2021年01月15日

【月刊マスコミ評・新聞】 菅政権はどこを向いているのか=白垣詔男 

 菅義偉首相が誕生して3カ月。「日本学術会議」から「自著改ざん」「新型コロナ」「元2農相の汚職疑惑」「桜を見る会前夜祭」と立て続けに「問題」が噴出した。特に、コロナ禍の中で感染拡大させる恐れが強い「GO TO トラベル」を中止しないのは、菅首相が、「国民の命より金」を重視しているからだろう。
 問題が山積しているにもかかわらず臨時国会延長せず閉幕したのは、菅首相が国会論議を嫌っている証と言える。内閣支持率が2カ月余で20%以上下落するのも当然だ。
 この間、菅首相は記者会見を2回しかしておらず、国会論議どころか記者を通じて国民に自らの考え方の説明を極力したくない姿勢も明らかになった。臨時国会が事実上閉幕した12月4日の菅首相記者会見を受けて、各全国紙は5日の社説で、「菅批判」を展開した。
 見出しは朝日「国民を向いているのか」、毎日「立法府軽視も継承された」、読売「危機の克服へ明確な方針示せ」と、国会での首相答弁、国会閉幕に当たっての記者会見の中身をとらえて、いずれも首相を批判している。
 中身を読むと朝日は「自らが推し進める政策の狙いを丁寧に説明し、国民の理解を得ようという姿勢も、政治の信頼回復に向け、安倍前政権の『負の遺産』を清算しようという決意もうかがえなかった」、毎日「国会での首相や閣僚の答弁は、広く国民に対する説明である。それを忘れているのではないか」、読売はコロナ禍について「『GO TO トラベル』の見直しも躊躇すべきではない。…国民の危機への対処方針を十分に発信してきたとは言えない」と、菅首相の「言葉足らずというより国民への言葉のなさ」を鋭く指摘している。
 さて、12月に入って一番強く響いた記事は5日付毎日朝刊「オピニオン」欄、伊藤智永専門記者の「GoToコロナ五輪の怪」だった。「GoToキャンペーンを政府はどうして続けるのか」と問題を提起、練達の国際ジャーナリストが「これは俺の勘だけどな」と断って言った次の発言を紹介している。
「来年夏、コロナが流行していても東京オリンピックはやる。その予行演習が国民総動員で行われているんじゃないか。…日本は感染拡大中でも、旅行も飲食もやってきましたと世界にPRして訪日客を呼び込む気だろう」
 白垣詔男
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2020年12月25日号

posted by JCJ at 02:00 | メディアウォッチ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする