2018年08月15日

《リアル北朝鮮》 金委員長 経済停滞に激怒 幹部の責任を追及=文聖姫

  最近、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長は機嫌が悪い。

 国営・朝鮮中央通信が17日に伝えたところによると、咸鏡北道の清津カバン工場や漁郎川発電所建設現場を現地指導した際、生産が滞っている状況や建設が進んでいない状況を厳しく叱責している。

 たとえば、漁郎川発電所では、内閣の責任者がここ何年間ダム建設現場に一度も現れていないとの報告を受けて激怒。「発電所建設をする気があるのかないのか」「なぜここに至るまで内閣は何の対策も取らなかったのか」「現場に来なければ実態が分からないし、実態が分からなければ対策を立てようがないだろう」などと内閣の態度を批判した。

 清津カバン工場でも怒りが爆発。「道党委員会は形式的に働いている」「党の方針を受け止め執行する態度がなっていない」「党の政策を貫徹するために懸命に取り組んで闘うという仕事の姿勢がなっていない」などと指摘した。

 金日成、金正日時代にも指導者が現場の状況を厳しく叱責した場面はあっただろう。ただ、このように表に出てくることはあまりなかった。こうした報道は労働新聞などを通じて国内の人々に浸透するだけでなく、朝鮮中央通信などを通じて海外の人々にも広く知れ渡る。金委員長はそのことも想定して、こうした報道を流させているのではないか。党中央委員会宣伝扇動部で第一副部長を務める妹の金与正氏の指示かもしれない。

 金委員長は、内閣や道党委員会の責任を追及していくことも明言した。漁郎川発電所では、「党中央委員会は内閣と省、中央機関の無責任で無能力な活動態度を厳しい目で注視してい

る」と警告。  

清津カバン工場では、カバン工場を建設した当時に道党委員長だった人物と党中央委員会の当該部署の活動を全面検討し、厳しく問責し調査するよう指示した。

文聖姫(ジャーナリスト・博士[東大])

JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2018年7月25日号
posted by JCJ at 14:54 | Editorial&Column | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

《ワールドウォッチ》米覇権の放棄目指すトランプ=伊藤力司

 1年半前の就任以来トランプ米大統領の対外政策展開は世界を驚かせ、反発を呼んできた。同大統領は就任早々、TPP(環太平洋連携協定)や地球温暖化防止のパリ協定から米国を離脱させ、今年5月には安保理常任理事国ら6カ国が苦心の末に結んだイランとの核合意から米国を一方的に離脱させた。
 
 これらの行いの目的は何か?それは第2次大戦後アメリカが担ってきた世界的覇権を放棄することではあるまいか。東西冷戦時代に米覇権の及ぶ範囲は自由世界だけだったが、1991年のソ連崩壊以後その範囲は全世界に及んだ。以来27年、世界一の軍事大国であり世界一の経済大国であるアメリカも、世界的覇権の維持にくたびれてきたようだ。
 
 今世紀初頭の8年間を担ったブッシュ政権がアフガン戦争とイラク戦争を始めたのは、彼らなりに覇権を護るためだったろうが、結果的にはアメリカの覇権を大きく傷つけた。
 
 アメリカの覇権は「自由」と「民主主義」を表看板にしてきたが、アフガン戦争とイラク戦争、それにシリア内戦介入がもたらした膨大な殺戮と破壊は「自由」と「民主主義」の美名を大きく傷つけた。
 
 トランプ大統領としては、化けの皮がはがれてきた「アメリカの覇権」より、彼の篤い支持層である白人労働者たちの「俺たちにまともな職と賃金を」という訴えを重視する。こうしたトランプ流反覇権政策に反対しているのが民主党と共和党の旧主流派である。
 
 NYタイムズ、ワシントン・ポスト、CNNテレビなどリベラル系メディアは総じて大統領に批判的だ。CIA(中央情報局)やFBI(連邦捜査局)、司法省など旧来の権力機関もそうだ。アメリカ権力の中枢と言われる軍産複合体やウォール街の金融資本も反対だ。
 
 だからトランプ流の脱覇権政策もジグザグ・コースをたどらざるを得ない。この間、世界的覇権をひそかに狙っているのが中国だ。毛沢東主席はかつて「中国は覇権を求めない」と宣言、現在の習近平主席も同じセリフを発している。しかし世界第2の経済大国であり、年々2桁の国防予算増額を続けている中国は、遠からずアメリカを追い越す。とすれば、やがては中国が世界の覇権を握る日が来るかもしれないのだ。

posted by JCJ at 14:32 | 政治・国際情勢 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする