2021年07月08日

【オンライン講演】ミャンマーはどうなっているか ドキュメンタリー監督 岸田浩和さんが語った=須貝道雄

                       
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JCJは5月15日、「ミャンマーはどうなっているのか」の題でオンライン講演会を開いた。2月の軍部クーデターについて、講師のドキュメンタリー監督、岸田浩和さん(写真)は2点の要因を挙げた。
一つは、軍に有利な現行憲法の改正をアウンサンスーチー国家顧問が主張し始めたこと。もう一つはスーチー氏率いるNLD(国民民主連盟)政権が国境地帯の麻薬取引にメスを入れ、軍幹部に還流する裏金が止まるとの懸念が強まったことだという。
 2020年秋の総選挙でNLDが圧勝した後、民主化が進むとの期待から、スーチー氏に海外の政府・企業が目を向け、軍部に危機感が高まったことも大きいと指摘した。
たとえば、ミャンマー軍と「太いパイプ」を持つ元国会議員で日本ミャンマー協会会長の渡邉秀央氏の行動だ。今年1月に同国を訪れたとき、初めてスーチー氏と先に会い、ミンアウンフライン国軍最高司令官との会談は後にした。「これまで渡邉氏はスーチー氏とは距離を置いていた。付き合い方を変える姿勢が見えた」。軍が会見で「選挙に不正」と言い始めるのはその直後。順位の変化に敏感に反応したことがうかがえる。

欧米からの支援を得るため、軍事政権が「見かけ上の民主化」 を企図したのは2008年から。憲法で議会の25%を軍人議席で固定し、憲法改正など重要問題は75%以上の賛成が必要と定め、何事も軍次第の体制をつくった。
2015年にNLDが選挙で勝利しても、軍は表向きスーチー氏と仲良くした。「理由は国軍系の企業に投資が集まっていたから」。その構造が20年総選挙後に崩れることを恐れたと見られる。
 クーデターに対し、軍部と太いパイプを持ちながら沈黙した人物がいる。日本財団の笹川陽平会長。彼は昨年11月の総選挙で監視団長を務めた。
日本政府は今年5月に食料向けに400万jを同国に無償支援すると発表した。これが市民に届くのか、軍部の懐に入ってしまうのか。地元では「クーデター政権に水をやるのか」と懐疑的な見方が広がってるという。      
岸田さんは1997年から2年間、ヤンゴン外国語大学に留学。ミャンマー取材の経験が長い。
須貝道雄
 JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2021年6月25日号     
posted by JCJ at 01:00 | オンライン講演 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする