2020年06月06日

【月刊マスコミ評・新聞】 政治と経済のひずみが露わに=山田明

 新型コロナウイルスの感染拡大を受けた緊急事態宣言が、全国で延長された。先が見えない自粛・休業のもとで、閉塞感が日本社会を覆う。普段見えにくい社会の病理、政治経済のひずみが、露わになっている。
  毎日5月5日社説は長期化に向き合う支援として、政府や自治体にきめ細かな対応を求める。朝日社説も長丁場想定し戦略描け、休業要請等によって収入の大幅減や雇用不安に直面する人への支援とともに、医療体制の充実は引き続き最重要課題だと指摘する。
 「遅すぎ、少なすぎる」と批判が絶えない安倍政権のコロナ対策。その一方で、東京や大阪など地方自治体の取り組みに注目が集まる。大阪府は自粛解除の3基準、「大阪モデル」を発表した。大阪日日新聞6日によれば、府専門家会議座長は「経済と医療の兼ね合いで作った指標」、知事は「政治判断」と述べ、記事には 「経済立て直しに焦り」の見出し。
 大阪ではメディアに連日登場する吉村知事が脚光を浴び、全国的にも維新の支持率が急上昇している。安倍政権の施策を批判して、「大阪モデル」を打ち出し、それをテレビなどが異常なほど持ち上げる。関西メディアの責任は大きい。国政の場を含めて、維新の動向を注視する必要がある。
 コロナ危機は社会的弱者の暮らしを直撃する。それと次代を担う子どもや若者への長期にわたる影響が懸念される。とりわけ4月に入学した生徒や学生たちの状況が気にかかる。こんな中で「9月入学」が検討されている。前川喜平・元文部科学事務次官は「今ではない 早期の学校再開へ力注げ」(朝日10日)と強調する。
 教育だけでない。コロナ禍の混乱に乗じて、緊急事態条項など憲法改悪の動きも見られる。国会では、検察庁法改正案審議が与党と維新により強行された。内閣の判断で、検察庁幹部の定年延長を可能にするためであり、火事場泥棒の最たるものだ。数多くの弁護士が反対をアピールし、ツイッタ―での抗議署名は数百万に達している。
 新聞はコロナばかりだが、毎日5日の3本の特集が心に残った。2面全体を使った「廣島からヒロシマへ被爆75年」、「ヤングケアラ―反響特集」、それに「沖縄の光と影伝える」地域特集である。
 コロナ禍の新聞報道を注視していきたい。    
 山田明
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2020年5月25日号

posted by JCJ at 13:30 | メディアウォッチ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする