2020年05月17日

【今週の風考計】5.17─検察定年延長─「天ぷら屋」議員の罪と罰

先週8日に審議入りした検察官定年延長法案は、今週が大きな山場を迎える。これもツイッターでの抗議の声の高まりが、ここまで追い込んだのだ。
そもそも法案提出の根源は、<安倍政権の守護神>黒川東京高検検事長を検事総長に就かせたく、彼が2月8日の63歳の誕生日をもって検察官の定年を迎え、検察庁を去るにも関わらず、わざわざ彼のために定年を6か月間、延長する暴挙を閣議決定したことに始まる。
 しかも、これまで40年近く、政府は「検察官に国家公務員法の定年延長は適用されない」としてきたにも関わらず、国家公務員法の定年延長を適用するという牽強付会な「つじつま合わせ」に加え、検察官の人事権まで内閣が握ろうとする企ての悪ドさである。

「検察庁法改正案」は、検察官の定年を63歳から65歳に引き上げるほか、63歳の段階で役職定年制が適用されるが、内閣あるいは法務大臣が必要と判断した場合は、最長3年の延長ができるという内容だ。
 つまり三権分立と司法権の独立が脅かされ、内閣が検察人事に介入できる重大な問題なのだ。しかも国家公務員法改正案などを含む10本の法案を一括した「束ね法案」にして、本丸の「検察人事への介入」の狙いを隠す巧みな戦術で、法務委員会ではなく内閣委員会で審議させている巧妙な仕掛けがある。

弁護士ら1500人が法案への反対声明を出したのに続き、ついに元検事総長を含む検察OBが法案に反対の意見書を提出する異例中の異例の行動に出た。その内容の高邁な趣旨を熟読玩味しておきたい。安倍首相の2月13日衆院本会議での発言に対し、
<本来国会の権限である法律改正の手続きを経ずに内閣による解釈だけで法律の解釈運用を変更したという宣言であって、フランスの絶対王制を確立し君臨したルイ14世の言葉として伝えられる「朕は国家である」との中世の亡霊のような言葉を彷彿とさせるような姿勢であり、近代国家の基本理念である三権分立主義の否定にもつながりかねない危険性を含んでいる>
と表明し、<黒川検事長の定年延長閣議決定、今回の検察庁法改正案提出と続く一連の動きは、検察の組織を弱体化して時の政権の意のままに動く組織に改変させようとする動き>と指摘している。

ところが自民党議員からは、「数で押し切れ、時間がたてばホトボリも冷める」の声に加え、「官邸から出されたモノは早くあげるのが仕事」と、「天ぷら屋」の「揚げる」にひっかけて法案処理に急ぐ議員までいる。
 呆れるのは内閣委員会で審議中に、タブレット端末で動画を見たり小説を読んだりしている自民党議員までいる始末。
 果ては「強行採決は自殺行為」と述べる同僚議員を内閣委員から外し、政権に追従する議員に変えるなど、内閣をチェックする国会の責務など、どこ吹く風だ。
公明党も同じ穴のムジナ。山口那津男代表のツイッター<法案の趣旨につき政府として説明責任を>には、批判の声が殺到している。「政権与党の一員として、自ら説明されたら」、さらに「10万円給付の時のように、安倍首相に直談判しないのはなぜ」など、同感だ。
 衆議院内閣委員会に出席している公明党の3議員は、「三権分立」の責務、果たされていますか。どこまで安倍政権に、下駄の雪のようについていくのですか。(2020/5/17)
posted by JCJ at 10:00 | 【今週の風考計】 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする