2021年04月04日

【今週の風考計】4.4─最高裁 孫の世話に励む祖母の「監護者」申し立てを却下!

■誰しもオヤッと首をかしげたのではないか。娘の離婚で長い間、孫の親代わりをしてきた祖母が、孫の世話をする「監護者」として申し立てた裁判に対する判決内容である。
 最高裁は「父と母以外は監護者の申し立てはできない」と、祖母の訴えを却下した。さらに別事案での「孫との面会交流」を求める申し立てにも、「父母以外には認めない」との判決を下した。
■とりわけ「監護者」の申し立てには、下級審の判断を覆し、裁判官5人全員一致の意見による判決とくるから驚く。
 1審の大阪家裁は、子供が母親の再婚相手を拒否しており、母親らに監護させれば精神状態が悪化する恐れがあると判断。同居している祖母に「監護者」を指定している。さらに2審の大阪高裁では、「子の利益のためなら、父母以外も申し立てができる」との判断を示していた。
 それもそのはず、「監護者」とは、未成年の子供と生活し、身の回りの世話や教育をする「監護権」を持つ人、と定義されているのだから、1審・2審の判決は極めて真っ当だ。

■子どもの福祉や権利、意思の尊重を第一に置けば、最高裁が民法上の規定にある第三者への権限移譲に神経をとがらせ、実情を無視した判決で却下するのは許されない。
 すでに家族法制の見直しを議論している法制審議会や有識者らの研究会でも、子への虐待が絡むケースや父母の監護能力が欠ける場合、祖父母に「監護者」の申し立て権を与えることなど提言している。それを最高裁は、なぜ踏まえないのか。
■また離婚したら子どもの親権は、父母のどちらか一人しか認めない、今の民法の「単独親権制度」をめぐる裁判も各地で起きている。つい最近、「共同親権」を求めて起こされた裁判で、東京地裁は「単独親権制度は憲法に反するとは言えない」との判決を下した。
 憲法上の平等な権利の保有に抵触しないか、またも古い家族観で議論を深めない判決には、大いなる疑問が湧く。とりわけ最高裁を始め各級裁判が、憲法判断を避けた判決を繰り返しているのも問題だ。

■2017年当時、安倍内閣に対し野党が求めた臨時国会の召集に、3カ月以上応じなかったのは、憲法53条に違反するとして提訴した裁判の判決が出された。これまた東京地裁は憲法判断をせずに請求棄却した。
 憲法53条は、衆参いずれかの総議員の4分の1以上の要求があれば、内閣は臨時国会召集を決定しなければならないと定めている。
 同種訴訟は岡山など全国3地裁で提起されているが、昨年6月の那覇地裁判決では、憲法53条の要求に基づく召集は「憲法上の法的義務だ」と明言した。だが召集の時期を巡っては憲法違反かどうか、その判断を避けている。
■このほど最高裁が下した、沖縄・嘉手納基地を発着する米軍機の夜間・早朝の飛行差し止め裁判への判決も、騒音への金銭的賠償は認めるが、肝心の騒音を発する米軍機の飛行差し止めは却下した。
 米軍の勝手放題な行動が、独立国家としての日本で許されるのか、深い議論もなく憲法判断を避けた判決を下しているようでは司法の独立が泣く。(2021/4/4)
posted by JCJ at 07:00 | 【今週の風考計】 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする