2020年04月11日

JCJ声明:「緊急事態宣言」は報道の自由を侵害

「緊急事態宣言」は報道の自由を侵害
                2020年4月11日
                 日本ジャーナリスト会議

 安倍政権が4月7日、新型コロナウイルスの急速な拡大に対し「緊急事態宣言」を発令した。これは先月成立した「新型コロナ特措法」に基づくもので、東京、大阪、福岡など7都府県を対象に、5月6日まで実施される。

 安倍首相は7日の衆院議運委で「今般の新型コロナウイルス感染症への対応を踏まえつつ、国会の憲法審査会の場において活発な議論が展開されることを期待する」と述べ、「緊急事態条項」を憲法に新設する改憲の議論を呼びかけた。私たちは、国民的な医療危機に便乗した、姑息な首相の企みは許さない。

 テレビは、この「緊急事態宣言」をどう報道したか。NHKと民放キー局は予定されていた番組を変更して一斉に安倍首相の緊急会見を伝え、全局横並びの異例な特別番組編成となった。特にNHKは、午後4時50分から11時過ぎまで、6時間を超える事実上「緊急事態宣言」一色のニュースを放送した。「ニュースウオッチ9」には安倍首相が生出演したが、改憲意図などに関する質問はなく、首相の主張をそのまま伝える結果となった。

 新型コロナ特措法第2条6項で、NHKは「指定公共機関」となっている。緊急事態が発令されると、首相は「特に必要があると認める」時は「指定公共機関に必要な指示をすることができる」としている。今回、首相がNHKに指示を出したとは考え難いが、NHKの破格の報道は政権の意向を先取りしたものと見ざるを得ない。

 報道機関を権力の支配下に置き、独立と自由を奪いかねない条項は、ジャーナリズムを死に追いやる。私たちは、「言論・報道の自由」「国民の知る権利」を侵害する改正特措法第2条6項「指定公共機関」から、「日本放送協会その他の公共的機関」を削除することを求める。併せてテレビは、緊急事態宣言について権力の乱用が無いか、人権侵害が無いか等について、核心に迫る取材を貫いてほしい。
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望月記者大いに語る 小森陽一対談チャンネル 読者と社の支援で圧力はね返す 権力とメディアの闘いに=河野慎二

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 東京新聞の望月衣塑子記者をゲストに迎えてFmAが収録した「小森陽一対談チャンネル」が2日、ユーチューブを通じて全国に発信された。
 望月記者は「桜を見る会」問題で「昨年11月以降、菅義偉官房長官が番記者から突っ込まれ、追い込まれている」「今は少し空気が変わってきている」と指摘した。
 しかし、望月記者が菅会見に出席した2017年6月当時は、番記者の追及は弱く「しがらみのない自分が純粋に感じていることを聞いてみようと考えた。20分間で23の質問をした時もある」。
尋常ではなかった
 安倍官邸の圧力は尋常ではなかった。「安倍首相秘書官の今井尚哉氏が望月は何とかならんのかと発言したと聞いた」。
 一方で、望月会見の動画がネットでアップされると「自分が聴きたいことを、普通に聞く記者がようやく出て来た」などのアクセスが相次ぎ、東京新聞には「望月記者を官邸に行かせないことは、止めてほしい」などの電話やメールが殺到した。
 望月記者が、強まる官邸の圧力を跳ね返し得たのは、読者の声と社のバックアップ態勢だ。
 編集局長は政治部長や社会部長に「自分たちを支えている読者の声は、『もっときっちり、疑問や疑惑を追及しろ』という声だ。望月が聞きたいと言う限り、望月を止めさせるのではなく、背中を押してやろう」と指示をしてくれた。
連帯の構図できる
 だが、官邸の質問妨害は常軌を逸したものとなる。「私の1分半の質問に、官邸の報道室長が7回も『質問は簡潔に!』とさえぎって来た」。挙句の果てに「望月質問には事実誤認がある」として内閣広報官が東京新聞に抗議文を送り付けた。
 東京は1ページ全面で反論記事を特集、全国の地方紙も共同通信配信の記事で東京新聞支援の論陣を張った。
 望月記者は「官邸が強くなる中で、記者クラブが弱い立場に追い込まれている。それを変えて行かないといけない」と強調。「官邸の抗議文書は自ら墓穴を掘ってしまった。
 あからさまな圧力にメディアはどうするのかがみんなの共通課題になり、東京新聞対官邸の問題ではなく、権力対メディアの問題になった。その中で、重要な連帯の構図がメディアの中で出来て行った」と振り返った。
心を揺さぶられた
 望月記者は、レイプ被害にあったジャーナリスト・伊藤詩織さんについて「詩織さんの告発に私は大きく心を揺さぶられた」と語った。
 伊藤さんは昨年末、民事訴訟で、性暴力被害者や支援者の後ろ盾になる勝訴判決を勝ち取った。望月記者は「詩織さんを見て、自分はただ記事を書いていればいいのか。もっと突っ込んで行かなければいけないんじゃないか。一人ひとりが感じている不誠実や不正義に鬱屈するのではなく、きっちり声を上げて抵抗しないといけないんだという思いにさせられた」と述べた。
 望月記者は昨秋、大学入試に英語民間試験導入を図ろうとした安倍政権の政策を「受験生や保護者、教師の力で、土壇場で政策変更に追い込んだ」ことを高く評価した。
 その上で「みんなが声を上げ、繋がることで、政治は私たち一人ひとりの手の中にあることを再認識できた。政治や社会がより良い方向に向かって行けるような一翼を、メディアや記者が担えれば、と思っている」と対談を締めくくった。
河野慎二
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2020年3月25日号

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2020年04月10日

【メディア気象台】 3月初旬=編集部

◇徳島新聞、4月から夕刊休刊  
 徳島新聞社は2日付朝刊に社告を掲載し、4月1日から夕刊を休刊すると発表した。地域のイベントや人物などを紹介する情報紙を創刊し、第二、第四木曜日に朝刊と共に無料で配達する。朝刊の購読料は現行3093円から3400円に値上げする。社告では、購読料を26年間据え置いてきたが、原材料や輸送費、販売店の人件費などのコストが上昇していると説明している。(「東京」3月3日付ほか)
◇音楽家ユニオン、経済的な支援を要望  
 日本音楽家ユニオンは2日、新型コロナウイルス問題での公演キャンセルについて、公演自粛を要請した政府に経済的支援を要望する声明を発表した。声明は、出演者へのキャンセル料が支払われない事例もあり、主催者と出演者との適切な話し合いで支払われるべきだとしている。(「しんぶん赤旗」3月5日付)
◇KBS京都労組、新型コロナで特別有給休暇を新設
 KBS京都放送労働組合は4日、新型コロナウイルス問題で特別有給休暇を新設することで会社と合意した。小学生6年以下の子どもを持つ組合員が休校で休まざるを得ない場合、その期間中、特別有給休暇を日数の定めなく取得できるもの。正社員だけでなく、アルバイトも、再雇用者、無期雇用転換者にも適用される。(「しんぶん赤旗」3月6日付)
◇首相の再会見要望、マスコミ労組声明 
 日本マスコミ文化情報労組会議(MIC)は5日、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、2月29日に開かれた安倍晋三首相の記者会見が説明責任を果たしていないとして、首相と内閣記者会に所属する報道機関に対し、オープンで十分な時間を確保した首相の再会見を求める声明を発表した。声明では「多大な痛みが生じる政策決定の根拠や効果、デメリットを抑える対策を市民にわかりやすく説明し、納得を得る必要がある」と指摘。雑誌やネット、フリーの記者から質問を受けるよう要望した。(「東京」3月6日付)
◇マスコミ企業、男性優位如実〜MIC調査 
 新聞労連などでつくる日本マスコミ文化情報労組会議(MIC)は6日、新聞、テレビ、出版業界における女性管理職比率の調査結果を公表した。新聞は平均6.4%、テレビは6.5%で、政府が掲げる「3割」には依然として遠い状況にあることがわかった。MICがメディアにおける女性管理職比率の調査を行なったのは初めて。(「神奈川」3月7日付ほか)
◇政治広告の自主規制、フェイスブックが拡大
 米フェイスブックは5日、欧米などで始めている政治広告に対する自主規制を3月中旬から日本など32の国・地域に広げると発表した。政治や選挙に関する広告を同社のSNS(交流サイト)で配信する際には、だれが広告料を支払ったかの表記を義務付ける。政治広告の透明性を高める狙いで、同様の自主規制を取り入れる国・地域は世界で約90になる。(「日経」3月7日付ほか)
◇総務相「放送法違反ではない」〜NHK経営委員長発言で
 2018年にかんぽ生命保険の不正販売を報じたNHK番組をめぐり、当時NHK経営委員長代行だった森下俊三委員長が番組に意見を述べたとの国会発言が、放送法で禁じた番組への介入ではないか、との指摘に対し、高市早苗総務相は6日の閣議の記者会見で、この問題に触れ、「経営委員が個別の番組の干渉を行っているのではないかと誤解されるような発言をすることは望ましいことではない」が「放送法に違反するものではない」との見解を示した。(「しんぶん赤旗」3月7日付)
編集部
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2020年3月25日号

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2020年04月09日

【月刊マスコミ評・新聞】 「なぜ」を追及しない記事多すぎる=白垣詔男

 最近、新聞を読んでいて「なぜそれ以上追及しないのか」と疑問を持つ記事が多すぎる。古い順に、気付いたままに3点を列挙すると―。
 まず、衆議院予算委員会(2月17日)。立憲民主党の辻元清美さんは「首相主催の桜を見る会」の「前夜祭疑惑」について会場となった全日空インターコンチネンタルホテル東京に「経費の見積もりや請求書を主催者側に発行しないケースがあったか」と質問して得たホテル側の「ございません」という回答を明らかにした。
 翌18日の朝刊各紙は、このやり取りを報道したが、辻元さんが質問する前に、「なぜ」新聞社が独自でホテル側に取材しなかったのか。していたのに返事がなかったのか。辻元さんに抜かれた形で安倍首相側とホテル側との矛盾を記事にしたのは解せない。
 次に3月6日。安倍首相は、新型コロナウイルス問題に絡み、中国と韓国から日本への入国の制限を打ち出した。翌7日の各紙は、習近平・中国国家主席の国賓としての来日が延期されたことも報じた。
 各紙の記事では、習氏来日延期で、中国人の入国規制も強めたのではという観点では述べていたが、「なぜ」韓国に対する規制も強化されたのか、またイタリアからの入国は規制されないのかは不問だった。
 さらに、れいわ新選組の舩後靖参議院議員が3月11日、新型コロナウイルス問題で、生命の危機を理由に委員会を欠席すると事務局に届けた件だ。日本維新の会の音喜多駿議員がツイッターで「(欠席した)その分の歳費は返納されないと国民の納得を得るのは厳しい気も」と述べたと報じられた。
 新聞は「事実」だけを取り上げていたが、では昨年の参議院選挙で当選した河井案理議員と法相を引責辞任した夫の河井克行衆議院議員、それに経産相を引責辞任した菅原一秀衆議院議員が昨年の臨時国会に姿を見せず多額の給料、賞与をもらい釈明もしなかった点について音喜多議員は触れていないにもかかわらず新聞は、その「なぜ」を音喜多議員に取材した様子もない。
 こうした「なぜ追及不十分の記事」が目立つ新聞各紙の取材記者が、それこそ「なぜ」疑問を抱かないのか、あるいは取材していたとしても「なぜ」書かないのか、首をひねるばかりだ。
白垣詔男
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2020年3月25日号

posted by JCJ at 15:04 | 新聞 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年04月08日

3・11から10年目 福島「回復」すら程遠い 剥奪された古里 的外れ復興計画=伊東達也

 事故発生から10年目に入った福島では、安倍政権が掲げた「復興五輪」の象徴として、もともと東電が作り福島県に無償で引き渡したサッカー練習場「Jヴィレッジ」が聖火リレーの出発地とされた。3月14日には東京―仙台間の常磐線の全線が9年ぶりに開通。しかし現地は、復興どころか、いまだ「回復」にも程遠いのが実情である。
関連死2千人
 まず、東京都23区のほぼ半分の広さが帰還困難地域に指定されたままで、約2万2800人(最新の住民登録数)には、まる九年経っても帰還宣言が出ていない。今後の除染計画は地域のごく一部だけで、このままでは多くの人がふる里を「剥奪されたまま」にされてしまう深刻な事態である。
 さらに、帰還宣言が出た地域で「居住者」は28%と少なく、特に比較的人口が多かった3町では数%台。地域社会はまともに機能できていない。
 そして避難指示区域内外を問わず、人々は長期避難で人生をすっかり狂わされたばかりか、健康を損ねたうえに、様々な苦悩や不安の中に置かれている。
 その一端は直接死1605人に対し、震災関連死が2306人と大幅に上回っていることや、孤独死約70人、自殺115人などにも表れている。
国の責任断罪
 180万の県民が生業の基礎としてきた農・林・漁業や、観光業などは大きな打撃を受け、9年経っても事故前の水準に戻っていない。豊かな福島の自然を活用できていない。
 また、使用済み核燃料すら取り出せないでいる廃炉作業の危険や放射線被曝による不安など平穏生活権を阻害されている人は少なくない。
 それなのに、避難指示区域外の避難者の無償住宅支援は2017年3月、営業損害賠償は2017年7月に、避難指示区域内では解除とともに、精神的賠償は2018年3月で原則打ち切りとなった。
 事故の法的責任と損害賠償を求める集団訴訟はこれまで高裁2件を含めて16件の判決が出ているが、このうち国を被告にしている11件のうち7地裁が国の責任を断罪した。また15件が賠償基準を超える損害を認定している。
転換を求める
 今後、勝利判決をテコに、新たに裁判に加わらなかった人に呼び掛ける運動や、国に法的責任を認めた原発事故被災者・被災地救済の枠組み作りを求める運動がいよいよ大切となってくる。政府は2019年12月、2021年度以降に向けた「復興の基本方針案」を決めた。
 その中には、国の復興庁は10年間継続するが復興予算は大幅に減らすことや、原発被害が続いている福島県の事業では惨事便乗型の「イノベーション・コースト構想」を続行する一方、12市町村の旧避難区域に設定された医療と介護保険料の減免措置は見直すことが盛り込まれた。
 いま、復興のために何よりも求められているのは、住民の生活の復興であり、地域農林水産・商工業、医療・介護体制などへの支援である。今後とも復興政策の転換を求める闘いは続く。
伊東達也(原発問題住民運動全国連絡センター代表委員)
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2020年3月25日号

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2020年04月07日

【新型コロナ ショック・ドクトリン2】 民放番組へ「反論」の名で圧力 官邸が委縮効果ねらう 宮下答弁「テストラン」=河野慎二

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 新型肺炎コロナウイルス報道を巡り、内閣官房国際感染症対策調整室や厚生労働省、自民党が目を光らせ、番組を名指しして「反論」するという形で事実上の圧力を加え、問題となっている。
テレ朝標的
 内閣官房の調整室が問題にしたのは、「羽鳥慎一モーニングショー」が5日に放送したコメンテーターの発言。安倍首相が、新型インフルエンザ等対策特措法の改正(以下改正特措法)にこだわる理由について、政治アナリストの伊藤敦夫氏が「『後手後手』批判を払しょくするために総理主導で進んでいるというアピールをしたい」からと見るコメントを寄せた。
 同調整室は6日「法律改正をする理由はそうではありません。あらゆる事態に備えて、打てる手は全て打つという考えで法律改正をしようとしています」と公式ツイッターで反論した。
 羽鳥の「モーニングショー」は狙い撃ちされる形で、政府機関の「反論」の対象になっている。
なぜ「名指し」
 同番組は4日、供給が滞っているマスクについて「まずは医療機関に配らないとだめ。医療を守らないと治療ができない」と強調した。すると厚生労働省は5日、公式ツイッターで「医療用マスクの優先供給は行った」と反論したが、事実ではなかった。厚労省はフェイク反論≠フ訂正に追い込まれ、醜態を演じた。
 これについて、レギュラーコメンテーターの玉川徹氏が「僕が疑問なのは、なぜうちの番組を名指しでこの時期にツイッターを出したかなんですよ」「なんで、ちゃんと事実確認もしないで、厚労省が名指しでやったのか。僕は回答が欲しい」とコメントした。
「Nスタ」も
 反論に名を借りた番組への圧力はTBSの基幹ニュース「Nスタ」(4日)にも向けられた。
 「Nスタ」に出演した岡田春恵白鴎大学教授が「私たちは基礎的な免疫力がないから、新型コロナウイルスは普通のインフルエンザより罹り易い」とコメントした。
 これについて、厚労省のツイッターは5日「新しいウイルスのため、普通のインフルエンザより罹り易いということはない。そういうエビデンスはない」と反論した。
 これに関連して「毎日」が7日、「官邸幹部が『事実と異なる報道には反論するよう指示した』と明かした」と伝えた。
 問題となるのは、13日に成立した改正特措法との関連だ。
聞き流すな
 安倍首相は16日の参院予算委員会で、改正特措法による「必要な指示」が民放テレビ局にできるかについて「報道事業者は、本特措法による指示の対象にはならない」と「民放除外」を答弁した。
 しかし、11日の衆院法務委員会で宮下一郎内閣府副大臣は「法律の枠組みとしては『いま、この情報を流してもらわないと困る』と指示を出す。放送内容を変更、差し替えてもらうことはあり得る」と答弁。首相はこの答弁の是非については言及していない。
 内閣調整室などの反論は「放送したコメントは事実と異なる」などに留めているが、宮下答弁にある「放送内容の変更、差し替え」を念頭に置いた「テストラン」であることは間違いない。
 「反論」を偽装した圧力を軽視してはならない。毅然と対応せず、聞き流していては、メディアの規制、介入に異常な執念を燃やす安倍首相に危険な武器を与えるだけだ。
その先には、あの「大本営本部発表」の世界が待っている。
河野慎二
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2020年3月25日号

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2020年04月06日

【月刊マスコミ評・出版】 政治のウソを見逃さないを貫く=荒屋敷 宏

 「雑誌ジャーナリズムの復権宣言!」の帯を「サンデー毎日」が目次に掲げたのは、2019年1月6日・13日合併号だった。高村薫さんの時評連載が始動したのも同号で、初回の見出しは「政治の嘘 見逃すまい」だった。同誌「編集長後記」によると、「決意の言葉を抱きしめる思いで、巻頭特集として掲載」したという。
 同年1月20日号で「『報道・評論・読物』の復権!」となったものの、同年1月27日号から目次に「雑誌ジャーナリズムの復権!」の帯が躍り始めた。同誌が1年3カ月以上もキャンペーンを続けていることに驚く。
 手元にある「サンデー毎日」2020年3月29日号を見ると、鈴木哲夫さんの「安倍政権の大ウソを見破れ」をはじめ、内田樹さんの「民主主義を目指さない社会 なぜ日本の統治機構が崩れ始めているか」など、初心を忘れていないことがわかる。
 大阪日日新聞記者の相澤冬樹さんのスクープには驚かされた。発表された媒体は、「週刊文春」3月26日号だったが、森友事件の公文書改ざんを強要されて2年前に自ら命を絶った近畿財務局職員・赤木俊夫さんの遺書の全文公開である。このスクープのおかげで発行部数53万部の「週刊文春」は約2年半ぶりに完売したという。「週刊文春」が「隠蔽の安倍政権」追及を加速させるきっかけになるだろうか。
 心を動かされるのは、赤木俊夫さんの「手記」を入手できた経過である。相澤さんによると、取材を避けていたはずの赤木さんの妻は、相澤さんに会うなり、カバンから数枚の紙を取り出したという。妻は、夫が残した「手記」を相澤さんに託して、そのまま夫の後を追うつもりだったというから衝撃的である。
 相澤さんが赤木さんの遺書でもある「手記」の入手に当初、失敗した経過が生々しい。赤木さんの妻は「興奮する私の様子を見て『手記』を託すのをやめ、同時に命を絶つのもやめた。つまり私は重要文書入手という記者の仕事をしくじった」という。が、妻の自死を思いとどまらせることができて、「けがの功名≠あげていたことになる。人生何が幸いするかわからない」との述懐は、人の命を左右するスクープの裏事情を伝えている。
 政治のウソを見逃すまいとの思いは、NHK司法キャップ当時から森友事件を追及していた相澤さんにもあるはずだ。彼の著書『安倍官邸 vs NHK 森友事件をスクープした私が辞めた理由』(文藝春秋)に詳しい。初心忘るべからず。 
荒屋敷 宏
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2020年3月25日号

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2020年04月05日

【今週の風考計】4.5─春を満喫したい! わが独り散策の収穫

外出自粛の要請が続く。とはいえ自宅に籠りっきりもシャクだ。東京郊外の遊歩道を散策することまで、自粛の必要はないと見切って、陽光が注ぐ先日、狭山丘陵に向かい4キロほど歩いた。
 道わきのタチツボスミレやオオイヌノフグリが、周囲を青くちりばめて目を引く。上を向くとカンヒザクラは終り、ソメイヨシノも葉桜だ。それでもメジロやシジュウカラが蜜を吸いにくる。

歩きながら子供のころ覚えた鳥の鳴き声を呟いてみる。<鳩とトンビとカリガネと雉と山鳥と鶯とが一緒に鳴けば、ググピー、ググピー、ピンカラ、ショーラ、ケンケン、ケンカラチャット、チンチロリンのホーホケキョ>
 小さな川を渡る。すぐ前をハクセキレイが2羽、ツツツツーと走る。キジバトまでが、ゆっくり首を振り振り、歩調を合わせて3歩前を行く。遊歩道の中央に植えられたツツジが、ところどころ赤い花をつけている。
やっと多摩湖の堤防にたどり着いた。強い風を受けながら堤防の上を北に向かって歩く。振り返ると南西の方向に富士山が雪をかぶって薄靄の中に浮かびあがる。中ほどまでくると、東のずっと奥のほうにスカイツリーが見えるとある。だが春霞のせいか見通すことができない。西武遊園地の観覧車も動いていない。入園中止だ。

下に広がる狭山公園の広場からは、子供たちの遊ぶ声が響いてくる。ここにはまだ桜も咲いている。サクラ案内のチラシを見ると、オオヤマザクラやバイゴジジュズカケザクラ(梅護寺数珠掛桜)とある。後者はまだ蕾だが、親鸞聖人が数珠を掛けた桜から数珠のような花が咲いたという逸話からきている。
 広場を下ると花弁の大きい桜が目に入る。ミクルマガエシの名札がある。後水尾天皇があまりにも美しい花なので、御車を返してじっくり愛でたとの逸話からだという。赤褐色の若葉が先に出るヤマザクラは、今だとばかり薄いピンクの花を広げる。

さらに北山公園へ足を延ばす。6月には菖蒲の花が一面に咲く田んぼを見ると、切り取られた菖蒲の根株から、もう新芽が出ている。あぜ道にはヒョロっと長い茎の先に、白い小さな4弁の花をつけたミチタネツケバナやタンポポがいっぱいだ。
陽も傾き、夕まずめではないが、北山公園の池に餌を漁りに来るダイサギと出会う。細くて折れそうな長い脚を池の水につけ、これもまた細いくちばしを伸ばし、じっと水面を見つめている。
 その白い姿は夕日を浴びてキラキラ輝く。時々、抜き足差し足、忍び足で動きながら、左右に首を振る。するとピョイと嘴を突っ込んだと思ったら、ドジョウをくわえている。その見事なこと。伸ばした細い首をドジョウが伝って下りていく。飲み下すと、すぐにダイサギは次の餌狙いに移る。まさに圧巻。
すがすがしいほどの光景を間のあたりにした。家に帰ると、万歩計は1万8千歩を示していた。(2020/4/5)
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2020年04月04日

【新型コロナ ショック・ドクトリン1】 世界に広がる「非常事態宣言」 日本で進む同調圧力と自粛への働き 独裁・統制を目論む改正特措法=丸山重威

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 中国で始まった新型コロナウイルス感染は世界に拡大、WHO(世界保健機構)は3月11日「感染はパンデミック状態」と認定。日本も13日「新型インフルエンザ等対策特別措置法」の改正が成立。首相が国民の権利を制限する「緊急事態」を宣言できる態勢が整った。
  戦争、災害などを利用し、どさくさに紛れ、しかも独裁的に、安倍流「社会改革」を進めようとするのは、まさに「惨事便乗型資本主義」(ショック・ドクトリン)の実践。世界でも私権を制限し、社会統制を強める傾向が広がっているが、日本で目立つのは、「緊急事態」以前に、「要請」だけで「同調圧力」や「自粛」が働き、進んでいることだ。こんな日本社会に危険はないのだろうか。
腹心2人と協議
  当初、対策が後手後手に回って批判された安倍首相は2月末から突然「やっている感」を演出。イベント自粛要請(26日)、小中高校の休校要請(27日)、インフルエンザ特措法の改正方針(3月4日)、中国、韓国からの入国制限(5日)など矢継ぎ早に動き出した。
 問題なのは、「集会などの自粛呼びかけ」、「学校休校」、「入国規制」など、次々と出された施策が全て、官邸の今井尚哉首相補佐官(経産省出身)と北村滋国家安全保障局長(警察庁出身)の腹心2人との協議による「独断」で発表されたもので文部科学相も当日まで知らされなかった(読売新聞3月15日付)という。 
 インフルエンザ特措法の改正も「改正の必要はない。コロナウイルスに適用できる」という主張を押しての改正だった。
行動や放送規制
 改正特措法によれば、「緊急事態」が「宣言」されると、住民への外出自粛要請、学校、劇場、映画館など人が集まる施設の使用停止要請、指示、音楽スポーツイベントなどの開催制限の要請、指示、鉄道、運送会社などへの医薬品、職位品などの運送要請、指示―などが強制的に行える。
 また、指定公共機関としてNHKに指示することも可能とする規定があり、宮下一郎副内閣相がこれを認めたが、西村康稔担当相が打ち消した。
 安倍首相は15日「緊急事態を宣言する状況ではない」と述べたが、それもそのはず、矢継ぎ早の「要望」は、ほとんど規制の先取り。19日には3月20日(祝)〜22日(日)の3連休には「大阪―兵庫間の人的交流を自粛してほしい」と要請、両知事が自粛を要請した。
 18日付読売新聞によれば、それぞれ状況は違うが、非常事態や緊急事態が宣言されたのは、17日までに米国、イタリアなど少なくとも27の国・地域。米国では13日、トランプ大統領が国家非常事態を宣言したが、欧州では12カ国、中南米でも7カ国。米国とEUの入域が規制され、外出や飲食店の営業禁止、国民に対する移動の制限や国境閉鎖などが急速で、イタリア、ドイツ、フランス、スペイン、ベルギーなどでも、屋内退避が命令され、移動が制限された。
欧州には歯止め
 同時に欧州の多くの国には、この政府の措置について、裁判所に訴えて国民の人権を守ろうとする「歯止め」があることも重要。かつてのような専制政治を呼び込むことがないように、民主主義の中で、社会的安全と社会の統一を守ろうと苦労しているようだ。
 コロナウイルスの流行は、人や物の流通を阻害し経済活動を落ち込ませた。ニューヨーク株式のダウ平均株価は、18日には約3年2カ月ぶりに2万ドルを割り、東京株式も18日には3年4カ月ぶりに1万7000円を割りこんだ。
 今回のコロナウイルスの流行は、ペストの時代と違って、スピードも速く、広がりも大きい。急速な情報伝達が引き起こす効果も問題も多い。これを「独裁」ではなく民主主義的にどう克服していくかは、人類にとって歴史的課題だ。
丸山重威
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2020年3月25日号

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2020年04月03日

反権力はいけない? 記者は国民の代表じゃない? 「反ジャーナリズム本」出版相次ぐ これでは社会的責任の放棄=編集部

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 メディアが政府を批判する力を失い、国民の声を伝えなくなったら、何が起きるのか? いまメディアのあり方が問われている中で、正面からジャーナリズムのあり方を批判する本が相次いで出版されている。
 代表的なのは、2月1日出版の「『新聞記者』という欺瞞―『国民の代表』発言の意味を改めて問う」(安積明子著、ワニブックス)、1月20日出版の「『反権力』は正義ですか―ラジオニュースの現場から」(飯田浩司著、新潮新書)。
 2冊に共通するのは、これまでのジャーナリズムが「当然」と考え、それが社会的責任だと考えられてきた「反権力」と「国民の代表」に異論を提示していることだ。
望月記者攻撃
  特に、安積本では、官邸の記者会見で話題になった望月衣塑子記者(写真)と東京新聞の主張に疑問を投げかけ、攻撃していることが目立つ。
 「果たして新聞記者は『国民の代表』なのか」「新聞記者は何をもって『国民の代表』といえるのだろうか。国民からどんな付託を得たのだろうか」「新聞記者を国民の代表とするのなら、新聞社は容易に配置転換できなくなる」「このように考えると『記者は国民の代表だ』とする東京新聞が、いかに自分たちだけが特権的立場でいるという前提に立ち、珍妙な論理を展開しているかがよくわかる」
 「本質を見落として、ひたすら政権を批判するだけのマスコミこそが、日本の終焉の原因とは言えまいか」「さらに怖いのは『反権力』という点だけでもって同調する人々だ。彼らは彼らが主張する『権力の被害者』であることにとどまらず、国民の知る権利を阻害する『加害者』化していく危険性を孕んでいる」
自己陶酔の物語
 飯田本は、安積本とは少し違って、「反権力」という形で提起されている問題へのいくつかの疑問を書いている。
 この本の帯では「『マスコミの使命は権力と闘うことだ』という言葉は本来、民主主義を守るために必要な倫理観によって調査報道を行うジャーナリズムの精神を体現したものと私は理解しています。
 ところが、それがいつのまにか『権力と闘う自分たちの物語』にすり替わっているように見えてなりません」と書き、「私は、この「権力と戦う」という言葉が本来の精神を失ってそれ自体が目的化し、マスコミ報道から“是々非々”という姿勢を奪い、自らを闘士に据えた陶酔の物語に引きずり込んでいるようにも見えてしまうのです」と述べている。
 望月記者に関しては、著書、「新聞記者」が原案の映画「新聞記者」(藤井道人監督)が「第43回日本アカデミー賞」の最優秀作品賞を受賞、併せて、女性記者役のシム・ウンギョン(25)が最優秀主演女優賞、エリート官僚役の松坂桃李(31)が最優秀主演男優賞を獲得。また、関連して、森達也監督が「i新聞記者ドキュメント」を発表、昨年の第32回東京国際映画祭「日本映画スプラッシュ」部門で作品賞を受賞したりしている。
編集部
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2020年3月25日号

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2020年04月02日

「すっぴんの北朝鮮」文聖姫さん講演 列車止まれば宴会 にわか売店 非合法市場に抗議し存続 庶民生活に見るたくましさ=須貝道雄

■講演する文聖姫さん(20年2月29日).jpg
 本紙に「リアル北朝鮮」を連載しているジャーナリストの文聖姫さん(写真)が2月29日、さいたま市で「すっぴんの北朝鮮」と題して講演した。「週刊金曜日読者の会・浦和」の主催で、現地で撮影したマツタケや菓子のチョコパイなどの写真を披露し、どこか愉快な庶民の姿を語った。
 市場でドルOK
 学生だった1984年に初訪朝して以来、2012年までに文さんの訪朝回数は15回に及ぶ。朝鮮総連の機関紙『朝鮮新報』の記者時代に平壌特派員を2回務めたほか、退職後に入った東大大学院でも現地調査で4回訪朝した。
 講演で取り上げたのは、政権が必要悪として容認する市場の存在だ。合法的な「地域市場」を2008年に平壌で初めて見た話をした。
 地域市場は学校の体育館を三つ並べたほどの大きさで、買い物客であふれていた。買い物をしていると「幹部の奥様」に間違えられたのか、文さんに店の女性たちが寄ってきて、「うちの方が安いよ」と引っ張り合いになった。
 30代の女性が文さんの後をついてきて、買い物袋(レジ袋)はいらないかと売りつける。スケトウダラの干物は国産が販売禁止になっていたが、「国産が欲しい」と頼むと、店の人は中国産の下から、こっそり国産を差し出した。支払いは外貨のドルでOKだった。
 ほかに非合法のキルゴリ(路上)市場が平壌や地方都市の裏通りにある。道端に洗面器やトランクを置き、飲み物やガム、たばこなどを売る。彼らは警察官が取り締まりに来ると、一目散に逃げる。その姿がバッタに似ていることからメトゥギ(バッタ)市場と呼ばれた。
ダニは逃げない
 ところが2012年ごろから、これらにチンドゥギ(ダニ)市場の名称がついた。警察官がやってきても、買い物客が「見逃してやって」と抗議し、店も逃げずに商売を続けるようになったからだ。
 はいつくばるイメージからダニの名がついた。北朝鮮ではダニはたくましさを象徴する言葉。「この話には笑い転げた。ユーモアのセンスが磨かれている」と文さんは当時を振り返った。
 取材で板門店から平壌に帰る途中、未明に列車がある駅で止まったことがあった。何時間たっても動かない。すると線路上に、にわか市場が立った。洗面用に水を売る子供が現れ、その日の夜遅くには列車の下で乗客の宴会が始まった。
 この間に、乗客の若者から文さんはマツタケを4本買った。乗務員に頼み、マツタケのスープを作ってもらったという。名古屋から東京までくらいの距離を結局、2泊して着いた。「それを何とかやり過ごす人々のたくましさを感じた」と語る。
伊料理は苦手か
 案内人らと一緒に平壌市内のイタリア料理店で食事をしたこともある。ピザは意外とおいしかった。イタリアワインは高いので北朝鮮製の焼酎を飲んだ。案内人らは味が合わないのか、パスタ、ピザにはほとんど手を付けず、最初から朝鮮料理を頼んで食べていたという。
 訪朝のたびに通い、「私の心の故郷」と紹介したのがテドンガン(大同江)ビールの工場とビアホールだ。英国製設備の工場でできる生ビールは「本当においしい」と。
 英週刊誌『エコノミスト』が2012年、ビールは韓国よりも北朝鮮がうまいと報じて、お墨付きを与えたエピソードがある。韓国でもテドンガンビールにはあこがれが強く、似た名前の「テガンビール」が登場したらしい。
 ビールに絡み、アカデミー賞を受賞した韓国映画『パラサイト』の一場面を文さんは話題にした。ピザ箱作りの内職をする貧しい家族がビールを飲むシーンだ。出てくるのは2017年発売の発泡酒「フィライト」。350ミリ缶が880ウォン(約80円)で普通のビールの半値近い。「貧しさの象徴として小道具に使っている」と解説。ビール談義は盛り上がった。     
須貝道雄
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2020年3月25日号

posted by JCJ at 14:27 | 政治・国際情勢 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年04月01日

【支部リポート】関西 アホな両論併記でなく 真実伝えろ 立命館大・森教授が講演=井上喜雄 

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 JCJ関西と在阪メディア関連の4団体で構成する「メディアを考える会・大阪」が、昨年11月に催した講演会「維新政治とメディアの劣化」を紹介したい。
 講師を森裕之・立命館大学教授に依頼した。森氏は地方自治が専門で、大阪維新には批判的な立場にある。
 真実なんかどうでもいいという時代になっている、トランプ氏や安倍さんが頭に浮かぶだろうが、彼らが出てくるずっと前にこの大阪から始まった。それは維新政治であり、橋下徹という人物だ。維新が喧伝する「有効求人倍率が改善」「T R(カジノ)誘致」「大阪の成長を止めるな」そして再び持ち出した「大阪都構想」について統計と数字に基づいて検証し、次のように述べた。
 「求人倍率の改善」は、比較する相手が北海道や秋田、長崎など大阪より悪いところで、東京、愛知など大都市域とは比べていない。カジノについては、年間入場者数を当初2480万人と見込み大阪経済を大いに潤すような宣伝をしたが、今は1500万に減らした。
 USJ・ユニバーサルスタジオジャパンの過去最高の入場者数が1460万人、これを大きく上回る人が来る訳がない。
 「大阪の成長」=GDPは2001年を100とした場合、以後ずっとマイナスでようやく2014年に101・6になったが、国のそれは112で、いわば大阪が足を引っ張っているのであり成長はしていない。しかし、これら維新の詐欺的宣伝についてメディアは何の検証もせずに垂れ流す。
 都構想をめぐる前回住民投票の時に、橋下ブレーンの上山信一氏と読売新聞紙上で討論したが、記者はこれを「両論併記」だと言う、真実に立った上で推論すれば依って立つ観点の違いで結論が違う、これが両論あり、デマと真実を両論とすればデマが横行する。
 真実というのは、考えないといけない苦しさがある。「感情に訴える」方が楽だから真実は負けがちになる。
 森氏は「アホな両論併記でなく、正しい情報をきちんと流していくそういうメディアに蘇生してほしい」と締めくくった。
井上喜雄
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2020年3月25日号

posted by JCJ at 13:40 | 関西 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする