2019年12月06日

【メディアウオッチ】NHK違憲の大嘗祭費支出を容認 岩田記者フェイク交えて解説=河野慎二

奉祝報道を競う
 天皇の即位に伴うパレード「祝賀御列の儀」が10日、行われた。NHKと民放キー5社は特番を編成し、このパレードを完全生中継した。
新聞のテレビ欄を見ると「カメラ46台展開歴史に残る30分お届け」(NHK)、「新時代の幕開け祝う歴史的瞬間≠ノ歓喜」(日本テレビ)、「新時代祝う令和の調べノーカット生中継」(テレビ朝日)などと、各局が奉祝報道≠競い合う。
 NHKが銀座のブライダル会社にまでカメラを出し生中継した。皇后の衣裳が関心を呼び「ローブデコルテに問い合わせが殺到」とリポートするが、「そこまでやるの?」と呆れる。

国民主権どこへ
 憲法第4条が定める国事行為としての「即位の礼」は、このパレードで五つの儀式がすべて終わったが、メディアの報道に共通するのは、憲法の国民主権や政教分離原則に根差した報道が欠落していることだ。
 象徴的なケースは10月22日に行われた「即位礼正殿の儀」の報道である。高御座(たかみくら)に立つ天皇を仰ぎ見る形で安倍首相が万歳三唱の音頭を取り、参列者が唱和した。憲法の国民主権はどこへ行ったのか。テレビは映像を垂れ流すだけで、憲法上の疑義には触れない。

 今回の「祝賀御列の儀」特番で、NHKの番組構成に重大な疑問が残った。それは、大嘗祭に関わるコーナーである。
 大嘗祭は、即位した天皇が今年取れた新米を天照大神や神々に供え、自らも食べて国民の安寧を祈る宗教行事で、14日から15日に行われた。
 NHK社会部の岡本記者は、秋篠宮が昨年の会見で経費について「大嘗祭は宗教色が強いことを踏まえて、天皇の生活費にあたる内廷費から支出されるべきだ」との考えを示したと説明、「皇室の公的予算である宮廷費からの支出を決めている政府方針と異なる異例の意見表明になった」と指摘した。
 大嘗宮建設費などが27億円に上ることについて秋篠宮は「身の丈に合った形で行うのが本来の姿ではないかと述べた」と解説した。
 岡本記者の解説は至極真っ当なものだが、ここで安倍政権に極めて近い岩田明子記者が登場する。

公的資金支出当然視
 岩田記者は「大嘗祭は極めて重要な伝統的皇位継承儀式として、政府が手立てをするのは当然としている。このため、宮内庁が管理する宮廷費から支出することにした」と、まるで安倍晋三首相の代弁のような解説。
 大嘗祭への公費支出は政教分離を定めた憲法に反する。岩田記者は「各地で裁判が起こされているが、いずれも国が勝訴し、司法の場でも肯定されている」と解説し秋篠宮の提言を一蹴した。
 岩田記者の解説は事実に反している。大阪高裁は95年3月、賠償請求は退けたものの「政教分離規定に違反するのではないかとの疑義は一概に否定できない」との判決を出している。
 フェイク混じりの岩田解説を容認し、官邸忖度のパレード特番を編成した「公共放送」NHKの責任は重い。

河野慎二

JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2019年11月25日号
posted by JCJ at 13:24 | メディアウォッチ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする