2020年04月12日

【今週の風考計】4.12─進む「#コロナ差別」と国家統制の怖さ

◆新型コロナウイルス感染が拡大する中、「#コロナ差別」が、ハッシュタグがつくほど世界中で広がっている。インターネット上の差別発言やヘイトを含むデマ、暴行などの「ヘイトクライム」が、頻発している。
 インドではヒンドゥー至上主義のモディ政権下、イスラム教徒がウイルスを拡散しているとのデマが、SNS上の「#コロナジハード」で拡散され、政権の意を受けた警察がモスクに踏み込む事態まで起きている。

◆日本国内でも、コロナをめぐるデマや誹謗中傷が拡大している。「医療関係者の子供は登園するな。卒園式もお断り」など、感染者の出た病院の職員が罵倒される事件まで起きている。愛媛県では、親がトラック運転手の児童に小学校の始業式や入学式を欠席させ、自宅待機を要請していた。親が感染拡大地域へ行き来するという理由からだ。「職業差別につながる」と指摘され撤回した。
 SNSなどから得るコロナ情報も、SNS自体がフェイクニュースの発生源となっているのをわきまえておく必要がある。情報が人為的・ボッド回路を通じてSNS上で拡散し、トイレットペーパーの買い占め騒動や納豆がコロナウイルスに効果があると聞くや納豆が品薄になるまで発展するのだ。
 WHOは新型コロナウイルスの感染拡大「パンデミック」を防ぐとともに、誤情報・偽情報の世界的な拡散「インフォデミック」に強い警鐘を鳴らしている。

◆厄介なのはSNS上での罵詈雑言の投げ合いである。首都圏からは一部の人が“コロナ疎開”で離島や避暑地に避難する動きが出てきて、医療設備の手薄なそれらの地域に感染者が一人でも足を踏み入れれば、途端に医療崩壊が起きかねない。
 そこから「東京の人=コロナ」と決めつけ、やむをえない帰省者にも<トンキン土人>などのレッテルを張り、まるでバイキン扱いの応酬が始まる。コロナへの「不安・恐れ」が「偏見・差別」を増長させ、人々に「負の連鎖」を拡大する。
 何もコロナウイルスは、人種・地域・性別・貧富などを嗅ぎ分けて感染しようと思っているわけではない。誰にでも感染するし、感染したからと言って感染者を非難するのも、感染者が謝罪するのも間違いだ。
 自分も当事者になるかもしれないと意識し、さらに全ての人が感染しているかもしれないという想定で、自分の行動を律することではないか。

◆もっと恐ろしいのは、緊急事態宣言の陰で進む事態だ。イスラエルでは携帯情報が個人隔離の判定材料にされ、台湾でも隔離が必要と思われた人が移動すると政府から警告メッセージが届く。国民の個人行動が全て監視可能になっている怖さである。
 ハンガリーのオルバン首相は、政権に批判的なメディアを抑圧するため、緊急事態宣言を無期限延長し、フェイクニュース対策と称して、政府の承認した事柄を「歪めて」伝えた者を 5 年間投獄することまで可能にした。
 「隠ぺい・改ざん」の安倍政権、大丈夫だろうか。<信なくば立たず>と頻繁に口にする首相だが、動静欄にあるコロナ対策会議の議事録は、いつ公開されるのか。政治的決定のプロセスは明らかにせず、ただ「命を守るため」と称して、基本的人権を制限し、放送を始めメディアへの介入を狙う。緊急事態を理由に報道機関を権力の支配下に置く動きは、まさに戦前の言論・報道統制そのものにつながる。(2020/4/12)
posted by JCJ at 10:00 | 【今週の風考計】 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする