2018年01月28日

リニア談合事件 税金3兆投入の仕掛け人は?JR東海への破格優遇に捜査のメスを=樫田秀樹

リニア巨額談合事件について、2015年度JCJ賞を受賞した「悪夢の超特急<潟jア中央新幹線」(旬報社)の著者でジャーナリストの樫田秀樹さんに寄稿してもらった。

          ☆     ☆

 昨年末からリニア中央新幹線の建設を巡る談合事件が報道されている。

東京地検特捜部はスーパーゼネコン4社(大林組、大成建設、清水建設、鹿島)の談合解明に努めているが、私が注視するのは、地検が果たして「リニア計画への3兆円の財政投融資(以下、財投)」の絵を誰が描いたかまで究明するかだ。

 15年11月、私は某準ゼネコンのベテラン社員から「弊社はリニア計画に参画しない」との話を聞いた。理由は単純明快。リニア工事ではペイしないからだ。

 07年、JR東海は「リニアの建設費9兆円を自己負担する」と公表し関係者を驚かせた。このうち、第一期工事となる品川―名古屋間で5兆5000億円だ。

銀行から融資無理

 ここで私は2つの疑問を抱いた。


@5・5兆円のうち東海道新幹線の収益を当てても、3兆円足りない。どう工面するのか。

A5・5兆円を工面できても、果たしてそれで竣工できるのか。

以下、拙著「リニア新幹線が不可能な7つの理由」(岩波書店)にも書いたが、若干の加筆をして説明したい。

JR東海の15年度末の純資産額は2兆円強だった。つまり3兆円を借りる担保がないため、銀行融資は難しいと予測されていた。

 仮に5・5兆円を工面できても、準ゼネコン社員が「参画しない」と表明したのは、「近年の新幹線は、当初予算の倍以上もかけて竣工している」からだ。従来の新幹線は、国と自治体とが建設費を出し合い、独立行政法人「鉄道建設・運輸施設整備支援機構(以下、機構)」が建設し、竣工後にJR各社が機構に毎年「線路使用料」を払い運用されている。だが、リニア計画での当初の資金源はJR東海の自己資金だけ。だから、準ゼネコン社員は、「難工事で工費がかさんでも、JR東海は当初の契約金額以上は払わない」と予測した。 

国の金を引っ張る

そして言葉を続けた。

「だからゼネコンはうまいこと国から金を引っ張ろうとしているはず」

 その動きがあったのかは判らない。だがその7か月後の16年6月、安倍首相は突如「リニア計画に財投を3兆円投入」と発表した。

財投は、国債発行で集めた資金を財務省が35ある政府系特殊法人(財投機関と呼ぶ)に融資することで大規模事業を実現する制度だ。

 今回の財投投入で不可思議なのは、財投機関ではあるが、金融機関ではない機構に、16年11月、法改正までしてJR東海に融資できる機能をもたせたことだ。財投機関には「日本政策投資銀行」というれっきとした金融機関がある。

なぜここからの融資ではなかったのか。同銀行OBは「当行は民間銀行との協調融資と要担保が原則。担保のないJR東海への融資は無理」と語った。

債務不履行もある

実際、法改正直後から、機構は5回に分け3兆円をJR東海に融資したが、「無担保」に加え「30年据置き」という破格の条件だった。誰がこの絵を描いたのか。

 財投投入の方針は安倍首相の表明の何カ月も前から政府内部で話し合われていたはずで、16年から、リニアの工事契約が一気に増えたのは偶然なのだろうか。

 そして、私は懸念する。工期が伸びれば工費もかさむが、そのときにまた兆単位の財投を発動するのか。旧国鉄の28兆円の借金のうち約16兆円は財投での借金だ(その反省から現在の建設方式になった)。これを今国税で償還しているのは周知のとおりだが、もしJR東海が債務不履行に陥った場合、国税で償還するのだろうか。

 注視しなければならない。

JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2018年1月25日号
posted by JCJ at 14:24 | Editorial&Column | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

【今週の風考計】1.28─不正流出580億が示すズサン管理の実態

「やばいよ、やばいよ」─お笑い芸人の出川哲朗さんも真っ青。年末から「コインチェック」のCMに出演していたからたまらない。持ちネタが現実になってしまったのだ。
「コインチェック」が扱う、仮想通貨<NEM>がハッキングされ、580億円が不正流出した。その原因は、インターネットから隔離して管理する「コールドウォレット」が施されておらず、さらに秘密鍵を複数に分割して別々に管理する「マルチシグ」も使わず、信じられないほどの、セキュリティ保全のズサンによる「やばい」ものだった。

盗まれた<NEM>を追跡捜査しつつ、当面、保有者26万人に日本円で返済するというが、加熱する仮想通貨市場へ冷や水を浴びせた。ビットコインやリップル、イーサリアムなど他の仮想通貨も値下がりし、商品やサービスの決済にも影響が広がっている。
3年前に約480億円分の仮想通貨を消失させた、日本のマウントゴックスは経営が破綻。金融庁も仮想通貨取引所への管理監督を強化し、野放図な開設をストップさせるべきだ。中央銀行の保証がない仮想通貨の取引を禁止、法規制する国や地域も出てきている。

昨年、世界中でランサムウェアやサイバー攻撃による大規模な情報漏えいが起きた。また日本ではマイナンバーに基づく情報管理がいい加減との指摘もある。高い情報セキュリティを確保したシステムの構築が急がれる。
個人・組織を問わず、さまざまな狙いや意図をもって、情報のハッキングやサイバー攻撃にさらされる危険は募る。くしくも2月2日は「情報セキュリティの日」、まず金融庁は肝に銘じよ。(2018/1/28)
posted by JCJ at 13:07 | 【今週の風考計】 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年01月25日

《編集長EYE》 異様な「デベロッパーファースト」=橋詰雅博

 都民が東京都を相手取り、2020年東京五輪・パラリンピック選手村用地として都有地を不動産会社11社にたたき売りしたのは違法だとする住民訴訟の第2回口頭弁論が2月27日(火)、15時から東京地裁419号法廷で開かれる。周辺価格の10分の1でつまり9割値引きで売却されたことから8億円値引きされて国有地が売られた森友疑惑になぞらえて「都政版森友疑惑」裁判とも呼ばれている(本紙17年10月25日号で既報)。

 昨年11月17日の第1回口頭弁論では、小池百合子都知事らに差額分約1209億円の請求を求めた原告33人を代表して中野幸則さん(66)が意見陳述した。陳述の中で中野さんは「本件は都が官民癒着、官製談合のもとで、市街地でない土地を市街地再開発事業と称して、『大地主』・『監督官庁』・『施行者』を演じた一人三役の『一人芝居』であり、デベロッパーファーストとも言うべき異常なものです」と訴えた。そして「(都有地の)売却はやめて定期借地権に変更して、数十年後には土地をとり戻すべきではないか」と主張した。

 実は被告弁護団団長の外立憲治弁護士は、中野さんらの陳述を阻む行為に出ていた。原告が読むことを認めないよう求める上申書を提出したのだが、清水千恵子裁判長はこれを却下したのだ。その腹いせなのか、外立弁護士は、中野さんと原告代理人の各陳述が終わった後、事前提出していない陳述書を読み上げ「(原告の主張は)言いがかり」と反論。このいきなりの陳述に対して原告代理人が抗議する一幕があった。

 原告弁護団は「(上申書提出や通告なし陳述を行った)被告は、ムキになっている。焦りと危機感のあらわれ」と相手の胸中を推し量った。  

  訴訟を広く知ってもらうため2月17日(土)には「都有地投げ売りシンポジウム」を13時半から16時半まで専修大神田校舎で開く。「都政版森友疑惑」裁判にもっと都民は関心を。

JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2018年1月25日号
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2018年01月21日

【今週の風考計】1.21─「もり・かけ・スパ」三点セットで追求を

▼150日に及ぶ通常国会が始まる。政府は過去最大の総額97兆7千億をこえる予算案をトップに、「残業代ゼロ法案」にも等しい「働き方改革」関連法案を含め、64本の法案成立をもくろむ。
▼9条つぶしの改憲にも拍車がかかる。2月中旬には憲法審査会での議論を始め、年内にも国会発議を目指す方針だ。バラバラと揶揄される野党も、国会審議では足並みそろえ、法案の狙いを明らかにし、国民の負託に応えてほしい。

▼ここにきて急浮上しているスパコン疑惑への解明も、疎かにしてはならない。経産省からの助成金4億円の詐欺で逮捕されたベンチャー企業の斎藤元章社長は、安倍政権の有識者会議の委員を務めていた経歴がある。かつ自社の顧問に月額200万円払って就任していたのが、あの安倍政権と近い元TBS記者の山口敬之氏というから、問題の根は深い。
▼また山口氏の生活拠点である永田町・キャピトルホテル東急にある一室への賃貸料(月額70万円ほど)も負担していたという。山口氏といえば、伊藤詩織さんレイプ事件で訴えられた立場にある人。
▼かつ斎藤氏と共同で立ち上げた財団法人「日本シンギュラリティ財団」は、その事務所の土地家屋の所有者の住所が、山口氏の実家と同じ住所だという。また山口氏は斎藤氏のセミナーにも参加して、彼の実績をほめあげる仲だ。これほどまでの蜜月は何故?

▼「もりそば・かけそばだけでなく、スパゲッティまで出てきた」と、立憲民主党の辻元清美国対委員長は言う。森友学園・加計学園問題に続く疑惑に発展しうる、重要なテーマだ。「もり・かけ・スパ」疑惑の三点セットで追及してほしい。(2018/1/21)


posted by JCJ at 12:43 | 【今週の風考計】 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年01月19日

2月17日JCJ講座「テレビ記者疑似体感!試作&座学の濃密3h」=須貝

JCJジャーナリスト講座のお知らせです。今回はテレビ記者を志望する人たち向けに開催します。講師は元TBSの下村健一さん。
最近はテレビ記者の希望者が減っているそうです。あんなに面白い仕事なのになぜなのか、と下村さんは考え、若い世代向け講座の開催に協力していただきました。
詳細は下記の通りです。ゼミ方式に近い形で開きます。
ご参加、お待ちしています。お知り合いに広めていただければ、ありがたいです。どうぞよろしくお願いします。
★JCJジャーナリスト講座★
「テレビ記者疑似体感!試作&座学の濃密3h」

―――この職業は、本当に厳しくて、本当に面白い。志すなら、思いきりワクワクして、しっかり覚悟して、臨もう。それにはまず、現場を知ろう。
「筑紫哲也NEWS23」「みのもんたのサタデーずばッと」などで、自ら取材・リポートしてきた元TBSの下村健一さんが「テレ
ビ記者」を目指す若い世代と熱く語り、何を準備すべきか、どう向き合うべきか指導します。
2月17日・土曜
午後1時半〜5時
講師:ジャーナリスト・下村健一さん
(白鴎大学客員教授・元TBS報道局)
会場:日比谷図書文化館・4階セミナールーム(定員20人)
東京都千代田区日比谷公園1の4 最寄りは地下鉄内幸町駅か霞ヶ関駅
参加費:1000円(予約が必要です)
予約:参加希望日と氏名、連絡先電話番号、メールアドレスを明記して、下記にメールかファクスでお申し込みください。
メール sukabura7@gmail.com ファクス 03・3291・6478
★自由提出課題:受講する方は任意で前々日までに、30〜90秒の自己紹介映像
をつくり、無料の大容量データ転送サービス(ギガファイル便など)で上記アドレスまで提出してください。(義務ではありません。)映像は、スマホの
横撮りで結構で。秀作10本を講座内で披露し、講師が批評・助言します。
主催:日本ジャーナリスト会議(JCJ) 電話03・3291・6475
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2018年01月15日

《月間マスコミ評・新聞 》核廃絶運動に平和賞、次につながる=山田 明

 毎年のことだが、年末になると1年を振り返りたくなる。記憶をしっかり記録するためにも。
 世界に目をやると、やはりトランプ米大統領に振り回された1年だった。欧米だけでなく・アジア・中東を揺るがす。国際的にトランプ批判も高まってきたが、安倍首相のトランプ追従ぶりが際立つ。日本外交の姿勢が問われている。
 北朝鮮情勢が緊迫化し、戦争や核への不安が高まるが、平和に向けて明るいニュースも飛び込んだ。今年のノーベル平和賞に国際NGO「核兵器廃絶国際キャンペーン」(ICAN)が選ばれた。核兵器禁止条約の国連採択への貢献が評価された。草の根の運動体、NGOが受賞したことの意味は大きいが、広島・長崎の被爆国である日本政府の対応はあまりに冷たい。
 日本の政治に目を向けると、「安倍一強」政権のもとで、政治の劣化がますます進んできた。何といっても、焦点は森友学園と加計学園をめぐる疑惑だ。日本政治を揺るがす「もりかけ問題」は、安倍首相夫妻が関係する疑惑である。
 そのため政府・自民党は真相隠し、国会審議の先送り、野党の質問時間削減に躍起となった。毎日12月8日社説は、特別国会閉会にあたり、第4次安倍政権の運営方針をただすとともに、「森友・加計」問題の真相を解明すべき国会だったが、その役割を果たしたとは言い難いと。
 先の衆院選は民進党の分裂騒ぎもあり、与党が勝利した。安倍改憲、憲法9条改悪が現実味を帯びてきた。その一方で、市民と野党共闘が全国的に広がりつつある。
 メディアで注目されるのが、NHK受信料に対する最高裁の初判断。読売7日社説も、判決は「NHKがテレビ設置者の理解が得られるように努め」と指摘。政権べったりではなく、NHKは「知る権利」に応えるベきだ。
 朝日10日は1面トップで「リニア入札不正容疑」を大きく伝えた。大手ゼネコン大林組に強制捜査が入り、巨大事業に激震。リニア中央新幹線は環境破壊をはじめ、多くの問題が指摘されている。リニアは公的資金も投入される巨大事業だ。沿線各地の住民が提訴しているが、国会でほとんど議論されていない。メディアもJR東海に遠慮してか、リニア報道が弱い。今回の疑惑など、厳しく追及してほしい。    
  
posted by JCJ at 22:33 | メディアウォッチ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年01月14日

【今週の風考計】1.14─トランプ大統領が、ほんとに「やばい」。

20日に就任1年を迎える米国のトランプ大統領─今なお品格が問われる、呆れた事態が続く。移民政策をめぐり「野外便所のような国の人々を、なぜ米国に受け入れるのか」と発言。
度し難い人種差別の発言に、メキシコのビセンテ・フォックス元大統領は、「トランプの口は世界一汚いケツの穴だ」とツイートした。

さらには以前に性的関係を持ったポルノ女優に対し、「個人的な弁護士を通じ13万ドル(約1443万円)の口止め料を、投票日を控えた昨年10月に支払っていた」とまで暴露される始末。
マイケル・ウォルフ『炎と怒り:トランプ政権の内幕』も、いかにトランプが「無知」で「臆病」かに始まり、トランプ一族と側近たちの確執、「ロシア疑惑」の真相、髪型の秘密までが赤裸々に記され、1月5日の発売から1週間で100万部を超えたという。邦訳版は早川書房から2月に刊行される。

こうした人物が権力を握る米国政権は、オバマ前政権の「核なき世界」という方針を大転換し、核兵器の役割を拡大させ、海洋発射型の核巡航ミサイルを新たに開発し、艦船への配備を計画している。通常兵器に反撃する場合でも核の使用は排除しない方針だという。ノーベル賞を受賞したICANのベアトリス・フィン事務局長は「核兵器が使われる危険性の高い状態」と批判する。

品格の疑われる権力者が<核のボタン>を握っている怖さが身に迫る。現にハワイでは、弾道ミサイル飛来との緊急警報に避難の大騒ぎ。なんとボタンの押し間違いによる誤報!
新しい広辞苑の発売広告にあるコピーじゃないが、まさに「やばい」。そんな米国本土に、初めて日本で生産された最新鋭ステルス戦闘機F35Aを運び、点検確認を受け、航空自衛隊に42機配備する段取り。この配備も米国の<核の傘>を補完するため。ほんとに「やばい」。(2018/1/14)
posted by JCJ at 13:19 | 【今週の風考計】 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年01月08日

《沖縄リポート》奇跡に近い20年に及ぶ辺野古闘争 日米両政府への怒りが噴出=浦島悦子

 1997年12月21日、名護市民が住民投票で「辺野古新基地NO」の市民意思を示してから丸二十年になる。日本政府の権力と金力を総動員した市民投票潰しを跳ね返し、地域住民・市民が心血を注いで勝ち取った勝利はわずか3日後、政府の圧力に屈した当時の比嘉鉄也市長によって覆され、以来、私たちは日米の国家権力との対峙を強いられてきた。
 その間に基地建設計画の中身は何度も変わり、沖縄県知事も名護市長もそれぞれ4人目を数える。彼我の圧倒的な力の差を考えれば、20年もの長い間たたかい続けてこられたことは奇跡に近い。地域住民の地を這うようなたたかいが名護全体へ、そして沖縄から全国・世界へと広がってきたからこそ、「着工」されたとはいえ工事は計画通りには進んでおらず、辺野古・大浦湾の海はまだ、私たちの目の前に美しく輝いている。
 しかし今、私たちは、この海を守り切れるかどうかの瀬戸際にある。埋め立て工事を加速させる護岸用石材の海上輸送が明日にも始まるかもしれないのだ。国頭村奥港はその後使われていないものの、辺野古への海上輸送船の給水や乗組員の休憩のための中城湾港使用を沖縄県が許可した(12月7日)こと、県が有効な手立てを打てないまま本部町が11日、本部港塩川地区の港湾使用許可を出したことは、辺野古ゲート前で体を張って石材搬入に抵抗している市民を落胆させた。
 名護市安部海岸へのオスプレイ墜落・大破からちょうど1年目の12月13日、普天間基地に隣接する普天間第二小学校の体育授業中の校庭に、飛行中の米軍CH53ヘリの窓が落下するという信じがたい事故が起こった。6日前にも、同じ宜野湾市の保育園の屋根に同型機の部品が落下したばかりだ。同日行われた「安部のおばぁ達の会」主催の「オスプレイNO!」勉強会では、「海も空も奪い」「この島を勝手放題に使う」米軍と、それを野放しにしている日本政府への怒りが噴出した。
 2004年8月の沖縄国際大学への米軍ヘリ墜落・炎上事故のあと、「普天間基地の危険性を除去する」ためと称して、辺野古新基地建設に向けた作業が強行・加速されたのを思い出す。今回も同様の口実に使われることを許してはならない。
浦島悦子
posted by JCJ at 13:11 | Editorial&Column | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年01月07日

【今週の風考計】1.7─年始の早々から気がかりな三つの動静

あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いします。さて、年始の1週間、気になって気になって、しまいに腹が立ってきた三つの動静を挙げておきたい。

まずは安倍首相の日々だ。渋谷・富ケ谷に豪邸がありながら、昭恵夫人ともども都心の高級ホテルに連泊しゴルフ三昧、そして昼となく夜となく3つ星クラスの料理店で贅沢な食事。これらの費用は税金から? 昭恵夫人は自宅で朝の味噌汁など作らないのか? もしや森永ビスケットで済ませてしまうのか? 私たち庶民には、すぐに浮かぶ素朴な疑問だ。

二つは、9日に開催される韓国と北朝鮮との高官級会談に対する日本政府の態度である。2年ぶりの対話による南北関係の改善は、北朝鮮の非核化に向けた環境づくりに役立つのは間違いない。大歓迎だ。
だが政府は南北会談を歓迎し成功を祈るどころか、北朝鮮の脅威を「国難」と煽り、制裁・圧力に血道をあげるだけ。北朝鮮にミサイル核の放棄を求めるのなら、まず国連で可決された核兵器禁止条約に賛成するのが先だろう。戦争核による唯一の被爆国・日本が、いまだに反対し続ける態度に、ブーイングの声は世界中に広がっている。
あまつさえ、安倍首相は12日から東欧6カ国を訪問し、「北朝鮮への制裁・圧力強化に向け緊密な連携を強化したい」と意欲マンマンだ。

三つには原発への態度だ。「原発輸出」に拍車をかけ、担う民間企業には、巨額な銀行融資が可能となるよう、政府保証まで与えて厚遇する。10日には小泉・細川元首相らが、脱原発運動を積みあげてきた成果を踏まえ、「原発ゼロ・自然エネルギー基本法案」を発表する。22日に召集の通常国会に提出するという。世界から拍手や歓迎の声が挙がるだろう。安倍首相、少しは煎じて飲んだらよい。(2018/1/7)
posted by JCJ at 10:57 | 【今週の風考計】 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年01月05日

≪おすすめ本3冊≫ まず伊藤詩織『Black Box』─性暴力被害に屈せず闘い続ける強い矜持=伊藤和子(弁護士/「ヒューマンライツ・ナウ」事務局長)

 昨年6月、デイビッド・ケイ国連特別報告者は日本の表現の自由に関する調査報告書を国連に提出、報道の自由を確保するよう勧告した。
 彼は「日本のメディアは政府からの圧力を跳ね返す力が弱い」とし、記者クラブ制度など報道機関と政権の癒着に疑問を呈し、ジャーナリストの横の連帯、調査報道の環境醸成を訴えた。この提起は主要メディア内では、必ずしも掘り下げられなかったが、現状を打ち破る新しい動きが起きた。

 東京新聞の望月衣塑子記者による政権追及である。著書『新聞記者』 (角川新書)には、記者を志した軌跡、官邸会見で追及する心の葛藤や熱い想いが綴られている。
 多くの記者が政権幹部に踏み込んだ追及をしなくなる中、あえて質問を重ねる勇気を支えるのは権力監視というジャーナリストとしての強い使命感だ。「前川さんや詩織さんがたった一人でも戦おうとし、社会的に抹殺されるかもしれないリスクと背中合わせで疑惑を追及している。2人の勇気をだまって見ているだけでいいのか」と問う。

 その詩織さんは、首相に近い元テレビ記者による性的暴行被害を告訴、逮捕状執行が直前で見送られ不起訴に。検察審査会でも「不起訴相当」。それでも諦めず記者会見で被害を実名告発し、伊藤詩織『Black Box』 (文藝春秋)を出版した。
 屈せずに闘い続ける動機は「自分の中で真実に向き合えないのであれば、私にこの仕事をする資格はないだろう」というジャーナリストの強い矜持にある。性暴力被害者に泣き寝入りを強いる日本の社会的法的システムを、実体験から克明に問題提起した価値ある一冊だ。

 最後に横田増生『ユニクロ潜入一年』 (文藝春秋)を挙げたい。企業内部の過酷労働の実態を追及するため、自ら働き、潜入調査するという究極の調査報道姿勢に心から敬意を表したい。圧巻のルポだ。彼らに孤独な戦いをさせてはならない。社会が、そしてジャーナリストの横の連帯がこれを支え、真実に迫り権力を監視する報道が強まることを期待する。
「BlackBox」.jpg
posted by JCJ at 11:45 | 政治・国際情勢 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年01月04日

《月間マスコミ評》NHK記者過労死、当確報道に疑問=諸川麻衣

 2013年7月24日、NHK首都圏放送センターで都議選、参院選取材に当たってきた佐戸未和記者が、月159時間余の時間外労働の末に31歳の若さで過労死した。4年後の今年11月20日放送の「プロフェッショナル 仕事の流儀 過労死と闘い、命を守る」では、冒頭で生前の佐戸さんの活躍や今のご両親の声を紹介、過労死問題は「この番組を作るNHKにとっても大きな課題です」と述べた。
 調べてみると実はNHKは06年度に既に、年間総労働時間2100Hを指標に各職場で働き方を見直すという「働き方総点検」を始めていた。さらに12年度にはこれを「働き方改革」に発展させ、「業務の棚卸し」を課題とした。13年度には、全経営業務量に見合う要員数(約一万)の枠内で各職場の「歪み」を解消するため、要員再配置や業務の調整=「全体最適」に乗り出した。
 翌14年5月に佐戸さんの過労死が認定されたが、この年は改革の重点事項に「過重労働防止による健康確保」を掲げ、記者の勤務制度の議論、「専任職」を労働時間を管理する一般職に移行する、三六協定の上限を超えた勤務を「限度越え」として報告するよう労組が呼びかける、などの動きが見られた。
 その後、番組の編集期間に休日を設けるなども行われ、16年度には全部局で年間総労働時間平均が前年度を下回り、全体最適も達成されたという(ただし「限度越え」報告は14年度以降一貫して増え続けているらしい)。
 そして今年度には記者の「専門業務型裁量労働制」が発足、10月に佐戸さんの過労死がやっと公表された。また12月7日には、NHKグループ全体として「長時間労働に頼らない組織風土をつくります」と宣言した。
 このように、NHKが過重労働問題にまったく無策だったとは言えない。ただし、佐戸さんの件は当初、職場集会参加者に口頭で報告されただけで、一斉周知はされなかったという。「過労死の事実をしっかり伝え、再発防止に役立ててほしい」とのご両親の気持ちは裏切られていたのである。「できるだけ早く当確を打つ」という意義不明な目標のために人材を集中投入する選挙報道のあり方への根本的な見直しも、ほとんど見られない。
 一方で佐戸さんの過労死はメディアの他社でも反響を呼び、選挙取材期間の勤務管理のあり方を見直す動きが出ているという。三年後、五年後、放送の現場が「以前よりは働き方がまともになってきた」と実感できるようになれば、報道人として志半ばで斃れた佐戸さんの無念は少しは晴れるだろうか? 
      
posted by JCJ at 17:24 | メディアウォッチ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年01月02日

JCJに多額遺贈 元出版部会の阿部丈夫さんは、「静」と「動」の人だった=池田隆(出版部会世話人)

 出版部会会員だった阿部丈夫さんは「静」と「動」の人でした。1953年4月に日本出版販売(日販)に公募1期生として入社し、7年間ほどは「自称」文学(演劇)青年として活動、青春を謳歌。動の人生に入った転機は、60年「安保闘争」だった。労組執行委員としてデモ行進に参加、壮大さに触発、感動、その後23年間組合役員として活動した。私と阿部さんとの出会いは67年の青年部結成でした。69年から8年間書記長として民主的労使関係の確立に向け千代田区労働組合協議会(千代田区労協)、75年には日本出版労働組合連合会(出版労連)に参加し、その先頭に立って実現した。背景には常に民主的出版物の普及に貢献したいという信念でした。

 退職後は、23年間の運動を記録した組合機関紙や資料を、過ぎた事として廃棄するのは忍び難いと7年間にわたって住まいがあった草加市であったことから「想過思今」として編集、かつての仲間に送付。その集大成は全3巻私家版「日販労働運動史」として刊行された。「出版流通九条の会」の結成にも尽力された。

 阿部さんは81歳で昨年4月に亡くなられたが、相思相愛、同志でもあった夫人の明子さんが今年4月に亡くなられ、生前お二人の遺志で何らかの費用に活用してほしいということでJCJに遺贈された。

JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2017年12月25日号
posted by JCJ at 13:14 | Editorial&Column | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする