2020年06月11日

真実つかむ取材を 報道の自由 ネットセミナー=須貝道雄

            瀬川牧子さん.jpg
 国連が定めた世界報道自由デー(5月3日)にちなむネット上のセミナーが9日、会議システムzoomを使って開催された。法政大学の坂本旬教授を中心とした実行委員会の主催で、JCJも協力。大学のゼミ生を含めて約130人がパソコンやスマホで視聴した。
 セミナーでは「国境なき記者団」の日本特派員、瀬川牧子さんが「緊急事態宣言と強化される情報統制」のテーマで話をした。強調したのは、日本と海外とでは「全くメディア文化が違う」ことだった。
ルール破りOK
 例えば日本のメディアは、延期になった東京五輪を「復興五輪」と称してプラスイメージで報じ、マイナス面をほとんど取り上げていない。
 これに対し、瀬川さんが取材に協力したノルウェーやスウェーデンの記者は異なった。彼らは「五輪を揶揄(やゆ)するため、福島の問題をもっと取り上げる」という狙いで来日している。「英国の記者たちもバーっと福島へ行く。五輪をやじりたいためだ」。ロンドン五輪(2012年)の際には、ホームレスの記事を書いて「五輪をやっている時ではない」と批判する英国メディアもあった。
 2012年1月に、仏メディア「フランス24」のジャーナリストが福島原発から20`圏内の立ち入り禁止区域に潜入し、警察に逮捕されたことがあった。国境なき記者団はパリの日本大使館に抗議したという。その理由は「潜入させるほど、記者に(報道の)自由を与えなかったのは日本政府の責任」だからだ。
 「国境なき記者団にとって、真実をつかむためにルールを破るのは全くOKなんです。ジャーナリストはトラブルメーカーでなければならない。やばい、えぐい話を取材し、報じてほしい」と呼びかけた。
 次に登場したのは毎日新聞社会部の大場弘行記者で「報道の自由と公文書・情報公開」の題で講演した。毎日新聞は18年1月から「公文書クライシス」のキャンペーン報道を続けている。
 話題にしたのは、東京・霞が関の官庁街で「闇から闇に消える文書」の存在だった。例えば「総理のご意向」の字句で有名になった文科省から出た文書。これは一般に「レク資料」と呼ばれ、官僚たちの証言によれば、まぎれもない公文書でありながら、口頭説明の一部として扱われ、表向きは存在しないことになっている。
数億通のメール
 「ベタ打ちメール」も公文書として扱われていない。ベタ打ちとは、添付ファイルに書くのではなく、メールの画面にベタベタ字を打ち込むことから付いた名だ。ベタ打ちメールは一つの省庁で年間数千万から数億通に上るという。加計学園問題でも重要なメールがあった。
 もう一つ、大きな問題は公文書を束ねたファイル名をわざと抽象化し、中身をわからなくする手法があることだ。検索が難しくなり、情報公開請求がやりにくくなる。
 防衛省はイラク復興支援に関する文書のファイル名を「運用一般」と表記し、南スーダン派遣の文書を「注研究」、セクハラに関する報告を「服務指導」としていた。その結果、異動で担当者が変わると、何の文書がファイルされているかわからず、自衛隊のイラク日報を捜しきれず、後から見つかるということも起きたと話した。
            大場弘行さん・毎日新聞.jpg
須貝道雄
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2020年5月25日号

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2020年06月10日

【リアル北朝鮮】 劇的演出で噂払しょく 浮上する金与正後継者説=金聖姫

 今回の「金正恩重体説」騒ぎを見て、34年前の出来事を思い出した。「金日成死亡説」である。1986年11月、金日成主席が死亡したというニュースが世界中を駆け巡ったが、彼が訪朝したモンゴルのバトムンフ人民革命党書記を空港に出迎えたことで打ち消された。
 金主席死亡説が飛び交う間も北朝鮮は沈黙を守っていたが、これ以上ない劇的な演出で噂を払しょくして見せた。中国やロシア(当時はソ連)の指導者でもない、モンゴルの指導者を金主席が空港まで出迎えるのは異例だった。北朝鮮が噂を意識したのは間違いなかった。
 4月12日以降、動静が途絶えていた金正恩朝鮮労働党委員長は、5月1日、平壌の西北にある平安南道・順川の肥料工場竣工式に出席し、健在をアピールした。
 金委員長に関しては、15日の故金日成主席の生誕記念日に遺体が安置されている錦繍山太陽宮殿に参拝したことが報じられず、にわかに動静が注目された。20日には韓国のインターネットサイト「デイリーNK」が「12日に心血管系の手術を受けて療養中」と報道。翌21日には米CNNが「重体説」を報じたことで、「金正恩重体説」が世界を駆け巡った。だが、34年前と同様、金委員長が公の場に姿を現すことで北朝鮮は噂に「答えた」。
 そもそも、外部で騒いでいただけで、北朝鮮では特異な変化は見られなかった。韓国政府も否定していた。北朝鮮は外部が騒いでいるからといって、いちいち反応する国ではない。1日に肥料工場竣工式に姿を現したのも、日程を粛々とこなしたと言えなくもない。もちろん、世間の噂は十分に意識していただろうが。
 今回の「重体説」でにわかに浮上しているのが、妹の金与正氏(朝鮮労働党第1副部長)後継者説だ。1日の竣工式では、金委員長の二人目横に座るなど、権威が高まっていることをうかがわせる。4月11日の党中央委員会政治局会議では、政治局委員に返り咲いた。今後の動きが注目される。
 文聖姫(ジャーナリスト・博士)
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2020年5月25日号

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2020年06月09日

【スポーツ】 プロ競技が手探りで再開=大野晃

  新型コロナウイルス感染症拡大防止の緊急事態が全国的に解除され、イベント自粛の緩和で、いよいよプロ野球が6月19日に、3カ月遅れて開幕する。
 中断していたサッカーJリーグのJ1も7月4日に再開され、大相撲は名古屋場所を東京・両国国技館に移して7月19日初日が予定されて、ようやくプロ競技が再開へ向かう。
 しかし、政府や自治体の解除基準があいまいなまま、感染爆発の第2波が懸念される中、感染防止策を徹底した無観客での、手探りの再始動である。
 プロ野球は6月2日から練習試合が行われているが、交流戦やオールスター戦が中止されたものの、120試合を実施する予定で、6連戦も行われ、Jリーグも予定された日程を消化するというから、練習不足が否めない状態で、過密日程によるケガを注意しながらの厳しい争いになりそうだ。
 お目当ての競技者や球団の真剣勝負が待ち遠しかったファンには、テレビ観戦だけでも朗報に違いない。
 来年に延期された東京五輪の日本代表たちは、国立トレーニングセンターなどでの練習を再開し始めた。
 しかし、濃厚接触が多い格闘技などは制限された鍛錬にとどまり、ラグビーは世界機構がスクラムを減らすなどの試験的ルールでの試合を求めたほどで、競技特性による練習、試合の再開条件の格差が広がった。
 一方、高校スポーツは、夏の全国高校野球が79年ぶりに中止され、秋までの日本一争いは全競技で消えた。授業再開でも、部活動の制限は続く。
  トップ競技者に競技生活が戻り始めたとはいえ、一般国民のスポーツ活動は、施設の再開があったとしても、自由な楽しみは、まだまだ先の話だ。
  日本以上に感染が拡大している欧州で、サッカーのプロリーグ再開が急がれたのは、国民生活に不可欠な存在としてスポーツがあったからだろう。
  日本でも、プロ競技の再開を目にした国民が、日常が戻りつつあると実感すれば、スポーツの生活定着化には大きなバネとなりそうだ。
大野晃(スポーツジャーナリスト)


posted by JCJ at 10:40 | スポーツ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年06月08日

【月刊マスコミ評・出版】 接触よりも感染機会削減を=荒屋敷 宏

 「惨事便乗型資本主義」を問う好機なのかもしれない。医療や福祉を切り縮めてきた社会の弱点を、新型コロナウイルスの感染拡大が鋭く突いているからだ。とはいえ、改憲や検察官の定年延長にうつつをぬかす安倍政権のもとで、出版メディアは、雑誌の発行に苦闘している。
 ツイッターで盛んに発信している英インペリアル・カレッジ・ロンドン免疫学准教授の小野昌弘さん、京都大学ウイルス・再生医科学研究所准教授の宮沢孝幸さんを登場させた「Voice」6月号の売れ行きがよい。
 同誌で小野さんは、「『夢遊病国家』から脱却せよ」、宮沢さんは、「経済活動は「『一/一〇〇予防』で守れる」と題する論考を寄せている。
 小野さんは、「検査が少ないと批判される英国でさえ、一日で二万人近くを検査しており、検査結果に基づいた統計をデータ活用している。一方日本は十分な検査体制もとれないまま、すでに中盤戦に突入している。この現状はじつに危うい」と指摘している。日本の姿勢については「英国人ならば『夢遊病者のように歩きこむ』というであろう」と辛辣に批判した。
 一方、宮沢さんは、「問題なのは、人類にとって新型コロナウイルスは新種であるため、人口の六〇%がこのウイルスに対する免疫を獲得しないと終息しないことが予想されている点だ」とする。いわゆる「集団免疫」の立場である。宮沢さんは、個人がウイルス感染の原理原則を理解し、接触機会よりも感染機会を削減する努力に期待を寄せている。
 個人の努力でコロナ禍を乗り切れるほど現状は甘くはない。重要な提言をしているのは、「世界」6月号である。同誌で「生存のためのコロナ対策ネットワーク」は、コロナ危機が「生存権を否定し大企業と富裕層のための経済成長を追求する日本社会の構造と、無関係ではない。それどころか、密接にかかわっている」と分析している。そのうえで、「すべての人の生存保障を実現することなく感染拡大の防止は不可能である」との基本認識に立つ「生存する権利を保障するための31の緊急提案」を発表している。
 「現代思想」5月号の緊急特集「感染/パンデミック」は、読み応えがあった。塚原東吾さんの「コロナから発される問い」は、科学史の立場から感染症との闘いや共存の歴史の論点を整理し、「歴史の深い部分からの再検証」を要求している。すべてを疑い、問い続けることは、本来、ジャーナリストの役割でもあるだろう。 
荒屋敷 宏
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2020年5月25日号

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2020年06月07日

【今週の風考計】6.7─コロナ禍での税金「ゴートー」を許すな!

第2次補正予算案32兆円の審議が国会で始まる。とりわけ異常な予備費10兆円のうち、依然として5兆円の使いみちは不透明なまま。
 第1次補正と合わせれば、今年の総歳出は160兆3千億円にふくらむ。発行する新規国債は過去最大90兆円、世界の中でも突出している。
さらに深刻なのは、コロナ禍のどさくさに紛れて、ズサンな予算執行が「税金の浪費」、いや「コロナ禍での焼け太り」を、横行させている事態だ。
 一例が「持続化給付金制度」の運営である。コロナ禍にあえぐ中小企業の経営を助けるため、最大200万円の資金を給付する制度が、食い物にされているのだ。
 経産省は給付手続き業務を、一般社団法人「サービスデザイン推進協議会」へ769億円で丸投げした。この法人、電話にも出なければ、3年にわたって決算公告すらしていない。役員には広告大手の電通や人材派遣業では大手のパソナから、出向した社員の名が並ぶ。

この法人、経産省の公募に応じて給付事業を落札した。ところが、この法人、20億円を懐にしまい込み、残りの749億円で電通に丸投げ。しかも電通は即座に子会社5社へ645億円で外注している。少なくとも電通本社だけで計104億円の利益を得る見通しだ。
なかでも電通本社から約550億円で、給付金の受付やコールセンター業務などを請け負った電通ライブ社は、本社に倣って、ちゃっかり旨い汁をすする。
 手際はお見事! この業務をまたも500億円で、竹中平蔵氏が関与するパソナやIT企業の大手トランスコスモス社などに外注したのだ。かくして電通ライブ社は50億円を手にする勘定だ。
 まさに外部へ業務を移すたびに、ピンハネ金が懐に入りこむ仕掛け。税金を使った「コロナ肥り」のあくどさ。

政府は、今回の2次補正予算案で、給付対象を広げ1兆9400億円の援助金を積み増し、その業務委託費として850億円を計上している。またもこの公金が「サービスデザイン推進協議会」から電通へ、そこから子会社を経て、お仲間企業へ流れ、そのたびに税金が中抜きされるかと思えばゾッとする。
これだけではない。2年前に経産省が認可した一般社団法人「キャッシュレス推進協議会」も、電通が絡む別のトンネル法人と指摘されている。この5%ポイント還元事業(補助金339億円)の事務局を担う上記法人から、電通は307億円の業務を受託している。

「GoToキャンペーン」にも、不透明な運営に批判が噴出している。観光・飲食業者を支援する事業総額1兆6794億円のうち、2割を占める3095億円が事務委託費に充てられている。
 この金額の大きさや委託先公募への疑問から見直しが決まった。しかし、キャンペーン「GoTo」、これまた税金の「ゴートー」と読み替えたくなるほど、怪しい雰囲気が漂う。
「アベノマスク」ではないが、安倍首相の最側近である経産省出身の補佐官の意向などで、税金が恣意的に使われてはたまらない。
 ちなみに電通は安倍首相が政権に復帰した2012年〜18年に、自民党の政治資金団体へ計3600万円、それ以前には地元の山口県選挙区支部に3回・各10万円の計30万円、献金していた。なお昭恵夫人は、かつて電通の社員でした。(2020/6/7)
posted by JCJ at 08:35 | 【今週の風考計】 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年06月06日

【月刊マスコミ評・新聞】 政治と経済のひずみが露わに=山田明

 新型コロナウイルスの感染拡大を受けた緊急事態宣言が、全国で延長された。先が見えない自粛・休業のもとで、閉塞感が日本社会を覆う。普段見えにくい社会の病理、政治経済のひずみが、露わになっている。
  毎日5月5日社説は長期化に向き合う支援として、政府や自治体にきめ細かな対応を求める。朝日社説も長丁場想定し戦略描け、休業要請等によって収入の大幅減や雇用不安に直面する人への支援とともに、医療体制の充実は引き続き最重要課題だと指摘する。
 「遅すぎ、少なすぎる」と批判が絶えない安倍政権のコロナ対策。その一方で、東京や大阪など地方自治体の取り組みに注目が集まる。大阪府は自粛解除の3基準、「大阪モデル」を発表した。大阪日日新聞6日によれば、府専門家会議座長は「経済と医療の兼ね合いで作った指標」、知事は「政治判断」と述べ、記事には 「経済立て直しに焦り」の見出し。
 大阪ではメディアに連日登場する吉村知事が脚光を浴び、全国的にも維新の支持率が急上昇している。安倍政権の施策を批判して、「大阪モデル」を打ち出し、それをテレビなどが異常なほど持ち上げる。関西メディアの責任は大きい。国政の場を含めて、維新の動向を注視する必要がある。
 コロナ危機は社会的弱者の暮らしを直撃する。それと次代を担う子どもや若者への長期にわたる影響が懸念される。とりわけ4月に入学した生徒や学生たちの状況が気にかかる。こんな中で「9月入学」が検討されている。前川喜平・元文部科学事務次官は「今ではない 早期の学校再開へ力注げ」(朝日10日)と強調する。
 教育だけでない。コロナ禍の混乱に乗じて、緊急事態条項など憲法改悪の動きも見られる。国会では、検察庁法改正案審議が与党と維新により強行された。内閣の判断で、検察庁幹部の定年延長を可能にするためであり、火事場泥棒の最たるものだ。数多くの弁護士が反対をアピールし、ツイッタ―での抗議署名は数百万に達している。
 新聞はコロナばかりだが、毎日5日の3本の特集が心に残った。2面全体を使った「廣島からヒロシマへ被爆75年」、「ヤングケアラ―反響特集」、それに「沖縄の光と影伝える」地域特集である。
 コロナ禍の新聞報道を注視していきたい。    
 山田明
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2020年5月25日号

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2020年06月05日

【リレー時評】 近づく沖縄県議選 二つの大きな変化=米倉外昭

            米倉外昭201504.JPG
 新聞編集の現場では全国各地の注目選挙をどう扱うかで悩む。結果にもよるが、それなりの扱いをと考えている。しかし、ゲラを見てため息をつくことが多い。投票率があまりにも低いからだ。
昨年8月の埼玉県知事選は4野党が支援した大野元裕氏が当選した。投票率はやや上向いたというが、32・31%だった。
 与野党相乗りの現職が当選した2月の京都市長選は、共産とれいわ新選組推薦の新人が善戦したことで注目されたが、投票率は40・71%。前回を5ポイント上回ったという。そして、コロナ禍のさなかの4月26日投開票の衆院静岡4区補選は34・10%だ。
  地方の選挙でも、国政の行方や全国世論に新しい潮流が生まれるかどうかを占えそうな場合は注目される。しかし、はっきりしているのは、都市部の選挙では有権者の過半数、ひどい場合は3分の2強が投票に行かないという事実だ。
 沖縄県議選(定数48)が5月29日告示、6月7日投開票で実施される。県知事選に次いで、沖縄の進路を決定づける重要選挙である。
 沖縄県議会は現在、辺野古新基地に反対する玉城デニー知事の与党が25議席で過半数を維持し、野党14、中立6、欠員2という状態である。
 今回、二つの大きな変化がある。自民党が辺野古新基地容認を明確に掲げる。これまでの知事選や国政選挙、昨年2月の県民投票で示された辺野古新基地反対の民意が、どう県議選に表れるのか注目だ。
 もう一つは、県議会で4議席を有する公明党が立候補予定の4人のうち2人の出馬を見送ったことである。コロナ禍の中で選挙運動はできないという理由だ。自民党が狙っていた与野党逆転が難しくなったことは間違いない。
 沖縄の公明党の選択は、県政奪還より命が大事というもの。安倍長期政権の下で改憲などを巡り自公のずれが目立ってきている。自公連立体制の行方に影響を与える動きかもしれない。
 沖縄県議選の投票率は近年、かろうじて50%台を維持している。これ以上下がってほしくない。投票率を上向かせることも、沖縄の民意を全国、世界に示すために重要だ。
 新聞はじめメディアは、民主主義の根幹をなす選挙の投票率向上を使命としてきた。今回も、若い世代にも関心を持ってもらえる紙面にしようと努力している。
 しかし、若者の新聞離れと選挙離れは連動しているようだ。沖縄県選管の抽出調査でも、若い世代ほど投票率が低く、20代は40%を切っている。
 そんな中、今回、深刻なコロナ禍の中で新聞が熱心に読まれている。また検察官定年延長に反対する世論が大きく盛り上がっていることにも希望を感じる。正確な情報を、批判精神を持って伝える健全なジャーナリズムが復権するチャンスにし、選挙の投票率向上にもつなげたいものである。
米倉外昭(JCJ沖縄世話人)
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2020年5月25日号

posted by JCJ at 11:15 | <リレー時評> | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年06月04日

【焦点】 日本政府が韓国市民団体のウガンダ計画を中断に追い込んだ!?=橋詰雅博

 韓国市民団体「日本軍性奴隷制問題解決のための正義記憶連帯」(正議連)の前理事長で与党「共に民主党」国会議員・伊美香氏(ユン・ミヒャン)の同団体不正金疑惑の一つとしてアフリカ・ウガンダでの「金福童」センター設立事業の中断があげられている。事の真相はさておくとして、これを中断させたのは日本政府という見方がある。
 昨年の1月に亡くなった金福童さんは旧日本軍慰安婦被害者で長年、女性人権運動家として活躍。同団体はその功績をたたえ、世界に人権と平和のメッセージを発信する目的で金福童センター設立事業に取り組んできた。内戦下で戦時性暴力被害が起きたウガンダ北部のグル地域に同センターを建設するため昨年6月から募金活動を開始した。2億ウォン(約1700万円)を集め、広さ1万4500坪の土地を購入した。
 日本軍「慰安婦」問題解決全国行動共同代表の粱澄子さん(ヤン・チンジャ)さんは、今年2月24日発行「全国行動ニュース」の中で日本政府の動きをこう書いている。
市長は態度を一変
〈正議連の支援を受けセンター運営に当たる市民団体「ゴールデン・ウィメン・ビジョン」(GWV)をそれまで支援していた市長が、11月の竣工式前から施設内に日本軍「慰安婦」歴史館が含まれることがあったら建設を許可できないとGWVに圧力をかけ始めていたという。2019年上半期にGWVらを訪ねた日本大使館員は正議連について悪宣伝をおこない、連帯するのを止めたら支援するという話をして行ったと聞いていたため、このようなウガンダ行政当局の背後に日本政府の圧力があることは明らかだった〉。
 状況を打開するため正議連とGWV代表シルビアさんが市長室を訪ねた。机の上には日本政府からきたと思われる文書が置かれていた。
嘘をつくなと恫喝
 市長はセンターの名前は何か、慰安婦問題が含まれるのかなどを質問。シルビアさんらの説明を聞いた後、市長は〈嘘をつくな、自分はメールをもらった、正議連はウガンダに平和の少女像を建てるために来たのだと言い、なぜ日本軍「慰安婦」問題を持ち込んで紛争をつくるのかとシルビア代表を責め立てた。話の途中、日本政府によるウガンダ政府への支援額も飛び出し、グル地域では日本政府が道路建設するなどにお金を出していることも話した。そしてついにGWVの法人登録を取り消すとまで言い出した〉。
 結局、正議連はウガンダでの「金福童センター」計画を中断。伊美香代表は米国に同センターを建てると宣言したが、コロナ禍などによりこの計画は頓挫している。
 粱さんは、このような日本政府の恥ずかしい妨害活動をやめさせるべきだと訴えている。
 メディアはあまり報じないが、日本の外務省が平和の少女像など慰安婦メモリアル設置をしようとする欧米やアジアの各国で阻止活動しているのは有名な話だ。ウガンダでの出来事もその一例ではないだろうか。
橋詰雅博
posted by JCJ at 14:00 | 焦点 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年06月03日

【隅井孝雄のメディアウオッチ】 コロナと共存図る欧州 新しい社会実現できるか

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  5月4日安倍首相は緊急事態宣言を5月31日まで延期すると発表した。その後、21日には京都、大阪、兵庫の3府県を解除、続いて31日を待たず、北海道、千葉、埼玉、東京、神奈川でも解除基準を満たしているとして、25日に解除した。少人数イベント(お茶会、劇場、映画館、歌唱を伴わない演奏会、学習塾など)は5月延長時に認められていた。
諸外国から批判集中
 日本は、対応の遅れが目立つ。国際的にはPCR検査が極端に遅れているため、新型コロナウイルスの実態がつかめていないことが原因だというのが定説となっている。
 海外メディアは真っ向から日本政府の政策を批判している。「日本はPCRの検査の少なさい。日本のやり方は症状の軽い感染者を特定し、追跡することを困難にしている」(英紙ガーディアン5/4)と指摘した。4/23に外務省が海外メディア向けに開いた記者会見では、「もっと多くの市中感染があるのではないか」などの質問が1時間にわたって続いた。また韓国の「ハンギョレ新聞」(4/30)も「日本政府は韓国の防疫の成功を無視し、軽んじている」と批判した。(朝日新聞5/8の記事より)。
欧州感染症と共存へ
 安倍首相が緊急事態宣言を延長した5月4日のその同じ日、イタリアで製造業や飲食店の持ち帰り営業が再開され、ローマの地下鉄にも通勤客が戻った。またドイツでも5月6日 メルケル首相がロックダウン(都市封鎖)を段階的に解除すると発表、全店舗の営業再開、し、博物館などの文化施設も再開について16の州との協議を始めた。サッカーリーグの再開を認められたことをファンは歓迎している。
 もちろん2次感染の危険はぬぐえないが、メルケル首相は再封鎖するかどうかを、16州に個別の判断に任せる意向だ。
 フランスのフィリップ首相は、5月11日強制外出禁止措置を終了するにあたって、「我々はウイルスと共に生きる道を学ばねばならない」と語った。イタリア首相も「イタリア経済を再開させる唯一の道はウイルスと共存することだ」と語った。歴史踏まえた発言だ。
個人情報に問題残る
 新型コロナウイルスとの戦いには終わりが見えない。感染の拡大に歯止めがかかりつつあるように見えるが、第2波、第3波が来るかもしれない。
 その備えとしてデジタル情報技術(ICT)が注目され、韓国、台湾、ドイツ、ベルギーなどで一定の成果を上げている。スマホなどの顔認証システムの活用によって、感染者の行動、移動、接触などの正確な情報を特定するのだが、市民の行動監視は歯止めがないと人権侵害を起こしかねない、という問題が付きまとう。
 韓国では2015年にMARS(中東呼吸器症候群)が大きな被害をもたらしたことを教訓にして、市民のデジタル情報が整備された。感染した人のケータイ情報、クレジットカードや交通カードの使用履歴、監視カメラの映像を政府、自治体が入手できる。もちろん氏名は匿名化しているのだが、人々の感染経路の把握が容易になり、PCR検査や、コロナ診断に生かし、早期終息に役立てることができた。
 ベルギーやドイツなどは今年の3月以降以降、政府が電話会社から匿名化された利用者の位置情報を提供され、行動規制の効果を上げるため活用した。データが匿名化されれば違憲ではないと政府は解釈しているが、感染が収束すればデータは破棄するという。 
立ち遅れるIT技術
 しかし、授業に取り入れられ、自宅でのテレワークが増え、有料映像サービスが普及、会議ソフトZOOMが珍重されるなど、家庭をベースにしたIT化が急速に進み、日本でも各種のデジタル企業が基幹産業の仲間入りをする時代がやって来るのではないか。コロナ後の社会の変化の一つを象徴していると思う。
 隅井孝雄(ジャーナリスト)
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2020年06月02日

【沖縄リポート】 感染非公開も植民地≠ネればこそ=浦島悦子 

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  沖縄の「日本復帰」から6年後の1978年に始まり、毎年行われてきた「5.15平和行進」が今年、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けて、初めて中止となった。しかし、「平和行進」が問い続けてきた「復帰」の内実、今もなお変わらない日米による植民地的な沖縄支配の実態は、コロナ禍の中でいっそうくっきりと浮かび上がっている。
 3月末、在沖米軍嘉手納基地内で3人のコロナ感染が報道されたが、直後に米国防総省は、すべての米軍基地の感染状況を非公開とする方針を発表。以来、一切の情報は閉ざされたままだ。「基地内で感染者が増えているらしい」との噂もある中、米兵たちはマスクなしで出歩いたり、集団で公道を走っている。基地のゲートに入るときは検温が行われているが、出るときはフリー。「民間地に出てくるときこそ検温してほしいよね…」と市民は眉をひそめる。
 4月10日には、普天間基地からPFAS(有機フッ素化合物の総称)を含む大量の泡消火剤が基地外の民間地に流出し、保育園や住宅地に泡が降り注いだ。PFASは発がん性が指摘され、環境中に半永久的に残留すると言われる有害物質だ。撤去作業に当たった宜野湾市消防本部が断念せざるを得ないほどの量だったが、米軍は傍観。あまつさえ同基地のスティール司令官は「雨が降れば収まるだろう」と発言、コロナ禍に追い打ちを掛けられた市民の憤激を買った。
 一方、日本政府が強行する辺野古新基地建設工事は、受注業者作業員の感染が判明した4月17日以降中断しているものの、沖縄県が県独自のコロナ緊急事態宣言を発した翌朝(21日)、沖縄防衛局は、大浦湾の軟弱地盤改良工事に伴う設計概要変更申請を県に提出(それも、沖縄県北部土木事務所の窓口に始業と同時に置き去るという、既視感のあるやり方で)。
 どさくさ紛れの「火事場泥棒」、コロナ対策で職員の出勤を減らしている県への嫌がらせだと県民は猛反発している。
浦島悦子
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2020年5月25日号

posted by JCJ at 14:26 | 九州・沖縄 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年06月01日

【隅井孝雄のメディアウオッチ】 米ツイッター社 トランプツイートに信頼ラベル

 米国ツイッター社は米トランプ大統領のツイッターに初めて信頼性ラベルを付けた。
それに先立って、カリフォルニア州では11月の大統領選挙で郵便投票を全面的に行う方針を決めたが、トランプ大統領は郵便投票によって不正がはびこるとしてツイッターで主張をくり返した。
 26日のツイッターでトランプ氏は「実質上の詐欺だ、郵便受けが盗難に遭うだろうし、投票用紙は偽造されるだろう」などと猛反論している。しかしそのツイッターにツイッター自体による「事実確認」という表示がついたのだ。
 クリックする読者は、トランプ大統領に主張を否定するCNNやワシントンポストなど、郵便投票で不正投票が行われることは、これまでほとんどないという事実を知ることができる。これまでトランプ大統領のツイッターで、全く根拠のないツイッターが繰り返しひんぱんに流された。しかし「事実」ラベルがつけられたのは今回が初めてのことだ。
 CNN、ワシントンポスト、ニューヨークタイムズなど基幹メディア(FoxTVなど一部トランプ系メディアを除いて)もこぞってファクトチェックに力を入れている。
 トランプ大統領はツイッターを含むGAFA(IT関連5社)に対する規制の強化を対抗手段にし、「巨大SNSが政治的偏見を持つ場合保護されない」と声明した。
隅井孝雄(ジャーナリスト)
posted by JCJ at 10:22 | 隅井孝雄のメディアウオッチ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする