2021年01月24日

【今週の風考計】1.24─「深大寺そば」と「武蔵野うどん」に想いを込めて

東京・府中に住む友人が、自分のブログで「深大寺そば」の名店、「深山茶屋」が閉店した悲しみを綴っている。
 <ぼくはかき揚げ付きの中盛り蕎麦、カミさんはとろろ蕎麦が定番だった。このなじみの店に行くと、シャッターに「当店は12月25日をもちまして閉店することになりました」の貼り紙。
 年末年始といえば、蕎麦屋にとっては最大の書き入れ時。それを前にして閉店だなんて…。 ガッカリしながらトボトボと家へ帰るしかなかった>と。
コロナ禍による経営難が進み、由緒ある店の休業・閉店が相次ぐ。創業231年、江戸時代から続く東京・葛飾柴又の川魚料理の名店「川甚」も、1月末で閉店する。創業39年の東京・三鷹市のラーメン店「味の彩華」も今月末の廃業を決めた。

さて筆者の住む東京・多摩北部地域では、「武蔵野うどん」を看板にする店が多い。この「武蔵野うどん」は、やや茶色みを帯びて太くコシが強い。「ざる」か「もり」にして、かつおダシをベースに、豚肉の細切れやネギを具にした熱い「肉汁」につけて食べる。
 冠婚葬祭などの祝い事や親戚が集まる時には、手打ちの「武蔵野うどん」が「本膳」として出されることが多い。
<大寒>が過ぎたとはいえ、木枯らしの吹く日は、コシの強い「武蔵野うどん」を、アツアツの「肉汁」につけて食べたい。その旨さを想うとヨダレが出てしまう。

東村山市の北西部にも「うどん屋」の名店が数多くあるが、残念ながら我が家からは遠い。「不要不急の外出は控えよ」とあっては、ままならない。
 9月中旬に開かれる東村山「どんこい祭」は、「武蔵野うどん」と「よさこい」を掛け、「どんと来い!」の意気込みを込めて名付けられたという。これも昨年は、コロナ拡大のあおりを受けて中止。
我が町の「うどん・蕎麦屋」が閉店・休業に追い込まれてはいないか、心配がよぎる。
 かつては良く行った「しなの」を思い出し、向かってみる。西武新宿線・久米川駅から線路沿いに小平駅の方向へ徒歩5分、踏切のそばにある。暖簾が出ている、やってた! うれしくて、店の引き戸を開けるのも心がこもる。
熱い「肉汁」に漬ける「武蔵野うどん」はないが、代わりにアツアツの「鍋焼きうどん」を注文する。大きなエビ天に半熟卵半分、しいたけ、ネギ、ほうれん草、ナルト、筍、お麩が盛り上がるように入って、うどんが見えない。
 岩手出身の84歳の主人と奥さんで切り盛りして50年。調理場と客席を隔てるカウンターには、宮沢賢治の「雨ニモマケズ…」の詩すべてが白抜きされた、紺色の水引暖簾がかかる。その心意気や良し、頑張って! と店を出る際にエールを送った。(2021/1/24)
posted by JCJ at 08:00 | 【今週の風考計】 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする