2021年01月22日

【日韓学生フォーラム】 もっと骨身を削らねば ソウルと東京を結ぶ 「韓国ニュース打破」チェ・スンホさん講演=古川英一

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 「ジャーナリストを目指す日韓学生フォーラム」の6回目が、ソウルと東京・早稲田の会場をオンラインで結んで11月末に開かれた。コロナ禍のもとでの新たな試みには、両国から合わせて30人の学生が参加した。韓国の独立系ネットメディア・ニュース打破のディレクター、チェ・スンホさんをソウルの会場に招き、講演と議論を通して両国のメディア事情を考えようというシンポジウムだ。

 チェさんは、李明博政権時代の政府のメディアへの介入でMBCテレビを解雇され、ニュース打破に移り、日本でも公開された映画「自白」「共犯者たち」の監督を務めた。MBCに社長として返り咲いた後、再びニュース打破に戻りディレクターとして今も現場でニュースを追い続けている、まさに根っからのジャーナリストだ。
 チェさんの講演は、プロンプターの画面を通じて同時通訳で1時間半に及んだ。この中でチェさんは、テレビ局時代にドキュメンタリー番組の制作に長年携わった際に、最も大切にしたこととして@真実を追い求めること、その際、取材者は自分の方向性によって、ファクトを取捨選択し歪曲することを最も警戒しなければならないA批判の対象となる人々の意見や立場を把握して、それを番組に反映すること、の2点を挙げた。
 
 チェさんはまた、学生の質問に答える形で「自分にとって都合のよいニュースしか見ないようになれば社会は分断される。こうした中で、人々に判断の材料を示して、包容するジャーナリズムを目指すことが必要だ」と訴え、「ジャーナリストはもっと骨身を削らなければ市民の信頼に応えられないという厳しい現実がある」と穏やかだが決然とした口調で学生たちに語りかけた。

 シンポジウムでは、日韓の学生が発表を行った。新聞やテレビに代わってネットから情報を得る人が増えているのは共通した認識だ。日本の学生は、ネットメディアの新しい動きなどを映像リポートで伝えた。リポート作りを通して学生たちは、メディアの違いが問題なのではなく、ジャーナリストが、きちんと事実を伝えることが必要なことに気づく。
 その気づきを刻みつけて、来年の春、学生たちは記者への一歩を踏み出す。
古川英一
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2020年12月25日号

 

 

 
posted by JCJ at 02:00 | メディアウォッチ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする