2017年08月12日

《焦点》 新聞社の「押し紙」問題を追及して20年に及ぶJCJ会員の黒薮哲哉さん=橋詰雅博

 JCJ会員でフリージャーナリストの黒薮哲哉さん(59)は、販売店が注文した部数を大きく超えて新聞社が搬入する、読まれることのない新聞紙、いわゆる「押し紙」問題を追及して20年に及ぶ。この押し紙を含む新聞経営の諸問題を扱った7冊目の著書「新聞の凋落と『押し紙』」(花伝社)を5月末に出版した。新聞社を取材対象とした週刊業界紙の記者時代に押し紙の実態を知ったのが取材のきっかけ。近著では日本新聞協会が押し紙を隠すため姑息(こそく)な手段を使ったことを問題にしている。

 「日本新聞協会の販売委員会とも言える『地区新聞公正取引協議会』は、配達中に新聞が雨などで破損したときに使われる予備紙の割合を搬入部数の2%と定めていた。公正取引委員会も販売店の注文部数は、予備紙を加えたものと定義しています。それをオーバーした部数は押し紙になります。公取委は2009年に新聞特殊指定改訂に際し、予備紙を含む注文部数以外で新聞を買い取らせることはできないとしました。目的は押し紙の取り締まりでした。ところが改訂版施行前に、新聞協会は予備紙2%ルールを廃止した。ルールがあると、2%を超える予備紙は押し紙になるが、これがなければ、残紙はすべて予備紙であり、押し紙ではないという詭弁(きべん)が成り立つ。改訂版施行後、残紙を予備紙と呼んでいる新聞社もある。販売店では予備紙が搬入部数の20%から30%にもなっている」

 3月末に国会で35年ぶりに押し紙問題が取り上げられたが、「安倍晋三内閣はメディアをコントロールする材料に使うため問題を放置している」と批判する。

橋詰雅博(JCJ事務局長兼機関紙編集長)
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《築地市場問題2》 小池都知事、説明責任果たさず=橋詰雅博



 8月11日に掲載したのに続き東京中央卸売市場組合長の中澤誠さんのインタビュー記事パート2を載せました。

 ☆    ☆

――そもそも併存方針は現実的か。

 現場から出てきた話ではなく、うまくいかないだろう。80年代、手狭になった築地の機能を大井市場に分散させる案が出たが、現在の取扱数量はピークの半分。分散させる必要性はなく、分散となるとコストが嵩みメリットがない。経済の合理性を追求する資本主義のワクから外れる行為。両市場を統合するのならわかるが、分散する話が出てくるのはおかしい。年間100億円の赤字が出て、ムダに広く物流が非効率でコストが大幅に増える豊洲よりも、営業しながらリフォームできる築地の方が合理的です。豊洲移転によって、人件費や物流コストがどれだけ増えるのかがいまだに不明だし、買いにきてくれる人が増えるのかもわかない。むしろ食の安心・安全が揺らぐ豊洲市場を嫌いお客が減ってしまう可能性が高い。こうした不安要因を抱える一方で、大きな投資を強いられるから鮮魚を扱う仲卸を中心とした事業者の多くは移転に反対です。

――中澤さんらはこの先、どんな活動をしていくのか。

 小池知事は基本方針を説明した先月の記者会見では、記者との質疑をわずか5分で打ち切った。説明責任を果たしていない。石原慎太郎元知事のように頭ごなしで基本方針を強引に進めるのか、それともさまざまな人の意見を聞いて合意形成し大きく基本方針を転換させるのかを見極めたい。知事の姿勢を見てから次の行動を考えます。

聞き手 橋詰雅博

(JCJ事務局長兼機関紙編集長)

※JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2017年7月25日号
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