2017年10月09日

≪月間マスコミ評・出版≫33歳の男と亡霊に振り回される

 33歳の金正恩朝鮮労働党委員長に振り回されている。北朝鮮に詳しい井上智太郎氏は「世界」10月号で、「北朝鮮の核開発は金体制維持のための『抑止力、国際的威信、強制外交を意図したもの』…とみられているが、最近のレトリックからは日米韓三カ国の『デカップリング』(切り離し)を狙う戦略が鮮明だ」という。
 さらに、「北朝鮮が米国との間で互いに核保有国として衝突を回避しようとする核抑止関係が成立したと判断すれば、むしろ周辺国へのふるまいはより攻撃的で大胆になる恐れもある」そうだ。

 「週刊ポスト」9月22日号の「信頼できるのは『Jアラート』よりAアラート=H なぜ安倍首相は『ミサイル発射前日に限って』総理公邸に泊まっていたのか」が面白い。8月29日に北朝鮮のミサイルが通告なしの発射だったのに、安倍首相が「ミサイルの動きを完全に把握していた」と胸を張った一件を取り上げている。
 「安倍首相が8月に公邸に泊まったのは25日と28日の2日のみで、いずれも翌朝に北朝鮮がミサイルを発射していた」。安倍首相は8月25日午後3時ごろから谷内正太郎国家安全保障局長や防衛省の前田哲防衛政策局長、河野克俊統合幕僚長らと面談していた。結局、「国民ができ得る現実的な対策は、通信社や新聞社がインターネットで速報する『首相動静』を見ることかもしれない」とは皮肉だ。その河野統合幕僚長が右翼雑誌の「正論」10月号に登場し、日米で北朝鮮の潜水艦を監視していると語っている。

 「ニューズウィーク日本版」9月19日号によると、「グアム島のアンダーセン米空軍基地に配備されているB1Bランサー爆撃機はこの数カ月、朝鮮半島上空へ飛行する訓練を繰り返しており、急襲に向けた演習ではないかと北朝鮮は神経をとがらせている」という。トランプ外交は稚拙だ。同誌は「冷戦の『抑止の歴史』に学べ」という記事も掲載している。
 「冷戦」とは何だったのか。その点で、渡辺治氏と不破哲三氏の対談「現代史とスターリン」(新日本出版社)が一読に値する。スターリンにとってアメリカの軍事力をヨーロッパからアジアに引っ張りこむことが、朝鮮戦争を起こした主要な目的だ、そのためには、朝鮮戦争にアメリカの軍隊を出させることが必要だった=i同書282ページ)という秘史が紹介されている。スターリンの亡霊が今も日本を振り回しているということなのかもしれない。 
荒屋敷 宏
posted by JCJ at 16:21 | メディアウォッチ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする