2018年02月25日

《編集長EYE》 ICAN、金融機関にアプローチ=橋詰雅博

 国連での核兵器禁止条約の採択に貢献したことで、昨年、ノーベル平和賞を受賞したICAN(核兵器廃絶国際キャンペーン)。その事務局長のベアトリス・フィンさん(スウェーデン出身)は1月来日し、広島、長崎、東京で講演した。 

 フィン事務局長は「格兵器を持つことが力の象徴ではなく、恥の象徴だと認識させて、核兵器を持つ国に悪の烙印を押すことができれば、核保有国ももっと理にかなった考え方をするようになる」と訴えた。

 核保有国は「恥だ」という認識を世界に定着させるためICANは、さまざまな活動を展開する。1月初旬に本紙のインタビューを受けた(1月25日号に既報)ICAN国際運営委員の川崎哲さんは、その活動を4つに分ける。第一は核禁止条約の署名・批准を世界的に促進するため広島と長崎の被爆者による証言活動とメッセージ発信だ。第二が核武装国の「核の傘」の下にある日本のような協力国の核政策見直しを求める積極的なロビー活動。第三は将来の核武装国の核禁止条約参加を視野に入れて、核武装廃棄や検証措置をさらに精緻する議論を行う。第四が民間の金融機関などへの働きかけだ。核禁止条約が発効されれば、核兵器は国際法上、非人道兵器として認定される。そのような兵器の製造に関わる企業に融資することは社会的な責任を欠いたものと見なされる。対人地雷もクラスター爆弾も禁止条約発効(地雷は99年3月、爆弾は2010年8月)で、企業への融資が引き上げられて兵器の生産や貿易が大幅に縮小した。

 川崎さんはこう語った。

 「三菱UFJファイナンシャルグループは、『非人道兵器』のクラスター爆弾を製造する企業に対して今後、その資金使途にかかわらず、融資しない方針を昨年12月に発表した。例えば三菱UFJに核兵器の製造では、どう考えているのか≠ニいったアプローチは重要です」

 企業が相手ならば方針の転換は期待できそうだ。

JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2018年2月25日号
posted by JCJ at 16:54 | Editorial&Column | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

【今週の風考計】2.25─あらためて<築地でええじゃないか!>

「築地は守る、築地の後は築地」と言明してきた小池百合子都知事が、「築地に市場をつくる考えはない」と仰天発言。
これまで都知事は、築地には<セリ>などの市場機能を残し、豊洲には流通センターの役割を担ってもらう─両市場“併存”構想を声高に語ってきた。その約束を反故にする、まさにチャブダイ返しの暴言である。

豊洲移転に反対する<築地女将さん会>の一員である鈴木理英子さんをガイドに、このほどJCJ会員メンバーは「築地」を実地見学した。建物の6階屋上から一望すると、隅田川へ扇子を広げたように昭和モダンの棟屋が伸びる。その湾曲したカーブは鉄道の引き込み線に対応し、トラック輸送にも便利だったという。

地上に降りると、セリも終わり仲卸の人たちが買荷保管所へ荷物を運ぶターレが勢いよく行きかう。仲卸は約500社、目利きの技を支えに、現物を見てもらい値段を決める建値市場の魅力。健全な価格が形成され、漁師や農業生産者への利益還元と品質向上に結びつくという。ちなみに鹿児島県産のアカヤガラがキロ1700円、千葉県産キンメがキロ3600円。
さらに場内・場外を回わる首都圏からの買出人は、毎日1万人を超える。加えて海外からの観光客が場内の市場メシや場外の御鮨に長蛇の列をなす。築地ブランドここにあり。<築地でええじゃないか!>。わざわざ10月11日、なぜ豊洲へ移転させるの? 

いま豊洲では、ベンゼン・シアン・水銀などの有害物質がしみこむ地下水のコントロールに躍起だ。海抜より1.8メートルまでの水位に抑えないと、汚染物質の漏出も大地震による液状化現象も防げない。現実は地下水の水位は、最高で海抜より4.6メートル。地下水を抜き取るポンプの稼働費用は巨額になるのは必定だ。
40ヘクタールもの広大で、かつ複雑に入り組んだ土地の地下水を、1.8メートル以下に管理すること自体が至難の業。“安全宣言”が出せなければ移転はとん挫。危ない橋を渡るより、築地を守るほうがずっといい。(2018/2/25)
posted by JCJ at 15:52 | 【今週の風考計】 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

≪リレー時評≫再び「住民投票」にひた走る維新の会=清水正文

 2015年5月、維新の会は「大阪都」構想の是非を問う住民投票を32億円もの市税を投じ、5億円ともいわれる宣伝費をかけて行ったが、大阪市民から「ノー」の意思が示され、法的にも明瞭な決着をみた。
 ところが、松井大阪府知事、吉村大阪市長は「副首都構想」と装いを変え、「総合区」も議論するからと公明党を抱き込んで、昨年大阪府・市に「特別区設置協議会=法定協議会」を設置し、今年の秋に再び「住民投票」を行おうとしている。

 しかし、新たな「特別区」案なるものは、否決された「5区案」を「4区または6区案」にするというだけで、本質的には何の違いも打ち出せていない。前回の「二重行政の解消」や「財政効果額」の大義や道理は消え、万博誘致を利用した「IR」(カジノ)などを進める以外に「都構想」のメリットを示すことができず、矛盾が広がっている。
 「法定協議会」では、「現行法では都区調整財源に地方交付税は使えない」「財政シミュレーションを出さないのは、メリットがないからではないのか」などの異論や疑問が維新以外の政党から出されている。

 昨年9月の堺市長選挙では、4年前に続き「大阪都構想」反対を掲げる竹山市長が「堺は一つ、堺のことは堺で決める」と主張し、「堺市つぶし」を狙う維新の候補に勝利した。世論調査でも、大阪市民の「都構想」反対は1年間で5ポイント増えて47%に、賛成は10ポイント減って37%(「読売」)となっている。
 「総合区」とは大阪市を存続させたうえで、行政区の権限を強化するために、単独あるいはいくつかの区を合わせて設置しようとするもので、地方自治法に基づき市議会で決定すれば「住民投票」など不要であり、変更・解消も市議会の権限になっている。

posted by JCJ at 15:26 | 政治・国際情勢 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする