2018年06月07日

改憲反対署名活動に不当な妨害 小金井署市民3人連行事件=橋詰雅博

 安倍晋三政権による憲法改正に反対する署名活動にブレーキをかけるようなイヤな事件が東京・小金井市であった。

護送車も来た

 事件のあらましはこうだ。

 ―小金井市に在住する70代から80代の市民3人が3月31日午前10時30分ごろ、賃貸マンションで戸別訪問を行い、インターホンを介して改憲反対の署名を要請した。また、留守宅のドアポストに署名活動にも触れている共産党の水上ひろし市議の市政報告を入れた。

 マンションは3階建てだが、2階と3階はメゾネットタイプで2階の室内階段から3階に上がる。部屋は1階と2階に9戸ずつある。正面の出入口を挟む左側と右側の各壁には〈ビラ配り、押売り、その他許可のない方の立入りを禁止します。管理者〉などと書かれたプレートが貼られている。ただし、出入口には門扉はなく、2階へは外階段から直接上がれる。訪問者をチェックする管理人もない。

 3人は別の賃貸マンションで署名要請の活動した後、帰り道の途中、問題のマンション前にいた私服警察官2人に呼び止められ「このマンションの敷地に入ったでしょう。ビラ禁止の張り紙を見てください」などと3人に言い、マンション住民から100番通報があったことを告げた。 

 11時すぎ、パトカー3台に護送車1台が到着。動員された警察官は制服と私服を合わせ10数人で、3人は「住居侵入罪」容疑で連行され、各人パトカーに乗せられ小金井警察署へ。

 水上市議から連絡を受けた東京都立川市の三多摩法律事務所に所属する2人の弁護士が13時30分ごろ、小金井署で3人と面会。市民と弁護士が小金井署から出たのは14時20分ごろだ―。

調書署名せず

 事情聴取された81歳の男性Aさんはこう言う。

 「警察官に連行されたのもパトカーに乗せられたのも初めて。あのマンションは誰でも自由に出入りできる構造になっている。『住居侵入』と言われ、ビックリした。事情聴取はおよそ1時間行われ、調書にはサインも押印もしませんでした。というのは上がることできないのに『3階まで行っただろう』と強要し、ざっと目を通した調書に言ってもいないのに『昨年の10月ごろから計画を練っていた』と書かれていたからです。取調官は『もう一度警察にくるのは大変だろうからここで調書にサインしろ』と迫りましたが、共謀罪の適用も考えているのではと思い、拒否しました。同じく連行された2人に後日、法律事務所で会いましたが、2人とも『調書にサインしていない』と言っていました」

 小金井署を出る直前に3人に向かって私服警察官が吐いた「必ず(調書に)署名してもらう。もう一度署に来てもらう」という言葉が、Aさんの頭の中に鮮明に残っているという。

 「自宅の電話が鳴るたびに警察からの呼び出しかと思い、不安にかられ、ストレスがたまります」(Aさん)

 三多摩法律事務所の長尾宜行弁護士は「住居侵入罪にあたらない。署名活動は憲法21条1項に定める表現活動であり、警察の取り調べは人権侵害行為だ」と捜査を批判している。また警察の狙いについて、水上市議は「改憲反対署名活動を萎縮させようとしているのではないか」と推測する。

4回抗議行動

 不当連行された3人を支援するグループは、捜査の中止と3人への謝罪を求め小金井署前で今まで4回、抗議行動をした。16日には「守る会」も結成した。

 本紙の捜査をやめないのはなぜかなどの質問に対し、事件を扱う警視庁広報課広聴係は16日「小金井警察署において、適切に対応したものと承知している」と答えた。木で鼻をくくったような回答にとうてい納得できない。事件の行方をこの先も注視していく。

(JCJ事務局長兼機関紙編集長)

JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2018年5月25日号
posted by JCJ at 13:44 | Editorial&Column | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする