2020年11月16日

第63回JCJ賞贈賞式開く 各受賞者 取材への思い語る=須貝道雄

 日本ジャーナリスト会議は10月10日、東京都千代田区のエデュカス東京で第63回JCJ賞の贈賞式を開いた。安倍晋三首相の「桜を見る会」私物化スクープと一連の報道でJCJ大賞となった「しんぶん赤旗」日曜版の山本豊彦編集長のほか、4人のJCJ賞受賞者が取材に挑んだ思いをスピーチした。
 式ではJCJの選考委員が各受賞作を紹介した。『証言 沖縄スパイ戦史』(三上智恵さん=集英社新書)では、酒井憲太郎さんが「沖縄戦を引きずり、今もあの空間を生きている元少年兵の証言が圧巻だった」と述べた。『孤塁 双葉郡消防士たちの3・11』(吉田千亜さん=岩波書店)では、伊藤洋子さんが「約70人の消防士を丁寧に取材している。東電や国の対応のひどさに気づかされる」と指摘。
  森友問題で自殺した財務省職員の遺書を『週刊文春』で公開した赤木雅子さんと相澤冬樹さんについて、藤森研さんは「勇気と信頼に基づいた二人の共同作業だったと思う」と結んだ。北海道放送「ヤジと民主主義〜小さな自由が排除された先に」(長沢祐さん)では、石川旺さんが「プラカードを持つ女性を排除するため『お茶飲む?買ってあげるよ』と言葉をかける女性警察官の姿に、命令に従うだけの平凡な人が巨大な罪を犯してしまう、元ナチスの戦犯・アイヒマンの『凡庸な悪』と重なった」と語った。
 「しんぶん赤旗」日曜版のスクープでは、諌山修さんが「当初、多くの新聞が『桜を見る会』の問題を無視する中、ツイッターやテレビのワイドショーで燃え上がった」とメディア状況の変化を強調した。
 一方、選考委員の鈴木耕さんは賞全体の講評をした。今回のJCJ賞には新聞23点、出版33点、放送37点、映画3点の応募があった。そのうち選に漏れた作品をいくつか取り上げ、解説した。
 新聞では北海道新聞の「道警ヤジ排除問題」追及報道。北海道放送の作品と重複するため、どちらを選ぶかの議論の末に放送に決まった。毎日新聞の「NHKかんぽ不正報道への圧力に関する一連の報道」はNHKの報道機関としての資格を問う奥深い内容だった。出版では『かくされてきた戦争孤児』(講談社)が力作。85歳になる著者の金田茉莉さん自身が戦争孤児で、コツコツと拾い集めた孤児の証言は「胸に迫る」と評した。
 放送では沖縄テレビ放送の「サンマ デモクラシー」が出色だった。米軍統治下の沖縄で、キャラウェイ高等弁務官が大衆魚のサンマに課税した。魚屋のおかみさんが1人で立ち向かい、裁判で課税撤回を勝ち取る様を描いた。
 今年の贈賞式は新型コロナウイルス感染防止のため、関係者のみで開催し、その模様はライブで配信した。     
須貝道雄
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2020年10月25日号

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