2017年11月30日

<リレー時評> 出版界考現─二つの挑戦とヘイト本=守屋龍一

 今から62年前、吉野源三郎さんは55歳で、私たち日本ジャーナリスト会議の初代議長に就いた。
 彼は、若かりし38歳の1937年8月、新潮社より『君たちはどう生きるか』を刊行している。盧溝橋事件が勃発する1カ月前だ。以降8年、日本は戦争へと突っ走る。
 中学生の「コペル君」が、学校での仲間外れ・いじめなどに直面しながら、自己中心の世界観から抜け出し、広い視野で人間として生きる指針を得ていく物語だ。

 この名著が80年ぶりに、初めてマンガ化された。マガジンハウスから8月24日に刊行。発売2カ月で43万部、11月末の今や60万部を超えたという。
 吉野さんの思いが、マンガ化により、今の時代状況や社会の息苦しさの中で生きる、若い人たちやその親たちに訴えかけ、共鳴し合うのだろう。

 長江貴士『書店員X』(中公新書ラクレ)も示唆に富む。昨年、盛岡市を中心に10店舗ほど展開する「さわや書店」が仕掛けた「文庫X」なる謎の本が日本中を席巻。
 表紙をオリジナルの手書きカバーで覆い、タイトルと著者名を隠すという常識破りの試みが、全国650を超す書店に広がり、30万部突破のヒットとなった。
 この企画を進めた著者は、「書店員の私が、ぜひ読んでほしい本を、いかにして手に取ってもらうか、その一念で挑戦した」という。奇想天外な「文庫X」の正体は、清水潔『殺人犯はそこにいる』(新潮文庫)であった。
 冤罪告発に執念を燃やす著者の迫力、これに呼応する書店員が編み出したコラボレーションの、実り多い成果だ。

 2017年出版界の売り上げは1兆4千億円がやっと。1996年のピーク時2兆6563億円に比べ、20年間で半減。書店数も半減の1万店を割る。書店ゼロの自治体・行政区は420、全体の2割に及ぶ。
 こうした出版界の現実を、少しでも切り拓こうとする、ユニークな挑戦の2例である。

 だが売れれば、なんでもいいのか。ケント・ギルバート『儒教に支配された中国人と韓国人の悲劇』(講談社+α新書)など、ヘイト本が大手を振って店頭を飾る。担当編集者は、業界誌のインタビューに「欧米人の書いた反中国・反韓国本だから、日本人に受け入れられた」と、人種・民族差別など一顧だにせず答える。
 「出版は文化ではなくビジネスである、と開き直るようでは、もはや〈牛に対して琴を弾ず〉なのか。全ての出版人に問いたい」(リテラ・宮島みつや)と痛烈な言が飛ぶ。

 ジュンク堂難波店店長の福嶋聡さんは、自著の『書店と民主主義』(人文書院)で、「NOヘイト!」「自由と民主主義のための必読書50冊」フェアへのクレーム攻撃や中止問題などについて考察しつつ、「政治的〈中立〉を装って、売れれば全て良しとし、本を作り売る者の責任・見識・矜持まで放棄するのは許されない」と、強調している。

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2017年11月28日

《フォトアングル》議員会館前行動

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衆議院第二議員会館前、総選挙後また安倍内閣が組閣される前に、早くもコールが響いた。「安倍政権を必ず倒そう」「憲法改悪絶対止めよう」と1000人が叫んだ。「市民と野党は共闘」の声に対して、共産党志位委員長、立憲民主党近藤副代表、民進党相原参議院議員、社民党吉田党首、参院会派「沖縄の風」糸数代表がスピーチで応えた。更に、MIC岩崎事務局長が共謀罪の廃止を訴えた。=11月1日、東京• 衆議院第二議員会館前で、酒井憲太郎撮影

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2017年11月26日

《編集長EYE》 教育に情熱を燃やす前川喜平氏=橋詰雅博 

 10月25日付東京新聞の読者投稿欄「ミラー」に神奈川県大和市に住む主婦の大宮啓子さん(72)の一文が掲載されていた。中身はこんな具合だ。

〈厚木のシャッター通りといわれる一角に「えんぴつの会」と手書きの表示がしてある。民間で運営する自主夜間中学。9月末のある日、そこに四十数人が集まっていた。フィリピンやコロンビアの若者たちだ。

 彼らは戦争や病気、不登校や家庭の事情などで小学校の勉強ができなかった。学びたくても学べなかった人たちの意欲はすごい。全く日本語の分からなかった男女が普通に日本語で会話し、漢字の書けなかった人が検定を受けるまでになった。(中略)

 教える人はすべてボランティアだ。先生と生徒の師弟関係というより、一人一人の人間として、お互いに学び合う姿勢が貫かれている。(中略)彼らに公的な教育支援がいきわたるよう強く願っている〉

 実は文部科学省前事務次官の前川喜平氏(62)は、えんぴつの会で勉強を教えるボランティアをしている。9月初旬に本紙インタビューを受けた際、この「学習ボランティア」についてこう言っていた。

「私は2、3人の方をマンツーマンで教えている。その一人は80歳近い男性です。身の上話では、幼いころ両親が亡くなり、親戚に預けられ家事労働をさせられた。耐えられず家出した後、炭鉱で働いた。学校に1度も行ったことがない。字は書けない、読めないでよく生きてこられたと思いました。現在は、ひらがな、カタカナを読めて書ける小学校低学年の国語レベルまできている」

 彼は福島市の民間の自主夜間中学でも教えている。

 「70代の男性は、中学は卒業しているが、それは形式だけで、小学校レベルの知識です。新聞を読んで理解したいという彼のニーズに応えるため朝日新聞を教材として使っている」(前川氏)

 人間の尊厳を保つには学習は不可欠という前川氏、教育への情熱は高まる一方だ。

JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2017年11月25日号
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【今週の風考計】11.26─DVと性暴力による被害救済へ法改正を

◆1960年11月25日、ドミニカ独裁政権と闘ったミラバル姉妹が殺害された。その日を「女性に対する暴力撤廃の国際デー」と定め、12月10日の「世界人権デー」まで、16日間、世界中でキャンペーンが張られている。

◆さて日本での女性に対する暴力の実態はどうか。日本では3日に1人、妻が夫によって殺され、成人女性の3人に1人がドメスティックバイオレンス(DV)被害を体験しているといわれる。現に、昨年1年間のDVは6万9908件(10.7%増)と最多を更新し、13年連続の増加である。

◆だが、DV被害から逃れるための一時保護所・シェルターへの入所率は33県が40%未満、秋田県は入所率が5.8%と全国で最も低い。「夫の暴力で骨折させられても一時保護所に入れなかった」との証言が複数ある。
◆さらに首を絞められた痕や殴られた痕がある女性は入所しやすいが、精神的に追い詰められるモラルハラスメントなどは、見た目では分からないので、相談員の判断任せ。かつ相談員の「生活保護や児童扶養手当のために偽装離婚したいんでしょう」といった、心ない言葉に深く傷つくケースも多くある。
◆若い世代での「デートDV」も深刻だ。10代カップルの3組に1組で起きている。ストーカー被害は2万2737件、4年連続で2万件を超え前年比3.5%増だ。

◆安倍政権は「すべての女性が輝く社会」をうたうが、日本は国際社会から「女、子どもが家の中で殺される危険の高い社会」だと批判され、DV加害者を処罰するよう法律の改正が求められている。DV防止法が制定されて16年、我が国はDVと性暴力による被害救済の面で、国際的にも最後進国となっている。(2017/11/26)
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2017年11月24日

《スポーツコラム》働き盛りの深刻な運動不足=大野晃

 体育の日のある10月は、文科省の「体力つくり強調月間」だった。
 スポーツ庁は2016年度の体力・運動能力調査結果を公表したが、30代から40代の低下が目立ち、男性は20年前を下回って、女性は過去最低だったという。週3日以上運動する人が30代の男女は1割余りと、全年代で最低という別の調査結果もある。働き盛りの運動不足が深刻だ。
 スポーツ庁は様々にスポーツを楽しむことを呼びかけているが、そのためには、時間や場所の確保、仲間やアドバイザーの存在、そして費用がかからないことが必須の条件だ。時間の余裕のある人が、高額の施設で指導サービスを受けて自己満足する、で事足れりでは国民スポーツ促進とは言えない。社員の残業を減らすことで消費拡大につなげようとか、スポーツ関連企業へのバックアップでスポーツ熱を高めようでは、国民スポーツは先細りするばかりで、基本的人権であるスポーツ参加が、富裕層の見栄に転化しかねない。スポーツ基本法違反の奨励かと疑われる。
 欧州などで、サマータイムを利用したカヌーやヨット遊びやクラブでのサッカーやラグビーを楽しむ姿を何度も目にしたが、先進国の象徴的な生活スタイルだった。国や自治体が条件整備に力を入れていたからだろう。長引く不景気で困難に直面しているようだが、国民の権利保障の重要な課題にはなっている。
 日本では、安倍政権により過剰労働が当然視され、国の支援が減退して財政悪化を理由に自治体によるスポーツ施設の休廃止が進んだ。働き盛りから時間と場を奪ってきたと言ってもいい。その改革が不可欠である。世界から、最大のスポーツ祭典であるオリンピックを開催する資格を問われる現状なのだ。
 スポーツ庁は社員スポーツを支援する企業の認定を進めているが、それでスポーツ権を尊重する労働条件の改善が進むとは思えない。(スポーツジャーナリスト)
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2017年11月23日

≪おすすめ本≫木下ちがや『ポピュリズムと民意の政治学 3・11以後の民主主義』公共空間で実現してきた民主主義の危険性と可能性を省察する=吉原功(明治学院大学名誉教授)

 タイトルから感じられる予測に反し、本書は重厚な政治学・社会学書であり、腰をすえて読まないと理解に苦しむ。
 しかし社会運動の視点から現代日本の実像に鋭く迫り、私達の社会が抱える危険性と可能性を深く理解するための格好の書となっている。

 著者によれば「ポピュリズム」という言葉には民主主義の「危機」と「機会」の両義が含意される。それは「同じ社会的・経済的・文化的条件から生ずる」からである。
 より具体的には「第二次世界大戦後に作り上げられた社会経済的秩序の収縮、労働のフレキシブル化、生産のアウトソーシングを基軸とした、新たな階級分化とアンダークラスの形成」や「市場原理の席巻による個人主義の台頭」「安定的雇用・家族・コミュニティの崩壞」など、新自由主義が生み出した諸状況が、一方でトランプ米大統領やフランスのマリー・ルペンのような民主主義を危機に陥れるポピュリズムを生みだした。

 その他方で民主主義の「機会」を生むポピュリズムを育み、「抵抗の年」といわれる2011年以降の世界各地で展開された「大規模かつ民衆的な民主主義的政治運動」―エジプト・ムバラク打倒運動、米国のオキュパイ運動やサンダース支持運動などである。

 日本では3・11後の反原発運動、反秘密保護法運動、反安保法制運動など、従来とは異なった運動である。
「これらの運動がみな公共空間における大規模集会を志向し、実現してきたのは、多種多様な人々を『人民の集合体』に結実させ、かつて左翼・リベラル勢力が領有していた公共空間における陣地を奪還するため」と指摘されている。
(大月書店2400円)
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2017年11月19日

【今週の風考計】11.19─世界から日本へ、218もの人権改善勧告

国連の人権理事会が、日本の人権状況に関して、約5年ぶり3回目の定期審査を行った。このほど世界106カ国から出された218の勧告が報告書にまとめられた。多かったのが人種や男女差別、性や地域少数者への差別をなくす取り組みへの勧告だった。

特筆すべきは、沖縄の人々の人権や社会権の保障を促す勧告が、初めて盛り込まれたことである。翁長・沖縄県知事が国連で訴えた「基地押し付けの構造的差別や人権侵害」、また山城博治議長の長期拘束への異常さなど、世界が認識したからである。
慰安婦問題では中国や韓国などから「深く謝罪し、被害者に補償せよ」との勧告が出されている。福島第一原発事故に関連して、被災者の命を守る措置を拡大し、子どもが放射線被ばくによって受ける被害の大きさについて、正確な情報を学校教材に記載するよう求めている。

メディアに関連するテーマでは、「報道の自由」が萎縮しないよう、特定秘密保護法の法改正などを求める勧告、また政府によるメディア規制が、放送法4条を恣意的に使って、進められていることが批判され、この放送法第4条の「廃止」とともに、独立した第三者による監督機関の設立を求める提起が米国から出された。
いまやテレビでは安倍政権を代弁するかのようなコメンテーターばかりが重宝され、放送メディアは完全に腰砕け。政権が何も言わなくとも勝手に忖度し、自主規制に走るという体制が完成してしまっている。公権力のウォッチ・ドッグ=監視役としての「報道の自由」が阻害されている。

これらの勧告に、どう日本政府は対応するのか。受け入れるのか否か、来年3月までに態度表明しなければならない。またも木で鼻をくくったような弁明を繰り返せば、物笑いの種になるだけ。(2017/11/19)
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2017年11月18日

《支部リポート》5月末記念総会の記念講演 九州民放OB会と共催=白垣詔男

5面 吉野嘉高さん.jpg
 この数年、福岡支部最大の企画は5月末の定期総会で行う記念講演だ。2011年からは九州民放OB会と共催になった。九州民放OB会は毎月「勉強会」を開いており、それならと5月の勉強会を共催にしてほしいとJCJ側が申し入れて実現させていただいた。民放OBにはJCJ福岡支部会員が多数いるのも交流促進に弾みをつけている。
 2015年、「IS(イスラム国)問題」が世界を揺るがし始め、後藤健二さんら2人が殺された後には、長崎県出身の元長崎放送記者でジャーナリスト常岡浩介さんを、同僚だった民放OBが紹介してくれた。一般公開した結果、百人近くが詰めかけ大盛況だった。
 今年は、九州民放OB会が紹介してくれた筑紫女学園大学教授の吉野嘉高さん。筑紫女学園大学は昨年、日本会議会員が理事長に選ばれたものの選考過程で瑕疵があったとして、教職員から「就任無効」の訴えが起こされ、福岡地裁でそれが認められた。その理事長は就任できず1年間、理事長不在だった。一時は「大阪の森友学園、福岡の筑紫女学園」とも言われたほどだった。
 講師の吉野さんは、1986年にフジテレビ入社、ディレクター、プロデューサー、社会部記者などを務めた後、2009年に退社して筑紫女学園大学で教えるようになった。昨年3月には「フジテレビはなぜ凋落したか」(新潮新書)を出版している。
 吉野さんの演題は「右傾化する教育現場」で、徐々に右傾化する大学の実情などについて話してもらった。吉野さんは、自らに直接圧力がかかるようなことはないが文科省の動きから教育現場が右傾化している危機感を訴えた。また、最大の問題は学生の意識で、スマホなどネットに支配されている学生の日常行動を観察すると、ネット情報を鵜呑みにして自ら考えようとしないことも若者の右傾化につながっていると指摘された。現在、筑紫女学園大学に対する日本会議の影響は感じられないという。
posted by JCJ at 18:44 | Editorial&Column | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年11月15日

《沖縄リポート》米軍ヘリ墜落抗議集会に200人参加 飛行再開に県民さらなる怒り=浦島悦子

 突然の衆議院選が公示されて2日目の10月11日夕刻、私たちは、沖縄3区の玉城デニー・「オール沖縄」候補の女性集会に参加すべく、名護から沖縄市へとマイクロバスを走らせていた。高速道路が金武町(米軍中部訓練場)に差し掛かると、山肌から黒煙が上がり、米軍ヘリが消火バケツをぶら下げて飛んでいるのが見えた。実弾演習による山火事だ。ほぼ同時に、同乗者のスマホに「米軍ヘリ墜落」の緊急着信が入る。この時点で場所は不明だったが、同時進行の事態にバス内は騒然となった。
 集会で挨拶した玉城氏は、事故が北部訓練場近くの東村高江で発生したことを報告。挨拶後、すぐに高江へ急行した。「米軍ヘリが住宅から200メートルの民間の牧草地で炎上・大破」のニュースと生々しい映像は瞬く間に全島を駆け巡り、昨年12月の名護市安部海岸へのオスプレイ墜落・大破の恐怖もさめやらない県民を震撼させた。
 翌12日朝には衆議院選沖縄1〜4区の「オール沖縄」候補全員が沖縄防衛局に抗議に出向いた。選挙中の事故に安倍晋三首相は異例の迅速な対応を行い、防衛省と外務省が米当局に「原因究明と再発防止の強い申し入れ」を行ったというが、現場では、民間地にもかかわらず米軍が事故後直ちに規制線を敷き、かけつけた翁長知事も東村長も近づくことさえできない。事故を起こしたCH53E大型輸送ヘリは、04年に沖縄国際大学に墜落したCH53Dヘリの後継機で、回転翼にストロンチウム90が使用されており、炎上してベータ線が飛散した可能性があるが、沖縄県は立ち入り調査を拒否された。
 事故を最初に目撃した牧草地の地主・西銘晃さんは内部被爆の懸念に加え、刈り入れ寸前の牧草、近くで飼っている豚の出荷もできなくなるなど生活手段を奪われ、怒り心頭だ。事故現場は県民の飲料水の水がめである福地ダムに近接しており、一歩間違えば給水停止になる可能性もあった。
 15日に北部訓練場メインゲート前で開催された緊急抗議集会には、地元・高江や東村をはじめ全県から200人が参加。口々に「北部訓練場の全面返還」「全基地撤去」を訴えた。しかし米軍は、原因究明もしないまま、18日から同型ヘリの飛行を強行再開。県民のさらなる怒りを買っている。
 
posted by JCJ at 14:59 | 政治・国際情勢 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年11月12日

【今週の風考計】11.12─国民の血税を勝手にプレゼントするな!

「税を考える週間」があるとは知らなかった。国税庁は11日から17日までキャンペーンを張る。アクセスしてみると<租税の意義、役割や税務行政の現状について、より深く理解し…、自発的かつ適正に納税義務を履行していただく…>とある。

ちょっと待てよ。確か国税庁トップは、あの佐川宣寿さんではなかったか。国会で「森友問題」をめぐり厳しく追及された財務省理財局長、ご当人である。「森友」への国有地払い下げに関し、「書類や記録は廃棄済み、電子データも復元できない」と公言し続けてきた。
その御仁が栄転し、国税庁長官に就いている。記者会見も開かず、国民に謝罪するどころか、自分は書類を廃棄しておいて、納税者には書類は隠すな!では、誰がまじめに「納税義務を履行して」いけるか。

このほど会計検査院は「森友」への国有地払い下げ6億円の値引きは、過大であったと指摘した。値引きした6億円の損失を血税で穴埋め!冗談じゃない。
安倍首相も同じ穴のムジナだといいたい。トランプ大統領の娘イバンカさんが来日するやいなや、「イバンカ基金に約57億円拠出する」とブチあげた。自分の財布でもないのに、「国民の血税」を使って、勝手にプレゼントする。「いい加減にしてくれ」との声が広がる。

さらに「米国から導入するF35Aや新型迎撃ミサイルに加え、イージス艦の量・質も拡充したいので、さらに武器購入を増やしていく」と、シンゾーはドナルドに尻尾を振る。霞が関も永田町も国民の血税を、なんと心得る!(2017/11/12)
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2017年11月09日

≪おすすめ本≫阿部 岳『ルポ 沖縄 国家の暴力 現場記者が見た「高江165日」の真実』 米軍ヘリパッド建設─反対する住民を暴力で排除する現場で闘う記者魂=鈴木耕(編集者)

 10月11日、沖縄県東村高江区の人家から、わずか300メートル離れた私有地に米軍の大型ヘリが墜落した。この事故を沖縄の記者たちは、どんな思いで受け止めたか? 本書の著者である「沖縄タイムス」の阿部岳記者の心の中は、あの高江だからこそ、煮えくり返らんばかりだったろう。

 那覇からは車で高速道路を使っても、2時間以上かかる沖縄本島北部の静かな村。その中心部から、さらに離れた高江という、わずか150人ほどが住む集落を取り囲むように、6カ所の米軍ヘリパッドが造られた。
 静かな住民の暮らしを根底から破壊するもの以外の何物でもない。しかも、あの危険な欠陥機オスプレイの訓練に使用されることすら、住民には事前に説明されなかった。当然、長い反対運動が始まる。

 沖縄県民でさえ聞いたこともないような僻地での孤独な闘いに、沖縄の記者たちは通いつめる。そしてそこで見たもの、体験したことこそ、初めて目にするほどの異様な「国家の暴力」だった。
 日本全国から投入された機動隊の荒々しさ。記者を拘束し、住民に「土人!」と罵声を浴びせ、抵抗者は逮捕。微罪で5カ月も長期勾留された山城博治さんの事例など、本書は「国家の暴力」そのものを抉りだす。

 私は阿部記者とは少し面識がある。冷静沈着で温和なジャーナリストだ。その著者がこれほど檄した文章を紙面に叩きつけざるを得なかったところに、沖縄の怒りと悲しみが見える。圧政とデマと偏見に抗して闘う記者魂に胸が熱くなる。
(朝日新聞出版1400円)
「沖縄  国家の暴力」.jpg
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2017年11月07日

《ワールドウォッチ》TSの“首都”は陥落したが、テロの脅威は続く=伊藤力司

 2014年6月にイスラム過激派のTS(カリフ制イスラム国)が、シリアとイラクの広範な地域を版図として成立したことが宣言されてから3年4カ月。今年7月にTSが占拠していたイラク第2の都市モスルの解放に次いでこの10月中旬、“首都”ラッカも陥落した。
 これでTSの拠点はほぼ消滅したが「カリフ制国家」のイデオロギーは消滅したわけではなく、これからも世界各地でテロ事件を引き起こす怖れが充分あると専門家は指摘している。カリフとはイスラム教の開祖ムハンマドの「後継者」、かつてイベリア半島から中東、中央アジア、東アジアにまで広がったイスラム大帝国の支配者を意味するアラビア語だ。
 シリア北部に位置するラッカはTSの“首都”とされ、モスルの陥落後もTSのエリート部隊に守られていた。米軍の支援を受けたクルド人とアラブ人の合同部隊「シリア民主軍(SDF)」は、4か月以上に及んだ奪還作戦の末、10月17日にラッカ解放を宣言した。
最盛期の2014年にはシリア北西部のアレッポからイラク国境までの全域を支配する勢いだったTSは、東部デリゾール県の小さな領域だけに追い込まれた。TSは根拠地を失ったわけだが、自爆攻撃やヨーロッパなどでのテロ活動を続ける可能性を失ったわけではない。
 イスラム過激派の政治暴力に詳しい英国の専門家C・ウィンター氏は「TSのイデオロギーはカリフ制国家が消滅した後も長く存続する」と指摘、現代のイスラム過激派は「カリフ制国家」の樹立宣言で、世界中のイスラム教徒に9世紀から16世紀まで中東を支配した「イスラム帝国」へのノスタルジーを掻き立てたと指摘した。
 西欧キリスト教社会で2級市民扱いを受けているイスラム教徒の2世、3世たちが、あちこちで起こすあれこれのテロ事件の遠因は、数世紀に及ぶこうしたイスラム教徒対キリスト教徒の対立関係にある。TSが事実上消滅したからと言って、イスラム教過激派のテロを根絶やしにすることはできない。


posted by JCJ at 17:24 | 政治・国際情勢 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年11月05日

【今週の風考計】11.5─読書しない高校生へ、この漫画は逃すな!

▼「読書週間」が始まっている。70回目を迎える。だが電車の中はスマホばかり。全員が指操作に夢中の車両もマレではない。▼高校生が本を読まない割合は57.1%、5人中3人が本をまったく読まない事態だ。読書時間が世界1位のインドでは週10.7時間、日本はその半分以下の週4.1時間である。もはや読書習慣すらない。

▼出版界の現状にも反映する。今年の出版物の販売金額は1兆4千億円前後と予測される。 1996年のピーク時の2兆6563億円に比べれば、この20年間で販売額は半減してしまった。加えて雑誌の売り上げは前年比マイナス14.1%に加え、返品率は最悪の40%を続けている。深刻な事態となっている。
▼書店数も半減し1万店を割るのも近い。書店がゼロの自治体・行政区は420にものぼる。全体の2割に及ぶ。町の本屋さんがつぶれているからだ。嘆くだけでは能がない。じゃあ、どうするか。

▼80年前の1937年に刊行された吉野源三郎『君たちはどう生きるか』を、マガジンハウスが漫画化して刊行した。発売して2カ月で33万部の売り上げを示すヒット作になった。いまなお売れ続けている。先月25日に「異例の10万部重版」(8刷)を決めた。8刷分は11月6日から市場に投入される。
▼読み継がれてきた名著を、新しい感覚で一工夫しての刊行が、若い世代にアピールした好例である。はじめから読書が嫌いなのではない。58回を迎える神田古本まつりも、東京・神保町で開かれている。この宝の山から、名著を新たに掘り起こし復活させるのもいい。(2017/11/5)
posted by JCJ at 12:22 | 【今週の風考計】 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年11月02日

≪リレー時評≫ ヒトへの汚染放置で再稼働が進む=中村梧郎

 大病院でX線撮影をした。右肺に小さな影があった。医師は「要注意、CTで変化を見る」と言う。肺癌の疑いである。
 私には思い当たるフシがあった。6年前の福島原発爆発のすぐ後に浪江町に入った。道路には地震による地割れが幾筋もあった。それを腹ばいになって撮った。筋目に入っている黄色い綿が呼吸で舞い上がる。後の報道で判ったのだが、その場所は原発から噴出した放射性粒子のプルーム(集合雲)が地表を通過した地点であった。黄色い物体は原発を覆っていた断熱材の粉塵。粒子はそれにも付いている。
 球状粒子はセシウムやウラン、プルトニウムやストロンチウムの混合物である。だが煙のひと粒よりも小さい球体だから目には見えない。吸い込んでも気づかない。
 数ヶ月後に喘息の症状が出た。初めてである。近所の医者は「老人性喘息、お大事に」と薬をくれた。しかし治らない。昼夜を問わぬ咳込みは、あるときピタリと止まった。なぜかは判らない。

 この一件を、X線写真を見た大病院の医師に伝え「内部被曝ではないか」と聞いてみた。しかし答えは「もしも肺の内部にまで影響する被曝があったのなら全身がやられてひどい状態のはず、そうなっていない」だった。
「それは外部被曝の概念ですね、でも、粒子が肺に入れば数ミクロンしか飛ばないアルファ線であっても周辺の何十万個もの細胞が破壊されて発がん要因になりますね」と重ねて尋ねたが回答は無かった。こんな言い合いで治療を拒まれても困るのでそれ以上はやめた。放射線医学で重視されてきたのは外部被曝、という噂は本当だったのかもしれない。
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posted by JCJ at 10:08 | Editorial&Column | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする