2020年02月07日

植村札幌控訴審 司法の歪みここまで不当判決に抗議 日本ジャーナリスト会議声明

 韓国で初めて名乗り出た従軍慰安婦の証言を1991年に記事にした元朝日新聞記者植村隆さんが、自身を「捏造」記者と攻撃した櫻井よしこ氏と週刊新潮、週刊ダイヤモンド、月刊WiLLを発行するワックの出版3社を訴え、名誉回復を求めた植村訴訟控訴審で札幌高裁(冨田一彦裁判長)は2月6日、植村さんの訴えを退ける不当判決を言い渡した。
 植村さんへのいわれのないバッシングは記事執筆から四半世紀後の2014年、朝日新聞が「韓国・済州島で慰安婦狩りをした」との吉田清治証言関係記事を「誤報」として取り消したことから巻き起こった。櫻井氏らはこれを「朝日新聞が慰安婦問題を捏造した」とすり替え、「慰安婦問題はなかった」と歴史的事実をゆがめ、歴史認識を書き変える手段として植村さんへの個人攻撃を展開した。その結果、植村さんは「慰安婦問題捏造記者」とレッテルを貼られ「家族を殺す」などの脅迫をはじめとする卑劣な攻撃にさらされて本件提訴に至った。
 だが、櫻井氏らの主張は真実か。慰安婦についての日本政府の公式定義は「いわゆる『従軍慰安婦』とは、かつての戦争の時代に、一定期間日本軍の慰安所等に集められ、将兵に性的な奉仕を強いられた女性たちのこと」であり、慰安婦犠牲者は日本軍に「性的慰安」の奉仕を強制され、被害と苦痛を訴える人々である。だからこそ日本政府は被害者に橋本龍太郎、小渕恵三、森喜朗、小泉純一郎の各総理大臣が署名した手紙を送り、「おわびと反省の気持ち」を表明したのである。
 一方、櫻井氏らは2007年、米紙ワシントン・ポストに「日本軍に配置された『慰安婦』は『性奴隷』でなく公娼制度の下で働いていた『売春婦』だ」との意見広告を掲載している。もちろん櫻井氏らがそういう意見を持つのは「自由」だが、裁判所が国の公式見解も歴史認識も踏まえず、名誉棄損の法理すら無視した「真実相当性」の認定で櫻井氏らを免責するのは根本的な誤りであり、司法の歪みと言わざるをえない。
 このような判決がまかり通れば、言論の自由、ジャーナリズムはおろか日本の民主主義が死滅する。札幌高裁の不当判決に強く抗議するとともに、日本ジャーナリスト会議は今後も植村さんを支援し、歴史修正主義と闘っていく。
                                       2020年2月7日
                                 日本ジャーナリスト会議(JCJ)

posted by JCJ at 09:41 | パブリック・コメント | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする