2021年04月05日

【リアル北朝鮮】地方の党首長による初の講習会 家族や親せきの私利私欲にも言及=文聖姫

 北朝鮮の平壌で3月3日から6日までの4日間、朝鮮労働党の市・郡責任書記が一堂に会する講習会が開催された。北朝鮮で同種の講習会が開催されるのは初めてのことだ。日本で言えば、市長や村長ら首長が一カ所に集まって講習会を開催するようなものだ。
 ではなぜ、この時期、このような講習会が開かれたのであろうか。北朝鮮では今年1月に朝鮮労働党第8回大会が開かれたが、そこでの主な議題は経済とともに党の活動家の働き方だった。党内において権勢を振るうことや官僚主義、不正腐敗に関して辛辣な批判が繰り広げられた。党内には新しい規律監督体系が樹立された。北朝鮮指導部が党内で起きている不正腐敗現象について深刻に受け止めている証であろうと思われる。
 講習会の2日目、金正恩党総書記は結語で、「自分自身が党と人民の面前で潔白であるだけでなく、家族、親せきたちも絶対に私利私欲を追求できないよう警戒」するよう述べた。責任書記自身だけでなく、家族や親せきにまで言及するのは極めて珍しい。実例が示されているわけではないが、実際にそのようなことが起きているのだろうことは想像に難くない。
 世界中で猛威を振るう新型コロナはいまだ収拾する気配はない。北朝鮮は厳格な国境封鎖を続けており、経済にも深刻な影響を与えている。人々も生きていくために必死だ。1990年代半ばから後半にかけての経済難の時代には、突然国家からの配給が中断されたりしたことで、餓死する人々も現れた。ただ、そのような時代を経て、北朝鮮の人々もたくましく、したたかになった。配給に頼らず、自力で物資を調達する人々も少なくない。
 党幹部の家族や親せきの中にも、その地位を利用して私利私欲を求める人々が出てくるのも自然な流れなのかもしれない。ただ、社会主義体制下で、平等を掲げる北朝鮮指導部にとっては許されないことなのかもしれない。
 文聖姫(ジャーナリスト・博士)
 JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2021年3月25日号
 

 
posted by JCJ at 02:00 | 政治・国際情勢 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする