2019年11月03日

【今週の風考計】11.3─W杯ラグビーの後味と東京五輪の酷暑

先月末の秋晴れの日、東京・調布にある神代植物園のバラを見たあと、深大寺へと散策した。境内に入り「達磨まつり」で有名な元三大師堂や国宝の本堂を拝観し、山門へと辿る途中で、ラグビーのユニホームが飾られた堂宇に目がいった。
にわかラグビー・フアンとなっていた筆者には、興味津々、なんとオーストラリア代表チーム「ワラビーズ」の全員がサインしたユニホームだ。達磨の<七転び八起き>がラグビー精神につながるとの縁で、祈願した際に贈呈されたという。

くしくも翌日、調布にある東京スタジアムで、ニュージーランド対ウェールズの3位決定戦、もうテレビにかじりついた。そして昨日2日、イングランド対南アフリカの決勝戦、テレビの前で「行けー、押せ…」と声が出てしまう。結果はご承知の通り、南アフリカが32−12で下し、3大会ぶり3度目の優勝を果たした。
44日間・170万人の観客を動員し、テレビ視聴率は最高53.7%を記録したW杯ラグビー。秋篠宮さまや安倍首相、日本ラグビー協会の名誉会長でもある森喜朗元首相も出席し、大会を締めくくる閉会・表彰式で、後味の悪いシーンが演じられた。
イングランドの選手が2位の銀メダルを首にかけられることを嫌がり、さらには授与された直後に銀メダルを首から外す選手まで続出。<ラグビー発祥の地>の選手たちが、ノーサイド精神を踏みにじる行為に走るとは、内外からブーイングが起きている。

さて東京五輪。組織委員会会長である森喜朗さん、前日の1日、マラソン・競歩の札幌への変更を決定した。絶大なる権限を持つIOCには逆らえず、東京も「合意なき決定」に従った。しかし、森喜朗さん、「日本が世界にウソをつき続けた結果、今回の事態を招いた」という責任は免れない。
JOCがオリンピック招致の際に作った「立候補ファイル」の、「2020年東京大会の理想的な日程」という項目に、こう書かれている。
〈この時期の天候は晴れる日が多く、且つ温暖であるため、アスリートが最高の状態でパフォーマンスを発揮できる理想的な気候である〉

なんとなんと、日本みずからが蒔いた種なのだ。2013年IOC総会の最終プレゼンでも、福島原発事故問題に触れて、安倍首相は「アンダー・コントロール」との恐るべき言葉を発したが、天気までウソをついていたとは呆れかえる。もう「任命責任」なんて言葉も、取りもしないのに軽々しく言うな。(2019/11/3)
posted by JCJ at 11:57 | 【今週の風考計】 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

【沖縄リポート】 軟弱地盤改良で米国が危惧=浦島悦子

沖縄島北部・本部半島の採石場から連日、運搬船16隻体制(1日当たり4〜5隻)で大浦湾に運ばれ、投入される埋め立て土砂。毎日朝・昼・午後の3回、基地ゲートから資機材を搬入するダンプやコンクリートミキサー車―。辺野古新基地建設工事は「順調に」進んでいるように見える。そして政府は、国民・県民、そして何よりも米国にそれをアピールしたがっている。

 しかし実際はそうでないことが、現場にいるとよくわかる。運搬船に土砂を運ぶダンプの1台当たりの積載量を荷台の底板が見えるほど減らしたり、埋め立て用護岸の前面に、必要性に疑問符のつく巨大なテトラポットを多数設置したり、時間稼ぎとしか思われない現状がある。昨年12月14日から始まった埋め立て土砂投入は、10カ月経った現時点で達成率は約1%にすぎない。

 事業者である沖縄防衛局が一番頭を悩ませているのが、大浦湾の埋め立て区域の広大な「マヨネーズ状」と言われる超軟弱地盤だ。防衛局はあくまで改良工事は可能とし、9月6日に「有識者」による「技術検討委員会(委員8人)」を発足させた。運輸省港湾技術研究所出身で辺野古工事の関連会社取締役でもある清宮理・早稲田大学名誉教授を委員長とし、「国の立場」の委員が大半を占める「御用機関」。それでも初会合では、大浦湾の軟弱地盤は羽田空港や関西国際空港とは異なる特有のものであり、完成後の沈下を懸念する声が出たという。

 10月5日、辺野古ゲート前で開催された県民集会で発言した土木技師の北上田毅さんは、防衛局が地盤改良工事の設計のために発注した委託業務を情報公開請求で入手し、「これまでにない内容に驚いた」と話した。業務の実施に当たって当初から完成まで4回にわたる米軍との協議を義務付けているという。「これは、地盤改良工事を日本政府に任せておくことはできず、米軍が直接指揮監督するということだ。軟弱地盤に対する米軍の危惧がいかに大きいかがわかる」「来年初めに防衛局は沖縄県に対し(地盤改良工事を含む)設計概要変更申請を出すと報道されている。県が不承認すれば工事は止まる。展望に確信を持って現場に結集しよう」と呼びかけた。

浦島悦子

JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2019年10月25日号
posted by JCJ at 11:16 | Editorial&Column | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする