2021年01月31日

【今週の風考計】1.31─「終末時計」は残り100秒、迫る人類・地球の危機

核兵器と気候変動による人類滅亡を午前0時に見立て、それまでの残り時間を示す「終末時計」の針が、昨年に引き続き、残り「100秒」を表示したと、米国の科学雑誌が発表した。
 世界で1億人がコロナに感染しパンデミックに陥るなか、核廃絶と気候変動という地球規模の課題に、いまだに国際社会が協調して対処できていない事態は、深刻だと指摘している。

まず核廃絶。22日に発効した核兵器禁止条約は、その後ベナン、カンボジアも批准し計52カ国となった。インドネシアやブラジルも批准に向け手続きが進んでいる。
 だが唯一の被爆国・日本が、米国の「核の傘」を理由に批准しないどころか、オブザーバー参加できる締約国会議にもソッポを向くとは、悲しくて悲しくて言葉も出ない。
米国ではバイデン大統領が、オバマ元大統領の掲げた「核なき世界」を継承するため、2月5日に期限を迎える米ロの新戦略兵器削減条約(新START)を、5年間延長することで合意した。
 これにより、2019年8月の中距離核戦力(INF)全廃条約が失効して以降、唯一残されていた核軍縮の枠組みが維持されることになった。

気候変動の課題はどうか。すでにバイデン大統領は就任初日、地球温暖化に対処する「パリ協定」への復帰に署名し、2030年までのCO2削減目標の新たな策定に着手した。
 さもあろう。南極の巨大な氷山が次々に分裂している。三重県の面積にも相当する世界最大級の氷山が割れて、サウスジョージア島に向かって流れだし危機感が増す。
 地球から消えた氷の量は、この20年間で28兆トン。かつ融解の速度は加速し、年に1.3兆トンという。
 今後も地球温暖化が進み、氷山が解け、海面上昇が続けば、東京は水の都ベネチアになるとの予測すら出ている。

今年は、世界各国が気候変動への取り組みが問われる重要な年。11月には英国で国連気候サミットが開かれ、重要な対策プランの討議が始まる。
 世界50カ国120万人を対象に行った国連の世論調査によると、回答者の8割近くが気候変動を「地球規模の緊急事態」と捉えている。
国籍・性別問わず、老いも若きも、全世界の人々が再生可能エネルギーの活用増大、森林と土地の保全、気候に優しい農業技術の採用、クリーンな電気自動車やバス・自転車の利用拡大など、具体的なテーマを挙げて気候変動に対する取り組みを求めている。
 同感、当然! CO2排出による気候変動・地球温暖化は、「終末時計」の針を加速させる元凶なのだから。(2021/1/31)
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2021年01月30日

政府の全情報が米国に漏れる! アマゾンのクラウドサービスを採用 対米通商交渉で不利益も=橋詰雅博

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 日本政府が昨年10月から運用しているクラウドサーバーに対して「日本のIT企業は米企業に太刀打ちできないことがはっきりした。しかも怖いのは日本の政府などの情報が米国に漏れるリスクが高まったことだ」とIT業界関係者の声が強くなっている。
 このクラウドサーバーに集まる情報は全府省や国会、裁判所などに加えて自治体までが含まれる。担当する総務省行政管理局はこれを政府共通プラットフォーム(PF)と名付けている。

 AWSが手掛ける
なぜ日本のPFから米国に情報が漏れる可能性があるのと言えば、米アマゾン・ドット・コム、アマゾンジャパンの子会社であるアマゾン・ウエブ・サービス(AWS)の日本法人(AWSジャパン)がPFを手がけているからだ。
 駒沢大学名誉教授の福家秀紀さん(情報メディア産業論・博士)がこう解説する。
 「PFは運用コストの削減やセキュリティ強化を目的に2013年3月から第一期の運用が開始されている。第一期は日本の大手IT各社が受注した。5年後の18年にさらなる運用コストの大幅削減、整備・運用の効率化などをめざし政府は、情報システムにおいてクラウドサービスを利用することを基本方針と定めた。これが第二期整備計画のスタート。クラウドサービスとして昨年2月にAWSの採用を当時の高市早苗総務相が表明した。
富士通も手を挙げてサービスを提案したが、案件が大きすぎるという理由で、途中で降りてしまった。ですから競争相手がいなくなったので、AWSジャパンにすんなり決まってしまった」
 昨年2月の高市総務相の記者会見では、記者が「アマゾンのAWS採用を前提に制度設計が進んでいるが、海外企業のクラウドを採用することで、データ保護など懸念もあるかと思いますが、どのような対応をとられるのか、検討状況と併せてお願いします」と質問した。

 純国産めざしたが
これを受けて高市総務相はこう答えている。
 「もともとは『純国産クラウド』を実現できないかと考えており、国内各社のクラウドとの比較・検証も十分行いましたが、AWSはセキュリティ対策も含めて極めて優れていると判断をしました。
 安全性につきましては、『ユーザ所有データの所在地は国内とする』、『クラウドサービスは国内から提供』、『データ送受信の常時監視』、『アクセスログの取得』(誰がアクセスしたかを記録)など必要なセキュリティ対策を行います」
 大臣は米国への情報漏れを否定する。果たして本当にそうだろうか。「国内サーバーに保存されたデータが密かに米国のサーバーに転送されないという保障はあるのか」と福家さんは指摘する。そして福家さんこう警告する。
 「近年クラウドサービスで不正アクセスによる情報流失事故が国内外で多発している。昨年12月の楽天の場合、クラウド側の設定ミスが原因でした。セキュリティに万全を期していても、破られる可能性は否定できないし、人為的なミスもあり得る。アマゾンのサーバーに政府関係の情報が集約されるのはリスクが大き過ぎる。さらに米国政府が日本のデータが欲しいのでクラウドサーバーへのアクセスを米アマゾンに要求したら、アマゾンは拒否できますかね。スノーデンは、米国家安全保障局(NSA)が巨大IT企業などから通信履歴を収集している実態を暴露した。アマゾンも情報を提供している。国内にサーバーが設置されているからと言って安心はできません。情報収集の拠点である在日米軍基地からサーバーに侵入する可能性がある。AWSがそれを見て見ぬふりをする」
 情報が漏えいした場合、日本にどんな不利益がもたらされるのだろうか。
 「たとえば秘密性の高い経済情報を入手した米国は、対日通商交渉でデータを利用して自国に有利になるよう交渉を進めことが考えられる。米国企業がそれを利用することもあり得るでしょう」(福家さん)

 IT業界にも打撃
 日本のIT業界も打撃を受ける。クラウド事業市場は成長分野だ。しかし、AWSが政府共通PFでクラウドサービスを担ったことで、アマゾンによる寡占≠ェ進行するかもしれない。そうなれば日本企業の出番がなくなる。たとえあったとしてもサポート役に回る。実際、NECやNTTデータは今回のPFでは支援側に甘んじている。
 また、AWSは法人税を支払わないのではないかと危惧されている。
 「ソフト使用料を米アマゾンに支払っているから、利益は出ていません。だから法人税は支払えません。こう言い逃れする。アマゾンジャパンは、今までそんなことを言って税金逃れをやってきたからね」(福家さん)
 AWSが握ったクラウドサービスは、さまざまな問題が潜んでいるのだ。
  橋詰雅博
 JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2021年1月25日号                                                     P1020419.jpg
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2021年01月29日

醜態さらした安部前首相 「記事捏造が確定」とFBに投稿 デマ発信し謝罪せず=山田寿彦

 安倍晋三前首相が醜態をさらした。元朝日新聞記者、植村隆氏が櫻井よしこ氏らを名誉棄損で訴えた裁判(植村裁判)で原告敗訴とした最高裁決定を一知曲解し、「朝日新聞と植村記者の捏造が確定した」と事実無根の投稿を自身のFBで拡散。抗議を受けると一転、削除に追い込まれた。謝罪の言葉は確認されていない。
 安倍氏の投稿は11月20日午前10時8分付。「元朝日新聞記者の敗訴確定 最高裁 慰安婦記事巡り」の見出しが付いた産経新聞電子版の記事を引用し、「植村記者と朝日新聞の捏造が事実として確定したという事ですね」とコメントした。
 安倍氏のフォロワーは約60万5000人おり、賛否の反応が相次いだ。「はい、最高裁判所までもが植村氏と朝日新聞の捏造を事実だと認定しました」と支持する声の一方で、「デマを飛ばすのはやめましょう。最高裁判決(実際は札幌地裁、同高裁判決)は『植村氏の記事が事実と異なると櫻井氏が信じる相当の理由があった』としているのであって、『捏造が事実として確定』などしていません」と的確に反論する投稿が交錯し、炎上状態となった。
 反論した投稿子が指摘した通り、確定判決が植村氏の記事を「捏造」と認定した事実はない。櫻井氏らの言説は植村氏の名誉を棄損し、社会的評価を低下させた事実を認定。ただし、「植村氏があえて事実と異なる記事を執筆したと信じたのには相当の理由がある」との理由により、法的な賠償責任を免じたに過ぎない。櫻井氏ら被告側は、植村氏が記事を捏造した事実の裏付けとなる証拠を全く示せなかった、というのが裁判の実像だ。
 安倍氏の投稿を受けて植村弁護団の神原元、小野寺信勝の両弁護士は連名で安倍氏に対し、「本件投稿は名誉棄損として民法上不法行為と評価される」との抗議文を送付。投稿の削除を求めた。
これに呼応したのか、抗議文の送達後、投稿は削除されたが、一国の首相を務めた人物が事実確認を怠り、デマを発信した事実は消えない。
皮肉なことに、「桜を見る会」の前夜祭をめぐる安倍首相(当時)の国会答弁が事実と異なっていたことが東京地検特捜部の捜査で発覚した。今度は自身が「捏造総理」の批判に向き合うことになる。
 
植村裁判 旧日本軍慰安婦として戦時性暴力を受けた朝鮮人女性の生存を伝えた1991年の朝日新聞記事をめぐり、ジャーナリストの櫻井よしこ氏らが「記事は捏造」と批判。執筆した元朝日新聞記者の植村隆氏は、自身に「捏造記者」の汚名を着せた櫻井氏や学者、出版社を相手に名誉棄損による損害賠償を求め、札幌と東京で提訴した。札幌訴訟は11月18日、最高裁で原告敗訴が確定した。
  山田寿彦
 JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2020年12月25日号
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2021年01月28日

【おすすめ本】奥村皓一『米中「新冷戦」と経済覇権』─「経済2大国」の対立と抗争、その要因・実態を深く分析する=栩木誠

新型コロナ禍の世界規模の感染拡大で深刻さを増す世界経済。さらに大きな不安定要素になっているのが「経済2大国」 米国と中国の対立の深刻化だ。再選に失敗したトランプ米大統領によって演出された、米中「新冷 戦」の深層を解明することが本書の眼目である。
 第二次世界大戦後、長期に続いてきた米国主導のパクス・アメリカーナの構造は、いま音を立てて崩れつつある。その対立軸として急速に台頭してきたのが、経済や科学技術など各分野で急成長を遂げてきた中国。
 2030年代には、GDP(国内総生産)でも中国が世界一になると推測されるほどである。一方で、「新旧2大経済大国」は、競争的依存関係を深めてきた。
 ハイテク産業はじめ各分野で「呉越同舟」の関 係から脱却が極めて困難な中でも、「軍事力さえちらつかせつつ、醜い国際政治対決劇を演じる」両国の事態を掘り下げる。

 複雑骨折する状況が生み出される背景や要因について、本書は「米中覇 権競争と多国籍企業」や「勢いづく軍産複合体」など、5つの側面から詳細に分析している。バイデンに政権移行しても、現下の状況が急展開する可能性は小さい。 
 「EUはじめ世界から米中は醜い経済覇権抗争を超えて、新型コロナウイルス、気候変動、再生 エネルギー、宇宙開発の人類・地球救済の課題に挑戦し、ハイレベルの協力関係に戻れとの圧力が強まっている」と、本書は指摘する。
 私たちの日常生活にも大きな影響を及ぼしている米中両国の暴走を食い止める力は、「核兵器禁止条約」の発効を実現させたような、平和と民主主義を希求する世界の人々の声であり、行動である。
(新日本出版社2800円)
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2021年01月27日

【フォトアングル】 世界人権宣言72年目 中国への抗議デモ行進=酒井憲太郎

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世界人権宣言採択72年目、世界人権デー連帯ピースマーチが繰り広げられた。集会では、チベット、ウイグル、南モンゴル、香港、中国での人権侵害報告があり、採択された声明文では「中国政府は人権宣言に反して、民族絶滅政策と収容所体制を再現」と批判した。花川戸公園を出発して、雷門へデモ行進への参加者は約150名。シュプレヒコールは「チベットに自由を!」「ウィグルに自由を!」「台湾に手を出すな」と続いた。=5日、東京・浅草、酒井憲太郎撮影
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2020年12月25日号
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2021年01月26日

【時事マンガ】 国民皆保険 こわす気⁉=画・八方美人

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2021年01月25日

【支部リポート】 関西 諦めぬ維新 裏ワザ 広域行政一元化条例案を提出= 井上喜雄

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 11月1日、住民投票で「都構想」は否決され、松井大阪市長は任期後の政界引退を表明した。だがそのわずか4日後に、「府・市の広域行政を一元化する条例案」と「8総合区設置案」と、都構想の裏ワザをぶち上げた。府側の吉村知事も11月20日府議会で同様の「条例案を検討する」と答弁した。条例なら住民投票は要らず議決で済むが、問題は市議会で「維新」単独では過半数の議席を持たないことにある。
 住民投票結果が僅差であったことが彼ら維新を「強気」にさせているのだろうが、前回2015年の投票では反対だった公明党を「脅し」、同党票の半数を賛成に転換させたにもかかわらず票差は僅かではあるが広がった。 ここで公明党票を全部取り込めなければ「都」は絶望的になるだろう。だから再び「脅し」をかけた。
 「総合区に反対すれば公明党と戦う」として、公明党が現職を持つ衆院小選挙区に対立候補を立てるとの腹を明かした(12/3会見)。市会で公明党の賛成を確保して条例を議決、住民投票結果を骨抜きにしようとする腹だ。「大阪都」は結党以来の看板政策で、大阪維新のレーゾン・デートルである。彼らは決して諦めてはいないのだ。
 都構想への賛否で大きな内部対立があった自民党大阪府連は、都構想の根拠である「大都市法」の効力を停止させる「都構想停止法」案を国会に提出する方向で検討に入り、「社会常識が通じないなら、法で規制するしかない」(左藤政調会長)としている。
 他にも「IR」「万国博」等大阪人の意識をくすぐる維新の政策にも暗雲が出ている。カジノを核とする「IR」への応募事業者は1社のみで、それも採算性から及び腰で、実現に疑問が出ている。
 「万国博」は会場工事費が当初の1、5倍に膨れ上がることが明らかになった。また昨年維新公認で当選した府下池田市の冨田市長は、市長室にベッドやサウナを持ち込み顰蹙を買い、市議会は百条委員会を設置して市長の責任追及を開始するなど、維新への逆風も吹き始めている。
井上喜雄
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2020年12月25日号
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2021年01月24日

【今週の風考計】1.24─「深大寺そば」と「武蔵野うどん」に想いを込めて

東京・府中に住む友人が、自分のブログで「深大寺そば」の名店、「深山茶屋」が閉店した悲しみを綴っている。
 <ぼくはかき揚げ付きの中盛り蕎麦、カミさんはとろろ蕎麦が定番だった。このなじみの店に行くと、シャッターに「当店は12月25日をもちまして閉店することになりました」の貼り紙。
 年末年始といえば、蕎麦屋にとっては最大の書き入れ時。それを前にして閉店だなんて…。 ガッカリしながらトボトボと家へ帰るしかなかった>と。
コロナ禍による経営難が進み、由緒ある店の休業・閉店が相次ぐ。創業231年、江戸時代から続く東京・葛飾柴又の川魚料理の名店「川甚」も、1月末で閉店する。創業39年の東京・三鷹市のラーメン店「味の彩華」も今月末の廃業を決めた。

さて筆者の住む東京・多摩北部地域では、「武蔵野うどん」を看板にする店が多い。この「武蔵野うどん」は、やや茶色みを帯びて太くコシが強い。「ざる」か「もり」にして、かつおダシをベースに、豚肉の細切れやネギを具にした熱い「肉汁」につけて食べる。
 冠婚葬祭などの祝い事や親戚が集まる時には、手打ちの「武蔵野うどん」が「本膳」として出されることが多い。
<大寒>が過ぎたとはいえ、木枯らしの吹く日は、コシの強い「武蔵野うどん」を、アツアツの「肉汁」につけて食べたい。その旨さを想うとヨダレが出てしまう。

東村山市の北西部にも「うどん屋」の名店が数多くあるが、残念ながら我が家からは遠い。「不要不急の外出は控えよ」とあっては、ままならない。
 9月中旬に開かれる東村山「どんこい祭」は、「武蔵野うどん」と「よさこい」を掛け、「どんと来い!」の意気込みを込めて名付けられたという。これも昨年は、コロナ拡大のあおりを受けて中止。
我が町の「うどん・蕎麦屋」が閉店・休業に追い込まれてはいないか、心配がよぎる。
 かつては良く行った「しなの」を思い出し、向かってみる。西武新宿線・久米川駅から線路沿いに小平駅の方向へ徒歩5分、踏切のそばにある。暖簾が出ている、やってた! うれしくて、店の引き戸を開けるのも心がこもる。
熱い「肉汁」に漬ける「武蔵野うどん」はないが、代わりにアツアツの「鍋焼きうどん」を注文する。大きなエビ天に半熟卵半分、しいたけ、ネギ、ほうれん草、ナルト、筍、お麩が盛り上がるように入って、うどんが見えない。
 岩手出身の84歳の主人と奥さんで切り盛りして50年。調理場と客席を隔てるカウンターには、宮沢賢治の「雨ニモマケズ…」の詩すべてが白抜きされた、紺色の水引暖簾がかかる。その心意気や良し、頑張って! と店を出る際にエールを送った。(2021/1/24)
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2021年01月23日

【映画の鏡】『あこがれの空の下』 教育の原点を示す 教科書のない小学校の1年生=鈴木賀津彦

教育とは誰のためにあるのか、その原点がみごとに伝わってくるドキュメンタリーだ。東京都世田谷区の私立和光小学校と言えば、子どもの自主性を重んじた

ユニークな教育で知られているが、映像がここまで密着して学校のリアルを捉えてくれたことで、これからの教育の「モデル」を示していると強く感じた。
「教科書のない小学校の一年」というサブタイトルのように、教材は日々の子どもたちの学びに合わせ、教員の手作り。教員らが職員室で議論を重ね、理解度を考慮した授業の進行を工夫する。「研究授業」では、お互いの教え方を丁寧に見て批判し合う。なるほど、教員同士が対話的でなければ、子どもたちも対話的な学校生活は過ごせないだろうことにも気付かせてくれる。

大切にするのは、子どもたちから発せられる「はてな=?」。間違えてもいい、恥ずかしがらずに言える疑問から、子ども同士で考えをぶつけ合い、教え合う対話の日常の学校生活が印象的だ。
卒業生の作曲家三枝成彰さんがコメントを寄せている。「父が学校に申し入れた条件はただひとつ。『毎朝ピアノの練習をさせるので、1時間めの出席は免除していただきたい』。それを学校は受け入れてくれた。この話を人にすると驚かれるが、和光はそういう学校なのだ。つまらない型にはまった、当たり前の勉強なんかしなくていい。好きなことを見つけて、とことん突きつめればいい―」と。

文科省が「主体的、対話的、深い学び」を掲げ教育改革がスタートした今年。そのモデルがここにある。渋谷・ユーロスペースで1月8日まで上映。
鈴木賀津彦
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2020年12月25日号

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2021年01月22日

【日韓学生フォーラム】 もっと骨身を削らねば ソウルと東京を結ぶ 「韓国ニュース打破」チェ・スンホさん講演=古川英一

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 「ジャーナリストを目指す日韓学生フォーラム」の6回目が、ソウルと東京・早稲田の会場をオンラインで結んで11月末に開かれた。コロナ禍のもとでの新たな試みには、両国から合わせて30人の学生が参加した。韓国の独立系ネットメディア・ニュース打破のディレクター、チェ・スンホさんをソウルの会場に招き、講演と議論を通して両国のメディア事情を考えようというシンポジウムだ。

 チェさんは、李明博政権時代の政府のメディアへの介入でMBCテレビを解雇され、ニュース打破に移り、日本でも公開された映画「自白」「共犯者たち」の監督を務めた。MBCに社長として返り咲いた後、再びニュース打破に戻りディレクターとして今も現場でニュースを追い続けている、まさに根っからのジャーナリストだ。
 チェさんの講演は、プロンプターの画面を通じて同時通訳で1時間半に及んだ。この中でチェさんは、テレビ局時代にドキュメンタリー番組の制作に長年携わった際に、最も大切にしたこととして@真実を追い求めること、その際、取材者は自分の方向性によって、ファクトを取捨選択し歪曲することを最も警戒しなければならないA批判の対象となる人々の意見や立場を把握して、それを番組に反映すること、の2点を挙げた。
 
 チェさんはまた、学生の質問に答える形で「自分にとって都合のよいニュースしか見ないようになれば社会は分断される。こうした中で、人々に判断の材料を示して、包容するジャーナリズムを目指すことが必要だ」と訴え、「ジャーナリストはもっと骨身を削らなければ市民の信頼に応えられないという厳しい現実がある」と穏やかだが決然とした口調で学生たちに語りかけた。

 シンポジウムでは、日韓の学生が発表を行った。新聞やテレビに代わってネットから情報を得る人が増えているのは共通した認識だ。日本の学生は、ネットメディアの新しい動きなどを映像リポートで伝えた。リポート作りを通して学生たちは、メディアの違いが問題なのではなく、ジャーナリストが、きちんと事実を伝えることが必要なことに気づく。
 その気づきを刻みつけて、来年の春、学生たちは記者への一歩を踏み出す。
古川英一
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2020年12月25日号

 

 

 
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2021年01月21日

【スポーツ】 延期や中断、勇気をもて=大野晃

 1月16日開幕予定のラグビーのトップリーグが、直前の検査で、6チーム計62人の新型コロナウイルス感染症の感染が確認され、あたふたと、2月以降へ延期された。
 来年度からプロ化した新リーグへの移行が計画され、人気盛り上げを狙ったが、予期せぬ感染拡大で、出鼻をくじかれた。
 大相撲は、横綱・白鵬の感染など横綱不在のうえ、4部屋計65力士が感染や濃厚接触の疑いで休場したが、初場所を1月10日から開催した。
 サッカーJリーグやプロ野球は、2月から3月の開幕に向け、1月中から2月1日の春季キャンプ入りを、計画どおり実施する方針という。
 競技団体の多くは、昨年の感染拡大で、中止や大幅な試合減、そして無観客や観客制限を強いられ、今年こそはと意気込んだが、無策な政府の緊急事態宣言下で、元旦からの競技会も無観客や観客制限が継続されて、春からは計画どおりに競技会を開催しようと、はやっているようだ。

 ラグビーや相撲は濃厚接触が特徴の競技であり、競技そのものに感染不安を生んでいる。
 競技者の安全第一の競技会開催とは、わかっていても、若者の無症状が多い感染症だけに、厄介な問題で、判断がむずかしい。
 とはいえ、感染拡大以前の、恒例に沿った開催計画には無理があるようだ。競技会開催には、テレビや新聞などマスメディアの思惑が複雑に絡む。
 それでも、競技団体は、競技会開催計画を全面的に見直す必要があるのではないか。競技者や関係者は、長期的な競技会継続のため、自主的に、延期や中断する勇気が必要だろう。
 マスメディアは商業主義利用を反省し、競技会の存続を危うくする困難さに直面している競技関係者の意志を尊重しなければなるまい。
 東京五輪・パラリンピックも同様だ。競技者や競技団体とともに、マスメディアの危機意識が問われる。
 マスメディアに厳しい目が注がれる年の初めである。
大野晃(スポーツジャーナリスト)


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2021年01月20日

書籍 4月から総額表示へ 切り替え費用 出版社負担 絶版本増え出版文化は衰退=橋詰雅博

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 出版界が大きな問題にブチ当たっている。紙の書籍などの出版物の価格は消費税額入り総額表示の義務づけが来年4月から復活し実施されようとしているからだ。
 総額表示が初めて義務化された2004年(それ以前は本体+税の外税表示が多かった)以降、多くの出版社は書籍に挟み込まれるスリップの上部に総額を表示することで対応した。
 しかし出版社を中心とした広範な運動もあって外税表示が13年10月から認められたものの、政府は適用期限を21年3月末までとした。
 となると外税表示の本のカバーや帯などを総額表示に切り替えなければならず、その費用は出版社の負担に。さらに波紋は広がる。費用削減のため絶版になる書籍が増える。負担に耐えられない出版社はつぶれる。出版社の9割は中小零細企業だ。倒産の影響で書き手は仕事を失う。費用増は新刊本の価格アップにはね返る。
 出版界はこぞって外税表示の継続を政府に求めている。大手出版社などが加盟する日本書籍出版協会らは11月中旬に財務省を訪れ「総額表示の義務免除措置を、四月一日以降も継続してほしい」と要望書を提出した。
  事の発端は30年前の1989年の消費税率3%の導入だ。出版物も総額表示を受け入れた。このとき約2万冊が絶版となった。
 この経緯などについて、約70の中小出版社でつくる日本出版者(注:『社』ではありません)協議会(出版協)会長の水野久さんが説明する。
 「当時、総額表示は義務ではなかった。ただし公正取引委員会が総額表示を強力に指導したので、各業界はそれに従った。出版協(当時は流対協)は強制した公取委を訴える行政訴訟を提起した。最高裁で敗訴確定したが、判決で『公取委の指導は法律に基づかず、原告側は勝手に総額表示をした』と述べた。8年に及ぶこの民事裁判を糧として、97年の消費税率5%アップの際、ほとんどの出版社は外税表示を取り入れた。罰則がないので、今日まで出版協加盟社の出版物は外税表示を貫いている。違法と分かっていますが……」
 総額表示が義務づけられる4月以降はどうするのか。
「消費税率がこの先上がる可能性があり、外税表示の上にシールを貼るなど費用もかかるので総額表示はしません。外税表示の書籍を差別せずに扱ってほしいと取次企業と書店に要請します」(水野さん)
 一方ではなんらかの手を打つ出版社も出てきそうだ。
 政府は消費者が求めていると説明するが、これまで外税表示で混乱はなかった。出版文化を衰退に追いやる総額表示はやめるべきである。とはいえ政府は外税表示の継続を認めないようだ。
 橋詰雅博
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2020年12月25日号
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2021年01月18日

【月刊マスコミ評・放送】 Eテレ売却論 NHKに圧力?=諸川麻衣

  今年NHKでは、次期中期経営計画での衛星やラジオ第二の波の整理・統合、受信料制度の見直し、受信料収入に対するネット関連予算の比率の見直しなど、制度の幾つかが論議の的となった。
  波の削減については既に本紙七五一号で取り上げられたが、年の瀬に新たな論点=「Eテレ売却論」が出来した。主張しているのは、菅政権の内閣官房参与に起用された、元財務官僚の高橋洋一・嘉悦大学教授。高橋氏は、Eテレは視聴率が低いので、テレビとして放送するよりはネットで配信し、電波は売却して携帯などの通信に使えばよい、そうすればNHKの波を減らせて受信料も半分程度に下げられる、と言う。
 この主張が公になると、「最も公共放送らしいEテレ売却なんて馬鹿げてる」(堀潤氏)、「Eテレは、色んな年齢や状況の人々に文化へのアクセスを提供する大切なインフラ。視聴率だけでは評価などできません」(ロバート・キャンベル氏)、「今のNHKの報道には山ほど批判があるが、教育テレビをなくすと言われれば、NHKを守れという運動を始めるしかない」(山口二郎氏)といった批判の声が上がった。
 さらにツイッターにも視聴者から、「わざわざ受信料払ってるのは本当にEテレのため」「子育て世代を敵に回すのは、やめてください」といった声が多々寄せられ、「#Eテレのために受信料払ってる」というハッシュタグがトレンド二位に入った。前田NHK会長も「教育テレビはNHKらしさの一つの象徴だと思う。それを資産売却すればいいという話には全くならない」と述べている。
 これに対し高橋氏は、「Eテレの売却とは、Eテレの周波数帯の売却であり、Eテレの番組制作コンテンツの売却ではない」「Eテレの番組をインターネットで提供でき…インターネットを活用した『GIGAスクール』と整合的になる」と反論している。自説への批判は、「波の売却=コンテンツ消滅」と誤解しているというのだ。
 しかし、批判の多くは、二つをきちんと区別している。ツイッター上の「スマホやPCにアクセスが難しい子どもでも“2”押すだけで観れるんだよ」という声は、テレビとネットの特性の違い、前者の存在意義を分かりやすく示している。
 そもそも高橋氏はなぜEテレだけを売却候補に挙げたのだろう?まじめな福祉・教養番組やドキュメンタリーで社会をしっかり見つめているEテレが目障りなのか?今後、Eテレ売却論が政権のNHKへの圧力のカードにならないか、注視したい。
諸川麻衣
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2020年12月25日号
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2021年01月17日

【今週の風考計】1.17─国会紛糾で菅首相に向かうブーメラン=<自滅の刃>

国内で初めてコロナ感染者が確認されてから1年。いまや感染者は32万6千人、死者は4500人、恐るべき拡大の惨状が続く。遅れに遅れて発出した2度目の「緊急事態宣言」、11都府県に拡大したものの、収束すら見通せない。
東京都内では「自宅待機」感染者は週に3千人を超え、6700人が入院・療養先すら決まらない。単身者からは「コロナで死ぬか餓死で死ぬか」の悲鳴があがっている。

感染拡大を抑え込めない菅内閣の支持率は33.7%、「危険水域」に近い。これまで菅首相は5人以上の会食に参加し、さらには「緊急事態宣言」の対象県・福岡を静岡と言い間違え、「国民皆保険制度」の見直しすら示唆する発言など、挙げて責任は「ガースー」自身にある。
18日からの通常国会では、後手後手のコロナ対策に加え、感染症対策特措法の改定に向けたゴリ押し審議が始まる。
 入院を拒否した感染者に科す罰則を「1年以下の懲役または100万円以下の罰金」「コロナ感染者の受け入れ勧告を拒否した病院名の公表」など、法案の内容を巡って紛糾するのは間違いない。
当然だ。コロナ感染で入院したくても入れない実態を放置して、罰則のみ優先するなどトンデモナイ。また民間病院にしろ、受け容れたくとも看護師や施設の補充・援助などの裏付けがなければ、どうやって責任ある医療ができるのか。医者の苦衷も理解できる。

長野県の松本モデルが示すように、症状に応じた受け入れ態勢を各種病院との間で計画を作り、コロナ治療への広域な医療体制を敷いている自治体もある。政府は各自治体に援助・アドバイスし広域医療の構築を強化すべきでないか。
それにしても肝心のPCR検査、いまだに軽視するのは重大な誤りだ。ノーベル賞受賞の本庶佑教授が「羽鳥慎一モーニングショー」で、改めて「PCR 検査能力の大幅な拡充と無症状感染者の隔離の強化」を訴えている。
 人口1000人あたり検査数を見ても、いまだに日本は0.5人、米国は3.9人。なぜ自動PCR検査システムを活用しないのか。これをトレーラーに搭載し、各地を回れば12時間で2500件の検査ができるという。
 これを1000台用意すれば1日250万件の検査が可能だ。トレーラーは1台1億円、自動PCR検査システムの設置も含め、この国会で企てる新たな「GoTo」追加予算1兆860億円の1割1086億円を投入すれば実行できる、と力説している。

厚労省は昨年5月、「検査拡大」によってコロナ擬陽性の多発が弊害を呼ぶとの文書を作り、政府中枢に説明して回っていたという。こんな文書に固執し、感染を広げてきた責任は誰がとるのか。
 やっと政府は、この11日になって都市部で不特定多数を対象にした1日数百〜数千件のPCR検査を実施すると公表したが、なんと実施時期は3月だ。
業を煮やした自治体の中には、自主的にPCR検査に取り組むケースが増えてきた。東京都・世田谷区を始め、広島県が広島市民80万人を対象にした集中的な検査を実施する。
 感染拡大を抑え込めない現状では五輪開催にも赤信号がともり、菅政権の窮地どころか菅首相自身、党総裁選での再選もおぼつかない。まさに<自滅の刃>が迫っている。(2021/1/17)
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2021年01月16日

【隅井孝雄メディアウオッチ】 プライムタイムに大量マイポイントCM 菅政権のデジタル推進政策がバックに

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  「マイナポイント」という名のスポンサーによる番組提供、あるいはスポットCMが高視聴率の時間帯(プライムタイム)に連打されている。一連のCMの実際のスポンサーは総務省だ。今登録すると5000円相当のポイントが付くと宣伝されている。

普及促進へ巨費
  菅政権の目玉政策の一つデジタル庁創設に368億円という巨費が計上された(2021年度の政府予算)。さらなる目玉はマイナンバーカードの普及。普及促進には1001億円が割り当てられた。
  国民のマイナンバーカードに対する拒否反応は根強い物がある。20年12月現在約3002万枚(人口の23.6%)の交付に止まっている。22年末までに全国民に行き渡らせたいと菅政権は考えているのだが、現実には不可能だ。
  マイナンバーカードは裏面に個人を認証できるICチップを搭載し、オンラインで本人確認ができる。「マイナンバーカードは安全安心で、利便性も高い、『デジタル社会のパスポート』だと認識いただきたい」と平井卓也デジタル改革担当相は国民に呼びかけている(東京新聞11/22)。

PRジャンジャン流す
    政府はカード普及策として、カードを取得した人を対象に食事や買い物に使える5000円の「マイナポイント」を還元する申し込みの受付を昨年7月から開始した。100種類以上の決済サービスと連動、21年3月31日まで使える。
  そこで登場したのはTVCMだ。舘ひろし、深川麻衣、飯尾和樹(お笑いコンビずん)などが白いぬいぐるみで登場して、「子供も対象、4人家族で2万円」などと宣伝しえいる。未成年でもキャッシュレスレスサービスに登録さえすればマイナポイントをもらえることなどを売り物にしているのだ。
  マイナポイントのTVCMには、広報費53.8億円のうち2020年7月から10月までの3ヵ月間に18億円が投入された。この間に「マイナポイント」として流されたCMは朝から深夜まで115回に達したという(11/19赤旗)。

電子決済安全性は?
  政府の説明では、マイナンバーカードは利用者にとって、個人としての身分証明になるほか、健康保険証として利用され(2021年3月から)、スマホにも搭載できるようになる(22年度中)。そして全国民がマイナーバーカードを取得すれば(22年度末目標)、将来的には運転免許証と一体化する(26年度、前倒しもある)、という計画だ(11/22東京新聞)。
TVCMの説明だと写真付きだから安全だとか、紛失しても24時間連絡できるというが、その程度ではマイナンバーカードの漏洩や、悪用が止められる保証にはならない。
昨年9月、郵貯がデビッド・プリペイド・カード、mijikaが悪用され、この電子決済サービスの登録者、550万人にとっては、郵貯口座を他人に引き出される恐怖にされたことを思い起こす。マイナポイントの大々的な利用はマイナンバーカード本体の安全性をも脅かす危険性が懸念される。
隅井孝雄 (ジャーナリスト)
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2021年01月15日

【月刊マスコミ評・新聞】 菅政権はどこを向いているのか=白垣詔男 

 菅義偉首相が誕生して3カ月。「日本学術会議」から「自著改ざん」「新型コロナ」「元2農相の汚職疑惑」「桜を見る会前夜祭」と立て続けに「問題」が噴出した。特に、コロナ禍の中で感染拡大させる恐れが強い「GO TO トラベル」を中止しないのは、菅首相が、「国民の命より金」を重視しているからだろう。
 問題が山積しているにもかかわらず臨時国会延長せず閉幕したのは、菅首相が国会論議を嫌っている証と言える。内閣支持率が2カ月余で20%以上下落するのも当然だ。
 この間、菅首相は記者会見を2回しかしておらず、国会論議どころか記者を通じて国民に自らの考え方の説明を極力したくない姿勢も明らかになった。臨時国会が事実上閉幕した12月4日の菅首相記者会見を受けて、各全国紙は5日の社説で、「菅批判」を展開した。
 見出しは朝日「国民を向いているのか」、毎日「立法府軽視も継承された」、読売「危機の克服へ明確な方針示せ」と、国会での首相答弁、国会閉幕に当たっての記者会見の中身をとらえて、いずれも首相を批判している。
 中身を読むと朝日は「自らが推し進める政策の狙いを丁寧に説明し、国民の理解を得ようという姿勢も、政治の信頼回復に向け、安倍前政権の『負の遺産』を清算しようという決意もうかがえなかった」、毎日「国会での首相や閣僚の答弁は、広く国民に対する説明である。それを忘れているのではないか」、読売はコロナ禍について「『GO TO トラベル』の見直しも躊躇すべきではない。…国民の危機への対処方針を十分に発信してきたとは言えない」と、菅首相の「言葉足らずというより国民への言葉のなさ」を鋭く指摘している。
 さて、12月に入って一番強く響いた記事は5日付毎日朝刊「オピニオン」欄、伊藤智永専門記者の「GoToコロナ五輪の怪」だった。「GoToキャンペーンを政府はどうして続けるのか」と問題を提起、練達の国際ジャーナリストが「これは俺の勘だけどな」と断って言った次の発言を紹介している。
「来年夏、コロナが流行していても東京オリンピックはやる。その予行演習が国民総動員で行われているんじゃないか。…日本は感染拡大中でも、旅行も飲食もやってきましたと世界にPRして訪日客を呼び込む気だろう」
 白垣詔男
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2020年12月25日号

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2021年01月14日

【‘20読書回顧】 今こそ「公助」で人の命を守るとき! =吉田千亜(`20JCJ賞受賞者)

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政治家の会見で飛び出る言葉や造語は戦時中のスローガンのようだ。裏づける思想や哲学のない言葉の薄っぺらさは、市井の人の命や尊厳を軽んじることに起因する。コロナ禍だけではなく、原発事故後も感じたことだ。精神論と個人の努力のみで命は守れない。
 松沢裕作『生きづらい明治社会―不安と競争の時代』(岩波ジュニア新書)は、そんな時に出会い読んだ。とても読みやすいが重要な点を指摘している。明治社会というよりも、「自助・共助・ 公助」と言いながら、徹 底的に「公助」に欠ける現代を詳らかにしている。
 原発事故でも、コロナでも、真っ先にその影響を受け、命を脅かされ生活困窮に陥ったのは、弱い立場にいた人々だ。しかし、生活困窮は本人の努力が足りないせいで、「自己責任」にしてしまう風潮がはびこる。そしてまっとうな公助もないなか、民間支援団体が奔走し、疲弊している。

 本書で書かれている「通俗道徳」は、「頑張れば必ず成功する」という信念だ。悪い考えと思う人は少ないのかもしれない。しかし、それは貧困 に陥った弱い立場の人々に、冷たい視線を投げるのを正当化する「ワナ」 でもある。そして、それ は現代に受け継がれてしまっている。
 権利としての「生活保護」を受ける人々を非難し、「大変なのはお前だ けじゃない」と思うこと。そして、自らも「生活保護」は受けたら恥ずかしいと捉えること。これは原発事故の賠償の際にも見られた現象だ。
 努力で困難を乗り越えろというのは、人を殺すのだと言い続けたい。原発事故でもコロナ禍でも、その理屈を政治が一部の人に率先して押しつけている。

 どんな人にも生きる権利がある。頑張る・頑張らないに関わらず、公助が必要な場面があり、公助で守られるべき命がある。「通俗道徳」を消し去るには、思想と哲学に裏付けられた温かい言葉の力しかないと、改めて感じている。
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2021年01月13日

【時事マンガ】 生きるのが辛い 人がいるのに=画・八方美人

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2021年01月12日

【スポーツ】 冬の風物詩に異変=大野晃

 元旦から、駅伝、サッカー、ラグビーなど屋外競技の日本一争いに熱戦が続いた。
高校、大学、実業団の競い合いで、プロ競技とは違った、ひたむきな奮闘が特徴だった。サッカー全日本選手権とラグビー高校大会はともに100回目、サッカー高校選手権は99回目、箱根大学駅伝は97回目と、長い歴史と伝統を誇る競技会が集中した。
 それは、高校生や大学生、実業団が挑むアマチュア競技が、古くから日本スポーツをリードしてきたことを物語る。寒風をものともせず、沿道やスタンドで声援を送る多くのファンの姿とともに、正月の風物詩になった。
 アマチュア競技の清新さに触れ、すがすがしさを体験することが、初詣に通じる、年頭の気分一新を国民に実感させたからだろう。
  しかし、節目の今年は、風物詩に異変が起こった。
 都市部での、昨年末からの新型コロナウイルス感染症の爆発的感染拡大により、沿道での応援や観客の大幅な制限、さらに無観客での競技会が強いられた。競技者の家族たちも、晴れの舞台に、多くが臨めなかった。
 心を一新できない不安な年明け。
 集団感染などで昨年、一時的な活動停止に追い込まれた競技者たちが少なくなく、練習不足は否めなかったものの、それでも、静まり返る競技場などで懸命なプレーを展開していた。
  しかし、こたつに入って、テレビなどの映像でしか触れないのでは、臨場感に乏しく、ゲームのように勝ち負けにはこだわっても、感動のシーンをともに歓喜することはできなかった。
 延期された東京五輪の開幕まで200日を切ったが、このままでは五輪を迎える気にはなれないのが、多くの国民の本音だろう。
 五輪を目指す競技者たちにも、動揺は起こっている。スポーツ風景が生活に溶け込んで、季節を感じる時代に、逆行する不幸。
  政府などの無策な感染対応は、日本のスポーツ文化を危うくし、国民の精神生活をも蝕んでいる。
大野晃(スポーツジャーナリスト)


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