2020年08月22日

辺野古移設に固執する二重基準=@技術的にも民主主義的にも問題=福元大輔

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 政府が、秋田県と山口県への「イージス・アショア」配備計画を断念すると、沖縄県では、米軍普天間飛行場返還の条件となっている名護市辺野古移設との違いに触れ、「ダブルスタンダード(二重基準)」と批判が渦巻いている。
 沖縄県の玉城デニー知事は、河野太郎防衛相が地上イージスの停止を表明した翌朝、県庁で待ち構えた記者団に「辺野古の方が無駄」と、厳しい表情を見せた。
 地上イージスは当初、2基で4500億円とされていたが、迎撃ミサイルを打ち上げた際に切り離す推進装置「ブースター」を海上や自衛隊演習場内に安全に落とせない技術的な問題が「判明した」という。
 システム改修に12年、2200億円ほどを要するため、河野防衛相は「合理的とはいえない」と判断した。
 辺野古はどうか。米兵3人による少女暴行事件を受け、日米両政府が沖縄の負担軽減の目玉として1996年に合意したのが普天間飛行場の返還だった。沖縄県内の代替施設への移設を条件に、5〜7年で返還すると発表した。
軟弱地盤は既知
 国土面積0・6%の沖縄に全国の米軍専用施設面積の7割が集中する現状で、さらに県内移設では抜本的な負担軽減につながらない、と沖縄側の反発に遭い、返還合意から24年が過ぎても、実現していない。
 政府は2014年から移設先とする辺野古での埋め立て工事を進めるが、県民の理解を得ることができず、難航する。そこに埋め立て予定海域で「マヨネーズ並み」と言われる軟弱地盤が「判明した」のだ。
 地盤を強化する改良工事が必要で、工費は当初の3500億円から約2・7倍の9300億円に膨らんだ。埋め立て工事の工期は当初5年を見込み、すでに3年が経過したが、さらに少なくとも12年かかり、3倍以上に伸びる。
 地上イージスではブースターを安全に落とせるというそれまでの説明が誤っていたことになる。辺野古でも軟弱地盤の存在は20年近く前から指摘されている。いずれも「判明した」のではなく、もともと知っていたが、他に場所を探せない政府が隠していた可能性もある。
止めるのは政治
 元防衛官僚の柳沢協二さんは、辺野古移設を断念できない理由を「行政に働く惰性」と説明する。動き出した事業にブレーキをかけるには相当なエネルギーがいる。自分たちの仕事の否定にもつながる。無理と分かっていても、辺野古問題を担当する2〜3年を“惰性”で乗り切る。
 軟弱地盤という不可抗力で工事が止まるなら誰も責任を負うことはないが、政治マターだから官僚の意思で変えることができない。つまりイージスのように、政治が止めるしかないのだ。
 辺野古の場合、技術的に建設できるか、できないか、という問題にとどまらない。19年2月の県民投票では、投票率52・48%で、投票総数の71・7%が辺野古の埋め立て工事に反対の意思を示した。地方自治や民主主義の観点からも、政府は辺野古移設を強行すべきではない。
 一方、地上イージス断念直後に「敵基地攻撃能力」の議論が出てきた。日米の力関係から米国の利益が絡む国策を止める場合、その背景を注視しなければならない。
福元大輔(JCJ沖縄)
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2020年7月25日号


posted by JCJ at 01:00 | 九州・沖縄 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする