2018年03月29日

≪リレー時評≫ 「日韓反核平和連帯」の貴重な活動=白垣詔男

 一昨年10月に「日韓(韓日)反核平和連帯」という団体が生まれた。4年以上前に日韓両国の人たちが起こした「原発メーカー訴訟」の原告が中心となってできた組織だ。
 それまで、「原発訴訟」は「3・11東日本大震災」後、日本を中心に多く起こされたが、原発メーカーは賠償請求訴訟の被告にはなっておらず、被告は国と電力会社が中心だった。

 そこで、賠償を逃れている原発メーカーにも責任があるとして、日韓両国の人々が東芝、三菱重工、日立を相手に「原発メーカー賠償請求訴訟」を起こした。その原告らがつくったのが「日韓(韓日)反核平和連帯」で、日本側代表は福岡県在住の牧師・木村公一さん、韓国側は司祭の柳時京(ユシギョン)さん、事務局長は神奈川県在住の在日韓国人の崔勝久(チェスング)さん。
 日本側代表・木村公一さんはイラク戦争時に「人間の盾」としてブッシュ米政権のイラク攻撃に体を張って反対を表明したほか、過去にはキリスト教布教のためインドネシアに17年間滞在、インドネシアの従軍慰安婦問題にも積極的に取り組んだ。
 現在も「慰安婦問題」(日本軍≪性奴隷制≫)の歴史と被害者たちの声をユネスコ世界記憶遺産の登録申請のために国連連帯委員会インドネシア副代表としても活動している。

 「日韓(韓日)反核平和連帯」は、結成間もない一昨年10月27日、木村日本側代表、柳時京韓国側代表らが佐賀県唐津市を訪れ、使用済み核燃料貯蔵施設などを唐津市と玄海町(九州電力玄海原発立地町)への誘致しないように、また、玄海原発の再稼働に反対することを求める緊急要請書を唐津市長と同市議会議長あてに提出した。
 今年2月25日には、会員の金信明さんが昨年夏、韓国での会合後の食事中に病に倒れ、いまだに意識が戻らないことに対して同組織が主催して金信明さんを激励する集会が福岡市のプロテスタント教会であった。
その席には、金信明さんの親友、歌手・趙博さん(通称パギヤン)が駈け付け、会員や支援者ら50人以上が集まった。パギヤンは「アベ・イズ・オーヴァー」を歌った「浪花の歌う巨人」として知られる。

 その席で崔勝久事務局長は「会として、米国の日本原爆投下の賠償責任を問う裁判を米国で起こす準備をしている」と表明して注目された。原告には原爆被害者で現在韓国在住者の数人が名乗りを上げているが日本人はまだ誰も原告になっていいという人がいないので、今後、この運動を広めたいとも述べた。
 日本への原爆投下を裁判で問うことになれば世界的に注目されるとともに、米国民の多くからは強い反発もあると想像できる。「日韓(韓日)反核平和連帯」の今後の活動に親近感を寄せながら見守りたい。

posted by JCJ at 09:31 | <リレー時評> | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年03月27日

《編集長EYE》 電通が憲法改正国民投票を支配する=橋詰雅博

 2017年に新聞、雑誌、テレビ、ラジオ、インターネットなどで費やした日本の総広告費は約6兆3900億円で、6年連続プラス。業界最大手の電通は国内売上高が1兆5600億円、海外も含む連結ベースの総売上高は約5兆2000億円だ。電通の総売上高は日本の総広告費の8割ほどに当たる。まさに巨大企業で、単体では世界一の広告代理店。

 だが一方では新入女性社員を過労自殺に追い込んだことで社会から糾弾され、16年末にブラック企業大賞≠ニして名指しされた。社員を酷使することで、ナンバーワンの地位を維持してきたゆがんだ構図が露呈した。

 そんな電通がここにきて注目されている。年内にも実施という憲法改正国民投票を巡り、電通が長年、広報戦略を担う自民党の改憲広告≠仕切るからだ。業界第二位の博報堂で18年間営業をしてきた著述家・本間龍さんは「電通が国民投票を支配する」と断言している。

 2月末に都内で講演した本間さんはこう指摘した。

 「国民投票運動ではテレビCMの影響力が大きい。インターネットとは違い、テレビCMは『ながら視聴』されるので、繰り返し行われると、視聴者への『刷りこみ効果』は絶大です。特に視聴率が高い夕方から夜11時台に流れるスポットCM(局が定めた時間帯に15秒間流れる)が勝負のカギになる。この時間帯にいかに大量にCMを流すかだ。これを実現するには巨額なお金が必要。また、このCMワクを事前に抑えなければならない。 

 改憲勢力の中心である自民党の資金力は護憲勢力のそれを圧倒している。政権党の自民を支える電通は、テレビCMでのシェアは35%とダントツ。加えて戦略立案もCM制作もCMワク購入も1社だけですべてやれる。従って自民党などの改憲勢力が国民投票で勝つ可能性は高い」  

 国民投票では有料テレビCMは投票日前2週間だけ禁止。規制を強化しないと自民党・電通の思うつぼだ。

JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2018年3月25日号


 
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2018年03月25日

【今週の風考計】3.25─東京都・迷惑防止条例の極まりない危険性

「こちらは麹町警察署です。国会周辺をうろつき、コールを挙げる皆さん! 迷惑防止条例に違反しています。もし指示に従わなければ懲役1年以下、または100万円以下の罰金が課されます」─これが7月以降、現実になる。

警視庁が東京都に提案した迷惑防止条例案が、今月末にも成立するからだ。その内容の恐ろしさは極まりない。既存のストーカー規制法の厳罰化を盾に、「みだりにうろつくこと」「監視していると告げること」「名誉を害する事項を告げ、その知り得る状態に置くこと」「電子メール(SNS含む)を送信すること」などなどが、迷惑の範囲とされ処罰の対象となる。
解釈も含め恣意的な運用の危険は大きい。上記のように国会前に三々五々あつまり、「アベ政治を許さない」の声を挙げ、チラシをまくなどの行為が、「名誉を害する」行為として処罰の対象となりうるのだ。

メールで「昭恵夫人は証人喚問に応じよ!」と、官邸や官公庁に要請する内容の電文を、何度も送信すれば引っかかりかねない。しかも名誉棄損であるとの本人告訴がなくとも、警察や司法の判断で逮捕・起訴、そして処罰ができるのだ。

私たちジャーナリストの活動も、「その行動を監視し…、又はその知り得る状態に置く」行為とみなされ、かつ取材も「住居等に押し掛け、又は住居等の付近をみだりにうろつくこと」と解釈されれば、刑事罰の対象となる。
国会での「森友文書改ざん」、佐川証人喚問の関心事に紛れて、「排除」の言辞を弄した小池都知事の下、言論・報道・表現の自由、知る権利など、憲法上の権利が侵される、危険な迷惑防止条例案が独り歩きする。(2018/3/25)
posted by JCJ at 10:26 | 【今週の風考計】 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年03月18日

【今週の風考計】3.18─佐川証人喚問から文書改ざんの根源へ

◆「森友文書」改ざんが安倍政権を直撃し、支持率は39.3%、2月より9.4ポイント急落した。土壇場になっても、官邸は国交省から提出された改ざん前の文書を6日間も放置し、“虚偽答弁”を繰り返す。
◆官邸ぐるみで<改ざん隠蔽工作>を続ける安倍首相への嫌悪感は、いまや燎原の火のように広がる。1年以上、ウソと虚偽の答弁を繰り返してきたツケが、安倍政権を侵す毒のように、全身に回ってきている。

◆文書改ざんは200項目を超える。削除された箇所を見れば、昭恵・首相夫人の称揚や政治家の陳情などを受け、国民の財産を8億円の値引き・10年分割払いにした、前代未聞の特例扱いに至る経緯が如実に辿れる。
◆しかも、この事案が“安倍案件”であるにも関わらず、安倍首相が「私や妻が関係していれば首相も国会議員も辞める」と言い切った国会答弁がある以上、なんとしても経緯を削除し、「つじつま合わせ」をしなければならない。

◆財務省が組織として意思決定した証拠の決裁文書ですら、改ざんする罪を犯すのだから問題の根は深い。それを理財局の一部の職員や佐川宣寿・元理財局長に責任転嫁してゴマかすなど、許されることではない。国会での佐川証人喚問はもとより、財務省から独立した機関を設けて調査しなければ、問題究明などできるはずがない。司直の手が伸びる前に国政調査権を行使し、与野党問わず政府の責任を徹底追及すべきだ。

◆7年前に制定された公文書管理法は、中央省庁の意思決定に至る「過程」を合理的に跡づけ、検証できるよう文書作成を義務づけ、いつでも政府が説明責任を果たせるようにするのが前提になっている。
◆かつ公文書は「健全な民主主義の根幹を支える国民共有の知的資源」であり、「主権者である国民が主体的に利用し得るものである」とし、かつ「将来の国民にも責任を持つ」法律であると位置づけている。アベさん、熟読玩味せよ!(2018/3/18)
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2018年03月16日

≪お知らせ≫ 出版部会4月例会:出版危機の深層を抉る─「アマゾン膨張」と出版界

出版危機の深層を抉る
─「アマゾン膨張」と出版界─

いま出版界は未曽有の危機に直面しています。
売り上げは13年連続して減少・最大の落ち込み。
<町の本屋さん>はつぶれ、出版流通が深刻な事態です。
「アマゾン商法」が出版界を席捲し、版元との直取引が横行!
出版文化が危うい事態を、どう打開するか。


講演:星野 渉氏 (「文化通信」編集長)
日時:4月7日(土)14:30〜
場所:JCJ事務所 地下鉄「神保町」駅下車 A5出口 千石屋ビル4F
参加費:500円 (JCJ会員・学生300円)

日本ジャーナリスト会議(JCJ)出版部会
posted by JCJ at 12:01 | お知らせ&行動要請 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年03月14日

≪月間マスコミ評・新聞≫核軍拡を支持する読売社説に驚き=山田明

 通常国会が始まり、安倍首相の自己中心的な政治姿勢に批判が集まる。安倍首相は「もりかけ疑惑」で追及されると、質問に関係なく、朝日新聞の報道が「ウソ」だと批判ばかりする。
 遅まきながら、森友学園の資料が財務省から次々と公表される。佐川宣寿財務省理財局長、現国税庁長官の「速やかに廃棄した」との国会答弁は明らかに虚偽だ。2月16日から確定申告が始まる中で、納税者の怒りが高まる。
 安倍首相はこんな佐川人事を「適材適所」と自賛する。関与を疑わせる音声データまで公開された安倍昭恵氏、佐川氏の国会証人喚問は欠かせない。
 改憲の動きが加速。 朝日1月23日社説は「際立つ首相の前のめり」と、安倍首相の自己都合の改憲姿勢を批判する。国民の多くは拙速な改憲を望まず、議論も深まっていない。憲法9条改悪は、国民に分断をもたらしかねない。
 沖縄県名護市の市長選で、辺野古移設阻止を訴えた現職が破れた。安倍政権と公明党が全面支援した新人が当選したが、これで辺野古移設が容認されたわけでない。アメとムチにより強引に新基地建設が推進され、米軍の事故が相次いでいる。沖縄県民の怒りは高まるばかりだ。
 米軍機事故では、松本文明内閣府副大臣が議場から「それで何人死んだ」と、ヤジを飛ばす始末。ネット上では、佐賀県の自衛隊機事故の被害者に心ない非難が寄せられている(毎日2月11日)。基地のそばで不安を抱く人たちの気持ちを考えると、心が痛む。「政府や司法 住民より基地重視」という声も(中日8日特報)。
産経は交通事故をめぐり、沖縄2紙が米兵の「救出」を報道しなかったことを非難した。8日に事実確認できなかったと謝罪したが、産経報道のあり方を厳しく問いたい。
安倍政権は沖縄の現実から目をそらす。米トランプ政権に追従する姿勢は、核戦略でも同じだ。核廃絶でなく、核軍拡を進める「核戦略の見直し」を高く評価するとは。唯一の戦争被爆国として、断じて許されない。
 この問題の読売新聞6日社説にも驚いた。「安全保障環境の悪化を踏まえ、米国が核抑止力の強化に乗り出したのはやむを得ない」と。トランプ政権の核戦略、それを評価する安倍政権を支持するものだ。
 揺れ動く政治とメディアの関係が問われている。   
posted by JCJ at 16:12 | メディアウォッチ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年03月11日

【今週の風考計】3.11─「森友文書」改ざんの陰で妄動する9条改憲

朝日新聞の「森友文書」書き換えスクープ報道から、10日間あがいてみたものの、ついに財務省は改ざんを認めた。決裁文書にあった「契約の特殊性」「特例的な内容」「価格提示を行う」などの記述が削除されていた。
国会を欺き、国民にウソをつく悪質な犯罪行為に他ならない。麻生財務相の進退は極まった。「朝日のフェイク報道」と叩いていた安倍首相の責任も重大だ。麻生派の領袖が政権から離れれば、総裁3選の戦略は危うくなる。そのため9日に辞任した佐川宣寿・国税庁長官に、全責任をおっかぶせる魂胆だというから始末に負えない。

そもそも財務省による改ざんの動機や目的は何だったのか。「不都合な事実」を隠すため、言い逃れ、詭弁、虚偽答弁、さらには文書改ざん、あげくに担当職員が重要な遺書を残しての自殺、そして佐川宣寿・国税庁長官の辞任。このウソの上塗りと痛ましい死へとつながった負の連鎖はどこから来たのか。
その発端となった「森友疑惑」は、安倍首相や昭恵夫人の意向を忖度し、特例的な扱いをしたところから生じた。改ざんは、まさに安倍首相への忖度を、政官癒着して重ねた行為の行き着いた結果だ。南スーダンPKO部隊の日報隠し、厚労省の裁量労働制データねつ造など、「安倍政権の隠蔽・改ざん体質」は底なし。

そのうえ「自衛隊」を明記する9条改憲に加え、「教育の充実」「合区解消」「緊急事態への対処」の3項目で甘いオブラートに包み、9条つぶしの狙いを隠す。かつ4項目を一括して、年末にも国民投票にかけるハラだという。
14日には自民党憲法改正推進本部が、9条改憲案を決める。その日の夕には、「日本会議」のフロント組織「美しい日本の憲法をつくる国民の会」が、東京・憲政記念館で<憲法改正賛同1000万人達成!中央大会>を開く。(2018/3/11)
posted by JCJ at 13:29 | 【今週の風考計】 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年03月09日

≪おすすめ本≫二宮厚美『終活期の安倍政権 ポスト・アベ政治へのプレリュード 』 ─アベノミクスの異常性を解明し、どん詰まり政策へ終止符を打つ道=栩木誠

 とっくに賞味期限切れとなりながら、シールを次々と付け替え、国民を幻惑し続ける「アベノミクスの3本の矢(金融緩和、財政出動、成長戦略)」。その破たんは、多くの経済学者やエコノミストが厳しく指摘している。
 「安倍政権」がすでに「終活期」に入っている実態を理論的に証したのが本書である。2016年秋の総選挙後に第2ラウンドに突入した「終活期の安倍政権」の性格と構造を鋭く抉り、国民的攻防戦の構図を巧みな比喩を駆使して解き明かしている。

 著者は、安倍政権の異常(アブノーマル)を「アベノーマル」と喝破する。安倍政権の、まさにアブノーマル=異常性に迫ると共に、アベノミクスがどのような対策を講じてきたか、また今後いかなる対応策で逃げ切ろうとしているかを解明する。
 浜矩子・同志社大学教授が名づけた「どアホノミクス」など、アベノミクスの形容詞は数多い。著者もまた、安倍政権の政策は、不況の原因とデフレという結果の因果関係を取り違える「アベコべミクス」だと指摘する。

 初めから賞味期限切れであったアベノミクスを、いくらお色直し、再化粧したとしても、出口のない絶望の迷路と悪循環から脱することはできないのははっきりしている。
 本書は、再任が必至とされる黒田東彦総裁率いる日本銀行やアベノミクスの意味不明な「業界用語」の誇大包装を紐解き、金融政策と経済問題の本質、終活期の「アベ政治」の矛盾を明解に分析している。ポスト・アベ政治への「プレリュード(前奏曲)」を奏でる1冊。
(新日本出版社2300円)
「終活期の安倍政権」.jpg
posted by JCJ at 16:26 | 政治・国際情勢 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年03月07日

《ワールドウォッチ》危険な核戦略に乗り出すトランプ政権=伊藤力司

 トランプ米政権は2月2日、アメリカの「核態勢の見直し」(NPR Nuclear Posture Review)を発表した。爆発力を抑えた小型核弾頭の開発や非核兵器に対する反撃にも核兵器の使用を排除しないなど、核兵器への依存拡大を鮮明にした。「核なき世界」を目指したオバマ前政権が8年前にまとめたNPRからの大きな方針転換である。
 今回のNPRは、ロシアや中国の核戦力増強や北朝鮮やイランの核開発など「アメリカは過去のいかなる時期より多様で高度な核の脅威に直面している」として、予測不能の脅威に対抗するために米国の保有する核兵器の近代化や新たな核戦力の開発を宣言している。
 例えば、ロシアが局地戦に用いる戦術核に対抗して、爆発力が低くて「使いやすい小型の核兵器」を開発するという。米国がこれを使用した場合、敵国はそれが小型核か破滅的な被害を及ぼす戦略核か判断に迷い、反撃すれば全面的な核戦争に拡大するだろう。
 さらに新NPRは、潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)に用いる小型核や海洋発射型の核巡航ミサイル(SLCM)を開発する方針を表明。爆発力を抑えた小型核は「一般市民を巻き添えにする恐れが減る」と、核兵器使用のハードルを下げる危険を伴う。
 この新方針は、昨年国連加盟国の圧倒的多数で採択された「核兵器の使用と威嚇」を否定した核兵器禁止条約に真っ向から挑戦するものであり、米国が加盟している核兵器不拡散条約(NPT)の核軍縮についての誠実な交渉の誓約にも明らかに違反している。
 ところが河野太郎外相は、直ちにNPRを「高く評価する」との談話を発表した。これは広島と長崎の被爆以来、日本国民が被爆者を先頭に一貫して追求してきた核兵器廃絶を目指す努力を否定するだけでなく、毎年8月に開かれてきた広島、長崎における平和祈念式典や一昨年6月のオバマ前大統領の広島訪問時における安倍晋三首相自身の発言をも矛盾する発言である。われわれ唯一の戦争被爆国の国民として、トランプ政権の新核戦略とこれに恥ずかしげもなく追随する安倍内閣と河野外相に、強く抗議し続けなければならない。
posted by JCJ at 11:24 | 政治・国際情勢 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年03月04日

【今週の風考計】3.4─反骨の「荒凡夫」俳人・金子兜太さんを悼む

★俳人・金子兜太さんの葬儀・告別式があった2日、あらためて心から哀悼の意を捧げた。「アベ政治を許さない」の紙ボードを掲げ、国会前で抗議の声が響きあう、あの熱気が甦る。いつも金子さんがそばにいた。

★40年以上も前のことだが、金子さんが日本銀行を退職される前年、「種田山頭火」について、その生涯をたどる書き下ろしをお願いしたときの緊張も忘れられない。
★「書きたいと思っていたところだ」と快諾され、退職4カ月後の1974年8月末に『種田山頭火─漂泊の俳人』(講談社現代新書)として刊行することができた。
★この中にも「存在者の生粋の有り態を曝していた山頭火は、<弱者の眼>といおうか、体の奥に潜む眼光は鋭かった」と、泥酔や無頼、放浪と行乞の一生を送った者であれ、その根底にある眼光を、正確に掬いあげている。戦争体験、日銀時代の組合活動や定年近くになれば金庫番、窓際族ならぬ「窓奥族」の日々が下敷きになっているのは間違いない。

★その後、二冊目として「小林一茶」の執筆をお願いした。これも快諾され、東京・新宿住友ビルでの朝日カルチャーセンター主催の俳句講座の先生として、秩父から出てくるたびに1章分ずつ原稿を渡してくださった。兜太名入りの原稿用紙に、あのしっかりした文字がマス目いっぱいに書かれていた。1980年9月中旬、『小林一茶─〈漂鳥〉の俳人』(講談社現代新書)刊行。
★本書で「<荒凡夫>の生命を俳句にぶつけてきた一茶のなかには、<弱きもの>への感応の世界が人一倍色濃く宿っている」と書いた金子さんも、反骨の「荒凡夫」として、98歳の生涯を閉じた。(2018/3/4)
posted by JCJ at 13:51 | 【今週の風考計】 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年03月03日

「私は断固、闘い続ける」 17年働き突然雇い止め 派遣労働者・渡辺照子さんに聞く=橋詰雅博

派遣・契約社員やパート、アルバイトなどといった非正規労働者にとって今年は大きな転換点になる。2013年4月1日施行された改正労働契約法により同じ職場で仕事して通算5年を超えると、有期雇用から無期雇用に切り替えることができるのだ。この5年ルール≠ノ該当する無期雇用の人が4月1日以降、出現する。対象者は約400万人とみられ、雇用の安定が守られる。一方、簡単にクビを切れなくなるので、5年ルールを前に雇い止めに走る企業が多い。16年8カ月同じ職場で事務の仕事をしてきた派遣労働者の渡辺照子さん(58)も昨年10月に雇い止め通告され、昨年末失職した。渡辺さんに改正労働契約法の問題点などを聞いた。      ☆ ☆

――今の心境と、どういう風に生活していますか。

ダメージは大きい

 約17年間、同じ職場で働いてきました。仕事がなくなってしまったので、心身のバランスが崩れてしまった。同居する88歳の母親の面倒を見ていて、介護疲れもあってうつ状態。茫然自失ですね。失職は人生にとってダメージが大きいと言われていますが、まさにその通りです。

 無職ですが、雇い止めの当事者として体験を話してほしいなどの講演依頼が労働組合から、雇用問題をテーマにした原稿依頼もあります。でも講演料も原稿料も食べていける額ではありません。蓄えを取り崩して生活しています。ただ、住んでいる新宿の家は両親の持ち家ですので、家賃がないのが助かります。家賃があったらとても生活できません。

――派遣元(「パーソナルテンプスタッフ」)と派遣先(「地球科学総合研究所」)に対しどういう行動をとっていますか。

22日に社前抗議

 昨年11月に労組「派遣ユニオン」に個人加盟しました。専従で労働争議の経験が豊富な関根(秀一郎)書記長のアドバイスを受け、派遣元と団体交渉を2回行い、派遣先にも団体交渉を2回申し入れた。派遣先が団体交渉を拒否したので、事前に通告した通り22日に社前で関根書記長らと抗議行動をしました。法的手段に踏み出すかどうは企業側の対応しだいです。派遣ユニオンをバックアップする女性弁護士と相談はしています。

――改正労働契約法をどう見ていますか。

 私の場合、3カ月ごとに雇用契約を更新していました。雇い止めにならないか内心、ビクビクしながら働いていた。13年4月の施行後、5年間クビがつながれば、晴れて無期雇用に転換でき、雇用の不安からやっと逃れられると思った。そうしたらこういうひどい目にあわされた。

 そもそも無期雇用とっても、直ちに正社員になれるわけではない。待遇も同じになるとは限らない。改正法は正社員と非正規労働者の待遇格差を埋めるものではない。しかも無期雇用に転換するには労組を通じて実現可能です。私のような派遣労働者が派遣ユニオンに入ったことが企業側に知れたら雇い止めは必至。だから知っていてもユニオンに入れなかった。私は無期雇用後にユニオンに入り、団体交渉で待遇改善を要求して行こうと計画していた。計画倒れになってしまった。

罰則規定を設ける

改正法ではあの手この手で無期雇用に転換させない企業への罰則規定を設けるべきです。また、契約のない期間が6カ月以上ある場合、それより前は通算期間に含まれない(クーリング期間)とする抜け穴があります。無期逃れを許さないよう法律でしばりをかけてほしい。

――企業側の仕打ちをどう思いますか。

 仕事の過程でハラスメントを受け、サービス残業を強要され、ハードワークのため過労で職場に倒れるなど不当な目にあってきた。「次の契約更新はしない」という一言で派遣先から切られ、「ハイ、そうですか」と受け入れることはとうていできない。企業側は、派遣労働者は使い捨てでいい、まるでモノ扱いしている。絶対に許せない。私は闘い続けます。

聞き手 橋詰雅博

JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2018年2月25日号
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2018年03月01日

〈沖縄リポート〉権力むき出しの市長選=浦島悦子

 あまりにも異様な選挙だった。それは、期日前投票数(21.622)が当日投票数(15.522)を6000票以上も上回った前代未聞の事態にも如実に表れている。「国策」である辺野古新基地建設を阻む稲嶺進市長を何としても潰すという国家権力の意思と、その恐ろしさをひしひしと感じさせられた選挙だった。
 安倍自公政権のやり方は巧妙を極めた。選挙前に、市民・県民の大多数が反対する新基地建設に向けた工事を加速することによって「あきらめ感」を誘い、外堀を埋めた。「どうせ造られるのだから、もう苦しむのはやめて楽になろうよ」と甘くささやいた。
 自公推薦の渡具知武豊候補は新基地建設問題に一切触れない「争点隠し」を徹底。公開討論会などの要請もすべて断り、政策論争を避ける一方、稲嶺市政の8年間の実績を打ち消すように 「失われた8年」「停滞」「閉塞感」などのネガティブキャンペーンを繰り広げた。
 自民党幹部や現職大臣が次々と応援のため名護入りしたが、彼らは表には出ず企業回りに徹し、ふんだんなカネを使って水面下でさまざまな工作を行った。菅官房長官は「うちのような小さな会社にまで?」と経営者が驚くほど徹底的に市内各企業に電話を入れた。公明党は広い名護市域の隅々にまで全国動員した運動員を送り込み、甘言、強要、誘導などあらゆる手段を駆使して、人々を期日前投票所へ運んだ。唯一、表の役割を担った小泉進次郎氏は告示以降2回も名護入りし、街頭演説会に集まった若者たちをそのまま期日前投票所へ誘導した。
 警察は、稲嶺陣営を公職選挙法の厳格な適用によって締め付ける一方、渡具知陣営の違反は野放しにした。
その結果、約3500票差で渡具知氏が当選したが、20年以上「国策」に翻弄され、苦しみ続けた名護市民は、今回の選挙でさらに分断され、傷つけられた。渡具知新市長は「勝者」ではなく、翻弄された一人にすぎない。これは選挙に名を借りた国家犯罪だ。味を占めた安倍政権は、11月の沖縄県知事選でも同じ手口を使ってくるだろう。
 今後の各種選挙や国民投票も見据えて、名護市長選とは何だったのか徹底検証が必要だ。その教訓を踏まえ、本来の選挙のあり方を取り戻さなければ、民主主義の明日はない。
posted by JCJ at 15:45 | Editorial&Column | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする