2017年09月26日

≪リレー時評≫核への「知性」と「狂気」 どちらを取るかは明らか=吉原 功(JCJ代表委員)

 8月末から9月にかけて、長崎の反核平和運動の巨星お二人が相次いで亡くなられた。谷口稜曄さんと土山秀夫さんである。もう一人の巨星山口仙二さんはつとに2013年7月に他界されている。
 山口さんは、14歳のとき、学徒動員で防空壕を掘る作業中に被爆、全身に大やけどを負い、顔から胸にかけて残ったケロイドに苦しんだ。1982年の国連での「ノーモア ウォー、ノーモア ヒバクシャ」演説は多くの人びとの心を揺さぶった。

 谷口さんは、16歳で自転車にのり郵便配達中に被爆、背中と左腕に原爆の熱戦を浴びながら生き延びる。山口さんとともに重い原爆症に苦しみながら、被爆者運動の中心として活躍した。海外にも出かけ核廃絶を訴えたが、背中を椅子にもたれさせることは出来ないので飛行機での移動は難行のようだったと多くの人が証言している。
 土山さんは、20歳の医学生として原爆投下の翌日から救護活動に参加。「あの日の町に漂っていた死臭を伝えることは出来ない」と何度も語っていた。80年代のなかごろお話を伺ったが核問題についての造詣の深さにくわえて国際的な知見が非常に深く豊だったことに驚いた。山口さん、谷口さんが実践的運動を主導し、土山さんは理論的支柱として活躍したといえよう。長崎大学医学部長、学長を歴任したほか、20年にわたり長崎平和宣言文起草委員を務め、「北東アジア非核地帯構想」や「核兵器禁止条約締結」などを盛り込むことに貢献した。

 この三人の努力をはじめとする反核平和の粘り強い運動は、世界に広がり、今夏ついに核兵器を違法とする核兵器禁止条約を国連で採択させた。田上長崎市長は平和宣言でこの条約を「ヒロシマ・ナガサキ条約」と呼びたいと大歓迎、推進した国々、国連、NGOなどの「強い意思と勇気ある行動」に感謝を述べる一方、「条約の交渉会議にさえ参加しない」日本政府に対し「被爆地は到底理解できない」と批判した。
 広島・長崎への原爆投下は間違いなく人類史の一画期である。知性ある人ならば核開発は人類滅亡への道ということを理解したはずだ。だが核兵器は拡大し続け、「平和利用」でもチェルノブイリ・福島を経験してしまった。核のボタンを押しかねない人物が政治指導者になっているのが現代世界だ。知性と狂気、どちらを取るべきか明らかであろう。
JCJ機関紙「ジャーナリスト」9月25日号より


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2017年09月25日

前川喜平インタビュー3 《編集長EYE》 「政治家と付き合うのは嫌で嫌で」番外編 =橋詰雅博

 なぜJCJ機関紙のインタビューに応じたのかについて、前川喜平氏は「コマーシャリズムに流されていない。相談した代理人の弁護士も止めなかった」と答えた。

 インタビューのテーマは多岐にわたった。そ の「番外編」をお届ける。

◆収入 定期的なものはない。最近は講演料、多くて3万円、メディアへのコメント料やラジオの出演料が増えてきた。顔を忘れてほしいのでテレビには出演しない。

◆教えたい 若いころ、上智大の非常勤講師を務め、教育行政学を教えた。文科省の仕事を違った視点で見ることができて幸せだった。学校法人などから手伝ってほしいと求められたら有償で教えます。きっと楽しいだろう。

◆仏教 仏教を通じて人間が形成されると考えていた祖父と父親が残した仏教の本を中学、高校のころ読んでいた。東大在学中はサークル「仏教青年会」に入っていた。京都や奈良、鎌倉などで仏像を見るのが好き。文化財部長をやりたかったが、チャンスがなかった。

◆性格 楽天的で、大概の事はどうにかなる。ただ、子どものころは、神経質で引っ込み思案だった。楽天的な性格をつくることができたのは仏教の勉強のおかげ。仏教の核心を簡単に言えば、気にするな、です。

◆好きな俳優 女優は大原麗子。ウイスキーのテレビCM「少し愛して、なが〜く愛して」、あのセリフにゾクゾク。高倉健と共演した映画「居酒屋兆治」のヒロイン役もよかった。男優は渡瀬恒彦。テレビドラマ「十津川警部シリーズ」では、TBSは渡瀬、テレビ朝日は高橋英樹が警部役に扮したが、渡瀬の方に人間的な味わいがあった。

◆酒 たくさん飲めない。今夜はゆっくりしたいなと思ったとき、チョコレートをつまみながら女房とブランデーを飲む。

◆選挙への出馬 国政も首長も関心ない。現役時代、政治家と付き合うのは嫌で嫌で仕方なかった。

橋詰雅博
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前川喜平インタビュー2 権力すり寄りすぎ、危険な読売・産経 取材しても出ず―可哀想なNHK記者=橋詰雅博

――取材が集中した当事者として今のメディアの状況をどう見ています。

加計問題で最も先行していたのはNHKです。複数の現役官僚から情報を得ていた。私の知る限り朝日より深く取材していた。GW前の4月ごろ、メディアで最初にインタビューを受け、「この文書を見たことがあるか」「加計学園の獣医学部新設をめぐり内閣官房から働きかけがあったか」などの質問をされた。ところがいつまで経っても放送されない。どうしたのだろうと思っていた。

社会部意地の映像

すると5月16日のNHK番組「ニュースチェック11」は大学設置委員会が建設中の加計学園の獣医学部を実地調査するというニュースを流した。ところが画面に映っていたのは、平成28年9月26日の日付が入った内閣府伝達ペーパーでした。「平成30年4月開学を大前提」は映っていたが、「官邸の最高レベルが言っている」や当事者名などは黒塗りでした。

私も日付入りを見たのは初めて。日付入りは課長レベル以下のための記録用で、私が見た日付なしは、ダイジェスト版で省内上層部などへの説明資料。大臣も副大臣も見ているはず。本当にヘンな形で文書が報じられました。

この映像は私に接触していた記者に言わせると、「我々社会部の意地。黒塗りでもいいから出したかった」と。恐らく朝日はこの番組を見て翌日の朝刊で報じた。しかし日付入りではなく、翌18日に日付入り文書を掲載した。

NHKが私のインタビューを放送しないのは、上から抑えられているからだろうと思っていたが、断続的に接触していた記者は「いくら取材してもこのままではニュースとして出ない、記者会見してもらわないと報じる方法はない」と言うのです。取材を積み重ね、情報を持っているに、可哀想だなと思いました。NHK社会部からの記者会見要請もありました。

政府側に立ち報道

読売と産経はものすごく権力寄り。特に読売は相当、政権寄りであることは間違いない。全国紙で唯一教育部がある。教育問題に熱心という評価はしていた。私も使わせていただいたが、「他社には言っていません、話すのは読売だけです」と言うと、大きく書いてくれた。

下村博文大臣(12年12月に就任、15年10月に退任)はそれを散々やっていた。大きく報じて欲しい時は事前に読売に話していた。義家弘介副大臣(今年8月退任)は産経に。出どころが大臣と副大臣で読売と産経がスクープしても問題にしなかった。ところが朝日や毎日が文科省の動きをスクープしたら、犯人探しを始める。

読売は政府側に立って動いてくれるので便利。しかも発行部数日本一で、政府の意図を国民に浸透させるツールとして重宝していた。文科省自身もお世話になっていた。

だが、安倍晋三首相の改憲構想を読売が憲法記念日の5月3日朝刊1面に載せたのは、どうかナと思った。安倍「広報紙」という感じがした。国会でも「読売を熟読」と発言し、とてもじゃないが一国の首相が言う言葉ではない。

私物化される読売

安倍政権によるメディアの私物化は、読売について特にその感がある。NHKも記者があれだけ取材しているのに報じない。しかも他社がどんどんと報道しているにもかかわらずまだ報じない、どうなっているのかと思った。

私は、安保法制は憲法違反だと思っているし、集団的自衛権行使容認は現憲法で認められるとはとうてい思えない。行政府が勝手に法制局の見解とか閣議決定で憲法の中身を変えるなど、あってはならない。憲法は権力をしばるもので、しばられている本人がしばりを解きますなどということができる話ではない。まさに立憲主義の危機で、違憲立法が行われたと思っている。これをおかしいと言った新聞と、言わなかった新聞があり、そこで線が引かれている。

読売と産経はかなり危険です。あまりにも権力にすり寄りすぎている。私の意見に近いのは朝日、毎日、東京。念のため読売も産経も読んだりします。(1面参照)

聞き手 橋詰雅博(JCJ事務局長兼機関紙編集長)

インタビューの続きは次号10月25日号に掲載します。

JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2017年9月25日号8面掲載
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加計疑惑―前川喜平・前文科相事務次官インタビュー 官邸「口封じ」で吹っ切れる=橋詰雅博

「官邸の動きがあった」―加計学園疑惑ついて国会で参考人として発言し、安倍晋三首相を告発した前文部科学省事務次官の前川喜平(62)氏が、本紙のインタビューに応じた。約3時間にわたる取材では、焦点の「総理のご意向」文書から官界の空気、今のメディアの状況、自らの生き方にも及んだ。聞き手はJCJ事務局長兼機関紙編集長の橋詰雅博。


――告発に至った最大の理由は何ですか?
 告発という言葉がその時の状況を的確にあらわしているとは思えないが、成り行き上、そうなった。意を決して立ち上がったみたいな、潔さとか悲壮感はなかった。かなり政治によって行政が歪められたという意識はやはりあった。 
 特定の者に対する利益誘導ではないか、国民のための権力が私物化されているとの疑念があった。これは国民が知るべき事実ではないかと思った。
 また、JCJ大賞を受賞した朝日新聞は、私でなく別の文科省の現役官僚からの取材で情報を得て報じてきたわけで、私は目の前で事実が明らかになればいいと思っていました。

信用落ちたら困る

 文科省は5月19日、メディアが報じた「官邸の最高レベルが言っている」「総理のご意向』などの文書は省内調査の結果、確認できなかったと発表した。だが、あの文書は関係者ならだれでも知っている。「出してくれ」と言えば、すぐ出てくるはず。その「存在を確認できない」のはおかしい。これでは文科省が情報を隠ぺいしていることになる。
 私は天下り問題で不名誉な形で辞めている。特に文科省の評判を落としたのは、違法な再就職あっせんに加えて、事実に反するストーリーで、糊塗つまり隠ぺい工作しようしたことだった。それを繰り返すのはいけない。教育行政に対する信用が一回、地に落ちていますから信用を回復する努力をしなければいけない時期なのに、さらに信用を落とすという気持ちもあり、ちょっと複雑な心境でした。
 ただ、積極的に打って出たのかと言うと、本当ところはそうではない。すでにNHK、朝日新聞週刊文春などと接触があったし、知っていることは話した。
 しかし、名前を出して告発するなんて考えてもいなかった。取材では「この文書は確かにあった」とか「経緯はこうです」などと答えたが、「名前や顔を出すのは勘弁してください」と、最初はそういうことでした。

記事は意外だった

――突き動かしたきっけは何ですか?
 ひとつは今、お話した文科省の隠ぺい工作。もうひとつは5月22日付読売新聞が報じた「出会い系バー」の記事です。私がメディアと接触して(加計疑惑で)コメントしていると、総理官邸には伝わっていたと想像している。実際、「前川が漏らしていると官邸サイドが言っている」と私に伝えたメディアの記者もいました。それとは別に出会い系バーについて一部週刊誌は接触しようとしていた。
 店に行っていたのは事実ですから書かれても仕方ないと思い、相手にせず取材申し込みを放置していた。そうしたら5月22日に読売の記事が出た。極めて意外だった。 
 読売はメールで何回か取材申し入れをしてきたが、記事にはしないと思った。信頼するメディアの記者に話したところ、週刊誌は分からないが、いくらなんでも読売は報じないだろうなという感じだった、私もそうだろうなと思っていたので、取材申し入れを放ったらかしていた。

総理官邸が企てる

(読売の記事の)情報の出どころは官邸、これか明らか。もともと官邸は出会い系バーのことを知っていた。昨年の秋に杉田和博官房副長官(警察庁出身で、警備・公安畑を長く歩み第二次安倍政権発足時に内閣官房副長官に就任)からこの問題でご注意を受けた。
 さらに今年2月にも電話で「あの問題を週刊誌が書こうとしているよ」とお知らせがあった。文春、新潮、ポスト、現代、どこだろうなと考えたが、結局、記事は出なかった。杉田さんの情報は何だっただろうなと首を傾げた。
 あの記事は官邸が書かせたと確信したのは、21日に後輩の文科省幹部から和泉洋人総理補佐官(旧建設省技官出身、第二次安倍政権発足直後の13年1月から総理大臣補佐官に就任)が「会いたいと言ったら対応するお考えがありますか」とメールがきたからです。記事を出させたくないなら取引に応じろ、加計学園関係文書について、発言は控えろという風に想像した。そうとしか考えられなかった。

ためらいが消えた

 読売の記事で私自身、完全に吹っ切れた。次官辞任(1月20日)する前までは政府の中にいた人間だし、私の名前でどこまで真実を言っていいのか、国民の知るべき事実を自ら言うべきか、ためらっていた。
 だが、官邸は加計問題で口封じに動き、読売新聞まで使っている。忖度する問題ではなくなった。堰が切れ、官邸に遠慮しなくていい、躊躇しなくていいという思いに変わり、5月25日に東京・霞が関の弁護士会館で記者会見。取材していた朝日、週刊文春、TBS番組「NEWS23」がその日に「文書は本物」と報じた。(続く)

JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2017年9月25日号に掲載
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2017年09月24日

【今週の風考計】9.24─700億の税金を政権延命に使う「逃亡解散」

■「仕事師内閣」が発足して55日、何も仕事しないまま国会解散とは、開いた口がふさがらない。700億もの税金を投入して総選挙を行い、安倍首相自身に降りかかる<森友・加計疑惑>をかわすための「逃亡解散」。大義など一つもない。■「加計については1月20日に初めて知った」との自分のウソ発言を、消すための「エゴイズム・リセット・延命解散」に他ならない。解散権をもてあそんでいいのか。

■東京新聞が<「7条解散」消えぬ疑問>と題して、解散は首相の専権事項という正当化に問題を提起している(9/24付)。憲法に明記されているのは「内閣への不信任決議が可決された場合、10日以内に解散か総辞職をしなければならない」とある69条のみ。7条の<天皇の国事行為>にすがる解散は、大義などいらず、党利党略・首相の恣意的な行使へとつながりかねない。■ともあれ私たちは、今の安倍政権へ厳しい審判を下さねばならない。こうも「ウソと強弁、言い逃れ」が続く政治をストップさせ、国民に目を向けた施策を実現する国会へ変えていこう。

■市民は野党の共闘が進み、憲法9条つぶしの策動に抗う議員が、少なくとも3分の1以上になるよう、心から願っている。民進党も離党続出や「希望○○」の動きなど気にせず、憲法9条を守る政党として、改めて党の一体性を作りあげるチャンスだ。■昨年夏の参院選挙で初めて行使された18歳選挙権、約240万人の若者たちが、今度は衆議院選挙で一票を投ずる。2021年10月まで任期がある衆議院議員、あわよくば安倍首相の任期延長まで目論みかねない総選挙、すべての有権者が重要な判断をしなければならない。(2017/9/24)

posted by JCJ at 12:11 | Editorial&Column | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年09月23日

≪お知らせ≫10月21日、NHKの日置一太さんが「テレビの仕事とは何か」で講座

◇10月〜11月:秋のJCJジャーナリスト講座◇
新聞やテレビの第一線の記者らからリアルな現場の話を聞き、取材の方法などを学びます。メディアの世界を目指す人たちの参加をお待ちしています。要予約。お申し込み方法は下記をご参照ください。
★ 10月21日午後1 時半から5 時まで★
≪テレビの仕事とは何か≫講師=NHK編成局チーフプロデューサーの日置一太さん
会場=日比谷図書文化館4階小ホール= 定員40人、参加費1000円
テレビ局ではどのような仕事をするのか。活字とは異なる映像メディアの面白さと難しさ、その特徴を語っていただきます。
★10 月 28 日午後1 時半から 5 時まで★
≪記者の仕事とは何か≫講師:共同通信東京編集部デスク・新崎盛吾さん
会場=日比谷図書文化館4階小ホール= 定員40人、参加費1000円
共同通信は全国の新聞やテレビ局に記事を配信している。記者たちは日々、どのような取材をしているのか。記者にとって大事なこと、欠かせない視点など、を考えます。
◎要予約=受講ご希望の方はメールで、氏名、連絡先の電話番号、メールアドレス、受講希望日を明記し、下記のアドレスに、またはファクスでお申し込みください。
sukabura7@gmail.com ファクス:03・3291・6478
主催:日本ジャーナリスト会議=お問い合わせ03・3291・6475=月水金の午後

◇講師のご紹介◇
◎日置一太さん
NHK編成局チーフプロデューサー。1987年早稲田大学法学部卒、NHK入局、報道番組部、スペシャル番組センターを経て、編成局コンテンツ開発センタ−チーフプロデューサー。おもにNHKスペシャルなどの特集番組を担当し、中東、アフリカ、南米などの第三世界を舞台にした紛争や平和構築をテーマとしたドキュメンタリーを制作。福島第一原発事故以降は、放射能汚染の調査報道も手がけてきた。2009年から、明治学院大学国際平和研究所研究員
◎新崎盛吾さん
共同通信社東京編集部デスク1967年生まれ。90年4月に共同通信入社。山形、千葉、成田の各支局で3年ずつ、計9年を過ごし、99年4月から08年9月まで社会部。警視庁公安、羽田空港分室、国土交通省などの記者クラブを担当し、遊軍ではイラク戦争、北朝鮮、赤軍派などを取材。その後、さいたま、千葉の支局デスク、関東・甲信越の支局を管轄する東京編集部デスクを経て、14年7月から16年7月まで新聞労連委員長。昨年9月から東京編集部デスクに職場復帰し現職。沖縄県出身。

会場の案内
◆日比谷図書文化館 =旧都立日比谷図書館)所在地:東京都千代田区日比谷公園1−4最寄りは地下鉄内幸町駅か霞ヶ関駅
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沖縄タイムス・阿部岳記者のスピーチ(JCJ賞贈賞式)=須貝

<突如、始まった工事。むき出しの権力>
 8月19日に東京でJCJ賞の贈賞式がありました。沖縄タイムスは「高江・辺野古 新基地強行を問う報道」で受賞しました。取材班を代表して沖縄タイムスの阿部岳記者がスピーチをしました。
以下はその要約です。

 私は名護市にある北部報道部に勤めている。辺野古と高江を担当するという、とんでもない部署だ。しかし記者は4人だけ。だから本社の各部から交代で記者を派遣してもらい、二つの現場を常時取材している。
 16年7月11日朝に突如、高江のヘリパッド(発着場)工事が始まった。陸の孤島と呼ばれる山奥で、140人しか住まない地域に、オスプレイが使うヘリパッドを4カ所つくる工事だ。前日の参院沖縄選挙区で基地建設反対の野党候補が当確となり、民意が示された10時間後のことだった。
 とにかく山奥で、全国紙だけでなく、地元テレビ局もなかなか記者を送れない地域。だれも見ていないと思って、むき出しの権力が行使された。機動隊500人が本土から送り込まれた。「世界一危険」とされる北九州の暴力団・工藤会のトップを捕まえる頂上作戦で派遣された機動隊は530人だった。それと同規模の500人が丸腰の市民に向かった。そのうちの一人が「土人」と県民に暴言をはいた。取材記者は拘束された。
 共謀罪の先取りとなるような捜査もあった。市民運動のリーダーが2000円の鉄条網を切ったという理由などで5カ月間拘留されたが、辺野古ゲート前でブロックを積んだ容疑もかけられた。ブロック積みには100人から200人が手伝った。立証するため検察は容疑者のライン、メールでのやりとりを調べ、「共謀しただろう」と言って捜査した。結局、起訴されたのは3人だったが、100人でも200人でも(犯行を)立証するには、メールなどでのやりとりがあれば足りるという捜査だった。
 昨年末にはオスプレイが落ちた。大半のメディアは「不時着水」と書いた。目前の残骸を見たら明らかに墜落だ。そのあたりがなかなか本土に伝わらない。私は本土出身だから、なおさら、本土に伝えたい気持ちが強い。著書の『ルポ沖縄 国家の暴力』(朝日新聞出版)も手に取ってみてほしい。
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2017年09月19日

≪お知らせ≫JCJ賞受賞作「はりぼて―腐敗議会と記者たちの攻防」を見る会

 チューリップテレビ(TUU)の記者たちは、富山市議会のドンと呼ばれた自民党幹事長の政務活動費不正受給を映像でスクープ。さらに入手した資料を丹念に読み解く調査報道で、市議たちの不正を暴きました。記者たちと腐敗市議との攻防を描いたドキュメンタリー番組は、今年度のJCJ賞を受賞しました。下記の通り「受賞番組を見る会」を開催します。またディレクターが取材の真実を報告、質疑討論を行います。

日時:9月23日(土)13:00〜開場 13:30〜開会
場所専修大学神田キャンパス5号館7階571教室
地下鉄「神保町」駅下車、出口A2より徒歩3分
ゲスト:五百旗頭 幸男(いおきべ ゆきお)ディレクター
資料代:1000円(学生無料)

主催:日本ジャーナリスト会議(JCJ) ☎03-3291-6475

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2017年09月18日

≪10月例会≫ 誰も排除されない社会をめざして─津久井やまゆり園殺傷事件を考える=神奈川支部

 2016年7月26日未明、相模原市緑区にある障害者施設「津久井やまゆり園」で起きた障がい者大量殺傷事件は大きな衝撃でした。
犯人は元施設の職員で、以前から「障がい者は不幸しかつくれない」「いないほうがいい」とする考えを公言していました。

 事件後にはインターネットなどに犯人の主張に共感する意見が書きこまれたりしました。社会に不要だとして障がい者を殺害したナチスの優生思想に通じるものを感じさせます。
 神奈川支部ではこの事件を取材してきた神奈川新聞の成田洋樹記者と、身体に障がいがある脳性マヒ当事者で、障がい者運動に取り組んで来られた「障害者の自立と文化を拓く会REAVA(ラーバ)」代表の渋谷治巳さんにお話をうかがいます。

日時 10月7日(土)17時〜20時
会場 Lプラザ〈かながわ労働プラザ〉第5会議室
JR「石川町駅」から徒歩3分 横浜市中区寿町1−4 TEL045−633−5413
講師 神奈川新聞社記者 成田 洋樹さん
   障害者の自立と文化を拓く会REAV(ラーバ)代表 渋谷治巳さん
参加費 500円

主催 JCJ神奈川支部 連絡先080−8024−2417(保坂)
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2017年09月17日

【今週の風考計】9.17─なんと年間1170時間まで残業OKの法案

「電通」違法残業事件の初公判が22日に開かれる。過労自殺に追い込まれた新入社員の女性は、1カ月前の残業時間が月105時間に達していた。その経緯と労働実態が、公開の場でどれだけ明らかにされるか、注目される。月末に開かれる臨時国会には「働き方改革関連法案」が提出される。その内容が問題だ。「残業の上限規制」と「高プロ残業ゼロ」を、強引に抱き合わせて一本化した法案だ。残業の上限規制にしたって、過労死ラインは月80時間と認定しているのに、繁忙期でも「月100時間未満、年720時間」へと改悪する。

さらにタクシーやバス、トラック運転手は除外され、5年後になって、残業の上限を年間960時間まで改悪しての適用だ。この上限には休日労働は含まれない。なんと年間1170時間まで残業OKとなる。「高プロ残業ゼロ」も要注意。年収1075万円以上の専門職は、この規制から外され残業代は支払われない。これに当てはめる専門職の年収額引き下げは目に見えている。

30年前の1987年11月、N 製本・金井さんが過労死した。金井さんは死亡直前1カ月の残業は129時間24分。労組や過労死家族の会と共に、労災認定・補償を勝ちとるため、労基署交渉や裁判所への要請、街頭宣伝・デモなどに取り組んだ。そして15年、2002年秋に勝利解決した。その闘いに携わった人々の顔が思い出される。いま「全国過労死を考える家族の会」代表・寺西笑子さんは、「裁判で労災だと認定され、企業が謝罪をしても亡くなった人は生き返りません。こんな悲しい思いをする遺族をこれ以上増やしたくありません。今回の法案で健康や命が守れるのでしょうか」と問う。(2017/9/17)
posted by JCJ at 13:09 | Editorial&Column | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年09月16日

≪おすすめ本≫チューリップテレビ取材班『富山市議はなぜ14人も辞めたのか─政務活動費の闇を追う』地域メディア各社が連帯して取材し、調査報道の重要性を説く実践報告=鈴木賀津彦(東京新聞)

 本書を教科書にして調査報道の講座を開いたら実り多い議論ができるなあと、イメージを膨らませている。取材し報道する意味について、誰もが素直に理解し共感できる実践報告≠セからだ。
「富山市議会における政務活動費の不正を明らかにした調査報道」で今年のJCJ賞を受賞したチューリップテレビ(富山県)の取材班が、どのように取材したのか、素直に自らの手の内を明かし、緊迫した取材時の緊張や不安なども含めて詳述している。

 本書で気付かされるのは、富山の地域メディア各社が情報公開制度を使ってそれぞれ独自の調査・取材を重ね特ダネを抜いたり抜かれたり、しのぎを削りながらも、議員の不正を浮き彫りにし追及する点では連帯して取材している姿である。
 ジャーナリズムの理念などが特に書いてある訳ではないが、若い記者たちの取材への意気込みなどから、ローカルメディアが今、地域にとっていかに重要な役割を担っているのかが実感できる。
 冒頭に「調査報道の教科書」と述べたが、実は一方で、本書を全国の自治体職員や議会関係者にも熟読してほしいと強く期待している。各地で議会改革が叫ばれ、相次いで議会基本条例が制定されたが、形だけに終わっている現状があるだけに、二元代表制である地方議会の在り方、行政との関係などを変えていく起爆剤としても、本書をぜひPRしてほしい。

 さて、この本を読めば実際のニュースや番組が見たくなる。次に、映像DVD付き書籍にして販売できないだろうか。
(岩波書店1800円)
「富山市議はなぜ…」.jpg


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2017年09月13日

JCJ8月集会:記念講演「監視社会とメディア 共謀罪後の言論の自由とは」

小笠原みどりさん(元朝日新聞社記者、カナダ・クイーンズ大学大学院修士課程在籍)
(2017年8月19日 千代田区・プレスセンターホール)
スノーデン氏にインタビューした小笠原みどりさん。日本における監視社会の深化を警告し、言論領域を少しでも広げるために批判のボトムラインをアップしようと訴える。ジャーナリスト必見の講演。

FmA自由メディア 撮影:吉田・大場・東野 広報:小林・はた
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2017年09月12日

≪ワールド・ウオッチ≫「若い三代目」の冒険心、止まず=伊藤力司

 ひょっとしたら米朝開戦化と心配させた8月危機は寸前で回避された。北朝鮮の独裁者金正恩労働党委員長が、米領グアム周辺へのミサイル発射計画を巡り、(実行するかどうか)「米国の行動をもう少し見守る」と言明したことが15日公表された。

 訪韓中のダンフォード米軍統合参謀本部議長は14日、北朝鮮が本当に挑発行動に出れば「強力な対応」を取ると言明、一触即発の危機だった。
 核・ミサイル開発を進めている北朝鮮の外貨獲得を封じるため国連安保理は5日、厳しい制裁決議を採択した。決議にそって最大の貿易相手国の中国は北の石炭と海産物の輸入を全面禁止、中朝関係は緊迫している。
 06年に北朝鮮が最初の核実験を行って以来、北の核・ミサイル開発は世界的危機の焦点である。先代の独裁者金正男総書記は核・ミサイルを持たない限り、イラクのフセイン、リビアのカダフィのように潰されると信じ、万難を排して核兵器開発を進めた。その遺訓を背負った正恩委員長に核開発を放棄させるのは至難の業だ。

 米朝開戦寸前の危機は23年前にも起きていた。北朝鮮は1993年核不拡散条約(NPT)から脱退、94年に発電用原子炉を利用して原爆開発を進めていたことが暴露された。米朝協議が行き詰まり、時のクリントン米大統領は北朝鮮への軍事攻撃を計画した。しかし38度線から韓国の首都ソウルまでは「長距離砲の射程範囲であり、北の反撃で100万単位の死傷者が出るとの予測から韓国側が開戦に猛反対、在韓米軍も同調した。結局開戦には至らず、カーター元大統領が平壌を訪問して初代の金日成と会談して事を収めた。
 こうした事情は現在も基本的に変わっておらず、米軍当局も本心では開戦に消極的だ。

 トランプ米大統領対金委員長のチキンレース(度胸試し)は、とりあえずかたが付いた。しかし北朝鮮は核開発を断念したわけではない。そういう北朝鮮への制裁を強化する安保理決議が採択されたことは、世界の大勢を示している。
 だが「若い三代目」はまだ冒険心を持ち続けているようだ。朝鮮危機はまだ続くと覚悟すべきだろう。
posted by JCJ at 11:23 | 政治・国際情勢 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年09月10日

【今週の風考計】9.10─16年目の「9・11」とアウンサンスーチー

<9・11同時多発テロ>から16年─今も米国では、イスラム教徒への暴力・迫害は続き、ヘイトクライムは勃発前の5倍にのぼるという。トランプ大統領は就任してわずか1週間後、1月27日、「テロとの闘い」を名目に、中東7か国からのイスラム教徒の入国を90日間停止、さらに難民は120日間受け入れを停止する大統領令に署名した。その後も、多様な民族との融和を拒む言動が続く。

こうした排他的な動きは、なにもトランプだけではない。いまや世界に広がる。近くはミャンマーでの武力衝突をめぐるアウンサンスーチー国家顧問の態度も、同類と見ていいのではないか。ミャンマー西部ラカイン州に居住する少数派のイスラム教徒・ロヒンギャ族への対応である。迫害されてきた歴史を背景に組織されたロヒンギャ武装集団と政府治安部隊との戦闘で、無辜の住民27万人が隣国のバングラデシュに避難している。にもかかわらずアウンサンスーチーは、ロヒンギャ武装集団という「テロとの闘い」を理由に、住民を保護せず、融和のための対策を取ろうとしない。

同じノーベル平和賞受賞者でパキスタン出身のマララ・ユスフザイさんは、この3日、アウンサンスーチーの積極的な発言を期待し、「世界とロヒンギャ・ムスリムが待っている」と、暗に今の態度を批判した。ロヒンギャ問題に対して、何も対策を取っていないアウンサンスーチーに対し、賞を取り消すよう求めるインターネットの署名サイトも立ち上がり、すでに署名は38万人分を超す。インドネシアでもイスラム教徒がミャンマーへの抗議行動を強めている。世界の厳しい視線がアウンサンスーチーに向けられている。(2017/9/10)


posted by JCJ at 09:00 | Editorial&Column | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年09月05日

フォトアングル 8月


5面 靖国キャンドル.jpg
「靖国反対」「戦争反対」「合祀反対」「安倍は辞めろ」のシュプレヒコールを挙げるデモ参加者の手にはキャンドルが掲げられている。
 2005年以来12回目の「平和の灯を!ヤスクニの闇へ キャンドル行動」だ。デモ行進は、周囲に多くの右翼が出没して、マイクでがなりたてるのを、機動隊が制止して、もみあうという緊張の中で進み、目的地まで行き、無事解散した。=8月12日、東京都千代田区で、酒井憲太郎撮影
posted by JCJ at 16:27 | Editorial&Column | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年09月03日

【今週の風考計】9.3─終わっていない朝鮮戦争とミサイル発射

◆9日、北朝鮮は建国69周年を迎える。その日、グアム周辺に向けミサイルを4発、同時発射する計画が取りざたされている。愚かな選択による戦争の勃発は、絶対に避けなければならない。◆こうまで北朝鮮と米国の軍事緊張が続くのは理由がある。根源は、いまだに朝鮮戦争が1953年の「休戦」という形のまま、国連や関係国の間で「停戦」協定が結ばれていないことにある。

◆北朝鮮は米国に対し再三にわたり、休戦協定を平和条約へと前進させ、朝鮮半島の平和を確立するための提案をしてきた。だが64年が過ぎた今も締結されていない。米国は国連軍として朝鮮戦争に参加し、わずか3年の間に、北朝鮮の2百万人を超す人びとを殺害した。◆だが米国は北朝鮮の提案を無視するだけでなく、北朝鮮を敵国扱いし続け、韓国とともに北朝鮮への軍事圧力を強化してきた。しかも日本は当事者ですらないのに、この米韓軍事同盟に同調してきた。さらに日本は、国連に加盟している北朝鮮を、国として認めず、国交も結んでいない。

◆アジア地域の平和を目指すなら、今こそ日本がイニシアチブをとり、朝鮮戦争の「停戦」と平和協定の締結に向け、率先垂範して国連への働きかけを強めるときである。北朝鮮への石油禁輸など、さらなる経済制裁を呼びかけたり、PAC3の配備やミサイル発射3分後に鳴るJアラートに血道をあげ、国民を困惑させたりする前に、日本政府が果たすべき役割があるだろう。◆それはトランプ大統領に「火炎と憤怒」などの好戦的な言動でなく、米国は朝鮮戦争の「停戦」を宣言し、平和協定を締結すると、国連で表明するよう迫ることだ。(2017/9/3)

posted by JCJ at 12:06 | Editorial&Column | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする