2020年10月06日

【JCJ声明】菅首相に日本学術会議の6人任命拒否の理由、根拠の説明と撤回を求める

 菅義偉首相が、日本の各分野を代表する学者が集い、政府から独立した立場で提言などを行う「日本学術会議(会員210人)」の3年ごとの半数改選にあたり、同会議が推薦した105人の新会員のうち6人の任命を拒否した。同会議は菅首相に対し、6人の速やかな任命と任命拒否理由の説明を求めている。日本ジャーナリスト会議は同会議の要請を支持し、菅政権に「任命拒否を撤回し、6人をただちに任命すること」、「拒否の理由と根拠を、国民の前で速やかに説明すること」を求める。

 「学者の国会」とも言われる同会議が1949年、独立機関として設立されたのは、滝川事件や天皇機関説事件など、戦前の権力による学術研究や論説への侵害、統制の反省によっている。それゆえに「日本学術会議法」で独立性が保証されている。
 今回の問題の「推薦制」は中曽根政権下の1983年に導入されたが、首相による任命は、天皇の首相任命と同様の「形式的任命行為」にほかならない。そのことは当時の国会議事録でも、「法解釈上も政府側が『拒否、干渉しない』仕組み」と明言され、与野党合同で提出した付帯決議も可決されている。
 だが今回、加藤官房長官は「法律上、推薦の中から選ぶことになっている」「義務的に任命しなければならないというわけではない」と、すり替えた。

 10月2日の野党合同ヒアリングでは内閣府と内閣法制局が、「2019年に合議し、解釈を『確定』させた」と回答したが、解釈変更の有無は答えず、「義務的に任命しなければならないわけではない」と加藤発言をなぞった。
 だとすれば、第二次安倍政権7年8カ月の負のレガシー、「その時々の政府の都合で法解釈を変えてしまう」手法が繰り返されている疑いはぬぐえない。今回の任命拒否は、「人事問題ではなく、政治と学術の関係に対する菅政権の政治的介入」に他ならない。菅首相には責任ある説明が求められる。
 さらにその後、今年9月にも内閣府が法制局に照会していたことや、2016年にも日本学術会議の会員補充人事に、政府が推薦候補の差替えを要求するなど、介入を図ったことなども明らかになってきた。
 菅政権による日本学術会議への介入は明らかに不当であり「違法」だ。日本ジャーナリスト会議は、「#日本学術会議への人事介入に抗議する」多くの人たちとともに、菅政権の暴挙に抗議する。

 2020年10月5日
                                               
日本ジャーナリスト会議
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【おすすめ本】 左右社編集部編『仕事本  私たちの緊急事態日記』─コロナ禍のなか77人が綴るテンヤワンヤの貴重な記録に乾杯!=南陀楼綾繁(ライター) 

 新型コロナウイルスの感染拡大を受け、東京都などに緊急事態宣言が発令されたのが4月7日。
 その日に原稿依頼を始め、さまざまな仕事に就く77人に月末までの日記を書いてもらったのが本書だ。刊行は6月末。
 編集者によると、寄稿を断る人も締め切りに遅れる人もいなかったという。それだけ切実に伝えたいことがあったのだ。
 いつまで休館すればいいのか悩む映画館支配 人。従来の葬儀ができないことに戸惑う葬儀社スタッフ。練習できないことに焦りを感じるピアニスト。ベルリンで自粛生活を過ごすイラストレーターなどなど。
 水族館では休館中でも動物が運動不足になるのを防ぐため調教を行うなど、その仕事固有の事情が判って興味深い。
 図書館が全面休館したことにより、資料を参照できなくなる校正者の記述には、自分もそうだったと共感する。
 同じ日の出来事にどう反応したかを知るのも、複数の日記を読む面白さだ。星野源に便乗した安倍首相の動画を見て、怒りを表明している人が何人かいた。
 じつはこの本は、出た直後に読むよりは、少し時間が経ったいま、読む方が面白いと思う。あれだけの非常事態だったのにもかかわらず、過ぎてしまうと、だんだん印象がぼやけていっている。巻末の年表とあわせて日記を読むと、そのときそのときの出来事がくっきりと蘇るのだ。
 ところで、この77人に1年後の同じ期間の日記を書いてもらって刊行したらどうだろう? その間の仕事や感情の変化をとても知りたい。私は絶対に買います。
(左右社2000円)
                               仕事本.png
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