2020年11月12日

【焦点】 超監視社会を築く中国、菅首相もデジタル庁足ががりに個人情報入手に走る=橋詰雅博

 中国経済は息を吹き返した。国際通貨基金(IMF)の最新世界経済見通しは、米国や欧州諸国などは軒並みマイナス成長だが、中国は、2020年はプラス約2%成長、21年は8・2%成長に飛躍すると予測した。この最大の理由は、欧米と違い、新型コロナ再感染の抑え込みの成功だ。
 これをなぜ実現できたかといえば、GPS(全地球測位システム)の位置情報を活用したアプリ「アリペイ健康コード」を事実上、強制的にスマホ利用者にダウンロードさせたからだ。
 20年以上国家による監視問題を研究する小笠原みどりさん(カナダ・オタワ大学特別研究員)によると、このアプリは、スマホ使用者の移動履歴から感染の可能性を予測し、使用者を緑、黄色、赤で色分けする。緑と判定された人は地下鉄などの公共乗り物や飲食店、商業・公共施設などを使える。
 一方、黄色と赤の人は使えない。黄色と赤と判定されるのは、感染者と接触した、感染の兆候がある、感染者の多い地域を訪れたケースとされる。理由を示されないから、利用者は不安にかられる。無症状なのに赤と判定された人は、仕事にも行けない。誤判定や技術上のトラブルもあるだろうし、なによりも政府が気に食わない人を黄色・赤判定にすることもあり得る。
 つまり政府が一方的に国民を監視し、振り分け、移動を管理するというわけだ。中国はこうした監視システムを輸出の目玉にしようとしている。アジア各国などから引き合いがきているそうだ。
 さらに中国は、自国の監視体制強化に乗り出している。「デジタル人民元」(仮想通貨)発行で、資金の流れをつかもうと計画を進める。広東省深圳市では10月中旬に市民5万人が参加した実証実験が行われた。デジタル人民元200元(約3100円)を各市民が受け取り、それを市が指定したスーパーや飲食店で使った。セルフレジでデジタル人民元が入るスマホをORコードにかざせば支払いが済む。中国当局は普及させるための法整備にも手をつけている。2022年2月の北京冬季五輪まで発行する予定だ。
 となるとデジタル人民元を使う個人や企業のお金のやり取りが中国当局にすべてキャッチされることになる。
 中国はスマホのアプリで行動を見張り、デジタル人民元でお金の流れをつかむ。「デジタル全体主義」という言葉がある。中国はまさにデジタル全体主義に向かって突き進んでいる。国民は便利さの代わりに知らぬ間に監視を受け入れる。やがて超監視社会≠ェ築かれ、自由が奪われていることに気づいたときは手遅れだ。
 日本の菅義偉首相も新設のデジタル庁を足がかりにさらなる市民監視を狙う。
橋詰雅博
posted by JCJ at 01:00 | 焦点 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする