2020年01月03日

【JCJ12月集会】「日韓関係とメディア」岡本・金平氏対談 歴史認識が問題の根底に 安倍政権の主張を垂れ流し報道 日本は「謝罪」韓国は「許す」勇気を=保坂義久

 今年大きく悪化した日韓関係。その本質は何か。JCJは12月8日、専修大学神田キャンパスで12月集会「日韓問題とメディア」を開いた。

 雑誌「世界」の編集長として長年、韓国の反体制運動と関わってきた岩波書店・岡本厚社長と、TBS「報道特集」のキャスター・金平茂紀氏が講演とクロストークした。

 7月に有志で声明「韓国は敵なのか」を発表した岡本氏は、1998年に当時の小渕恵三首相と金大中大統領が発表した日韓パートナーシップ宣言に言及。植民地支配により多大の損害と苦痛への反省とお詫びを表明した小渕首相と安倍現首相とでは、歴史認識で雲泥の差があると評した。

 また安倍政権が「韓国は国際法違反」と意図的に言い続けていること、それをメディアが口移しに繰り返していると批判。これが10年前なら「徴用工問題とは何か」などの特集記事が出ただろうと、近年のメディアの劣化を指摘した。 

<strong>恐怖と警戒抱く</strong>

安倍政権は韓国の反日感情を喚起してしまったが日本の報道はそれを批判せず、文在寅政権の反日政策の批判に終始してきた。岡本氏は、在日を含む朝鮮人について恐怖と警戒をもって見てきた日本人の視線がその根底にあるという。

 1965年の日韓基本条約の問題点も言及された。基本条約には植民地支配への謝罪や補償はなく、経済援助について当時の椎名悦三郎外相は「独立のお祝い金」と発言。第二条の「大日本帝国と大韓帝国との間で締結されたすべての条約及び協定はもはや無効」という文言も、韓国側では1910年当時から無効だったという解釈で、終戦までは有効とする日本の解釈とは異なっている。

<strong>拉致問題の影響</strong>

 金平氏は日韓関係悪化の根底にあるのは日本の歴史認識だという。今年8月に島根県で行われた日韓の大学生の合宿を取材した金平氏は、韓国の学生と比べ日本の学生は現代史について圧倒的に知識がないという。

 韓国が国際条約を守らないとする日本のメディア報道について、外務省で国際人権規約bの批准を担当した浅井基文氏の主張を紹介し批判した。 

日本も批准している人権規約bでは過去に被害を与えた人たちの損なわれた人権を回復する措置をとると定められている。

 金平氏はまた、今の日韓報道を制約しているフレームは拉致問題だと指摘した。1978年頃、日本海連続アベック失踪事件を産経新聞が報道した。当時、金平氏が公安二課に取材したところ「これは事件にならないよ」と言われた。公安は前から知っていたはずだが、事件化しなかった。

拉致という国家犯罪が、政治の思惑で道具に使われた。

<strong>金大中の言葉</strong>

 後半は会場から回収した質問用紙をもとに両氏がクロストークした。

 「日本人はドラスティックな改革を好まないのでは?」という問いに岡本氏は「日本では政権交代しても生活にたいした変化が起きないので、政に対する関心が薄いのでは」と答え、金平氏も「永田町で行われていることだけが政治ではなく、生きていくことは政治的」と強調した。

 また「韓国側がいう心からの謝罪とはなにか」について、岡本氏は「一国内のことだが」と断りながら、中南米などの独裁政権下で拉致・虐殺された被害者の家族は、独裁政権が倒れた後に、国民和解≠ニいうプロセスで「加害者が真実を語れば許す」との枠組みが示されたとしても、加害者のことを簡単には許せないものだと指摘した。

 それでも岡本氏は「日本は真実を認めて謝罪する勇気を、韓国は受け入れて許す勇気を」という金大中元大統領の言葉を引用した。

参加者は150人。

<strong>保坂義久</strong>

 <strong>JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2019年12月25日号</strong>

 


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2020年01月02日

【リアル北朝鮮】米朝 再び緊張関係に突入か=文聖姫

 このコラムをみなさんが読んでいる頃には、北朝鮮で「重大な決定」が下されているかもしれない。今月4日、朝鮮中央通信は、朝鮮労働党中央委員会政治局常務委員会が党中央委員会第7期第5回総会を12月下旬に招集することを決定したと報じた。「朝鮮革命の発展と変化した対内外情勢の要求に即して重大な問題を討議、決定するため」という。「重大な決定」とは何かだが、ここで下手な推測はしないでおこう。ちなみに、北朝鮮は1993年に核不拡散条約(NPT)からの脱退を決める際にも党中央委員会を開催した。

 北朝鮮の国防科学院は12月7日と13日、西海衛星発射場で重大な実験を立て続けに行った。朴正天・朝鮮人民軍総参謀長は14日に談話を発表し、「実験の資料、経験、新たな技術はアメリカの核の脅威を牽制し、制圧するためのまた異なる戦略兵器開発にそのまま適用される」と述べた。「アメリカの核の脅威を牽制し、制圧するための」実験である点が気になる。  
 北朝鮮は10月2日には潜水艦弾道弾の実験を実施し、11月29日発朝鮮中央通信は金正恩・朝鮮労働党委員長の立ち合いのもと、国防科学院が超大型放射砲実験射撃を参観したと報じた。放射砲の戦闘適用性を最終検討するためのものだという。

 北朝鮮はアメリカとの非核化交渉の期限を今年末までとしている。その背景のひとつに、海外に派遣された北朝鮮の労働者の帰国問題があると筆者は考える。2017年12月22日、国連安全保障理事会が採択した決議には、海外に派遣された北朝鮮の労働者を24カ月以内に本国に送還させる内容が含まれている。北朝鮮にとって海外への労働者派遣は貴重な外貨獲得手段のひとつだ。諸外国がどれだけ制裁を履行するかにもよるが、北朝鮮にとっては痛手になることは間違いない。
 「重大な決定」の内容によっては、朝鮮半島情勢は再び緊張局面を迎えることになる。

文聖姫(ジャーナリスト・博士)

JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2019年12月25日号
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2020年01月01日

【メディアウオッチ】市民と野党共闘で放送の独立を実現 新法性で報道の自由徹底 欧米では第三者委員会が権限=JCJ代表委員・隅井孝雄

市民と国会議員、放送関係者が「独立行政委員会で行う新たな放送法制の構築」を目指すキックオフ集会≠ェ3日、参議院議員会館で開かれた。集会では、市民連合呼びかけ人の山口二郎法政大学教授が「自由な報道は民主主義のインフラ」と強調。参加者全員が「独立行政委員会」実現へ全力で取り組むことを確認した。集会で発言した隅井孝雄JCJ代表委員に、新たな運動の意義などについて寄稿してもらった。

<strong>50年ぶりに感動</strong>

 7月の参議院議員選挙に先立ち、市民連合が4立憲野党1会派と取り決めた統一要求の第13項目として、「国民の知る権利を確保する観点から、報道の自由を徹底するため、放送事業者の監督を総務省から切り離し、独立行政委員会で行う新たな放送法制を構築する」

と明記されているのを目にし、私は新たな感動すら覚えました。

 私自身が「放送改革試案」を発表、放送行政を政府から切り離すべきだと提案したのはほぼ50年前のことです。

<strong>田キャスター退任</strong>

当時、私は民放労連の放送対策担当の副委員長などを務めておりました。1960年代後半から70年代にかけて、放送メディアに対して政府から直接的な介入、干渉がさまざまありました。

 一つだけ、TBSの例を申し上げますと、日本最初のニュースキャスターだった田英夫さんが北爆下のハノイを取材「ハノイ、田英夫の証言」(67年10月)を制作しました。

 これに対し、福田赳夫、田中角栄ら政府自民党首脳は今道潤三社長らを呼びつけ「反米番組だ」などと直接叱責。その後、TBSへの圧力が一段と強まる中、田キャスターは68年3月、番組から消えました。

<strong>放送改革試案」</strong>

 民放労連では、日本でどうしたら放送を真に報道機関たらしめるか、真剣に議論を重ね、70年「放送改革試案」を作りました。

 その第1項目が「民主的な行政を確立するために、中央と地方に放送委員会を設け、電波・放送行政を郵政省(現総務省)から切り離す。委員は公選制とする」です。

 切り離すだけでは不十分と考えた私たちは、視聴者、国民の発言権を保障する制度を検討しました。現在のBPO(放送倫理、番組向上機構」がそれにあたります。

 さらに労働者、制作者の権利保障として、個々の放送企業内でも職場、職能組織代表の発言の場を設けるとともに、番組編成制作にかかわる首脳陣のリコール権、良心に反する業務の拒否権が必要などを盛り込みました。放送メディアの立体的運営を図ったといえる

でしょう。

<strong>EU報道憲章」</strong>

政府が放送の監督権限を握っているのは、日本の他、中国、北朝鮮、ロシア、ベトナムラオスなど、限定的です。それ以外の国はメディアの独立性を尊重し、第3者委員会が免許や管理権限を持っています。

 ここで、EU(ヨーロッパ連合)が2009年に制定した「EU報道憲章」を紹介します。その第1項目は「報道の自由は民主主義には欠かせない。報道の自由、政治的文化的多様性を守ることは政府の責務である」。第2項目は「すべてのメディアの独立性は守られる。

メディア、ジャーナリストを一切、刑罰、処罰の対象にしない。独立性を妨げる立法は制定してはならない」としています。

 NHK、民放はいずれもインターネットとの融合を図り、力を蓄えつつ新しい時代に入ろうとしています。今こそ放送を政府の監督下から切り離すべきです。

 私は、市民連合と野党共闘の力で、日本の放送が政府から独立した存在となることに、再度努力したいと思います。

<strong>JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2019年12月25日号</strong>

 

 


posted by JCJ at 09:28 | メディアウォッチ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする