2020年11月30日

【隅井孝雄のメディアウオッチ】 トランプのTW閉鎖か 問われる安倍前首相のSNS虚偽発言 

2012 1警告かぶせたツイートとトランプ.jpg
 ツイッターを駆使して世界に君臨してきたトランプ氏は米大統領の地位だけではなく、ツイッターも使えなくなるかもしれない。
 11月17日、米議会の公聴会に出席したツイッターのジャック・ドーシーCEOは「指導者の地位にあるため独別な例外措置を認めているが、大統領の地位を失えば特権を失う」と述べた。
虚偽発言18000回
 トランプ氏は、これまでSNS上での「虚偽発言」が大統領就任以降18000回にも上っている。そのうち3600回がツイッター経由だった、と米紙が報じた。大統領選挙後はさらに「落選」を認めない発言が、連続しているのだが、ツイッター社はこれも「虚偽発言」みているようだ。
 ツイッター社は通常なら削除されるかアカウント自体を取り消される「トランプ氏の虚偽の投稿」を「事実確認が必要」、「投稿の一部に真偽が疑われる記述を含む」などのラベルを付けて掲載してきた。しかし大統領としての「公益性のある地位」を失えば、「虚偽投稿を繰り返す」人物はアカウント凍結措置が取られるのがルールだとドーシーCEOは米議会で述べている。
 2020年5月26日のトランプ大統領の2本のツイートは、カリフォルニア州の郵便投票は不正の対象になるとの投稿だった。これに対し、ツイート社は「事実確認」ラベルをつけた。また5月28日のジョージ・フロイド事件の抗議デモに対するツイッターは自動表示されないようにしたうえで、「暴力をたたえる内容はルール違反だ」と注釈をつけた。
 11月3日の投票日以降もツイッターは数多くのトランプツイッターに対し、「事実確認必要」、「真偽が疑われる」、「誤解をまねくおそれあり」というカードをつけ、クリックしないと閲覧できない、などの措置をとってきた。
 一方、「法の下で市民権を求める弁護士委員会」や、政治監視団体の「コモン・コーズ」などはこれらの措置に納得せず、トランプアカウント凍結を求める公開書簡を送っている(11月12日)。
 FB、アカウント削除
 フェイスブックもトランプ投稿など、内容が虚偽である、または暴力を推奨するような投稿に対し削除するなどの対応をとっている。例えば「コロナはインフルエンザほど致命的ではない」とするトランプ投稿(10/6)を誤った情報だとして削除した(同じ文面のツイッター投稿は自動閲覧できないうえで、注意喚起の表示がついた)。
 またAFP通信によると、多数の偽アカウントを使ってトランプ大統領を称賛する運動が展開されたとして、フェイスブックのアカウント200件と記事55ページ、インスタグラムアカウント76件を削除したことをフェイスブック社が発表したと伝えている(10/8)。
 更にトランプ支持グループ「Stop the Steal(選挙を盗むな)」のフェイスブックページを閉鎖した。このグループは全米で35万人のメンバーがいて、トランプ支持のデモを計画していた。議会公聴会で証言したマーク・ザッカーバーグCEOによると、「暴力を誘発する恐れがあった」という(11月17日)。
 オバマにかなわない
 トランプ氏がツイッターを始めたのは2009年3月。著書を出版こととなり、どう売り出すか話し合いが行われた。その席上出版会社の編集者からツイッターについて説明があり、興味を抱いたのがきっかけだった。しかしすでに有名だったトランプの偽ツイッターがあり、アカウント名を「@real DonaldTrump」にしたという。
 大統領選挙直前の11月1日に時点のフォロワーは8736万。一日平均のツイート数11件。よく使う言葉は1.「Make Amerika Great again」,2.「Fake News」、3.「Witch Hunt」,4.「Deal」。(毎日新聞11/1)だと報道されている。
 フォロワー数ではバラク・オバマ氏の1億2590万人にはるかに及ばず、世界7位に低迷している。ちなみに2位はジャスティン・ビーバー(1億1,100万フォロワー)、3位はケイティ・ペリー(1億1,000万人)。
 日本は野放し状態
 ところで日本ではツイッターもフェイスブックも厳格な規定がなく、まして大物政治家の虚偽発言に対抗して、削除することなどは考えられない。
 例えば、安部晋三前首相だが、2018年の桜の会、前夜祭の参加費を補填した事実が明らかになった(11/23)。安倍前首相は在任中「経費補填はしていない」と言い続けてきた。
 安部氏が2019年秋の臨時国会と20年年の通常国会で事実と異なる答弁を少なくとも33回行ったことを衆院調査局が明らかにしている。
 安部氏が代表を務める資金管理団体晋和会は懇親会代金の不足分として、5年間で800万円をこえる。この支出は公選法違反の買収にあたるとして野党側が追及してきた。さらに東京地検特捜部も秘書らに事情聴取している。
 後援会員らに経費補填したことが発覚した以上、アメリカであれば、「虚偽発言を続けた人物」のツイッターもフェイスブックも徹底的に調べる。もしその発言の中に虚偽があれば、閉鎖することになる。首相としての特権的地位を失い、公益性のかけらもないのだから。
 安部氏や官邸のツイッター、フェイスブック、インスタグラム、ラインなど一連のSNSでフェイクが流されていれば、閉鎖を含む対抗措置が取られなければならないだろう。
 隅井孝雄(ジャーナリスト) 

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2020年11月29日

【今週の風考計】11.29─「釣りキチ三平」など画業50年の矢口高雄さんを偲ぶ

漫画「釣りキチ三平」を始め数多くの名作を手掛け、11月20日、すい臓がんで81年の生涯を閉じた矢口高雄さん。心からご冥福をお祈りします。
 思えば筆者が矢口高雄さんと出会ったのは、今から27年前になるだろうか。『ボクの学校は山と川』(白水社)を文庫に収めたくて、東京目黒区自由が丘のご自宅をお訪ねし、2階の仕事場で懸命に矢口さんを口説いたときを思い出す。

その後、矢口さんや白水社の承諾を得て、実際に文庫化する作業に入り、打ち合わせを重ねていくうちに、文字だけでは飽き足らなくなった。
 思い切って提案した。矢口さんの漫画から本文の叙述にあったカットを、できるだけ多く取り入れたいと。矢口さんは頷かれ、文字叙述の魅力を倍加させることができた。1993年10月15日に刊行、今も版を重ねている。
続けて『ボクの手塚治虫』『ボクの先生は山と川』、さらには『蛍雪時代─ボクの中学生日記』(全5巻)を文庫に収載するなど、担当して10年近く「矢口ワールド」に浸ることができた。
 とりわけ矢口さんが、生まれ故郷の秋田・西成瀬村(現横手市)の山村や自然の厳しさを語るエピソード話は今でも耳に残る。また人の営みや山と川の姿を精彩なタッチで描く巧みさに驚かされてきた。
 それだけではない。いつも笑顔で人と接し、談論風発、愉快な仲間が良く集まる。

毎年7月20日前後の休日には、矢口さんの自宅の庭を会場にして「鮎祭り」が開催される。矢口さんが釣った天然鮎が庭の炭火炉で焼かれ、かぶりつきながら生ビールを飲む。里中満智子さんを始め数十人が、入れ代わり立ち代わり集まり、鮎に食いつき、飲む、喋る。
つまみにはナスの一夜漬けが人気だった。秋田では「なすがっこ」と呼ばれる。一口大で濃い紫色をした丸ナスは皮が薄く、漬けるとパリッと歯触りが良い。
 横手から送ってくる定番の一品が、砕氷を敷いた大皿に盛られている。ついつい手が伸びる、あの味は忘れられない。

「三平 四季を往く」.JPG手元に矢口高雄『三平 四季を往く─矢口高雄マンガ家生活25年記念画集』(双葉社)がある。1995年11月24日に記念パーティーが開かれ贈呈されたものだ。
 ページを開けば、<秋の章>─木の実落つ夜来の風や里の秋─と詠い、真っ赤に色づいたモミジ、夕日に映えて躍る鮎、ススキを背にして吊り竿を操る三平の姿が、色鮮やかに描かれ目の前に迫ってくる。
 そして今、矢口さんが創設に尽力した秋田県の横手市増田まんが美術館では、来年1月11日まで矢口さんの画業50周年を記念した企画展が開かれている。(2020/11/29)
釣りキチ三平.JPG
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2020年11月28日

【20年度JCJ賞受賞者スピーチ】 JCJ大賞「桜」スクープ 独自の視点 最大の武器 しんぶん赤旗日曜版編集長・山本豊彦さん 

 赤旗日曜版の報道の核心は、桜を見る会を安倍晋三前首相による国政の私物化であり、これを重大疑惑として告発したことです。これまで政治家をめぐる疑惑の多くは密室の中で起きていた。
 ところが桜を見る会は、首相主催の公的行事として新宿御苑で開かれ、大手メディアが取材している。(現場に行っていないのに)なぜスクープできたのかについて、JCJ大賞の受賞が決まった時、ご飯論法≠ナ有名な法政大の上西充子教授からコメントをいただきました。
「この問題を安倍政権による私物化だととらえ、報じるべきだと考えたことです。この着眼点が評価された」。問題をどう見るかという視点とか着眼点を大事にしている。これが最大の武器です。
 取材で重視したのはインターネット上のブログやフェイスブックといった公開情報の活用です。
桜を見る会関連で情報公開請求しても、ほとんど情報が得られず、「どうしようか」と悩んだ記者は、ネット上で桜を見る会に参加したという書き込みに注目した。安倍後援会の年中行事だと思っているようなので、皆さん悪気がなく、「今年も行きました」と書き残している。ある山口県議は「安倍首相には長く政権を続けてもらい、桜を見る会に下関の皆さんを招いていただきたいと思い新宿御苑をあとにしました」とブログに書いていた。
 これは安倍後援会旅行≠セと確信したが、安倍事務所がどう関与しているか裏付けが必要です。安倍氏の地元・山口県下関市で自民党支持者や保守の人が赤旗の取材に応じてくれたのは理由がある。地方議員や共産党支部の人たちは、時には保守の方たちと一緒に活動をしている。そういう方に紹介を受け、相手から信頼を得て真実を明らかにする勇気ある証言をもらえた。
 しかし、日曜版がスクープしてもどこのメディアも追いかけてきませんでした。桜を見る会を国政の大問題に押し上げたのは、ネット上の市民の世論と、国会で野党が一緒になって追及したからです。
 菅義偉首相は桜を見る会は来年から中止と幕引きを図ろうとしている。だが、桜を見る会の私物化は国政を歪めた重大問題です。私たちはこれからも権力を監視する立場で、しつこく追及を続けていく。
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2020年10月25日号
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2020年11月27日

【オンライン講演】 東京五輪「政治とカネ」後藤逸郎さん語る IOCのエゴイズム 開催可否は国民投票で=嶋沢裕志

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コロナ禍の収束が見通せない中、来夏に延期された東京五輪・パラリンピックを「簡素化」して開催する準備が加速している。欧米などの感染状況を鑑みれば、国際オリンピック委員会(IOC)や大会組織委員会、政府、東京都の前のめり感も否めないが、東京五輪は一体どうなるのか。JCJは9月26日、五輪問題に詳しいジャーナリスト、後藤逸郎さん=写真=のオンライン講演会を開いた。後藤さんは4月、「オリンピック・マネー誰も知らない東京五輪の裏側」(文春新書)を上梓した。
 
 講演会は大会組織委とIOCが、大会関係者の削減や会場の装飾を減らすなど、52項目の簡素化で合意した翌日に行われた。リモート取材に参加した後藤さんは「300億円程度のコスト削減が決まったが、延期に伴う経費(約3千億円)にコロナ対策費を含めれば6千億円とも言れ1兆3500億円に膨らんだ大会予算もまだまだ増える」と指摘。一方、「IOCは開催式の時間短縮など米テレビ局の放送権料収入に関わる事項だけは一切譲歩しなかった」と、IOCのエゴイズムむき出しの実態を明かした。「平和の祭典」を仕切るIOCは、国連とも平和機関でもない巨大な興行主であり、開催すれば儲けが出る「開催ありき」の組織だと断じる。
 日本では「コロナ解雇」が6万人を超え、23万社が倒産・廃業の危機にある。海外にはもっと悲惨な国もある。そんな状況下、無尽蔵に税金を注ぎ込むより、コロナ対策に回せばどれだけの命を救えるかという視点も大事だと問題提起した。
 五輪開催ルールにも疑念が残る。選手の入国時に陰性証明と行動計画書があれば14日間の待機を免除すること。交通機関を使ってのホストタウンへの移動を容認することだ。懸念材料はまだある。選手村で感染者が出た場合、感染が蔓延しないかという点だ。「アスリートファーストと言いつつ選手の生命を軽んじていないか?」。
また、パラリンピック選手には基礎疾患を持つ人が多く、感染で重篤化するリスクも高いのに、あまり報じられることはない。背景には、メディア自身が「奉加帳」方式で五輪スポンサーとなっており、運命共同体として中止すべきなどと言い出しにくい面があるのではないか。 
 前代未聞の環境下で行われるオリンピックなら、開催の可否を問う国民投票があってもいい、と後藤さんは考えている。「五輪はその国の民主主義の成熟度を測る物差し」と締めくくった。   
 嶋沢裕志
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2020年10月25日号

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2020年11月25日

【神奈川支部】 菅首相 人事で強権支配 値下げにこだわる政治家 朝日政治部・南記者が講演=保坂義久

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JCJ神奈川支部は10月24日、横浜市健康福祉総合センターで例会を開いた。朝日新聞政治部の南彰記者(写真)が菅義偉内閣の特質をテーマに講演した。
 南記者は、政治部と兼務して2013年から大阪社会部に赴任。15年の大阪都構想をめぐる住民投票が僅差で否決された後に東京へ戻った。18年から新聞労連委員長となり、今年9月に政治部に復帰し、現在は国会取材班のキャップをしている。
22日に派閥会長を辞任した石破茂氏が、来年の自民党総裁選への出馬を質問されて『総裁選に出るとか出ないとか語るのは適当ではない』と答えたことを引き合いに出して、南記者は、「ものを言うことが自らへの支持を広げるにはマイナスとなるという今の永田町の空気感を示している」という。
 霞が関の官僚を取材しても、官邸の言うことには逆らえない雰囲気がある。同じように官邸が力を持っていた小泉純一郎内閣と比較して、南記者は「小泉内閣は『郵政改革』という政策での支配だが、菅政権は人事を使った支配」と指摘した。
 横浜市会議員の時代にも、幹部人事の情報を事前に入手した菅氏は、昇格予定の幹部に激励の電話をしたという。電話をもらった幹部は昇格が菅氏の影響力のためと思ってしまう。
 総務大臣の時にも、ふるさと納税拡大の問題点を直言した税務局長を左遷し、著書の中でも自分は人事を使って意思を示すと公言している。
 10月1日には日本学術会議の新規会員名簿から、安保法制などに反対した学者を外したことが明らかになった。官僚の人事以上に高度な自治が保障されるべき学術分野に介入が行われた。
安倍政権では森友・加計問題などで公文書がないがしろにされてきた。ところが菅氏は、民主党政権時代に出版した自身の著作の中で、公文書管理の重要性を力説していた。南記者は官房長官時代の記者会見で著作の内容を引き、「この発言している政治家をご存知ですか」と質問した。菅氏は自著にも関わらず「知らない」と答えたという。その著作「政治家の覚悟」は最近、文庫化されたがその部分は省かれていた。
南記者は菅氏の政治手法は大阪維新の会に通じるところがあるという。大坂維新の会も県市の行政組織や労働組合とは対決したが、コストカットした財源を子育て世代に回すなどして支持を集めた。
「菅氏は値下げの菅≠ニいわれる。携帯電話料金の引き下げの他に、Gotoキャンペーンも値下げの一種。不妊治療の保険適用も、制度改正の前に予算措置を先にするのではないか。国土交通省の政務官の時に東京アクアライン利用料を引き下げるなど、値下げにこだわる政治家」(南記者)。就任会見では自助を強調したが、リベラル側の政策も取り込んで自分の手柄にするのではとの見通しを語った。
 また南記者は、10月3日に原宿のパンケーキ屋で行われた官邸記者クラブ所属各社の首相番との懇談を、朝日、東京、京都新聞の3社が断ったことについて経緯を語り、総理の宣伝じみた懇談ではなく、本来は記者クラブ側から取材を申し込んで応じさせるべきだと強調した。
保坂義久

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2020年11月24日

【スポーツ】 感染規制で厳冬のプロ=大野晃

  寒さがつのり、新型コロナウイルス感染症の急激な再拡大が懸念される中で、プロ競技界は厳しい越冬を強いられそうだ。
試合減で、無観客から観客制限のプロ野球は、収容人員の50%までの制限が来年2月まで継続され、満員の観衆は夢と消えてシーズンを終える。
 レギュラーシーズン中の総観客数の激減は明らかで、パ・リーグの発表では、昨シーズンのわずか18%にまで、急激な落ち込みが記録された。
 テレビ放映権収入などがあるにせよ、入場料が収入の柱に違いないから、昨シーズンまで上向いてきた球団経営の急降下により、そのしわ寄せが競技者の収入減に及ぶことを予想させる。
 労組日本プロ野球選手会の調査によれば、今年の支配下登録選手727人の平均年俸は4189万円で、初めて4000万円台に到達したという。
 それだけに近づく契約更改が悩ましい。サッカーJリーグは球団も多く、さらに深刻で、球団存続のために、競技者による報酬の一部返納の動きも出ている。
 大相撲でも、稽古不足による休場力士が続出し、収入減は少なくない。
プロ競技ではなくとも、プロ契約の競技者が増加しているから、競技会の中止や観客制限は競技団体の経営を圧迫し、競技者の生活に跳ね返ってきている。
 競技者たちは不自由ながらも、ファンとともに競技ができることを楽しみ、ファンを励ましてきたと自負しているようだが、競技生活の不安は限りなく大きい。
 欧州のサッカー界などでも深刻さを増しているが、各国は対応を検討しているようだ。
 ところが日本は、国が、感染対策とはいえ、規制を求めたのだから補償するのが当然だが、スポーツには対応を示していない。マスメディアもまた、プロ競技の経営や競技生活への関心は鈍い。
 スポーツ文化の担い手たちの国民生活での位置づけに、根本的な問題がありそうだ。
大野晃(スポーツジャーナリスト)
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2020年11月23日

住民投票で横浜カジノ不要が多数なら撤回=伊東良平

 11月4日、カジノ誘致に関する住民投票実施のための署名活動が法定の2か月間を経て終了した。集まった署名は20万5800筆にのぼり、住民投票条例の申請に必要な6万2千500人分の3倍以上となった。署名は事前登録した受任者が集めなければならず、住民投票の実現を推進する「カジノの是非を決める横浜市民の会」は署名開始にあたり、実に4万3千人もの協力者を得て臨んだ。広域圏自治体における住民直接請求の成立はただでさえ難しいところに、コロナにより各種の集会が制限され活動は困難を極めた。
 しかし、市民の反応は好意的で街頭署名には行列も出来るほどであった。集められた署名は居住区ごとに仕分けられ、11月13日に市内18区の選挙管理委員会に審査のため提出された。選管が有効な署名と判断すれば、林市長が市議会に条例案を提出し、可決されれば来春にも住民投票が行われる。
 署名活動は横浜市議会全野党の賛同を得て進められたが、政治的な枠組みを超え保守層からの支持も拡大している。山下ふ頭の地権者である横浜港運協会前会長はカジノに反対し退去はしないと公言。また、神奈川県議会議長や自民党県連代表を長年歴任された保守の重鎮もカジノ不要を表明している。9月の市議会では市長に対し自民党市議からもIRカジノについて「事業効果を再確認する必要があり、事業の推進は冷静に進めるべき」との意見が出された。市長は記者会見で本年度のカジノ関連予算の減額と来年度の事業費見直しを示唆した。
 さらに、市民による署名活動の高まりを受け市長は会見で「住民投票が実施された場合にはその投票結果を尊重し、反対多数の場合は横浜誘致を撤回する」と述べている。住民運動が市に方針転換をもたらせた意義は大きい。政府は自治体からの地域整備計画の受付を9か月延期した。すでにラスベガス・サンズ等の米国系参入予定企業は撤退し、国内で参入予定のセガサミーも人員整理を始めた。現状では世界のカジノ事業者はコロナ禍で財務内容が悪化して新たに投資するような余裕はなくなっている。住民投票の結果を待つまでもなく、1日も早くカジノ撤退の決断をすべき時である。 
伊東良平 
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2020年11月22日

【今週の風考計】11.22─武蔵野の湧水が作り出す美しい景観を堪能

「小春日和」とはいえ、歩くと汗ばむほどの陽気。この週末、東京郊外にある庭園を訪ねた。
 一つは滄浪泉園。JR武蔵小金井駅南口から連雀通りを西へ、高等学校の前に入口がある。武蔵野・国分寺崖線の「ハケ」という立地特性を活かし、湧水を取り入れ深山の趣そのまま生かした、実業家・波多野承五郎の別荘庭園だ。
まだ青いモミジで覆われた門をくぐり、丸石がびっしり敷き詰められた道を行くと、視界が開け東屋に着く。そのわきに水琴窟がある。ツクバイから湧水を柄杓で掬い足元の石積みにかける。キンコンと余韻を残して響く。

さらに急な細い道を蛇行しながら下ると、ブナやケヤキ、アカマツ、モミジなどの樹木の間から、きらめく水面が見えてくる。こんこんと湧く武蔵野の清水を湛え、モネが描く水連の池を思い出させる。
 クヌギ、コナラ、シイの黄色い葉が、木漏れ陽を浴びてキラキラ光りながら池面に散っていく。周辺の高い樹木の間からもれる光が、何本もの細い柱となって天から差し込んでいるような幻想にかられる。
 ふと高校生時代に取り組んだメルヘン劇、フーケーの「オンディーヌ」がよみがえり、妖精が躍っているような気配に、あたりを見回してしまった。

モミジが真っ赤に色づくのは、あと2週間後だという滄浪泉園を後にして、脇の坂を南へ下り、右折すると新小金井街道にぶつかる。目の前に「大勝軒」の看板が。あの元祖つけ麺で有名な店。すぐ飛び込む。懐かしい「特製中華そば」が空腹を満たす。
 午後は野川沿いの遊歩道を、ゆっくり西へ西へと歩く。カモが5匹ほど川べりで水遊び。しばらくすれば東経大の構内にある新次郎池、だがコロナ禍で閉鎖。がっかりしながら国分寺方面へ。

二つ目は殿ヶ谷戸庭園。大正時代に江口定條が<随♂>と名づけ、三菱財閥・岩崎彦弥太が別荘とした近代日本庭園だ。高低差を楽しむ回遊式林泉庭園と茶室<紅葉亭>がある。
 これまた国分寺崖線の「ハケ」を活かし湧水を取り入れた「次郎弁天池」の周辺には、モミジの木が多い。色づくと圧倒されるような景色が、高台にある<紅葉亭>から眺めると、眼下に広がるという。だが、またまたモミジは青いまま。
さらに武蔵国分寺跡に向かう道の周辺には、「お鷹の道」や「真姿の池」があり、湧水「ハケ」が群がる名所となっている。ここにも足を延ばしたいが、もう疲れた。またの機会に譲ろう。(2020/11/22) 写真:滄浪泉園内にある湧水池

滄浪泉園内にある湧水池.JPG
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2020年11月21日

【映像】2020年度JCJ賞贈賞式後半 各受賞者のスピーチ=10月10日、エデュカス東京

                      
            https://www.youtube.com/embed/LPYBeRSrT3s
            上記をクリックすれば視聴できます。
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2020年11月20日

【出版会の動き】 出版物には消費税「外税表示」の恒久化を=出版部会

■出版協は「外税表示」の恒久化を要望し、中小出版社が多い千代田区議会に陳情。来年4月1日から消費税額を含めた「総額表示制度」が義務化されることに対し、「再販商品である出版物については、消費税率改訂のたびに事業者に新たな諸費用・負担がかかり、在庫書籍の絶版化を再び招きかねず、読者・消費者にとって最大の文化的不利益となる」との理由から、総額表示に反対の意思を表明している。

■9月の書籍・雑誌販売金額1183億円(前年比0.5%増)、書籍685億円(同0.3%増)・雑誌498億円(同0.8%増)。月刊誌423億円(同3.6%増)、週刊誌74億円(同12.7%減)。返品率は書籍31.7%、雑誌37.5%、月刊誌36.5%、週刊誌42.4%。
池井戸潤『半沢直樹 アルルカンと道化師』(講談社)初版30万部、馳星周『少年と犬』(文藝春秋)がヒット。

■アマゾンジャパンが仕入れた書籍を版元へ返品するに際し、その返品量の多さに加え本の汚損が激しく、苦情が殺到している。このほど出版協は商品の破損につながる返品の仕方に抗議し、丁寧に本を扱い返品するよう要望書を提出した。

■オンライン書店「楽天ブックス」が、千葉・市川市にある物流センターで稼働。業務自動化の新システムを導入し、人員による作業工程を約30%削減した倉庫運営に着手。来年夏までに、同市内の既存2施設を新施設へ集約する。在庫保管量は約1.5倍、1時間あたりの出荷件数は約1.3倍に増強。午前中に注文すると翌日に届く「あす楽」サービスの対象商品も拡大させる。

■「ギフトブック・キャンペーン」が、11月1日〜12月末まで2カ月間、全国の書店で開催される。著名人34人が選んだ「贈りたい本」「読んでもらいたい本」102冊を掲載した<ギフトブック・カタログ2020―2021>20万部を販売する。キャンペーンに書店など約1500店が参加する
 出版部会
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2020年11月19日

【お知らせ】 相澤冬樹さん(大阪日日新聞記者)が12月5日(土)に埼玉県で講演 

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 この講演は沖縄の闘いに連帯する関東の会(代表・辻忠男さん=埼玉協同病院内科診療部長)が開催、相澤さんは「私は真実が知りたい―森友問題は終わっていない」について話す。埼玉会館小ホールで13時30分から開きます。終了後、近場でささやかな沖連関東の会の忘年会を行う予定。カスカス政権打倒!沖縄の闘いに勝利を!
問い合わせ先048−296−5408
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2020年11月18日

【時事マンガ】 来夏の五輪とかけて女川再稼働と解く その心はムリ、ムリ=画・八方美人  

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2020年11月16日

第63回JCJ賞贈賞式開く 各受賞者 取材への思い語る=須貝道雄

 日本ジャーナリスト会議は10月10日、東京都千代田区のエデュカス東京で第63回JCJ賞の贈賞式を開いた。安倍晋三首相の「桜を見る会」私物化スクープと一連の報道でJCJ大賞となった「しんぶん赤旗」日曜版の山本豊彦編集長のほか、4人のJCJ賞受賞者が取材に挑んだ思いをスピーチした。
 式ではJCJの選考委員が各受賞作を紹介した。『証言 沖縄スパイ戦史』(三上智恵さん=集英社新書)では、酒井憲太郎さんが「沖縄戦を引きずり、今もあの空間を生きている元少年兵の証言が圧巻だった」と述べた。『孤塁 双葉郡消防士たちの3・11』(吉田千亜さん=岩波書店)では、伊藤洋子さんが「約70人の消防士を丁寧に取材している。東電や国の対応のひどさに気づかされる」と指摘。
  森友問題で自殺した財務省職員の遺書を『週刊文春』で公開した赤木雅子さんと相澤冬樹さんについて、藤森研さんは「勇気と信頼に基づいた二人の共同作業だったと思う」と結んだ。北海道放送「ヤジと民主主義〜小さな自由が排除された先に」(長沢祐さん)では、石川旺さんが「プラカードを持つ女性を排除するため『お茶飲む?買ってあげるよ』と言葉をかける女性警察官の姿に、命令に従うだけの平凡な人が巨大な罪を犯してしまう、元ナチスの戦犯・アイヒマンの『凡庸な悪』と重なった」と語った。
 「しんぶん赤旗」日曜版のスクープでは、諌山修さんが「当初、多くの新聞が『桜を見る会』の問題を無視する中、ツイッターやテレビのワイドショーで燃え上がった」とメディア状況の変化を強調した。
 一方、選考委員の鈴木耕さんは賞全体の講評をした。今回のJCJ賞には新聞23点、出版33点、放送37点、映画3点の応募があった。そのうち選に漏れた作品をいくつか取り上げ、解説した。
 新聞では北海道新聞の「道警ヤジ排除問題」追及報道。北海道放送の作品と重複するため、どちらを選ぶかの議論の末に放送に決まった。毎日新聞の「NHKかんぽ不正報道への圧力に関する一連の報道」はNHKの報道機関としての資格を問う奥深い内容だった。出版では『かくされてきた戦争孤児』(講談社)が力作。85歳になる著者の金田茉莉さん自身が戦争孤児で、コツコツと拾い集めた孤児の証言は「胸に迫る」と評した。
 放送では沖縄テレビ放送の「サンマ デモクラシー」が出色だった。米軍統治下の沖縄で、キャラウェイ高等弁務官が大衆魚のサンマに課税した。魚屋のおかみさんが1人で立ち向かい、裁判で課税撤回を勝ち取る様を描いた。
 今年の贈賞式は新型コロナウイルス感染防止のため、関係者のみで開催し、その模様はライブで配信した。     
須貝道雄
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2020年10月25日号

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2020年11月15日

【今週の風考計】11.15─コロナ・ワクチンへの過剰な期待に潜む陥穽

■国内のコロナ感染者が、新たに1日1700人を超え、週末3日連続で過去最多を更新し、全国で11万8千人・死者1900人となった。コロナ感染拡大「第3波」の襲来に他ならない。
 冬の乾季が進むにつれ、感染者の受け入れや重症者の病床確保など、医療体制のひっ迫は深刻な事態をもたらす。「Go Toトラベル」の中止も含め、拡大防止への対策が急がれる。

■ここにきてコロナ・ワクチンへの期待が急速に高まる。米国のファイザー社が開発しているワクチンの治験結果が公表され、有効性がはっきりしたという理由で、その輸入も含め、菅首相が「来年前半までに全ての国民に提供できる数量を確保する」と宣言した。
 すでにワクチン購入費として予備費から6714億円の支出を閣議決定している。ワクチンを国の全額負担で接種できるよう予防接種法改正案も審議入りした。
■とりわけ頭痛や倦怠感、筋肉痛など副作用のリスクと予防効果との兼ね合いが重要な課題であるだけに、「安全性、有効性が確認され、承認されたワクチンについて、本人の意思に基づき接種してもらう」との厚労省の考えは、大切にしたい。

■現在、世界では合計200種類以上のワクチンの開発が進んでいる。そのうち40種類ほどが人間を対象とした治験の段階に入っている。だが安全性に関しては100パーセントの保証は、いまだ一つとしてない。
 かつワクチンの保存はマイナス70℃の環境が必要なため、保管・運搬などに困難が生じやすく、どこでも接種できるかとなれば、そう容易ではない。
■ワクチンを接種したからといって、体内に免疫ができるまでには6週間ほどかかる。ワクチンが実用化されても、ソーシャルディスタンスを保ちマスクの着用は続けなければならない。世界中で効果を発揮するには、数年かかるという。

■いま米国は、コロナ感染者が1日に16万人を超え1080万人、死者は24万人にのぼる。世界で最悪のコロナ汚染国だ。
 その原因を作ったトランプ大統領が、大統領選での敗北は認めず「ワクチン配布」を声高に叫んでいる。ただし民主党知事のニューヨークは除くなどと、ここにも党派対立・差別を持ち込む始末だ。
■国民皆保険の「オバマケア」の廃止を説く張本人であるトランプ大統領が、コロナに感染し治療に要した費用は総額10万ドル(約1000万円)にのぼるという。
 米国民は高い治療費の支払いに苦しんでいる。トランプ大統領だけは国費で治療とくれば、誰だって頭にくるのは間違いない。敗北の要因の一つであるのは間違いない。(2020/11/15)
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2020年11月14日

【リレー時評】 NHK 視聴者無視の番組打ち切り=隅井孝雄

 NHKは最近発表した3ヵ年計画(2021~23年度)で衛星放送BS1とラジオ第二2チャンネルの廃止を打ち出した。視聴者に相談もなしに、経営上の数字のつじつまを合わせるために、既存の放送を打ち切るNHKの身勝手さを許していいのか。
 NHKの衛星放送はBS1とBSプレミアムの2チャンネル、2280万世帯の契約がある。NHKの受信料契約世帯は4500万世帯、その50%を上回る。
 ラジオの保有世帯は減少傾向にあるとはいえ、最近の統計で2200万世帯だという(世帯数の44.9%)。ほぼ5700~5800万人近くのラジオリスナーに影響を与える可能性がある。
 NHKはラジオからは受信料を取ってはいないが、衛星受信料は6カ月で12,430円。かなりの高額だ(地上波受信料は6カ月7,500円)。
 NHKは2011年のデジタル化以降、常に拡大化路線を歩んできた。最近では2018年12月からスーパーハイビジョンBS4K,8Kを開設。さらに2020年4月から、「NHKプラス」を始めた。NHKの総合とEテレをネットで視聴できる。また見逃し番組、追いかけ視聴もできる(年間予算170億円)。
 「受信料徴収は合憲だ」という最高裁の決定(1917年12月)が拡大に拍車をかけた。それまで不払いに悩んでいたのに、この決定以降、支払率が81%と増加、7000億円を突破するまでになった。
 一方、「通信と放送の一体化」を推進する安倍前政権の「規制推進会議」は、NHKの放送メディアとしての拡大を抑える一方、ネット進出を容認した。
 NHKは2021年〜23年の中期経営計画(8/4)で、受信料収入を、7000億円台から6000億円台に抑えることを打ち出した。そのためにAM第二ラジオと、衛星テレビ放送BS1の廃止を打ち出したのだった。830億円程度の経費削減となる。
 ラジオ第二放送は今では教育、教養、語学講座が主体だが、1931年以来の歴史を持つ。東京、大阪、名古屋に聴取者が留まったことから局名を1939年に「都市放送」と改称した。そして都市知識層向けの、教養、講座、文芸、音楽番組に力を入れた。
 太平洋戦争中「都市放送」は休止されたが、終戦直後ラジオ第二として再開、学校放送、プロ野球中継、大相撲、音楽放送など、柔軟編成で親しまれた。また「農村」向け、「漁村」向け番組なども開発した。
 BS1も貴重な歴史を持つ。開始は1984年5月12日。日本初となる人工衛星を利用して受信可能なテレビ放送を開始したのがBS1、衛星放送のパイオニアだった。
 その後、デジタル化の曲折を経て、現在はスポーツ、ドキュメンタリー・情報番組・海外報道に特化して放送している。世界に触れようとする場合、BS1が最も豊富な海外ニュース報道を提供しているので、欠かせない貴重な存在だ。
 隅井孝雄
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2020年10月25日号

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2020年11月13日

【おすすめ本】 南彰『政治不信 権力とメディアの関係を問い直す』―変質する権力に抗う取材の再構築を=藤森 研(JCJ代表委員)

本書の内容は、首相会見、メディアとジェンダー、テレビの現在など多岐にわたるが、貫く問題意識は明確だ。権力の変質に古い取材慣行が対抗し得ていない現状を、どう建て直すか、である。
 権力の変質とは、行政改革の末、安倍政権で完成した官邸一極集中だ。ネット化が進み既存メディアは特権を失って力をそがれている。この機をとらえ、為政者は分断・攻勢に出ている。
 たとえば内閣広報官の権限強化だ。菅官房長官会見で果敢な質問をする東京新聞・望月衣塑子記者に対し、当局は質問妨害も辞さなかった。ネット等のメディアを選別する首相の単独インタビューは、読売紙上での改憲表明の事態まで生んだ。
 これに対し報道側は旧態依然。望月記者の頑張りに「官邸側が機嫌を損ね、取材に応じる機会が減っている」と困惑する官邸クラブ員さえいる。
「夜回りなどのオフレコ取材で特定の記者を排 除するよう言われた」記者も少なくない。権力から情報をいただくことに慣れたメディアは、 政権の攻勢に受け身一方だ。
 どうすべきか。「馴れ合い」とも映る夜回りや懇談で、情報をねだる旧来の取材慣行を見直し、公的な記者会見で情報をきちんと出させる。質問制限には団結して闘う。そうしたジャーナリズムの姿勢を再構築することが今、大切だ。
 著者自身、かつては官房長官会見で望月記者の同志として、その後は新聞労連委員長として、それを実践してきた。朝日新聞政治部に戻り、前線復帰の著者の活躍も期待させる書だ。
(朝日新書790円)
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2020年11月12日

【焦点】 超監視社会を築く中国、菅首相もデジタル庁足ががりに個人情報入手に走る=橋詰雅博

 中国経済は息を吹き返した。国際通貨基金(IMF)の最新世界経済見通しは、米国や欧州諸国などは軒並みマイナス成長だが、中国は、2020年はプラス約2%成長、21年は8・2%成長に飛躍すると予測した。この最大の理由は、欧米と違い、新型コロナ再感染の抑え込みの成功だ。
 これをなぜ実現できたかといえば、GPS(全地球測位システム)の位置情報を活用したアプリ「アリペイ健康コード」を事実上、強制的にスマホ利用者にダウンロードさせたからだ。
 20年以上国家による監視問題を研究する小笠原みどりさん(カナダ・オタワ大学特別研究員)によると、このアプリは、スマホ使用者の移動履歴から感染の可能性を予測し、使用者を緑、黄色、赤で色分けする。緑と判定された人は地下鉄などの公共乗り物や飲食店、商業・公共施設などを使える。
 一方、黄色と赤の人は使えない。黄色と赤と判定されるのは、感染者と接触した、感染の兆候がある、感染者の多い地域を訪れたケースとされる。理由を示されないから、利用者は不安にかられる。無症状なのに赤と判定された人は、仕事にも行けない。誤判定や技術上のトラブルもあるだろうし、なによりも政府が気に食わない人を黄色・赤判定にすることもあり得る。
 つまり政府が一方的に国民を監視し、振り分け、移動を管理するというわけだ。中国はこうした監視システムを輸出の目玉にしようとしている。アジア各国などから引き合いがきているそうだ。
 さらに中国は、自国の監視体制強化に乗り出している。「デジタル人民元」(仮想通貨)発行で、資金の流れをつかもうと計画を進める。広東省深圳市では10月中旬に市民5万人が参加した実証実験が行われた。デジタル人民元200元(約3100円)を各市民が受け取り、それを市が指定したスーパーや飲食店で使った。セルフレジでデジタル人民元が入るスマホをORコードにかざせば支払いが済む。中国当局は普及させるための法整備にも手をつけている。2022年2月の北京冬季五輪まで発行する予定だ。
 となるとデジタル人民元を使う個人や企業のお金のやり取りが中国当局にすべてキャッチされることになる。
 中国はスマホのアプリで行動を見張り、デジタル人民元でお金の流れをつかむ。「デジタル全体主義」という言葉がある。中国はまさにデジタル全体主義に向かって突き進んでいる。国民は便利さの代わりに知らぬ間に監視を受け入れる。やがて超監視社会≠ェ築かれ、自由が奪われていることに気づいたときは手遅れだ。
 日本の菅義偉首相も新設のデジタル庁を足がかりにさらなる市民監視を狙う。
橋詰雅博
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2020年11月11日

【時事マンガ】 日本つぶす気か=画・八方美人 

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