2020年09月10日

【2020年度第63回JCJ賞】 大賞はしんぶん赤旗日曜版 桜疑惑のスクープ報道=JCJ賞選考委員会

【JCJ大賞】 <安倍晋三首相の「桜を見る会」私物化スクープと一連の報道> しんぶん赤旗日曜版
 しんぶん赤旗日曜版は2019年10月13日号で、桜を見る会に首相の地元山口の数百人の後援会員を大量招待していた事実をスクープした。参加者の証言をもとに、安倍事務所が取り仕切り、高級ホテルで開いた前夜祭に山口の参加者を招待、税金でもてなした疑惑を告発。政権与党にも招待数を割り当てていた実態を明らかにした。この記事を契機に田村智子参院議員が国会で追及し、「桜」疑惑が一気に国政の重大課題に浮上。地道な調査報道を重ね、安倍政権の本性を明るみにしたスクープは国政、メディアに大きなインパクトを与えた。

【JCJ賞】
 ●三上智恵 『証言 沖縄スパイ戦史』(集英社新書)  
 終戦末期の沖縄、中野学校出身者の指揮のもと、二つの「護郷隊」が諜報、防諜、宣伝、謀略の秘密戦を戦った。著者は映画「沖縄スパイ戦史」完成後も徹底取材を継続敢行した。少年ゲリラ兵、その隊長たち、全国で準備された住民による遊撃戦、地上戦の恐怖、虐殺者たち、軍の「戦争マニュアル」に至る、長く封印されてきた凄まじい証言ばかりである。ここに沖縄戦−国内唯一のゲリラ戦が浮かび上がる。そしてこれは現代への鋭い警告である。

 ●吉田千亜『孤塁 双葉郡消防士たちの3・11』(岩波書店)
 2011年3月11日の巨大地震につづく福島第一原発の爆発。「おきるはずのない」事故がおきた。著者は、これまで報道されず記録もされていなかった現地消防士たちの必死の活動(住民避難誘導、救助活動、原発内の火災・給水活動等)を1年かけて克明に取材。刻々と変化する事態を追いつつ、125名中66名から聞き取ったエピソードを組み込んだルポルタージュが胸に迫る。事実の恐ろしさ、国と東電の後手後手で杜撰な対応を告発

 ●「 森友問題で自殺した財務省職員の遺書の公開 」赤木雅子 相澤冬樹
 森友問題での安倍首相の「私や妻がかかわっていれば首相も議員も辞める」との答弁をきっかけに、当時の財務省佐川宣寿理財局長は公文書改ざんを指示する。改ざんを強要された近畿財務局職員赤木俊夫さんは抗い、経過を克明に「遺書」として残してくれた。それは妻雅子さんの決意とジャーナリスト相澤冬樹氏によって白日の下に曝された。断罪されるべき相手は明らかだ。改ざん事件発覚後、安倍政権による国の私物化の責任はまだ誰も負っていない。

 ●「ヤジと民主主義〜小さな自由が排除された先に〜」 北海道放送
 2019年7月の参議院選の時に札幌で自民党の応援に入った安倍首相に、ヤジを飛ばした男女や無言でプラカードを掲げようとした人たちが警官に取り囲まれて排除された。番組では当時の映像を集め、元警察官や専門家、治安維持法違反で投獄された方などに問題点を聞き多角的に検証。特に撮影された現場の警察官の対応は命令に盲目的に従って権力行使をする末端という問題点を明瞭に映像化した。ヤジすら言えない社会の先に民主主義が問われていると警鐘を鳴らす。

なおJCJ賞の贈賞式は10月10日(土) 14:00〜 エデュカス東京(東京・麹町)で行います
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2020年09月09日

【月刊マスコミ評・新聞】 いままた大阪市廃止の住民投票?=山田 明

  広島、長崎は被爆から75年を迎えた。戦争と平和に思いを寄せる8月だが、今年は新型コロナによる感染症が列島に暗い影を落とす。
 5月下旬の緊急事態宣言解除後に、感染者はいったん減少したが、7月に入り再拡大してきた。第一波以上の感染規模であり、医療崩壊も懸念される事態だ。医療関係者から、PCR検査拡大を求める声が上がるが、政府の対応は鈍い。毎日7月29日コロナ特集は、「思惑交錯PCR滞る 遅れた国内検査数拡大」と真相に迫る。
 危機的な状況が続き、野党は国会開会を強く要求する。朝日8月1日社説も、「安倍首相は速やかに臨時国会を開き、率先して国民への説明責任を果たすべきだ」と述べる。だが、政府与党は応じようとせず、「安倍首相隠し」に走る始末だ。
 政府は感染急拡大の中で、「GOTO トラベル」を推進するなど、コロナ感染再拡大に対し、ちぐはぐな対応が際立つ。東京・大阪・愛知など大都市だけでなく、地方でも感染が急増している。沖縄の危機的状況は「GOTOトラベル」による感染拡大の可能性が高い。政治の責任が厳しく問われる。
 安倍政権のコロナ対応に批判が集まるなか、自治体の動向に関心が集まる。なかでも大阪府の吉村洋文知事を、メディアが持ち上げてきた。最近では「イソジン発言」の勇み足に、話題が集中することになる。
 大阪府の独自基準「大阪モデル」で非常事態を示す赤信号が、感染者急増でも点灯しない状況が続いている。経済重視にかじを切り、基準を緩和したことによるが、大阪市廃止の是非を問う住民投票実施との関わりも指摘されている。大阪維新の会代表の松井一郎大阪市長は「大阪モデルが赤信号にならない限り住民投票だ」と公言している。
 大阪市を廃止して、特別区を設置する構想は、5年前の住民投票で否決された。その後の選挙で維新が議席の伸ばす中で、再び住民投票が現実味を帯びてきた。ただし、コロナ危機のもとで、
住民投票よりも、コロナ対策を求める市民の声が高まっている。
 歴史ある政令指定都市、大阪市廃止の是非を問う住民投票である。関連法律は住民に分かりやすい説明を求めている。毎日7月25日社説も「判断材料が十分ではない」と指摘する。
 コロナだけでなく、住民投票に焦りは禁物だ。  
山田 明
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2020年8月25日号

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2020年09月08日

【月刊マスコミ評・放送】 コロナの現状を伝えるNHK番組=諸川麻衣

  今回は、新型コロナの現状を伝えたNHKの番組を幾つか取り上げる。
 『BS1スペシャル 封鎖都市・武漢〜76日間 市民の記録〜』(5・8)。76日間封鎖された中国・武漢で「武漢封城日記」を通して近隣住民、清掃員などの生の声を伝えたソーシャルワーカー、患者の悲痛な声を配信してきた北京のネットラジオ番組『故事FM』などを取材、官製メディアが伝えない実態を明るみに出した。
 『ETV特集 パンデミックが変える世界〜台湾・新型コロナ封じ込め成功への17年〜』(6・20)。新型コロナ発生直後、台湾は発生源の近くにありながら迅速な水際対策やIT技術の活用で封じ込めに成功した。その背景には17年前のSARSの時の失敗とその後の大改革があった。疫学者から副総統となった陳建仁など関係者へのインタビューで、台湾の歩みとその教訓を伝えた。
 『BS1スペシャル レバノンからのSOS 〜コロナ禍追いつめられるシリア難民〜』(7・12)。レバノン国内に逃れた120万以上のシリア難民は経済的に困窮し、売春や臓器売買が広がっていた。3月、新型コロナの感染拡大でレバノン政府は非常事態を宣言、難民は感染の危険が増す中、さらなる困窮や差別・襲撃にさらされた。コロナ禍が弱者、とりわけ女性に特に深刻な打撃を与えることを迫真的に描いたルポで、取材者と出演者の心の絆なくしてはここまでの取材はできなかったろう。同様の問題、日本は無縁と言えるだろうか…。
 『NHKスペシャル 新型ウイルス“生と死”の記録〜医療最前線・密着3か月〜』(7・19)。治療法が未確立な中での試行錯誤、大規模な院内感染の発生、無念にも救えなかった命…神奈川県の二病院に密着して現場の苦闘を描いた。一般の救急や診療を停止したため地域医療が危機に瀕した実態も伝わってきた。  
  最後に参考に挙げたいのが『証言記録 感染症から巨大避難所を守れ』(6・14)。大震災直後、三千人を収容した福島県郡山市の大規模避難所で、不衛生な環境からノロウイルス感染症が発生した。県職員・支援ボランティア・医療関係者が尽力の末、最終的には避難者が避難所運営に参加して衛生状態を自ら改善する仕組みを築いたことで感染拡大を防げたという。
 台湾の例と併せ、市民の主体性、対策の科学的な合理性、行政・政府と市民との信頼関係など、社会の「民主主義」の度合いこそがコロナ対策の成否を決めると痛感した。
諸川麻衣
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2020年8月25日号

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2020年09月07日

【オンライン講演】 金正与氏が外交を担う 米朝に「10月サプライズも」=須貝道雄

            五味洋治・東京新聞記者.jpg東京新聞・五味洋治論説委員             金与正氏の写真など、パソコンで見る.jpg
 JCJはオンライン講演会を7月26日、「どうなる朝鮮半島情勢」のテーマで開いた。開城(ケソン)にある南北共同連絡事務所を北朝鮮は6月に爆破し、世界に衝撃を与えた。指示したのは最高指導者・金正恩氏の妹、金与正氏。彼女はどんな人物か、また米朝会談は再開されるのかなどについて、講師の東京新聞・五味洋治論説委員から話を聞いた。
 五味さんが冒頭に紹介したのは大ヒットの韓国ドラマ「愛の不時着」だった。パラグライダー中の事故で北朝鮮に不時着した韓国の財閥令嬢が、身分を隠して暮らす物語。脱北者から取材して制作したということで、北朝鮮の人々の生活がリアルに描かれている。
 興味深いのは北朝鮮の兵士が勤務中にヘッドホンで韓国ドラマ「天国の階段」を見ている場面だ。テレビに人気女優チェ・ジウの顔が映っている。彼女のことを「ジウ姫」と兵士は呼んでいたという。これは日本での愛称と同じだ。
 五味さんは「日本と韓国と北朝鮮は同じ文化圏。感受性でつながるところがあり、同じように楽しんでいる」と解説した。
 連絡事務所の爆破という過激な指示を出した金与正氏について、父の金正日氏はかつて「ヨジョナ」と呼んでかわいがり、後継者の一人として期待をかけていた。おきゃんな性格、トクスンイ(しっかりもの)の評もある。
  今年に入り、コロナ問題や米国との関係悪化で兄の正恩氏が「意欲喪失状態」にあるため、彼女が兄に働きかけ、(爆破指示という形で)厳しく出たのではないかと、韓国紙記者は見ているそうだ。
 米朝会談について金与正氏は7月に「今は米国だけに利益がある」と拒否的な姿勢を示した。五味さんは「外交問題でこれだけ堂々と言える人は妹だけ。兄の代わりに外交部門を担当していると見て間違いない」と分析。今後は過激化とは逆に、違った面を見せる可能性にも触れた。
 米独立記念日に関し彼女は「アメリカのパレードのDVDが欲しい。国の参考にしたい」と書いていた。SNS上によくみられる、かわいらしい感じの言葉づかいだったという。
 ひょっとすると電撃的な米朝会談の再現、オクトーバー(10月)サプライズも「ゼロとは言えない」と五味さんは指摘した。
 須貝道雄
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2020年8月25日号

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2020年09月06日

【今週の風考計】9.6─またも「大阪都構想」を住民投票に付す愚の行き着く先

◆人口270万の大阪市をつぶし、4つの特別区に分割する「大阪都構想」が、5年前に住民投票で否決されたにも関わらず、再び是非を問う住民投票が、18歳以上の大阪市民を対象に11月1日に行われる。公明党は都構想に反対してきたが、大阪府内で得た4議席に、維新が対抗馬をぶつけると脅し、無残にも賛成に転じたためだ。
 コロナ禍が拡大する中、なぜ今再び? の疑問や批判の声は大きく広がる。

◆北区、中央区、天王寺区、淀川区に分割される特別区といえども、その業務遂行には、膨大なコスト・経費がかかる。そのうえ大阪市という大きな財源を背景に実施してきた独自の住民サービスが、維持できなくなる危険は大きい。
 これまで大阪市は、18歳までの医療費助成、地下鉄・市バスの敬老パス、ひとり親家庭への医療費助成、新婚・子育て世帯向けに分譲住宅の購入には利子補助など、数多くの住民サービスを実施してきた。それが脅かされるのだ。
◆「水道」「消防」「都市計画」にかかわる権限も全て府に奪われ、特別区の住民の生活環境の保全が危うくなり、経済政策と連動した税収確保にも大きな影響が出てくる。
 「介護保険」についても、その事務作業は「府」と「特別区」に分けられないので、年間予算6400億円、400人の職員を抱える「一部事務組合」を新設して、そこで一括して担うというのだ。こんなムダはいらない。
◆国からの地方交付税も、4つの「特別区」それぞれが必要経費を算出して交付を受けるのではなく、今後も「大阪市」が存続しているとみなして計算し、大阪府が交付を受けるという。これでは「特別区」が実際に必要とする額には、200億円も不足するといわれる。

◆特別区の区役所はどこになるのか。はじめは4つの特別区に新庁舎を設置するとしていたが、600億円も必要となり、公明党の要望を受け、いまの大阪市役所・中之島庁舎を北区とともに合同で使う案が浮上した。淀川区の職員は8割、天王寺区の職員は5割が、中之島庁舎へ通い、間借りして仕事をこなすことになる。
 行政サービスは、「ニア・イズ・ベター」が鉄則だが、災害時の復旧・復興の拠点ともなる市役所が、そばにないとなれば、住民の不安は増すばかりだ。住民の住む自治体の区域外に本庁舎がある例は、鹿児島と沖縄の離島だけ。

◆「大阪都構想」の問題を深く掘り下げるオンライン講演会が開催されます。ぜひ参加を!
JCJオンライン講演会:大阪都構想 七つの大罪
日時:9月13日(日)午後2時〜3時30分
講演@「大阪都構想、七つの大罪」ジャーナリスト・幸田 泉さん
講演A「維新の歴史と大阪のたたかい」大阪市をよくする会・中山直和さん

参加費:500円

【参加ご希望の方は https://peatix.com/event/1606843をパソコンなどで開きpeatixを通じてお支払い手続きをしてください。講演前日の9月12日にZoomのURLをメールでお送りします】
(JCJ会員とメディアを考える会・大阪の会員は無料。onlinejcj20@gmail.comに別途メールで申し込んでください)
主催:日本ジャーナリスト会議(JCJ)関西支部、メディアを考える会・大阪
お問い合わせ:03・6272・9781(JCJ事務所) または090・6673・7377(清水)へ

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2020年09月05日

【リレー時評】 被曝75年 心に滲みるコトバの数々=吉原功

 被爆75年、コロナ禍のなか今年も広島、長崎で祈年式典が執り行われた。感染を避けるため予定された人数が制限され、多くの企画が取り止めになったのは残念だが、心に滲みるコトバの数々が胸に響いた。
 とりわけ田上富久長崎市長による「平和宣言」が秀逸だった。冒頭で「どうして私たち人間は、核兵器を未だになくすことが出来ないでいるのでしょうか」と問いかける。「人の命を無残に奪い、人間らしく死ぬことも許さず、放射能による苦しみを一生涯背負わせ続ける、このむごい兵器を」と。つづいて原爆雲の下で「繰り展げられた惨劇」を被爆者の日記を読み上げることによって再現。
 1300人の幼い命が犠牲になった爆心地直近、山里小学校の「第2校歌」、「あの子」の作曲者の日記だ。この歌は式典で同校児童による合唱で披露された。
  日記を挿入したことについて信濃毎日新聞が当日のコラムで紹介している。素案にはなかったが「被爆者の肉声を」という声が「起草委員会」で相次ぎ「原爆が落とされたらどうなるのか若い人が想像できる」ようにという意見が取り入れられた結果だという。集団討議で作成された「宣言」なのだ。
 「宣言」は、被爆者が「この地獄のような体験を、二度とほかの誰にもさせてはならないと、必死で」被害の実相を伝えてきたにもかかわらず「核兵器の本当の恐ろしさはまだ十分に世界に伝わって」いないと指摘。「核保有国の間に核軍縮のための約束をほごにする動きが強ま」り、「新しい高性能の核兵器や、使いやすい小型核兵器の開発と配備も進められ、核兵器使用の脅威が現実のものになっている」と警鐘をならす。3年前に国連で採択された核兵器禁止条約は人類の意思であり、賛同しない核保有国、核の傘の下にある国々は間違っていると、「平和の文化」を市民社会に根づかせようと呼びかける。
 若い世代には「あなたが住む未来の地球に核兵器は必要ですか。核兵器のない世界へと続く道を共に歩んでいきましょう」と。世界の指導者には「相互不信」の流れを壊し、「信頼」と「連帯」にむけた行動を選択することを、そして日本政府と国会議員には一日も早く核兵器禁止条約の署名・批准をし、北東アジア非核地帯の構築の検討するよう求めている。
 「宣言」は核兵器、新型コロナウイルス、地球温暖化の問題はともに「地球に住む私たちみんなが“当事者”だとしている。重要な指摘であろう。また核兵器禁止条約の国連採択に貢献し、効力発効の努力をしているICANの試算も紹介しておきたい。
 核保有9カ国の2019年度の核関連予算は合計730億ドル。このうち半分以上が米国の354億ドル。これを新型コロナウイルス対策にまわせば集中治療用ベット30万床、人工呼吸器3.5万台、看護師15万人・医師7.5万人の給与がまかなえる。核兵器を廃絶していればパンデミックを早期に終息させることが可能だったことを示していよう。韓国政府は防衛費を削減し新型コロナ対策に回しているという。日本の今年度防衛予算5.3兆円はそのままだ。
  広島、長崎の式典のさなか、核禁条約の批准国が3つ増え発効まであと6カ国・地域となった。上記信濃毎日新聞は原爆忌について極めて充実した紙面を作成していたことも付記しておこう。
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2020年8月25日号
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2020年09月04日

【焦点】 「従来のような五輪の開催は無理」東京都医師会長が発言=橋詰雅博

                P1020266.JPG
  東京都医師会の尾崎治夫会長と言えば、安倍晋三首相のコロナ対策に不満をぶちまけた医師だ。自民党支持者でありながら、「無為無策」と痛烈に批判した上で「国には頼らない」とまで言い切った。その尾崎会長、来年の東京五輪・パラリンピック開催について、朝日新聞が主催した8月7日のオンラインイベントでこんな発言をしている。
 「日本だけならコロナを封じ込めることができるかもしれない。しかし、五輪では世界中から選手や役員、観客などが大勢の人が、日本にやってくる。世界のコロナ感染状況は、欧米を始めアフリカ、中東、アジアなどで広がっている。とりわけアフリカの感染者数はそれが本当かどうか不明だ。7月、8月は、はしかや風疹、熱中症などにかかる人が出ます。それにコロナ患者が加わります。これらの患者に対応できる医療体制が心配です。やれる体力が残っていますかね」
 極めて有効なワクチンが出来ない限り「かなり(規模を)制限された五輪にならざるを得ない。皆さんが従来からイメージする五輪ができるかというと無理だと思う」。
 残念だったのは、東京五輪は再延期かあるいは中止にすべきかと会長に対して、朝日の記者が突っ込んだ質問をしなかったことだ。
 橋詰雅博
 
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2020年09月03日

【東海支部通信】 河村名古屋市長に8億円返還求める住民訴訟 11月5日に判決=加藤 剛 

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名古屋市の河村たかし市長はこのところコロナ警戒で「多忙」の日々ですが、一方では市長本人が被告となる民事訴訟を3つも抱えて司法面でもその動向が注目されています。
 市長が被告の3訴訟とは@市民グループが原告の8億円住民訴訟、Aオンブズマン提訴の情報公開訴訟、B大村愛知県知事提訴のトリエンナーレ分担金訴訟です。そのうちの一つ「違法な支出8億円余の返還を求める」住民訴訟が8月6日名古屋地方裁判所で結審となり、11月5日に判決が言い渡される運びとなりました。
 名古屋市の河村市長は戦災復興の象徴である名古屋城(写真=大阪城や熊本城と同様の燃えない鉄筋コンクリート造り)を壊して、空襲で燃える前の木造の城に作り替える「木造復元」(工事費500億円余)を目指し、まず基本設計費(段ボール50箱に詰まった設計図書の代金)として8億円余を工務店に支払いました。これに対し「戦災復興の象徴である名古屋城を壊すな! 耐震補強して文化財登録をめざす会」(代表=北区在住の森晃氏)の市民らが立ち上がり、8億円余の支払いに待ったをかけたのです。
 市民グループは「基本設計・段ボール50箱分の中身は市民に公開されておらず(城の設計図などは公開を求めても黒塗り秘蜜)、しぶしぶ公開された目録には有るべきものが無い(合法建築の許可を得るために準備することになっている関係資料の項目がない) ―― など「不完全」「未完成」であると指摘し、未完成の箱詰め書類に市民の金8億円余を支出するのは違法(地方自治法違反)である」と主張、河村市長ら関係職員に対し「8億円余を市へ返せ。木造‛復元’事業を停止せよ」と請求する住民訴訟を起こしました。被告側は「却下」を主張。
 この訴訟は一見8億円余の支出の是非を争う「お金の裁判」に見えますが、一皮むけば戦災復興の象徴・名古屋城の解体の是非、市長の目指す木造復元の非実現性(再三の計画延期、絵にかいた餅=火災に弱く人命救助に難点のある違法建築の可能性大)にもつながり、場合によっては河村市長だけでなく、予算を認めた市議会の責任も問われる大きな問題に発展する可能性があります。
加藤 剛
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2020年09月02日

コロナin海外 英国・読書時間が倍増 仏国・バカンスは中止 台北・渡航用グッズ売れる=橋詰雅博

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    ロンドンの日曜の地下鉄車内、乗客が見当たらない=右下の園部さんが撮影
 
  新型コロナが世界中に蔓延して6カ月近くがたった。朝日新聞GLOBE編集部が英国、フランス、台湾のコロナ禍最新事情を7月20日にオンラインによってライブ中継した。英国は欧州の中で死者数4万1千超と最多、フランスは7月中旬から屋内施設でのマスク着用を義務化した(違反者は罰金135ユーロ=1万6千円)、台湾はコロナ抑え込みに成功。ロンドン在住の園部哲さん(翻訳者)、パリのセザール・カステルビさん(大学博士研究員)、3人の子どもがいる台北の李玲瑜さん(会社員)が現状などを語った。カステルビさんも李さんも日本に留学経験があるので日本語は上手だ。
財務相人気高まる  
【ロンドン】都市封鎖措置が段階的に緩和になり、街中に人は増えてきているが、コロナ禍前の20分の1、30分の1程度といった感じの人出です。ある世論調査では、35%の人が感染を恐れ外出したくないと答えています。巣ごもりの人が多くなったせいか、本好きの英国人の1週間の読書時間が3時間から6時間に倍増した。
 3月下旬の都市封鎖発令前までコロナ対策に手をつけなかったジョンソン首相は、支持が急落だ。閣僚の中ではリシ・スナク財務相の人気が高まっている。打撃を受けたレストランやパブなどでの飲食の付加価値税を20%から5%に引き下げ、集客政策を実施したからです。
24年五輪無関心
【パリ】(都市封鎖が大幅に解除され)今はキスやハグをする人が多くなっている。しかし、パリの観光スポットにはEUからの観光客は少ない。僕はバカンスで南仏とスペインに行く予定でしたが、コロナ禍ですからやめました。バカンスのスケジュールは決まっていません。
 パリの2024年五輪パラリンピック開催を危ぶむ話題は上がっていませんね。そもそも市民は五輪に関心がない。24年をどうするのかという話はまったく出てきていません。
 大学に限れば、オンライン授業が中心でテストもオンラインで実施した。新学期が始まる9月以降、リアルとオンラインの授業割合のルールは決まってなくて、大学に任されている。学生が多い授業はオンライン、少人数ならリアルが向いているようです。
カッコ悪いと拒む
【台北】コロナ禍前の通常の生活に戻っている。もちろんマスク着用もなしです。コロナ流行時、海外から帰国したビジネスマンや学生は、国内でコロナを感染流入させる心配がありましたが、皆、温かい心で帰国者を迎えていた。
 アメリカの大学に留学していた20歳と19歳の息子を帰国後に2週間自宅で待機させました。つくった食事は部屋に持ち込むことはできませんでしたからそれぞれの部屋の前に置きました。食べ終わった食器は毎回、買った小型消毒機で洗って使うようにしました。二人ともオンライン授業で勉強していた。
 長男は8月に大学に戻りますが、その際、コロナ対策をして飛行機に乗る予定です。台北では白い防護服、ゴーグル、手袋、マスク、靴カバーなどがセットになったものが売られています。息子は最初、「ヘンなカッコで嫌だ」と身につけるのを拒みましたが、アメリカのコロナ感染再拡大のニュース映像を見て心配になりしぶしぶ身につけていくことになりました。
評判落した3人
 園部さんによると、英国のメディアは真っ当なコロナ対策をできず評判を落した政治家として自国のジョンソン、ブラジルのボルソナロ大統領、そして安倍晋三首相(8月28日に首相を辞任)の3人をあげている。
橋詰雅博
   JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2020年8月25日号
             P1020313.JPG
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2020年09月01日

【隅井孝雄のメディアウオッチ】 NHK中期計画を発表 拡大路線からの転換は本当か

             2008 前田会長NHK.jpg 2008 NHK3ヵ年計画衛星2波.jpg
 NHKはこの8月4日、2021年〜23年度の中期経営計画を発表した。NHKのこの計画は安倍政権の規制改革推進会議に迫られたもので、その意向に応じて、2023年度までに2波あるAMラジオの一本化、NHKBS1の放送の廃止を行うとともに受信料収入を6000億円台に抑制する。
 受信料合憲で拍車
 NHKは2018年12月から衛星放送による、4K,8Kの2チャンネルの放送を開始した。新型衛星によるスーパーハイビジョン放送であり、受信するには新型受像機が必要だ。
 さらに2020年4月から、NHKの総合とEテレの番組をインターネットで視聴できる「NHKプラス」が開始された。このシステムでは番組検索の機能があり、「見逃し番組」を見られるほか、追いかけ再生もできる。「NHKプラス」は放送の補完サービスであるため、受信契約者の家庭では、申し込めば誰でも視聴できる。
 このようにNHKは巨大化を進めてきた。それに拍車をかけたのは2017年12月に最高裁が「受信料徴収は合憲だ」との判断を示したのがきっかけだ。
 巨大単一メディア
 NHKの受信料不払いが減少し、経済不況が進行したにもかかわらず、受信料収入は700億円を突破、増収傾向がつづいた、
 しかし政府の規制推進会議はインターネット時代の於ける「通信と放送の一体化」を目標にして、NHKにネットの同時放送を認める一方、放送分野での拡大路線に若干の歯止めを加えたいという意向をもつ。これまでのNHKの拡大路線に対しては、新聞協会や民放連も一定の抑制を求め
てきた。
 NHKは2年前12月に鳴り物入りで4K,8Kテレビ放送を開始した。現在受信機出荷台数は477万台(7/21A-PAB調査)といわれるが、NHK受信契約合計は45,227,630万件(2020年4月末)の10.5%にすぎない。
 一方、インターネット上で視聴できる「NHKプラス」は、NHK総合とETVが視聴でき、見逃し、追いかけ視聴もできる「NHKプラス」は開始早々に契約申し込者が30万世帯を突破するなど、好調な滑り出しだ。
 NHKの持つチャンネルは、AMラジオ2チャンネル、FMラジオ1チャンネル、地上波テレビ放送2チャンネル、衛星テレビ2チャンネル、高精細度衛星テレビ(4K,8K)2チャンネル、ネット配信NHKプラス(総合、ETV、見逃し、追いかけ)の10種類。
 このほかにもNHKは海外向けに、NHKワールドテレビ(英語)、NHKワールド・プレミア(日本語、海外居住日本人向け)、NHKワールド・ラジオ日本(1言語)、NHKワールド・オンラインなどを持つ。
 受信契約世帯数4522.7万世帯(2020年)、総収入7204億円(2020年度)、従業員数10,343人(2020年度)、関連会社14社、世界にも類をみないほど巨大な単一メディアだ。
8K放送打ち切り?
 NHKの基礎は、7000億円を越える受信料収入だ。一時期受信料不払いに悩まされた時期もあるが、2017年末に最高裁判所が「受信料合憲」の判断を出して以降、受信料収入は右肩上がりだ。
 2019年10月、政府の要請を受けたこともあり、受信料支払いに伴う消費税の引き上げを行わず(実質2%の引き下げに相当)、更に2020年10月にさらに地上契約、衛星契約の受信料をさらに2.5%引き下げることも予定した。受信料収入は6000億円台に抑制するのだという。
 前述のようにラジオ(第二)とBS1を削減するほか、実際にはほとんど見る人がいない8Kテレビもいずれ放送を打ち切るだろうといわれている。
 8Kはもともと2020年に開催するはずだ「東京五輪を8Kで全世界に放送したい、デジタル技術力を世界に誇りたい」という安倍首相とNHKの思惑が一致して出現した。しかし、来年夏に東京五輪が開かれるかどうか、疑問視されている。今やほとんど無用の長物と化した8Kテレビ衛星は五輪に備えて、建前上2021年秋までは上空に止まるであろう。
 拡大路線からの転換というが、NHKが巨大メディアであるということに変わりない。
隅井孝雄(ジャーナリスト)

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