2020年06月25日

【おすすめ本】上西充子『国会をみよう 国会パブリックビューイングの試み』─デタラメが横行する政府答弁、「安倍話法」の本質を加視化する=鈴木耕(編集者)

 国会を国民の手に取り戻そうという画期的な試みが2つあった。ひとつは小原美由紀さんが始めた「コッカイオンドク(国会音読)」。国会審議をそのまま書き起こし、みんなで音読する。言葉にして読み上げ、それを実際に聞いてみると、漫才にもならないほどのバカラしさ(ことに政府答弁)が実感できると、ちょっとしたブームになった。
 そして、もうひとつが「国会パブリックビューイング」という運動である。音読は耳で確かめるということだが、こちらは国会審議そのものの映像を街角に設置したスクリーンに投射して、みんなで実際に国会の在り方を確認する取り組み。政府答弁のひどさに失笑が漏れることもしばしばだという。もっと言えば、NHKニュースなどで編集された安倍首相らの“すっきり答弁”が、いかに実際の答弁の切り取り編集であるかが確認できる。

 この試みを始めたのが法政大学の上西教授。あの名高い「ご飯論法」の名付け親だ。「ご飯は食べたか?」と問われ「ご飯は食べていない(パンは食ったが)」とごまかす「安倍話法」の本質を突いて、流行語大賞のトップ10にも選ばれた。デタラメが横行する答弁のありさまを、誰でもが気軽に見られる方法はないかと考え、夕方の暗くなったころから街角にスクリーンを設置、路上を政治空間に変えたのだ。その顛末がとても素敵だ。
 コロナ禍で在宅勤務の人たちが多くなり、国会審議を自宅で生で見る人が増え、国会が身近になった。その嚆矢となった本である。(集英社クリエイティブ1600円)
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【リアル北朝鮮】 南北「収拾つかない」 ホットラインを完全遮断=文聖姫

  前回の本欄で、金正恩朝鮮労働党委員長の妹、金与正氏の後継者説が浮上していると書いた。その与正氏が「対南(韓国)事業」を統括する党第1副部長であることが、最近明らかになった。
 しかし、南北関係は文在寅政権始まって以来の緊張状態に陥っている。5月31日に韓国在住の脱北者らが北朝鮮に向けて、金委員長を非難するビラを散布したことがきっかけだ。これに金与正氏が6月4日、自ら怒りの談話を発表したのだ。その内容たるや凄まじい。問題は、ビラをまいた脱北者だけでなく、それを黙認していることを理由に韓国政府を非難したことだった。
 5日には、朝鮮労働党で統一問題を担当する統一戦線部報道官が談話を発表し、「対南事業」を担当する与正氏が、自身の談話で指摘した内容を実行するための検討事業に着手するよう指示したことなどを明らかにした。与正氏は談話のなかで、開城工業地区の完全撤去、南北共同連絡事務所の閉鎖、南北軍事合意の破棄などの「対抗手段」をちらつかせていた。
 与正氏の談話に呼応する形で平壌では6日、若者らによる抗議集会が開かれた。7、8日には平壌市や地方でデモが相次いだ。各界人士らの談話が党機関紙の「労働新聞」に掲載されるなど、全国民が激怒していることをアピールした。北朝鮮は9日、首脳同士の直通連絡線を含むホットラインを遮断した。北朝鮮の怒りの矛先は、完全に韓国政府に向かったといえる。
 韓国大統領府は11日、一部民間団体(脱北者団体)による北朝鮮に向けたビラや物品の散布は、南北交流協力法、公有水面法、航空安全法などに違反するものだとして、今後は取締りを強化し、違反する場合には厳重に対応するとの政府の立場を発表した。
 だが、北朝鮮側はチャン・グムチョル統一戦線部長名の談話で、韓国政府への信頼は粉々になったとして、「北南関係はすでに収拾がつかない所まで来た」と指摘した。
文聖姫(ジャーナリスト・博士)
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2020年6月25日号


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