6月に3カ月遅れの無観客で開幕し、7月から5000人以下の観客制限で続行されたプロ野球は、9月に入って後半戦の王座争いを迎えた。
過密日程が総合力の勝負を促した。投手陣のやり繰りがむずかしく、失敗すれば大差の敗北となったが、新戦力の台頭もあって、競り合いの強さが重きをなしている。スリルに富んだ面白さが、ファンの興奮を呼んだ。
セ・リーグは巨人がリードし、パ・リーグでソフトバンクとロッテが首位を競っているが、大詰めへ向け激戦が続きそうで、王座は予断を許さない。
新型コロナウイルス感染症の感染対策を徹底し、競技者たちの感染検査を怠らず、自覚的な予防姿勢が白熱戦を生み出している。
プレーによる感染の危険は少ないため、濃厚接触の少ない競技では、屋内での競技や市民スポーツでも、競技会などが本格化してきた。
全国的な感染拡大の地域差は大きく、感染の少ない地域では、濃厚接触の多いラグビーでも、高校生の公式戦がスタートした。
それでも東京など都市部の感染拡大は収束が見えず、不安は消えない。
感染拡大対策の最中に、安倍首相が病気を理由に辞任して、投げ出した政府の対策に空白が続き、関連自治体も手をこまねいてきた。
そんな中で、競技者や競技団体が、自主的に競技を継続させる意欲を見せていることが特徴的だ。スポーツ文化を守る姿勢が広がっている。
感染拡大が続く欧米だが、競技ファンは多く、過密日程の米大リーグ野球では、復活したダルビッシュ投手(カブス)など日本人競技者が活躍している。
欧州のサッカーも熱戦が続く。自衛により文化を絶やさない競技者たちの意志は世界共通に違いない。コロナ禍が、自由で自主的なスポーツ気運を拡大している。
猛暑がおさまりつつあり、台風被害の危険はあるが、スポーツの秋本番に向かい、知恵と工夫のスポーツライフが発展しそうだ。
大野晃(スポーツジャーナリスト)