2019年07月09日

【リレー時評】年金問題、巨額な武器購入とも関連=吉原 功

 野党に脚光が浴びるのを避けているのではと疑念の声が高まっていた予算委員会が6月10日、参議院でやっと開かれた。4月4日以来実に2ヶ月ぶりである。議論の焦点は年金問題。
 2004年の年金改革時、与党は「百年安心年金制度」と喧伝した。ところが金融庁が6月3日公表した報告書はそれを真っ向から否定するような内容だった。野党が追求するのは当然だろう。
 同報告書は、2017年の家計調査に基づき「高齢夫婦無職世帯」(夫65歳、妻60歳の無職世帯)の月平均収支を算出。収入の9割は年金で20万9千円、支出26万4千円、毎月5万5千円の赤字は貯蓄など金融資産で補填という結果であった。20年後までに1300万円、30年では2000万円必要となるので資産を運用して自分で用意しなさい、というのが金融庁の結論だった。「人生100年時代」・少子高齢社会を迎えるにあたって「公助」は限界があるので「自助」で対処しなさいという内容だ。

 蓮舫立憲民主副代表は「100年安心とは嘘だったのか」と問い、大塚国民代表代行は「安心とは年金制度維持との意」と断じ、小池共産書紀局長は「大企業・富裕層優遇税制を改め低年金層の底上を」と要求した。
対して安倍首相は「嘘ではない」と反論。04年に約束したのは「所得代替率」50%であり、今は6割と強弁。「所得代替率」とは、現役世代の 平均手取り収入に対する年金支給率の割合のこと。「マクロ経済スライド」も適用し支給額を、賃金の伸び率0.6%を下回る0.1%増に抑制しつつ、プラスにできたと自慢した。04年に物価スライド制をやめ「マクロ経済スライド」を導入したことで「現在の受給者、将来世代にプラスになり、公的年金の信頼性はより強固になった」と誇ったのだ。
 翌11日、麻生副総理兼財務・金融担当大臣は金融庁報告書を「世間に著しい不安を与え、政府のスタンスとも異なる。正式な報告書として受け取らない」と表明した。前代未聞のことだ。麻生氏は報告書を「表現が不適切」と言ってきた。いったいどこがどのように不適切だったか。「マクロ経済スライド」は年金を抑制するシステムであり、受理を拒否しても報告書の指摘は概ね正しく制度を変えない限り「世間の不安」は消えないであろう。

 メディアはこの問題を比較的大きく取り上げているが、参議院選挙を巡る攻防という視点で捉えているように思える。年金問題、高齢社会問題を正面から深く把握し国民に提起すべきである。その際国家財政全体の問題として、小池氏が指摘する大企業・富裕層優遇税制とともに、輸出大企業を潤す消費税や最新鋭戦闘機F35、イージス・アショアーなど米国言いなりの巨額な武器購入なども考慮にいれるべきであろう。
posted by JCJ at 09:17 | <リレー時評> | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする