2017年08月11日

《築地市場問題1》 「豊洲移転、最速で19年5月」=橋詰雅博

 東京都議会選挙で支持勢力の圧勝を受けて小池百合子都知事は、豊洲に市場を移し、築地を5年後に再開発する基本方針が「信任を得た」と選挙後の記者会見で述べた。両市場の併存は本当に実現できるのか。築地市場の現在地再整備を訴え続ける東京中央市場労働組合委員長の中澤誠さん(52)に、本紙4月25日号でのインタビューに続き再び築地市場移転問題で聞いた。

   ☆      ☆

――小池都知事の併存方針をどう思うか。

 まず都議会選挙で自民党が公約に掲げた豊洲市場への早期移転は、自民党を惨敗に追い込んだ都民が拒否した。これはよかった。併存方針は移転推進派と反対派の両方にいい顔をしたどっちつかずの案。マスコミ関係者によると、知事は築地再整備案あるいは豊洲に一時移転後に再び戻る案に傾いていたが、知事が代表を務めた地域政党・都民ファーストの会と選挙協力した公明党の了承を得られなかったそうだ。内容が整理できないままああいう基本方針を告示直前に発表せざるを得なかったという話を聞いた。

豊洲無害化困難

――来年5月をメドに豊洲に移転させると知事は言っているが、本当にできるのか。

 専門家会議は豊洲の土壌汚染を無害化するための追加対策として2つ挙げた。一つ目は水位が一向に下がらない地下水を下げるため揚水するポンプの増設です。当初は「水位を海抜1・8bで管理する」が目標でしたが、場所によっては海抜4bに達していて、目標を1度も実現していない。原因がわからないままポンプだけ増設しても水位が下がる保障はない。地層に穴が空いている可能性がある。原因究明が先ですよ。

 水銀ガス濃度の上昇を抑えるため地下空間の床面にコンクリートを敷くが2つ目の対策だ。一級建築士ら専門家の話を総合すると、現在の建物自体は耐震基準内だが、地層に30数bまで打ち込んだ杭にコンクリートをくっつけると重くなり耐震基準を満たすことができない。つまり違法建築になる。杭にくっつけずにコンクリートを置くだけの形になるが、どういう風に施工するのかが問題。ゼネコンなどが知恵を絞るのだろうが、大丈夫なのかと心配になる。こうした問題を解決しなければ豊洲の土壌汚染の無害化は達成できない。来年5月移転に向けたハードルはとても高い。

基本方針撤回を

――では移転はどうなるのか。

 選挙後に小池知事と業界6団体が話し合ったとき、移転推進派の築地市場協会の伊藤裕康会長も、同じく推進派の築地東京青果物商業協同組合の泉未紀夫理事長も、来年5月の移転はムリと言っている。土壌汚染対策などがある程度メドが立たないと、トラックを集めるなど本格的な準備に入れません。私は最速でも移転は再来年の5月、すなわち2019年5月と見ています。1年後に東京オリンピック・パラリンピックが控えている。五輪のため築地の跡地に環状2号を通す、選手らを運ぶバスなどの駐車場として跡地を活用する計画だが、実現は厳しい。このままでは五輪への影響は必至です。五輪と築地市場移転は切り離して考えるべきだ。知事選は3年後だし、ここで選挙ファーストの提案だったと認めて基本方針を撤回し、計画を練り直した方がいい。

聞き手 橋詰雅博(JCJ事務局長兼機関紙編集長)

※JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2017年7月25日号
posted by JCJ at 16:48 | Editorial&Column | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

《焦点》 国民投票の費用はどのくらい


 不信感高まる「森友」「加計」両疑惑、自民党が惨敗した都議選、急落する内閣支持率、盛り上がる政権退陣を求めるデモと、安倍首相への風当たりが激しくなってきた。今まで国民の声を無視してきたしっぺ返しをくらっているが、ただし憲法九条を中心とした改憲の意欲は衰えていない。自民党は11月上旬までに改憲原案をまとめ、臨時国会に提出する予定。18年6月に改憲案を発議し、国民に改憲の是非を問う国民投票を実施しようとしている。
 スケジュール通りに行くかどうかはともかく、現実味を帯びてきた国民投票はお金がどのくらいかかるのだろうか。

 10年前の2007年、衆院法制局による試算では、経費は約850億円。内訳は、投票所・開票所の設営・賃貸料が493億円、不在者投票や投票所入場券の郵送費などが224億円、公報発行費66億円、各政党に割り当てられる無料広告肩代わり費18億3000万円などの順だ。

 ところで国民投票の場合、発議後、投票前14日間の有料テレビCM禁止を除く期間は、改憲派と反対派は自由に各メディアに広告を出せる。広告費の上限は国民投票法で定められていない。宣伝効果が大きいテレビCMをメインとしたこの費用は―。「国民投票のルール改善を考え求める会」のメンバーで著述業(元博報堂社員)の本間龍さんがこう言う。

「衆参の両選挙で各政党などがメディアに投じる広告費は約500億円。国民投票では発議後、60日から180日以内に投票が実施される。運動期間によるが、少なくとも500億円の4〜5倍、場合によっては10倍以上の広告費が使われる。資金が豊富な改憲派は絶対有利。だから国民投票のテレビCMを法規制したいが、民放の業界団体は反対。その理由はこの特需≠当て込んでいるからです」

 税金で賄われる経費と、この巨額な広告宣伝費を合わせると膨大な金が国民投票で使われる。国民投票の実施は必要なのか。

橋詰雅博
posted by JCJ at 12:10 | Editorial&Column | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

《JCJ要請》10日、野田総務相に緊急申し入れ書提出

野田聖子総務相への緊急申し入れ書

政府による放送への介入、干渉を即刻止め、放送の自由と独立を保障する政策を進めるよう求めます

2017年8月10日
日本ジャーナリスト会議(JCJ)


 第3次安倍改造内閣で総務相に就任された貴職が放送行政を進めるにあたり、政府の介入、干渉により、放送の自由が脅かされている問題について認識を新たにし、放送の自由と独立を保障する政策を進めるよう申し入れます。

 2012年12月に第2次安倍政権が発足して以降、政権及び政権与党による放送への干渉、介入は目に余るものがあり、放送の自由は危機に瀕しています。その最たるものは、貴職前任者の高市早苗前総務相が2016年2月、放送局が政治的な公平性を欠く番組を繰り返し放送した場合、電波停止を命じる可能性に言及した発言です。放送法3条は「放送番組は、法律に定める権限に基づくばあいでなければ、何人からも干渉されない」と定めており、高市氏の発言はこの規定に明確に反します。
 
 政権与党である自民党も、放送局への介入、干渉などを強めています。2014年の衆議院総選挙直前には、自民党が在京テレビキー局に対し選挙報道について「公平中立、公正の確保」を求める文書を直接手交し、圧力をかけました。2015年4月には、自民党-がNHKとテレビ朝日の首脳を党本部に呼びつけ、「クローズアップ現代」(NHK)と「報道ステーション」(テレビ朝日)について、事情聴取を行いました。政権党が個別番組で局首脳を呼び出すのは前代未聞のことで、その萎縮効果ははかりしれません。
 
 こうした異常な事態の下で放送行政の最高責任者に就任した貴職に対し、まず何よりも放送における表現の自由を守る決意を鮮明にすることを求めます。言論と表現の自由を保障することが、民主主義社会を発展させる基本です。貴職は、放送法が1条3項で「放送が健全な民主主義の発達に資するようにすること」と定めていることを心に刻みつけ、放送行政を進めていただきたい。
 
 とりわけ、行政による、あるいは政権党による放送の自由への介入、干渉は、民主主義を掘り崩し劣化させる最悪の行為です。貴職は、放送法の精神を逸脱した高市前総務相の発言を取り消すべきです。言論・表現の自由を定めた憲法とは真逆の、誤った行政判断が継続されることは許されません。
 
 放送の在り方を律する放送法、電波法は、放送局の自律と独立を前提にしています。貴職におかれては、放送の自由と独立を確保する政策に専念し、放送番組内容の問題については、BPO(放送倫理番組向上機構)に委ね、政府、政権党の介入、干渉は厳に慎むよう求めます。
posted by JCJ at 10:42 | パブリック・コメント | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする