2019年08月04日

【今週の風考計】8.4─制裁が席巻する世界、おかしくないか?

■地球規模の気候変動によって、世界各地で「史上最も暑い月」が続く。そのせいだろうか、制裁・除外・失効・離脱─なんとも知恵のない非生産的な言動や措置が、いま世界各国で乱舞し<いがみ合いのルツボ>と化している。

■まずは日本政府が下した2日の閣議決定である。韓国を輸出管理の優遇対象「ホワイト国」から除外する措置は、日韓両国の関係を根本的な危機に陥れかねない。元徴用工への賠償問題に端を発した日韓外交の頓挫が、韓国民衆の反日感情を煽り、さらに観光・文化・スポーツ交流の中止に加え、東京五輪ボイコットの動きすら出ている。
■8月下旬には更新期限を迎える、日韓の軍事情報包括保護協定(GSOMIA)が破棄される可能性も含め、東アジアの安全保障まで不安定となりかねない。北朝鮮のミサイル発射、ロシア・中国の両国軍機による竹島領空侵犯も、日韓対立のスキをついた揺さぶりとみられている。

■続くは米国・トランプ大統領の中国への経済制裁だ。新たに中国の輸出産品3千億ドル(約32兆2千億円)に、9月1日から10%の追加関税を課すと表明。トランプ大統領による対中制裁は1年半に及ぶ。米国の小売業界も衣料品や玩具、家庭用品、パソコンなど日用品の価格が上昇し、家計が圧迫されると反発。加えて原油相場は8%近く下落し、世界経済への影響は計り知れない。

■31年前、米ソ冷戦後の核軍縮の柱となった「中距離核戦力(INF)廃棄条約」すら、2日失効してしまった。「核なき世界」を目指す国際的な軍縮の機運が後退するのは必定だ。現に米国の国防長官が、「中距離ミサイルの開発を加速させる」と表明した。
■被爆から74年、今週8・6広島と8・9長崎を迎える。いま日本政府にとって最も緊急な課題は、核兵器禁止条約に参加し、核兵器廃絶に向けて世界の先頭に立つ、これに尽きる。(2019/8/4)
posted by JCJ at 10:00 | 【今週の風考計】 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする