2016年12月31日

取材できぬ焦り・悔しさ 「委縮せず」決意する記者=澤村慎太郎

 「その間、現場の高江橋では市民の排除が続いていて、一体何が起きているのか取材ができていない焦りと怒りがあった」(沖縄タイムス・知念豊記者)  「現場で何が起きているか、どういう気持ちでその人たちがいるのかをちゃんと記録して、多くの人に伝えるのが私たちの仕事なのに、できなかった。それがあまりにも悔しすぎて」(琉球新報・阪口彩子記者)
 JCJ沖縄調査団は11月29日、那覇市の沖縄タイムス社で、取材妨害にあった2紙の記者や編集幹部らに直接聞き取りをした。

■紙面での批判重要

 取材妨害は8月20日午前、砂利を運ぶダンプなどが入る「N─1ゲート」の南側にある高江橋で発生した。橋の上に座り込む市民らを機動隊が強制排除する様子を取材していた、沖縄タイムスの知念記者と琉球新報の阪口記者が、機動隊員に両腕をつかまれるなどして強制的に排除された。

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2記者拘束 報道の自由侵害 「沖縄取材妨害事件調査団」報告/警察・海保の介入、頻繁に 2紙が抗議声明 全国の仲間と連帯=JCJ沖縄調査団

 日本ジャーナリスト会議(JCJ)は、8月20日に沖縄・高江の米軍ヘリパッド(ヘリコプター離着陸帯)建設工事で住民らの抗議行動を取材中に起きた地元紙記者への取材妨害についての調査団を11月27〜30日、現地に派遣した。調査を通じて、国民の知る権利を侵害する記者拘束の不当な実態が明らかになっただけでなく、機動隊や海上保安庁による取材妨害が頻繁に行われていることが分かった。
 調査結果を総合すると、記者拘束が起きたのは午前10時半ごろ。取材中の記者2人が機動隊によって強制排除され、バスとバスの間に一時拘束された。
 琉球新報の阪口彩子記者は、背後から機動隊員に羽交い締めにされ、強制的に約40メートル移動させられた。近くにいた小口幸人弁護士が「(琉球)新報の記者だぞ」と大声を上げたことで、阪口記者は解放。さらに約15分後、別の機動隊員に強制移動され、バス2台と機動隊で作られた囲いの中に約15分間拘束された。阪口記者は腕章をカメラに付けていたが、2度目の強制排除時には腕章を掲げ、「『記者だ』と何度も叫んでいた」と複数の証言がある。

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2016年12月25日

【今週の風考計】12.25─妻籠宿と昼神温泉で遭った師走の出来事

◆思い立って木曽路を旅した。恵那山の麓にある馬籠宿は、冬の陽光に輝いていた。島崎藤村の生れ育った地である。勾配がきつい石畳の街道は、敵の侵入を防ぐ車屋坂と呼ぶ「桝形」のせいで、直角に二回も折れ曲がる。◆続く妻籠宿には、道に面して細かい格子が組まれた家々が並ぶ。寒風に、思わず<ねんねこ>がわりの、南木曽「ねこ」を買い、背中を暖める。◆街道を進むと、ワラで包んだ柿が軒下にぶら下がっている。店に入り、外の<ワラ柿>を尋ねると、地元では「つっとこ」といい、渋柿の果肉をトロトロに甘くするとのこと。表に出ると左隅に「あぶらや」という看板。格子には「赤旗」と書かれた無人ボックスが設置され、新聞が3部ほど収まっている。1部100円とある。もう一度戻って、木曽欅の汁椀を購入した。◆その夜は昼神温泉で疲れを癒す。翌日、朝市に並ぶ店を見てまわる。おばさんたちの呼び声につられ、獅子舞のミニチュア「昼神小獅子」、お漬物「すんき」を買う。阿智川沿いに宿へ戻る途中、「石苔亭いしだ」とある旅館の門前に、ワラで作った大きなイノシシの頭みたいな飾りがある。掃除をする番頭に聞くと、「湯屋守さま」といい、災いが入り込まないよう威嚇しているのだそうだ。◆昼前、高森町の松源寺へ。NHK大河ドラマ<おんな城主 直虎>の、いいなずけ亀之丞が育った寺である。寺の前方に松岡城址があり、仙丈ケ岳、甲斐駒ケ岳が一望できる。市田柿も手に入れ、師走の2日間を堪能した。よいお年をお迎えください。(2016/12/25)
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法令違反の電通事件 人間を軽視していた経営陣/「五輪業務」への批判恐れる 首相、石井社長を叱責――作家・本間龍氏に聞く/聞き手=橋詰雅博

 女性新入社員の過労自殺に端を発した電通事件。違法な長時間労働が常態化しているとして東京など各労働局は、本社や各支社を労働基準法違反容疑で家宅捜索した。幹部社員と法人としての電通の立件は、越年する見込み。元博報堂社員で広告代理店業界に詳しく、「電通と原発報道」「原発プロパガンダ」などの著書がある作家の本間龍(54)さんが、この事件について取材に応じた。

――本間さんは、石井直(ただし)社長が首相官邸に呼ばれたという情報をいち早くキャッチしたそうですが……。
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岐路に立つメディア、NHK籾井会長、世論の包囲でついに退任/日米でインターネットの偽ニュース横行、今こそジャーナリズムは本道を=隅井孝雄

■公正報道求め続けなければ

 12月7日のNHK経営委員会が籾井勝人会長の退任を決め、上田良一氏(元三菱商事副社長)を次期会長に選出した。財界出身が4代続く。籾井会長は3年前に就任。その際「従軍慰安婦はどこの国にもあった」、「政府が右というものを左とは言えない」などと発言した。熊本地震の際の原発報道で「公式発表をベースにする」と指示したことなどが批判された。
 会長選出にあたって経営委員会は「政治的中立」、「人格高潔」「国民からの信頼」などを挙げたが、籾井氏は不適格であることは明白であった。辞任を求める署名が8万件を超え、また再任しないように求める署名も3か月で3万5000件に達した。
 上田良一新会長のもとNHKは信頼を取り戻せるだろうか。NHKニュースの権力に寄り添う体質は一朝一夕には変わらないだろう。市民、視聴者が、ねばり強く批判し、公正な報道を求め続ければならない。

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*「隅井孝雄のメディアウオッチ」が開きます。
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【録画】JCJ12月集会・浜矩子氏講演/トランプ発言「妙なる調べ」 安倍政権、軍事強化へ追い風=須貝道雄


12月4日、JCJ12月集会「TTP・アベノミクスー浜矩子さんが斬る」(東京・エヂュカス東京)。
収録:Fma(自由メディア)


 「トランプ新政権発足で最も喜んでいるのは安倍晋三首相だろう」
 同志社大学大学院教授の浜矩子さんは12月4日、JCJ12月集会で講演し、憲法改正を狙う安倍政権にとって、トランプ氏の出現は逆風ではなく、追い風になるとの見方を示した。

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2016年12月18日

【今週の風考計】12.18─オスプレイ墜落とストロンチウム90

沖縄名護の安部海岸に墜落・大破した米軍オスプレイ事故に、沖縄・米海兵隊ニコルソン調整官は「パイロットの回避操縦に感謝すべきだ」と開き直る始末。植民地意識丸出し。「不時着」などと言いつくろい、機体の欠陥を隠蔽しようと必死だ。米海軍安全センターですら、最も重大な「クラスA」事故と認め、オスプレイ1機の値段85億円を上回る被害額95億円と算定している。この1年間、日本で米軍が起こした「クラスA」の航空機事故は、すでに6件と頻発している。沖縄が日本に復帰した1972年以降、県内で発生した米軍機の墜落事故は47件に上る。さらに怖いのはオスプレイには、回転翼ブレードの監視用に「ストロンチウム90」が搭載されている。現に、放射線から身を守る防護服のような白い服を着用した米兵が、事故現場の海岸で、残骸機体の処理に当たっている。海に沈んだ容器から、「ストロンチウム90」が漏れ、海岸を汚染しているかもしれない。体内に入ると骨や歯に吸収され、長期にβ線を放出し続け、骨ガンや白血病の原因になる。政府は、墜落の不安や騒音で苦しめられる村民の怒りなど顧みず、もうオスプレイ飛行再開を認めてしまう。22日には、高江に発着用ヘリパッドの新設を条件に、北部演習場が返還され、式典が行われる。同日、過去最大となる5兆1685億円の防衛費を組み込む、来年度予算案を閣議決定する。オスプレイ17機を購入する防衛省は、岩国・横田・木更津などへの配備をもくろむ。防衛相は沖縄の人々に、どの顔向けて、臨席するのか。(2016/12/18)
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2016年12月12日

弾劾可決で大統領職務停止のソウルでは歓喜と「生ぬるい」の声が交差=杉山正隆

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「朴槿恵(パク・クネ)を拘束しろ」などと訴えソウル市庁前をデモ行進する市民たち
(12月10日午後5時、ソウル市庁前で 杉山正隆写す)

 12月9日の韓国国会で、朴槿恵(パク・クネ)大統領の弾劾訴追案が可決されたソウルでは、直後の週末の10日、弾劾成立と職務停止を喜ぶ声と、即時退陣や逮捕・拘束などを求める声が交錯していた。
 ソウルでの大規模な集会は10月27日以降、毎週土曜日に開かれており7回目。日に日に冷え込みが強まり、最低気温が―5℃ほどになったこの日、ソウルでは主催者発表で80万人(警察発表は12万人)が参加した。
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「土人」発言 沖縄の基地偏在を無視/「どっちもどっち」は差別放置/傍観は傲慢かつ怠惰=石橋 学

 どうにかしてそれが差別だと認めたくない人たちがいる。いや、私たちがいる。大阪府警の機動隊員による「土人」発言を擁護する言説の数々である。「職務は一生懸命」(松井一郎大阪府知事)、「差別かどうか断定できない」(鶴保庸介沖縄北方相)。最たるものが「抗議している側もひどいことを言っている」。この「どっちもどっち」論がもっともらしく聞こえるのなら、それが差別主義者の物言いとまったく同じだということに気付かねばならない。

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産経、日テレの番組たたきに執念/南京虐殺写真に難癖、印象操作と萎縮ねらう=河野慎二

 産経新聞が10月16日、「歴史戦」と題する企画コーナーに「『虐殺』写真に裏付けなし」との大見出しで、日本テレビの番組「検証」記事を掲載した。1年前に放送された番組について、1ページの半分以上を使って批判するのだから、ただ事ではない。
 産経新聞が仰々しく批判したのは、日本テレビが昨年10月4日に放送したNNNドキュメント15・シリーズ戦後70年「南京事件 兵士たちの遺言」である。
 この番組は、旧日本軍による南京虐殺事件について、兵士たちの日記や元海軍兵の証言をもとに、綿密な取材で事件を検証した調査報道の力作である。放送直後から大きな反響を呼び、2015年度のギャラクシー賞優秀賞を受賞した。

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2016年12月11日

【今週の風考計】12.11─なぜ「真珠湾訪問」に踏み切ったか?

◆このところ、安倍さんのハシャギようは異常だ。15日来日するプーチン大統領との会談は、平和条約の締結どころか北方領土の返還すら、何ら進展が見込めないのに、水産・観光分野での経済協力を持ちあげ、大手柄にする腹づもり。山口県・長門市の伝統的な温泉宿でのオモテナシも、フグを食い逃げされて終わりそう。◆また25日の真珠湾訪問も、「歴史的快挙」と自負するが、日米開戦に突入した太平洋戦争への謝罪ではない。実は現職のオバマ大統領へ、まずは「トランプ・安倍会談」がもたらした不快感への“お詫び”のためといわれる。◆だから官邸は「謝罪ではない」としきりに弁明する。戦後の歴代首相が真珠湾訪問・慰霊に踏み切れなかったのは、太平洋戦争への“謝罪”につながる事態を避けたいためだった。それが一転、「真珠湾訪問」に踏み切ったのは、世界から物笑いにされている「トランプ訪問」を打ち消すためというのがホンネ。◆本来、すべての国に公平に謝罪と反省の気持ちを表すのが常識。中国では13日の南京事件「国家哀悼日」に、国家主催の追悼式典を開き、南京市内で警笛を鳴らして犠牲者を追悼する。安倍さんの胸中には、謝罪どころか反省や哀悼の思いもない。◆それどころか支持率6割をいいことに、年初の「真珠湾解散」すら目論み、2月中旬の総選挙を企てる。自らの政権維持と改憲への野望を実現させるためなら、何でもやる構えだ。(2016/12/11)
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2016年12月04日

□■経営委の同意得られず、NHK籾井会長退任へ/NHK全国退職者有志が次期会長候補推薦名簿を提出

 NHK全国退職者有志世話人5氏及び「次期会長候補推薦委員会」4氏が、2日午前11時、NHK放送センターを訪れ、NHK経営委員会に対して「会長候補推薦名簿」を提出した。籾井会長の再任絶対反対の姿勢をはっきり打ち出し、視聴者・市民の意向に留意した会長選任を求め、次期会長候補として落合恵子氏(作家)、廣渡清吾氏(法学者)、村松泰子氏(社会学者)の三氏(五十音順)を推薦した。
 同有志は「会長候補」を推薦するに当たって、学識経験者・文化人・NHKOBなど諸分野から推薦することに留意して議論をすすめ、その内容を反映した「会長候補推薦名簿」となっている。
 NHK経営委員会に対する名簿提出にあたり、「私たちの行動が、公募・推薦制導入など、会長選任過程が視聴者・市民に開かれ透明化される一歩になることを期待しています」とのコメントを出した。
(JCJふらっしゅ「ニュースの検証」=小鷲順造)

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【今週の風考計】12.4─呆れる「カジノ解禁」の政治的堕落

カジノ事業は、刑法の賭博罪に該当し禁じられている。だが自民党は「カジノ解禁法案」を、審議5時間33分で強行可決。TPP批准、年金切り下げに続く3度目の暴挙。発破をかけた官邸や推進議員の感覚を疑う。まさに政治的堕落そのもの。カジノ合法化により、反社会的集団がマネーロンダリングや資金稼ぎに使う危険は増す。闇金融は、5日で1割の利率でも、損を取り戻そうと借りにくる人を目当てに、大儲けをたくらむ。多重債務や家庭崩壊による不幸や悲劇が増えるのは明らか。ギャンブル依存は536万人に上る。世界でも際だって高い。国民の不幸を踏み台に、カジノ賭博で経済成長・観光開発の起爆剤にする─この発想こそ邪道の極み。カジノ事業者の利益、すなわち胴元に集まる巨額なテラ銭・あぶく銭を保証してやるために、依存症対策の社会的費用を負担するなど言語道断。日本で例外として認可される賭博は、競馬・競輪・競艇・オートレースや宝くじ・スポーツ振興くじなど、地方自治体が運営する公営ギャンブルだけ。だが今度の「カジノ解禁法案」は、「民間事業者に運営権限を直接付与する」完全民営化である。大手を振って内外から参入してくるだろう。パチンコ業者も含め、ギャンブル事業者間の過酷な競争、トラブルに拍車がかかる。公営ギャンブルの事業主体である地方自治体までもが、競馬・競輪などの運営を、すべて民間事業者に丸投げしかねない。民営賭博は認めるな。参院で廃案に追い込もう。(2016/12/4)
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失業者や若者に希望を与えないと米国内で反乱起きる=隅井孝雄

 「アメリカの理念が揺らぎ、差別と排除の思想がまかり通っている」、「バーニー・サンダースを取り囲んだ数万、数十万の若者は、クリントンに向かわなかった。トランプか第三の候補にも流れたが、多くが投票しない」、「人々はグローバル化の中に置き去りにされ、怒りにかられ、エリート支配に反発している」、「大きなうねりは資本主義や多様な移民社会という価値観を揺さぶっている」
 このレポートは選挙後のものではない。選挙3日前(11/5午後9時放送、米時間では4日前)のNHKスペシャル「揺らぐアメリカはどこへ、混迷の大統領選」から抜粋したものである。出色の取材とレポートだった。
 メディアは、トランプ候補の奇矯な言動に焦点を当てた。テレビ討論も泥仕合だと酷評された。私は、「メディアの敗北」といいたい。

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終末迎えるアメリカ帝国主義=伊藤力司

 米大統領選挙はアメリカ本国はじめ世界中のメディアの予想を裏切ってドナルド・トランプ共和党候補が当選、ヒラリー・クリントン民主党候補が苦杯をなめた。本紙先月号で筆者も、ヒラリー氏の当選をほぼ確実と書いた不明をお詫びする次第である。  来年1月20日に第45代合衆国大統領に就任するトランプ氏が「アメリカは世界の警察官であることをやめる」という公約をどう実現するか。世界は、第2次大戦後70年余「パックス・アメリカーナ」を維持してきたアメリカ帝国の終末を見ることになるはずだ。
 当面の焦点である中東危機を「トランプのアメリカ」はどう収めるか。今のところ見えてきたのは「プーチンのロシア」を前面に立ててシリアの戦火を消し、IS(イスラム国)壊滅作戦を急ぐ。これまで米国が掲げてきたシリアのアサド政権追放は当面うやむやになる。

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