2021年09月22日

【隅井孝雄のメディアウオッチ】踏ん張るアフガン女性記者

              
2109 アフガニスタンで取材する女性記者2019年10月カブール.jpg
       取材する女性記者=2019年10月カブール       

 9月2日から4日にかけアフガニスタンの首都カブールで活動家やジャーナリストが女性の働く権利を求めるデモ行進を行った。タリバンの戦闘員が催涙ガスを使い、参加者の一部が小銃の弾倉で殴られ、血を流したことなどが民放「トロ・ニュース」で報じられた。
 タリバンが首都カブールに進攻した8月15日以前、報道機関に働く女性は1700人以上に達していた(アフガン女性ジャーナリスト協会EPAW、2020年調査)。民間ラジオ、テレビ局で9月2日までに勤務を継続する女性は76人に減少したが、一部の女性記者らは、現場に止まっているとみられる。民放トロ・ニュースには女性記者の出演が続いている。しかしタリバンン広報官とのインタビュー(8/17)や反タリバン派の動きを伝えた女性アンカー、ベヘシュタ・アルガンドさんは危険性が増したとして数日後出国した。(8/30CNN)。
首都陥落以降も活動する女性記者(新聞も含む)は100人以下に減少したと「国境なき記者団」(9/1)は伝えている。
 国営放送(RTA)の女性キャスターが出社を拒否されたと動画をツイッターで投稿した。「出勤しようとしたら、男性は中に入れたが、私は止められた。“タリバンに体制が変わったのであなたは仕事が続けられない。放送局には近寄るな”」といわれたと証言する。国営放送では政権崩壊までは140人の女性記者がいたが、今は一人も働いていない。中部カズニ州のラジオ局ではタリバンが訪れ「女性の声を流してはいけない」と警告した(朝日Think Gender9/2)
 そして国営テレビからはコーランの朗読や宗教番組が流れるようになった。民放テレビは、タリバンを挑発することになる、として一部の音楽番組やポップなバラエティー番組を減らしつつある。
 9月8日に発足した新政権が「勧善懲悪省」を復活したとの報道もあった(TBSサンデーモーニング9/12)。この省は前回のタリバン政権で女性迫害や、言論抑圧を進めたことで知られている。
 こうした状況下でも敢然と職場に踏みとどまる女性ジャーナリストに国際的支援の手を差しのべる必要がある。
 隅井孝雄(ジャーナリスト)

posted by JCJ at 01:00 | 隅井孝雄のメディアウオッチ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする