だ。社会保障を支える財源は、能力に応じて負担する「応能負担の原則」に基くべきだ。(2018/10/28)
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2018年10月27日

【政治情勢】 保革超え玉城知事生む 県民のアイデンティティー結集 辺野古ノー=次呂久勲

 「うちなーんちゅ、うしぇーてー、ないびらんどー!」その瞬間、この言葉が頭の中でこだました。

当確こんなに早く
 9月30日午後8時過ぎ、県知事選の投票を締め切った瞬間、玉城デニー氏の当確が速報された。当初、接戦が予想され、当落判明も午前0時ぐらいかと言われていた。
 当日、豊見城市の開票所で、票読みを担当していた私のもとへ、妹からの一通のメール「デニーさん当確出たね」。現場では当然ながら、まだ開票作業すら始まっていない。はたして、本当だろうか?こんなに早く当確出して大丈夫なのか?そうした心配も沸き上がったが、一人の県民として、素直に喜んだのと同時に、冒頭のあの言葉がよみがえったのだった。

 4年前の沖縄県知事選挙において、公明党沖縄県本部は、党本部との見解と異なり、辺野古新基地建設反対を表明し、自主投票の判断を下していた。しかしながら、今回は自民党とともに、佐喜眞淳氏に推薦を出し、全力を挙げて選挙活動を展開した。さらには、その知事選挙に出馬し、7万票近くも獲得した日本維新の会の下地幹郎衆院議員も支援に加わり、維新の会としても、佐喜眞氏を推薦していた。このことからみても、いくら4年前の選挙では、10万票もの大差で、翁長雄志氏が勝利したとはいえ、今回の選挙戦スタート時点で、すでに数万票の差がついていたことは想像に難くない。

 さらに8カ月前の名護市長選において、圧倒的有利とされ、事前の世論調査でもリードしていた稲嶺進氏が、3千票余りもの大差で、渡久地武豊氏に敗れたというトラウマも潜んでいた。
 それが故に、今回の8万票もの大差がつくとは予想だにせず、8時過ぎの当確に至っては驚きを隠せなかった。

肌感覚でわかるよ
 後日、真っ先に当確を出した放送局の記者に話を聞くと、「もう、デニーさんでしょ。取材していると肌感覚でわかるよ」と。さらに、投票日3日前に期日前投票を済ませた友人に話を聞くと、「(期日前投票所となった商業施設で)並んでる人みんな、デニーさんに投票したはずよ」と言うので、その理由を聞くと「並んでる人たちの表情が、あの(翁長さんを偲ぶ)県民大会に参加していたひとたちと同じだった。あの時の雰囲気そのままだった」と答えたのだ。
 政権与党は、2月の名護市長選の勝利以降、主要首長選で勝利を重ね、この県知事選を最大の決戦と位置付けていた。だからこそ、真っ先に立候補を表明した安里繁信氏との候補者一本化に成功し、自公維の推薦も取り付け、それこそ、名護市長選時と同じ枠組みを構築したのだった。
 そうした状況の中での、翁長前知事の死去。これは両陣営にとって、大きな誤算となったと言えよう。佐喜眞陣営にしてみれば、県内に漂う翁長氏への弔いムード、それは、8月11日に開催された県民大会(主催者発表7万人が参加)を見ても明らかだった。逆に、オール沖縄陣営に至っては、今回も翁長氏を擁立する意向だっただけに、後任の候補者を選定しなければいけない。超短期決戦の中で、お互いの陣営共に、頭を抱える中で、急遽浮上したのが、玉城デニー氏の名前だった。

イデオロギーより
 振り返ってみると、故翁長前知事は、以前からこの状況を頭に描いていたのではないだろうか。「イデオロギーよりもアイデンティティー」四年前の県知事選において、翁長氏が提唱した。それを強く感じさせるきっかけとなったのは、2013年11月25日、辺野古移設反対を掲げて当選した自民党国会議員が、公約を撤回し辺野古容認を表明した、その瞬間ではないだろうか。我々県民にとって深く刻まれている、あの、石破氏の後方で無表情のまま座っている5人の県選出の自民党国会議員の姿。沖縄県民の民意を、それこそアイデンティティーを踏みにじられた出来事であった。その後年末には、当時の仲井真弘多前県知事も辺野古埋め立てを承認、県民の怒りは沸点に達した。そして誕生したのが、翁長県知事なのである。
 沖縄県民は、ぶれずに、そのアイデンティティーを大事に、選挙において、ことごとく民意を示してきた。今回の県知事選においても、様々なデマや誹謗中傷、圧力等がはびこる中で、沖縄県民としてのアイデンティティーを老若男女問わず、決して見失わなかった結果が、この8万票もの圧勝ではないだろうか。
 「オール沖縄」は、野党共闘や革新統一といった言葉では括ることはできない。それこそ、保革を越えた、沖縄県民のアイデンティティー誇り、民意の結集なのだ。
 名護市長選後、菅義偉官房長官はこう述べた。「選挙は結果が全てです」と。沖縄県民は、結果を出した、いや、出し続けてきた。今度は、政府がこの民意を尊重し応えるべきだ。

「うちなーんちゅ、うしぇーてー、ないびらんどー!」

次呂久勲(JCJ沖縄世話人)

JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2018年10月25日号
posted by JCJ at 16:19 | 政治・国際情勢 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年10月26日

【お知らせ】〈橋本進さんを偲ぶ会〉のご案内

JCJ元代表委員の橋本進さんが、8月5日、逝去されました。享年91。下記のとおり偲ぶ会を開催します。

日時:11月26日(月) 15時〜17時30分
第1部:式辞 第2部:着席での会食・懇談
場所:主婦会館プラザエフ9階(JR四ツ谷駅・麹町口から徒歩1分)☎03-3266-8111
会費:5000円 平服にてのご来場を!

★出席される方は、11月9日(金)までにJCJ本部・FAX03-3291-6478にてお知らせください。

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2018年10月21日

【今週の風考計】10.21─海洋プラゴミ1億5千万トンが漂流!

21日からラムサール条約会議(COP13)が、アラブ首長国連邦のドバイで開催される。干潟や湿地を守るにしても、海辺や河岸に広がるプラゴミの山には辟易する。この70年ほどの間に、世界で製造されたプラ製品は85億トン、そのうち65億トンがゴミとして捨てられた。
毎年800万トンが、世界の海に流出し汚染を拡大している。現在、1億5千万トンの海洋プラゴミが浮遊している。プラゴミによる海洋汚染が深刻だ!

プラゴミの中でも、とりわけ問題なのが、破片5mm以下の「マイクロプラスチック」と呼ばれるゴミ。その2割が「人口芝」だというデータもある。これらの破片を、魚や鳥、イルカやクジラが飲み込み、体内に蓄積され摂食障害を起こして、餓死している例が世界中で報告されている。
いったん海に流れ出たプラゴミは回収が困難で、分解されずに200年以上も残存する。このままでいくと、2050年には世界の海洋プラゴミ重量が、魚の総重量を上回るといわれている。

プラゴミの総排出量のトップは中国だが、1人当たりに換算すると、その排出量は米国が1位、2位が日本となる。日本の2016年の排出量は320万トン。しかし日本には、未だに使い捨てプラスチックを国として規制する仕組みがない。
あまつさえ今年6月にカナダのG7サミットで採択された「海洋プラスチック憲章」に、日本とアメリカだけが署名を拒む体たらくだ。この憲章は、2030年までに全プラスチックをリサイクルするか代替可能なものに切り替えることを目指すという内容。拒むとは恥ずかしい限り。
EU 諸国は2020年に使い捨てプラスチックを禁止、世界の60カ国を超える国が規制を導入する。やっと日本も環境省が「2年後にレジ袋を有料化、30年までに使い捨てプラの25%削減」というガイドラインを提示したが、業界からの反発にさらされている。(2018/10/21)
posted by JCJ at 10:00 | 【今週の風考計】 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年10月16日

【映画の鏡】 息子の戦死は誤報だった 『延命は踊る』 イスラエル家族が巻き込まれた悲劇=今井潤

冒頭で軍の役人が玄関で「ご子息が昨夜戦死されました」と告げると気を失って倒れる母。父は黙って平静を装うが、役人の対応にいら立ちを覚える。軍の関係者が葬儀の打ち合わせに来るが、父は「遺体はあるんだろうな」と怒りを抑えることが出来ない。

 再び玄関の呼び鈴が鳴る。「大変な間違いでした。亡くなったのは息子さんではなく、同姓同名の別人でした。息子さんは無事です」軍人たちに怒りを爆発させる父。それを必死にたしなめる母。

 イスラエル北部国境付近の軍の検問所。息子が勤務する検問所のシーンは、緊張感に欠けた気だるい雰囲気が漂う。ゆっくりと上がる遮断機。ラクダ一頭がのったりと通り過ぎる。ある兵士が仲間に疑問をもらす。「なぜ戦っているんだろう。何のために?」「戦ってますよ、心理戦を。知らない相手と」銃を持ちながら、マンボを踊る兵士。

 若い男女を乗せた車がやってくる。身分証を調べる兵士。女がドアーを開けた瞬間、何かが兵士の足元にころがり落ちる。「手りゅう弾だ」考える間もなく銃を撃つ息子。そこには空き缶がひとつ。車内から白煙と血が静かに流れ出てくる。

 大型レッカー車が現場に来て、車ごとすべてを土の中に葬りさる。上官はいう「われわれは紛れもなく、ここで戦争をしている。起きたことは仕方ない。この一件は最初からなかったことにする」

 息子は帰宅への道を車で走っている。ラクダを避けるため、左にハンドルを切った車はがけ下に転落していく。この静かなロングショットがエンドとなる。(公開は9月29日ヒューマントラスト有楽町他で)今井 潤

JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2018年9月25日号
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2018年10月15日

【香川支部リポート】 戦争体験を語り継ぐ集い 「死の商人」への対応も論議=刎田鉱造

JCJ香川支部が参加する実行委員会の取り組み今年で39回目を迎えた「8・15戦争体験を語りつぐ集い」を8月15日に高松市で開きました。

武器輸出反対ネットワーク(NAJAT)代表の杉原浩司さんを迎え「平和のために今、何ができるか」、「武器輸出大国ニッポン」でいいのかをテーマにした講演を軸にフロアからも熱心な論議が相次ぎました。

 講演で杉原さんは、2014年安倍晋三政権が閣議決定だけで武器輸出を解禁したもののすんなりと成約ができているわけではない実情を報告した。さらに軍学共同をめぐるせめぎ合いや歯止めないアメリカからの武器輸入など戦争依存症が進行する安倍政権の「先取り壊憲だ」と訴えました。

 軍学共同について、会場から「どこからお金がきてもテーマによっては軍事か民生かの境界はあいまいだ。やり方次第ではないか」という意見が出されました。「軍事研究をおいしくする側が盛んにいってくるのがその理屈だが、狙いははっきりしている」「お金の出所をチェックすることが大事だ」「本来、文部科学省からちゃんとした研究費を出させることが大事だ」と盛り上がりました。

 また、武器輸出をしようとする大企業に「どう対応するのか」も論議になりました。ハガキ一枚でも抗議の意志を伝える。消費者の声は企業にとって抑止力になる。大企業メーカーにもメーカーに融資する銀行にも消費者がアクションを起こすことが大事と話しが進みました。

 大量に武器をつくって、売って、戦争して儲ける―戦争中毒≠フアメリカは手強いと話が展開しました。こんな意見も出されました。「日本がもつ憲法9条、守ろうという運動だけでは内向きでないか」「日本が戦争しなければいいという話ではない。アメリカに対して戦争はやめろいうのが先だ」「それをやる政府をつくろう」「展望はあると思う」。そのために今やるべきことは……。「集い」は8・15にふさわしい話し合いの場となりました。

刎田鉱造

JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2018年9月25日号
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2018年10月14日

【今週の風考計】10.14─異常気象と「羊のゲップ」とパリ協定

★今年の夏は異常だった。6〜7月にかけて北半球を熱波が襲い、世界各地で最高気温が塗り替えられた。日本では7月に観測史上41.1℃の最高を記録し、熱中症が続出した。カリフォルニアやポルトガル、そして北極圏までもが森林火災に襲われた。こうした世界に広がる異常気象は、地球温暖化に起因しているのは間違いない。

★「温暖化もたらす数千万頭のゲップ」と見出しのついた記事に驚かされた。何もとりあえず調べてみると、羊や牛のゲップには、二酸化炭素の25倍にあたる温室効果を高めるメタンガスが含まれ、一頭あたり1日500リットル吐き出すという。
★世界には牛・羊・ヤギなどの反芻動物が31億頭いるので、吐き出すメタンガスの総量は一日1兆5,500億リットル、東京ドーム1250個分に相当する。地球上の温室効果ガスの5%に当たる─こうした事実を学んだ。
★さらに糞尿が発する亜酸化窒素は、二酸化炭素の300倍もの温室効果を発揮し、オゾン層を破壊する原因になっている。オーストラリアやフランスでは、羊や牛のゲップを抑制する研究や対策に懸命である。栄養価の高い飼育肥料が、ゲップの頻発、メタンガスの発生を増進させているとの研究から、配合を変えるなどの対策が取られている。

★のんびり野山を歩き、牛や羊の反芻に見とれていたが、牛のゲップと地球温暖化の不思議なサイクルに、思いを新たにした。年末には「パリ協定」COP24が、ポーランドで開かれる。21世紀末までに温室効果ガスを実質ゼロにする画期的な協定だが、米国トランプ大統領の<脱退放言>は論外としても、他の国でもいかに実施していくか、その詳細な国際ルールが定まらない。
★ようやく日本も「パリ協定」COP24に提出する長期戦略「2050年温室効果ガス80%削減」に向けて議論が始まった。しかし世界に比べ、排出量取引や炭素税の導入など国内の実効力ある政策が、周回遅れである事実は歴然としている。(2018/10/14)

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【若い目が見た沖縄】 派遣第1号・専修大生 高江で初めて知った抗議理由=天野公太

 JCJでは今年度から「若い目が見た沖縄」をテーマに各支部などから推薦された若者を沖縄に派遣する企画を始めました。派遣に当たってはJCJが経費の一部を負担します。派遣第1号が専修大学文学部人文・ジャーナリズム学科3年生の天野公太さん(20歳)。神奈川支部から選出されました。天野さんに寄稿してもらいました。

 沖縄へ行くと話すと、「プロ市民とか、いるんだろ」とバイトの先輩が言った。政府と沖縄が対立して以後、かなりの若者の沖縄のイメージがそんな風に変化してきたように感じる。沖縄をたたく人々がかなり存在する。他方に基地撤去を願い続ける沖縄の人々がいる。とにかく自分で、現状を知りたいと強く思った。

 8月8日に訪れた時、高江のヘリパッドはすでに造成され、使われていた。それなのに抗議活動を続けている理由を、住民の方たちに聞いた。まず、米軍のヘリコプターやオスプレイの連日の騒音を挙げた。ブルドーザーが通る時のような90デシベルの場合もあるという。また、昨年10月には、住民の牧草地に米軍ヘリが不時着・炎上している。いつ落ちてくるのかわからない恐怖。私にも分かる気がした。
 しかしそれだけではなかった。ヘリパッドを含む高江の一帯は、絶滅危惧TA類のノグチゲラなど、貴重な動物が生息している森だと私は初めて知った。ノグチゲラの巣の上で米軍機が毎日爆音を立てていることを、どれだけの人が知っているだろう。ヘリパッドの近くで抗議活動をしていた那覇市在住だと言う女性は、「ただ高江の貴重な自然を守りたい」と話した。高江に住む男性は「なぜ抗議をしているのか。理由を知ってもらいたい」と肩を震わせて語った。
 沖縄を批判する人は、沖縄の人の話を聞かずに批判してはいないかと、考えさせられた。 

 名護市辺野古。8月12日、キャンプシュワブ前では、新基地建設の土砂投入を止めようと、多くの人が集まって声を上げていた。数十人。新聞やテレビで見るよりは少ないと感じた。近づくと高齢の方々が目立ち、若者の姿はほとんどない。いわゆる「プロ市民」と呼ばれるような団体は見受けられなかった。抗議はゲート前で行われていた。座り込んで動かない人もいた。
 海岸へ回ってみる。目の前に広がる辺野古の海は、青々として、息をのむほどに美しい。しかしその海の一角は、すでにオレンジ色のブイで囲まれてしまっていた。

 8月15日、再び高江を訪れた時、住民の男性に、抗議活動に若者が少ない理由を聞いてみた。「表現の仕方が違うのでは」というのが、答えだった。沖縄の若者は基地問題に関心がないのではなく、SNSなど、違うやり方で抗議をしようと考えているのだろうか。

 那覇市・奥武山陸上競技場で8月11日に開かれた、辺野古土砂投入に反対する県民大会にも行った。台風が接近して雨が降りしきる中、7万人(主催者発表)が集まった。その3日前に急逝した翁長雄志知事の追悼ということもあったのかもしれないが、一つの場所にこれほど人が集まることに私は驚かされた。他の県でこんなに住民が集まることはあるだろうか。沖縄の人々の基地問題に対する意識の強さを感じる。ここでは、集まっている中にたくさんの若者がいた。

 本土と沖縄に意識の差は確かにある。しかし、私はまだ沖縄に寄り添うことができると思う。それは、高江や辺野古で会った人たちが、私のような若者に対しても、真剣に「本土に現状を伝えてほしい」と語ったからだ。
 バイトの先輩や友人にも「一度、沖縄に行ってほしい」と言いたい思いを、強く感じている。

天野公太(専修大3年生)

JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2018年9月25日号
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2018年10月13日

【JCJ賞資金強化】 800万カンパ獲得、運動スタート 存続が危うい、1年間実施=大場幸夫

 JCJ賞資金強化大運動がスタートしました。8月18日にJCJ賞贈賞式の会場でカンパを訴えるリーフレットを参加者に配布し、運動は来年8月の贈賞式まで1年間、実施します。すでにリーフレットは読者の皆さんにも届いているはずです。
 改めて皆さんにこの運動へのご協力をお願いいたします。

 日本ジャーナリスト会議(JCJ)は、年間の優れたジャーナリズム活動を顕彰するため、1958年以来、JCJ賞を設け贈賞してきました。今年61回目を迎えました。
 新聞・放送・出版ジャンルのほか市民運動や地域活動の記録なども含み、個人・グループを問わず応募作を募り、推薦委員会が作品を絞り込んでJCJ賞選考委員会に推薦し、そこで選考・討議により受賞作品を決定してきました。いま国内外を問わず、「排外主義」や「フェイクニュース」が拡大され、情報開示どころか「真実」が隠蔽される憂慮すべき事態が進行しています。事実を追及し、真実を極め、権力の専制支配や横暴をチェックして広く市民に知らせるジャーナリズムの役割はますます重要になっています。
 こうした活動を担うジャーナリストや市民の奮闘を励ますJCJ賞は、これまで以上に期待されていると思います。私たちはこの責任を強く認識し、JCJ賞活動に多くの方々が参加してほしいと考えています。

 しかし、JCJ賞活動を支える資金は、2012年にカンパを訴え皆さまのご協力を得ましたが、それ以降も毎年の選考過程に80〜100万円の経費がかかり、この先10年維持できない状態になっています。JCJ賞の今後の活動を支えていただくために是非とも皆さんにご協力を求める次第です。

◆目標は800万円 、 個人1口2000円、 団体1口10000円、複数口のご協力を。
振込先:郵便振込は口座番号 00170-3-457209 日本ジャーナリスト会議JCJ賞資金
銀行は三井住友銀行神保町支店(001)普通預金 口座番号 2122916 日本ジャーナリスト会議JCJ賞資金

◆期間は18年8月から19年8月までの1年間。  

◆運動はJCJ賞資金強化実行委員会が進めます。 

大場幸夫

JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2018年9月25日号
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2018年10月12日

【沖縄リポート】 翁長氏 死してなお県民動かす=浦島悦子

 沖縄県知事選(9月30日)の前哨戦とも言われた名護市議選(9月9日投開票)は、熾烈な選挙戦を経て与野党同数(定数26)の結果となった。14人の立候補者全員の当選をめざした野党(稲嶺前市政を支えてきた議員及びその後継者)は1議席減らしたものの、2月の市長選敗北の逆風の中でよく健闘したと思う(野党側当選者のうち1人は、告示直前に「中立」に立場を変えるなど複雑な様相もあるが)。  
 
 とりわけ私の住む東海岸では、辺野古新基地反対運動の中から生まれた現職議員(3期)に対し、渡具知現市長派の新人が立候補(地域住民は「刺客」と呼んだ)。地域の企業(いずれも零細だが、過疎の地域では大きな存在だ)を総動員して選挙活動を展開した。当新人は、名護市長選の直前に官邸主導で作られた「住民団体」の代表だ。
 これまでと違う選挙の様相に危機感を持った住民・市民の奮闘で現職議員は当選し、新人は次点で落選。ほっと胸をなでおろした。辺野古新基地建設の地元である名護市東海岸のうち久辺3区(久志・豊原・辺野古)をすでに抑え込んだ安倍政権が、残る二見以北10区を抑え込み、「地元はみな基地に賛成している」というお墨付きを得ようとした、その目論見を跳ね返した意義は大きい。

 息つく間もなく9月13日には県知事選が告示された。混迷していた「オール沖縄」の知事候補者選定は、翁長知事の残した遺言により急転直下、玉城デニー氏に決定。死してなお県民を動かす翁長氏の力を示した。
 翁長知事の遺志に従い沖縄県は8月31日、辺野古埋め立て承認を撤回し、海・陸ともに基地建設工事は止まっている。告示日の出発式をルーツ(母親の出身地)である伊江島で行った玉城デニー候補は、名護市街地で第一声を上げた後、辺野古の座り込みゲート前で多くの市民・県民の歓呼の声に迎えられ、翁長知事の遺志を継いで辺野古新基地建設を断固阻止する決意を述べた。

 沖縄女性と米軍人の間に生まれ、翁長知事が「戦後沖縄の歴史を背負った政治家」と称した玉城氏と、日本政府の意を受けた自公・維新が推す佐喜眞淳候補との厳しい超短期決戦が始まった。「マキテーナイビランドー」という翁長氏の声が聞こえてくるようだ。

浦島悦子

JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2018年9月25日号
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2018年10月11日

【JCJ賞贈賞式記念講演】 日本メディアと国際報道 「ワシントン情報」に偏りすぎ=猿田佐世

 国際弁護士・猿田佐世さんによる「日本のメディアと国際報道」と題した記念講演の要旨は次の通り。

 首都ワシントンの人口は70万人。アメリカの権力の中枢だが日本の政治に関心のある人はごくわずかだ。そこにいる日本人は日本政府、大企業、大メディアの人がほとんどで、彼らがアーミテージやマイケル・グリーンなど一部の「知日派」の発言を取り上げることで、「アメリカの声」を作ってきた。

独自取材を増やせ
 ワシントンにいる日本の記者は60人ほどで、韓国と並んで非常に多い。しかし大量の英語情報の対応に忙殺され、調査報道や町の声を拾うことはほとんどない。
 もっと通信社を利用して時間を作り、その分独自取材を増やすべきだ。
 記者の英語力が不十分という問題もある。ある記者によると本当に英語で取材ができるのは、60人のうち10人ぐらいではないかとのことだ。

 疑問に思った例をいくつか挙げる。この7月、トランプ大統領が独断で米韓軍事演習を中止したことに対し、大統領予備選挙で旋風を起こしたバニー・サンダース事務所に聞いたところ、「大統領が韓国政府や国防長官に相談しなかったのは問題だが、演習の一時中止や縮小は好ましい方向」と言っていた。リベラルな大手紙の記者に取材しないかと持ち掛けたところ、サンダースの発言では東京で使ってもらえないかもしれないのでやめておくとの返事だった。マイケル・グリーンの名を知っているアメリカ人はほとんどいないが、サンダースの名前を知らない人はいない。

 国務省の核不拡散担当の高官の任命を承認するかどうかの審議で、上院議員が「日米原子力協定の改定をすべきでは」と候補者に質問した。日本人の記者に情報提供したが、候補者の回答に新味がないとして、ほとんど取り上げられなかった。上院議員が日米原子力協定について質問すること自体が相当なニュース価値があるのだが……。
 2009年に民主党政権ができた時、日本のテレビ局が民主党政権になって日米関係はどうなると思うか、を聞くシール投票を行った。だがその投票を行ったのは保守系シンクタンクの日本関連シンポジウムの会場の近くで、参加者には日本人も多く、回答者の半分は日本人だった。
 そのころ留学生だった私もシールを貼るよう勧められた。テレビ局の人はメディア関係者でなければ誰でもいいと会社に言われているといっていた。
 おそらく、日本でシール投票の結果は、アメリカ人に日本の選挙結果を聞きましたとだけ伝えられただろう。保守系シンクタンクの会場で調査すれば、日米関係が懸念されるという答えが多数になるのは当然だ。

一辺倒記事ばかり
 トランプが大統領選で勝った時、日本の報道は「これからどうなる」「日米関係は大変だ」一辺倒だった。これを機会に日米関係を見直してみようという論調は、リベラル紙にもなかった。「いまの日米関係はおかしい」と言いながら、オルタナティブ(代替手段)を考えられない日本のメディアには失望させられる。
 18年4月の朝日新聞の「日米安保はいま」という特集でも、取り上げたのは相変わらずアーミテージやマイケル・グリーンたち、トランプ政権で何の影響力もなくなった知日派だ。いくら大統領が代ろうと、その下で既存の体制を固めてきた層が、日本のメディアを利用して政権の影響力を及ぼそうとしている。

米国の言い分優先
 ドイツの政党はワシントンに事務所を置いている。かつて日本が原発ゼロにしようとして、アメリカに反対され断念したことを話したところ、保守の党から左派まですべての党の人が「なんで国内の政策決定にアメリカの言うことを聞くのか」と不審がった。部外者の目から見て、メディアが米国報道を改善するには、様々な経歴の記者を派遣する、もっと通信社を利用する、英語のできる記者を送る、ワシントン勤務を出世コースとして位置づけないことが重要だ。

JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2018年9月25日号
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2018年10月09日

【JCJ賞講評】 受賞逸した8作品に敬意 リアルなドキュメントぞろい=伊藤洋子 

 今年度JCJ賞選考委員会は13作品中5作品をJCJ賞に決定した。経過と受賞作品に関しては本紙7月25日号で既報の通り。本稿ではその他8作品を紹介する。

 樋田毅『記者襲撃―赤報隊事件30年目の真実』―朝日新聞阪神支局へのテロ事件を当初から時効後も30年間追い続け、真相解明に挑戦し続けてきたジャーナリストの苦渋と魂が伝わる力作。事件の真相は闇の中だが…

末浪靖司『「日米指揮権密約」の研究 自衛隊はなぜ、海外へ派兵されるのか』―膨大な米公文書を収集分析し、数多の日米密約の中でも日本の独立と文民統制を捻じ曲げる本質は自衛隊の指揮権密約にあると突き詰めた努力と熱意の成果が生み出した渾身の作。

布施祐仁・三浦英之『日報隠蔽 南スーダンで自衛隊は何を見たのか』―自衛隊の南スーダンへのPKO派遣をめぐり、大手紙の特派員は現場からルポを敢行。フリーの記者は情報公開請求で日報の隠蔽を暴く…二人三脚で隠蔽の実態をリアルに伝えるドキュメント。

毎日新聞「『旧優生保護法を問う』キャンペーン報道」―障害者たちに強制不妊手術が許された旧優生保護法はナチスの「断種法」をモデルに戦後50年余も施行されていた!事実。沈黙せざるを得ない人々への粘り強い取材で国の人道に背く犯罪を明らかにした。

中国新聞「企画『核なき世界への鍵』を中心とした核兵器禁止条約に関する一連の報道」―広島の地元紙として被爆者や市民に寄り添い、核兵器や日本政府の問題点など多角的に取り組んできた報道はヒロシマからの視点を世界のものとする。

毎日放送『愛国と教育〜教科書でいま何が起きているのか』―ナショナリズムと歴史修正、政治が教育を蹂躙する実態を次々と描きだす。教育基本法を改悪した安倍政治の狙い、日本の教育現場に起きている凄まじい状況を告発した力作。

北日本放送『イタイイタイ病 記者たちが見た50年』―富山県で発生したイ病が公害認定されて50年。この間関わった記者たちを通して描かれる県の隠蔽体質と権力に飲み込まれるメディアの実態は今日的状況への問題提起であり、イ病も過去でないと教えてくれる。

NHK『スクープドキュメント 沖縄と核』―米の統治下、世界最大級の核の島・沖縄の実態を機密文書や未公開映像、元米兵への取材で迫る力作。 

戦慄すべきミサイル事故は日本政府に認識されていたのか否か。新たな疑問も湧いてくる。 (順不同)

伊藤洋子(JCJ選考委員)

JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2018年9月25日号
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2018年10月08日

【リアル北朝鮮】 中露との友好をアピール 非核化への決意 本物か=文聖姫

 9月9日、北朝鮮は建国70周年を迎えた。軍事パレードには大陸間弾道ミサイル(ICBM)の姿はなく、5年ぶりに行われたマスゲームの演出も融和ムード漂うものだった。6月の米朝首脳会談での合意にもかかわらず、非核化交渉が進まないことを意識してか、米政権を刺激することは避けたようだ。それは、軍事パレードを実況中継しなかったことにも表れていた。

 そうしたなか、金正恩朝鮮労働党委員長がトランプ米大統領に書簡を送り、2度目の米朝首脳会談を要請していたことが明らかになった。米ホワイトハウスのサンダース報道官は10日、この事実を表明したうえで、米側がすでに調整に入っていると述べた。2回目の米朝首脳会談が遠からず開催されるかもしれない。

 一方で、金正恩委員長は、建国70周年に際して訪朝した中国の栗戦書・全国人民代表大会常務委員長、ロシアのマトヴィエンコ連邦評議会議長らと相次ぎ会談。中国とロシアが後ろ盾にあることをアピールした。どちらもナンバー3の大物。トップが直接来ることはなかったものの、中露ともに北朝鮮に配慮した形だ。軍事パレード終了後、金委員長は栗常務委員長とともにひな壇のバルコニーを歩きながら観衆に手を振り、マスゲームでは中国を意識した演出も見られるなど、北朝鮮は特に中国との良好な関係を大々的にアピールしたかったようだ。

 ところで、2度目の首脳会談では、パフォーマンスにとどまらず、実質的な進展が米朝双方に求められよう。北朝鮮の非核化への決意は本物なのか。

 金委員長は5日、訪朝した文在寅・韓国大統領の特使代表団と会見した際、次のように語ったと6日発の朝鮮中央通信は伝えた。

「朝鮮半島で武力衝突の危険と戦争の恐怖を完全に追い出し、この地を核兵器も核の脅威もない平和の拠り所にしようというのが我々の確固たる立場であり自身の意志だ」

文聖姫(ジャーナリスト・博士)

JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2018年9月25日号
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2018年10月07日

【今週の風考計】10.7─呆れる安倍政権の「性暴力」への鈍感さ

「性暴力を戦争の武器として使うこと」は、10年前に戦争犯罪として禁じられている。だが、いまだに世界の紛争地では、レイプや性被害が後を絶たない。これが、もっともコストの安い「戦争の武器」だからである。

今年のノーベル平和賞が、戦時下の性暴力撲滅に取り組む、コンゴの婦人科医ムクウェゲさんとイラクのナディアさんに贈られた。ムクウェゲさんは、コンゴにパンジー病院を設立し、20年前の第2次コンゴ内戦以来続く、現地での戦乱によりレイプ被害にあった3万人の女性を治療し、その精神的ケアにも当たっている。
同時授賞が決まったイラクの少数派・ヤジド教徒である女性のムラドさんは、「イスラム国」ISに誘拐され性暴力を受けた。ムクウェゲさんと同じように、傷ついた被害女性のため、支援を続けている。また世界中に広がった性被害の告発運動「#MeToo」も、側面から貢献している。

こうしたグローバルな潮流に逆らうような言動が、安倍政権やそのチルドレン・応援組織から噴き出している。「新潮45」を実質的に廃刊に追い込んだ杉田水脈衆院議員も、“「#MeToo」運動はもう辞めよう” “セクハラと騒ぐのは魔女狩り”などと主張していた。この深刻な現実を直視しなければならない。
いま世界から称賛されているムクウェゲさん本人が、2年前に来日しているのを知った。そのさい彼は、「旧日本軍が行った従軍慰安婦問題を<戦時下の性暴力>として言及し、謝罪も含め国家の責任が問われる」と述べている。しかし、安倍首相は「慰安婦問題は朝日の誤報のせい」と開き直る始末だ。

かように性暴力や性被害を矮小化し、さらにはLGBTなど性的少数者への侮蔑、ヘイトスピーチ規制にも鈍感な態度など切りがない。都道府県では初めての東京都・人権尊重条例が、5日に採択された。これにも自民党は反対している。(2018/10/7)

posted by JCJ at 11:52 | 【今週の風考計】 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年10月06日

【リレー時評】 道徳教科書に真珠湾での安倍演説が載る!=清水正文

 今年の春から小学校で教科としての「道徳」が導入され、授業が行われている。続いて中学校が来年度から導入される。現在、全国で中学道徳教科書の採択が行われており、結果が判明した。
 中学では8社が検定申請し合格した。その一つに今年度から新規参入した教科書会社「日本教科書」がある。安倍首相のブレーンの一人である八木秀次・麗澤大学教授(日本教育再生機構理事長)らが、2016年4月に中学の道徳教科書を出すために設立した会社だ。
 八木氏は同年9月に代表取締役を退任したが、その後任に『マンガ嫌韓流』などのヘイト本を出版する「晋遊舎」の武田義輝氏が就任。かつ日本教科書の所在地は、この出版社内にある。

 「道徳」の教科化そのものに大きな問題があることが指摘されてきた。国家が定めた徳目・価値観の押し付け、特に愛国心や伝統・文化を子どもたちに押し付ける内容が各社ともに目立っている。さらに、道徳の教科化にあたって文科省は数値による評価はしないとしてきたが、8社中5社が生徒に5段階で自己評価させる欄を設けている。生徒の内心を数値で評価させるものであり、愛国心などの価値観の押し付けが憂慮されている。

 とりわけ日本教科書の道徳教科書には突出した復古主義・国家主義的内容が含まれている。例えば、吉田松陰を登場させるために、中学生が陸上競技の走り込みで松下村塾の前を通る話を作ってみたり、新潟県長岡市がハワイと姉妹都市提携をして真珠湾で花火を打ち上げる「白菊」という教材の最後に、突然、安倍首相が行った真珠湾での演説を1ページにわたって載せている。
 自己評価についても日本教科書が最も露骨である。「礼儀を大切にし、時と場に応じた言動を判断できる心」「国を愛し、伝統や文化を受け継ぎ、国を発展させようとする心」「日本人としての自覚をもち、世界の平和や人類の幸福に貢献しようとする心」などを、4段階で評価させている。

 教科書の採択についても日本教科書は政治介入ともいえる策動を行っている。今年1月の教育再生首長会議の会合で、顧問の八木氏と代表取締役の武田氏の連名で「会社案内」とともに、市長宛に「御案内」なる文書を配布したことが明らかになった。
 「御案内」は「弊社に関する資料を同封したのでぜひご覧ください」と、市長が積極的に教科書採択に関与することを求め、「市長、教育長、教育委員の皆様に、直接ご説明の機会をおつくり頂きたく、ご検討賜りたい」と述べている。
 9月11日現在、全国各地での教科書採択について、現場の声を反映する公明正大な討議や採択を求める取り組みもあり、日本教科書の道徳教科書は、栃木県大田原市と石川県小松市のみ採択されたが、他では採択されていない。

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2018年10月05日

【8月集会】 第61回JCJ賞贈賞式に200人超 米各社のトランプ批判見習うべき

8月18日、東京・内幸町のプレスセンターホールでJCJ8月集会を開いた。参加者は200人を超えた。

 最初に中村梧郎JCJ賞代表委員が開会挨拶した。中村氏は、森友・加計疑惑や官僚の文書改ざんに対する日本のメディアの追及が弱い点を批判。トランプ米大統領のメディア非難に対し、全米の300以上の報道機関が報道の自由を守るキャンペーンを展開したことと対比した。

その後、新外交イニシアチブ代表の国際弁護士・猿田佐世氏が「日本メディアと国際報道」と題して記念講演した。

猿田氏は日本へ伝わる米国情報が一部の「知日派」に偏っていること、米国情報が大きく扱われることで日本の読者の関心が増幅し、ますますメディアがアメリカの情報を取り上げ、その結果、アメリカの影響力が増すというスパイラルになっていると指摘した(要旨は左面に掲載)。

休憩の後、贈賞式が行われた。まず伊藤洋子JCJ賞選考委員が講評。伊藤氏は最終選考に残った作品すべてにふれ、その評価を語った。

 続いて、「日本ナショナリズムの歴史」を執筆したジャーナリストで歴史研究者の梅田正己氏、財務省による公文書改ざんをスクープした朝日新聞大阪社会部次長の羽根和人氏、アメリカの核削減に日本政府が反対していた事実を明らかにしたしんぶん赤旗の竹下岳・編集局政治部副部長、小木曽陽司編集局長、沖縄へのデマ・ヘイトに対峙した報道を展開した沖縄タイムス社会部中部報道部の勝浦大輔記者、NNNドキュメントで「南京事件U」を制作した清水潔・日本テレビ報道局チーフディレクターにJCJ賞選考委員からJCJ賞の賞状と賞牌が渡された。

 贈賞したJCJ賞選考委員は柴田鉄治、諌山修、酒井憲太郎、石川旺、清田義昭の各氏。

 贈賞につづいて恒例の受賞者スピーチ。閉会挨拶で橋詰雅博JCJ事務局長がJCJ賞資金のカンパを訴えた。

なおすべての写真は武馬怜子が撮影。

JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2018年9月25日号
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2018年10月03日

《月間マスコミ評・新聞》自民総裁選にみる「国民不在」=白垣詔男


 「党首選はるかに遠く民の声」―これは西日本9月5日の朝刊に載った読者による「ニュース川柳」だ。正に今回の自民党総裁選は「国民不在」だった。総裁選びがそのまま「首相選び」に直結するので、国民、読者に視点を定めた報道が必要だったが、その視点は極めて少なかった。
 
 この点を指摘した社説は9月4日の朝日「国民は視野にないのか」と11日の西日本「国民に開かれた論戦こそ」の2紙だけだった。
朝日は「(その原因は安倍)首相側が、一貫して論戦に後ろ向きな姿勢を示している」と分析、西日本は「内向きの『集票合戦』では意味がない」と訴えた。

 総裁選は9月7日に告示されたものの、北海道地震のため告示から3日間「休戦」、しかも「休戦明け」の10日は両候補が所信表明しただけで、首相はその日の午後、ロシアに出掛けた。首相帰国の14日まで論戦はなく事実上の「休戦」となった。首相は「論戦に後ろ向き」というより論戦から逃げたとしか思えなかった。首相が不在で総裁選も盛り上がらなかった。
 
 少ない「選挙論戦」を補うように毎日は告示前の4日から「論点/争点」と題して総裁選に向けて4回の連載を展開。「アベノミクスに功罪」「米中との溝 どう対処」「9条改憲 内輪の論理」「政治主導 揺らぐ理想」と、「丁寧に説明する」と言いながらほとんど話さない安倍首相に代わって「遠い民の声」を意識して、読者に問題点を掘り下げた。「安倍政治」をどう読むか、積み残した多くの懸案に対して安倍首相が、どう立ち向かうのか立ち向かわないのか、その指摘とも言えた。
 
 毎日は先の通常国会閉会後にも「棚上げの問題群 点検 通常国会」と題して6回連載した。「森友文書改ざん問題」「加計学園問題」「日報放置・議員罵倒」「働き方改革法」「カジノ・参院6増」「相次ぐ失言・失態」と、いまだに解明されていない「問題群」を取り上げ、事実上の「安倍政治批判」を繰り広げた姿勢は評価される。
 
 一方、読売は「総裁選 問われるもの」と題して8月28日から9月6日まで自民党幹部、元幹部を登場させて6回連載したが、いずれも視点は国民側にはなく正に「自民党の内向きの姿勢」の印象が強かった。

JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2018年9月25日号


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