2021年03月08日

【おすすめ本】平野雄吾『ルポ入管 絶望の外国人収容施設』─人権の「無法地帯」の不条理を暴く=菅原正伯

 成田空港など送迎客でにぎわう国の玄関口に、こんな深い闇が潜んでいようとは思いもよらなかった。
「絶望の外国人収容施設」という副題は、誇張 でも何でもない。まさにその通りである。
 2014年、カメルーン人男性が医師の診察を受けられず、東日本入管センター内で死亡。2018年、同センターでインド人男性が自殺。翌年には、大村入管でハンスト中のナイジェリア男性が餓死した。背筋の凍る事件が続発している。

 本書は、在留資格のない外国人(非正規滞在者)を収容する入国管理施設の非人道的な実態を報道してきた共同通信記者による渾身のルポ。
 長年、日本政府は、非正規滞在者を治安対策として扱い、入管施設は強制送還を促進するための密室となっている。
 指示に従わない収容者を数人の職員が組み伏せ手錠をかけ暴行する「制圧」や、3平方メートル の狭い部屋に閉じ込める「隔離措置」など、暴力 が日常的に施設を支配。体調が悪化しても「容体観察」と見守るだけの医療放棄により病死した例もある。

 こうした非人道的な対応が放置されている背景に、著者は「外国人の受 け入れは国家が自由に決められる」「外国人の基 本的人権は在留制度の枠内で与えられる」とした40年以上前の最高裁判決があると指摘。
 日本の入管体制の原型が植民地支配と冷戦の産物であり、在留の資格・ 期間での厳格な外国人管理、行政庁の自由裁量による強制退去、無期限の入管収容など、50年間変わらぬ入管の「無法」を告発している。(ちくま新書940円)
本の.jpg
posted by JCJ at 02:00 | おすすめ本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする