2021年09月09日

【おすすめ本】雨宮処凛『コロナ禍、貧困の記録 2020年、この国の底が抜けた 』─凄まじい実態・非道な対応への告発=鈴木 耕(編集者)

コロナ感染が止まらない。だが「東京五輪」の開催強行。まるでコロナという大火へ、ガソリンを注ぎ込むような菅政権のやり口。人命を賭ける蛮行の陰で、いったい何が進行していたか。
 サブタイトルにあるように、本書は昨年来の安倍〜菅政権が求める「自助」が引き起こした貧困の凄まじいばかりの記録である。

 2020年の「春・夏・秋・冬」と4章にわたってコロナ禍で追い詰められていく人々を追い、彼らに寄り添いながら、必死に活動する著者の悲しみが横溢している。
 その様相は、まるで戦時中だ。所持金13円の男性、コロナ不況がもたらすホームレスの増加。冬に向かうにしたがい、過酷さは増す。寒風の中で身を縮める切なさ。バス停で殴り殺された女性の事件。そして、従来にはなかった女性の貧困が目立つようになる。
 コロナの蔓延は、飲食業や風俗店の女性従業員たちを直撃する。中でも子どもを抱えた女性たちは、行き場を失い食をも絶たれる。だが役所の対応は冷酷だ。援けを求める人たちに缶詰めを渡して追い返す。

 生活保護申請に対して「親族への照会」という無慈悲さで扉を閉ざす。街頭に追われた人から、生きる支えのペットさえも取り上げようとする。
 著者たちは、必死に抗う。少しずつではあるが拒否の扉をこじ開ける。その意味で、これは政権の貧困者切り捨てに立ち向かった著者たちの闘いの記録でもある。
 なお本書はウェブ上の週刊誌「マガジン9」の 連載を編集したものである。(かもがわ出版16 00円)
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posted by JCJ at 01:00 | おすすめ本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする