2019年06月04日

【リレー時評】「世界一の民主主義国」と孫総領事=白垣詔男

 私が所属している「日本コリア協会・福岡」は20年近く前から月刊紙「日本とコリア」を発行している。同協会はかつて「日朝協会福岡支部」と名乗っていたが、会の趣旨が「朝鮮半島関係者との友好親善」を掲げているので「日朝協会」では北朝鮮だけとの友好親善組織と誤解される恐れがあるために、福岡や他の数支部は「日本コリア協会」と改名した。東京にある「本部」は創設以来「日朝協会」と名乗っている。

 私は、約15年前から月刊紙「日本とコリア」の取材担当として活動している。同紙は原則として毎号、1、2面は「朝鮮半島と関係がある方」のインタビュー記事を載せている。インタビューは理事長(堀田広治さん)と私が、韓国人、在日韓国・朝鮮人、日本人を含むさまざまな「関係者」にお願いしている。
 今年3月号では駐福岡韓国総領事の孫鍾植(ソンジョンシク)さんにインタビューをさせていただいた。孫総領事は、韓国が朴槿恵(パククネ)大統領から文在寅(ムンジェイン)大統領に代わった直後に福岡に赴任されてこられた。政権が変わると、福岡の総領事も交代するのだ。

 孫総領事は、大阪の総領事館領事、東京の大使館公使などを歴任された。大変気さくな方で、インタビューから約1カ月後、「日本コリア協会・福岡」の堀田理事長と私を懇親会に招いてくださり、大いに歓談した。
 その中で私が一番驚いたのは、孫総領事が「韓国は世界で一番民主主義が発達している国です」と言われたことだ。もちろん私は、「沖縄には沖縄の民主主義があり、しかし国には国の民主主義がある」などと発言する閣僚がいる今の安倍政権は日本の民主主義をおろそかにしていると考えている。韓国の民主主義のほうが数段進んでいるとは思っていたが、総領事の口から「世界一の民主主義国家」という発言が飛び出し、一瞬沈黙した後、私は納得したが返事に困った。

 私は、韓国の民主主義の原点は100年前の「三・一民族運動」だと思っていた。その運動で朝鮮半島の方々が取った言動を支えた精神が、その後の韓国の民主主義を推進したと、今年の「三・一民族独立運動」の際、講演会などで学びながら思ったことだった。韓国のさまざまな民主運動にその精神が引き継がれ、記憶に新しいのは朴槿恵大統領退陣要求運動のキャンドル集会・デモにまで引き継がれている。
 「三・一運動」の原点は東京神田のYMCA会館で創案された、朝鮮半島から日本の大学へ来ていた留学生らによる「2・8独立宣言」であることを、恥ずかしながら私は今回初めて知った。
 その後の歴史を通じて韓国国民が民主主義を進展させたことは疑いようがない。
 「世界一の民主主義国家」と言われた孫総領事の顔を、私はまぶしく見つめ続けたことだった。
posted by JCJ at 09:26 | 政治・国際情勢 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする