2018年08月16日

《支部リポート》 関西 6・18大阪北部地震 女児の死はやりきれない=井上喜雄

6月18日朝7時53分 どんと突き上げるような振動を伴う揺れが起こり直後にあちこちの携帯電話に緊急警報が流れ、緊急放送も地震を告げた。直下型地震のため揺れは事前に観測できず、警報は揺れの後だった。緊急警報も直下型の場合、役に立たない。

京阪神の在住者は1995年の阪神大震災の大きな揺れを経験している。今回はその時と比べれば揺れも小さく時間も短く感じた。(事実マグニチュードの数値は低かった)怖かったという感想もあまり聞かない。

ただ震源地は大阪北部(高槻・茨木市)で、このあたりにはいくつも断層帯が存在するとされており、熊本のようにこの地震の影響で近接する断層が連動したらとの小さな恐怖が1週間ほど続いた。

市民の多くが出勤前という時間帯のため大阪市内での人的被害は極めて少なく、壁に亀裂が入った、食器棚や本棚が倒れるなどの被害はあった。

死者は大阪市と震源に近い高槻市および茨木市で発生しており、ブロック塀の倒壊や家具が倒れたことによる圧死だった。高いブロック塀の危険性が、犠牲になった女子児童の死によって告発されたのがやりきれない。

結局、死者5名、負傷者は近畿2府5県で423名(うち重傷者10名)、住家の全壊3棟、半壊19棟、一部破損10,802棟だった。火災発生件数は大阪府と兵庫県で8件と少なく、阪神大震災のような直後に大出火の二の舞は避けられた。

JR在来線や私鉄各線、大阪地下鉄など鉄道は8時間以上ストップし帰宅時間帯までの復旧がならず、帰宅困難者が多く発生した。新淀川大橋を徒歩で渡り帰宅する人達の途切れない様子がTV中継され、物的損害以外の時間的被害の膨大さが浮き彫りにされた。

鉄道各社は自動改札の普及など以前と比べると大幅に人員が減っており災害が起こると復旧するにはかなりの時間を要する様子だ。

揺れの大きかった地域のスーパーやコンビニから水、パン、インスタント麺などがあっという間になくなっていたのは説明するまでもない。

井上喜雄(のぶお)

JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2018年7月25日号
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2018年08月15日

《リアル北朝鮮》 金委員長 経済停滞に激怒 幹部の責任を追及=文聖姫

  最近、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長は機嫌が悪い。

 国営・朝鮮中央通信が17日に伝えたところによると、咸鏡北道の清津カバン工場や漁郎川発電所建設現場を現地指導した際、生産が滞っている状況や建設が進んでいない状況を厳しく叱責している。

 たとえば、漁郎川発電所では、内閣の責任者がここ何年間ダム建設現場に一度も現れていないとの報告を受けて激怒。「発電所建設をする気があるのかないのか」「なぜここに至るまで内閣は何の対策も取らなかったのか」「現場に来なければ実態が分からないし、実態が分からなければ対策を立てようがないだろう」などと内閣の態度を批判した。

 清津カバン工場でも怒りが爆発。「道党委員会は形式的に働いている」「党の方針を受け止め執行する態度がなっていない」「党の政策を貫徹するために懸命に取り組んで闘うという仕事の姿勢がなっていない」などと指摘した。

 金日成、金正日時代にも指導者が現場の状況を厳しく叱責した場面はあっただろう。ただ、このように表に出てくることはあまりなかった。こうした報道は労働新聞などを通じて国内の人々に浸透するだけでなく、朝鮮中央通信などを通じて海外の人々にも広く知れ渡る。金委員長はそのことも想定して、こうした報道を流させているのではないか。党中央委員会宣伝扇動部で第一副部長を務める妹の金与正氏の指示かもしれない。

 金委員長は、内閣や道党委員会の責任を追及していくことも明言した。漁郎川発電所では、「党中央委員会は内閣と省、中央機関の無責任で無能力な活動態度を厳しい目で注視してい

る」と警告。  

清津カバン工場では、カバン工場を建設した当時に道党委員長だった人物と党中央委員会の当該部署の活動を全面検討し、厳しく問責し調査するよう指示した。

文聖姫(ジャーナリスト・博士[東大])

JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2018年7月25日号
posted by JCJ at 14:54 | Editorial&Column | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

《ワールドウォッチ》米覇権の放棄目指すトランプ=伊藤力司

 1年半前の就任以来トランプ米大統領の対外政策展開は世界を驚かせ、反発を呼んできた。同大統領は就任早々、TPP(環太平洋連携協定)や地球温暖化防止のパリ協定から米国を離脱させ、今年5月には安保理常任理事国ら6カ国が苦心の末に結んだイランとの核合意から米国を一方的に離脱させた。
 
 これらの行いの目的は何か?それは第2次大戦後アメリカが担ってきた世界的覇権を放棄することではあるまいか。東西冷戦時代に米覇権の及ぶ範囲は自由世界だけだったが、1991年のソ連崩壊以後その範囲は全世界に及んだ。以来27年、世界一の軍事大国であり世界一の経済大国であるアメリカも、世界的覇権の維持にくたびれてきたようだ。
 
 今世紀初頭の8年間を担ったブッシュ政権がアフガン戦争とイラク戦争を始めたのは、彼らなりに覇権を護るためだったろうが、結果的にはアメリカの覇権を大きく傷つけた。
 
 アメリカの覇権は「自由」と「民主主義」を表看板にしてきたが、アフガン戦争とイラク戦争、それにシリア内戦介入がもたらした膨大な殺戮と破壊は「自由」と「民主主義」の美名を大きく傷つけた。
 
 トランプ大統領としては、化けの皮がはがれてきた「アメリカの覇権」より、彼の篤い支持層である白人労働者たちの「俺たちにまともな職と賃金を」という訴えを重視する。こうしたトランプ流反覇権政策に反対しているのが民主党と共和党の旧主流派である。
 
 NYタイムズ、ワシントン・ポスト、CNNテレビなどリベラル系メディアは総じて大統領に批判的だ。CIA(中央情報局)やFBI(連邦捜査局)、司法省など旧来の権力機関もそうだ。アメリカ権力の中枢と言われる軍産複合体やウォール街の金融資本も反対だ。
 
 だからトランプ流の脱覇権政策もジグザグ・コースをたどらざるを得ない。この間、世界的覇権をひそかに狙っているのが中国だ。毛沢東主席はかつて「中国は覇権を求めない」と宣言、現在の習近平主席も同じセリフを発している。しかし世界第2の経済大国であり、年々2桁の国防予算増額を続けている中国は、遠からずアメリカを追い越す。とすれば、やがては中国が世界の覇権を握る日が来るかもしれないのだ。

posted by JCJ at 14:32 | 政治・国際情勢 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年08月12日

【今週の風考計】8.12─沖縄の民意を一蹴する安倍三選亡者たち

翁長雄志・沖縄県知事のご逝去を悼み、心からご冥福をお祈りします。11日の新基地建設反対に集まった7万人の参加者とともに、その遺志を本土でも受け継ぎたい。
それにしても、先週の1週間、安倍首相の言動や振る舞いには、首をかしげるどころか、思考回路まで疑いたくなることばかりだ。

6日、5万人が参列した広島の平和祈念式典で、「唯一の戦争被曝国」である日本の安倍首相は、世界の願いである核兵器禁止条約には一言もふれず、核保有国と非核保有国の「橋渡し役」を務めると、従来の言葉を繰り返し、被爆者の願いを一蹴した。

8日には、俳優の津川雅彦氏が今月4日、心不全のため亡くなったのを受けて、わざわざ夜に官邸で会見を開き、極めて異例な “お悔やみ”を表明した。彼の業績を天まで持ちあげ、かつ会見の様子を首相官邸のHPに動画で公開するほどだ。
総理大臣として“お悔やみ”のコメントを首相官邸HPで公表するのは、国内外の災害・テロ発生時や、海外の元首・首相などの要人、国内の総理経験者の逝去時に限られる。津川氏は該当しないが、芸能界きっての安倍応援団のひとり。かつ特攻隊礼賛や侵略戦争の美化、徴兵制の復活などを主張してきた。
こうした自分の“お友だち”の死には、特別なかたちで弔意を表する異常さ。そんな総理大臣が、かつていただろうか。

9日、「原爆の日」を迎えた長崎市の平和式典で、田上富久市長は、日本政府に核兵器禁止条約に賛同し、世界を非核化に導く道義的責任を果たすことを求める<長崎平和宣言>を読みあげた。アントニオ・グテレス国連総長も賛同している。しかし安倍首相は、ほとんど広島のスピーチを“コピペ”した、空疎な使い回し原稿を読みあげただけ。

その午後、前日8日に急逝した沖縄の翁長知事に対し「沖縄発展のために尽くされた貢献に対し、敬意を表したい」と述べ、辺野古の新基地建設については触れず、そっけない“お悔やみ”でお茶を濁す。“お友だち”でないと、こうも粗末な扱いか。
安室奈美恵さんがホームページに綴った翁長さんへの弔意は、多くの人の心を打つ。Kiroroの金城綾乃さんや宮本亜門さんもツイッターで、沖縄の人々のために最期まで尽くした翁長知事の仕事に感謝の言葉を書いている。この落差を見るにつけ、意見の異なる人であれ、その人へのリスペクトを持たない安倍首相─その総裁3選に向け雪崩を打つ政治家たちの屈服ぶりには呆れる。

11日、沖縄での市民集会など目もくれず、またも安倍首相は昭恵夫人ともども、全日、地元の山口県を回り三選の票固めに躍起。9月21日投票での圧勝を画策する。翁長知事の急逝で知事選の投票日も23日ごろといわれる。安倍三選などどうでもいい。まず翁長知事の遺志を継ぐ知事を当選させたい。(2018/8/12)
posted by JCJ at 14:48 | 【今週の風考計】 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年08月09日

≪おすすめ本≫ 本間龍・南部義典『広告が憲法を殺す日 国民投票とプロパガンダCM』─自民党と電通の密接な関係が、「改憲」への起爆材となる危険!=坂本陸郎(JCJ広告支部)

 改憲を目指す「国民投票法」の欠陥が、対談によって暴かれる。南部氏は、かつて民主党の議員秘書として国民投票法の作成に深く関わってきた。本間氏はプロパガンダ広告に詳しい。

 「国民投票法」をめぐる二人の対話が興味深い。当時、民主党は「闊達な言論空間」の創成を主張した。できあがったのが「投票日前14日以後のCM」のみを禁止するという国民投票法だった。
 それも「私は賛成(反対)します」などのCMは規制外にする抜け道を残していた。これでは公平どころか政党助成金で潤う自民党の宣伝が、他を圧してテレビ画面を埋め尽くすことにもなりかねない。

 多くのヨーロッパ諸国では、国民投票の際のCMは禁止している。本間氏も国民投票発議後のCM禁止を提案している。
 本著のメインテーマは自民党と電通との密接な関係である。自民党の広告を一手に扱う電通にとって、国民投票はまたとない儲け口であり、その広告宣伝費は膨大な企業収益となる。
 一手受注となれば、あらゆる媒体で「電通専用枠」がものを言う。とりわけ地方局に対する電通の支配力は圧倒的である。自民党がスポンサーとなれば、メデイア各社ではいっそう営業優先となり政権批判の報道は手控えられるだろう。

 今国会では国民投票法の上程が見送られたとはいえ、9条改憲は自民党結党以来の党是である。2000年に向けて、燃やす並々ならぬ執念は軽視できない。本著は数々の事例を挙げて警鐘を鳴らす。広告に依存するメデイアの経営が、ジャーナリズムに与える影響に注目したい。
(集英社新書720円)
「広告が憲法を殺す日」.png
posted by JCJ at 11:34 | 政治・国際情勢 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年08月05日

【今週の風考計】8.5─<命の美ら海>に米軍滑走路はいらない

いま辺野古シュワブの海岸には、これまでにもまして高い怒りの波が、打ち寄せている。4日には抗議船8隻・カヌー約40艇が、海上から<美ら海を殺すな>の声をあげている。

沖縄県・翁長知事が、シュワブ沿岸の軟弱地盤や活断層の存在を指摘し、また環境保全の対策が十分でないことを挙げ「辺野古埋め立て承認を撤回する」と表明した。すみやかに沖縄防衛局に「聴聞」を申し入れ、9日後の日程を示したにもかかわらず、「1カ月程度の準備期間が必要、9月3日以降に変更してほしい」と申し出たからだ。

3年前は聴聞期日に異議を唱えず、かつ承認取り消しへの反論陳述書を、通知の翌日、準備期間1日で提出している。今回の対応は異様だ。魂胆が透けて見える。延期要求は、本格的な埋め立て工事に着手する時間稼ぎに他ならない。
現に埋め立て予定区域の護岸には、被覆ブロックや袋詰めされた砕石が積み上げられ、予定通り17日には土砂投入を行う、その段取りが整っている。これまでも防衛局は協議すらせず工事着手を強行してきた。政府は動かず、防衛局任せにして突っ走る。いい加減にしろ!

11日には、那覇市の奥武山公園内の陸上競技場で、<土砂投入を許さない! ジュゴン・サンゴを守り、辺野古新基地建設断念を求める8・11県民大会>が開かれる。まさに本土から、熱い暑い、連帯のエールを贈りたい!
2日後の13日、今から14年前、米軍ヘリが沖縄国際大学敷地内に墜落し炎上した。墜落事故で焼けた校内のアカギの木は、日本全体の70%に及ぶ広大な面積の米軍施設・基地が、わずか国土面積0.6%の狭い沖縄県にある─その現実を告発している。何度でも言う。沖縄に米軍基地はいらない!(2018/8/5)
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2018年08月04日

《編集長EYE》 捜査中止 小金井署「疑惑の事件」=橋詰雅博

 安倍改憲に反対する署名活動をしていた東京・小金井の市民3人が「住居侵入罪」の口実で小金井警察署に連行された3月末の事件(本紙5月25日号で既報)が解決した。

 5月30日に小金井署は3人の市民の弁護人に対し、電話で「これ以上の捜査は行わない。捜査を終結し、検察庁への書類送検もやらない。また刑事訴訟法上の微罪処分(軽微な犯罪で公訴提起を必要としない事件を警察段階で終結させる)でもない」と言ってきた。警察は捜査を断念・中止したのだ。市民3人の連行は不当だったことを警察自らが認めたのである。

 7月5日に市内で「不当連行事件 勝利報告」集会が行われた。

 改憲反対の署名活動を委縮させる狙いだった警察は、強引な捜査を行った。集会で弁護人の長尾宜行弁護士は、この事件の特異性をこう説明した。

 「トラブルは何も発生していないのに3人は強制連行された。権限の濫用を戒めた警察法2条2項に違反している。任意同行しか求められない状況下での強制連行は、刑事手続き上、重大な違法行為だ。事情聴取された3人とも、所属団体や署名活動の目的、いつ、どこで誰と相談したかなどを取調官から聞かれている。思想表現の自由、政治活動の自由を侵害するような取調です。

 警察権力の横暴さをむき出しにした戦慄すべき事件でした。その捜査を中止させた。民主主義が警察権力の牙をへし折った画期的な勝利です」

 小金井署を出る際、私服警察官から「もう一回、署に来てもらい調書に署名してもらう」と告げられた81歳の男性は 「精神的につらく、長い2カ月間でした。勝利によって民主主義が守られたと実感しています」と胸をなでおろした。

 3人が署名活動を行った出入り自由な問題のマンション(全18室)は警察が民間から建物を借りている「警察専用官舎」だった。共産党都議団の情報開示請求で分かった。警察によるつくられた「疑惑の事件」だった可能性が残る。

橋詰雅博

JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2018年7月25日号
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2018年08月03日

≪リレー時評≫ NHKが12月から4K、8K放送の開始、さらに巨大化の怖れ=隅井孝雄

 今年12月1日から、新しい衛星テレビ放送、スーパーハイビジョン(4K・8K)が始まる。6月1日「新放送開始まであと半年」というセレモニーイベントが開かれた。
 4Kは現在のハイビジョン放送の4倍、8Kは16倍の鮮明度になる。先頭で推進しているのはNHKだ。2年前から全国の放送会館に巨大スクリーンを設置、上映してきた。上田良一会長は「超一流のコンテンツを用意している、2020年の東京オリンピックには世界に先駆けたい」と言っている。

販売中の4K、8K受像機では放送は受信できない?
 大型電機店には、4K、8Kをうたう受像機がずらりと並ぶが、専用チューナーをつなげないと放送は受信できないことが問題となっていた。
ようやく6月に東芝が4K内蔵テレビを発売したが価格は55インチで20万円前後する。各メーカーのチューナーや内蔵型の発売は秋ごろになるという。BSアンテナ受信者は対応アンテナに切り替える必要もある。新テレビを見ようとすればかなりの支出になる。
 一般市民の認知度は低い。12月放送開始を知っている12.2%、専用チューナーが必要だと知っている34.4%、購入したい17.1%に止まる(5/31放送高度化推進協調査)。

受信料の流用は許されるか?
 NHKはスーパーハイビジョンの開発、番組制作に2014年以降4年間で309億円つぎ込んできた。2018(平成30年度)の関連予算は320億円、東京オリンピックの2020年までにさらに317億円をつぎ込む(日経6/1)。開局日には南極から4K、イタリアから8Kで生中継をするほか、ウイーンフィル新春コンサート8Kなど、大型の紀行、文化、音楽番組を計画している。
 NHKは放送法で「あまねく受信できるように努める」義務がある。4K,8Kに多額の受信料をつぎ込んでいいのかどうか問題だ。
民放キー局はあまり熱が入っていない。「画面がきれいだからと言って、スポンサーがお金を出してくれるわけではないし」とはある民放幹部のつぶやきだ。
 なお、WOWOW(有料)、スカパー、映画チャンネル(有料)、QVC(ショッピング)、なども新放送4Kの割り当てを受けて、2020年から4K放送を始めると予定している。

NHKの巨大化に歯止めがかからない
 NHKだけが4Kにプラスして8Kも放送する。インターネット放送も解禁されれば、合計すると7チャンネルにまで巨大化する。
 安倍内閣はインターネットと地上波テレビ、衛星テレビの「融合」という名目でテレビ放送の規制撤廃を計画中。4K, 8Kもその一環だ。
 新しい技術を取り入れ、チャンネルが増えるのはいいが、番組の質の向上がすすむのかどうか、公平な放送ジャーナリズムが保たれるのか。十分な討論なしに新放送がスタートすることに危惧を覚える。

posted by JCJ at 10:08 | 政治・国際情勢 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年08月01日

<月間マスコミ評・新聞>オウム報道「闇」の強調には疑問=六光路弦

 一連のオウム真理教事件で死刑が確定していた教団幹部13人のうち、松本智津夫(教祖名・麻原彰晃)ら7人の刑が7月6日、執行された。教祖の公判は1審で終結し、無差別テロを起こした理由や動機を自ら法廷で語ることはなかった。だからだろう、新聞各紙の報道には多かれ少なかれ「闇」や「謎」を強調するトーンが目についた。7日付朝刊で東京新聞は1面トップに「オウム真相 闇残し」と取り、朝日新聞は社説で「根源の疑問解けぬまま」と掲げる、といった具合だ。
 
 本当にそうだろうか。教祖は口を閉ざしたかもしれないが、教団幹部の中には洗脳が解け、悔悟の念とともに知りうる限りのことを話した者も少なくない。「闇」や「謎」と呼ぶほどのものは残っていないとも思える。
 
 地下鉄サリン事件からでも23年もの時間が経ち、直接事件を知らない世代が増えている。「闇」ばかりが強調されると、いずれは「事件は国家権力による謀略だった」などという陰謀論が広まらないとも限らない。メディアは今後、何が分かっていないかを強調するよりも、分かっていることを語り継ぎ、再発防止につなげるべきだ。
 
 「闇の中」なのは大量処刑の方だ。13人のうちなぜこの7人なのか、なぜこの時期なのか。記者会見した法相は回答を拒否。国民に知らせる必要はないと言わんばかりだ。死刑は究極の国家の強権発動であることを見せつけた。執行の内幕を暴くは報道の課題だ。
 
 各紙とも事件を振りかえる特集記事も掲載したが、捜査のありようを再検証する視点が乏しいように感じた。地下鉄サリン事件の発生で、後手に回った警察当局の捜査は「オウム狩り」とも呼ぶべき苛烈さだった。教団信者なら、マンション駐車場に車を止めれば「住居侵入」、カッターナイフ所持なら「銃刀法違反」で現行犯逮捕。平時なら批判を免れない手法に、新聞も社会も表立って異議を唱えなかった。
 
 今日、「オウム真理教」の代わりに「工作員」でも何でもいい。「社会が攻撃を受ける」と喧伝されれば、同じように人権侵害が起きないだろうか。教祖らの死刑執行は、当時の自らの報道も含めて総括を試みるいい機会だったが、そうした記事が見受けられなかったのは残念だ。次の機会に期待したい。   
posted by JCJ at 21:19 | メディアウォッチ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする