2020年07月19日

【今週の風考計】7.19─コロナ第2波のなか「Go Toトラベル」強行の愚

「東京外し」でコロナが収まるの? 経済が活性化するの? 「Go Toトラベル」が「Go Toトラル」に陥るのが関の山。政府はコロナ第2波が急拡大しているさなか、1か月も前倒しのうえ22日から始める。あるネット調査では「今はどの地域でも実施すべきではない」が81%を占める。

東京を除外したからといって、コロナ禍が解消されるわけじゃない。東京のコロナ新規感染者数は、この17日には1日当たり過去最多の293人。この数字に注目が集まるが、日本全国に目を向ければ、直近の1日当たり新規感染者数は662人、4月10日の600人を超えている。
今もなお首都圏や地方の都市部を中心に感染が広がっている。夜の街でのクラスター(感染集団)発生に加え、エピセンター(感染集積地)まで形成されている。かつ感染者の半分近くが感染経路不明とくるから恐ろしい。
 コロナ感染の不安を抱え、行く側も受け入れる側も疑心暗鬼での観光旅行なんて、消費喚起どころか、名所を楽しく歩くこともままならない。

4月7日に閣議決定した「Go Toキャンペーン」は、「感染症の拡大が収束し、国民の不安が払拭された後」に実施するとされていた。感染が収まってもいない状況で、1兆3500億円もの税金を投入して「Go Toトラベル」を始めること自体が大間違い、即刻中止すべきだ。
 もともと「Go Toキャンペーン」は、官邸の<アベトモ補佐官>が発想し、経産省や財務省の<安倍ライン>で練り上げられたシロモノ。まさに安倍政権の側近官僚の手で、1兆7000億円もの巨額予算が、費用対効果の点検もなく計上されたのである。
感染を防ぎながら、経済を回す状況をつくり出すには、まずPCR検査を大規模に実施し、感染者の把握、隔離・療養に全力を挙げ、職場や学校・家庭での感染リスクを低くするのが先決だ。
 コロナ第2波が来て、東京の医療現場は逼迫の状況を加速させている。軽症者の宿泊施設の確保もままならない。まずそこへの集中した支援、資金援助も含めた対策が緊急ではないか。

いま世界はコロナ感染が、米国・ブラジル・インドなどで急拡大し、感染者は1400万人、死者は59万人を突破。1日の新規感染者は23万7千人に上る。「パンデミック」は深刻化の一途をたどっている。
 日本は「間違った方向に」舵を切っている。世界から「マスク2枚と10万円の国」と揶揄されるうえに、さらに「Go Toトラベル」などで騒いでいる時ではない。日本も全世界の英知に参加・協力して、コロナ感染症の対策に全力を挙げるときだ。(2020/7/19)
posted by JCJ at 08:00 | 【今週の風考計】 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

【新型コロナ禍】 北九州 トップの「動揺」で混乱=杉山正隆

                                                       橋詰さん行き 5面 北九州pt.JPG
 「北九州市は第二波の真っ只中にある」――。北橋健治市長の時折、声を詰まらせる記者会見を連日目にし市民に衝撃が広がった。4月30日から23日間、「感染者0」だった同市では、5月23日から感染者が出始め、再開しつつあった公的施設が再び休館になり、休業に追い込まれる飲食店が出ている。
 中心部の老舗百貨店「井筒屋」は自動体温測定器を設置、係員が立ち入店時のマスク着用と手指消毒を求めた。「マスクは暑くて苦しい」と苦情が続出。専門家は「市長がパニックのようだった。自粛してきた市民への感謝の気持ちを表し、これからも取り組もうとのメッセージが無かった」と話す。
 同市は日本製鉄の高炉廃止に伴い人口が流出し95万人弱まで減少。160万人の福岡市に水をあけられたが九州第二の人口を有す。高齢化率は30%を超し「都会と郊外を併せ持っている」と評される。
 小学校で「感染集団」(クラスター)が発生し保護者に動揺が走った。NHKや民放でほぼ一日中、市長の顔が映し出された。「感染者数は少なく病床数等にも余裕もあるのに、もうダメかもと混乱を招く対応だった」と指摘される。
 病院や高齢者施設でも感染集団が発生したが、市長の「真っ只中」発言とは裏腹に5月29日の26件をピークに新規感染者は減少し数日で1桁に。6月11日には20日ぶりに0になった。感染者が出なかった間も水面下で弱い流行がくすぶっていたとみられる。九州の玄関口で新幹線や飛行機等で県外から流入した可能性もある。
 5月末、「徹底的に対策を採る」(北橋市長)との方針を打ち出し、症状の有無によらず濃厚接触者にPCR検査を行うように。対象を増やしたことで無症状の感染者があぶり出されたともいえる。「方針転換で感染者数が急増することを、市長は分かってなかったのではないか」と市民の間ではささやかれている。「市長が混乱したことで大きな損害を被った」とも。
 感染症は拡大が始まると数年は続くことが多く、恐怖による過剰反応が災禍を拡大する。北九州市での混乱は、来る第二波第三波に向け、首長の言葉に重みがあることを思い知らされた「失敗例」として注目を集めている。
杉山正隆
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2020年6月25日号

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