2020年03月09日

【JCJ抗議声明】植村東京高裁判決 フェイクニュースを追認      

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JCJ抗議声明 植村訴訟東京高裁判決  フェイクニュースを追認
                
 元朝日新聞記者の植村隆さんが1991年に報じた韓国で初めて名乗り出た元従軍慰安婦証言などの記事を、2014年に「捏造」記者と攻撃した西岡力・麗澤大学客員教授と「週刊文春」発行元の文芸春秋を訴えた東京訴訟控訴審で東京高裁(白石史子裁判長)は3月3日、植村さんの訴えを再び退け、西岡氏らを免責した。
 植村バッシングは、「従軍慰安婦問題は朝日新聞の捏造」との主張であり、慰安婦問題の存在を否認する「歴史修正主義」に他ならない。西岡氏はその担い手として「捏造」記者攻撃に火をつけ、煽った。だが、我々は西岡氏の主張が虚偽であったことを知っている。それどころか西岡氏自身が自らの様々な主張について、不都合な事実を意図的に隠し、事実でないことを書き加えていた「捏造者」だったことが、法廷で明らかにされてきたからだ。

 しかし、高裁は一審の「女子挺身隊の名で」という記載は「強制連行を意味する」「(植村は)事実と異なる記事を書いた」とする認定を支持した。
 だが、植村さんは記事本文に「だまされて慰安婦にされた」と書いている。記事全体を読めば判決の認定の誤りは明らかだ。改めて言おう。「いわゆる『従軍慰安婦』とは、かつての戦争の時代に、一定期間日本軍の慰安所等に集められ、将兵に性的な奉仕を強いられた女性たちのこと」であり、慰安婦犠牲者は日本軍に「性的慰安」の奉仕を強制され、被害と苦痛を訴える人々である。これが日本政府の公式定義だ。
 西岡氏の植村記事批判は最初「誤報」との指摘だった。そして2014年の朝日新聞の「吉田清治証言記事取り消し」を契機に、「捏造」記者攻撃にエスカレートした。その結果、植村さんと家族は大きな被害を受けた。内定していた大学教授の職を失い、勤めた別の大学には爆破予告や学生を殺すとの脅迫が殺到した。家族には「娘を殺す」との脅迫状が送りつけられた。実際に大学を電話で脅迫した男が逮捕され、罰金刑を受けた。植村さんの娘をSNSで誹謗中傷した男にも責任が問われた。
 だが、裁判所は西岡氏らの言説が植村さんへの「名誉毀損に該当する」としたが、その被害を評価すらしなかった。

 西岡氏は高裁判決に「完全勝訴」とコメントした。だが、「義母の裁判に便宜を図るため記事を書いた」「妓生に身売りされて慰安婦になった経歴を意図的に隠した」との西岡氏主張は「真実と認めることは困難である」と認定された。植村さんは「判決を放置したらフェイクニュースを流し放題という大変な時代になる」と指摘した。考えて欲しい。自分が仕事として当たり前に取り組んだ取材・記事が、四半世紀後に突然批判され、バッシングの「標的」とされる恐ろしさを。重ねて言おう。植村さんは記者として取材し、金学順さんの証言を伝えるという当たり前の仕事をしただけである。

 高裁判決は「慰安婦問題に対する歴史認識、国の公式見解も踏まえていない」。さらに名誉毀損の法理すら無視した「真実相当性」の認定は、司法が積み重ねてきたこれまでの判例をも逸脱した不当なものであり、この先に待つのは日本の民主主義の崩壊と言論の自由、ジャーナリズムへの死刑宣告に他ならない。日本ジャーナリスト会議(JCJ)は東京高裁判決に強く抗議し、植村さんの闘いを支持する。
2020年3月9日 
日本ジャーナリスト会議
posted by JCJ at 14:06 | パブリック・コメント | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする