2020年02月08日

2020年核廃絶へ正念場 初のNY原水禁世界大会 核禁止条約発効できるか=松村真澄

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 日本のメディアは、五輪で大騒ぎしているが、2020年は、広島・長崎への原爆投下から75年の節目。在京紙では、唯一、東京新聞の連載、「2020年 核廃絶の『期限』」が目立った。このタイトル「期限」の由来は、03年、平和市長会議が「2020年ビジョン」を決議、「被爆者が存命のうちに核なき世界の達成」と訴えたのに基づく。1982年設立した同会議は、163カ国・地域、7861都市が参加している。
高まる国際世論
 核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)は2017年のノーベル平和賞を受賞。これは核兵器禁止への国際世論の高まりを象徴していた。
 条約は、「核兵器の開発、実験、生産、製造、使用、保有」に加え「使用するとの脅威」をも禁止。50カ国が批准すれば発効するが、現在34カ国が批准しており、ICANなどは五輪期間中の発効を目指して各国に働きかけている。
 原水禁世界大会は今年初めてニューヨークで開催されることになった。呼びかけたのは、日本の原水協、原水禁、日本被団協の3団体のほか、米国のフレンズ奉仕委員会、英国の核軍縮キャンペーン、国際平和ビューロー、核戦争防止国際医師会議(IPPNW)など。核不拡散条約(NPT)再検討会議の開催に合わせ、4月24日から26日まで、マンハッタンで大会を開き、集会やデモ、「ヒバクシャ国際署名」提出などを行う。  日本国内ではすでに代表の派遣運動が始まっている。
情勢はきびしい
 しかし、NPT発効50年といいながら、世界の核情勢は極めて厳しい。昨年5月の準備委員会では、イスラエルの核保有をめぐり米国が拒否、本年の本会議も前回15年会議同様、決裂の危険性が高いといわれている。
 米国、ロシアは新型核兵器を開発し、中国、インド、パキスタンは核兵器を増強、北朝鮮も核の力を強化しつつある。
 全ての加盟国に誠実に核軍縮交渉を義務づけたNPT6条に基づく中距離核戦力(INF)全廃条約は昨年失効、包括的核実験禁止条約(CTBT)は成立から20年を経て今も未発効だ。
 核保有国と非保有国との溝が深まる中、日本政府は「両者の橋渡しをする」と言いながら、核兵器禁止条約に反対し、唯一の戦争被爆国としての責任を放棄している。
 昨年日本を訪れたローマ教皇フランシスコは、核兵器禁止条約発効の必要性を述べ、被爆者と時間をかけて言葉を交わし、「核兵器使用と同様、保有も道義に反する」と語った。教皇は「被爆者の預言的な声が何よりも次世代への警告として役立つ」とも強調した。
 今年8月の原爆投下75年の広島の式典には国連グテレス事務総長が参加、IOCのバッハ会長も聖火リレーに合わせ5月に広島を訪問するという。ローマ教皇がつないだ平和のメッセージ・リレーは、2020年にも引き継がれる。
 日本政府も昨年の国連総会には「未来指向型の対話」を提案、核軍縮賢人会議の議長レポートは核兵器廃絶のための「困難な問題」への検討と対話を呼びかけた。日本の市民社会は政府に、この立場を更に前進させ、実効的に具体化するよう求めなければならない。
「核の傘」は戦争の「抑止」ではなく、相手国の胸元に突きつけた刃であり、相手国の軍拡を促すことだ。
 2020年は、核廃絶へ向けての正念場だ。
松村真澄(ピースボート国際担当)
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2020年1月25日号

posted by JCJ at 14:57 | 政治・国際情勢 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする