2020年12月31日

2020年日本と世界のスポーツ回顧1=大野晃

 新型コロナウイルス感染症のパンデミックで、世界スポーツは長い休眠状態に陥った。
 世界保健機構(WHO)は中国での感染拡大で1月末に緊急事態を宣言し、3月初めにはパンデミックを宣言した。
 日本政府は、4月に非常事態宣言し、その後、解除したが、感染は拡大する一方である。年末までに世界の感染者は、8000万人を超え、死者は175万人以上となった。
 日本でも感染者は22万人を超え、死者は3300人に達した。感染拡大防止策で、各国で、出入国制限や移動規制、外出自粛、日常生活での密閉、密集、密接の回避が求められ、人と人とに距離を置くことが強いられた。
 これでは、スポーツは、することも、見ることも自由にできない。
 東京五輪・パラリンピック開催は、国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ会長と安倍晋三首相の思惑で1年延期されたが、国際競技会が相次いで中止された。
 五輪やパラリンピックを目指した競技者たちは、練習がままならない生活を余儀なくされた。欧米のサッカー、野球などのプロ競技は、無観客試合から観客制限試合に追い込まれ、試合数の大幅減少などで、大損失の興行が続いた。
 日本でも、一時的な全面禁止から再開されても、プロ興行は無観客から観客制限を強いられ、プロ競技は苦境に立たされた。
 大学、高校スポーツは、一時的に停止され、再開されても、春夏の甲子園の高校野球全国大会など歴史と伝統を持つ多くの競技会が中止された。全国高校総合体育大会も中止となった。市民スポーツは大幅に制限された。
 感染拡大は、第1波から第3波へと激しく進み、年末に最悪の状態となって、国民はコロナ禍で、21年のスポーツライフを展望できない不安に包まれた。
 スポーツ・マスメディアは感染拡大防止策により、自由な取材が制限されたこともあり、真実に迫る姿勢を欠いた。(→続きを読む)


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2020年12月30日

【隅井孝雄のメディアウオッチ】 東西二つの報道番組40年

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二つの報道番組、「映像20」(毎日放送=写真上)と「報道特集」(TBS=写真下)がともに40周年を迎えた。
 「映像20」は1980年4月に「映像80」として放送を開始、毎月最終日曜日の深夜0:50~1:50、関西地区のローカル放送だが、芸術祭賞、民間放送連盟賞、ジャーナリスト会議賞、国際エミー賞などおよそ140回も受賞、内外からの評価が高い。
11/29日の放送では「映像シリーズ40年〜関西発・真夜中のドキュメンタリズム」と題して、40年の歳月を振り返った。
 番組を作っているのは報道局ドキュメンタリー報道部、プロデューサー一人にディレクター4人。制作費はプライムタイムの番組の10分の1、20分の1ほどだが、制作者たちの創造性、先見性で補っていることが、優れた番組を生み出す基礎だ。
「報道特集」は当初「JNN報道特集」として1980年10月に放送が始まった。毎週土曜日17:30~18:50、TBS系列28局の全国放送。掘り下げた調査報道との評価が高い。
 TBSは1960年代、“報道のTBS”といわれた。看板番組「ニュースコープ」田英夫キャスターがベトナム取材報道を政府から咎められて退社(1970)、同じ頃、他の民放の報道系番組にも政府の干渉が続き“沈黙”の時代に入った。
 1980年代報道番組の復権を担ったのが「報道特集」だ。折からフィルムカメラに代わりENGカメラが現場に定着、どこへでも取材に入りたいという現場の記者たちの意欲に応えた。当時アメリカで評判だった報道番組「60ミニッツ」(米CBS,日曜18時)に触発されて週間のまとめ報道枠が誕生した、と初期のキャスターの一人田畑光永氏は語る。
 スタートに当たって「四つのコンセプト」が作られたと証言がある(現プロデューサー辻真氏)。1. 調査報道に取り組む、2. 評論家ではなく当事者の証言を、3. 賞をとることを目指さない(実際には新聞協会賞など多く受賞している)、4. 番組の飾りはできるだけ排する(11/25. 民間放送)。
 最近でも「桜を見る会」、「日本学術会議」などでの調査報道は活発に続けられている。民放報道の健闘を望みたい。
隅井孝雄( ジャーナリスト)。
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2020年12月29日

【福島第一原発事故】 いま被災地で何が オンラインで福島交流会 片山さん 苦しむ下請け作業員 谷さん 牛を生かし農地保全=坂本充孝

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 コロナ禍で明け暮れた2020年は東日本大震災、東京電力福島第一原発の事故から10年目となった年でもある。今、福島県の被災地で何が起きているのか。JCJは11月7日、オンラインで福島交流会を開催し、現地の事情を知るゲストから話を聞いた。
 ゲストは東京新聞福島特別支局記者の片山夏子さん(写真下)と、帰還困難区域内で被災牛を飼育し続けてきた谷咲月さん(写真上)の2人。

  居酒屋で胸中を
片山さんは原発事故から5カ月後の2011年8月から、高線量のイチエフで収束作業にあたる作業員の取材を開始。「ふくしま作業員日誌」を9年間に渡って連載し、今年2月、「むのたけじ地域・民衆ジャーナリズム賞」大賞を受賞した。
 連載をまとめた著書「ふくしま原発作業員日誌〜イチエフの真実、9年間の記録〜」は講談社本田靖春ノンフィクション賞に輝いた。
 片山さんは取材を始めた動機を「現場で苦闘する作業員の人間としての横顔を知りたかった」と話した。英雄と称えられたのは事故直後だけで、健康被害、家族崩壊などに苦しむ多重下請け作業員は、かん口  令をくぐり抜け、居酒屋などで心の内を語ったという。
 交流会に参加した青山学院大学・隈元信一ゼミの学生たちからも「作業現場で放射線教育はなされているのか」「外国人労働者の実態は」など活発な質問が飛んだ。
 「病気で話せなくなり、ホワイトボードを持って取材に行く夢を見た」と語る片山さんの記者魂に参加者は息を飲んだ。
 谷さんは、被災地の農地の荒廃と復興の現状を「牛」を通じて語った。

  牛の糞など効果
原発事故直後に無人の旧警戒区域に入り、山野をさまよっている牛の存在を知った。家畜としての価値を失い、殺処分を迫られた牛たちを生かすために、牛に雑草を食べさせて農地保全に役立てる方法を考案した。
 ボランティアを頼み、汗を流した結果、田んぼ2枚から始まった牧場「もーもーガーデン」は8fに広がり、本来の農地の景観を取り戻した。牛の糞などの効果で土壌の線量も下がったという。
 こうした活動で、谷さんらは2018年に日本トルコ文化協会日本復興の光大賞を受賞。今夏から帰還困難区域の外の栃木県那須町に活動の場を広げ、休耕農地を保全するプロジェクトを展開している。
 「人、動物、自然が共存共栄するシステムを被災地から発信したい」と話す谷さんに、学生は「牛に震災によるトラウマ(心的外傷)は残っていませんか」と尋ねた。
 谷さんの答えは「牛がおびえていたのは地震よりも殺処分を迫った人間でした。今はもーもーガーデンの11頭の牛たちは人を信じています」。希望に満ちた言葉に、参加者から「コロナ騒動が治まったら、もーもーガーデンを訪ねたい」という声が相次いだ。      
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JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2020年11月25日号


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2020年12月28日

【おすすめ本】 北野隆一 『朝日新聞の慰安婦報道と裁判』―右派が起こした裁判の経過と慰安婦問題の本質を徹底検証する=上丸洋一(ジャーナリスト)

  日本軍「慰安婦」とす るため、韓国・済州島か ら女性を、強制連行したという吉田清治氏(故人) の証言は「虚偽」だった─という問題を、朝日新聞が2日連続の特集紙面で検証したのは、2014年8月のことだ。
 特集の取材、執筆にあたった記者の一人である著者は、慰安婦問題の経緯だけでなく、特集紙面掲載後に右派グループなどが起こした裁判の経過を辿り、問題の所在を明らかにする。
 慰安婦問題を語る本は多いが、本書の特徴は裁判での右派の主張を記録するのに加え、集会や街頭演説などでの右派の言葉を、現場に出向いて丹念に集めていることだ。朝日新聞を「敵視」する 人たちに著者は粘り強く密着する。

 なかでも驚いたのは、右派グループの弁護団の一人が、集会でこう語っていたことだ。
 「あの当時、(朝鮮) 半島は日本帝国の一部だったんじゃないですか。そうすると帝国憲法が施行されていたはずなんです」
 だから朝鮮の人々も、同じ「日本臣民だったはず」だと続くのだが、い やいや、植民地朝鮮に帝国憲法は施行されていない。これは議論の余地のない、近代史の常識である。
 弁護士がそんなことも知らないのかとびっくりしたが、見方をかえれば歴史を学んでいないからこそ、歴史歪曲に加担することに、つながるのだろう。
 朝日新聞の特集紙面について、他の全国紙が激しく攻撃したことも記憶に新しい。当時の各紙論調がどうであったか、いずれか、その検証も読んでみたい。(朝日選書1900円)
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2020年12月27日

【今週の風考計】12.27─「桜」前夜祭への虚偽答弁とハグラカシを許すな!

心穏やかに<2020回顧>などしていられない。24日、東京地検特捜部は「桜を見る会」前夜祭をめぐる疑惑に関し、安倍前首相を不起訴、公設第1秘書を略式起訴したが、罰金100万円が即日納付され、一連の捜査が終結。
 だが、その後の記者会見や国会での安倍前首相の弁明は、ハグラカシに終始。すべて責任を秘書に押しつけ、自身の関与は全否定。この1年あまり国会でつき続けたウソは118回、ますます疑惑は深まるばかりだ。

疑惑1─なぜ「前夜祭」の収支明細を隠すのか。
 安倍氏は「前夜祭の費用は全て参加者の自弁」「個々の参加者がホテルと契約」などと、大見得を切ってきたが、大ウソ。なんと一人当たり3000円もの金額を、安倍晋三後援会が補填していた事実が明らかとなった。これこそ「利益供与」じゃないか。
 さらにホテル側が発行した領収書のあて先は、安倍氏の資金管理団体である「晋和会」。この事実は「晋和会」が主催者・契約者そのもの。安倍晋三後援会なのか「晋和会」なのか。補填資金の出どころが新たな疑惑として浮上する。
しかも特捜部が捜査を終える直前の23日、突如、安倍事務所は訂正した政治資金収支報告書を山口県選挙管理員会に提出した。そこに添付されている「領収書等亡失等一覧表」を見ると、2017年〜2019年の「前夜祭」の領収書が、3回とも「全て紛失」と記されている。こんな事態はあり得ない。
 しかも、この「領収書亡失届」は、なんと「前夜祭」が国会で大問題となっている最中の今年5月に提出されている。一方、訂正報告書に記載された補填金額は詳細に最後の1桁まで記されている。「なぜ領収書がないのに、細かい数字まで書けるのか」、ホテル側からの領収書自体を隠している疑いも出てきた。

疑惑2─補填の原資はどこからか。
 2016年から19年までの4回にわたる「前夜祭」分の補填額は約700万円。しかし政治資金報告書では、その原資の出どころは不明のまま。安倍氏は「私が預ける共有資金の中から立て替えた」と答弁したが、立て替え払いした総理のお金はきちんと戻されたのか。その資料は提示されない。
 「秘書が金庫に入っていた総理のお金を勝手に差額補填に使った」というのなら、業務上横領罪が成立する。告訴しないという以上、安倍氏自身も補填に関わり了解していたことになる。

疑惑3─なぜ政治資金報告書に記載しなくなったか。
 安倍氏の政治資金報告書を見ると、2013年度は「前夜祭」に関する項目として、領収書も含め記載されていた。だが翌2014年以降からは報告書には記載されなくなった。「前夜祭」に参加した地元有権者への「利益供与」を隠すためではないか。
 「前夜祭」の費用補填は、このほど提出された訂正後の政治資金収支報告書では、「会場費」ではなく「宴会料」の項目で計上されている。公職選挙法に照らせば「会場費」を超えて補填額が膨れ上がると、「利益供与」に当たる可能性がある。
 「前夜祭」は、首相主催の税金を使った「桜を見る会」とセット。地元有権者に「おもてなし」という「利益供与」を図る意図を込め、「桜を見る会」も私物化していたのは間違いない。(2020/12/27)
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2020年12月26日

【時事マンガ】 私たちは誤解してません=画・八方美人

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2020年12月25日

核禁条約不参加は日本の恥 国はただちに署名・批准を=被団協代表委員 田中煕巳

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核兵器禁止条約が1月22日発効する。この世界史的な出来事を作ってきた原動力は日本のヒバクシャ運動だ。しかし政府はこれに背を向ける。こんなことでいいのか!被団協事務局長、代表委員として、ずっと運動を担ってきた田中熙巳さんに寄稿をお願いした。

 核兵器禁止条約は、10月24日、カリブ海と大西洋を臨む中米の国、ホンジュラスが国連に批准書を寄託、批准国が50カ国に達したことで、90日後の2021年1月22日、発効することが確実になった。17年7月7日の調印から3年余、核兵器廃絶へ向けての大きな、確実な第1歩である。サーロ・節子さんのいう「核兵器の最後の始まり」だった。
核兵器禁止条約に参加しなくとも条約に拘束されるのは間違いないし、制裁が加えられなくても違反すれば非難は免れない。条約の内容に道義的な拘束を受けるのは間違いないのである。
しかし、この条約には核兵器保有国と日本も含む「核の傘」に依存する同盟国の参加がなく、核兵器の廃絶を目指す運動にとっては「画竜点睛を欠く」無念さがある。
 唯一の戦争被爆国、日本の政府は、いまからでも遅くない。直ちに条約に参加、署名・批准すべきである。

政府の無策・妨害
日本政府は国の内外で「唯一の戦争被爆国」を標榜し、あたかも核軍縮や原爆被害の真実の普及に努めているかのように喧伝しているが、ほとんど何もせず、むしろ無策による妨害が多い。
 そしてこうした状況を許しているのは、一般国民に、「核兵器は人道に反する兵器であり、核兵器の存在は許してはならない。兵器として、破壊と殺りくに使用されてはならない」という「認識」が乏しいからではないだろうか。
 さらに、この認識の乏しさが、政府の外交政策での核兵器に対する無関心、アメリカの核政策・安全保障政策に従属して見識のかけらもなく、核兵器禁止条約に反対し「署名も批准もしない」と首相に公言させているのではないか、と思う。
 憲法9条の下、「戦力を保持しない」日本は、その安全に不安を抱き、アメリカの軍事力に依存し、「日米安保条約」で米国の同盟国になることを選択したとしても「核兵器が非人道的な、使用されてならない兵器」であることは明らかだ。とすれば、あらゆる手段を使ってアメリカの「核の傘」から「脱出」する努力をしなければならないのではないだろうか。
 しかし日本政府は、むしろ逆のことをアメリカに要請してきたという。つまり米国が「核攻撃に対する反撃にのみ、核の傘をはたらかせる」と提案したことに反対し、「核兵器の攻撃以外には報復使用はしない」との提案にも反対し、通常兵器の使用の抑止力を残してほしいと申し入れたとも伝えられている。「核」に限ってでも、アメリカ従属政策から脱却し、核政策の転換か、政権そのもの変えるか、いずれかの選択を迫られている。そして国民自身が、日米安全保障への依存の是非を考えなければならない。(続きを読む)

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2020年12月24日

【時事マンガ】 国民を見てない 政権いらない=画・八方美人 

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2020年12月23日

【フォトアングル】 国会前で菅政権への批判行動が次々と=酒井憲太郎 

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国会正門前で「学問の自由を守れ」「任命拒否は許さない」「学術会議への人事介入は許さない」と菅義偉政権批判の抗議行動が次々と繰り広げられた。まず、「アベ政治を許さない」のポスターの「アベ」を「スガ」に書き換えての行動には140人が参加した。続いて、午後1時30分から、総がかり行動実行委員会主催の「平和といのちと人権を!11・3大行動 憲法が生きるコロナ後の社会」の参加は3000人と発表。更に「安全保障関連法に反対する学者の会」などが主催して約800人が集まった。=3日、東京・国会前、酒井憲太郎撮影
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2020年11月25日号
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2020年12月22日

【スポーツ】 五輪 競技者の意思確認を=大野晃

  果たして2021年東京五輪・パラリンピックは、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に収束が見えない中で、開催すべきか。
  世界の五輪・パラリンピック代表競技者の意志が問われる新年となる。開催して欲しいや出場したいだけでなく、大会の意義を重視した、競技者としての判断である。
 バッハ会長など国際オリンピック委員会(IOC)理事会や東京五輪組織委員会は、感染対策を徹底すれば開催できると強調するが、開催すべき理由を明確にしていない。
 「競技者第一」が基本とすれば、代表たちの意志が最重要である。
  日本オリンピック委員会(JOC)などが、代表たちの意志を集約しているかは疑問であり、世界への発信がない。開催運営組織やマスメディアは、開催できるかばかりを探っている。
 五輪などの最大の意義は、競技を通じて世界の競技者が連帯し、世界平和を目指すことにある。大会は、世界の友好と連帯を求めて、多競技の世界中の競技者が、競技の枠を超えて、絆を強固にする舞台である。
 競技力を競うだけなら、世界選手権やワールドカップなどの単一競技会で事足りる。
 競技者の出入国が厳しくチェックされ、選手村滞在がわずかの期間に限られ、毎日のような感染検査漬けのうえ、他競技や他国代表などから隔離され、競技以外の自由が制限されて、友好交流の場と言えるのか。
 開催を断念しても、五輪精神を生かして、連帯を強める他の方法はないのか。まずは、開催国の競技者から問題提起すべきだろう。そして、世界の競技者たちと十分に協議することが不可欠だ。
 JOCや各国のオリンピック委員会などは、競技者の意志を確認する場を作り、尊重しなければなるまい。IOCは、五輪が競技者の努力なしには成功しないことを再認識し、興行優先から脱却する必要がある。
  当事者の沈黙は、五輪・パラリンピックを内から危うくする。
 大野晃(スポーツジャーナリスト)
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2020年12月21日

【支部リポート】 福岡 「博多にわか」初登場 九条改憲NO!県民集会=白垣詔男

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福岡支部が協賛している「九条の会福岡県連絡会」(以下「連絡会」)主催の今年の憲法公布記念日(11月3日)のつどい「九条改憲NO! 安倍政治の継承を許さない福岡県民集会」に初めて「博多にわか」が登場、会場の爆笑を呼ぶとともに「菅独裁政権の早期退場」を誓い合った。
 連絡会は東京で「九条の会」が誕生した直後の15年前に発足、以来、毎年5月3日の憲法記念日と11月3日に大掛かりな集会を開いてきた。これまで憲法記念日が九州交響楽団有志の演奏をはじめ合唱団のうたごえなど音楽関係と講演が中心で、11月3日には音楽関係とリレートークなどが主体だったが今年は初めて、セミプロの博多にわか師に公演を頼んだ。
 集会では、立憲野党の国会議員らから「改憲NO! 菅政権退陣要求」などの決意表明が述べられ、出席できない地元2国会議員のメッセージが紹介された後に、博多にわかを演じる年金者組合福岡東支部役員の深川敏弘さんが博多にわかの面を着けて登場、「世相を斬る」と題して博多にわかを披露した。
 「博多にわか」の幾つかを紹介すると―
☆菅さんな、安倍さんのことバ継承するというが、あれは「継承(軽傷)」じゃなく、相当「重症」ですやな。
☆安倍さんの中に菅さんが入ったら「安菅倍(あかんべー)」。
☆何か言いよったら、すぐシュレッダーに入れてクサ、処分してくださいとか、原稿に黒塗ってもってきなさいとか分からんことして、すみません、これで「完了(官僚)」です―それが官僚か。
☆あんたのにわか、少しは面白かったごたる。10点満点やろうかと言いなったバッテン、私は断ったですタイ。なんで断ったな。そりゃ、あたきが10点もらうよりも「九条の会」の「8点(発展)」がよございます。
この後、福岡教育大の谷本純一准教授(むなかた九条の会代表世話人)のミニ講演もあり、400人以上集まった多彩な集会は盛り上がりを見せ大盛況だった。 
白垣詔男
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2020年11月25日号

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2020年12月20日

【今週の風考計】12.20─SNS上の「捨て垢」による誹謗・中傷を削除せよ!

ネット上の誹謗・中傷・差別に満ちた書き込みは深刻さを増している。「即刻死ね」「消えろ」などと特定の個人や団体を相手に、敵意むき出しの書き込みが集中し、甚大な人権侵害や悲劇が起きている。
 しかも「架空の人物」が作った「捨てアカウント」、これを「捨て垢」というそうだが、そこからの誹謗・中傷が圧倒的だ。
国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」の企画展「表現の不自由展・その後」では電凸に加え、SNSでは「捨て垢」からの攻撃にさらされ“炎上”状態になり、中止に追い込まれた。
 「捨て垢」はいつでも削除・放棄できるので、投稿者を特定するのは極めて難しい。

「誹謗・中傷がいやならSNSをやめればいい」というが、いまやSNSは生活に欠かせないツール、使わざるを得ないのが実態だ。
 ツイッターやインスタグラムなどを運営する主要なSNS会社では、わいせつ画像の送信や個人へのなりすまし、ヘイトスピーチや差別的内容などについては、被害者からの削除依頼やアカウントの凍結要請を受け付けている。
 ただし、これらの対応も書き込みが残っている場合のみに有効なので、アカウントが削除されると、対応は難しい。

悪質な書き込みで、5月にプロレスラー木村花さんが、22歳の若さで自死したのをきっかけに、政府は被害者がSNS運営会社に、投稿者の電話番号を開示請求できるよう省令を改正する。
 また弁護士を通じ、投稿者の氏名と住所についても照会できるようにし、被害者が受けた損害への賠償について請求しやすくする改正も、検討されている。
 来年の通常国会に、開示ルールを定めた「プロバイダー責任制限法」の改正案を提出する予定だ。
一方、消費者や有権者からの指摘・批判、内部告発などを受けた企業や政治家が、投稿者に圧力をかけようと、この開示制度を悪用する危険もある。政治や行政、企業に対する正当な批判まで封じ込めるなど絶対にあってはならない。

ドイツではネット上のヘイト表現に対して、法律で24時間以内の削除を義務付け、違反した場合、最大5000万ユーロ(約60億円)の罰金を課す。
 日本はどうか。自主規制のみで、法律による削除は謳われていない。今なお、ヘイト投稿は後を絶たない。この11月、化粧品会社DHCが自社の公式サイトに、吉田嘉明会長の名で以下のような文章を掲載した。
 「サントリーのCMに起用されているタレントはどういうわけかほぼ全員がコリアン系の日本人です。そのためネットではチョントリーと揶揄されているようです。DHCは起用タレントをはじめ、すべてが純粋な日本人です」
この文章が12月16日朝のツイッター上で拡散され、在日コリアンへの差別的発言として批判が相次いだ。吉田会長は過去にもDHC公式サイトで在日コリアンへの差別的表現を行っていた。
 れっきとした会社組織が、ヘイトや人種差別につながる文章をホームページに掲載し、恬として恥じない。日本の企業の無責任さを、笑ってすますわけにはいかない。(2020/12/20)
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2020年12月19日

【月刊マスコミ評・出版】 第二の森友事件となるのか 首相の疑惑=荒屋敷 宏

 「週刊新潮」が飛ばしている。11月5日号で「第二の森友事件」!「菅総理」タニマチが公有地でぼろ儲け、12日号で警察も動いていた!と続報を放ち、19日号では「利権の島」に血税120億円が消えた!防衛省「馬毛島」買収に暗躍した「加藤勝信官房長官」との特集記事を掲載している。
 「第二の森友事件」というのは、横浜市保土ヶ谷区にある神奈川県警の職員宿舎の跡地が一般競争入札にかけられずに、約4億5700万円の鑑定価格が約3億8800万円へ約7000万円もの値引きで売却された疑惑だ。「保育所や学生寮の設置」を理由に民間業者に随意契約で売却され、転売されて、老人ホーム、低層マンション、ドラッグストアが立ち並ぶ一画になった。この民間業者が菅義偉首相を応援する人物だった。加藤勝信官房長官の疑惑は、訴訟が進んでおり、経過を見守りたい。
 戦前、女性は政治から排除され、歴史学者が何人も弾圧されたが、戦後もその歴史は過去になっていない。菅首相によって日本学術会議の新会員への任命を拒否された人文・社会科学系6人のうち、1人は日本近代史研究者の女性、加藤陽子氏であった。加藤氏は、『それでも、日本人は「戦争」を選んだ』などの著者で、内閣府公文書管理委員会委員や「国立公文書館の機能・施設の在り方等に関する調査検討会議」の委員を歴任している。
 「世界」12月号(岩波書店)で上野千鶴子氏や保阪正康氏は、加藤氏について「非常に穏健な方です。前天皇の信任が厚く、何度も進講に招かれています」(上野氏)、「非常に実証主義的で、右とか左という立ち位置の人ではありません」(保阪氏)と述べている。「公」の覚えめでたい女性の歴史学者を菅首相は排除したわけである。
 日本学術会議の事件が法廷にもちこまれた時、証人になれるのは、前川喜平元文部科学次官であろう。前川氏は、同じ「世界」12月号で、「菅義偉首相は官房長官時代、杉田和博官房副長官の補佐を得て、人事権を駆使することにより官僚組織を支配した」と、自らの経験をもとに証言している。2016年の文化審議会文化功労者選考分科会の委員2人を「任命拒否」した例があるという。文部科学大臣がいったん了解した案が、安倍政権を批判する言動を理由に、警察官僚の杉田官房副長官らによって覆されたのである。
 疑惑まみれの首相が人事権を振りかざし、警察官僚が暗躍する社会は、正常ではない。
 荒屋敷 宏
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2020年11月25日号

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2020年12月18日

【リレー時評】頑張れ、注目の機関紙ジャーナリズム=藤森 研(JCJ代表委員)

 2020年のJCJ賞は、小さいが重要な一つの歴史を刻んだ。最も優れたジャーナリズム活動としての大賞に、「安倍晋三首相の『桜を見る会』私物化スクープと一連の報道」(しんぶん赤旗日曜版)を選んだのだ。安倍政権の体質を暴いた調査報道だった。
 しんぶん赤旗日曜版は日本共産党の機関紙だ。機関紙がJCJ賞の最優秀賞となるのは過去に一例だけ。1969年、日雇い労働者らがつくる全日本自由労働組合情宣部の「じかたび」がJCJ賞を受賞している(当時はJCJ賞と奨励賞があり前者が本賞とされた)。政党機関紙の大賞は、今回が初めてだ。

 日曜版編集部による『「桜を見る会」疑惑 赤旗スクープは、こうして生まれた!』に、取材の内側が明かされている。
 SNS上で「桜を見る会」に関連して「後援会」の言葉が頻出する。これは、公的行事の私物化ではないのか?日曜版の記者たちはその疑いを胸に、安倍首相(当時)の地元・山口県に入った。共産党市議の紹介で自民党関係者に匿名で話を聞き、集合写真から参加者を割り出しては訪ねた。足で稼ぐ取材だ。
 長門市では、ある母親が「桜を見る会に息子はよく行きます。いとこや孫も連れて行った」と率直に話してくれた。母親は息子に携帯電話をかけてくれる。だが電話口に出た息子は記者に、「お前らに話すことなんて何もない。帰れ」。母親は、申し訳なさそうに玄関を閉めたという。

 ――ああ、同じだ、と思う。朝日新聞の記者だった私も同じような経験をしてきた。正直に話してくれた長門市の母親が、その後、息子と気まずくなったであろうことを思うと、私まで胸が痛む。できるだけ人を傷つけないよう注意しつつ、それでも必要な証言であれば、書かざるをえない。痛みも伴う取材という行為には、機関紙も一般メディアも違いはないことがよくわかる。    
 もちろん一般メディアと機関紙は、前者が「独立し、あらゆる権力の監視」を標榜する点で異なる。だが、一般メディアと、時の野党の機関紙とは、権力監視の点で同じ立ち位置にある。

 今年10月1日、しんぶん赤旗は「日本学術会議の推薦候補を菅首相が任命せず」とスクープした。その初報では、任命されなかったのは「数人」と人数は特定できていなかった。
 すぐに追いかけた朝日新聞が1日夕刊で「学術会議会員 推薦6候補外れる」と人数を特定。赤旗や朝日、毎日など各紙が連日取り上げ、大きな問題になった。結果的にだが、野党の機関紙と、権力と距離を保つメディアが、共闘する形になった。 
 一般メディアの権力監視機能が弱っていると言われる今、機関紙のジャーナリズムとしての活躍は、よい刺激だ。両者の切磋琢磨に期待しつつ、「さらに頑張れ機関紙」とエールを送りたい。
posted by JCJ at 10:25 | <リレー時評> | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年12月17日

【おすすめ本】方方著 飯塚容+渡辺新一訳『武漢日記 封鎖下60日の魂の記録』─地元の女性作家が圧力にめげず、弱者に寄り添い告発する真実=永田浩三(武蔵大学教授)

 中国で真実を語るのは困難だとよく語られる。しかし本当にそうか。本書は、ひとりの女性作家が、封鎖された都市で2ヶ月にわたって熱い思いをブログに綴り、世界に発信した籠城記だ。
 方方は2歳から今日まで62年間武漢で暮らす生粋の武漢人。長江に面し東洋のシカゴと呼ばれる人口1100万の巨大都市で、ウイルスは猛威を振るった。一家全滅もあり、団地の階段から遺体を担いで下ろす警察官は涙をこぼした。市民の多くは心に傷を負った。
 著者の批判の矛先は、感染爆発を隠蔽する党幹部やメディアに向かう。「職務怠慢の連中に対して、私たちは追及の手を緩めてはいけない」。
 ヒト―ヒト感染を最初に内部告発した医師は死んだ。市民は「遺された 家族や子どもは我々が面倒を見るぞ!」と叫び、 亡くなった時間に灯りを消し、夜空に向かって懐中電灯やスマホの光の束を送り追悼した。心の深くに沁みる光景だ。
 ブログは、何度も削除され閉鎖されたが、読者たちは消される前にコピーし拡散した。検閲をしのぐネットワークが生まれた。「私たちはネット空間に場所を作り、一緒に大泣きしよう!」
 黙ってはいられない。発信をやめるものか。「沈黙は虚言に等しい」とのヴィクトル・ユーゴーの箴言が著者を励ました。
 小説家とはどんな存在なのか。方方はこう定義する。落伍者、孤独者、 寂しがり屋に、いつも寄り添うもの。溺れかかった時に縋る小枝。決して強者、勝者のものではない。これはジャーナリズムとも重なる言葉だ。
 第3波に翻弄される日本において、孤立や排除ではなく、弱い人を守り共に生きのびるための必読の書だ。(河出書房新社1600円)
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posted by JCJ at 09:40 | おすすめ本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年12月15日

【大阪都構想】 住民投票 市民の良識 土壇場で作動=幸田泉

大阪都構想反対の運動・幸田泉さん撮影.jpg

政令指定都市の大阪市を廃止して特別区に分割する「大阪都構想」は、11月1日の住民投票でまたもや「反対多数」となった。5年前の最初の住民投票は投票率66・83%、賛成69万4844票、反対70万5585票。今回は投票率62・35%、賛成67万5829票、反対69万2996票。住民投票を取り巻く状況は5年前と比べ、いくつかの点で変化したが、結果は非常によく似た「僅差で否決」だった。

ムクッと起きる
大阪市を廃止して大阪府に権限を集中させる大阪都構想は、松井一郎・大阪市長や橋下徹・元大阪市長らが、それぞれ大阪府議、大阪府知事時代に設立した地域政党「大阪維新の会」(以下、維新)の党是である。つまり、大阪都構想は「大阪府の真ん中でデカい顔している大阪市をつぶす」という政治家たちの野望から生まれた構想であって、大阪市民が「政令指定都市をやめたい」とか「四つか五つに分割してほしい」と希望していたわけではない。だから、大阪都構想はどんな美辞麗句で飾り立てても、結局「押し売り」なのだ。
維新は大阪府内の選挙でほぼ勝ち続けているにもかかわらず、住民投票は何度やっても否決されるのは、「いらんもんはいらん」という市民の良識が土壇場で作動するからにほかならない。
大阪市内の選挙の投票率は50%前後なので、有権者約220万人のうち約100万人は政治的に「寝ている人々」である。ところが住民投票となると、このうち20万〜30万人がムクッと起きて投票所へ向かう。そしてその多くが「反対票」を投じる。「これを買えば人生すべてうまくいく」と霊感商法まがいのセールストークを展開する押し売りを追い払うためだ。この行動パターンを取る人々が、結果的に大阪市を救っている。

 選管が「廃止」明示
「2度目の否決」となった具体的要因としてはまず、大阪市選挙管理委員会が「住民投票は大阪市を廃止するか否か」を問うものだとはっきりさせたことが挙げられる。2015年の最初の住民投票は「特別区設置住民投票」という名称だったのを、今回は「大阪市廃止・特別区設置住民投票」とした。5年前の住民投票の際、反対派が「大阪市が無くなる」と訴えたのに対し、賛成運動を率いた維新代表(当時)の橋下・大阪市長(当時)は「大阪市は無くならない、大阪市役所が無くなるだけ」とひどい詭弁を弄した。以来、維新政治家たちはこの5年間、「大阪市は無くならない。反対派が不安を煽っている」などと真っ赤な嘘を吐き続けてきたが、選管の判断で「大阪市廃止」が投票用紙にも書き込まれ、投票を周知するための看板、垂れ幕、ポスター、地下街などでの放送でも「大阪市廃止」の文言が登場。ようやくこの当たり前の真実を土台にして賛否の論戦ができるようになった。
 
学会票も割れる
また、5年前の住民投票では事実上、「反対」の立場で動いた公明党は、維新との政治的駆け引きの末、屈服させられる形で「賛成」を表明するに至ったが、支持母体の創価学会の会員は公明党の方針に従わなかった。大阪市内で12万〜13万票と言われる創価学会票はほぼ真っ二つに割れ、ギリギリのところで大阪市廃止を食い止めるというとんでもないバランス感覚を発揮した。
 住民投票戦では、政党関係者だけでなく、多くの市井の人々が「いてもたってもいられない」とボランティアで走り回った。マスコミ報道では大阪都構想は政治闘争の面ばかりが強調されるが、市民生活をかけた「権力VS市民」の戦いが確実に存在していた。
住民投票で2度否決されても「日本維新の会」の国会議員は「3度目に挑戦する」などとツイッターで発信し、松井市長は条例化によって大阪市の都市計画権限を大阪府に移す方針を表明。大阪市の住民自治は引き続き存亡の危機にある。
大阪市民が今から取り組むべきは、次の市長選挙で政党候補ではない真の「市民候補」を立てる道を模索することだ。党利党略優先の維新候補と住民自治優先の市民候補との戦いに持ち込めば、大阪市長の座を維新から奪還するのは夢ではない。
 幸田泉(ジャーナリスト)
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2020年11月25日号

posted by JCJ at 01:00 | 関西 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年12月14日

【スポーツ】 バスケもギャンブル化=大野晃

  批判の多いサッカーくじの対象を、バスケットボールのBリーグにも拡大する法改訂が決まった。
 多くの反対を押し切って強引に導入された、文科省が胴元の公営ギャンブルは、20年余りを経て、反省のないまま対象競技を広げ、試合ごとの賭けなどを認める、より射幸心をあおる姿に変質する危険が強まった。
 2002年ワールドカップ開催をにらみ、スポーツ振興を名目に、Jリーグを対象にして、全試合の勝ち負けを予想する形で始まったサッカーくじだが、当たりが少ないことなどから売り上げが伸びず、スポーツ助成が先細りとなり、一時は廃止の声もあがった。
 それでも、予想を必要としない宝くじのような形など、さまざまな商品が売り出されたが、売り上げは頭打ちで、プロ野球を含め、多くの競技への拡大が企図されていた。
 しかし、ギャンブルだから、八百長の誘いなど競技者への悪影響が懸念され、二の足を踏む競技が多かった。はずれた試合結果に怒って、競技者が中傷される事態も海外では報告された。
 くじ不振の背景には、スポーツ振興は国が責任を果たすべきとの国民意識の高まりがあり、国民のスポーツ権を明記したスポーツ基本法が生まれた。
 しかし、国の振興策は五輪でのメダル獲得に偏重して、国民全体のスポーツの発展は、おざなりにされてきた。
 新型コロナウイルス感染症の拡大防止対策で観客制限などに追い込まれたJリーグでは、少なくないクラブの存続が危ぶまれ、Bリーグは8割近いクラブが赤字の危機にあるという。
 とりわけ、東京五輪後の国のスポーツ振興策が見えず、公営ギャンブルからの特別の支援を期待しても不思議はない。
 スポーツはギャンブルに頼れ、と言わんばかりの国の姿勢を日本維新の会や立憲民主党までが手助けして、国内競技の将来を危うくしている。
 弱みにつけ込むような、競技者と競技を歪める恐れのある公営ギャンブル化の促進は、カジノ誘致と同様に、健全な国民生活の発展を阻害する
大野晃(スポーツジャーナリスト)
posted by JCJ at 01:00 | スポーツ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年12月13日

【今週の風考計】12.13─コロナ感染拡大の火に油を注ぐ追加3119億円の無謀

■コロナ感染拡大を防ぐ「勝負の3週間」最終日が16日にやってくる。だが12日、1日の新規感染者が3041人まで拡大し、最多を更新する事態に至った。重症患者も増え、北海道と大阪府には医療施設へ自衛隊の看護師まで派遣せざるを得なくなった。
■医療崩壊の危機は、日に日に増している。この間の「ガースー」首相の無策に対する怒りは、募るばかりだ。謙虚に科学者や専門家の意見に耳を傾け、時には厳しい提言も尊重する姿勢が全く感じられない。
 米国やブラジルではコロナ禍の悲惨な事態が続く。これも大統領が科学者の助言を軽視し、科学的根拠のない言葉や対策を重ねてきたからだ。

■いま日本では医者や医療従事者、さらには専門家・有識者で組織された政府分科会までが、人の出入りを抑え感染を防ぐために、「Go Toトラベル」の一時停止を提言している。それにも関わらず、追加の3119億円もの予備費支出を決め、アクセルを吹かすというのだから呆れる。
 その理由が「Go Toトラベルによりコロナ感染が拡大したとのエビデンス(根拠)は存在しない」からだという。
■だが11月下旬には、東京大学など研究チームが「Go Toトラベル利用者はコロナへの感染リスクが高い」という調査報告を発表した。
 また英国の科学者たちも、コロナ・ウイルスのDNA分析をしたところ、旅行によって国の内外から持ち込まれたと結論づけ、警鐘を鳴らしている。
 こうした科学的根拠が出てきたにも関わらず、まだGo Toを続けるのなら、人命は二の次だと言っているのも同然ではないか。

■安倍・菅政権へと続く今の政治には、慰安婦問題への無反省、公文書改ざんや虚偽答弁の連発、歴史や科学を無視する「反知性主義」がはびこり、人命まで軽視する事態にあるのを直視しなければならない。
 日本学術会議が推薦した会員候補6人の研究者を、政権の恣意的な選別で任命拒否する事態は、その典型ではないか。しかも公開された内部文書には「外すべき者(副長官から)」との文字が手書きで記され、その下の部分は黒塗りになっている。
 都合の悪いエビデンスは、ノリ弁にして隠ぺいしてしまう。国会での説明も拒否し、事実すら抹消しかねないところまで来ている。
 政府の諮問会議にしたって、政権の志向する政策や方針に沿うような有識者を最初から組み入れ、諮る以前に方針が決まっているケースすらある。
■「国民のために働く内閣」と、大見得を切った「ガースー政権」、24日のクリスマスイブには発足100日を迎える。国民へのプレゼントがコロナ感染拡大では、支持率が43.1%、2カ月連続して急落するのも無理はない。(2020/12/13)
posted by JCJ at 07:55 | 【今週の風考計】 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年12月12日

【東京五輪・パラリンピック】 IOC 五輪中止を打診か 報じない大手メディア 自らスポンサーでは=本間龍

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電通や東京五輪組織委員会内の協力者から、IOC(国際オリンピック委員会)が日本政府、組織委、電通に対し、東京五輪中止の打診をしたという驚くべき内部情報が入ったのは、10月20日だった。
IOCのバッハ会長が、予定通り菅義偉総理大臣との11月16日の会談で正式に伝達したかは分からない。仮に伝達したとしても日本政府が直ちにそれを発表するかどうかは不明だ。正式発表は来年1月頃という情報が流れている。
 その情報が入る前の9月中は、バッハ会長やコーツ副会長は、盛んに東京五輪の実施を吹聴していた。コロナがあっても五輪はやれる、というような楽観的見通しであり、それを受けて日本側の森喜朗組織委会長や菅首相も、五輪は必ずやるという発言を繰り返していた。それがなぜ急に変わったのか。

コロナ猛威で転換
それは、欧州のコロナ感染者が、10月の第2週以降から爆発的に増え始めたからだ。その増加は凄まじく、11月に入ると、主要国のほとんどで外出禁止令やロックダウンが実施された。
 第一波の感染爆発の際に優等生であったドイツも例外ではなく、コロナ対策の司令塔である保健相までもが感染した。 
IOCの本部はスイスのローザンヌにあるが、スイス国内の感染者数も爆発的に増加している。IOC幹部もコロナの猛威を目の当たりにして、認識を改めざるを得なかったに違いない。

32年再度立候補
 10月21日に私がこの情報をツイートし、YouTubeチャンネルで発表すると、予想以上の拡散を見せた。特に反応が早かったのは海外メディアで、米ブルームバーグ、米AP通信、仏ルモンド、独国営第一放送(ARD)などから相次いで取材が入った。国内では日刊ゲンダイがすぐに私に取材し、五輪中止の見通しと2032年への再度の立候補という、電通内で検討されている仰天プランもすっぱ抜いて、さらに話題を集めた。
だが、国内で沸き立ったのはゲンダイとネットメディアだけで、11月になっても大手メディア(全国紙、テレビ局)はスルーを決め込んでいる。全国紙5紙はいずれも五輪スポンサーになっており、新聞社とクロスオーナーシップで結ばれているテレビ局も、間接的に五輪翼賛側に属しているため、中止可能性を深追いしたくないのだ。

仕切る電通に忖度
 ではなぜ大手メディアはこの重要情報をスルーするのか。それは、記事にするためには私に取材しなければならず、そうなると情報元が組織委内部と電通であると書かなければならなくなるのが嫌なのだ(メディアは電通の名を極力報道したくない)。さらに、組織委の側に立ってこの情報を否定すると、もし本当に中止になった場合、取り返しがつかなくなる。
五輪推進の立場からは真っ先にガセネタとして否定したいのだが、私の情報の信憑性を崩す取材力もなく、あからさまに否定もできない。世界中のメディアがどんどん取材に来ているのに、日本国内のメディアが全く動かないのは、異様としか言いようがない。
もちろん、全国紙が中立の立場だったら、そんな心配をする必要はない。ここへ来て、スポンサーになってしまっていることが、まともな報道が出来ない重い足かせになっているのだ。
ちなみに、過去の五輪で報道機関がスポンサーになった例はない。だから今回のように、一社どころか全国紙全部がスポンサーになっているのは、極めて異常な状況なのだ。

伝える責任果たせ
 だが日本政府は、「WITHコロナ五輪」などという世迷い言をキャッチフレーズに、徹底した感染予防をすれば五輪が開催出来るようなプロパガンダを展開している。しかし、そのためには莫大な追加予算と人的資源(医療従事者)の確保が必要であり、所詮、絵に描いた餅に過ぎない。
 招致時に7千億円としていた開催費は、すでに3兆円を超えると言われ、その大半は国民の税金である。そこにさらにコロナ対策費が青天井で計上されるなど、許されるはずがない。メディアはそのことを国民に伝える責任があり、今それをしなければ、報道機関としての信頼を決定的に失うだろう。
 本間龍(著述家)
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2020年11月25日号
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posted by JCJ at 01:00 | 東京五輪・パラリンピック | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする