2020年09月17日

【映画の鏡】制作の決意は揺るがず 『島を守る』 新聞社が提携「命の尊さと平和」発信=鈴木賀津彦

 沖縄戦の激戦地、摩文仁の丘(糸満市・平和記念公園)の『島守の塔』をご存じだろうか。碑文には「この地は、沖縄戦で住民とともに南下を続けた島田知事、荒井警察部長らが摩文仁の丘を最後の地と定め、随行の部下に退去・避難を命じ、この山に構築した壕で自らの生命に終止符を打ったゆかりの地」とある。
 戦後75年の今年3月、沖縄県内で映画「島守の塔」(五十嵐匠監督)の撮影がスタートした。この知事島田叡(あきら・神戸市出身)と県警察部長荒井退造(宇都宮市出身)という本土から赴任した二人の内務官僚の苦悩や葛藤を通じ沖縄戦を描き、命や平和の尊さを伝える作品。だが、コロナ禍で中断、撮影は来年以降に延期を余儀なくされた。当初は、年内に関係地域での先行上映、来年夏の公開予定だった。
 撮影も上映も未定という残念な事態にもかかわらず、製作陣の強い決意を感じたのは、7月に映画の公式サイトを立ち上げ、8月には広く「サポーター」の募集を始めたことだ。製作委員会のメンバーに注目してほしい。下野新聞、神戸新聞、琉球新報、沖縄タイムスの4地方紙が中心となり、毎日新聞やサンテレビ、とちぎテレビなどが加わった構成。
 「主な登場人物の出身地(沖縄、兵庫、栃木)の地方新聞社が連携を図り、単にこの映画製作の支援・協力をするだけでなく、3県のトライアングルによる『平和交流事業』の基盤を構築し、3県のみならず全国のメディアに呼びかけ、大きな平和事業に発展させていきます」としている。
 映画づくりの新しい形としての地方紙連携に期待したい。
鈴木賀津彦
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2020年8月25日号
posted by JCJ at 01:00 | 映画の鏡 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする