2021年02月28日

【今週の風考計】2.28─真鯛とサンマ漁と「常磐もの」にエールを送りたい!

年とともに肉より魚を好むようになった。住まいから約1キロのところに、新潟・寺泊より鮮魚を直送してくるチェーン店がある。行くたびに生きのいい真鯛やサワラ、サヨリ、メバルなど、旬の魚を買う。
なかでも3月から6月頃にかけて産卵を控えた真鯛は、もっとも脂がのって美味しい。まさに色といい「桜鯛」の名がふさわしい。
 「春告魚」の名があるメバルは、刺身・塩焼きもいいが、煮付けが一番。身が反り返り、美しい白身がホロホロと骨離れも良く、非常に食べやすい。正岡子規も病床で綴った日記随筆「墨汁一滴」に、その旨さを書いている。
何も日本海側の魚ばかりではない。もう並ぶ巻貝のナガラミや5月ごろにはシッタカ、夏には宮城産のホヤも買うことができる。酒のアテにはもってこいだ。

さて、日本を取り巻く海の水温は、年々、高くなり、冬季の日本海中部では 6〜7℃も高くなっているという。魚種も変化し漁獲量も大幅に減っている。
 2017年8月に始まった暖かい日本海流・黒潮の大蛇行が、いまだに特異な潮流を作りながら日本近海を北上している。その影響で三陸沖合の漁場は、前年よりさらに沖合の公海域に移り、沿岸域にはほとんど魚群が来遊してこないという。

日本のサンマ漁が、その典型だ。今や漁獲量は10万トンを切り、昨年の水揚げ量は約3万トン・前年比27%減、2年連続で過去最低を更新している。
 深刻化するサンマ漁の実態に、北太平洋に出漁する世界8カ国は資源回復に向け、現在の漁獲枠55万6250トンを33万3750トンへ、40%削減する。このほど北太平洋漁業委員会(NPFC)で、2年間の合意として決着した。
 また日本とロシアの排他的経済水域(EEZ)でのサンマ漁獲量は13万5750トンとなった。少しでもサンマ漁が好転するのを願うばかりだ。

そこへ<「常磐もの」で、いわきの海に再び活気を!>という全面広告(朝日新聞・2/27付け)が目に入った。
 東日本大震災による津波と原発事故から10年、「3・11フクシマ」を克服し、福島の水産業の復活に向け新たな挑戦が始まっている。福島県いわき市最北の港町・久之浜に、昨年2月1日にオープンした鮮魚店「おさかなひろば はま水」の活動だ。
常磐地域の沖合は、北上する黒潮・日本海流と南下する親潮・千島海流とが合流する「潮目の海」となり、質のいい魚がたくさん獲れる。漁獲できる魚種も増え、現在は約180種類ほどの「常磐もの」を水揚げしている。
 なかでも「常磐もの」といえば、今が旬の「メヒカリ」だという。体長15cmほどの小さな深海魚だが、目が非常に大きく青緑色に光る。いわき市が市の魚として制定している。皮が薄くて、お刺身や唐揚げ、どれもイケるという。さっそく、あのチェーン店にいって買い求めよう。(2021/2/28)
posted by JCJ at 07:00 | 【今週の風考計】 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年02月27日

【おすすめ本】田中優子『苦海・浄土・日本 石牟礼道子もだえ神の精神』─声なき声を聴きとって書く、苦界にある命の代弁者=米本浩二(作家・石牟礼道子資料保存会研究員)

 1952年生まれの著者は、大学一年のとき、 石牟礼道子『苦海浄土』(講談社)と出会い、「この世にこういう文学があったのか」と震撼したという。
 以来、半世紀にも及ぶ道子への旅≠言語化したのが本書である。
 他人の辛苦を、わがものとする「もだえ神」たる道子の人物論、作品論を中心に展開している。
 狂気の祖母おもかさまとの日々や、「もうひとつのこの世」を求めた水俣病闘争などをたどりつつ、経済原理優先の社会と対峙した道子の生涯を浮き彫りにする。

 島原・天草一揆を描く『春の城』で、道子は天 草四郎を切支丹の先頭に立って闘った英雄としてではなく、虐げられた人々の哀しみ、憤りに寄り添う「もだえ神」とし て書いた、という。
 <四郎が、キリストのやつしなら、『苦海浄土』 における石牟礼道子は、四郎のやつしともいえる>
 道子や四郎が標榜する「もうひとつのこの世」は、現世では実現しないものだ。では絶望しかないのか。そうではあるまい。『春の城』の闘いや水俣病闘争は語っているはずだ。
 <理不尽に自分たちの生活を搾取するものに対して、否を突きつけ続ける抵抗の中にこそ、刹那の解放と希望がある>と。

 石牟礼道子とは何か。後半、著者は<その正体が最近少し見えてきた>という。<声なき声を聴き取って書く。いわば苦界にあるいのちの代弁者である>という認識だ。
 <道子さんがたたずんだいくつもの渚の風景をもっとお聞きしたかった>という、著者の道子への旅は、これからもつづくのだろう。
(集英社新書880円)
                                      田中優子.jpg
posted by JCJ at 01:00 | おすすめ本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年02月26日

【隅井孝雄のメディアウオッチ】永久凍結のトランプTWと言論の自由 メルケルの真意は?

       2102 メルケル.jpg

 トランプが表舞台から去った。議会占拠事件でツイッターが凍結されたことは、さもありなんと思う。その一方弾劾裁判に問われていたトランプ氏に対し、米上院は2月13日無罪を表決した。
直後トランプ氏は次のような声明を発表した。
 米国を再び偉大にする素晴らしく歴史的、愛国的運動が始まった。今後数ヵ月内に私は多くのことをあなた方にお伝えする。そして米国の偉大さを達成する旅を皆さんの共に続けることを楽しみにしている」。
 トランプの今後の動きは、アメリカ社会にとって無視できないことも現実だ。
 共和党で弾劾賛成の票を投じたのはわずか7人の共和党議員に留まり、出席議員の2/3にはるかに及ばなかった(有罪支持57票、無罪支持43票)。

完全禁止の意見が
 トランプツイッターの凍結は、トランプ支持派による1月6日の議事堂(キャピトルヒル)占拠事件がきっかけだった。しかしトランプツイッター凍結の動きは早くからあった。
 ツイッター社は昨2020年5月26日、「カリフォルニアの郵便投票は不正の対象になる」とのトランプ投稿に対し、「事実確認が必要だ」との画面をかぶせ、一回クリックしない限り直接文面を見ることができなくなった。その2日後、5月25日のジョージ・フロイド事件でもツイッターはトランプの投稿に対しも、「暴力をたたえる内容は、ツイッターの倫理綱領に違反だ」、かぶせ画面で直接見られない措置をとった。
 その後選挙戦激化とともに、トランプツウィ―トのほとんどが「真偽が疑われる」、「誤解を招く」、「事実確認が必要だ」など、かぶせ画面の対象となった。しかし「大統領としての公職にあり、トランプ発言を社会が知ることも必要だ」としてクリックすれば発言を視聴できる措置をとっていた。トランプツイッターを完全に禁止せよとの意見はツイッター社に繰り返し寄せられていた
 1月6日、トランプの呼びかけに応じた支持者らが米議会に乱入、3時間にわたって占拠する、という事件がおきた。折から議会ではバイデン氏を大統領当選者とする議事が進行中だったが中断、当選確定は7日早朝となった。事実上のクーデターだと意見も根強い。
 米ツイッター社は、1月8日「暴力行為を扇動する恐れがある」としてトランプツイッターのアカウントを永久凍結したと発表した。一方、トランプ支持者の多くがツイッターの代替えとして使うSNSアプリ「パーラー」については、グーグル社が8日、アップル社が9日、凍結、削除した。ツイッター社は永久凍結の理由として、「1月17日も連邦議会や各州議会を襲撃する計画もツイッターなどで拡散されている」ことを明らかにしている。
 CNNが入手したFBI文書によると、大統領就任式以前にトランプ派、急進派(Qアノンなど)が全米50州の州議会を乗っ取り、首都ワシントンでは就任式の20に「武装デモ」の計画があったという。

報道官による発言
 ところでトランプツイッターの凍結に対し、一部に言論の自由の自由に反するのではないかとの意見が出ている。私はSNSの無制限、無規律な現状を改めためる一環としての「トランプツイッター凍結」が正当であることを主張したい。
 巷間誤って伝えられるのは、ドイツのメルケル首相(写真)が凍結に異を唱えたという点だ。しかしメケル本人の発言ではなく、報道官によって発言したものであったという。しかもメルケルはトランプの憎悪に満ちた発言、暴力をそそのかす発言を強く批判している。
 ドイツではSNS上でのヘイト発言を規制する場合、連邦刑事庁に該当する犯罪的コンテンツを報告することを義務付ける法改正を昨2020年6月に行った。
 アメリカでは私企業であるSNS各社が、各社ごとの倫理規定に従って「かぶせ」、「削除」、「アカウント禁止」の削除を行っている。
メルケル首相の発言はドイツSNSヘイト対策に公的機関の関与を取り入れている事実を説明したものであった。制度上、違いがあることを指摘したのがメルケル発言であり、国際的には何らかの公的関与が必要であることを訴えたものであった。(→続きを読む)
(→続きを読む)
posted by JCJ at 01:00 | 隅井孝雄のメディアウオッチ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年02月25日

憲法の回復を求めて 学術会議任命拒否問題 東京慈恵医科大学 小澤隆一教授

小沢写真.JPG

事務局からの電話
 2020年9月29日の夕方、大学の研究室に日本学術会議(以下、学術会議)の事務局長から電話がかかってきました。2日後の10月1日に総会が予定されている学術会議の会員に私が任命されないというのです。その理由を聞いても、「私もわからない。内閣府の人事課に問い合わせても教えてくれない」とのことでした。電話の向こうの事務局長も動揺している様子です。「とんでもないことが起きた」と即座に感じました。

学術会議での活動
 私は、2008年10月から12年間(第21期―第24期)、学術会議の「連携会員」としてその活動に誠心誠意参画してきました。たとえば、現在、北海道の寿都町と神恵内村で問題となっているいわゆる「核のゴミ」(高レベル放射性廃棄物)の処分問題について、どのように取り組んでいくべきか、学術会議は2012年に原子力委員会への「回答」(「回答 高レベル放射性廃棄物の処分について」)を提出し、2015年には、この回答をフォローアップする「提言」(「提言 高レベル放射性廃棄物の処分に関する政策提言――国民的合意形成に向けた暫定保管」)をまとめましたが、私はこれらに検討委員会の委員として関わりました。そこでの議論や提言作りの作業を通じて、学術会議が人文・社会・自然科学の知見を持ち寄って政府に対して独立した立場で政策提言を行うことの意義や重要性を「体感」しました。

道理ない任命拒否
 菅義偉首相による私を含む学術会議会員候補6名の任命拒否は、この間の国会審議を通じて、その道理のなさがより一層際立ってきました。首相は、国会での答弁で、任命拒否の理由として、「民間出身者や若手が少ない」、「出身や大学に偏りがみられる」などと言い出しましたが、これらは、学術会議自体のこの間の改革努力によって、是正されてきているものです。首相がなぜか口にしない会員の男女比もしかりです。また、過去には「事前調整」をしたのに今回はしなかったから任命を見送ったのだなどとも強弁しています。学術会議法のどこにも、推薦された会員候補の任命を首相がこうした理由で拒否できるとする法的根拠はありません。「事前調整」などは、学術会議の会員選考権の侵害そのものです。支離滅裂な理由を次々と持ち出す菅首相の態度は、法治主義に反するものとして断じて許されません。
 また、首相は、憲法15条1項で国民固有の権利とされている「公務員の選定・罷免権」を持ち出して自己の任命拒否の正当化をはかっています。この国民固有の権利の具体化は、国民を代表する国会の権限であり、その国会が定めた学術会議法は、会員の選定・罷免の実質的決定を学術会議に委ねています。首相にはこの法律を「誠実に執行」する義務があります。学術会議法に反する任命拒否こそ、憲法15条が定める国民の権利を侵害するものです。(→続きを読む)

(→続きを読む)
posted by JCJ at 01:00 | 政治・国際情勢 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年02月24日

【おすすめ本】宇野重規『民主主義とは何か』─改めて確認すべき大事な「参加と責任のシステム」=常世田 智(編集者)

本書の刊行は昨年10月、まさに日本学術会議会員の任命拒否問題が騒ぎになった時期である。
 著者が渦中の会員候補6人のひとりと知って、本書を手に取った方も多いのではなかろうか。出版のタイミングは偶然とはいえ、本書の内容は、はからずも安倍・菅両政権への批判となっている。
 現代は民主主義がさまざまな危機に直面している時代、と著者はいう。ポピュリズムの台頭、独裁的指導者の増加、第四次産業革命とも呼ばれる技術革新、そしてコロナ危機などだ。
 「民主主義の国」アメ リカにおける大統領の暴走と深刻な国民分断は、だれしも思い当たるところだろう。

 しかし本書によれば、民主主義は2500年以上の歴史の中で何度も試練や批判にさらされ、それを克服しきたという。古代ギリシアで「誕生」し、近代ヨーロッパへと「継承」され、自由主義 と「結合」、そして20世紀における「実現」へという流れを、プラトンからルソー、トクヴィル、 丸山眞男に至るさまざまな論考の紹介とともに解説してゆく。
 その語り口は穏やかで過不足なく、「民主主義の教科書」としての魅力を際立たせている。
 だが本書の真骨頂は、そうした歴史を貫くキーワードとして、「参加と責任のシステム」としての民主主義を強調している点だろう。
 自分たちの社会の問題解決に参加すること、それを通じて政治権力の責任を厳しく問い直すことが民主主義にとって不可欠の要素、と著者は訴える。
 そこにこそ、いまの政権が著者を忌避した真の理由があるのだと思う。
(講談社現代新書940円)
「民主主義とは何か」.jpg


posted by JCJ at 10:52 | おすすめ本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年02月23日

【時事マンガ】 遅れてるよ 日本の政治=画・八方美人

             2021022.png
posted by JCJ at 02:00 | 時事マンガ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年02月22日

【フォトアングル】 官邸前で菅内閣を痛烈に批判=酒井憲太郎

                                               aP1240304.jpeg

 2回目の緊急事態宣言が出た二日後、首相官邸に向けて、「PCR検査と生きるための給付金を! とどめをさそうスガ安倍自民党全国アクション」の横断幕を掲げて行動は始まった。官邸に向けて菅内閣批判のギター演奏、リレートーク、演舞を繰り広げた。スピーチでは「Go toキャンペーンでコロナ被害最悪になっている」「消費税減税」「オリンピック中止」「規制するなら補償せよ」と訴えた。参加は20人。=9日、東京・首相官邸前、酒井憲太郎撮影
     JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2021年1月25日号
posted by JCJ at 02:00 | Editorial&Column | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年02月21日

【今週の風考計】2.21─<小林多喜二と伊藤千代子>2人の生涯に思いをはせる

昨日20日は、“多喜二祭”─今から88年前、1933年2月20日、都内の路上にいたプロレタリア文学の旗手・小林多喜二が、スパイの通報によって特高警察により逮捕。同日夕方、東京・豊多摩刑務所で殴る蹴る、歯や指を折るなどなど、凄惨な拷問により虐殺。29歳の短い生涯が閉じられた。

この虐殺に至る背景には、1925年制定の治安維持法と特高警察による、人民弾圧の暴虐の歩みがある。
 制定3年後の1928年3月15日未明、特高は全国で数千人の反戦主義者を逮捕する大弾圧をおこなった。多喜二は、この「3・15事件」で行われた過酷な拷問を聞き、世間に国家の横暴を訴える作品『一九二八年三月十五日』を完成させている。
 実は、これによって多喜二は特高から恨みをかい、以来、尾行が着きスパイが送り込まれることになる。

名作『蟹工船』を刊行した1929年には、皇軍を批判したとの理由から治安維持法違反で起訴され、豊多摩刑務所に収容。1931年1月22日、保釈出獄。多喜二は、3月から約1カ月間、密かに丹沢・七沢温泉に滞在し、作品『オルグ』を執筆。
 今から2年前、わが山仲間と丹沢・鐘ヶ嶽を登った時、帰りに訪れた七沢温泉「福元館」、その離れにある多喜二が執筆していた部屋を思い出す。そして投宿してから僅か2年後の1933年には虐殺される。

さて多喜二の虐殺から遡ること3年7カ月、1929年9月24日、特高による弾圧・拷問の影響で24歳の短い生涯を閉じた女性がいる。その名は伊藤千代子。
 諏訪の農家に生まれた伊藤千代子は、アララギ歌人・土屋文明の薫陶を受けた少女時代を経て、東京女子大学で学び、男女平等、女性の自立、反戦平和の活動に青春をささげる。紡績工場で働く女工の過酷な労働環境の改善に向けた闘いに取り組む。
そして運命の「1928年3月15日」朝、23歳の伊藤千代子は、重要文書のガリ切り原紙などを、届けに出かけた印刷所の玄関先で、特高に逮捕される。
 市ヶ谷刑務所に収監、拷問により転向を強要されるが拒否し続ける。拷問で痛めつけられるものの、侵略戦争に反対し、主権在民、ジェンダー平等の社会を目指して志を貫く。その生涯や尊し。
 いま劇映画「こころざしつつたふれし少女よ 伊藤千代子の生涯」の製作が進む。(2021/2/21)
posted by JCJ at 07:00 | 【今週の風考計】 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年02月20日

【支部リポート】北九州 医療崩壊もたらす悪政 毎月勉強会開き「声あげる」=杉山正隆

市民公開.JPG
 
COVID-19(新型コロナウイルス感染症)の感染拡大開始から1年。欧米を中心に感染爆発が続く一方、ニュージーランド、台湾では封じ込めに成功している。わが国も、欧米等に比べれば感染者数は少ない傾向が続く。なのに何故、「医療崩壊」の瀬戸際に立たされているのだろうか。
 北九州支部は「週刊金曜日」関門・北九州読者会と共同で月1回、勉強会を開催している。昨年11月には、「新型コロナウイルス感染症 正しく知り正しく恐れよう」をテーマに講演会を実施した(写真)。
 講演会では、政府が医師や看護師数を抑制し、病床の削減、保健所の削減、公立公的病院の統廃合などで医療現場へのしわ寄せがこの20年間で大幅に進んだことを支部長が解説した。「2009年の新型インフルエンザ流行の際も『感染症に備えるために態勢強化を』と確認していたのに逆行した政策が進められた」。
 1月には大阪大学の宮坂昌之招へい教授(免疫学)の話を聞いた。宮阪教授は「新型コロナウイルスのワクチン接種が予定されている。有効性は高いとはされているが副作用は10万件程度の実績が無いと分からない。緊急ワクチンとしてはやむを得ないが、安全性が高く有効なワクチン開発には時間が掛かる」。一方で、「人工抗体」など注目される研究が進んでいることを聴き取った。
 こうした勉強会であらためて浮き彫りになったのが政府の失政だ。感染症対策は安全保障の観点からも重要とする国が多い中、日本の歴代政権は軽視するばかりか、無駄とばかりに削減の対象にした。
 日本の医師数はOECD(経済協力開発機構)加盟国平均(人口1000人当たり3.5人)より低い2.4人にとどまる。看護師不足も目立つギリギリの態勢で新たな感染症に対応できるはずもない。
 医療崩壊の瀬戸際に立つ現状でも、菅首相は病床削減、公立公的病院の統廃合を推し進めるという。こうした悪政を知り、立ち向かう必要がある。北九州支部は今後も勉強会を開催し、声を上げ続けることにしている。 
杉山正隆
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2021年1月25日号
posted by JCJ at 02:00 | 九州・沖縄 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年02月19日

【スポーツ】 理念すら否定の五輪、開催は無理=大野晃

 森喜朗・東京五輪パラリンピック組織委員会長の女性蔑視発言は、五輪パラリンピックの理念を無視し、強引に大会開催を目指す組織委員会や東京都、国、さらには日本オリンピック委員会(JOC)の実態を露呈した。
 森会長の暴言に、抗議も辞任要求もしなかったことで、海外マスメディアなどによる国際的な批判を浴びている。
 国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長は黙認したが、開催関係者による五輪理念の尊重がおざなりだったことを実証し、開催資格に大きな疑義が生まれ、3月のIOC総会に向け、女性が増えたIOC委員や競技者を送り出す各国オリンピック委員会の批判が高まるのは必至だ。
 元首相として10年以上も前からラグビーやサッカーのワールドカップや五輪を連続開催して活力ある日本を示す国家運動を推進してきた森会長は、実利優先で、理念は添え物程度の認識なのだろうが、それ自体が時代錯誤であり、曲がり角の五輪は、国際的信頼を確保するために、理念を重視せざるを得ない。

  性差別撤廃は最重要課題であり、女性参加を促進し、東京五輪全種目の51%に出場可能へと拡大した。
 にもかかわらず、中心的理念に敵対する考えを示すリーダーによる大会の運営は、コロナ禍であえて開催する意義の喪失につながり、競技者はじめ、支援ボランティアたちに、目標を見失わせる許しがたい暴挙である。 
  安倍晋三前首相の原発汚染水処理の欺瞞により開催権を搾取した疑念は消えず、コロナ禍の対応に疑問を抱かせる五輪開催が、理念にすら否定的では、開催は無理と世界は認識したに違いない。
  沈黙するJOCへの不信は、竹田恒和前会長の招致買収疑惑もあって、増幅する可能性がある。理念を軽視して、関係者の監視を怠ったマスメディアの責任は大きい。
 競技者が大きな声をあげない限り、東京五輪パラリンピックは幻の大会となりそうだ。
 大野晃(スポーツジャーナリスト)
posted by JCJ at 02:00 | スポーツ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年02月18日

【おすすめ本】春名幹男『ロッキード疑獄 角栄ヲ葬リ巨悪ヲ逃ス』─米国の軍産複合体が仕掛けた恐るべき細工の全貌を明かす=萩山 拓(ライター)

今から45年前、明るみに出たロッキード疑獄。全日空の新型旅客機トライスター購入を巡り、米国ロッキード社が、巨額のカネを日本の政治家や商社役員、「政商」小佐野 賢治らにバラまいた贈収賄事件である。
 これまで米国側の秘密文書が公開されず、日米の根幹に絡む「巨悪」の 闇は放置されてきた。その結果、数多くの陰謀説が流されてきた。
 その経緯を巡り、国際ジャーナリストである著者が、米国立公文書館などの記録や資料を精読、15年に及ぶ調査と取材によって、真の「巨悪」の 正体をあぶりだし、その訴追が阻まれてきた理由に迫る。

 なぜ田中角栄は逮捕され葬られたのか?「日中国交正常化」など独自の「角栄外交」を嫌った米国は、田中角栄とキッシンジャー国務長官との対立が激化するにつれ、角栄の訴追へ導く「ある細工」が準備される。
 それはロッキード事件の捜査文書5万2千頁のうち、「Tanaka」と記された証拠文書2860頁分のみ、日本の東京地検特捜部に渡し、角栄を逮捕させ、真の「巨悪」を隠 す細工であった。
 しかも、この「巨悪」 は、ロッキード社が主眼としていた対潜哨戒機P3−Cの売り込みにも暗躍し、さらには2年後に発覚する軍用機導入を巡る、ダグラス・グラマン 疑惑にも絡むのだが、訴追を逃れてきた。
 著者は<第3部:巨悪の正体>で詳述しているが、元A級戦犯・戦後右 翼のフィクサーとして政財界に隠然たる影響力を行使した人物と指摘。
 本書は、600頁に及ぶ書下ろし。戦後一貫して日本を覆う米国の「安保利権」の裏側と謎の解明が鮮やかで、一気読みできる力作。(KADOKAWA2400円)

ロ事件.jpg
posted by JCJ at 02:00 | おすすめ本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年02月17日

2021年02月16日

【焦点】コロナワクチン「実験台」と話す医療従事者 健康被害が出ても製薬会社は免責=橋詰雅博

  新型コロナワクチンの接種がようやく日本でもスタートする。副作用の不安からか全米消防士協会によると、ニューヨーク市の消防士の55%は拒否している。米高齢者介護施設職員の60%、老人ホーム入居者の20%がそれぞれ拒否だという。また、カリフォルニア州リバーサイドの病院の医療従事者も50%はうたないそうだ。
 先行接種する日本の医療従事者からも不安の声が上がる。大分県の病院で働く60代の男性看護師の元には勤務先から接種を希望するかどうかのアンケート調査が送られてきた。男性は接種を決めたが、同じ病棟の看護師らの70%は接種しないことを選んだと話す。男性はこう言う。
 「もし自分が副作用を起こしたらどうしょう≠ニか怖いイメージを持たれているので、受けたくないという方が多いのと、自分たち(医療従事者)で大丈夫かを見て、実験台にされているというとらえ方をされている人がいらっしゃるのが印象的でした」
 
  今回実用化されたワクチンは遺伝子工学技術で開発された新しいタイプ。ワクチンを早く世に送り出すため臨床試験(治験)は短縮、治験者も通常よりもはるかに少ない。効き目に人種差があるから日本でも治験は行われたがその治験者はわずか160人だ。ワクチンの安全性に不安を持つのは当然だろう。
 もしも重大な健康被害が出たら、救済はどうなるのか。損害賠償を支払わないで済むように米英製薬会社は、ワクチン供給の契約締結の際、各国政府に損害賠償を求められたら政府が肩代わりして損失を補償することを条件に入れている。すなわち副作用で深刻な被害が出ても企業は責任を負いません、国が面倒を見てくださいというわけだ。企業に免責を与えるため日本も昨年12月に改正予防接種法を成立させている。
 裏を返せば、それだけコロナワクチンは副作用のリスクが高いといえる。朝日新聞の1月下旬の世論調査では、約70%が「(ワクチン接種は)しばらく様子を見たい」と答えている。あなたはどうしますか。
 橋詰雅博

posted by JCJ at 00:00 | 焦点 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年02月15日

「移動の自由を侵害」 安田純平さん 旅券発給求め裁判闘争=高橋弘司

  内戦渦中のシリアで取材中に拘束され、3年4カ月後に釈放されたフリージャーナリストの安田純平さん(46)は帰国後、外務省に旅券(パスポート)発給を申請したものの、拒否されたままの状態が続いている。安田さんはこの処分を「憲法違反」として国を相手取り、発給拒否処分の取り消しと新たな旅券発給などを求めて提訴、法廷闘争を続けている。
 裁判長期化は必至の情勢で、安田さんと代理人の岩井信弁護士が昨年12月20日、海外取材に携わるジャーナリストや研究者らを前に、「日本人が海外紛争地の実態を知れない結果となり、このままでは日本の民主主義が危うくなる」などと訴え、憲法が保証する「移動の自由」を訴え徹底抗戦する考えを明らかにした。

 この催しは、民間団体「危険地報道を考えるジャーナリストの会」が新型コロナウイルス感染拡大の中、通信アプリ「Zoom」を介したオンライン勉強会の形で企画。海外紛争地取材を続けるフリージャーナリストや毎日新聞、朝日新聞、共同通信などで海外報道に携わる記者、大学教員、NGO関係者ら20数人が参加した。

 2018年10月に釈放されて約2年2か月が経ち、安田さんからは帰国直後のややトゲトゲしい雰囲気は消えていた。旅券を奪われた今、東京都内に住み、執筆活動や講演の傍ら、法廷闘争の準備をする日々という。海外を主戦場にした本来のジャーナリスト活動を「阻止」され、その言葉からは強い怒りやいらだちが垣間見えた。
 東京地裁で続く裁判は原告の安田さん側と被告の国側双方が準備書面を提出した段階だ。岩井弁護士は、国側が処分の根拠について、旅券法13条1項1号(「渡航先に施行されている法津によりその国に入ることを認められない者」に旅券発給を拒否できるとの規定)に基づき、安田さんがトルコ政府から退去強制に伴う入国禁止措置を受けた点を挙げていると指摘したうえで、「安田さん自身はこの退去強制通知を見た記憶がなく、入国禁止措置は安田さんが旅券申請した2020年1月の後になって、日本政府の要請でトルコ政府側から発給された可能性がある」と主張した。
 つまりは法律に基づいて発行されたものではなく、この条文とそれに基づいて出された処分は憲法22条が定めた「移動の自由」を侵害すると主張した。

 旅券法13条1項1号が制定された1951年当時、旅券は特定の国に1回限りで行けるだけのものだった。だが、海外旅行が大衆化し、1つの旅券で世界中の国に何回でも渡航できるようになった現代では過去の遺物ともいえる。岩井弁護士は、仮にトルコから入国禁止措置が出されたとしても、他の大多数の国への渡航機会を事実上奪う旅券自体の発給拒否の処分は「グローバル時代」にそぐわず、個人の自己決定権などを定めた憲法13条にも違反すると力説した。

 安田さんに対しては今も、SNSなどを中心に「迷惑をかけた人間だから旅券発給拒否は当然」「身代金を払うようなことをする人間を海外に出すな」などの誹謗中傷が絶えないという。これに対し、安田さんは「身代金支払いは全くの事実無根」と怒り、「多くの国民に海外の紛争地取材の必要性が理解されていない」と訴えた。

 質疑で、参加者から日本学術会議の任命拒否問題との類似点を問われ、岩井弁護士は直接の言及は避けながらも、「旅券発給拒否の問題は安田さんへの個別的、意図的なもので、政府の憎しみに近いような強烈な措置といえる」と明かした。安田さんは、コロナ禍で日本人が多数の国から入国禁止措置を受けている現状を踏まえ、旅券法13条1項1号が「日本人全員に該当してしまう」とこの条文の矛盾を突き、条文自体がもはや時代遅れとなっている点を強調した。
 コロナ禍で世界が大きな転換点を迎える今、安田さんへの旅券発給拒否問題は実は、日本国民の誰もが標的になりうる深刻な問題をはらむのだと、改めて認識を新たにした。
高橋弘司(横浜国立大学准教授、元毎日新聞カイロ支局長)
 JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2021年1月25日号
posted by JCJ at 02:00 | 裁判 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年02月14日

【今週の風考計】2.14─日本版「マグニツキー法」が必要となる理由

いまや世界のコロナ感染者は1億820万人、死者は237万人に上る。というのに人権弾圧や専制政治が世界各地で横行し、ワクチン争奪が起き、ワクチン外交・世界支配の醜い野望すら蠢いている。
 なかでも中国の動きは、奇怪きわまりない。習近平政権はアジアやアフリカの発展途上国を中心とした計52カ国・地域を対象に、コロナ・ワクチンを無償提供し、その引き換えに中国への批判を封じ込める戦略を描いている。

12日、中国政府は、英国BBCの国際放送を禁止する処分に出た。BBCが新疆ウイグル自治区の「再教育」施設で、ウイグル族の女性が拘束され、性的暴行や虐待・拷問を受けていたとの報道への対抗措置とみられる。
 新疆ウイグル自治区の収容施設では、ウイグル族などの少数民族100万人以上が拘束されているという。中国は否定に躍起になっているが、米国バイデン政権は厳しい姿勢を取り、国際世論からは「ジェノサイド」の疑いまで指摘されている。
 東京新聞<本音のコラム>で、師岡カリーマさんが「ウイグル強制収容所」と題して、鋭い指摘をしている(2/13付)。

また中国政府の意向を受けた香港政府の動きも過酷さが増している。この6日には、立法会(議会)の元議員ら民主派53人および米国人弁護士を、「国家政権転覆罪」容疑で一斉に逮捕した。
 今年9月の選挙に向けた準備が、なぜ「国家転覆の企て」に当たるのか、異論や異議を許さない、民主派つぶしの暴挙は断じて許されない。
 この事態は、香港人にとどまるものではない。香港では日本人を含め世界の人々の「自由と人権」が脅かされかねないのだ。世界中の人々が中国政府に、香港の自治と人権を尊重するよう、粘り強く働きかける責任がある。

さらに中国は海警局に武器使用を認める「海警法」を施行した。さっそく海警局が活動する領域を一方的に拡大し、とりわけ尖閣諸島周辺の領海に侵入し、日本漁船に接近するなど、国連海洋法条約を無視し、国際法に違反する事態が頻発している。
 日本政府は、毅然として中国の国際法違反を指摘し、尖閣諸島周辺への威嚇侵入に抗議、すぐ止めるよう申し入れるべきだ。
やっと日本でも、世界各地での言論弾圧や拷問、虐殺などの人権侵害に関わった個人や団体に対して、制裁を求める日本版「マグニツキー法」の検討が始まった。
 議員立法をめざし、近く超党派の国会議員連盟が発足する。G7(主要7カ国)でマグニツキー法がないのは日本だけ。隣国への配慮ばかりが優先し、大事な人権や国際法が踏みにじられて、良いわけがない。(2021/2/14)
posted by JCJ at 08:00 | 【今週の風考計】 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年02月13日

【月刊マスコミ評・新聞】 年頭紙面はコロナより中国の脅威=徳山喜雄

  元旦の各紙の1面トップをみるのが、年頭の楽しみだ。通常は特ダネ・独自ダネか、大型連載があてられる。在京6紙をみれば、朝日、読売が特ダネ、東京が独自ダネ、毎日、産経、日経が連載を据えた。きれいに分かれたかたちだ。
 朝日は、自民党衆院議員だった吉川貴盛・元農林水産相が鶏卵業者から500万円を受領した疑いがある事件で、大臣在任前後にさらに1300万円を受け取っていたとした。鶏卵生産・販売大手の前代表が東京地検特捜部の任意聴取で供述、特捜部は収賄容疑で立件する方向という、本筋の特ダネだ。
 読売は、海外から優秀な研究者を集める中国のプロジェクトについて「中国『千人計画』に日本人」という主見出しを取り、少なくとも44人の日本人が関与していることが、独自取材で分かったとした。1社面に受け記事を掲載、「人材流失を防ぐための対策が求められている」と訴えた。
 東京は、作家・加賀乙彦さんの父親が戦前の東京などの街や人々を8_・16_フィルムで記録した映像を入手。現存する宝塚歌劇団のもっとも古いカラー映像や空襲前の新宿駅前を撮ったものなどをデジタル化したという自社ものだ。やや弱い内容だが、東京ローカル紙として「戦前の東京」を蘇らせたという映像の紹介は、これもありかと思った。
 毎日は連載記事であるものの、中国で製造された新型コロナウイルスの「闇」ワクチンが日本国内に持ち込まれ、大手企業の経営者ら富裕層が接種しているというショッキングな内容だ。産経も中国に関係するもので、中国型の権威主義が南太平洋で猛威をふるっているとした。日経は、温暖化ガスの排出を実質ゼロにする日本のカーボンゼロ宣言をテーマに、連載をスタートさせた。
 読売と毎日、産経の3紙が、中国がらみの記事をトップに。コロナ禍よりも中国の脅威が新年早々から伝わってきた。
 社説はどの新聞もコロナ禍に言及。毎日は「民主政治は間違える。けれども、自分たちで修正できるのも民主政治のメリットだ。手間はかかっても、その難しさを乗り越えていく1年としたい」。日経は「……世界のあちこちで分断やきしみが目立った。……『再起動』の年にしたい」と、前向きに訴えた。 
徳山喜雄
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2021年1月25日号
posted by JCJ at 02:00 | メディアウォッチ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年02月12日

【リアル北朝鮮】指導体制 より強固に バイデン米政権を主敵と牽制=文聖姫

 朝鮮労働党第8回大会が1月5日から12日まで開催された。5年前の第7回党大会の日程が4日間だったのに比べて、今回は2倍の8日間。それだけ、北朝鮮指導部が現状を深刻に考えていたことを裏づけている。
 党大会では、金正恩氏が朝鮮労働党総書記に推戴された。妹の金与正氏は党中央委員会政治局委員候補から外れたことや党第一副部長から副部長になったことで降格したとの分析もあるが、必ずしもそうとは限らない。これまでの地位を守っていると見る向きもある。党の地位とは関係なく、金総書記を影でささえる存在であることは間違いないからだ。
 金正恩氏が党委員長から総書記になったことをどう見るべきか。もちろん、委員長であろうが総書記であろうが、金正恩氏が「最高尊厳」であることに変わりはない。朝鮮労働党総書記選挙に関する決定書によると、党総書記は「全党を代表し指導する党の首班」であり、「党の首班は全党の組織的意思を体現する革命の最高脳髄であり指導の中心、団結の中心」だという。これは祖父の故金日成主席や父の故金正日総書記と同等の地位に就いたことを内外に示す意図もあるのではないかと思われる。金正恩総書記による唯一指導体制はより強固なものになっていくことが予想される。

「対外政治活動を、わが革命発展の基本的障害物、最大の主敵であるアメリカを制圧し、屈服させることに焦点を定める」「アメリカで誰が政権を握ろうと、アメリカという実体と対朝鮮政策の本心は絶対に変わらない」
 金総書記は、大会報告のなかでこう強調し、バイデン次期政権を牽制した。核戦力強化に何度も言及しており、今後ミサイル実験などを行う可能性もある。一方で、中国の習近平国家主席から送られた祝電への礼電をメディアで速やかに公開するなど、中朝の蜜月をアピールすることに余念がない。 
 文聖姫(ジャーナリスト・博士)
 JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2021年1月25日号
 

 


 
posted by JCJ at 02:00 | 政治・国際情勢 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年02月11日

【隅井孝雄メディアウオッチ】ホワイトハウス メディアへの対応が変わった

                                            2102 ジェン サキ大統領報道官.jpg

  1月20日、アメリカ大統領にジョー・バイデン氏が就任した。トランプ氏が去ったその日、ホワイトハウスではジェン・サキ大統領報道官(写真)が政権発足後初の記者会見を行った。サキ氏は「独立した報道に深い敬意を持っている、皆さんと一致できないことがあるかもしれないが、アメリカ国民に正確な情報を提供するという目標を共有している」と述べた。「透明性」と「真実」に重きを置く広報官の姿勢は、トランプ前政権からの転換を強く印象付けるものだった。
 このニュースを聞きながら私は2017年1月11日、トランプ氏が当選後初めて開催したトランプタワーでの記者会見の光景を思い起こした。世界中から記者が詰めかける中、CNNのジム・アコスタ記者が再三手を上げ発言を求めたことに対し、CNNをフェイクメディアだとして、質問を最後まで認めなかった。
 トランプ氏は後に大統領会見でアコスタ記者のホワイトハウス記者証を取り上げる暴挙を行った(2018年11月)。米メディアは団結して抗議、ワシントン地裁の記者証返還命令もあり、11日後に記者証は戻された。コロナウイルスに関しては昨年3月に連日開催を始めたが、誤った発言を繰り返したことを指摘され、昨年4月29日以降定例会見を中止、もっぱらツイッターに頼った。
 米大手メディアはトランプの4年間、トランプ発言の検証を心掛けてきた。トランプ支持のFoxテレビがバイデン氏の当選を認めたあと、右翼勢力は彼らの見解に同調するインターネットテレビ「ニュースマックス」に流れているという。
 「報道特集」金平茂紀キャスターはアメリカの変化を伝える中、サキ報道官の初会見にも言及「会見は発言を求める記者たちが納得いくまで続けられた。日本の記者会見とはなんという違いだ」とのべた(1/23)。

1月4日の総理年頭会見はコロナの感染者数が急上昇している中多数の記者たちが手を挙げているのに6人の記者が質問しただけで打ち切られた。官邸広報官は、「幹事社以外は一人一問、再質問は認めない」と釘をさした。出席するのも一社一人に限られている。
日本のメディアにとって「透明性」と「真実」という言葉は重く響く。
隅井孝雄(ジャーナリスト)

posted by JCJ at 02:00 | 隅井孝雄のメディアウオッチ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年02月10日

【時事マンガ】 根拠示せない 罰則なぜ入れた=画・八方美人

           20210206根拠示せない罰則 なぜ入れた4稿(最終)●サイズ小161KB.png
posted by JCJ at 02:00 | 時事マンガ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年02月09日

【焦点】アマゾンのクラウド事業は世界シェアトップ 日本政府もサービスを採用=橋詰雅博

 米アマゾン・ドット・コムの創業者のジェフ・ベゾス最高経営責任者(CEO=57)が今年9月までに退任する。突然のことで少し驚いたが、後任のCEOにはクラウド部門責任者のアンディ・ジャーシー氏(53)が昇格する。
  今や売上高13兆1800億円のアマゾンといえば、各種商品の通販企業というイメージが強いが、利益面で支えているのはジャーシー氏が立ち上げたクラウド事業「アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)」だ。売り上げに占める比率こそ1割強にとどまるが、クラウドの世界シェアは約48%とダントツである。ちなみに第二位の米マイクロソフトは約16%、三位の中国のアリババ集団が約8%だ。
  クラウド分野に詳しい駒沢大学名誉教授の福家秀紀さん(情報メディ産業論・博士)はこう言う。
 「通販事業は安売りが中心だから利益率は低い。その点、AWSは大きな仕事が多いので利益率が高いのが特徴です。アマゾンは電子商取引をやるためサーバーをたくさん持っているので、サーバーに余裕がある。それでクラウド事業を始め、成功を収めた。民間企業からの受注のほかアマゾン関係者によると、米英政府からのクラウドの仕事も請け負っているようです。しかし、安全保障情報とか重要な経済情報など国家機密に関するものは政府独自のクラウドで扱っていると思う。情報が漏れるのを防ぐためです」
 実はAWSは日本法人を通じて日本政府のクラウドサービスを手掛けている。昨年10月から運用を始めているこのクラウドサーバーに入る情報は全府省や国会、裁判所ばかりでなく自治体も含まれる。前出の福家さんは「国内サーバーに保存されたデータがひそかに米国に転送される可能性がある。米国政府が日本のこんな情報が欲しいと要求されたら米アマゾンは拒むことはできないでしょうね」と警告する。
 アマゾンは日本の通販市場をがっちり握るだけでなく、今では日本政府の機密情報も入手できる位置にのし上がっている。アマゾンは油断がならない企業だ。
 橋詰雅博
posted by JCJ at 02:00 | 焦点 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする