2020年05月10日

【今週の風考計】5.10─沖縄の主権と自治は回復されたのか?

沖縄は15日、1972年の本土復帰から48年を迎える。1945年の敗戦後、沖縄の人びとは戦争放棄を謳う9条など日本国憲法のある本土への復帰をめざし、「基地抜き、即時・無条件・全面返還」を掲げ、ねばり強い闘いを繰り広げてきた。

1967年頃になると、沖縄にある米軍基地はベトナム戦争への軍事支援に向けフル稼働に入った。核兵器すら迅速に輸送・使用できる態勢が敷かれたと言われる。沖縄の人びとは危険や恐怖と隣り合わせの生活を強いられていたのだ。
にもかかわらず日本政府は米国との交渉や駆け引きから、沖縄に米軍基地を残したままの返還でケリをつけてしまった。しかも沖縄の自己決定権は無視され、米軍基地の存続を担保にした復興計画が押し付けられた。沖縄の人びとの落胆は、如何ばかりであったろうか、想像に余りある。

それ以降、いまだに米軍基地は温存され、なんと在日米軍専用施設の7割が沖縄に集中し、県面積の8%超を占める。加えて政府は、米軍普天間飛行場の辺野古への移設を強行し、沖縄県民の7割・43万人の「反対」を無視して、辺野古沿岸部の埋め立てを続けている。
 裁判所までが、国の言い分を丸のみして辺野古移設を容認する。これほどまでに、地方自治の精神を踏みにじっていいのか。欧米では地方自治は基本的人権だとされるほど、重要な権利だという。
 沖縄は国によって地方自治が奪われているのが現実だ。いや沖縄の主権そのものが、回復されたのだろうか。

10日ほど前の4月28日、この日は「主権回復の日」だという。今から7年前に安倍晋三内閣が定めた。1952年4月28日に米国との単独講和なる「サンフランシスコ講和条約」と「日米安保条約」が発効し、日本の主権が回復した日だからという。
 トンデモナイ。沖縄や奄美、小笠原は日本から切り離され米国の支配下に置かれたのだ。とりわけ沖縄は、その翌年の1953年4月、「土地収用令」が発令され、伊佐浜や伊江島などで、銃剣とブルドーザーによる無法な土地拡張が行われた。これは沖縄の人びとの心の深い傷となり、この日を「屈辱の日」と名付けるのは当然ではないか。
 沖縄には主権が回復されるどころか、踏みにじられ続けてきた、まさに<屈辱の戦後75年>がある。

コロナ感染拡大で緊急事態宣言が出されている最中の4月28日、自民党・稲田朋美幹事長代行らは、靖国神社に参拝した。稲田議員は、ツイッターで言う。
 「主権回復記念日。平成18年から毎年<伝統と創造の会>で靖国参拝を続けてきました。今年はコロナの影響で<会>として参拝は中止しました。…その代わりコロナ収束を祈願」
 コロナ収束を神頼みするのも驚くが、それ以上に沖縄の人びとの心など、眼中にない神経には呆れる。(2020/5/10)
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2020年05月09日

【映画の鏡】 映画館閉鎖相次ぐ中 公開待つ名匠や若手監督の意欲作=今井潤 

 この3、4月は新型コロナ感染の影響で、映画館閉鎖、試写会中止が相次いでいる。こうした苦しい状況でも、名匠や若手監督による意欲作が公開を待っている。
「私たちが生まれた島」
 2019年に沖縄で行われた辺野古新基地建設の賛否を問う県民投票で沖縄の人たちがNOを突きつけたことは記憶に新しい。
 この映画は県民投票の原動力となった元山仁士郎さんや3児の母の奮闘などを追い、分断を乗りこえ、沖縄に新たな希望をもたらすことを伝えている。戦後から脈々と受け継いできた大人たちから、その想いを自分たちの感性で継承しようとする若者たちの記録である。(公開は9月4日に延期 アップリンク渋谷)
「バナナパラダイス」
 大陸から台湾へ渡り、数奇な運命をたどる男の半生を描く。日本人の知らない戦後台湾史をユーモアあふれる展開で見せる作品である。(9月に延期新宿K‘sシネマ)
「その手に触れるまで」
 監督のダルデンヌ兄弟はベルギーの世界的名匠として知られる。13歳の少年が尊敬するイスラム指導者に感化され、過激な思想にのめりこみ、ある日学校の先生をイスラムの敵として抹殺しようとする。少年の気持ちを変えることはできるのだろうか(5月22日ヒューマントラスト有樂町、新宿武蔵野館)
「なぜ君は総理大臣になれないのか」
 衆議院議員小川淳也(49)は2005年初当選。2009年に政権交代を果たすと、保守・リベラル双方の論客から見所ある若手政治家として期待される。しかし、その後政治の流れに翻弄されていく。17年間小川を見続けたドキュメンタリー(6月下旬ポレポレ東中野) 
 今井潤
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2020年4月25日号

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2020年05月08日

【リレー時評】 「放送と通信の融合」で地域情報保護が課題=隅井孝雄

 NHKの番組がネット上で見られるネット同時配信(NHKプラス)が4月1日から本格配信を始めた。先立って、3月1日から試験的配信を行っていたが、一ヵ月の試行期間内に33万件の利用申し込みがあり、NHKはほくほく顔だ。
 主要民放キー局はこれまで、NHKの巨大化に警戒感を抱き、予算に一定の限度を設けるなど上限を主張してきた。ところがいよいよ迫った段階で、日本テレビなどキー5局が秋以降ネット同時送信を開始しようとしていることが明らかになった(2/12共同)。若者層のスマテレビ離れを食い止めるためスマホなどネットで見られるようにしようというのだ。
 ネット同時配信とは、テレビ番組を電波で送りだすと同時にインターネットにも配信するもので、テレビと同じ画像を同時に視聴できる。今までは放送とは別に個別の番組をユーチューブなどで送り出してきたが、今後はネットでテレビチャンネルそのものが視聴できることになる。NHKと民放が同時配信で足並みをそろえる。
 この結果「放送と通信の融合」が本格化することになるが、しかしローカルニュース、ローカル番組が置き去りにされるという問題が残る。
 今のところNHKプラスは受信料を支払っている家庭のみに限り午前6から午前0時までおよそ18時間の総合、ETVの番組をなにもかも丸ごとネット上で同時間視聴できるほか、追いかけ再生、一週間見逃し視聴もある。
 といっても東京を中心とした関東広域圏での放送がネット上に流れ全国で視聴されることになる。
 民放キー局で最も積極的な日本テレビの場合、午後7時から午後11のプライムタイムの番組をネットに流す計画だ。TBS、フジテレビ、テレビ朝日などでもプライムタイムに限らず、若者が多い深夜帯のドラマ、バラエティーなども配信対象と見ている。TVerという見逃し番組を見る仕組みと連動することになるだろう。
 テレビ放送とは別の視聴者の属性に合わせたターゲットCMをネット上に挿入、新しい収入源にしたいと考えているようだ。視聴者に当面、課金はない。
 民放の本格的送信は一番早い日テレは秋以降とされていたが、試験配信する予定だった東京五輪が消えたので、実施は繰り延べになるかもしれない。
 民放テレビが地方局とキー4局の組み合わせで全国ネットワークとなったのは1960年前後だった。それから60年にわたり地域の情報文化と全国的な情報文化を組み合わせたメディアに成長した。それが「放送と通信の融合」の完成によって、東京情報、東京文化一色になる。地方局は視聴率が低下するおそれにさらされる。
 NHKと民放キー5局に地域情報、地域番組をどう守るのか真剣に検討することを求めたい。
隅井孝雄
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2020年4月25日号

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2020年05月07日

【月刊マスコミ評・放送】かんぽ問題で混迷続くNHK=諸川麻衣

 昨年秋の報道で世間を驚かせた、かんぽ不正を取り上げた2018年4月放送のNHK『クロ―ズアップ現代+』への郵政三社の反発と、それを受けた、経営委による会長への厳重注意処分問題。3月来新たな事実が報道され、問題の深刻さが改めて際立ってきた。
 2018年10月、番組に強い不満を持つ日本郵政の鈴木上級副社長(当時)が経営委に「NHKにおけるガバナンス体制を改めて検証し、必要な措置を講」じるよう求める書面を送った。これを受けて10月23日、経営委員会の「会合」が開かれたが、そこではガバナンス問題だけでなく番組の内容も議論の対象となったというのだ。
 これは「委員は、この法律又はこの法律に基づく命令に別段の定めがある場合を除き、個別の放送番組の編集その他の協会の業務を執行することができない」などと定めた放送法第32条に反する。
 しかも経営委は、この会合の議事録を公開せず、今回報道されてからようやく「議事経過」なるものを公表した。
 さらにその後の報道や国会質疑で、当時の上田会長が件の会合で、「個別番組に関係した形のガバナンスになると対応が非常に難しい」「(経緯が公になれば)NHKは存亡の危機に立たされることになりかねない」と強く反発していたことも明らかになった。
 ところがこの重大な発言は、公表された「議事経過」には載せられていない。
 しかもこの会合の冒頭、経営委員3人からなる監査委員会は、「基本はすべてちゃんと話が会長に上がり、会長指示があってNHKとして動いていた」「協会の対応に組織の危機管理上の瑕疵があったとは認められない」と報告していた。経営委員と監査委員の見解が逆だったのである。
 議事録の公開・非公開を決める経営委員会議事運営規則は、2007年制定当時の経営委員会の決定で非公開とされていた。
 このことが201432国会で問題となり、当時の総務委員会の理事会に提出されたものの、今もって経営委のサイトには掲載されていない。
 これらはいずれも「法律違反」「ガバナンス不全」は経営委の方であることを物語っている。上田会長の当時の行動にも弱点があったと思われるが、前田現会長は定例記者会見で「経営委として番組のことを何も知らないで対応できるのか」と述べ、放送法32条への無理解と自律意識のなさを示した。
 上田前会長の証言による事実のさらなる究明、経営委の刷新は待ったなしである。
諸川麻衣
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2020年4月25日号
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2020年05月06日

「常識・良識」を信じる報道を 緊急事態宣言 強権に頼る必要なし=徳山喜雄

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 新型コロナウイルスの拡大感染を受け、政府は7日、特別措置法に基づく緊急事態を東京、大阪など7都府県に宣言。さらに16日には対象地域を全国に拡大した。実施期間は5月6日まで。
 安倍晋三首相は感染者の急増、医療崩壊への危機的な状況を理由にあげた。知事への権限賦与に伴い、憲法が保障する自由や権利、たとえば教育を受ける権利や営業の自由、移動の自由などの私権を制限することができ、国家による公衆衛生と個人の人権がぶつかりあう事態となった。
小池発言で混乱
 宣言によって、強制的に外出が禁止され、公共交通機関もストップするという誤解が生じ、デマも飛び交った。この無用な混乱の大きなもととなったのが、3月下旬の小池百合子・東京都知事の発言だ。
 記者会見で「ロックダウン(都市封鎖)など強力な措置を取らざるを得ない状況がでてくる」と強調し、聞き慣れない横文字の「ロックダウン」という言葉を連発。「緊急事態宣言」イコール「都市封鎖」という見方が広まり、スーパーに買い物客が殺到した。しかし、日本の法律では、欧米のような強制力を伴う都市封鎖はそもそもできない。
  小池知事が高みから都民や国民を見下ろすように記者会見し、「ロックダウン」の恐怖をあおった姿勢は政治家としていかがなものか。政治ショーともとれる独断的な会見が混乱を招いた。
 報道は小池氏の発言を垂れ流すだけでなく、異を唱えるべきであった。医療従事者やスーパー従業員ら国民の支援にあたる人たちをねぎらい、同じ目線で語りかけることが、いま求められている政治家の姿ではないか。
「正しさ」の衝突
 確かに感染拡大を防ぐためにイベント中止や自宅待機を国民に求めるのは間違っていない。この間、多くの医療関係者らがエビデンスに基づいて訴えた。かたや経済学者らは自粛が長引けば経済が悪化し、場合によれば死者がでるとも指摘した。いずれも正しい見解であろう。異なる「正しさ」の衝突のなかで、いかに民主主義を守る「解」を導きだすのか。
 世界的なベストセラーとなった『サピエンス全史』の著者ユヴァル・ノア・ハラリ氏は、「『全体主義的な監視』と『市民の権限強化』のどちらを選ぶのか」(日経3月31日朝刊)と迫り、「我々にとって最大の敵はウイルスではない。敵は心の中にある悪魔です」(朝日4月15日朝刊)ともいった。
 いまのところ、日本は強権を発動するのではなく「穏やかな抑制」をめざしている。「補償したくないから」ということでなく、情報の透明性をはかりつつ、私権制限を最小限にとどめたいということなら、歓迎したい。
強権に頼らない
 一方で、自民党が憲法改正にあげる「緊急事態条項」を促す動きも活発化している。コロナ禍に乗じる発想は、「火事場泥棒」との批判もある。国民民主党の玉木雄一郎代表は外出規制違反の罰則化など、欧米諸国並みの都市封鎖ができる法整備に言及した。私権制限について野党が先行するという逆転現象は警戒しなければならない。
 直ちに強権に頼る必要はあるのか。大きな災害に繰り返し見舞われ、鍛えられた日本人の「常識」や「良識」を信頼する政治や報道で、この難局を皆で乗り越えたい。
  徳山喜雄
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2020年4月25日号

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2020年05月05日

【支部リポート】 香川 気になる事態が二つ 水道広域化とネット制限条例=はねだ鉱造

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 コロナの恐ろしさが日々身に迫ってくる4月。ほかのことは影が薄くなってしまいがちだが、香川で普通に考えるとおかしいなといえることが二つ始まった。
 その一。水道の広域化。全県の水道を一つの広域水道企業団にして2年、この4月から市町村ごとの事務所を5ブロックにまとめ、料金支払い方も統一した。集金業務は高松、中讃ブロックなどでヴェオリア・ジャパンという世界トップクラスの水を商売にしている会社に委託されている。水道が金儲け仕事になってしまう心配が大きい。
 こういう不穏な事情は、ほとんどの県民に知らされていない。事業団は「お客さんの声はちゃんと聞きます」などと涼しい顔だ。そこで住民側は「いのちの水を守る会香川」(写真)を3月20日に発足させ、企業団との窓口をつくった。先行きは簡単でなかろうがヨーロッパで破綻した水道民営化を簡単に許すわけにはいくまい。
 その二。こちらも全国に先駆けて県議会で成立した「ネット・ゲーム依存症対策条例」が4月1日にスタートした。保護者にスマホやゲームを使う時の家庭内ルール、18才未満は平日60分、休日90分とするなどまことにお節介な県条例だ。いかがなものかと思うのだが「ネットやゲーム依存症対策に向けた県や学校、医療関係者、家庭などの役割をバランスよく目配りできた優れた条例だ」(尾木直樹氏、四国新聞)という見解もある。
 議論が拙速だとして共産党2人、自民党議員会8人が反対、リベラル香川7人が退席するなか、自民党県政会19人、公明党2人、無所属1人の賛成で可決した。
 この問題をめぐっては、パブリックコメントが集められたが最近その原本が開示された。多数を占めた賛成意見に「全く同じ文章が」が何パターンもあったと伝えられる(瀬戸内海放送)などおかしなことがまた明らかになった。
 コロナの陰に捨て置いてよい問題ではない。さてどう攻めようか。
  はねだ鉱造
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2020年4月25日号

posted by JCJ at 15:24 | 中国・四国 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年05月04日

【月刊マスコミ評・新聞】 コロナ禍の差別や偏見に警鐘を=徳山喜雄

 感染拡大が続く、見えない新型コロナウイルスの脅威は、社会に溶け込んだ差別や偏見をあぶりだすことにもなった。
 例えば、近畿などの感染者増加地域を往来する長距離トラック運転手2世帯の子ども計3人に対し、愛媛県内の市立小学校の校長が登校しないように求めていた。
 3人の体調に問題はなかったが、いずれも4月8日の 入学式と始業式を欠席した。市教委は対応の誤りを認め、陳謝した。毎日が10日朝刊で伝えた。
 読売11日朝刊は医療従事者への差別に着目。筑波大の高橋晶准教授に話を聞き、「感染リスクの最前線に身を挺して立ち、緊張を強いられている。中傷や差別は最もつらいことで、悲しみや落胆を生み、抑うつ状態まで招きかねない。
 国民の支援にあたる人たちをねぎらい、支えなければ、長期にわたるウイルスへの対応を乗り切るのは難しい」と警鐘を鳴らした。
 子どもを対象に備蓄マスクを配ることにしたさいたま市は、同市大宮区にある埼玉朝鮮初中級学校の幼稚部(園児41人)を配布対象から外した。幼稚部の関係者らが市に抗議すると、担当者が「(マスクが)転売されるかもしれない」との趣旨の発言をしたという。
 抗議が相次ぎ、最終的には朝鮮学校にも配布されたが、ジャーナリストの安田浩一氏は「マスク騒動≠ヘ終わっていない」と訴える。「〈マスクが欲しければ国に帰れ〉〈浅ましい。厚かましい〉〈日本人と同じ権利と保護があると思っているのか〉/いま、怒声交じりの電話や罵詈雑言を連ねたメールが同園を襲っている」と東京3月27日夕刊に投稿した。
 命にもかかわるコロナ渦のなか、同じ地域に住む幼稚園児を国籍や人種で差別する発想は、役人の四角四面の政策運営といったものではなく、社会に沈殿した差別や偏見が浮かび上がったように映る。
 見えない脅威からの不安を感じると、誰もが過度に落ち込んだり、他人を攻撃したりすることがある。この間、アルベール・カミュの『ペスト』が新聞報道でよく引用された。登場人物の「かかっていない連中まで心は感染している」との言葉は、言い得て妙だ。
 ただ、全体的に記事量は多くない。コロナ禍による差別や偏見を、対策とともに繰り返し報じてほしい。  
徳山喜雄
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2020年4月25日号


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2020年05月03日

【今週の風考計】5.3─やっと気づく「名もなき家事」の大変さ

★73回目の憲法記念日、コロナ禍を奇貨として、安倍首相は憲法に「緊急事態条項」を新設せんと躍起になっている。トンデモナイ。まず憲法第25条に謳われている「生存権、国の社会的使命」に従い、しっかり国民の命と生活を守る政策の推進に全力を挙げるときだ。
 国民に外出自粛や休業要請など忍耐ばかりを押しつけ、補償や医療の拡充には躊躇する。何やってるんだ!と、怒りをテレビにぶつける機会が多くなった。

★まず朝は8時からテレビ朝日の<羽鳥慎一モーニングショー>に釘付け。岡田春恵先生の悲痛な訴えに頷き、コメンテイター・青木理さんの深い政治的・社会的な背景への言及、さらに玉川徹さんの「PCR検査を徹底実施せよ」との呼びかけ、一つ一つに納得する。
★国会中継があれば、NHK 1チャンに回す。そして昼は家食しながら、7チャン・テレビ東京の<昼めし旅>へ。日本各地を歩いて突然に「あなたのごはん見せてください」と声をかける。その時の戸惑う顔、そして断る人に対しての失望感、それらが交錯しながらも、OKしてくれた家庭や仕事場の日常のごはんが並ぶシーン、見入ってしまう。
 コロナが収まったら、あの地に旅してみよう。そして土地の魚介や野菜を用いた料理を食べてみよう、夢が膨らむ。

★昼のワイドショーは各チャンネル、どこも似たり寄ったり。見る気が起きない。代わりにパソコンを開いてテレワーク、あるいは読書、あるいは遊歩道を使っての散歩。
 そして晩酌前の時間は、BS朝日・5チャンの<新必殺仕事人>に胸おどらす。ついに5月1日、全55話の最終回「主水仕事仕舞いする」で終わりとなった。
 毎回、江戸に生きる庶民が、お役人や家老・豪商らの邪まな欲と金の犠牲になり、理不尽にも殺される。そこへ藤田まこと演じる中村主水を始め、鮎川いずみ演じる加代など、必殺の武具や聞き込みを駆使する個性豊かな仕事人5人が、闇の黒幕をせいばいする。気持ちがスカーッとする。
★NHK・BSテレビ1チャン<駅ピアノ・空港ピアノ>もいい。世界の空港や駅に、誰もが“自由に弾けるピアノ”が置かれている。人々が立ち寄り、自分の好きな曲を弾き、行き交う人が耳を傾ける。一台のピアノから生まれる“一期一会”の感動が、人種や国境の隔てなくジワーッと伝わってくる。

★ここまでくると、テレビ漬け三昧、もうグータラ男の典型じゃないか。妻に「ゴミ捨て当番」は任せたといわれて、分別作業の煩わしさを思い出し、ムカーッとくる場合じゃない。妻のイライラの火種は「名もなき家事」の多さにある、それに気づかない自分の愚かさを知る。
★食べた食器は台所へ、そして洗う。脱いだ服は片づけ、「○○シッパナシ」を止めよう。テレビ見すぎ男の反省しきり。(2020/5/3)
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2020年05月02日

【隅井孝雄のメディアウオッチ】 トム・ハンクス夫妻 抗体もつ血漿寄付、ビル・ゲイツのワクチン年内にも

       2004 Tom hanksIMG_0110.jpg
  CBSやCNNなどアメリカのテレビが伝えるところによると、俳優のトム・ハンクスさんと妻のリタ・ウイルソンさんは被患から完全回復、体内に免疫ができている、と告げられた後、リサーチに役立ててほしいと、二人の血漿(plasma)を寄付する、と語った(4/27)。
 二人の血漿から新型コロナウイルスの抗体ワクチンを作ることができる。ハンクスさん自身、ワクチンが出来たら「ハンクチン(ハンク+ワクチン)」と名付けたいと笑顔で述べた。
 トム・ハンクスさんは3月下旬映画の撮影でオーストラリア滞在中に新型コロナヴァイラスに感染、現地で12日間隔離されたのち、3月下旬アメリカに戻ってからも自主隔離中だ。ちなみに出演する予定の映画はエルヴィス・プレスリーの伝記映画で、名物マネージャー、トム・パーカー大佐役で出演交渉を受けているという。
 自宅にいるトム・ハンクスにはメディアからの接触が多く、4月11日には再開された「サタデーナイトライブ」に自宅からサプライズ出演、また公共ニュースラジオNPRでコロナ体験を語る一方、「コロナ」君との名を持つためにいじめにあっているオーストラリアの8歳の少年に励ましの手紙と「コロナ」社タイプライターを送るなど、話題を提供している。
 ワクチンは病原体から作られる抗原で、18世紀末、天然痘が流行した際、イギリスの医学者、エドワード・ジェンナーによって開発され、種痘を実用化した。今では天然痘の病原菌は絶滅した。
 新型コロナウイルスはなかなか手ごわい相手。致死率が高く、拡散も2人から3人と指数関数的。SARSの1/4の時間で10倍の症例を引き起こすという、これまでになかった厳しさだ。ワクチンを作り出す努力がさまざま続けられているなかでトム・ハンクスの「血漿寄付」は朗報だ。
 アメリカではセレブが次々に立ち上がっている。メリンダ・ビル・ゲイツ財団は「ワクチンと予防接種世界同盟」(GAVI)と連携し、7種類の異なるワクチン製造施設を運営しており、その中で安全性が高く、しかも新型コロナコロナに対し最も有効なワクチンを生み出そうと努力し、すでに数十億ドルを投じているという。年内にもワクチンを手にできるかも。
 トム・ハンクスやビル・ゲイツを見ていると、日本の大企業、財界のトップ、金持ちセレブたちの動きがにぶいと思う。
 ちなみにトム・ハンクスの映画で私の好きな作品は「ユー・ガット・メール」、「プライべート・ライアン」などだ。
隅井孝雄(ジャーナリスト)
       2004 Bill GatesIMG_0111.jpg
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2020年05月01日

【沖縄リポート】 不要不急の辺野古工事なお強行=浦島悦子

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  新型コロナウイルス感染が沖縄でも日を追って拡がる(4月16日現在で感染者94人、死亡1人)なか、政府の緊急事態宣言や国交省の公共工事自粛要請にもかかわらず、防衛省は「不要不急」の辺野古新基地工事を強行している。
 座り込み現場では、高齢者の多い参加者を、若い機動隊員が3人がかりで抱えて移動させ、海では海上保安官がカヌーメンバーを身体拘束する「濃厚接触」が、日に何度も繰り返される。
 危機感を募らせた名護・ヘリ基地反対協議会とその海上行動チーム(「辺野古ぶるー」)は4月8日、沖縄防衛局を訪れ、工事の即時中止とゲート前警備員へのマスク支給を求める申し入れを行った。
 対応した同局の梅谷晋平・調達計画課長補佐は「辺野古移設が危険性除去の唯一の解決策。引き続き工事を着実に進めていく」と、判で押した従来同様の回答。「今一番の危険はコロナだろう!」と怒りの声が上がる。
 私は「沖縄戦や米軍占領を体験した年配者たちは、子や孫の未来のためにと感染リスクを冒して参加せざるを得ない」と訴えたが、彼の心にどのくらい響いただろうか。
 軟弱地盤の存在がわかって取りやめた契約(工事)に約81億円もの血税が支払われたことが報道されたばかり。無駄な公共工事の極みである新基地工事の費用をコロナ対策に!と強く要請した。
 13日、「辺野古新基地を造らせないオール沖縄会議」と沖縄選出国会議員団も沖縄防衛局に工事中止の要請を行ったが、答えは同じ。自分たちの命は自ら守るしかないと、オール沖縄会議は14日、翌15日から5月6日までの辺野古・安和・塩川及び海上での抗議行動の休止を決定した。
 組織的な活動は休止となったが、工事が中止されない限り、やむに止まれぬ思いで現場にはせ参じた人々が今日も抗議を続けている。受注業者の一つ・五洋建設にも感染者が出ており、工事の継続は無理だろうとの観測もある。
浦島悦子
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2020年4月25日号

posted by JCJ at 14:52 | 九州・沖縄 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする